2019/02/19

第11回七盤初心者のためのチェスレッスン


White to move

【日時】 2019年3月2日(土) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 世界チャンピオンの1手1手 Vol.1
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

3月のいっぷくでのチェスレッスンは、3/2(土) の開催です。今回は久々にゲームをいくつか、序盤から終盤まで全体を通して解説をしようと思います。世界チャンピオンの実戦から私がゲームを厳選し、皆さんのためになるアイディアをご紹介します。

2019/02/17

Chess in Paris Olympic?


数日前、2024年のパリオリンピックで、チェスを種目にしようという動きがあるというニュースが流れました。私は最初、2020年のハンティマンシスク、2022年のミンスクに続いて、2024年のチェスオリンピアードの開催地として、パリが候補に挙がったのだと勘違いしました。そうではなく、来年の東京に続いて開催が決まっているパリの夏季オリンピックにおいて、チェスが種目になるかもしれないという話ですね。

以前からチェスがオリンピックの種目になるのではないかという噂のようなものは時々耳にしましたが、今回は少し本腰を入れた動きのように感じます。私はフランスのチェスニュースで最初に見かけましたが、Chessgames、Chessbase News、さらには日本のニュースサイトでも取り上げられています。ヨーロッパは全体的にチェスが盛んですが、フランスはその中でも特にチェス人口も多く、プレーヤーの層も厚い国です。そんな開催国の背景も、種目に採用されるかどうかの要素になるでしょう。

The Olympic Dream
五輪=チェス連盟、24年大会での競技採用に向けて活動

私も2006年のドーハアジア大会の際に経験しましたが、チェスがオリンピックのようなスポーツ大会の種目になる、もしくはなるかもしれないという話題が出ると、「チェスはスポーツなのか?」「実はチェスは~」「チェスはオリンピアードがあるので、オリンピックの種目にしなくても良いのでは?」 など色々な意見が出ます。私としては、チェスの普及のためには(当たり前ですが)、現在チェスをしていない層に対して、どのようにチェスをアピールするかというのがポイントになってくると思っています。チェスオリンピアードも素晴らしいイベントだと確信していますが、やはりチェス単体のイベントではチェスファン以外に情報や魅力が届きにくいという難点があります。他のスポーツと一緒の大会、しかもオリンピックという世界最大のスポーツイベントでチェスが種目になることは、これからの日本でのチェス普及において、大きな追い風になるでしょう。ただし、2006年のアジア大会の際は期待されていたほどの影響は無かったので、そこは日本の新しいチェス団体であるNCS が、2024年に向けて日本でチェスをもっとプレーできる、楽しめる環境づくりをどのようにできるかということにかかってくると思います。もちろん、私もできることを少しずつしていきたいですね。もちろん、まだパリオリンピックで種目になることが決まったわけではないので、気が早い話ですが(笑)

気が早いついでに書いてしまいますと、もしパリオリンピックの種目になるのであれば、私は参加したいです。ただそれと同時に、5年以上も先の話であれば、もっと若い世代を育てていなければいけないという意識もあります。色々な期待を持ちながら、このパリオリンピックでのチェスの話題は、今後の動向を見守ろうと思います。


2019/02/06

Chess Events in February and March


今月、来月は都内で気になるイベントがいくつかあります。それぞれ分かる範囲でご紹介させていただきます。

2/23 NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Kids



Tokyo International Chess Club の存在は、年明け前から耳に入ってきていました。今月になってこのクラブが大会を開催すると連絡がありましたので、共有させていただきます。今月23日(土) の大会は18歳以下の子供向け大会で、U18とU10の2セクション分け、会場は江戸川区の葛西にある東葛西コミュニティ会館です。画像には出ていませんが、主催者に確認したところ、持ち時間は20分+1手5秒で6R だそうです。ジュニア選手、その保護者のかたは、エントリー要項などを画像を拡大からご確認ください。エントリー先のリンクを張っておきます。

NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Kids

3/2 第11回七盤初心者のためのチェスレッスン


私が清澄白河のどうぶつしょうぎCafe いっぷくで開催しているチェスレッスンは、遠征から戻った今月から再開しています。今月も常連のかたから初めてのかたまで、多くのボードゲームファンの皆さんにお越しいただき、ありがとうございました。来月は2日(土) 18時半からの開催です。また2週間前にはテーマや詳細を発表しますので、こちらもよろしくお願い致します。

3/2 NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Adults


上記のTokyo International Chess Club が主催する大人向けの大会は、いっぷくのレッスン日と同じ、月が替わった3/2(土) 開催予定です。先程まで3/3(日) と間違って記載していました。申し訳ありません。こちらは年齢区分のないオープン大会で、会場はジュニア大会と同じ、東葛西コミュニティ会館です。こちらも持ち時間、ラウンド数はジュニア大会と同じですので、上記の画像拡大からその他詳細をご確認のうえ、興味のあるかたはエントリーしてみてください。私も参加を検討中です。

NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Adults

3/10 Setagaya Chess League - Session 1


こちらはTokyo Chess Meet up が主催するイベントです。このクラブはこれまで外国人向けのチェスイベント情報を発信し、下北沢や渋谷で活動を続けてきており、私も数回参加したことがあります。そんなTokyo Chess Meet up の新イベントは、FIDE公式戦です。オーガナイザーのRafaelさんは、昨年のアービターセミナーで試験をパスしており、きちんとFIDE公式戦を行う資格を持っています。試合形式は60分+1手30秒を2試合、1日で行うとのこと。大会要項は英語と日本語で2つ用意されています。

Tokyo Chess Meet up
Setagaya Chess League - Session 1 (English Version)
世田谷チェスリーグ - 第1セッション 大会要項(日本語版)

日本のチェス団体が新しくなり、FIDE公式戦を増やす方針であることは先日のブログの記事でも触れましたが、こちらのイベントは団体主催の大会に先駆けてFIDE公式戦を行うということですので、どうなるかとても楽しみです。私は先日の記事の中で60分+1手30秒でもFIDE公式戦にできることを指摘しましたが、Rafaelさんはそんなことはとっくにご存知で、こうした企画を進めていたのですね(笑) レイティング2200を超える私は試合には参加できませんが、なるべく顔を出すようにしたいと思います。会場は玉川大区民センターで、最寄り駅は用賀駅です。

3/23-24 Tokyo Chess Championship 2019


日本の新チェス団体、National Chess Society of Japan(NCS) の主催する最初の大会です。昨年までのJCA主催の百傑戦同様、ゴールデンウィークに開催される全日本選手権の予選を兼ねており、東京予選とも呼ぶべき大会です。すでに先週末から地方予選はスタートしており、これから各地で誰が全日本の参加権利を獲得するか楽しみに、情報が届くのを待っています。こちらの大会の詳細はエントリー手続きも含め、以下のリンクから確認できます。

Tokyo Chess Championship 2019 大会要項

こちらはお馴染み、池上会館での開催ですね。この大会は私も参加予定で、私にとっては年内最初の国内大会となる可能性が高いです。また皆さんにお会いできることを楽しみにしています!

