2019/06/22

ねこまどチェス部開催のお知らせ


将棋教室や将棋イベントなど、将棋を中心として様々なボードゲームの活動に取り組んでいる株式会社ねこまどで、来月からチェスのできる日を設けさせてもらうことになりました。ねこまでどでは将棋部、連珠部など、~部と称し、各ボードゲームファンが集まれる日を作っています。ねこまどチェス部は今回が初めてとなりますので、皆さん気軽に遊びに来てください。

【日時】 2019年7月27日(土) 13:00~17:00
【会場】 ねこまど (最寄り駅: 四ツ谷駅)
【形式】 自由対局、ルール説明
【参加費】 2000円

7/27(土) のチェス部開催時間内は、私はずっとねこまどにいる予定です。13時半からは初めてチェスをする人向けのルール説明のコーナーも設けますので、これまでチェスをプレーしたことのない人も遠慮せずお越しください。予約不要、途中参加、途中退出も可能で、都合の良い時間にチェスを楽しんでいただければと思います。ねこまどでの初のチェス部を、よろしくお願い致します。

2019/06/19

第14回七盤初心者のためのチェスレッスン


【日時】 2019年6月28日(金) 19:00~21:00
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 駒の交換
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

中国の大会に参加していたため、いっぷくのレッスンの告知が遅くなりました。6月は28日(金)夜の開催です。テーマは様々な駒の交換を扱おうと思います。そもそもどういった駒の交換が得になるのか、相手から駒の交換を持ち掛けられ際、応じたほうが良いのか、避けたほうが良いのか、自分から駒の交換を仕掛けたほうが良いのかなど、駒の交換について考えるべきことはたくさんあります。今月は、皆さんがそうしたことを考える際の手助けになるようなレッスンの回にしたいと思います。

2019/06/18

Asian Continental Chess Championships 2019 Final Report


7/9 で単独優勝を決めたLe Quang Liem

9日間の試合日程を終え、オープンではベトナムのGM Le Quang Liem が、女子ではカザフスタンのIM Saduakassova が優勝を決めました。女子セクションはリスト1のプレーヤーが、ずっとトップから陥落することなく最後まで走り抜けましたが、オープンはインド勢を中心とした大混戦の中、最終戦での勝ちで逆転優勝が決まったため、劇的な幕切れだったと言えます。参加選手の皆さん、お疲れ様でした。

私は最後の連敗で3/9、少し物足りないフィニッシュとなりました。せめてどちらかのラウンドだけでも、ポイントが取れていればと思います。それでも昨年の12月のモンテネグロほどレイティングのマイナスが大きくないのは、GM4人、IM4人とういう過去最高に厳しい当たりのせいでしょう。一方で女子セクションに参加していたなつみは、全敗もありえるリスト最下位スタートながら、格上9人との対戦で1勝2ドローを上げ、レイティングを大きく伸ばしました。最終戦も中国の2000台とドローにし、誕生日に自ら花を添えました。揃って悪い戦績だと凹みますが、これは少し救われる結果でしたね。


最終戦の後、15時から駆け足で行われたブリッツ大会も、3.5/9 と満足できる数字ではなく、やや消化不良でした。それでもブリッツは楽しいですね。初戦では、オープンで準優勝したインドのGM Karthikeyan と指せたのも良い経験でした。GM からポイントを取ったラウンドもあったものの、1.5/7 で8R のbye が決まり、かなり意気消沈気味できたが、最後は中国の2400 に快勝し、この大会の全試合を終えました。私の最後の相手は途中で上からポイントを取るものの、最後は5連敗だったようです。ブリッツは怖いですね!


表彰式のスタートのムービーでは、私たちがパスした観光ツアーの中の1つ、地元Xingtai の小学校を選手が訪れる様子が映し出されていました。子供たちのレベルはまだまだだと思いますが、中国でもチェスの教育に力を入れているのでしょうね。学校だの活動の一部というより、養成所という雰囲気を感じさせます。


カザフスタンの女子チャンピオン、Saduakassova は、インド、中国勢がベストメンバーではなかったとはいえ、このAsian Continental を7.5/9 で優勝するのはさすがです。レイティングも2400台後半まで上がるので、男子でも並みのIM では太刀打ちできないでしょう。


Le Quang Liem はモンゴルのホープ、Bilguun Sumiya にドローのスロースタートでしたが、終わってみれば負けなしの5勝4ドローで、最後は連勝しています。10年前から見ていて強いのは分かっているプレーヤーですが、現在はアメリカに活動の本拠地を移し、プレースタイルも新しいものにチャレンジして、ますますパワーアップしているように感じました。中国勢がベストメンバーでも、Le Quang Liem ならばそれを抑えて優勝してもおかしくないと思います。名実ともに、アジア最強のプレーヤーの1人です。


北京空港での16日朝食

最後に少しだけ事件が起きます。表彰式も大詰めで、最終戦のブログ記事も書いてから現地を離れられるかとも思った矢先、あなたたちの帰りのバスは23時から21時半に変更になったと突如言わました(笑) すでに20時半を過ぎており、私はそれから荷造りをしなければいけません。北京での渋滞を見越しての早い時間のバスへの変更でしたが、それでも早すぎる気がしました。結局指示通りにフィリピン勢、インド勢らと21時半のバスに乗り込み、朝の8時前には北京空港に到着。午前2時から5時まで高速が使えないため、途中でサービスエリアのような場所に3時間停車したのは驚きでした。今大会、最後が最も慌ただしかったですね。


