普段は昼食、夕食ともにアンダンテでいただいている私ですが、昨日は珍しく試合前に外で昼食をとることにしました。足を運んだのは、地球の歩き方にも載っている有名なハンガリー料理店、Menza です。こちらのレストランは、アンダンテと試合会場であるHotel Medosz の中間に位置しており、昨年5月、ハンガリーに到着した翌日早々にも行きましたが、昼食で利用するのは今回が初めてです。
Medosz には一週間、毎日異なる日替わりランチがあるようで、火曜日は野菜のスープとパプリカの肉詰でした。ピーマンの肉詰めよりも、ロールキャベツを思わせるようなメインディッシュは大変おいしく、久々のハンガリー料理に大満足です。試合前、1時間半ほどのゆったりとした昼食を友人と楽しみ、その後、3人目のGM 戦に向かいました。この日はGM Section で初めて、GM3人対FM3人という構図になり、私たちがIM ノームのチャンスを残すために重要な一戦となります。
夏の羽生さんとのトレーニングでは11. a4!? を指しましたが、このようにb4 に穴を作るアイディアはあまり好きではありません。そこでGrunfeld を徹底的に調べ直した結果、ボスニア・ヘルッツェゴビナのNo.1 GM Nikolic が得意とするこの変化を見つけました。アイディアは、一度ビショップをe4 に避けさせておくことで、a2-a3 を突くテンポを得て、b4 のマスを弱めずに黒のa5-a4 に対処できるようにします。
この手は過去の実戦では見つかりませんでした。dファイルにすぐにルークをまわそうとする従来のアイディアに比べ、さほど良いとは思えません。私は少し考え、スタンダードにcファイルから、黒のクイーンサイドにプレッシャーをかけることにました。
黒がe7-e6 と突いて白マスビショップの逃げ場をなくしたことを確認したうえで、Nc4-Nd2, e3-e4 を狙います。
ここは望めばドローですが、そんなことをしても何も面白くありません。序盤で十分な成功を収めている白は、さらなるアドバンテージ獲得を目指して戦います。
白マスビショップを交換しても、白はナイトでc5 を抑え、クイーンサイドにプレッシャーをかけることで大きな優勢を築けるでしょう。
ここは少し考えて、cファイルにルークを重ねる時間が十分にあると判断しました。c7 を攻撃することで、c6 のナイトを動きにくくすれば、黒は間違いなく指しにくくなるはずです。
黒は多少キングサイドをいじりますが、特に大きな脅威ではないでしょう。白はナイトを組み替えつつ、cファイルを開くことでじっくりとチャンスを窺います。
この手は白にc5 をがっちり抑えさせてしまうため、あまり良いとは思えません。多少弱くなるc4 のマスは、何も利用できないでしょう。しかし、代わりに黒が何を指すべきなのかと聞かれると、答えに詰まるポジションです。
私は黒からのh5-h4 のチャンスを完全に止めつつ、g5 のマスも抑えておくほうが無難だと思いました。しかし、コンピュータはとにかくセンターを主張して白が大きく優勢と評価します。 31. Nc5 Nb8 32. e4 c6 33. Ne5 Na6 34. Ncd3+/-
クイーンサイドとキングサイドの両方で手を作っておくのが効果的なプランだと考えましたが、やはりセンターからクイーンサイドよりで戦いを続けても良さそうです。33. e4 Rab8 34. Ne5! b5?! 35. Rd1!+- 難しい判断ですが、黒は黒マスを弱めすぎてしまうためにビショップでナイトを取ることができません。そうきちんと読めていれば、私も e5,c5 にナイトを配置したでしょう。
33手目で相手からドローオファーされ、それを蹴って勝負にいきますが、すぐに効果的なプランを見失いました。ナイトがg5 に跳んだ以上、白はキングサイドでのアタックを仕掛けるべきです。35. g4! hxg4 36. Qxg4 b6 37. Nd3! (37. Nce4 Nxe4 38. Qxe4 Nd6 39. Qg4 b5! 40. h5 f5=) 37... Nf5 38. Nf3! Bh6 39. h5 Bxe3 40. Rh1+/- このg3-g4 のアイディアは36手目を指した瞬間に見えましたが、最も効果的な35手目でのタイミングはすでに失ってしまっています。
指してドローオファーした直後に、g3-g4 というアイディアの存在に気づきました。しかし、すでに口にしたオファーを取り消すことはできません。相手はこれを受けてドロー成立です。準備通りのオープニングで大きなポジショナルアドバンテージを掴めたにもかかわらず、それをどう生かして良いか分からず、もったいないドローでした。前日のゲームを自分が優勢だと信じ、勝負にいって負けたことを少し意識していたかもしれません。
10/05 14:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Seres, L (GM, HUN, 2449) 1/2-1/2
10/06 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sean, W (FM, INA, 2360) 1-0
10/07 16:00 Gordon, S (GM, ENG, 2526) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1-0
10/08 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) 1/2-1/2
