2016/08/27

Nagoya Open 2016 Day1 Tournament Report


今年も名古屋に来る季節がやってきました。この週末、私は名古屋で開催されている名古屋オープンに参加しています。今年はぎりぎりで参加者が増え、26名でのスタートとなりました。上位勢は私、一昨年のチャンピオンであるベトナムのPhan さん、大阪からきているSimon、北神さんといったメンバーです。私は去年に続いて連続での優勝を狙っていますが、初日の3R で躓いてしまいました。

Kitagami, S (USA, 2186) - Kojima, S (IM, JPN, 2461)
Nagoya Open 2016 (3)

1. d4 Nf6 2. g3 d5 3. Bg2 c6 4. c4 e6



このような手順で来られると、どう指したものか少し悩みます。4... Bf5 5. Qb3 Qb6 6. cxd5 Qxb3 7. axb3 cxd5 8. Nc3 Nc6! この手を見落としていて、黒が十分であることが分からず、より固い本譜の4... e6 を選びました。

5. Nc3 Nbd7 6. Nf3 dxc4 7. a4 Bb4!?


前回の対戦では、7... Be7 と指して満足なポジションになりました。最近はSemi-Slav にg2-g3 を指す形は白でも研究しており、その中でビショップがb4 に出る変化があったことを覚えていたので、今日はこのように指してみることにしました。

8. Nd2!? Nb6 9. a5 Nbd5 10. Qc2 Bxa5 11. Nxc4 Bc7 12. O-O O-O



北神さんは遠慮なくポーンを捨て、センターを主張することでポーンの代償を得ようとします。私もこういったポジションをいくつかチェックしていましたが、少しずつ白がポーンの代償を求めるのが難しくなるのではないかと考え、誘いに乗ってみることにします。

13. Rd1 a5 14. e4 Nb4 15. Qb3 b6


このようにb4 でナイトを安定させてから、白マスビショップをa6 で使う形は、黒が満足のはずです。d4-d5 をメインで警戒していましたが、白の狙いは別のところから飛んできました。

16. Ne5 Bb7?!



16... Ba6 17. Na2 Nxa2 18. Rxa2 Be2! 19. Rd2 Bb5=/+ このように進めば、黒はゆっくりとポーン1つの駒得を生かせるポジションを目指せるでしょう。

17. Bg5!


このようなシンプルなアイディアを見落としていました。f6 はクイーンで取り返すつもりが、Ne5-Nd7 がナイトフォークになることに気付いていなかったのです! 放っておけば、Ne5-Ng4, e4-e5 が厄介なので、黒はポーンの形を崩してでも、ピンを早めに解消するしかありません。

17... h6 18. Bxf6 gxf6 19. Ng4 Kg7



ここはf6 にナイトが侵入してくることを、過小評価しいていました。19... h5 20. Ne3 Qe7 も考えましたが、hポーンが進みすぎるのは、少し気になり、本譜を選択しました。

20. e5! f5 21. Nf6 Qe7?!


このあたりでの緩手が、この後の白の強力なアタックを許してしまう結果となってしまいました。Nc3-Ne2-Nf4 というマヌーバリングは気付いていたのに、どうして21... Ba6 で先に防いでおかなかったのか、振り返ってみて疑問です。

22. Ne2 Rfd8 23. Nf4 Rac8 24. g4!+-



このアイディアはどこかであるだろうと思っていましたが、まだなんとかディフェンスできると楽観視していました。実際には、すでに黒は助かりません。

24... fxg4 25. Qg3 Kh8 26. Qh4! Qf8 27. Nxg4


このようになってしまっては、私は自分の失敗を認めざるをえません。g、hポーンを剥がされた黒キングに、ディフェンスのチャンスは残されていません。

27... Qg7 28. Nxh6 c5 29. Nxf7+ Kg8 30. Nh6+ Kh8 31. Ra3 Bxg2 32. Rg3 1-0



この試合、振り返れば私のミスも目立ちますが、それでも白の手の作り方が上手かったと思います。気を取り直して、明日の後半戦の臨んできます。私に勝った北神さんと、Simon が3P であることまでは確認しましたが、ほかの結果は未確認です。私の4R の相手は、同じ2P 獲得の誰かでしょう。


矢場とんで名古屋名物の味噌カツを食べてきたので、明日はきっちり勝ちたいですね!