北京空港で羽田行きの便を待っていると、23時のバスで空港に向かっていた台湾のBaiくん親子と再会しました。行きの北京空港到着直後から話をするようになり、今大会では色々とお世話になりました。12歳のBaiくんはこれからも海外遠征をするようで、まだまだレイティングは上がっていくと思います。これから台湾を背負うプレーヤーの1人になっていくでしょう。また近いうちに再会できるような気がします。

最後になりましたが、今大会も応援をありがとうございました。戦績は期待していたほどでなかったのは悔しいですが、またそれをばねに勉強を続けていきたいと思います。また次の参加予定の大会についても、近いうちにお知らせしたいと思います。

2019/06/17

Asian Continental Chess Championships 2019 R9


更新が後れましたが、9試合のAsian Continental を終え、昨晩中国から帰国しました。パソコンも無事に復活させましたので、これで思う存分、記事を書くことができます。ブリッツ大会や閉会式、大会の振り返りは次の記事にするとして、今晩は最終戦の試合をお届けしたいと思います。

最後は再びGM を引き、インドのVishnu との対戦になりました。2500を超える彼でも、1つ勝ち越し状態から大会終盤で3連敗し、2つ負け越しで私と対戦が組まれるというのも、この大会のレベルの高さを伺わせます。

Vishnu, P V (GM, IND, 2511) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (9)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c4 g6 7. Nc3 Bg7 8. Nd5!?



また5. d3 Ruy Lopez か! と試合開始直後は思いましたが、Vishnu がチョイスしたのはフィリピン勢とは違う6. c4 ラインです。8. Nd5 の早い跳び込みは全く知りませんでしたが、近年はこれが多くなっています。

8... h6 9. Nb4 Bd7 10. Nxc6 Bxc6 11. Bxc6+ bxc6


ビショップを交換せず、10... bxc6 とする試合が多いようですが、私は相手のバッドビショップを消しても、早めにd7 のマスをナイトのために空ける選択をしました。

12. h3 O-O 13. Be3 Nd7 14. g4 f5!?



このc2-c4 の変化では、別の流れの中で黒から積極的にfポーンを伸ばすラインがあります。それやKing's Indian にならい、黒から積極的に動いてみることにしました。

15. gxf5 gxf5 16. Rg1 Kh7 17. exf5 Rxf5 18. Nd2 d5 19. Qg4 Qf8!?


いかにもc6 が落ちるだけのダメな手に見えますが、19... Qf6 20. Nf1! もNf1-Ng3-Nh5 が嫌なマヌーバリングで、白が良くなります。

20. Qg6+ Kh8 21. Qxc6 d4 22. Bxd4 exd4 23. Qxd7 Re8+ 24. Ne4 Re7!?



ここからがこのゲームで難しく、そして面白いポジションです。私は2ポーンを捨て、その代償を白キングがe1 にまだ残っている点に求めました。アウトポストのナイトはいかにもしっかりとキングを守り、黒の代償を足りなくしていそうですが、黒にはさらにエクスチェンジを捨てるアイディアがあります。24... Rxe4+ 25. dxe4 Rf7 26. Qa4 Rxf2 27. O-O-O Qf4+ 28. Kb1 Qxe4+ 29. Ka1 d3 30. Qd7! (30. Rxg7 Qe2 31. Rb1 Kxg7= ならば黒は問題なさそうです。) 30... Qe5 31. Qc8+ Kh7 32. Qb7 Qd4 早いエクスチェンジ捨ては自信がなかったため、一度白クイーンを下げさせることにします。

25. Qc6 Rxe4+?


しかし、今度はエクスチェンジを捨てるタイミングを見誤りました。25... Rxf2! 26. O-O-O Rxe4! 27. Qxe4 Rxb2! (この手が見えていれば、間違いなく先にf2 を取っていたでしょう。) 28. Rg2! (28. Kxb2 Qb4+ 29. Ka1 Qc3+ 30. Kb1 Qb4+=) 28... Rb8!


これはいかにも実戦的なポジションで、キャスリングしてもb2 を失ってキングが危ないため、黒にはエクスチェンジの代償がありそうです。

26. dxe4 Qb4+?


上記の変化とはクイーンの位置がa4 とc6 で違うため、b4 のチェックが活きそうですが、これが完全な間違いでした。26... Rxf2 27. Qxc7 Rxb2 28. Qxg7+ Qxg7 29. Rxg7 Kxg7 30. O-O-O Rxa2 31. Rxd4 で1ポーンダウンのエンドゲームを粘るほかありません。

27. Kf1 Rxf2+



読み切れませんでしたが、ここでルークが単に退くようではとてもエクスチェンジの代償は無いため、パペチュアチェックを狙って2つ目のルークも捨てることにします。

28. Kxf2 Qd2+ 29. Kf3 Qe3+ 30. Kg2 Qe2+ 31. Kh1?!


この手でも白が勝つのですが、もっとシンプルなのは上に逃げていくことです。31. Kg3! Be5+ 32. Kh4 Qf2+ 33. Kh5 Qf3+ 34. Kg6+- と逃げてチェックは続きません。本譜の手はしっかり読み切れていたため、これはパペチュアルチェックになるか、ルークを返してもらって勝負できる駒割りになるか、どちらかだと私は思いこんでいました。