2019/02/04

How should be held FIDE tournaments in Japan


2月に入り、日本の新しいチェス組織は正式に活動スタートということになりましたが、昨日、団体名が日本チェス連盟 (JCF) から、National Chess Society of Japan (NSC)に変更されるというニュースが流れました。この経緯については確かな情報が届いておらず、今日私が話題にしたいことからもずれているので、今回は置いておきます。私が注目したいのは、今年から新団体が主催するFIDE公式大会についてです。

昨晩、友人のブログにこうした記事がアップされました。

発進、JCF改めNCS~それぞれの思いと私の思い


この中に、FIDE公式戦になる影響で昨年までの大会の日程や試合数が変更され、参加しづらくなるとの記述があります。これこそまさに私が気にしていたことでした。実際にゴールデンオープンがFIDE大会になった影響で、試合数が減ったことに不満の声があるとも、私の耳に届いています。

まず最初に説明しておきますと、私の基本スタンスとしては、FIDE公式戦が増えることには歓迎です。これまでは、日本のFIDE公式戦は年に2回、GWの全日本選手権と、お盆の時期のジャパンリーグのみでした。そのため、日本に住んでいてFIDEレイティングを獲得したいプレーヤーは、この2大会に参加するか海外大会に足を伸ばさなくてはいけません。もちろん海外大会に足を運ぶ理由はFIDEレイティング獲得だけではないですが、日本でもっとFIDE公式戦の機会が増えれば、手間とお金のかかる遠征の必要もなくなる(減る)でしょう。他にもFIDE公式戦を増やすメリットは以下のように考えています。

・試合への真剣度合が増し、個人、国としてもレベルが向上する
・FIDEレイティングを獲得するプレーヤーが増えると、海外の大会に興味を持ち、遠征にいく人が増える
(チェスの楽しみ方のバリエーションが増える)
・海外から日本の大会に興味をも持ち、参加するアマチュア、マスターが増える
・大会の規模が大きくなり、レベルも上がれば、結果として日本でのチェス普及につながる


これらはあくまで私の個人的な見解で、もちろん希望的観測も入っています。新団体の意見を代弁しているわけではなので、その点はご理解ください。2つ目は上記のこと(遠征の必要がなくなる、減る)と相反しているようにも見えますが、どちらの面もあると思っています。はっきりしておきたいのは、私のような海外のトーナメントを飛び交うようなプレーヤーたちだけにメリットのあることではない、と考えていることです。

逆にこれでまでの大会をFIDE公式戦にすることによるデメリットはどこにあるか、考えてみましょう。FIDE大会が増えると敷居が高くなるというコメントを見かけました。これまでの日本のFIDE大会は、参加費が高い全日本とジャパンリーグのみでした。そこまで高い参加費を払ってまで、FIDEレイティングを欲しいとは思わない、という人は多かったのは理解できます。だから、FIDE大会=敷居の高いもの、というイメージがついてるのかもしれませんが、そこから考えると参加費の安い他の大会もFIDE大会になるということは、逆にFIDE公式戦自体の敷居は低くなるはずです。FIDE のレイティングをプラスすることで、それが無かった時よりも参加者の真剣度合が増し、カジュアルにチェスを楽しみたい層が参加しづらくなるということであれば、なるほどと思います。これに対してのアイディアは、また後述します。

FIDE大会にするデメリットの一番は、上のブログでも触れられている通り、試合数が減ることや、試合数を減らさないようにしたために、大会日程が延びることでしょう。FIDE公式戦は90分+1手30秒以上の持ち時間がスタンダードで、これでは1日2試合のスケジュールが限界です。日本の大会は全日本やジャパンリーグのように長い持ち時間、長い日程の大会もありますが、他は50分+1手30秒、60分+1手30秒などの持ち時間で、1日3試合詰め込むこむものもあります。これらをFIDE公式戦にすると、1日2試合が限界ですので、昨年同様の日程にすると試合数を減らさざるをえなくなり、同じ試合数にすると日程を長くせざるえなくなります。それで大会に満足度が下がる、もしくは大会に参加しづらくなるのであれば、FIDE公式戦にされるほうが困る、迷惑であるという意見が出るのはもっともです。(ただ一方で、日本の持ち時間は海外に比べて短く、ゆっくり考えられないのが嫌だ。長い日程でも、持ち時間を長くして、1日の試合数を減らしてくれたほうが助かるという私の知り合いもいます。)

私が頭を悩ませたのもまさにそこで、FIDE大会は増えてほしい、でも試合数の減少や日程の延長は抑えたい。これらを上手くまとめる方法はないのかと、昨晩から考えていました。そこでFIDE のHandbook を読み直し、以下の項目を発見しました。

FIDE Rating Regulations effective from 1 July 2017


1.Rate of Play

1.1 For a game to be rated each player must have the following minimum periods in which to complete all the moves, assuming the game lasts 60 moves.
Where at least one of the players in the game has a rating 2200 or higher, each player must have a minimum of 120 minutes.
Where at least one of the players in the game has a rating 1600 or higher, each player must have a minimum of 90 minutes.
Where both of the players in the game are rated below 1600, each player must have a minimum of 60 minutes.

日本語で簡潔にまとめると、FIDE公式戦の持ち時間は60手で試合が終わると想定して、レイティング2200以上で1人120分(例えば、90分+1手30秒)、1600以上2200未満は1人90分(例えば、60分+1手30秒)、1600未満は1人60分(例えば、30分+1手30秒)、最低でも必要である、ということです。私がこれまで知識として持っていた、FIDE公式戦には90分+1手30秒以上の持ち時間が必要というのは誤りで、2200未満しかいない大会であれば、60分+1手30秒でOKです。これならば上手くスケジュールを作れば、ぎりぎり1日3試合できる可能性があります。


確認のために、FIDE 2200未満の大会をチェックしましたが、確かに90分の持ち時間が無くとも、Standard の公式戦として認められているものがありました。FIDE が推奨しているStandard の持ち時間は、40手90分+30分+初手から1手30秒で、多くの海外大会はこの持ち時間を採用しています。しかし、もっと短い60分+1手30秒や、30分+1手30秒でも、Standard の公式戦として認められるのであれば、日本のFIDE大会増加ももっとスムーズにいけるのではないかと思います。