暁星夏合宿 2016


今週の月曜日と火曜日、予定していた暁星学園チェス部の夏合宿に、コーチとして参加してきました。場所は昨年と同じ、山梨県の三つ峠です。三つ峠という地名は聞きなれないかもしれませんが、富士急行線で富士山や河口湖に向かう途中にある、登山で有名な場所です。昨年も足を運んでいて勝手は分かっていますし、移動も予定通りにいくだろう... と思ったのは大間違いでした!

月曜日は台風が関東を直撃し、都内でも大変な目にあった人が多かったと思います。私もそんな例にもれず、三つ峠に向かう途中の高尾駅で、10時過ぎに運休となり、全く身動きが取れなくなってしまいました。後で聞いたところ、中央本線の高尾-大月間は、大雨などの影響でストップすることが多いそうです。何本か前の電車で高尾を通過し、大月で富士急行線にも乗り換えができた暁星の子供たちは、無事に三つ峠に向かっていると連絡がありました。なぜ私のところでストップするのか... と首をかしげますが、それでも、三つ峠に向かうためには、運休が解けるのを待つしかありません。


高尾駅では一度改札を降り、どこか時間をつぶせる場所がないかを探します。そこで見つけたのは、北口を降りて目の前にあるベーカリー&カフェ、一言堂です。台風の中を飛び出して、どこか店を探す気にはなれなかったので、近場で構わないだろうと思ったのですが、この店は当たりでした! パン屋さんとしてパンを売るスペースの奥には、各種の土産物を売るコーナーと、いくつかのテーブル席が用意されており、そこで頼んだ薬膳角煮カレーは絶品でした。高尾駅にまた寄ることがあれば、再び顔を出してみたいお店です。

カレーを食べたり本を読んだり、雨の様子を見ながら近場のコンビニに足を運んだりしながら時間をつぶしますが、待てど暮らせど、電車は動く気配を見せません。高尾駅周辺で雨がやんでも、山梨県内では雨が弱まらなかったそうです。チェス部顧問の先生とも連絡を取りながら、18時過ぎでも電車が動かないようであれば、合宿への参加は諦め、帰宅するという話になりました。夕飯まで高尾で済ませ、電車が動くというアナウンスがあったのは、タイムリミットぎりぎりの、18時を少し過ぎる頃でした。日本国内の駅で8時間も過ごしたのは人生初です(笑)

本来であれば、13時から子供たちとチェスをする予定でしたが、台風の影響で予定は遅れに遅れ、三つ峠への到着は20時過ぎとなりました。合宿場所である三つ峠グリーンセンター到着後は、1時間半ほど子供たち指し、簡単にアドバイスをして、この日は解散です。


翌朝は台風一過ということで、綺麗に晴れてくれました。前日の遅れを取り戻すべく、三つ峠滞在を夕方まで伸ばし、この日は1日チェスをすることに決めます。


昨年は、こちらの川のもう少し上流にいったところで、足をつけて涼んだ記憶があります。しかし、台風明けのこの日は水量が多く、入るのを断念しました。


さて、ようやくメインのチェスです。合宿に参加した子供たちは、2日目の昼から合流する高校生を含め、5人でした。今回の合宿では、なるべく自然なゲームの流れを理解し、学んだアイディアを自分のプレーにも生かせるようにする、ということをテーマにしました。過去のゲームから、参考になりそうなものを紹介しつつ、ある程度長い持ち時間のゲームを指して、検討をします。子供たちの形勢判断や手を選ぶ感覚はそれぞれ違うため、ゲームを見せて解説するだけでなく、実際に指させて試合を振り返るのが、やはり良い勉強方法だと感じました。

私は2面指しを1回、1対1を1回指しました。私と長い持ち時間で直接指せた子にも、今回は指せなかった子にも、自分のプレーを見直すアイディアは伝えられたと思います。もちろん、いくらでも教えたいことはありますが、時間の制約がありますので、続きはまたコーチとして暁星に呼ばれたとき、そして試合会場で彼らのプレーを見たときにしようと思います。2日目は、18時過ぎには三つ峠を離れ、行きの1/4 程の時間で帰宅しました。

行きが12時間以上かかり、人生でこれほど大変だった合宿は初めてでしたが、子供たちにチェスを教えていると、やはり家に戻らずに高尾駅で運休が解けるのを待っていて良かったと思えます。彼らとは、またオリンピアード後のクラブ選手権で会えることを楽しみにしています!