31... Qf3+ 32. Rg2 Qxh3+ 33. Kg1 Qe3+ 34. Rf2 Qg3+ 35. Kf1 Qh3+ 36. Kg1


36. Ke1 Qe3+ 37. Re2 Qg1+ 38. Kd2 Qxa1 こうして白がパペチュアルチェックを振り切ろうとするとa1 のルークが落ちたうえ、白キングは依然として危ない状況なのでチャンスはあるだろうと読んでいました。本譜ではキングが戻ったため、これは最終戦はドローで終わるかと思いました。

36... Qg3+ 37. Rg2 Qe3+ 38. Kh2!



正直に言ってショックでした。ビショップでチェックされる危険のあるマスに、わざわざキングを逃がすはずがないと、ルークを捨てた時点から思い込んでいました。しかし、少し考えてみれば、e5 にビショップを上げてチェックしても決定的な攻撃にはならず、むしろ後でビショップが白クイーンのターゲットになってしまうことに気付きます。そうなると、上記のようなルークを返すアイディアが、白にとっては痛手でもなんでもなくなり、黒の計画は完全に頓挫することとなります。もちろん、そうと分かっていても、ビショップでチェックする手以外はすぐにチェックが切れるため、考えられません。

38... Be5+ 39. Kh1 Qh3+ 40. Kg1 Qe3+ 41. Rf2 Qg3+ 42. Kf1 Qh3+ 43. Ke1 Qe3+ 44. Re2+-


白は今度こそ安心して、g1 でのチェックを受け入れます。

44... Qg3+


44... Qg1+ 45. Kd2 Qxa1 46. Qxh6+ Kg8 47. Qe6++- もちろんルークを取りかえしても、直後にビショップが落ちては勝負できません。

45. Kd1 d3 46. Qxh6+ Kg8 47. Re3 Qg4+ 48. Kd2 Bf4 49. Rg1 1-0



自分は細かな読みよりも感覚(大局観)を重要視するタイプのプレーヤーだとは思っていますが、きちんと読まずにこんな手はありえないだろうと決めつけてはいけないと、あらためて思い知りました。

Asian Continental Chess Championships 2019 Final Standings


続きはまた明日以降の記事で!

2019/06/14

Asian Continental Chess Championships 2019 R8


レストランの片隅では、こうしてゲームの中継と解説がされています。解説をしている中国のGMは、名前が中国語で表記されているので字面と顔から推測するしかないですが、Zao Jun でしょうかね。

8R は再び中国のマスターで、U18 の現在中国ランキング1位、IM Xu Zhihang との対戦です。その強さを体感してきました。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Xu Zhihang (IM, CHN, 2504)
Asian Continental 2019 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2 O-O 5. a3 Bxc3 6. Qxc3 b6 7. g3 Bb7 8. Bg2 d5 9. d3 d4 10. Qc2 e5 11. Bg5!



ここはダブルビショップを返しても、e4 のマスのコントロールを奪い返し、e5-e4 を警戒しておきます。

11... h6 12. Bxf6 Qxf6 13. O-O Qd6 14. e4 dxe3 15. fxe3 Nd7


未経験の形ですが、d3-d4 もタイミングを見て狙えそうですし、白が悪いはずはないだろうと思っていました。

16. Rad1 Rae8 17. Ne1 Bxg2 18. Nxg2 f5 19. d4 e4 20. b4



白はセンターからクイーンサイドのポーンマジョリティをいかし、c4-c5、もしくはd4-d5 と仕掛けるチャンスがあり、e3 のポーンの弱さを十分補えていると感じました。後は仕掛けるタイミングと、反撃あの対処がポイントです。

20... Kh7 21. Rf2 g6 22. Rfd2 Nf6 23. c5!?


どちらのポーンから伸ばすか迷いましたが、早めにe5 のマスを与え、Nf6-Ng4-Ne5 の組み替えチャンスを与えるのは嫌だと考えました。23. d5 Ng4 24. c5 Qd7 25. d6 c6 なら互角の展開でしょう。

23... Qd5 24. Nf4 Qf7 25. d5 Ng4 26. Re2?!



しかし、ここを間違えました。最初頭にあったアイディアは、Qc2-Qc3 だったのですが、Vignesh とのゲームで、クイーン交換を許したことで弱点のポーンが守りづらくなったことを思い出し、相手にクイーンをぶつけさせないほうが良いと考え直しました。しかし、これが大きな間違いで、e3 の守りを消されても、ここでのクイーン交換は白にとって良いものです! 26. Qc3! Ne5 (26... Qf6 27. Qxf6 Rxf6 28. d6! cxd6 29. Rxd6 (29. c6!? g5 30. Nd5 Rff8 31. b5+/-) 29... bxc5 30. bxc5 g5 31. Rd7+ Kh8 32. Rd8 Rxd8 33. Rxd8+ Kh7 34. Rd7+ Kh8 35. Nd5 Ra6 36. Kf1+/- ) 27. Ne6 Nf3+ 28. Kg2 Nxd2 29. Nxf8+ Rxf8 30. Rxd2+/- こうしたルークを取り合い、駒交換の進む変化は当然のようにdポーンのブレイクが残る白にとって良いと分かっていましたが、分岐の変化でe3 を守らずにd5-d6 と押し込んで十分であることが読めませんでした。本譜のルークが寄る手は試合中は上手いと思っていたのですが、この変化と比べてしまうと仕掛けが遅くなってしまいます。