もちろん、単に持ち時間を短くするだけでは、FIDE 2200以上の私たちが大会に参加できませんが、そこはクラスを2つに分けるという方法があります。つまり、誰でも参加できるオープンクラスは、例えば90分+1手30秒以上の持ち時間で、1日2試合を3日間で計6R。一方のFIDE 2200未満のプレーヤーのみが参加できるU2200クラスは、例えば60分+1手30秒の持ち時間で、1日目3試合、2日目2試合で計5R。この2つのクラスを同時並行で行えば、全てFIDE公式戦にできます。実際にレイティングでクラスを分け、持ち時間も変えて複数クラスを同時並行で進める海外大会はたくさんあります。これであれば、FIDE公式戦を増やしたいという希望と、試合数の減少や日程の延長を抑えたいという両方の希望が叶えられるのではないか、というのが私の意見です。Handbook の他の項を見ても、1日3試合は禁止されていませんし、1日の上限である1人12時間までに、60分+1手30秒の3試合は収まっています。

海外では90分+1手30秒以上の長い持ち時間がスタンダードですが、日本の社会人の休みの取りにくさは重々承知しているので、海外の形式をそのまま持ってくるよりも、より日本で受け入れられやすい形式はなんなのか、検討する必要があるでしょう。さらに言えば、日本のアクティブプレーヤーでFIDEレイティング2200を超えているのは、私、南條くん、馬場さん、青嶋くんのたった4人のみです。海外のスタンダートというだけでなく、私たちに合わせて持ち時間を長く、試合数を少なくしてそれに付き合ってもらうよりも、多くのプレーヤーに持ち時間とスケジュールの選択の余地があるほうが、柔軟で受け入れられやすいのではないかと思います。参加者のレベルに応じてクラスを選択できるのであれば、カジュアルに指したい層にとっても、敷居の高さは緩和されるのではないでしょうか。もちろんすぐこれを採用してほしいということではなく、すでに大会形式や日程が発表されているものもありますので、将来的にこうした案も検討してほしい、くらいに捉えていただければと思います。

新しい団体の発足が発表されて以降、私の耳にも様々な立場の人からの意見が届いていますが、このFIDE大会増加については、これまでの希望が通って嬉しいという賛成意見から、地方のプレーヤーが軽視されている、結局首都圏のプレーヤーや、FIDE戦を積極的にこなすトーナメントプレーヤーが優先されている、という反発まで色々とあるようです。全ての人に対して公平に物事を進めることは難しいと思いますが、新しいことを始めることで意見が飛び交っている状況なのであれば、上手くそれらを拾い上げて、なるべく多くの人にメリットがあり、納得できるプランを進めていけると良いですね。

2019/01/31

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R9


私は1日早く終わりましたが、本来の最終戦は真っ最中です。

最終戦は今大会で最もレイティングの高いGM Aczel との対戦です。彼とはIM時代から三回目の対戦で、三度私が黒です。前回はSlav Exchange で少しチャンスを作りましたが、最終的にはドローに終わりました。今回も同じオープニングになると思いましたが、予想を裏切る幕開けになります。

Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (9)

1. Nf3!? d5 2. g3 g6!?



1. d4 しかほとんどデータになかった彼がKing's Indian Attack を採用したことも意外ならば、私がGrunfeld のセットアップで応戦したことも彼には予想外だったでしょう。1. Nf3 d5 2. g3 Nc6 を11月に見つけて研究しましたが、最新の試合ではイマイチしっくりきていませんでした。そこで色々と調べ直し、この手順でGrunfeld をやることにします。

3. c4 c6 4 . Bg2 Bg7 5. d4 Nf6 6. Na3!?


白番でも調べて何試合か指しているだけに、白のラインはだいたい知っているつもりでしたが、これは完全に未知の手でした。c4 を黒から取らなければ、a3 のナイトは少し妙な位置にも見えますが、これをゲームにゆっくり参加させる方法が白にはあります。ボスニアヘルツェゴビナのGM Nikolic の得意ラインだと後で調べて知りました。

6... O-O 7. O-O Bf5 8. Bf4 Be4



c3 のナイトがいないため、e4 のマスのコントロールが弱くなっています。それを利用し、e4 にビショップを置くのはスタンダードなアイディアでしょう。黒としては、どこかでf3 のナイトがどいたタイミングで白マスビショップを交換するのは歓迎ですし、ビショップ同士の交換を避けようと、Bg2-Bh3 or Bg2-Bf1 と白が指そうものなら、f3 のナイトを取ってダブルポーンにしてしまいます。いずれにせよ、ピースを1枚交換することで局面を単純化し、後手の不利を少なくするのが黒の狙いです。

9. Rc1 Nbd7 10. Qd2 Re8


Qd2-Qb4 の際に、Qd8-Qb6 とぶつけられるよう、e7 のポーンを守るのが1つのアイディアですが、将来的なe7-e5 のブレイクも視野に入れています。

11. Rfd1 Nf8!?



ここはe7-e6 とポーンストラクチャーを決めてしまうのも1つの手だとは思いつつ、e6 のマスにナイトを組み替えるのも面白いアイディだと考えました。

12. b3 Ne6 13. Be5 Bf8!?


白のと黒はピースの配置が似ており、どちらもe5, e4 にビショップを置くことで、相手のフィアンケットビショップを消そうとしています。黒としてはピース交換は悪くないですが、a3 のナイトが一時的に浮いていることに着目し、f6 のナイトを取られてダブルポーンに指せてもかまわないと判断しました。白が次に何もしなければ、Nf6-Nd7 からダブルポーン無しで、ビショップナイトの交換ができ、当然これも黒としてはありがたい展開です。

14. Bh3 Ng7 15. cxd5?!



このタイミングでポーン交換をするのは少し妙に感じました。確かにd5 から黒ポーンが消えれば、Na3-Nc4 というナイトにとって絶好の動きができますが、黒にとっても好ましいポーンストラクチャーになることをAczel は失念しています。

15... Bxf3! 16. exf3 Nxd5


これで黒は白マスビショップを手放しても、白にダブルポーンと孤立ポーンを作り、d5 のアウトポストに強力なナイトを置くことができました。これは白がc4 のマスを得たことをよりも、トータルでは黒のメリットのほうが大きいと考えられるでしょう。

17. Nc4 e6



17... f6 からすぐにビショップを取りかえすことも考えましたが、私はf8-a3 のダイアゴナルを早めに開いて黒マスを利用しにいくことと、d5 の強力なナイトを残すプランを選択しました。

18. g4 Qh4 19. Bg2 Bb4 20. Qc2 Red8


Ng7-Nf5 を許さないよう、18. g4 と突いてくることは予想済みで、これによって弱くなったh4, f4 などの黒マスも黒は使うチャンスとなります。後はg7 のナイトがゲームに戻ってきて、ゆっくりd4 にプレッシャーをかけるような流れになれば、黒としては指しやすい局面になるでしょう。

21. Bg3 Qf6 22. h4 Nf4 23. Bf1



23. g5? Qf5 24. Qxf5 Ne2+! 25. Kf1 Nxg3+ 26. fxg3 Nxf5 は次にポーンを取り、黒が大きく優勢です。

23... h6 24. a3 Bf8 25. Qe4 g5


f4 にナイトを刺してg3 のビショップを封じ込め、かなり黒が指しやすくなったと感じました。d4 の弱点を抱える以上、白からは簡単にf4 のナイトを取って駒を捌きたくはないでしょう。

26. b4 Ne8 27. Bd3 Bg7 28. Ne5 Nxd3 29. Rxd3 Rd5?