2016/08/25

新国内レイティング S108

暁星の合宿についての記事は明日に回し、今夜は公開されたばかりの新しい国内レイティングの話題です。Japan League の結果などを反映した、新しい国内レイティング、S108 が本日公開されました。レイティングの確定しているメンバーで、試合をこなした上位は以下の通りです。

Tran Thanh Tu 2475 -1
小島慎也 2461 +-0
馬場雅裕 2351 +4
Alexander Averbukh 2337 +2
青嶋未来 2327 +3


トップ勢は試合をこなしながらも、ほとんど変動無しですね。私に至っては、15試合指して全く変動無しです(笑) 負けは国内レイティングの無いGM 2人だけでしたが、それがどのように計算されているかは、よくわかりません。サマーオープンやJapan League へは参加しなかったTuさんは、千葉チェスクラブの例会での変動ですかね。

今回の更新では(でも?)、Japan League の7試合しかしていないはずのZhou Jianchao たちが、試合数11で計算されていたり、女子選手権が計算されていなかったりと、不思議な点も多いです。自分や周囲のレイティングが気になる方は、松戸チェスクラブのHP で確認をしたうえ、協会に問い合わせてみてください。

私にとって、次の国内公式戦は週末の名古屋オープン、そしてオリンピアード後のクラブ選手権となります。どちらも、普段試合をしないメンバーとのペアリングがあり得ると思いますので、どちらの大会でもよろしくお願い致します。



2016/08/16

Japan League 2016 Day4 Tournament Report


優勝したGM Lu Shanglei (中央)と、入賞者たち Photo by Hasegawa

4日間のJapan League は、今日最終日を迎え、無事に閉会となりました。GM同士のドロー以外、6戦全てを勝った中国のGM Lu Shanglei が、6.5/7 で堂々の優勝です。2年前に新潟で試合をした時も思いましたが、とても手が早く、そして強い! World Blitz では、Carlsen を破るなど、世界のトップクラスとも張り合うGM の実力は伊達ではありません。Lu Shanglei を含め、入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Lu Shanglei (GM, CHN, 2607) 6.5/7
2nd Place Zhou Jianchao (GM, CHN, 2616) 6/7
3rd Place Aoshima Mirai (JPN, 2207) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2394) 5.5/7
5th Place Shinoda Taro (JPN, 1955) 5.5/7


最終順位を決める大事な最終戦、青嶋くんは馬場さんに、私は松尾さんに、篠田くんはWang Jue に勝って5.5P を決めました。唯一よろけたのはGM Zhou Jinahcao で、入江さんが2B で苦しい中盤から粘りに粘り、最後はルークエンディングでドローをもぎ取りました。2600台のGM から公式戦でポイントを取った日本人は、これまで数えるほどだと思います。入賞こそ逃しましたが、入江さんもおめでとうございます。

今年の参加メンバーを考えれば、去年に続いての連覇は難しかったですね。それでも、5勝1敗1ドローで、他の入賞者にしかポイントを落としていないというのは、十分な戦績だと思います。レイティングは+4 で、試合の内容もまずまずでしょう。最後の松尾さんとの試合では、非常に面白いタクティクスが決まったので、そちらをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2394) - Matsuo, T (JPN, 2245)
Japan League 2016 (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 g6 4. d4 cxd4 5. Nxd4 Bg7 6. e4 Nc6 7. Be3 Ng4!?



この変化は10年ぶりくらいに指されました。当時は何も知らずに指していましたが、今回は松尾さんが指すような予感がして、前夜にある程度調べてきました。

8. Qxg4 Nxd4 9. Qd1 Ne6 10. Qd2 O-O


私が調べた変化では、10... Qa5 11. Rc1 b6 12. Be2 Bb7 13. f3 g5!? と指すのが面白いようです。黒はキャスリングをあきらめ、f4 のマスを抑えつつ、キングサイドから攻撃を仕掛けます。

11. Be2 b6 12. O-O Bb7 13. f3 d6 14. Rfd1 Rc8 15. Rac1 Kh8



このような展開は7... 0-0 の一般的なMaroczy Bind の変化で指しなれています。ここからは、黒のf7-f5 を警戒しつつ、プレッシャーをかけられるポイントを探します。

16. Bf1 Qe8 17. Nb5!?


黒のb7-b6 の弱点は、a7-a6 をついていないために、b5 のマスへの白ピースの侵入を許してしまうことです。それを防ごうとa7-a6 を突けば、今度はb6 のポーンが弱くなります。白はa7 のポーンを一時的にでも攻撃しておくことで、黒のピースを守りに縛らせます。

17... Ra8 18. b3 Rg8 19. g3!



ここは迷いましたが、Bf1-Bh3 とビショップを組み直し、e6 のナイトを狙うことにします。それを防ぐためには、黒はf7-f5 をここで指すしかありませんが、そうなればe6 のナイトが浮くことになるため、白にとってのチャンスとなります。

19... f5 20. Bh3! Qf7 21. Rf1! fxe4?