26... Ne5! 27. Qc3 Qf6 28. Rc2 Rf7 29. d6 bxc5


d5-d6 と押し込むべきなのか、それともナイトがe6 に跳びこむべきなのか、迷った末に前者にしました。しかし、ここでの三択で、ひどい手を選んでしまいました。

30. Qxc5?



30. bxc5 c6 31. Qb3 g5 32. Ne2 Qg6 ならばまだ形成不明です。もう一つ、メインで読んでいながら諦めたのは、30. dxc7 Rxc7 31. Nd5 Nf3+ 32. Kg2 Qxc3 33. Rxc3 Rc6 34. Rxc5 Rd6= という変化で、試合後に相手からはこうするべきだったと指摘されました。もちろんこの流れは考えていたのですが、このイコール変化よりももっと本譜にチャンスがあると勘違いしてしまいました。

30... g5!?


お互い見落としていましたが、30... Rd8! ならばd6 まで進めたポーンが困っていて黒が優勢です。Xu はこの手こそ見逃したものの、実戦的に十分ありえるサクリファイスで勝負を仕掛けてきます。私は残り時間が10分を切り、相手は1時間弱。かなり時間に押されながら、正確な手を探さなくてはいけなくなります。

31. dxc7 gxf4 32. c8=Q Rxc8 33. Qxc8 fxg3



これが黒の思い描いたポジションで、エクスチェンジを捨てても白キング前を崩せばチャンスがあるとの判断なのでしょう。これを守り間違えました。

34. Qd8?


34. Rg2! Nf3+ 35. Kh1 Nxh2 36. Rxg3 Ng4 37. Qd8 Qb2 38. Rg2 Qc3 39. Rd7 Qa1+ 40. Rg1 Qg7 41. Rd2 こう進んでいれば黒に決定的なアタックは無く、白は耐えています。この変化と同様に、私もQc8-Qd8, Rc2-Rg2 を指しましたが、順番が逆ではダメでした。

34... Qg6 35. Rg2?



白はこれでも苦しいですが、35. h3 Rg7 36. Rc8 Nf7-/+ としなければいけませんでした。

35... Nf3+ 36. Kh1 Nxh2-+


こうしてhポーンをナイトで取ってhファイルを開き、次にクイーンをhファイルに送り込まれると白にはディフェンスがありません。

37. Rd7 Nf3 38. Rxf7+ Qxf7 39. Rxg3 Qh5+ 0-1



試合終了時、相手の残り時間は53分でした。もちろん早く指せば良いというものではないですが、待ち時間90分フィッシャーで、1日2試合をこなすタフなセルビアのThird Saturday で勝ち続けるには、彼のような早く読み、早く決断できる強さも必要なのかと感じさせられました。

Asian Continental Chess Championships 2019 R9 Pairigs

そして最後に再びGM を引きました。GM Vishnu は間違いなく経験も力もあるプレーヤーですが、今回は3連敗で2つ負け越しまで落ちてきました。泣いても笑っても最後の試合ですので、ここを踏ん張りたいですね。そしてトーナメント終了から閉会式までの間には、ブリッツ大会も開催され、私は参加することを決めています。Chess Results に載っているということは、公式ブリッツだと思いますので、こちらもレイティングは変動すると思います。6年前、ヘロヘロの状態で参加してレイティングを大きく落とした、スペインマヨルカ島のブリッツ大会の借りを返してきたいですね。

Asian Continental Chess Championships 2019 Blitz Open Entry List

スタンダードのレイティングが2400弱なのに、ブリッツのレイティングが1700のやつは流石にずるいのでは(笑)


2019/06/13

Asian Continental Chess Championships 2019 R7


沙河の名産はぶどうだそうで、宿泊棟と試合会場間で選手を運ぶカートの後ろに、こうしてぶどうが積まれていることもありました。試合会場内にはiPhone を持ち込まないために写真は撮れていませんが、選手用に色々と用意されているおやつの中にも、ぶどうがありました。

今大会もいよいよ終わりが近づいてきました。7R の相手はフィリピンの14歳、Quizon Daniel です。この歳にしてレイティングは2350オーバー、さらにはIM のタイトルを持っているとは、フィリピンのレベルの高さに驚きます。

Quizon, D (IM, PHI, 2351) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (7)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c3 g6 7. O-O Bg7 8. Nbd2 O-O 9. h3 Re8 10. Re1 h6 11. a3 b5 12. Bc2 a5!?



Quizon は今大会、Torre 相手に9. Re1 Re8 10. Nf1 とナイトを早く退くラインで勝っていますが、解析してみるとさほど良くなかったと分かったのでしょう。この変化の代わりに、Gomez が私に使ってきたh2-h3 からナイトを退くのを遅らせるラインにしてきました。これには私から新しい手を出します。

13. d4 exd4!?