ここは迷ったのですが、単純に29... gxh4 とポーンを取ってしまえば良かったと後悔しました。f3-f4, g4-g5 などの反撃を気にしましたが、hファイルを開かれるほうが色々と厄介でした。

30. hxg5 hxg5 31. Kg2


私はd4 への攻撃が十分強いと感じていましたが、e5 のナイトが攻守によく利いており、むしろhファイルからの反撃にどう対処するのか黒が悩む番になっています。

31... Nd6 32. Qe3 Rd8 33. f4 gxf4 34. Bxf4 Qe7 35. Rh1 f6 36. Qh3!



Aczel は全てを読み切っていたわけではないでしょうが、この手を残り2分の段階で指し、私の判断を待ちます。Qh3-Qh7、Ne5-Ng6 の流れは終わってしまうので、黒はこのピースサクリファイスのチャレンジを受け入れるしかありません。

36... fxe5 37. Bxe5 Bxe5


私は残り10分で、ここからの変化を読み切ることができませんでした。コンピュータの指摘は37... Qg5! 38. Qh7+ Kf7 39. Rh5 (39. Rf3+ Nf5!) 39... Rh8 40. Qxh8 Qxg4+ 41. Rg3 Qxg3+ 42. Kxg3 Bxh8 43. Rxh8 という変化ですが、これは途中が難しいうえ、最終局面もルークにbポーンを狙われそうで自信がありません。

38. dxe5 Nf7??



ビショップを交換する前から、ずっとルークを取るとどうなるのか読み続け、タイムアップになりそうなところでこの手を指してしまいました。この試合で一番反省すべき点はここで、ポーンの数をしっかり数えれば黒はピースを返しても、キングを守り切ればまだ戦えると判断できるはずでした。時間切迫とはいえ、ナイトを退く手とルークを取る手、どちらのダメな変化を読むことばかりに時間を使い、他の選択肢が完全に頭にありませんでした。

実際に試合後、Aczel からは38... Qg7 でナイトを返せばイコールなのではないかと指摘され、愕然としました。38... Qg7 39. Rxd5 cxd5 40. exd6 Rxd6 41. Re1 はコンピュータは白やや良し評価ですが、黒も注意深く指せばすぐ崩れるような状況ではないですし、十分に勝負できます。もう1つのルークを取るとどうなるかの変化も、Aczel は試合後、瞬時に示してくれました。38... Rxd3?? 39. Qh8+ Kf7 40. Rh7+ Kg6 41. Rg7+!! Qxg7 42. Qh5#


2つのルークとピースを捨ててメイトとは... パズルのようです。

39. Rf3!+- Qe8 40. Qh7+


本譜でも白の勝ちですが、ここは40. Rxf7! Kxf741. Qf3+! Kg8 42. Qf6 でメイトでした。

40... Kf8 41. Qg6 1-0



時間の増えた41手目、何を指してもピースを取りかえして白勝ちの局面で、Aczel は10分時間を使いました。途中上手く指して有利な局面を作ったものの、時間切迫での冷静さや有効な手の作り方などは、1Rと同じく2500GM の力強さを感じました。悔しい最終戦黒星ですが、大いに勉強させてもらいました。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528) 1/2-1/2
1/27 14:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218) 1-0
1/28 14:00 R7 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/29 14:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514) 1/2-1/2
1/30 14:00 R9 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0

+5 Horvath
+3 Aczel
+2 Xu, Varga
+1 Kantor,
+-0 Kojima, Krstulovic
-3 Audi
-5 Chan, Mahalakshmi

International Chess Festival in Leanyfalu GM Section


私も最後力尽きましたが、Xu Yi もVarga に敗れてノームチャンスが消えました。彼クラスの実力者でも、なかなか厳しいですね。今度会うときはまた互いにレベルアップしていたいものです。

さて、年末年始の一時帰国はあったものの、これでオリンピアードから続く遠征の全試合を終えました。最後の大会は最終戦で負けてレイティング+1止まりとやや不満ではありますが、11月12月の試合は序盤から崩れて20手前には決着がついている、トータルで負け越してレイティング大幅ダウンと散々な大会もあったので、一度休憩を入れた成果はあったと思っています。今回の9試合では黒でのGM戦も粘り強く指せましたし、結果こそイーブンでも、オリンピアードや10月のモンテネグロのような絶好調時に近いプレーができたと思っています。今後はこのパフォーマンスのプレーをいつでもできるようにし、反省点をまとめて改善していければ、また次のステップに進めるでしょう。次の海外大会がどこになるかは未定ですが、まずは帰国して日本のチェスファンの皆さんと交流し、チェスのレッスンの日常にも戻りたいと思います。長い遠征、たくさんの応援をありがとうございました。

2019/01/30

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R8


GMタイトルを獲得するためにはレイティングを2500に乗せたうえ、GMノームを3つ集める必要があります。私はこの遠征、どちらにもまだ手が届かない状況ですが、今大会に参加しているXu Yi、Kantor の2人のIMは、ノームのみ足りていません。そんなKantor とはハンガリーで1か月ぶり、3回目の対戦で、再び私が白です。

Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (8)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 dxc4 8. Bxc4 b5 9. Be2 O-O 10. O-O Bb7 11. Rd1



ここで前回とは手を変えます。11. e4 e5 12. dxe5 Nxe5 13. Nd4!? は革新的なラインでしたが、今は黒の安全策が見つかっており、それを蹴って白が勝負にいった先日のジブラルタルのIturrizaga - Gukesh は黒が勝利を収めています。

11... Qc7 12. Bd2!?


大人しく見える手ですが、12... a6 13. b4! からc5 のマスを抑え、b7 のビショップを使えないままにするという狙いがあります。これを嫌う黒は別のアクションを考えなければいけません。

12... b4 13. Na4 c5 14. dxc5 a5 15. Rac1!?



