2018/04/21

Kitasenju Meeting on 21st April 2018


今日は久々に北千住の例会に参加してきました。20名以上の参加者がいて、いつもは余裕のあるスペースも多少譲り合うような状況でした。チェスクラブが盛況なのは良いことですね。私は仕事の都合で14時からの1試合しか指せませんでしたが、面白いゲームができたので今夜はこちらをご紹介します。

Higashino, T - Kojima, S
Kitasenju (1)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. Qc2 e6!?



English Opening にはSlav Formation でしばらくいこうかと思っていますが、その中でもd2-d4 が遅い場合、キングサイドにフィアンケットを組んだり、Bc8-Bg4 と指したり、色々と試している最中です。今回はQd1-Qc2 を見て、Semi-Slav Accelerated Meran をイメージし、c6-c5 を突きなおすセットアップを考えました。

6. b3 c5 7. Bb2 Nc6 8. a3 Be7 9. Be2 O-O 10. O-O b6


ここは早めにd5-d4 と押し込んでBenoni Structure にするか、それとも様子をもう少し見るか悩みました。黒の一番の気になるポイントは、白マスビショップをどこに展開するかですので、フィアンケットの準備をしつつdポーンを押し込むタイミングを図ります。

11. Rfd1?!



白もd5-d4 を覚悟で準備をし、黒の仕掛けが遅ければd2-d4 を指そうと試みますが、この待ち手は変だと思いました。先述のようにBenoni の形になった場合、d1 のルークは特に働かないためです。代わりに11. d4 cxd4 12. exd4 Bb7 ならば、全く違う形でお互いに指すことができそうです。

11... d4! 12. exd4 cxd4 13. Ne4 Bb7 14. d3!? a5!?


14... Nxe4 15. dxe4 e5 16. Ne1 も考えましたが、dファイルにルークが回られたのに、dファイルを開かせるのは少し嫌でした。d4 のパスポーンは確かに強そうではありますが、d3 をブロックされて長い戦いになることは目に見えているので、d3 のポーンを弱点として残すほうが良いと私は考えました。

15. Nxf6+ Bxf6 16. Qd2?!



東野さんはBenoni の基本通りにbポーンを伸ばそうとしますが、ここでは上手いプランではないように思えます。16. Nd2 からe4 のマスを活用するほうが良く、本譜のクイーンの動きはd2 のマスでナイトを使うチャンスを消してしまうことになります。

16... e5! 17. b4 Re8 18. b5


通常のBenoni と違ってbポーンを伸ばすプランが強くない理由は、白はeファイルからの攻撃を準備していないため、c6 のナイトがいなくなってもターゲットがないこと、またキングサイドフィアンケットを組んでいないため、黒のbポーンにビショップのプレッシャーがないことが挙げられます。むしろ黒としてはbポーンを伸ばしてもらい、c5 をナイトの絶好のアウトポストにしてもらうほうが都合が良いでしょう。

18... Nb8! 19. Ne1 Nd7 20. Bf3 Bxf3 21. Nxf3 Nc5



ピースは多少捌けていますが、黒のナイトが好位置に来たことで、b3 への侵入やd3 のポーンの負担を白は常に気にしなければいけなくなります。加えて、黒はすでにe5-e4 のブレイクが十分できる形です。

22. Qc2 e4! 23. Ne1


23. dxe4? d3! 24. Qb1 Bxb2 25. Qxb2 Rxe4-/+ こうなれば黒が完全に局面を支配しています。c4 のポーンは負担になり、逆にd3 のパスポーンは非常に強力です。

23... a4!? 24. Rab1


ここは白も黒も互いにセンターポーンをどう捌くか悩むところです。私は24. dxe4 Rxe4 25. Nd3 Nb3 26. Rab1 Qd6 と進む流れは、黒が優勢だと判断しました。d4 のポーンは孤立ポーン、ターゲットとしての弱さよりも、パスポーンとしての強さが十分にあると思います。そのため、23手目ではe4 を取らても良いと思ってaポーンの押し込みをしましたが、ずっと待つのもどうかと思ったので、eポーンの押し込みにプランを変更します。

24... e3 25. Nf3 Ra7 26. Re1 Rae7 27. Rbd1 h6



小さい手ですが、自分からはアクションを起こさずにバックランクを外しておきます。e3 でのポーンのぶつかり合いは、どう捌いてもd3 のポーンが負担として残ります。

28. fxe3 Rxe3 29. Rxe3 Rxe3 30. Bc1 Re6 31. Qf2 Qe7 32. Kf1


残り時間はほとんどありませんでしたが、この辺りは上手く指して白にプレッシャーをかけ続けられたと思います。32. Nxd4 Bxd4 33. Qxd4 Re1+ は当然黒の勝ちですので、白はd4 を取ることはできず、e2 のマスを守らなければいけません。

32... Nb3! 33. Bb2 Re3! 34. Re1 Qd6!