近年人気のKislik Variation や、古くからあるKeres Variation のように、センターポーンを交換してからc7-c5 のブレイクを狙います。このタイミングでの良し悪しはさておき、多少手堅さを捨ててアンバランスにし、勝負しやすい状況を作ります。

14. cxd4 Nd7 15. Nf1



こうしてd4 を守るのは自然に見えますが、b5 のポーンが弱いことをふまえると、15. Nb1!? からc3 に組み直すのも面白いアイディアです。

15... a4 16. Be3 Na5!


ビショップに当たるテンポは無くとも、cポーンを伸ばす準備をしつつ、b3, c4 への侵入を見せておくこの手は良かったでしょう。

17. Qc1 Kh7 18. N1d2 c5!



黒はセンターポーンの交換、ナイト退き、端へのナイト跳び、cポーン突きと、やりたいことがひとまず一通りでき、作戦成功です。これでd4 のポーンを伸ばさせれば、Benoni Defence のポーンストラクチャーになって勝負でき、ポーン交換になればゆっくりe4 へのアタックや、e5,d4 のマスでナイトを活用する楽しみが生まれます。

19. h4!? Nc6 20. e5?!


攻めにいくならこのポーンを突きたいところですが、さすがに準備が不十分です。20. dxc5 dxc5 21. h5 Bb7 22. Rd1 Nd4-/+ もしくは、20. d5 Nce5 21. h5 Ng4 22. Bf4 Ndf6 23. hxg6+ fxg6-/+ どちらの変化も黒が指しやすそうですが、これらを選ばなければいけなかったでしょう。

20... cxd4 21. Bg5!?



この20手目でかなりQuizon は考え込み、ひねり出してきた手がこれです。確かにd4 を取り返してただポーンダウンになるようでは勝負になりませんので、こうして難しい局面に持ち込むのは実戦的なアイディアだと思います。

21... hxg5 22. Nxg5+ Kg8 23. e6 fxe6


ここは、23... Nde5 24. exf7+ Nxf7 25. Rxe8+ Qxe8 26. Bxg6 Nce5-+ でも黒良しですが、本譜とどちらが分かりやすいか迷いました。

24. Be4



24. Bxg6 Nce5 25. Bxe8 Qxe8-+ こうして黒がエクスチェンジを返し、2ピースルークになる展開は、分かりやすく黒良しだと判断したのでしょう。さらに局面を難しくするため、クイーンでg6 を取りにきます。

24... Bb7 25. Bxc6 Rc8 26. Qb1 Bxc6 27. Qxg6 Nf6!


27... Qf6 28. Qh7+ Kf8 29. Qh5 Qf5! 30. Nxe6+ Qxe6 31. Rxe6 Rxe6-+ こうしてクイーンを返しても黒の駒得は十分なようですが、私はより分かりやすい変化を選びました。

28. Nxe6 Qe7 29. Nxd4 Qxe1+ 30. Rxe1 Rxe1+ 31. Kh2 Be8-+



こうして駒を捌き、クイーンを消しても駒得を維持すれば、黒の勝勢ははっきりしています。

32. Qg5 Bd7 33. Nf5 Bxf5 34. Qxf5 Rc5 35. Qf3 Rd5 36. Qf4 Re2


白マスビショップは消されてしまいましたが、白の反撃は不十分であることを確認して、白キングを攻めにいきます。

37. Nf3 Rxf2 38. Qc1 Rc5 39. Qe1 Rcc2 40. Qe6+ Kh8 41. h5?


時間切迫を耐え、なんとか40手に達したQuizon でしたが、時間が増えた直後にミスをしてゲームは終わりました。しかし、これが無くとも白が厳しい状況は変わりありません。41. Ng5 Rxg2+ 42. Kh3 (42. Kh1 Rge2 43. Nf7+ Kh7 44. Qf5+ (44. Ng5+ Kg6 45. Qf7+ Kh6-+ これがチェックから逃れる位置です。 ) 44... Kg8-+ ) 42... Rge2 43. Nf7+ Kh7 44. Ng5+ Kg6 45. Qxd6 Re3+ 上記と同様に逃げてチェックを切れば黒の勝ちです。

41... Rxf3! 42. h6 Bxh6 0-1



最後はポーンを取ったところで相手がリザインしましたが、代わりに42... Ng4+! 43. Qxg4 Be5+ 44. Qg3 Rxg3 45. b3 Rxb3+ 46. Kg1 Rb1# でもメイトの勝ちでした。ようやく今大会待望の2勝目です!