10/09 16:00 Westerberg, J (FM, SWE, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/10 Free Day
10/11 16:00 Seres, L (GM, HUN, 2449) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/12 16:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/13 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Gordon, S (GM, ENG, 2526)
10/14 16:00 Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/15 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Westerberg, J (FM, SWE, 2404)
FS 2013 October GM
この日の4R、インドネシアのSean は白をもってGordon に挑みました。ケチケメートで購入したTal の本からアイディアを学んだのか、Sicilian 相手に早めのピースサクリファイスを仕掛けましたが、Gordon はこれを冷静に受けきって勝利。(前日の誰かとは違いますw) 一方でSeres - Westerberg は怪しいオープニングでしたが、駒を捌いて異色ビショップになった時点で合意し、お互いに4連続ドローとなっています。ここまで連勝のGordon が貯金2、Sean が借金2で、他はイーブンで並ぶ展開です。
そして一夜明けた今日、ダブルラウンドロビン前半戦の最終試合を迎えます。相手はスウェーデンから来ている若武者、19歳のWesterberg です。彼は昨年のRilton Cup で1つ目のIM ノームを獲得しているようで、今回のGM Section 参加も、IM ノーム獲得が狙いでしょう。(もちろん、GM ノームが取れるに越したことはないのですが。) お互い、ノームのために勝ちに行くか、後半戦で勝負を仕掛けるか、作戦の立て方に悩む第5R となりそうです。
Medosz には一週間、毎日異なる日替わりランチがあるようで、火曜日は野菜のスープとパプリカの肉詰でした。ピーマンの肉詰めよりも、ロールキャベツを思わせるようなメインディッシュは大変おいしく、久々のハンガリー料理に大満足です。試合前、1時間半ほどのゆったりとした昼食を友人と楽しみ、その後、3人目のGM 戦に向かいました。この日はGM Section で初めて、GM3人対FM3人という構図になり、私たちがIM ノームのチャンスを残すために重要な一戦となります。
Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Fogarasi, T (GM, HUN, 2401)
First Saturday 2013 October GM (4)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 d5 5. d4 dxc4 6. Na3 Nc6 7. Nxc4 Be6 8. b3 Bd5 9. Bb2 O-O 10. O-O a5 11. Ne3!?
First Saturday 2013 October GM (4)
夏の羽生さんとのトレーニングでは11. a4!? を指しましたが、このようにb4 に穴を作るアイディアはあまり好きではありません。そこでGrunfeld を徹底的に調べ直した結果、ボスニア・ヘルッツェゴビナのNo.1 GM Nikolic が得意とするこの変化を見つけました。アイディアは、一度ビショップをe4 に避けさせておくことで、a2-a3 を突くテンポを得て、b4 のマスを弱めずに黒のa5-a4 に対処できるようにします。
11... Be4 12. a3 Re8N
この手は過去の実戦では見つかりませんでした。dファイルにすぐにルークをまわそうとする従来のアイディアに比べ、さほど良いとは思えません。私は少し考え、スタンダードにcファイルから、黒のクイーンサイドにプレッシャーをかけることにました。
13. Nc4 Bd5 14. Rc1 e6 15. e3 Qe7 16. Qc2!
黒がe7-e6 と突いて白マスビショップの逃げ場をなくしたことを確認したうえで、Nc4-Nd2, e3-e4 を狙います。
16... Be4 17. Qe2 Bd5 18. Qc2 Be4 19. Qe2 Bd5 20. Rfd1!
ここは望めばドローですが、そんなことをしても何も面白くありません。序盤で十分な成功を収めている白は、さらなるアドバンテージ獲得を目指して戦います。
20... Red8 21. Qc2 Be4 22. Qe2 Bd5 23. Ne1!?
白マスビショップを交換しても、白はナイトでc5 を抑え、クイーンサイドにプレッシャーをかけることで大きな優勢を築けるでしょう。
23... Bxg2 24. Kxg2+/= Ne4 25. Nd3 Nd6 26. Rc2!?
ここは少し考えて、cファイルにルークを重ねる時間が十分にあると判断しました。c7 を攻撃することで、c6 のナイトを動きにくくすれば、黒は間違いなく指しにくくなるはずです。
26... h5 27. Rdc1 Nf5 28. Nd2!