私はe4 のポーンを取られないよう、あらかじめfファイルにルークを回しておきました。それに対して松尾さんは、fファイルを開く危険を過小評価し、白の狙いに乗ってしまいます。21... Rgf8 と指していれば、黒はやや劣勢ながらも試合を続けられたでしょう。

22. fxe4 Bf6 23. Rxf6!!



他にも候補手はありますが、少し考えてエクスチェンジを捨てることにしました。最初に考えたのは、e4-e5 を押し込んでからクイーンを突入させるアイディアで、そちらも白が有利になります。23. e5!? dxe5 24. Qd7 Nd8 (24... Bc8 25. Qd5 Ng5 26. Qxf7 Nxf7 27. Bg2 Rb8 28. Nxa7+/-) 25. Nd6 exd6 26. Qxf7 Nxf7 27. Rxf6+/-

23... Qxf6


23... exf6 24. Nxd6 Qd7 25. Nxb7+- ならば、白はすぐに駒得で分かりやすく勝勢です。

24. Rf1 Qe5 25. Bxe6 Qxe6 26. Bd4+ Rg7 27. Qh6 Qg8



エクスチェンジを取りかえせることを確定させた白は、間髪入れずに黒キングを追い詰めにいきます。27... Rag8 28. Rf8!+- (28. Rf4! もOK) ならば、黒はメイトを防ぐためにクイーンを捨てるしかありません。

28. e5!


この手まで読んで勝ちを確信しました。もう一つ、g7 のルークを攻撃できれば白の勝ちですが、28. Nc7? e5! は失敗です。黒のe7-e5 を防ぎ、g7 のルークへの攻撃を続いけるためには、先にe4-e5 と白からポーンを押し込む必要があります。

28... Rf8


28... dxe5 29. Bxe5+- と進めば、黒はここから何もできず、Nb5-Nc7-Ne6 を待つだけとなります。黒ルークが8段目から離れれば、クイーンでg7 のルークを取り、Rf1-Rf8 でメイトです。 本譜ではルーク交換には成功しますが、白勝ちのエンドゲームへと一直線に進みます。

29. Rxf8 Qxf8 30. exd6 exd6 31. Nxd6 Bc6 32. Nc8! Kg8 33. Qxg7+ Qxg7 34. Bxg7 Kxg7 35. Nxa7 Bd7 36. b4 1-0



ナイトで2つのポーンをかすめ取り、最後はcポーンを進めていけば勝負ありです。今年のゲームの中では、全日本の馬場さんとの試合に次いで、お気に入りとなりました。

今年は過去最高の59名の参加者が集まり、Japan League も他と同じような、様々なレベルのプレーヤーが参加するオープントーナメントになりつつあることを感じます。来年以降も、中国のマスターたちとの交流を続けることを願っています。それでは参加者の皆さん、4日間お疲れ様でした!


表彰式後は、Zhou Jianchao とLu Shanglei の2人による同時対局が行われました。私は最後まで残らなかったため、詳しい結果は後日伺おうと思います。

2016/08/15

Japan League 2016 Day3 Tournament Report

写真は撮り損ねてしまいましたが、3日目のレポートです。今日は4連勝同士で、GM Zhou Jianchao と対戦して負け。続いて、同じくGM に負けた青嶋くんと当たり、ドローという結果でした。青嶋くんとのゲームは、少し嫌な序盤を乗り切り、相手のミスで有利なエンドゲームに持ち込めたにもかかわらず、ドローを許してしまって残念です。

Aoshima, M (JPN, 2207) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (6)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Ne4 5. Nxe4 dxe4 6. Ng5 Qd5 7. d4 exd3 8. Bxd3 Qxe5+ 9. Be3 h6 10. Nh7 Bf5 11. Nxf8 Rxf8 12. O-O Nd7 13. Re1 Bxd3 14. Qxd3 Qc7 15. Rad1 O-O-O 16. Qa3 a6 17. Qxe7 Nf6



今日もエンドゲームからの解説です。黒は序盤でもらったポーンを返し、クイーンを交換してエンドゲームに持ち込もうとします。

18. Qxc7+ Kxc7 19. c4


試合後、私はビショップでナイトを取りに行くのが良いのではないかと指摘しました。19. Bd4! Rfe8 20. Bxf6 gxf6+/= ならば、白が良いでしょう。ポーンのある列が全て同じで、ルークも交換してしまえば、ビショップナイトの差はあまり出ないと思います。ならば、ビショップはポーンストラクチャーを乱すために消して勝負するのが良いでしょう。

19... Rfe8 20. Kf1 Kc8!?