Asian Continental Chess Championships 2019 R8 Pairigs

8R の相手は中国のU18ランキング1位、IM Xu Zhihang です。昨年の秋、私がハンガリーとモンテネグロを往復している間、彼はセルビアの複数のトーナメントで大暴れして、一気にレイティングを200上げました。今大会は、ここまでGMに3敗して、レイティング-10 とさほど調子は良くなさそうなので、ここがチャンスだと見てポイントを取ってきたいと思います。


ぶどうが名産であることは、レストランにあるこちらの広告で知りました。老化防止やがんの予防にも効果アリと書かれているんでしょうかね。

2019/06/12

Asian Continental Chess Championships 2019 R6


少しこの写真でも見えづらいかもしれませんが、試合開催地は中国河北省の沙河と書かれています。事前の情報では、邢台市が開催地ということでしたが、さらにこの地区を沙河と呼ぶようですね。

後半戦6Rの相手はインドのIM Vignesh です。彼も私と同じ2/5 ですが、前半は上と当たってポイントを取っているため、残りの戦績次第ではGMノームのチャンスもあるプレーヤーです。

Vignesh, N R (IM, IND, 2459) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (6)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. d3 Be7 5. O-O O-O 6. Re1 d6 7. a4 Na5 8. Ba2 c5 9. Nc3 Nc6 10. Nd5 Nxd5 11. Bxd5 Be6 12. c3 Qd7 13. a5!?



このラインの実戦投入は初めてです。a4-a5 と伸ばすアイディアは珍しく、a6 まできた際にどう捌くかがその後の展開を大きく左右しそうです。

13... Bd8 14. a6 Bxd5!?


14... b5!? のようにポーン交換を避ける手もありだと思いますが、私はaポーンが弱点になっても、bファイルからの反撃があれば十分だと考えました。ナイトがe7 に退けるようになったタイミングで、白マスビショップを交換しておきます。

15. exd5 Ne7 16. axb7 Qxb7 17. c4 a5



aポーンの扱いには悩みました。a7 に置いたままもありえそうですが、将来的にRa1-Ra6,Re1-Ra1 とされると、d6,a7 の両方を狙われてしまうので、思い切って伸ばしてみることにしました。この手自体は大丈夫ですが、b5 のマスが弱くなることを軽視していたのが最初の失敗でした。

18. Ng5 Qd7?!


もう一つ考えていたラインで、18... Nf5! 19. Ne4 Be7 20. Nc3 Rfb8 21. Nb5 Nd4 22. Nxd4 cxd4 ならば、黒は願った通りにナイトを捌いてd6 を守り、bファイルから反撃を作ることでaポーンの弱さを補えていました。こうした状況を見据えてaポーンを伸ばしたつもりでしたが、f5 に跳んだナイトが浮くことと、キングサイドが手薄なことから、Qd1-Qg4 のようなアイディアもあるかもしれないと、本譜は慎重になりすぎました。

19. Qa4! Qxa4?!



d7 にクイーンを動かす前、当然クイーンをぶつけてくる手もありえると予想していました。この交換のオファーに応じたのが大きなミスで、bファイルからの反撃は遅く、さらにd6 のポーンが守りづらくなってしまいます。白クイーンがg4,h5 に出られなくなったことに満足し、19... Qb7! と戻る手が正解でした。

20. Rxa4 Ng6?


さらにこの手はひどかったです。普通に考えれば、Ne7-Nf5-Nd4 と潜り込む手が最も自然です。私も当然それを考えていましたが、突如、f2-f4 を止めたほうが良いと勘違いしてしまいました。20... Nf5 21. Ne4 Bc7 22. f4 f6 23. fxe5 fxe5 24. Ng5?! Nd4! がe6 を受けていることを見落としていました。e6 もb5 も受けるという意味で、d4 へのナイト切り替えは黒にとって必要不可欠でした。

21. Ne4! Bc7 22. Nc3!



ここもBc1-Bd2 と先に上がってくるというのが大きな勘違いで、白は当然b5 にナイトを刺し、bファイルからの反撃を封じてからゆっくりa5 を攻めにきます。この時点で黒の作戦は完全に破綻したことが分かっていたので、仕方なくエクスチェンジを捨てた決死の抵抗を試みることにします。それにしても、20手付近ですでに苦しいエンドゲームに入ることが決まるのは、色々なゲームをしてきましたが、なかなか珍しい経験です。

22... Rfb8 23. Nb5 Rxb5 24. cxb5 Rb8 25. Bd2 Rxb5 26. Rea1 Rxb2 27. Bxa5 Bxa5 28. Rxa5 h5


伸ばしたhポーンが、後にルークのターゲットにもなりえますが、g2-g4 を止めて、f5 のマスをナイトのために確保しておきたいですし、ポーンをどう伸ばすかは悩むところです。

29. Ra6 Nf4 30. Rxd6 Rd2 31. Rc6 Nxd5 32. Rxc5 Rxd3 33. g3 e4?!



ここはどちらのポーンを突くか、とても悩みました。結論から言えば、どちらも負けの可能性が高いですが、おそらくディフェンスのチャンスがあるのは、fポーンだったでしょう。33... f6!? 34. Kf1 (私もfポーンを突くのが最初悩みでしたが、7段目が開き、g7 がターゲットになることを恐れました。34. Ra7 h4 35. Rb5 h3 36. f3! (試合中、恥ずかしことにキングが寄られて負けだと思っていました。36. Kf1?? Rd1+ 37. Ke2 Nc3+-+ は黒の大逆転です。 ) 36... Kh7 37. Rd7 Rd1+!? 38. Kf2 Rd2+ 39. Ke1 Rxh2 40. Rdxd5 Rg2 41. Kf1 Rxg3 42. Rd2 Rxf3+ 43. Kg1 この4ポーンvs. ルークをコンピュータは白勝ちと判断しますが、人間が指すとどうなるかまだ分からないでしょう。) 34... Kh7! 35. Ke2 Rd4 36. Rd1 Rxd1 37. Kxd1 Ne7+/- こうなると、黒はeポーンをしっかり守ったまま、ポーンが4vs.3で戦うことができます。これだとナイトでも守りきれる可能性があるでしょう。

34. Ra8+ Kh7 35. Re8!


e4-e3 を消すために、ポーンは横からではなく後ろから攻撃します。これでもe4 はぎりぎり守りきれると思っていましたが...

