2014/08/12

Tromso Olympiad 9th round Japan - Thailand

この日は私とも深いかかわりがある国、タイとのマッチングです。FM の数や上位のレイティングでは、アジアにおける日本のライバルとも呼べる存在ですが、国際トーナメントの規模や、チェススクールによる指導では、タイのほうが日本よりもやや進んでいると言えるでしょう。私の対戦相手、Kongsee は、トーナメントから引退気味のFM たちを除けば、タイではエースと呼べるプレーヤーです。

Kongsee, U (THA, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2373)
Tromso Olympiad (10)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. N1e2 e6 7. Nf4 Qc7 8. c3 Nf6 9. h4 Bd6 10. Qf3 Nbd7 11. Nxg6!?



相手は元来早指しなうえ、入念なオープニングの準備のうえで試合に臨んでいたようでした。このN1e2-Nf4 の変化は久々ですが、これまで培ってきた経験で黒が満足に指せるポジションを目指します。

11... hxg6 12. Bg5 O-O-O 13. Ne4 Be7 14. O-O-O Qa5 15. Bc4 Qf5!?


このクイーンの動きはありだと思います。もしf5 でクイーンを交換した場合、gxf5 と取り返して、黒はg4, e4 のコントロールを得ます。

16. Nd2 Nd5 17. Bxe7 Nxe7 18. g4 Qxf3 19. Nxf3 Nb6 20. Bb3 Nbd5



白はNc3-Ne4-Ng3-Ne4-Nd2-Nf3 とナイトが長い旅路を経て、e5 もしくはg5 から、f7 を狙おうとしています。しかし、これは一時的なもので、黒は丁寧に対処すれば問題なくなるでしょう。それよりも、g2-g4 と突いたことで、h4 のポーンが守りにくくなったことと、f4 のマスにナイトが侵入しやすくなったことを利用し、黒は戦います。

21. Ng5 Rdf8 22. Rh3 Kd7 23. Re1 Ke8


キングがここまでくれば、f7 はひとまず安心です。

24. Reh1 Nf6 25. f3 Ned5 26. Kd2 Ke7 27. R3h2 Rd8 28. Re1 c5!



ここは仕掛け時だと判断して、ポジションを開きます。h4 のポーンの守りを気にさせている間に、他に付け入るポイントを作り出そうとします。

29. dxc5 Nb4+ 30. Ke2 Nd3 31. Rb1 Nxc5 32. Bc2 Nd5 33. Kf2 Nf4 34. Kg3 e5


これでf4 のナイトを固定し、間違いなく黒がやや指しやすくなったと感じました。それでも、勝負はここからです。

35. b4 Nce6 36. Ne4 b6 37. Re1 f6 38. Bb3 Rd3 39. Rc2? Rc8?!



時間が増える直前、例のごとく時間切迫でしたが、ここは自分が優位だと信じていましたし、c3 の弱点にゆっくりとプレッシャーをかければ問題ないと考えていました。しかし、ここで黒は駒得になるチャンスを逃しています。39... Rxh4! 40. Kxh4? Rxf3-+ ならば、次のメイトが防げず、黒勝ちとなります。つまり、h4 のポーンをただで取ることができました。

40. Rec1 f5 41. Bxe6 Kxe6 42. Ng5+ Kf6 43. Nh7+ Ke7


相手はNg5-Nh7 のドロー狙いですが、私はもちろん勝ちを狙います。Kd6 まで上がれば、黒は問題なくe5 を守り、うまく手が作れると思っていたのですが...

44. Re1 Kd6 45. Ng5 Rc7 46. c4 Ne6 47. c5+ bxc5 48. bxc5+ Nxc5 49. h5!



1ポーンをサクリファイスした後のこの手が、非常に素晴らしいものでした。私はこれを見るまで、黒の優勢を信じて疑っていませんでしたが、試合後のMisha との検討では黒が明確に有利になるような筋を見つけることはできませんでした。

49... e4


a) 49... gxh5 50. gxf5 e4 51. Rec1 Kd5 52. Kh4! (52. Kf4!? exf3 53. Ne4 g5+ 54. Nxg5 f2 55. Rxf2 Ne6+ 56. fxe6 Rxc1 57. Kf5=/+) 52... exf3 53. Kxh5=
b) 49... Ne4+ 50. Nxe4+ fxe4 51. Rxc7 Rxf3+ 52. Kg2 Kxc7 53. Rxe4 Rf4 54. Rxe5 Rxg4+ 55. Kf3 gxh5 56. Rxh5 Ra4 57. Rg5 Rxa2 58. Rxg7+ Kb6 59. Ke3=
c) 49... Kd5 50. Rec1 Ne4+ 51. Kh4=


50. hxg6 f4+?!



