週末の土日で開催された松本オープンは無事に2日間の日程を終えました。優勝は米満くんで、初日こそ0.5Pを落としたものの、2日目に私を含めて3人に勝ち、単独1位を決めました。私は直接対決の黒星が響き、残り4戦は勝ちましたが2位でのフィニッシュです。入賞者の皆さん、おめでとうございます!
米満くんとの試合はかなり有利になったはずでしたが、上手く活かす作戦が分からずに無駄にポーンを捨ててしまい、その後も落ち着けばドローのエンドゲームだったはずですが、自分から崩れてしまいました。今夜は4Rの木村くんとの試合をご紹介します。
Kimura, R - Kojima, S
2nd Matsumoto Open (4)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Bd6!?
この
12... Bd6は
12... Be7と並んで得意とする手ですが、ここ数年はあまり指していませんでした。
13. Kb1 Bxg3!?
13... Qc7からクイーンサイドにキャスリングするのが古いラインですが、ナイトとビショップを交換してゲームを難しくするのは、ジョージアのGM Levan Pantsulaiaが成功しているアイディアです。
14. fxg3 O-O 15. Rh4!? c5
Caro-Kann Classicalにおいてポピュラーなポーンブレイクですが、Pantsulaia自身も指していますが、ここは違う工夫もありました。
15... Re8! 16. g4 e5!ならば、黒はeファイルを開くのとe5-e4のポーンフォーク狙いで十分な反撃を作れます。g3のナイトを消したことで、Ng3-Nf5の跳びこみを気にしなくても良いのは盲点でした。
16. g4 Nh7 17. g5!
g4-g5の押し込みを警戒してナイトをパッシブなh7に退きましたが、お構いなしにポーンを突くのが良い判断です。g4にポーンが残るようであれば、h4のルークの位置があまり良くありません。
17... hxg5
2013年のGrischukのゲーム解説でナイトでポーンを取る手を見つけましたが、
17... Nxg5? 18. Nxg5 hxg5 19. Rhh1!+-が解説にない白の好手で、次のh5-h6押し込みが強烈です。
18. Rg4 f6 19. h6 Rf7 20. Rh1?!
この手は直接的すぎてあまり怖くないと感じたことを、試合後に木村くんにも伝えました。白はポーンを捨てている分、黒キングへのダイレクトなアタックを求めてしまいそうですが、ナイトがh7に退いていることでセンターへの利きが薄くなっていること、f7-f6を突かせたことでe6のポーンが弱いことなどを利用するアイディアを探すべきです。ここは
20. hxg7! Rxg7 21. Qc4!がe6とc5を攻める良い手です。hファイルからの攻撃のみでは単調になってしまうため、センターでの攻撃も絡めたほうが黒への揺さぶりとして効果的でした。
20... Ndf8! 21. Bxg5?
ナイトがe5のマスを一時的に得ますが、それだけでビショップを捨てる代償があるとは考えられません。ここは一度ポーン交換をしてhファイルを開く、クイーンをe2に退くなどの手でじっとチャンスを待つべきでした。
21... fxg5 22. Ne5 Rf5! 23. hxg7 Kxg7 24. Qh3 Qf6!-+
h6のマスを受けつつ、f1でのバックランクメイトの反撃を作れば、白は受けに1手使わざるをえないためアタックの勢いが削がれます。後は駒交換を進め、勝ちのエンドゲームを目指すのみです。
25. a3 Rd8 26. Nf3 cxd4 27. Rd1 Rf4 28. Rxf4 Qxf4 29. g4 e5 30. Rf1 d3 31. cxd3 Rxd3
最後に始動したa8のルークもアタックに参加でき、黒は気になる点をすべて解消できました。
32. Qg2 Nf6 33. Qe2 Qe4 34. Qxe4 Nxe4 35. Kc2 Re3 36. Nxe5 Nd6 37. Nd3 Ne6 38. Rf2 Ne4 39. Rg2 Nd4+ 0-1
最後はd3のナイトを落として勝ちです。米満くんに負けた直後で、この試合も途中は悪いと思っていたので、こうして勝つことができて一安心でした。今年3回目の松本遠征も楽しませてもらいました。また次回がいつになるか分かりませんが、次の機会も楽しみにしています。
中町通りにある田七屋は6月に見つけた八百屋さんで、自社で育てている野菜と果物、そしてそれらを使った食品を中心に販売しています。これまでジェラートばかりいただきてきましたが、今大会2日目は急激に寒くなったため、少し珍しいホットりんごジュースをいただきました。
今回の滞在では季節柄、ぶどうをたくさんいただきました。お土産に選んだのは世界で一番美味しい(!?)ナガノパープルと、シナノスマイルです。ぶどうの季節ももう少しで終わりですが、チャンスがあればいくつかの品種を集め、食べ比べもしてみたいですね。