ここは20... b5 と悩みましたが、まずは黒キングを退いてビショップチェックを外し、様子を見ることにします。

21. a4?! Rxd1 22. Rxd1 Ng4!


これはありがたいと思いました。Re8-Re4 があるため、Be3-Bf4 とは避けることができません。次もビショップをあきらめ、23. Ke2 のほうが良いですが、青嶋くんはさらに痛いミスをしてしまいます。

23. Bd4? Nxh2+! 24. Kg1 Rd8!



彼が見落としていたのはこの手で、黒はナイトを捨ててもピンを利用してビショップを取りかえすことができます。これは黒勝ちのエンドゲームになったかと思いましたが、ここから私も判断ミスが出ます。

25. Kxh2 c5 26. Kg3 cxd4?!


単純なポーンエンディングのルールは基本的に理解しているつもりですが、ここでルークを交換したポーンエンディングが黒勝ちであるとは読めませんでした。26... Rxd4! 27. Rxd4 cxd4 28. a5 (28. Kf3 Kc7 29. Ke4 Kb6 30. Kxd4 Ka5 31. Kc5 Kxa4 32. Kb6 Kb4 33. Kxb7 Kxc4 34. Kxa6 h5-+ これは分かりやすく黒勝ちですが、試合中はKc7-Kb6-Ka5 と上がるルートが見えていませんでした。) 28... g5! 29. Kf3 f5 30. Ke2 h5 31. Kd3 h4 32. Kxd4 g4 33. Ke3 h3 34. gxh3 gxh3 35. Kf3 f4!-+


この形は覚えておくべきですが、ここまで読み切るのは相当大変です。白はツークツワンクになっており、黒の勝ちがはっきりとわかります。36. b4 Kd7 37. b5 Kd6-+

27. Kf4 Rd6



検討では、b2-b4 を防いで黒勝ちなのではないかと意見が出ましたが、27... a5 28. Ke4 Kc7 29. Kd3! (29. Rxd4 Rxd4+ 30. Kxd4 Kc6-+ このポーンエンディングはhファイルにパスポーンを作るチャンスのある黒が勝つでしょう。) 白はこのように本譜と同じように、ポーンをキングでブロックすれば粘れそうです。

28. b4 Kc7


私はa7-a5 をどこかでやりたかったのですが、ここは1つ良いタイミングでした。28... a5! 29. bxa5 Rf6+ 30. Kg3 Ra6 31. Rxd4 Rxa5 32. Rf4 f6-/+ と進めば、次にcポーンを取って、再び黒のポーンアップです。

29. Ke4 Re6+?!



このチェックは完全に余計でした。d3 にキングをよらせてから、なにか手が作れるかと思っていましたが、実際にはあまり有効なアイディアはありません。

30. Kd3 Rf6 31. Rd2 Rf4 32. g3 Rf3+ 33. Kxd4 Rb3 34. b5 Ra3 35. Kc5!


時間切迫で、まさかの負けもあるかと思いましたが、キングの位置が良いだけでは、白はポーンダウンを跳ね返して勝つところまではいけません。

35... Rxa4 36. b6+ Kc8 37. Re2 1/2-1/2



最後はルークがe,d ファイルを往復してドローです。

この日もZhou Jianchao とLu Shanglei が止まらず、直接対決での短手数ドローのみで、2人が5.5/6 でリードしています。続く5/6 で3位につけているのは、青嶋くんに敗れたものの、唐堂くん、古谷くん、馬場さんに勝ったNi Shiqun です。私たち4.5/6 を含め、最終戦のペアリングは以下のようになっています。

Lu Shangeil(5.5) - Ni Shiqun(5)
入江(4.5) - Zhou Jianchao(5.5)
小島(4.5) - 松尾(4.5)
篠田(4.5) - Wang Jue(4.5)
馬場(4) - 青嶋(4.5)


それでは皆さん、最後まで悔いの残らないように頑張りましょう。私も入賞圏内に入れるよう、最終戦頑張ってきます!