白の頼みの綱のルーク交換も上手くいかず、これで黒の勝ちになったと思いました。e3 でピースを交換しても、b2 のビショップが浮いているため、白はポーンを取ることができません。

35. Qg3 Nd2+ 36. Kf2 Qxg3+


クイーンを交換しても黒勝ちのエンドゲームですが、36... Qe7! 37. Qf4 Nxf3 38. Rxe3 dxe3+ 39. Kxf3 Bxb2 としてビショップを取ってしまう流れもありました。

37. hxg3 Nxf3 38. gxf3 Rxd3 39. Re8+ Kh7 40. Ke2 Rb3 41. Bc1 Rc3 42. Kd1 Rxf3 43. Rb8 Rf1+ 44. Kc2 d3+ 45. Kxd3 Rxc1 46. Rxb6 Rc3+ 0-1



東野さんとのゲームは、あまり良くないポジションから誤魔化してしまうことがこれまで多かったですが、今日は全体を通して大きなミスなく、丁寧に指すことができたと思います。全日本直前の調整として、良いゲームが指せたので、北千住に足を運んだ甲斐もあるというものです。参加者の皆さん、お疲れ様でした。

ところで、今日はまだ更新前のレイティングをカルテには書いていますが、国内レイティングの締め切りは偶数月の20日ですので、今日の試合の計算は新しいレイティングになってから、6月の更新に回されるはずです。4月20日締めのレイティングも来週半ばには公開されると思いますので、そちらもお楽しみに。

2018/04/18

Melkumyan's Endgame Technique

最近はなかなかブログが更新できていませんが、全日本に向けて毎日チェスの勉強は続けています。Chess24 ではEuropean Women's Championship、Chinese Championship などいくつかの大会を追っていますが、その中でも注目は18th Bangkok Chess Open です。Open クラスは先ほど6R が終了したところですが、トップボードではアルメニアのGM Melkumyan が、2試合連続で素晴らしいゲームを見せてくれました。

Tran, T M (GM, VIE, 2514) - Melkumyan, H (GM, ARM, 2669)
18th Bangkok Chess Open (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 Re8 6. a3 Bf8 7. Nf4 d6 8. Bd3 e5 9. Nfe2 d5 10. cxd5 exd4 11. Nxd4 Nxd5 12. Bxh7+ Kxh7 13. Qh5+ Kg8 14. Qxd5 c6 15. Qxd8 Rxd8 16. O-O



このゲームはこのポジションから見始めました。ここまでの手順が全く分からず、2回ほど初手から見直します。Nimzo-Indian の5. Nge2 Variation は私も何回か指されたことがあり、Rf8-Re8, Bb4-Bf8 のアイディアがあることは知っていましたが、このポーンサクリファイスの変化は見たことがありませんでした。黒はh7 で1ポーンを捨てていますが、ダブルビショップとdファイルのコントロール、白マスの将来的な使いやすさで代償を得ています。

16... Nd7 17. b4 Ne5


白マスビショップを消してしまった白は、d3,c4 といったマスにナイトを入られてしまいそうなことが気になります。そこで黒マスビショップを展開する前にe5 のナイトを追い返そうとしますが、黒は巧みな手順でそれに対抗します。

18. Na4!? b6! 19. f4 c5! 20. fxe5 cxd4 21. exd4 Rxd4



センターのナイトは捌けましたが、代わりにe5 まで進んだポーンが伸びすぎでターゲットになりそうです。黒は相変わらずダブルビショップをキープし、d4 のアクティブなルークも嬉しい存在です。

22. Bb2 Rg4 23. Rac1 Be6 24. Rfe1 Rd8


ここは読み切るのが難しいですが、面白いアイディアがありました。24... a5! 25. Nxb6 Ra6! 26. bxa5 Rxa5 と進めば、黒はa3 とe5 をターゲットにしつつ、Bf8-Bc5+ も狙って楽しみにあるポジションです。

25. Nc3 a5!



Melkumyan は白がナイトを退き、b6 を狙えなくなったタイミングを見計らってaポーンを伸ばします。白はa3 のポーンがターゲットになれば、駒得を長く維持することは難しくなるでしょう。

26. bxa5 bxa5 27. h3 Rg3 28. Kh2 Rgd3 29. Ne4 Rb3 30. Rc2 Be7 31. Bc1 Rb1!?