黒は多少キングサイドをいじりますが、特に大きな脅威ではないでしょう。白はナイトを組み替えつつ、cファイルを開くことでじっくりとチャンスを窺います。
28... Rdc8 29. Nf3 a4?!
この手は白にc5 をがっちり抑えさせてしまうため、あまり良いとは思えません。多少弱くなるc4 のマスは、何も利用できないでしょう。しかし、代わりに黒が何を指すべきなのかと聞かれると、答えに詰まるポジションです。
30. b4 Nd6 31. h4!?
私は黒からのh5-h4 のチャンスを完全に止めつつ、g5 のマスも抑えておくほうが無難だと思いました。しかし、コンピュータはとにかくセンターを主張して白が大きく優勢と評価します。 31. Nc5 Nb8 32. e4 c6 33. Ne5 Na6 34. Ncd3+/-
31... Na7 32. Nc5 Qe8 33. Ng5!?
クイーンサイドとキングサイドの両方で手を作っておくのが効果的なプランだと考えましたが、やはりセンターからクイーンサイドよりで戦いを続けても良さそうです。33. e4 Rab8 34. Ne5! b5?! 35. Rd1!+- 難しい判断ですが、黒は黒マスを弱めすぎてしまうためにビショップでナイトを取ることができません。そうきちんと読めていれば、私も e5,c5 にナイトを配置したでしょう。
33... Nab5 34. Qf3!? c6 35. Rd2?
33手目で相手からドローオファーされ、それを蹴って勝負にいきますが、すぐに効果的なプランを見失いました。ナイトがg5 に跳んだ以上、白はキングサイドでのアタックを仕掛けるべきです。35. g4! hxg4 36. Qxg4 b6 37. Nd3! (37. Nce4 Nxe4 38. Qxe4 Nd6 39. Qg4 b5! 40. h5 f5=) 37... Nf5 38. Nf3! Bh6 39. h5 Bxe3 40. Rh1+/- このg3-g4 のアイディアは36手目を指した瞬間に見えましたが、最も効果的な35手目でのタイミングはすでに失ってしまっています。
35... Ra7 36. Qd1 1/2-1/2
指してドローオファーした直後に、g3-g4 というアイディアの存在に気づきました。しかし、すでに口にしたオファーを取り消すことはできません。相手はこれを受けてドロー成立です。準備通りのオープニングで大きなポジショナルアドバンテージを掴めたにもかかわらず、それをどう生かして良いか分からず、もったいないドローでした。前日のゲームを自分が優勢だと信じ、勝負にいって負けたことを少し意識していたかもしれません。
10/05 14:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Seres, L (GM, HUN, 2449) 1/2-1/2
10/06 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sean, W (FM, INA, 2360) 1-0
10/07 16:00 Gordon, S (GM, ENG, 2526) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1-0
10/08 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) 1/2-1/2
10/09 16:00 Westerberg, J (FM, SWE, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/10 Free Day
10/11 16:00 Seres, L (GM, HUN, 2449) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/12 16:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/13 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Gordon, S (GM, ENG, 2526)
10/14 16:00 Fogarasi, T (GM, HUN, 2401) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/15 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Westerberg, J (FM, SWE, 2404)
FS 2013 October GM
この日の4R、インドネシアのSean は白をもってGordon に挑みました。ケチケメートで購入したTal の本からアイディアを学んだのか、Sicilian 相手に早めのピースサクリファイスを仕掛けましたが、Gordon はこれを冷静に受けきって勝利。(前日の誰かとは違いますw) 一方でSeres - Westerberg は怪しいオープニングでしたが、駒を捌いて異色ビショップになった時点で合意し、お互いに4連続ドローとなっています。ここまで連勝のGordon が貯金2、Sean が借金2で、他はイーブンで並ぶ展開です。
そして一夜明けた今日、ダブルラウンドロビン前半戦の最終試合を迎えます。相手はスウェーデンから来ている若武者、19歳のWesterberg です。彼は昨年のRilton Cup で1つ目のIM ノームを獲得しているようで、今回のGM Section 参加も、IM ノーム獲得が狙いでしょう。(もちろん、GM ノームが取れるに越したことはないのですが。) お互い、ノームのために勝ちに行くか、後半戦で勝負を仕掛けるか、作戦の立て方に悩む第5R となりそうです。
2 件のコメント:
Winning the game must be difficult.
Yes, my friend told me, that almost winning is different from victory.
I have saved half point from a completely lost position today.
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