2016/08/14

Japan League 2016 Day2 Tournament Report


1Bでプレーを続けるGM Zhou Jianchao

Japan League は2日目から、上位同士のぶつかり合いが多くなります。私は初日に続き、なんとか連勝を果たし、GM 2人と同じ4連勝となっています。簡単にですが、4R のゲームをご紹介したいと思います。

Yamada, K (CM, JPN, 2082) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. cxd5 exd5 6. Bg5 h6 7. Bh4 c5 8. dxc5 Nbd7 9. e3 Qa5 10. Qd4 O-O 11. a3 Bxc3+ 12. Qxc3 Qxc3+ 13. bxc3 Ne4 14. c4 dxc4 15. Bxc4 Ndxc5 16. O-O g5 17. Bg3 Nxg3 18. hxg3 Be6 19. Rac1 Rac8 20. Nd4 Bxc4 21. Rxc4 Nd3 22. Ra4 a6 23. Nf5 Kh7 24. Rb1 Rc6 25. Rd4 Nc5 26. g4 Re8 27. f3 Ree6 28. Rd5 Rc7 29. Rc1 Rec6 30. Nd4 Nb3 31. Rxc6 bxc6 32. Re5 Nxd4 33. exd4 Rd7 34. Rc5?!



苦しい中盤を乗り切った黒は、なんとか駒を捌いてドローに持ち込めそうな状況までもってくることができました。そんな中での白の緩手は、私を少し勝負する気にさせます。試合後に山田くんに指摘したのは、34. Ra5 からaポーンとdポーンを交換し、確実にドローにするアイディアです。

34... Rxd4 35. Rxc6 a5 36. Rc5 Ra4 37. Rc3


このルークエンディングもドローですが、白はa3 のポーンの守りにルークを使わなければいけない分、駒の働きが制限されています。ここからはキングを上げて、ポジションの改善を図ります。

37... Kg7 38. Kf2 Kf6 39. Ke3 Ke5 40. Kd3?



時間が増える40手目で、白は負けになるブランダーを指してしまいました。私も最初はオポジションを取り続けるつもりでしたが、よく見れば黒キングはキングサイドに侵入し、g2 のポーンを狙うチャンスになっています。代わりに40. g3 であれば、黒も勝つことはできなかったでしょう。

40... Kf4! 41. Kc2 Kg3 42. Kb3 Rf4 43. Rc2 Rd4 44. Re2 Rf4 45. Rd2 f5!


ルークが1段目からg1 に回り、g2 をアタックするようであれば、白もポーンを守るのをあきらめ、f7 への反撃でドローチャンスを作るでしょう。黒が確実に勝つためには、fポーンをついて、hポーンを伸ばせるようにする必要があります。

46. gxf5 Rxf5 47. a4 h5 48. Kc4 h4 49. Re2 h3 50. gxh3 Kxh3 51. Rb2 Rxf3 52. Rb5 Rf4+!-+



この手が勝つために、とても重要なアイディアです。お互いにパスポーンを進めあうルークエンディングとなりますが、白がルークを捨ててgポーンを取りに来た場合でも、勝てるかどうかを黒は考えなければいけません。白のaポーンを黒がルーク1つで取りに行けるようにするためには、4段目でのカットオフが必要です。

53. Kb3 g4 54. Rh5+ Kg2 55. Rxa5 g3 56. Rg5


56. Rc5 Kh3 57. Rh5+ Rh4 58. Rg5 g2 でも、黒はルークをもらってから、1ポーンを取りに行って勝ちとなります。

56... Kf2 57. a5 g2 58. a6 g1=Q 59. Rxg1 Kxg1



このような状況になった際に、黒のルークが4段目でカットオフをしているため、白はキングを上げられないのがポイントです。もし、白キングと黒キングがもう1段進んでいる形であれば、白キングは1ポーンの守りに間に合うため、ドローになります。

60. a7 Rf8 0-1


このゲームを勝ったのは大きく、4連勝でGM Zhou Jinachao, GM Lu Shanglei に食らいついてトップを保っています。明日はいよいよ、私と青嶋くんが1,2B に上がり、GM 戦に臨みます!

小島(4) - Zhou Jianchao(4)
Lu Shanglei(4) - 青嶋(4)
古谷(3) - Ni Shiqun(3)
小林(3) - Wang Jue(3)
馬場(3) - 大山(3)
Alex(3) - 山田(3)


この5R が私と青嶋くんにとっての正念場になると思います。久々の2600台との対戦ですので、しっかりと勉強させてもらおうと思います。皆さん、3日目もよろしくお願い致します!


3R では青嶋くんがWGM Ni Shiqun を破り、初めて中国勢に土を付けました。


お昼ご飯は奮発して、こんな大盛の刺し身定食にしたのが良かったかもしれません(笑)

2016/08/13

Japan League 2016 Day1 Tournament Report


今日から4日間、夏の祭典、ジャパンリーグが蒲田で開催されています。中国からGM2人、WGM2人がゲストとして参加しており、昨年を上回る59名の参加者が集まっています。私は初日の今日、初対戦となる東北の本田くんと、麻布の先輩である坂井さんに勝ち。13人いる連勝グループに入っています。

Sakai, E (JPN, 2019) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (2)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 c6!?