私が面白いと思ったのはこの辺りです。黒は取りかえせるポーンを無視してプレーします。a3 のポーンを取ってパスポーンを作っても、ビショップを交換してしまうことは白に楽をさせてしまうとMelkumyan は判断したのでしょう。

32. Rce2 Rd3 33. Bb2 Rxe1 34. Rxe1 a4 35. Re2 Kh7 36. Bc1 Kg6



黒はポーンを取りかえすことを焦らず、キングのポジションを改善してチャンスを待ちます。

37. Nd6 Rc3 38. Bb2 Rb3 39. Bc1 Bh4 40. Re3 Bg5!


黒はb3 でのルーク交換か、a3 のポーンのタダ落ちか、嫌な選択を白に迫ります。a3 のポーンを取るだけであれば、もっと早い段階でBxa3 を入れても良いのでは? と思いましたが、ゆっくりキングをg6 まで上げてきたことで、e5 のポーンの負担が大きくなっていることがポイントです。

41. Rxb3 axb3 42. Bb2 f6!



白の最後の希望であるb3 のポーンのブロックを外すアイディを見つけ、黒は勝ちを引き寄せます。白はこのポーンを取るわけにいきませんが、そうなれば黒はeファイルにパスポーンを得て、白のピースの働きを制限します。

43. Kg3 fxe5 44. Kf2 Bd5 45. g4 e4 46. Nf5 Bf6 47. Bxf6 Kxf6 0-1


最後は黒マスビショップ同士をぶつけ、ブロックを外せば黒の勝ちです。エンドゲームであ焦らないことが肝心だと言われますが、Melkumyan はまさにそのことを盤上で見せてくれました。

ちなみに白を持っていたベトナムのTran Tuan Minh は、8年前、ブダペストで私と馬場さんが対戦しています。少年と呼べる年頃から海外に長期滞在して腕を磨き、現在はベトナム代表の座を狙える位置まで成長したTran Tuan Minh ですが、このラウンドでは2600後半のMelkumyan に力の差を見せつけられた感じがします。世界は広いですね。

そしてこのタイのトーナメントには、Open、Challenger 2つのクラスに日本から数名のプレーヤーが参加しています。今年のカペルに一緒に参加した阿部くんは、6R で1900に2勝目を挙げ、ここまで好成績を収めています。これらのゲームは帰国後、彼がブログで紹介してくれることを楽しみにしています。中継されている上位ボードでは、明日以降も面白いゲームが見られるよう期待しています。

18th Bangkok Chess Open R7 Pairings
18th Bangkok Chess Open Live Games


2018/04/09

Japan Chess Championship 2018 Tournament Preview


昨年の全日本選手権

遅くなりましたが、4月最初の更新です。新年度に入り、毎年恒例の全日本選手権が近づいてきました。今年は少し変則日程で、4/29-5/2 までで前半の8R を戦い、1日休みを入れて、5/4-5 の2日間で最後の3試合を戦います。全日本と並行して開催されるゴールデンオープンも、5/2,4,5 というスケジュールです。休憩日を挟むことは海外のトーナメントでは珍しくありませんが、私に知る限り日本では初の試みです。それにしても、平日の5/2 に試合をし、5/3 を休みにするというのは少し不思議ですね。

そうした不思議な開催日程にもかかわらず、各地方予選を戦い、全日本出場の権利を獲得したプレーヤーたちは続々とエントリーを行っています。私もリストにはまだ反映されていませんが、今日、参加の手続きをしてきました。私にとっては、15年連続15回目の全日本選手権です。過去に優勝は5回、2位は4回で、昨年も含めて全て2位の際は、1位と0.5P差の僅差でした。毎年、今年こそは優勝をと書いている記憶がありますので、今年はあえてそれを言わず、全体を通して良いプレーができればと思います。

全日本選手権2018 エントリーリスト

現在のエントリーは39名ですが、もう少し増えると思います。オリンピアードイヤーの今年、代表を決めたメンバーが全日本でもその力を発揮するのか、それとも下位のプレーヤーがどんでん返しを見せるのか、今回も楽しみなゴールデンウィークになりそうです。それでは参加者の皆さん、よろしくお願い致します。

2018/03/29

Grandmaster Preparation Calculation


今夜は、最近読み進めている本の紹介です。Grandmaster Preparation シリーズは、デンマークのGM Jacob Aagaard によって書かれており、彼の公式HP では、Calculation、Strategic Play、Positional Play、Attack and Defence、Endgame Play の5冊が紹介されています。2月に羽生さんとお会いした際、この中の1冊であるCalculation をいただきました。中身は基本的にタクティクスの問題集なのですが、そのタイトル通り、かなり読まなければ正しいラインを見つけられないものが多くなっています。例えば今日解いた中で面白かったのは、以下のポジションです。