Correspondence Chess のゲームでは棋譜が出てきますが、それ以外では実戦で初めて指される手だと思います。
15. Bc3!? Bxh2+ 16. Nxh2 bxc3 17. Qxc3 Ne4 18. Qc2 Rac8 19. Rac1 Nxf2!? 20. Kxf2 Qxh2 21. Rxd7 Bxg2 は怪しいラインで、ピースを貰ってもf-hポーンの全てが崩壊するのは好ましくなく、この変化は今回指さないことを決めました。

15... Rfc8


前回の対戦の際にKantor からは、15... Rac8 16. a3 Nxc5 17. Nxc5 Qxc5 18. Qxc5 Rxc5 19. Rxc5 Bxc5 20. axb4 axb4 というラインがあることを教わりました。これに対して、21. Ne5! からナイトをd3 に退き、b4 のポーンを狙うのが私の構想でした。別のルークがc8 に回る本譜では、全く違う流れになります。

16. Bc3!? Nxc5!


こちらの手はさほど深く研究していませんでしたが、Kantor は長考の末に黒が大丈夫だと読み切りました。16... Bxh2+ 17. Nxh2 bxc3 18. Qxc3 Ne4 19. Qe1! ならばc5 のポーンは落ちず、Na4-Nb6 の跳び込みも厄介な黒は、もう少し課題が残りそうです。

17. Bxf6 gxf6 1/2-1/2



17... Nxa4 18. Qd2 Bc5 はあまり好きな形ではないと言うKantor はビショップを取ってドローオファーしてきました。一番のポイントは白がd6 のビショップを取って有利になるかどうかですが、これがなりません。18. Rxd6? Qxd6 19. Nxc5 Bxf3!(この交換を入れないと、Nf3-Ne1-Nd3 があります。) 20. Bxf3 Ra7 21. Qd3 Qxd3! 22. Nxd3 Rxc1+ 23. Nxc1 Rc7 24. Nd3 Rc2 25. Kf1 a4!-/+ これで黒はa4-a3 からa2 のポーンを落とし、2ピースvs. ルークにもかかわらず有利になります。さらに検討では、白が続けるとすれば18. Nxc5 Qxc5 (18... Bxc5?! 19. Qc4!) ですが、これならば黒は問題なくイコールだろうと結論づけています。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528) 1/2-1/2
1/27 14:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218) 1-0
1/28 14:00 R7 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/29 14:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514) 1/2-1/2
1/30 14:00 R9 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)

+4 Horvath
+3 Xu
+2 Aczel
+1 Kantor, Varga, Kojima
-1 Krstulovic
-3 Audi
-4 Chan, Mahalakshmi

International Chess Festival in Leanyfalu GM Section


この日はXu Yi がノームに望みを繋げる勝ちで3つ勝ち越しに星を伸ばしました。彼の残り試合は、Varga に黒と、Krstulovic に白です。私は今日の最終戦、Aczel との試合を乗り切れば帰国です。

2019/01/29

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R7


今大会唯一GMノームチャンスを残しているXu Yi(右) も、残り全勝が条件です。

ハンガリーのKrystulovic とは11月のFirst Saturday でも対戦し、そのときは白番で勝っています。一度2300台に乗ってから2200台に落ち、レイティングが安定しない時期も長かったようですが、今回のプレーの様子を見る限りは2300台後半から2400にに向けて、今後順調に伸びていきそうに思えます。

Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (7)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 a6 5. e3 Bf5



Varga戦に続き、今大会2試合目のこのラインです。Krstulovic はSlav Exchange がメインレパートリーでしたので、このチョイスは少し驚きました。

6. Ne5 Nbd7 7. Qb3 Qc7 8. cxd5


昨年夏の新潟でのXuとの試合では、8. Nxd7 Qxd7 9. Na4 という変化を指され、上手く対応できずに敗れました。これには9... Qc7! 10. Nb6 Rd8 11. cxd5 Nxd5 12. Nxd5 cxd5 13. Bd2 e6 (13... Rd6!?) と指せば問題ないでしょう。

8... Nxe5 9. dxe5 Nxd5 10. Nxd5 cxd5 11. Bd2 e6



昨年夏までは2つのラインのどちらを指すか悩んでいましたが、オリンピアード以降、より安全そうな11... e6 のラインを選ぶことにしていました。試合後にKrstulovic は、11... Qxe5 の変化のみ調べてきて、本譜は調査が足りていなかったと伝えてくれました。黒からも勝負にいくならば、センターポーンを取り、代わりにb7 を取らせる変化は面白そうです。

12. Rc1 Qd7 13. Be2 Be7 14. Ba5


白は2つのナイトを交換したうえで、何かしらのチャンスを作るのであればこの変化一本しかないでしょう。14. 0-0 0-0 は次にルークをcファイルでぶつけ、黒はなんら問題ありません。

14... Rc8 15. Rxc8+ Qxc8 16. Kd2 O-O 17. Rc1 Qa8! 18. Bb4 1/2-1/2



Krstulovic は少し悩んだ末にビショップの交換と、ドローを持ちかけました。この後続けるとしても、18... Bxb4+ 19. Qxb4 Rc8 20. Rc5 Rxc5 21. Qxc5 Qd8 で、クイーンだけが残るドローのエンドゲームにしかならないでしょう。互いに安全なラインを選んでこの日は終わりです。ちなみに私がメインで研究していたより複雑な変化は、18. Qc3!? とcファイルを完全に抑えてしまう手で、これのほうが黒はどう手を待つか難しいところです。それでも、f7-f6d5-d4 のブレイクをタイミング良く狙い、勝負にいけそうです。これはまた別の機会にどこかで指せることを楽しみにしています。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528) 1/2-1/2
1/27 14:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218) 1-0
1/28 14:00 R7 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/29 14:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R9 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)

+4 Horvath
+2 Aczel, Xu
+1 Kantor, Varga, Kojima
+-0 Krstulovic
-3 Chan
-4 Aud, Mahalakshmi

International Chess Festival in Leanyfalu GM Section


この日はKantor-Horvath も早いドローで、わずかにあったKantor のノームチャンスは消滅しました。Xu-Audi、Aczel-Mahalakshmi、Varga-Chan はいずれも白を持った格上が勝ち、勝ち越し勢と負け越し勢の差がまた広がっています。


この日は初めて試合が早く終わったので、バスに乗って6日ぶりのセンテンドレへ。移動が大変なあいにくの雪でしたが、代わりに写真は綺麗に撮ることができました。こちらはセンテンドレの町の中心にある、聖ヤーノシュ・プレーバニア教会です。


こちらも雪に染まるドナウです。10km ほど下ればブダペストに到達します。


こちらは依然見かけてから、必ず寄ろうと思っていたチョコレート専門店です。この日はドリンクだけにしましたが、またセンテンドレに足を運ぶ時間を作れたら、ショーケースの中のチョコも何種類か選んで味わってみたいですね。


こちらのお土産屋さんには、ブダペストでもなかなかお目にかかれない数のチェスセットが置いてありました。そして店には、アーノルド・シュワルツェネッガーがチェスセットを買いにきた際の写真が飾られていました。昔映画で見たときの記憶から、こんな顔だったかなと半信半疑で話を聞いていましたが、今調べてみたら確かに彼でした!