私は勝ちを目指すためにエクスチェンジを捨てる決断をしましたが、ここはすでにドローに甘んじなければいけませんでした。50... fxg4 51. Kxg4 exf3 52. Nxf3= ならば、間違いなくイコールです。

51. Kxf4 Ne6+?


51... Rxf3+ 52. Nxf3 Ne6+ 53. Kxe4 Rxc2 ならば、これもまたドローでしょう。私のミスは、3つ目のポーンが落ちて白に強力なパスポーンができることを読み落としていたことでした。

52. Nxe6 Rxc2 53. Rxe4+-



これで黒はg7 を救うことができず、ゲームオーバーです。

53... Rf2 54. Nxg7 Rdxf3+ 55. Kg5 Rf8 56. Nf5+ Kd5 57. Ra4 Ra8 58. g7 Ke6 59. Rxa7 1-0


ドローを蹴って勝ちにいった結果とはいえ、この負けは苦しいものです。これもまた勉強ですね。

90 Japan (JPN) - 113 Thailand (THA) 2½:1½

44.1 CM Nanjo, Ryosuke 2344 - Kulpruethanon, Thanadon 2143 1 - 0
44.2 FM Kojima, Shinya 2373 - Kongsee, Uaychai 2251 0 - 1
44.3 FM Watanabe, Akira 2252 - Wiwatanadate, Poompong 2106 1 - 0
44.4 Mitsuya, Naoto 2024 - Thanarotrung, Ratchaphon 1951 ½ - ½


タイとのマッチ自体は、南條くんと暁さんが白で勝ち、三ツ矢さんが苦しいポジションを粘ってドローにしてくれたため、なんとか勝つことができました。自分だけ負けというのは何ともすっきりしない結果ですが、なにはともあれ、ライバルであるタイを下してほっと一息です。

104 Japan (JPN) - 107 Netherlands Antilles (AHO) 2 : 2

52.1 Hashimoto, Azumi 1712 - WFM Diaz, Maria M.A. 2029 ½ - ½
52.2 WCM Hoshino, Karen 1738 - Salim-Moussa, Arzy Zahia 0 1 - 0
52.3 Amamiya, Anna 0 - Mena, Ailen Oriana 1681 0 - 1
52.4 WCM Hasegawa, Emi 1698 - WCM Salim-Moussa, Seydi 1724 ½ - ½


女性陣はオランダ領アンティルと2-2 の引き分け。わずかにあった雨宮さんのWFM のチャンスは、また次回に持ち越しとなりました。

2回目の休憩日前日の今日は、男子がスコットランド、女子がなんらかの身体障害を持つプレーヤーのチーム、IPCA と対戦です。スコットランドといえば、6年前のドレスデンオリンピアードで、私がJonathan Rowson を相手に大逆転での勝利を収めましたが、今回は彼を欠き、ややパワーダウン。それでも、John Shaw、Colin McNab という2人のGM は当時と変わらず、代表メンバーを守っています。暁さんはJohn Shaw を相手にドローでIM ノーム獲得となる大一番、隣の席から期待しています。


日本ではJapan League が終わり、中村龍二さんが久々の国内大会の優勝を決めたようです。塩見さん、桑田くんとIVL メンバーで上位を占められたことも良かったですね。参加した皆さん、お疲れ様でした。

3 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

スコットランドの John K. Shaw は31歳ぐらいでIMとなり38歳ぐらいでGMになったということで中年の星ですね・・・▼o・~・o▼ 汗

http://en.wikipedia.org/wiki/John_K._Shaw

ピカチュウ さんのコメント...

大勝利おめでとうございます▼o・~・o▼

Shinya_Kojima さんのコメント...

ありがとうございます! o(^▽^)o

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