2014/08/05

Tromso Olympaid 3rd round Japan - Austria


試合直前の会場

私が昨年のヨーロッパ遠征中、乗り換えのために少しだけ寄ったのが、ハンガリーの隣国、オーストリアです。オーストリアの首都、ウィーンまではブダペストからバスで2時間半ほど。ゆっくり観光したかったのですが、不思議と訪れる機会がなかったことは、今も心残りです。3R は、そんなオーストリアと男子チームが激突。GM のタイトルを持つ上の2名は、特に強敵です。

Shengelia, D (GM, AUT, 2556) - Kojima, S (FM, JPN, 2373)
Tromso Olympiad (3)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bg4 5. Nbd2!? e6 6. h3 Bh5 7. g4 Bg6 8. Ne5 Nbd7 9. Nxg6 hxg6



このポジションは、ナイトがc3 にある形を試合前にメインで研究していました。d2 よりもc3 のほうがナイトの位置として自然に見えますが、何が違うのかをポイントに考えてゲームを進めます。

10. Bg2 g5 11. e4?!


Shengelia のアイディアは、メインラインを避けつつ、e4 でピースを捌けばd2 のナイトが問題なくなるということでしょうが、これは黒が満足な展開になるでしょう。

11... dxe4 12. Nxe4 Nxe4 13. Bxe4 Qa5+!



f4 のマスを弱めてしまった白は、できれば黒マスビショップを交換したくありません。しかし、ここでキングが避ける手も、見るからに危なそうです。

14. Bd2 Bb4 15. a3 Bxd2+ 16. Qxd2 Qxd2+ 17. Kxd2 O-O-O


試合後にMisha には、本譜も悪くないが17... e5 はどうかと勧められました。私はd4 のポーンはターゲットとして残しておくべきだと考えましたが、ナイトのアクティビティーを考えれば、d4 のポーンを消しにいく作戦もありだったでしょう。

18. Ke3 Rh6 19. Rad1 Rdh8 20. Bg2 Rf6 21. h4!?



私はRf6-Rf4 とf4 のマスを抑えてから、うまくナイトをh4 まで運べればと考えていましたが、まさかこのタイミングでh3-h4 です。

21... Rxh4 22. Rxh4 gxh4 23. g5 Rf5 24. f4


白が一時的に1ポーンを捨てた理由はもちろん、黒のルークの行き場を奪うこと。局面は一気に複雑化し、形勢評価が難しくなります。

24... Nb6



24... c5 (b7 のポーンを返すのは黒にとって良くないと考えていましたが、あり得る選択肢のようです。) 25. dxc5 Rxc5 26. Bxb7+ Kc7 27. Ba6 Nf8=

25. b3 Ra5 26. a4 f6 27. c5 Nd5+ 28. Bxd5 exd5 29. Rh1


白は黒のルークの位置が悪いことを利用し、ルークエンディングに持ち込んで勝負を仕掛けます。私はかなり時間を使って考えましたが、正しい手をチョイスすることができませんでした。

29... Kd7?



29... b5! 30. cxb6 axb6 31. Rxh4 b5 32. Rh7 fxg5 33. fxg5 bxa4 34. bxa4 Kd7!= この最後の手を見つけることができれば、黒はドローに持ち込むことができたでしょう。a4 のポーンは焦らずともとれるので、キングが先に上がっておき、gポーンを止めに行くのがポイントです。

30. Rxh4 fxg5 31. Rh7 gxf4+ 32. Kxf4 b5 33. Rxg7+ Kc8 34. axb5 Rxb5 35. Ke5!+-


黒はキングの位置が悪すぎるため、c6 のポーン取りと同時にメイトスレットがかかり、d4 を取る暇がありません。これで負けを覚悟しますが、2ポーン対1ポーンになってもなんとか粘れないか、ゲームを続行します。

35... Rxb3 36. Kd6 a5 37. Kxc6 Kb8 38. Kxd5 a4 39. Kc4 Rb1 40. Rg3 Ra1 41. d5!



この時点ではaポーンを進めるどうなるのか、まだよく分かっていませんでした。もう1手進めて私にも明らかになりましたが、Shengelia はすべて読み切ったうえでノータイムで指してきたので、その辺りはさすがだと思います。

41... a3 42. d6 a2 43. Rg8+ Kb7 44. Kb3


私が唯一粘れると思った作戦は、aポーンを犠牲にして、d,c ポーンのいずれかを取ることでしたが、8段目を抑えたうえで、片方が6段目まで到達していれば、白はポーンを取られる心配がありません。(c5 を取れば、d6-d7 で勝ちです。)

44... Kc6 45. Rc8+ Kd7 46. Rc7+ Kd8 47. Kb2 Rb1+ 48. Kxa2 Rb5 49. Ka3 Rb1 50. Ka4 1-0



エンドゲームで時間切迫になったときこそ、正しい知識と経験が問われるものだと思います。29手目の時点で残りは数分、時間が足りなかったと言えばそれまでですが、自分の未熟なところが出たゲームでした。それでも、今大会の対GM 戦はここまで感触が悪くないので、その点はポジティブに考えて、次のラウンドに臨もうと思います。

90 Japan (JPN) - 41 Austria (AUT) 1 : 3

28.1 CM Nanjo, Ryosuke 2344 - GM Ragger, Markus 2644 0 - 1
28.2 FM Kojima, Shinya 2373 - GM Shengelia, David 2556 0 - 1
28.3 FM Watanabe, Akira 2252 - IM Schreiner, Peter 2460 1 - 0
28.4 Mitsuya, Naoto 2024 - IM Diermair, Andreas 2447 0 - 1


日本チームは暁さんのみが、若いIM 相手に見事な指しまわしを見せて勝利を収めました。3B での早々の白星だっただけに、他のボードが粘れなかったのは少し残念ですが、レイティング平均が200以上上の強豪相手でも、シャットアウト負けを防ぐのは、チーム戦ではとても大事なことですね。


女子はカリブ海に浮かぶ島、トリニダード・トバゴを相手に熱戦を繰り広げました。ここまで上相手にポイントを取り続けた、1B の橋本さんが負けてしまったのは残念でしたが、カレンが相手のピースのサクリファイスを丁寧に受けて、無事に勝利。4B では長谷川さんが優位なポジションから、パペチュアルチェックでドローに持ち込まれてしまいましたが、3B の雨宮さんがピースダウンをなんとか粘ってドローに持ち込み、スコアは2-2 のタイとなりました。反省の多いラウンドではありましたが、負けなかったことで一安心。それにしても、3,4B はライブで見ていて、ハラハラが続くゲーム展開でした(笑)

104 Japan (JPN) - 103 Trinidad & Tobago (TTO) 2 : 2

40.1 Hashimoto, Azumi 1712 - WCM Smith, Javanna 1747 0 - 1
40.2 WCM Hoshino, Karen 1738 - WCM Soondarsingh, Aditi 1747 1 - 0
40.3 Amamiya, Anna 0 - Walcott, Della-Marie 1362 ½ - ½
40.4 WCM Hasegawa, Emi 1698 - Rahaman, Najarah 1478 ½ - ½


4R の今日は、男子がクウェート、女子がノルウェー2との対戦となります。主催国は男女ともに3チームまで出して良いため、今大会はノルウェーのみが複数チームの参加です。ノルウェーの女子トップ軍団ではないでしょうが、主催国チームとの対戦は多少注目されるでしょう。男子の相手、クウェートはアルバほどではありませんが、日本よりもはるかに格下です。ここはすっきり勝って、後半への良い弾みをつけたいところですね。それでは今日も、よろしくお願い致します

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