2019/01/28

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R6


本来であれば、27日の日曜日は試合のない休憩日のはずでした。しかし、インドのMahalakshmi が早めにセルビアのトーナメントに移動するということで、彼女と予定していた31日の最終戦をこの日に変更することにしました。試合が無ければセンテンドレの観光にいこうと思っていましたが、よく考えてみれば日曜日は閉まってる店も多そうなので、試合を移すこと自体は私も歓迎でした。でもスケジュールは分かっているわけですし、もっと早く言ってほしいですよね(笑)

Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 b6 4. g3 Bb7 5. Bg2 Bb4 6. Qc2 O-O 7. a3 Bxc3 8. Qxc3 c5 9. b4!



彼女はNimzo-Indian、Bogo-Indian プレーヤーで、多くの試合でBf8-Bb4 を指していたので、このAnti-Nimzo-Indian もありえると思っていました。先月のNikcevic戦では、9. 0-0 を指してしまったせいで、黒にテンポロスなくd7-d5 を許してしまったので、そこを改善してゲームを進めます。

9... d6 10. Bb2 Nbd7 11. O-O Rc8 12. d3 d5 13. b5!


ここも先月のDrasko戦と手を変え、早めにbファイルを閉じてa3-a4-a5 を目指します。

13... d4 14. Qd2 Qc7 15. a4 a6 16. bxa6!?



ここは白のプランは2つあると思いますが、私はセンターではなくクイーンサイドでアクションを起こすことにしました。もう1つの作戦はe2-e3 からセンターを開くことですが、どこまで効果的か自信がなく、エンドゲームを見据えて指すことにします。

16... Bxa6 17. Rfb1 Bb7 18. a5 Ra8


私がイメージしたのは、18... bxa5 19. Qxa5 Qxa5 20. Rxa5 Ra8 21. Rba1 Rxa5 22. Rxa5 Ra8 23. Rxa8+ Bxa8 24. Ba3+/= この形で、少し違う手順で本譜もこれになります。

19. axb6 Qxb6 20. Qc2 Qc7 21. Bc1 Rxa1 22. Rxa1 Ra8 23. Rxa8+ Bxa8 24. Qa4 Bc6 25. Qa6 Qb7



ここでクイーンを交換するのは、上記の変化を受け入れ、ダブルビショップvs ナイトの勝負になります。

26. Qxb7 Bxb7 27. Ba3!+/=


私が18手目でイメージした形になりました。黒はc5 が明確なターゲットになっており、次にNf3-Nd2-Nb3 とされると守る方法がありません。このポーンを落とさないようにするには、白マスビショップをあきらめるしかないでしょう。

27... Bxf3 28. Bxf3 Kf8 29. g4!



このダブルビショップvs. ナイトが白で勝てるのかは定かではありませんでしたが、c5 をターゲットにして黒の駒の動きを制限し、キングサイドでもブレイクを狙えば、十分にチャンスはあるだろうと考えていました。

29... h6 30. h4 Ke7 31. Kg2


ここは焦らずにいくことにします。31. g5 hxg5 32. hxg5 Nh7 33. Bc6 Nxg5 34. Bxd7 Kxd7 35. Bxc5 e5 としてパスポーンを作っても、ダブルビショップを放棄しては簡単ではないでしょう。

31... Kd6 32. Bc1! Nh7 33. Kg3 e5?!



黒がどのように待つかは難しいところですが、これで白マスを弱めてしまうのは白の手助けになってしまうように思えます。

34. Bd5! f6 35. f4! exf4+ 36. Kxf4!


最初はビショップでとるつもりでしたが、ビショップは後でもf4 に上がるチャンスがあるため、先にキングを前進させ、キングサイドのポーンを狙うことにします。

36... g5+ 37. Kf5 gxh4 38. Bxh6 Ke7 39. Kg6 Ndf8+ 40. Kh5 h3 41. Kh4 h2?!



ここは、41... Ng5 42. Bxg5 fxg5+ 43. Kxg5 Ne6+ 44. Kf5 h2 のほうが、白は黒マスビショップを諦めなくてはいけないため、勝つのが難しくなると思っていました。

42. Kh3 Ng6 43. Kxh2 Ng5 44. Kg3


白はポーンアップしましたが、黒マスビショップが閉じ込められています。ビショップとナイトを交換するとしても、なるべく黒マスビショップを残したいため、h6 のビショップをプレーに戻すべくアイディアを練ります。

44... Kd6 45. Bg7 Ke7 46. Bb7 Kf7 47. Bh6 Ke6 48. Bc8+ Ke5 49. Bg7 Ne6



49... Ne7 50. Bd7 Ng6 51. Bf5 Ne7 52. Bf8 Nxf5+ 53. gxf5 Kxf5 54. Bxc5 も白は新たなパスポーンができるので勝てるでしょう。本譜でも白マスビショップとナイトを交換して、白に十分勝ちのチャンスができます。

50. Bxe6 Kxe6 51. Kf3 Ne5+ 52. Kf4 Nd7 53. Ke4 Nb6 54. Bh6 Na4 55. Bf8


ここから私は勝ちのプランがわからず、長い間迷走します。c5 かf6 のどちらかはいずれ落とせると思っていましたが、予想よりも強固なディフェンスにあい、なかなか上手くいきません。ここは55. e3 からポーンを交換し、c5 を低い位置からビショップで攻撃するのがシンプルでした。

55... Nc3+ 56. Kf3 Na4 57. Kf4 Kf7 58. Bd6 Ke6 59. Bc7 Nc3 60. Kf3 Na4 61. Ba5 Ke5 62. Bd8 Ke6 63. Bc7 Nc3 64. Ba5 Nd1 65. Bd2 Nb2 66. Bh6 Na4 67. Bg7 Kf7 68. Bh6 Ke6 69. Bc1 Nc3 70. Ba3 Na4 71. Kf4 Kf7 72. Kf5 Ke7 73. Ke4 Ke6 74. Kf4



私もビショップを右往左往させている間に時間が無くなり、よっぽどここで74. Bxc5 とビショップを捨てようかと思いました。しかし、3ポーンピースで確実に勝てるのか自信が無く、もっと時間をかけてチャンスを探すことにします。

74... Kf7 75. Bc1 Ke6 76. Bd2 Nc3 77. e3!