サマーオープンに続いて指された、Nimzo-Indian Rubinstein 5. Nge2 には、新しい変化を試してみようと思っていました。現在進行中のWorld Junior では、アメリカのXiong, Jeffery がこの変化で黒勝ちとなっています。アイディアは、メインラインのようにBb4-Be7 と退くのではなく、Bb4-Ba5-Bc7 と退いて、ビショップをゲームに戻すことです。

6. a3 Ba5 7. Qc2 d5 8. Ng3 Nbd7 9. b4 Bc7 10. Bd3 dxc4 11. Bxc4 e5=


私はすでにこのポジションで満足しています。形はSemi-Slav Anti-Meran に似ていますが、2手かけて到達したg3 のマスが、f3 よりもナイトにとって良いのかはやや疑問です。

12. O-O exd4 13. exd4 Nb6 14. Bd3 Re8!?



私はここではd4 を取らず、あえて弱点として残してプレーします。14... Qxd4 15. Bg5 h6 16. Rad1 Qe5 17. Be3 と進めば、白はピースの展開の早さと黒キングへの攻撃のチャンスで、ポーンの代償があるでしょう。

15. Bb2 Be6 16. Nce4 Nxe4 17. Bxe4 Qh4


IQP を持たせている黒にとって、マイナーピースの交換は望むところです。d5 のコントロールは多少気にしつつも、h2 への攻撃を見せて、g3 のナイトをの動きを制限します。

18. Bd3 Nd5 19. b5?!



b2-b4 と伸ばした以上、こうして仕掛けたくなる気持ちはわかりますが、開いたcファイルを使いやすいのは黒です。19. Rae1 のような手のほうが良かったでしょう。

19... cxb5 20. Bxb5 Rec8 21. Qd2 Bf4 22. Qd3 Nf6!?


最初の作戦は、22... Bd6 と退き、cファイルを開いておいてからNd5-Nf4 とするつもりでした。しかし、少し気が変わってダイレクトにNd5-Nf6-Ng4 を狙ってみることに。気になるh2 へのアタックをどのように受けるべきか、白はしっかりと読まなくてはいけません。

23. d5?!



ポーンを捨ててb2 のビショップの利きを開くよりも、23. Rfe1 で堅実に守るほうがよかったでしょう。23. Rfe1 Ng4?! 24. h3 Nxf2 25. Kxf2 ならば白は大丈夫です。Rc8-Rc2 に対して、eファイルでルークを挟むディフェンスをできるのが、23手目のポイントです。

23... Nxd5 24. Rad1 Nf6 25. Bxf6?! Qxf6 26. Nh5 Bxh2+!


これでさらに駒得を拡大し、勝負ありです。初めて指すこの変化は、Semi-Slav に似ていて、自分にはとても指しやすそうだという感触をつかむことができました。

27. Kxh2 Qh4+ 28. Kg1 Qxh5 29. Ba4? Bc4 0-1



まだまだJapan League は始まったばかり。明日は中国のマスターたちに、日本の2200台たちが挑む注目の2日目です! 3R のペアリングは、以下のように発表されています。

Alex - Zhou Jianchao
Lu Shanglei - 松尾
青嶋 - Ni Shiqun
小島 - 大山
阿部 - Wang Jue
馬場 - Gary
山田 - 塩見


私は明日、イングランドのU17チャンピオン、大山彰人くんとの対戦です。出会った4年前よりも、はるかに実力は上がっているでしょう。初めての公式戦での対戦、とても楽しみにしています。

2016/08/12

Weekly Chess Puzzle Vol.28


Kalista, K (CZE, 1886) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
Pilsen Open 2013 (1)
Black to move


Al Modiahki, M (GM, QAT, 2559) - Kojima, S (JPN, 2272)
Dresden Olympiad 2008 (3)
Black to move

大会前夜ですが、久々にパズルを出題しておきます。1つ目はいくつか答えがあると思いますが、黒で確実に勝てそうなタクティクスを見つけてみてください。2つ目は懐かしい、ドイツのオリンピアードでのGM戦ですね。2008年以降、オリンピアードでGM からポイントを取っていないので、今年こそという思いがあります。いつも通り、答えが分かった方はコメント欄へどうぞ。