35... Nf6


35... e3 36. fxe3 Nxe3 37. Rxh5+ Kg6 38. Ra5 Ng4 39. Re2 こうしてポーン交換を進めておく手もあったでしょう。

36... Re7 Kg6 37. Rc6!+-



こうしてナイトがピンにされると、e4 を守りきることができません。ルークを4段目、もしくはe1 に潜り込ませて守ろうとすると、ルークを7段目に重ねられてf7 を取られ、やはり負けです。こうなるとe4 を諦めて戦うしかありませんが、ルーク交換も時間の問題ですので、黒には希望がありません。せめてe5 のまま伸ばさずに、ポーンを守りきれていたらと思いますが、先述の変化を読めなかったので仕方ないです。

37... Rd8 38. Rxe4 Rd7 39. Kg2 Ra7 40. Re5 Rb7 41. h3 Ra7 42. Rb5 Rd7 43. Ra6 Re7 44. Ra8 Kh7 45. Rba5 g6 46. R8a7 Rxa7 47. Rxa7 Kg7


h5-g6-f7 の形にはしたものの、白キングがゆっくりと上がってくる恐怖に待つしかない状況ですが。こうしたポジションでは、キングをe8 あたりまで潜り込ませて、f7 をアタックするのが原則だと知っていましたが、ナイトでの抵抗をどうかいくぐるのが知りたくて続けてみることにします。

48. Kf3 Ne8 49. Ke4 Nd6+ 50. Kd5 Nf5 51. Ke5 Nh6 52. Rb7 Ng8 53. Kd6 Nf6 54. Ke5 Ng8 55. Rb6 Ne7 56. g4!



通常はポーン交換は負けている側に嬉しいものですが、ここではg5 にポーンを刺し、ナイトの行き場を消すアイディアが黒にとって厳しいものになります。

56... hxg4 57. hxg4 Ng8 58. f3 Nh6 59. Rb7 Kf8 60. Rb8+ Kg7 61. Re8!


上手いですね。こうして手を待たれると、いよいよ黒はできることがありません。

61... g5


61... Ng8 62. g5! Kh7 63. Kd6 Kg7 64. Rc8 Kh7 65. f4 Kg7 66. Kd7 Kh7 67. Ke8 Kg7 68. Rc7 とキングに潜り込まれても、f7 を取られて負けです。

62. Ra8 f6+ 63. Ke6 Kg6 64. Rh8 1-0



ナイトvs.ルークのエンドゲーム、勉強させてもらいました。それにしても序盤が酷かった...

次はフィリピンの14歳、IM Quizon Daniel との対戦です。フィリピンの天才少年は今大会、大先輩のGM Torre を破るものの、格上4人に敗れて1.5/6 と苦しんでいます。互いにもう負けられない後半戦、最後まで気力を振り絞って戦います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R7 Pairigs



沙河のマスコットキャラでしょうか。捻りがないですね(笑)

2019/06/11

Asian Continental Chess Championships 2019 R5


海外のチェストーナメントに来ると、食事が美味しくない、食べられるものがないといった話も時々聞きますが、幸いなことに私は食事で困った経験はあまりなく、日本から携帯食を持ってくることもほぼありません。今大会は中華を中心に、ベジタリアンの選手も困らないように野菜のメニューや、ファーストフードなども揃えられています。

5R の相手は中国のIM Dai Changren です。名前に聞き覚えがあったのは、2年前のWorld Cup でKramnik と対戦していたからでした。2500弱のレイティングですが、中国のトップ選手はもちろんのこと、つい先日はGrischuk といった世界のトッププレーヤーとも対戦をしている経験豊富な相手です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Dai Changren (IM, CHN, 2480)
Asian Continental 2019 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 Bd7!?



彼のメインレパートリーであるKing's Indian は予想していましたが、この変化は意外でした。7... e5 8. dxe5 dxe5 9. Bg5 Be6 10. Nd2 をメインで用意していたため、それに近くなるようにします。

8. b3!? e5 9. dxe5 dxe5 10. Bg5 Qc8 11. Nd5


b2-b3 を挟んだことで、a1-h8 のダイアゴナルが少し危なく、Qd1-Qa4 のような手も指せませんが、その代わりに黒も白マスビショップがd7 であるため、d5 のマスを受けられていません。本譜ではそれを利用し、すぐにナイトをd5 に飛び込んで勝負します。

11... Nxd5 12. cxd5 Nd8 13. Rc1 f5 14. Nd2 Nf7 15. Be3+/=



白はスペースとc7 へのプレッシャーで少し有利です。知らないオープニングでもひとまず成功を収め、ここからが本番です。

15... e4 16. f3 exf3 17. exf3!