20手前にできたeポーン突きをようやく実行します。私がイメージしていたのは、Nc3-Nb1 の反撃のない、ビショップがa5 にいる形でのeポーン突きでしたが、単なる交換で十分に効果的だとここにきてようやく気付きます。

78. Nb1 78. Ba5 dxe3 79. Kxe3 Ke5 80. Bb6 Kd6 81. Kf4 Nc3 82. Kf5 Na4 83. Bd8 Nb2 84. Kxf6 Nxd3 85. g5 Nf4 86. Be7+!



このチェックが勝つために重要です。86. g6? Nxg6 87. Kxg6 Ke5 88. Bf6+ Ke4= ならばナイトを取ってもドローになってしまいます。

86... Kc6 87. g6 Kd7 88. Bxc5 Kc6 89. Be3 Nh5+ 90. Kf7


黒はナイトを捨てるしかなく、ようやくゴールが見えてきました。

90... Kd6 91. g7 Nxg7 92. Kxg7 Kc6 93. Kf6 Kc7 94. Ke6 Kc6 95. Bd4 Kc7 96. Kd5 Kd7 97. c5 Kc7 98. Be5+ Kc8 99. Kc6 Kd8 100. Kb7 1-0



この長い試合を制し、今大会2勝目です。思えば勝ち越し状態になるのも久々ですね。残り3試合もしっかり指して、さらに星を伸ばしたいと思います。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528) 1/2-1/2
1/27 14:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218) 1-0
1/28 14:00 R7 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/29 14:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R9 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)

+4 Horvath
+1 Aczel, Xu, Kantor, Kojima
+-0 Varga, Krstulovic
-2 Chan
-3 Aud, Mahalakshmi

International Chess Festival in Leányfalu GM Section


GMセクションでこの日試合をしたのは私たちだけで、他のプレーヤーに変動はありません。私は消化数が1試合多いものの、他の2500台たちと並んで1つ勝ち越しグループに入りました。Horvath に追いつくのは難しいとしても、このグループから誰が抜け出すか、残りの展開はまだ分かりません。


勝った日はデザートも付けます。クリームに埋まって見えない中身は、3つのシュークリームでした。(ダブルクリーム!) 月曜日の今日は、いつもお世話になっているイタリアンが定休日なので、試合後の夕飯をどうするかが大きな課題です。

2019/01/27

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R5


待ち望んだXu Yi との7年ぶりの対戦です。ここまで結果は1敗2ドローですが、互いにレイティングが2100、2200台だった頃の話です。2年前のジャパンリーグで再会し、彼もGM ノームを目指して転戦していることを知ってから、どこかで当たる予感はしていました。

Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (5)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 a6!?



Xu Yi は前日のHorvath戦で惜しくも勝ちを逃し、GMノーム獲得に余裕がなくなってきました。私との試合がドローでも十分であるならば、メインレパートリーであるRagozin を使うつもりだったと試合後に教えてくれました。実際には、ここは黒でも勝ちを目指すために、a6 QGD です。

4. cxd5 exd5 5. Nc3 c6!?


先月モンテネグロで2試合指した5... Nf6 の変化に比べ、ここで黒はもう1手待って白の黒マスビショップの位置を見極めます。f4 とg5 どちらにビショップがきても、それぞれd6、e7 に黒マスビショップを出して交換を狙うでしょう。そこで私もクイーンを動かして1手待ちます。

6. Qc2!? Bd6 7. Bg5 Ne7 8. e3



私は白を持ちながら、Caro-Kann Exchange の黒番での指し方をイメージしていました。(1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. Bd3 Nc6 5. c3 Qc7 6. Ne2 Bg4) この変化だと思えば、8. Bxe7!? Bxe7 (8... Qxe7? 9. Nxd5!) 9. e3 Bg4 も少しは考えましたが、白がアドバンテージを求める指し方ではないでしょう。

8... f6 9. Bh4 Bf5 10. Bd3


ポーンストラクチャーの観点から、白は白マスビショップを取っておきたい気持ちもありましたが、ここでクイーンが動き直すのも癪だと感じました。両ビショップを捌いたうえで、どんなナイトのマヌーバリング勝負ができるか試してみることにします。

10... Bxd3 11. Qxd3 Nd7 12. Bg3 Nb6 13. Bxd6 Qxd6 14. O-O O-O 15. Rfc1 Qe6 16. Nd2



白のナイトが目指すのは当然c5 のマスです。白マスビショップが残っている状況ではありますが、このポーンストラクチャーでの指し方は何度も経験があります。c5 にナイトを刺したうえで、マイノリティーアタックができれば白は理想的でしょう。

16... Nf5 17. Nb3 Nd6!


対する黒はd6 がナイトのベストスクエアです。b5 を抑えることで、将来的な白のマイノリティーアタック、b2-b4-b5 を牽制しつつ、c4, e4 に跳びこむチャンスを作っておきます。特にc4 への跳び込みの意味合いは強く、白が迂闊にb2-b4 を突いてc4 をアウトポストにしてしまうと、Nd6-Nc4, b7-b5 から黒はナイトをc4 に刺すことができます。こうした展開を考えると、やはり白マスビショップをキープしておいたほうが、白は指しやすかったと思えます。

18. Nc5 Qf7 19. Nb1!?



もう1つのナイトをどうするか悩み、c4, e4 をカバーできるd2 に組み直すことにしました。Nd2-Nb3 からc5 に向かうことも、Nd2-Nf3(or Nf1) としてキングの守りに使うことも考えられます。

19... Rfe8 20. Nd2 Rad8 21. Rc2 Nd7 22. Nxd7


ここは思い切って、22. Rac1 Nxc5 23. dxc5!? Nb5 24. Nb3 Nc7 25. Nd4= とポーンストラクチャーを変える選択肢もありました。

22... Rxd7 23. Rac1 h5!



このような状況で黒が手を作るのはキングサイドだと知っていましたが、実際にどれくらいの脅威になるかは未体験でした。黒はd6 のナイトの力でクイーンサイドからのマイノリティーアタックを止めているのであれば、遠慮なくキングサイドの攻めを考えることができます。

24. a4 h4 25. h3 g5 26. Re1


ここは少し押されていると感じ、cファイルにこだわらずにプレーすることにします。e3-e4 の実現は簡単ではありませんが、なにかしら反撃を見せておかなければ潰されてしまいます。

26... Rde7



26... Qh5 27. Qe2 Qxe2 28. Rxe2 Rg7=/+ で黒が少し良いとコンピュータは評価しますが、クイーンを消して十分なアタックを作れるか、人間の感覚では疑問にも思えます。

27. Nf1 Kg7 28. Nh2 Qe6 29. Ng4!


黒のd6 のナイトに対抗すべく、見つけたマスがこのg4 です。f6-f5 ならば当然e5 に跳び込みますし、もっと早くg4 を抑えようとf6-f5 を突いても、Nh2-Nf3-Ne5 というルートがありました。g4 のマスに到達したナイトは、黒のキングサイドのポーンを伸びづらくし、ディフェンスに大いに役立っています。

29... Ne4



私は試合後、f7 にナイトを退き、f6-f5 の準備をするのはどうかとXu Yi に問いかけました。これには29... Nf7 30. f3 f5 31. Nf2 Nd6 とするつもりでした。私は少し押し込まれてて悪いかとも思っていましたが、黒もe3-e4 を止めるためにこれ以上ピースのポジションを改善しづらく、ドローになるのではないかと意見を貰っています。