2016/08/11

Japan League 2016 Tournament Information


昨年のJapan League での、GM Zhao Xue との対戦

明後日の土曜日から4日間、8/13-16 の日程で、お盆の時期恒例のJapan League が蒲田の大田区産業プラザで開催されます。オリンピアードと同じ長い持ち時間で、7試合を戦うJapan League は、東京で最大の賞金トーナメント、そして日本で貴重なFIDE 公式戦です。そんなJapan League に今年は、中国からマスターが4名参加します。

昨年は、中国女子のリーダーともいえるGM Zhao Xue、そしてオリンピアードオープン優勝メンバーのGM Ni Hua が来日し、Zhao Xue のみがJapan League に参加しました。それが今年は、来日する4名のマスター全員が参加するとのことで、とても驚いています! 中国から来日するメンバーは以下の通りです。

Zhou Jianchao (GM, CHN, 2616)
Lu Shanglei (GM, CHN, 2607)
Ni Shiqun (WGM, CHB, 2398)
Wang Jue (WGM, CHN, 2369)


いずれも若く、これから中国代表に上り詰める可能性もあるプレーヤーたちです。3名は私よりもレイティングが高く、今大会の上位を独占される可能性も十分にあります。そうならないよう、私もしっかりとプレーをして、入賞に食い込みたいですね。私自身、Lu Shanglei、Wang Jue とは、2年前の新潟の大会で対戦しているため、再戦を楽しみにしています。

2016/08/09

Azabu Summer Training 2016


8月6日、7日の2日間、群馬県の草津で行われた麻布学園チェス部の夏合宿に、コーチとして同行してきました。当日は朝8時半に上野駅に集合し、草津へと北上します。特急で上野から長野原草津口までは2時間半ほど。そこからバスで20分ほどかけ、草津の温泉街へと向かいます。


温泉の町として有名な草津は、中心地から離れた駅にも、こうしてリラックスできる足湯がありました。今回は見るだけでしたが、ゆっくりと時間のある際には、何か所か足湯もめぐってみたいですね。


ホテルに13時前に到着し、チェックインと昼食をすばせれば、そこからはチェスの時間です。慎重に読むべきタクティクス、ピースの働きとそれを生かすアイディア、優劣を判断するポジションの要素などについて、いくつかのゲームを見せながらレクチャーを行いました。以下のようなポジションで、いくつかのグループに分かれた後輩たちに、黒の次の手とそのアイディアを考えてもらいます。少し早い17時の夕飯までは、あっという間に時間が過ぎていきました。


Andriasian, Z (GM, ARM, 2523) - Nepomniachtchi, I (GM, RUS, 2602)
World Youth Stars 5th 2007
Black to move


夕飯後は、15名の後輩たちに私が加わり、8B での1R ラピッドと検討を行いました。自分の試合をしながら、残りの7B 全てに目を通し、試合後の検討を8試合分行うのは大変でしたが、子供たちの思い切ったプレーを見ることができ、とても楽しかったです。みんな、まだまだ勉強しなければいけないことが多いですが、自分の課題を見つけるためにも、こうした試合と検討の繰り返しは大切ですね。


9時半に全ての検討を終え、この日は解散となりました。時間ができた私は1人、宿から歩いて10分程の湯畑へと向かいます。草津のシンボルである湯畑は、毎分4000リットルのお湯が湧き出ており、夜の時間帯はきれいにライトアップされています。上段から流れ落ちる温泉と夜景、足湯などを目当てにした観光客が、23時近くになっても、たくさん詰めかけていました。


翌朝は8時半から、レクチャーの再開です。春合宿ではポーンをテーマにしたエンドゲームが多かったですが、今回はほぼルークに絞りました。最初はあるポジションを見せて、白黒どちらをも持ちたいかを選んでもらい、8B に分かれて実際に指してもらいます。指してみると、思ったほど良くない、悪くないという感触が分かり、3種類のどの結果にもなっていたのが面白かったです。エンドゲームの強化というよりも、ルークというピースの特性について、考えてもらうのがメインのレクチャーで、他にも実戦的なアイディアを伝えることができたと思っています。


私は11時には、次の仕事に向かうために草津を後にしました。最後に少しだけですが、昼の湯畑も見ることができたのはラッキーでした。夜に見るのも良いですが、昼だと温泉の鮮やかさがより分かりますね! 草津は私にとって今回が初めてでしたので、今度はゆっくりと観光で訪れてみたいです。15人の後輩と顧問の先生たち、短い時間でしたがお世話になりました。明日、気を付けて東京に帰ってきてください。

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