どれで取り返すか少し悩みましたが、d5 を孤立ポーンにしても、e2 のポーンが弱点として残らないほうが良いと考え、ポーンで取り返す手を選びました。

17... Re8 18. Bf2?!



しかし、この付近からやや不正確な手が出始めます。Re8-Rxe3, Bg7-Bd4 のような筋を気にしてビショップを下げておきましたが、eファイルを先に取られるほうが厄介でした。ここは18. Re1 で白はまだ優位を保てています。

18... Bb5 19. Re1 Rxe1+ 20. Bxe1 Qd7 21. f4


e4 のマスを弱めてしまい、Nf7-Nd6-Ne4 を狙われそうですが、g2 のビショップを閉じたままで、d5 を狙われては仕方ないため、このポーンを伸ばすことにします。

21... Bb2 22. Rc2 Bd4+ 23. Kh1!



ここはルークを守るためにビショップを挟む一手に見えますが、f2 に上がったキングが危ないと感じ、少し時間を使って読んでこちらを選びました。

22... Re8


23... Bd3 24. Nc4! Bxc2 25. Qxd4 c5! 26. Qxc5 Be4 27. Bc3 Bxg2+ 28. Kxg2 このポジションは黒キング周りの黒マスが弱いため、エクスチェンジの代償は十分ありそうです。

23. Nc4?


しかし、ナイトのマスがここで違いました。24. Nf3! Bf6 (24... Bb6?! 25. a4 Ba6 26. a5 Be3 27. Bc3+/-) Bf2=

23... Qe7?!



黒が有利になるのは、この瞬間しか無かったでしょう。24... c5! 25. Bf3 Bxc4 26. bxc4 Nd6-/+ こうなると先述の通り、e4 のマスの弱さが気になります。

25. Ba5! Bc5 26. Bf3 Bxc4 27. bxc4!


ここはcファイルのオープンにこだわると失敗です。27. Rxc4? b6 28. Bd2 Nd6-/+

27... b6 28. Bc3 Qe3 29. Kg2 Kf8 30. Bf6 Qe1 31. Re2!



ルーク交換だけでも楽になりますが、ここではクイーンも交換できるため、eファイルを抑えられていたやや苦しい状況は、完全に脱することができます。

31... Qxd1 32. Rxe8+ Kxe8 33. Bxd1=


こうなれば白は問題ないはずと思いつつ、c4 のポーンを守りだけが少し気になりました。

33... Nd6 34. Be2 Ne4 35. Be5 Bd6 36. Bd4 Kd7 37. Bd3 Bc5 38. Be5 Nd6 39. h3 Nf7 1/2-1/2



最後はドローで合意して試合を終わらせました。1つの緩手でアドバンテージを逃してしまったのはもったいなかったですが、いろいろとミスもありながらも面白いゲームだったと思います。そしてこのラウンド、女子セクションでは妻のなつみがバングラデシュのマスター相手に、今大会初勝利を挙げました!

Hamid, R (WIM, BAN, 1929) - Kojima, N (WCM, JPN, 1711)
Asian Continental 2019 (5)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 d6 8. c3 O-O 9. h3 Nb8 10. d4 Nbd7 11. Nbd2 Bb7 12. Bc2 Re8 13. Nf1 Bf8 14. Ng3 g6 15. Nh2 c5 16. d5 c4 17. Be3 Nc5 18. Qd2 Qc7 19. Bg5 Be7 20. Nf3 Nfd7 21. Bxe7 Rxe7 22. Qg5 f6 23. Qg4 Rg7 24. Rad1 Bc8 25. Qh4 Rf7 26. Qh6 Nb6 27. Rd2 a5 28. Nh2 b4 29. Re3 b3!



30. axb3 cxb3 31. Bd3 Nxd3 32. Rexd3 a4 33. Rd1 Nc4 34. Qc1 a3 35. bxa3 Rxa3 36. Ngf1 Bd7 37. Ng4 b2 38. Qc2 Ba4 39. Qe2 Bxd1 40. Rxd1 Rf8 41.
Nd2 Nxd2 42. Qxd2 Qxc3 43. Qe2 Ra1 44. Ne3 Rxd1+ 45. Nxd1 b1=Q 0-1


キングサイドをきっちり守ったうえで、クイーンサイドからしっかり反撃を作れていると思います!

私は3人目の中国とのマスターとの試合で中国勢への連敗を止め、次のラウンドでは、インドのIM Vignesh との対戦します。またもや若く力のあるプレーヤーとの試合になりましたので、力負けしないように指してきたいと思います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R6 Pairigs


レストランには検討用のボード3つと、中国らしく卓球台が置かれています。この1台の卓球台が中国勢だけでなく、インド勢にも大人気で、気づくと毎日誰かがプレーしています。GM Aryan が大真面目に検討する奥で、GM Vidit たちが卓球に興じるというのは、なかなか面白い構図ですね。


私もモンゴルの女子選手、Munkhzul と昨日卓球をしてきました。彼女は将棋も熱心で、先月は、リコー杯女流王座戦に参加するために来日しました。そこで青嶋くんと指している写真を見た人も多いかと思います。チェスだけでなく将棋もきっかけとなって、もっと海外選手との交流が進むと良いですね。

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