30. f3 Ng3


g3 を弱めるのは少し変にも思えますが、このナイトの跳び込みを私はさほど気にしていませんでした。30... Nd6 と退き、マイノリティーアタックに備えられた場合、またどうするかがより私の課題でした。

31. b4!


d6 からナイトが離れたことで、b4-b5 のマイノリティーアタックのチャンスがようやく生まれました。黒はこれを止めるため、e3 のアタックに集中することができません。

31... Qd6 32. Rb2 Ra8 33. Rc1 Rc7 34. Qb1 Re8 35. Qd3 Ra8 36. Qb1 Re8 37. Qd3 1/2-1/2



白が勝ちを目指すのであれば、b4-b5 にこだわるべきですが、aファイルが開いて黒に反撃のチャンスを与える展開になれば、g3 に刺さったナイトや黒マスの弱さにより、リスクが高いと判断しました。ここでXu Yi のオファーを受けて、ゲームをドローで終えています。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528) 1/2-1/2
1/27 14:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218)
1/28 14:00 R7 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/29 14:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R9 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)

+4 Horvath
+1 Aczel, Xu, Kantor
+-0 Varga, Kojima, Krstulovic
-2 Chan, Mahalakshmi
-3 Audi

International Chess Festival in Leányfalu GM Section


Horvath は好調だったKrstulovic を破り、この大会4勝目です。他の2500台3人がまだ1つ勝ち越し止まりであることを考えれば、完全に独走状態と言えます。そして私は休憩日を取りやめ、最終戦の予定だったMahalakshmi との試合を今日行うことにしました。レイティング最下位の彼女に勝って、今度こそ勝ち越し状態に入りたいですね。

2019/01/26

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R4


4R はマレーシアのジュニア、Chan Kim Yew との初対戦です。海外遠征も精力的に行っており、年末年始はスウェーデンのRilton Cup で大きくレイティングを稼いでいるようです。この大会はGM 2人を相手に黒星が先行していますが、ゲームを見る限りはしっかりとした指し筋を感じます。

Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (4)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. d4 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 a6 7. Rc1 Nh5!?



今回の遠征で、Slav Exchange はGM戦を含めて結果は悪くありません。この試合では初めて6... a6 の変化から、ナイトビショップの交換を狙うアイディアを使ってみます。

8. Bd2 Nf6 9. Bf4 Nh5 10. Bd2 e6


ここで3回同一局面のドローにしても仕方がないので、手を変えて勝負します。

11. e3 Nf6 12. Bd3 Bd6 13. O-O O-O 14. e4 dxe4 15. Nxe4 Be7



白がアクションを起こすには、遅かれ早かれe3-e4 くらいしかなさそうです。これによりSlav Exchange のドローになりやすい対称のポーンストラクチャーから、IQP へと変化します。事前に調べた試合では、15... Nd5 と指す手もありましたが、慣れている形でビショップを退き、d5 にはクイーンを利かせておくことにします。

16. Qe2!?


Chan はこの局面を初めて見るようでしたが、良い手を選んだと思います。IQP では弱いd4 を白が早々に見捨て、dファイルやc3-g7 のダイアゴナルを開いて反撃するアイディアがあります。ここでも黒はd4 を取ると、Bd2-Bc3 がきつく、ポーンは取れないでしょう。16. Nxf6+ Bxf6 17. Bc3 Ne7 18. Ne5 Nd5 19. Bd2 a5 という手順を調べてきていましたが、この流れよりも本譜のほうが攻撃的です。

16... Bd7 17. Rfd1 Qb6



IQP ポジションを指すのは久しぶりですが、Caro-Kann Panov の一変化で、似たポジションを持った記憶がありました。(1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nc3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nf3 Nc6 7. Bb5 e6 8. 0-0 Be7 9. d4 0-0) この形でも黒はクイーンをb6 に配置するのが良く、d1 にきたルークをかわしつつ、b2, d4 にプレッシャーをかけ、d8 はルークのために空けておきます。

18. Ne5 Rad8


本当であれば、センターにはf8 のルークを回し、Bd7-Be8 とつなげたいところです。しかし、18... Rfd8? 19. Nxf6+ Bxf6 20. Bxh7+! Kxh7 21. Qh5+ Kg8 22. Qxf7+ Kh8 23. Rc3+- が決まってしまうため、この局面では本譜のようにa8 のルークをまわすしかありません。

19. Nc4 Qa7 20. Be3 Nxd4!?



ここでどちらのナイトの手を指すかは、ゲームの大きな分かれ目でした。私は直感ではd4-d5 を止める20... Nd5 だと思いましたが、しっかりと計算し直して(計算し直したつもりで)、本譜のようにセンターポーンを取ってしまうことができるのではないかと、考えをあらためました。e2 のクイーンはあまり良い避け場が無く、次にBd7-Bc6 からd8 のルークをナイトのサポートに使えば、一時的なピンもさほど怖くないだろうというのが私のアイディアです。

21. Nxf6+ Bxf6 22. Bxh7+!


しかし、私はこの手を見落としていました。キングサイドへのアタックとしては一番に警戒していたはずでしたが、センターポーンを落とし、それを取りかえす狙いでこのアイディアが成立することは盲点でした。20... Nxd4 は成立しますし、悪い手ではないのですが、本譜の流れに一直線に入り、ドロー模様の局面になります。そのため、負けるリスクを背負ってでも、じっくり勝負にいくつもりであれば、もう1つのナイトの手である20... Nd5 を選ぶべきでした。

22... Kxh7 23. Bxd4 Bxd4 24. Qe4+ Kg8 25. Qxd4 Qxd4 26. Rxd4 Bc6



黒はピースを捌いたのち、ビショップを持つエンドゲームになりますが、思ったよりもチャンスは作りづらい状況です。

27. Rcd1 Rxd4 28. Rxd4 b5


28... Bd5 29. Nb6! Bxa2 30. Rd7 Rb8 31. Rc7 と進めても、黒が勝てるかは疑問です。

29. Ne3 Rc8 30. f3 Kf8 31. Kf2 Ke7 1/2-1/2



これは黒は勝てないでしょう。ここでゲームを終えることにしました。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322) 1-0
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528)
1/27 Rest Day (Hungarian Team Championship のため)
1/28 14:00 R6 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/29 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R8 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/31 09:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218)

+3 Horvath
+1 Aczel, Xu, Krstulovic
+-0 Kantor, Varga, Kojima
-1 Mahalakshmi
-2 Chan
-3 Audi

International Chess Festival in Leányfalu GM Section


この日はVarga がAudi に勝ち、他は全てドローです。Audi も実力はあるはずですが、初戦ドローの後で3連敗と苦しんでいますね。GM ノームを目指すメンバーも、残り5試合で全勝か4勝1ドローが条件ですので、なかなか大変な状況です。私は今日、7年ぶりの対戦となるXu Yi との試合ですので、気負いすぎずに良いゲームができればと思います。

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