Najer, E (GM, RUS, 2681) - Lysyj, I (GM, RUS, 2612)
62nd Russian Championship Higher League 2009(2)
White to move

14. Nb5!


実際のゲームでは14. c4 と指し、それでも白がゆっくりとしたゲーム展開で勝利を収めましたが、こちらの手はさらに強力です。すぐにクイーンを交換する変化は白が良さそうなので、黒はクイーンをかわしますが...

14... Qb6 15. Qxd8+! Bxd8 16. Be3 Qa5 17. b4 Qxb5 18. Rxd8+ Qe8 19. Rxe8+ Nxe8 20. Rd1+/-



まだ駒数こそイコールですが、白はダブルビショップとdファイルのコントロールで大きなアドバンテージを握ります。クイーンを捨てても必ず取りかえせるのが、この変化のポイントですね。しかし、何かあると言われれば気付きそうですが、Najer もベストムーブを逃しているので、なかなか実戦で指せるかというと難しいでしょう。他にもAronian が逃したタクティクスも紹介されており、そちらはさらに難しいかもしれません。


Nakamura, H (GM, USA, 2753) - Aronian, L (GM, ARM, 2807)
Grand Slam Final 4th 2011(8)
Black to move

こちらは解答を書かないでおきます。是非チャレンジしてみてください。ちなみに私はさっぱり分かりませんでした(笑)

私は自分があまり正確に読まないタイプ(大局観とポジショナルプレー中心で、正確に読まずとも指せる局面を目指すタイプ)だと思っていますが、昨年のマン島でのNihal Sarin 戦のように、正確な読みが必要な局面でメイトを見逃して負けということもあります。自身の弱点を克服するために、こうした細かな計算が必要な問題に取り組むのも必要だと思い、この本を読み進めています。しばらくは投げ出さずに続けていきたいですね。


2018/03/26

ACC Spring Camp 2018


3月23-24日の2日間、麻布学園チェス部の合宿に顔を出してチェスの指導をしてきました。私の出身クラブでもある麻布のチェス部は私が現役時代から、春と夏の年2回、関東近郊で合宿を行っています。ここ数年は合宿内での試合数を減らし、2日間は私の行うレクチャーに時間を割くようにしています。今回の合宿地は埼玉県の秩父で、私は初めて足を運ぶ地でした。


池袋から特急レッドアローと市バスを乗り継ぎ、初日の昼前に合宿地である秩父の宿に到着しました。私が着く前日から合宿をスタートさせた後輩たちは、中1から高1まで4学年14人、私が初めて見る顔が半数近くでした。早速、初日の前半はちょっとしたタクティクスの問題と、ゲーム全体の流れを見るためにゲームの紹介をします。例えば以下の局面で白番、子供たちはああでもない、こうでもないと知恵を振り絞って答えを探します。


Ljubojevic, L - Durao, J
Orense 1974
White to move

22. Nd6+! Bxd6 23. Qa6+! Kc7 24. Qxa7+ Kc8 25. Bb5!! 1-0


f1 のマスを守りつつ、Bb5-Ba6 のメイトスレットを作る最後の手が難しいですね。25... cxb5 26. Qa6+ Kc7 27. Bxd6# でもぴったりメイトなのが美しいと思います。


夜は麻布の合宿で恒例となっている同時対局です。ここでの合宿は、私がここ数年で行っている同時対局の中でも、かなりポイントを落とす可能性が高くなっています(笑) 今回こそ全勝を目指しましたが、中学生2人にひどいミスが出て2敗し、12勝2敗にとどまりました。1つ紹介するとすれば、高1の澤部くんとのゲームは面白かったです。

Kojima, S - Sawabe, I
ACC Spring Camp 2018 Simulteneous

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c3 b5 7. Bc2 Bb7 8. O-O Nb8 9. Re1 c5 10. Nbd2 Nbd7 11. Nf1 Qb6 12. Ng3 g6 13. d4 Bg7 14. a4 O-O 15. h3 Rfe8 16. d5 c4 17. Be3 Qc7 18. Qd2



白黒互いにいくつかのテンポロスがありながら、Ruy Lopez Breyer のメインラインとほぼ同じ局面になりました。

18... Reb8 19. Ra2


指した直後にaファイルから手を作るのであれば、b3 のマスもカバーしておく19. Ra3 のほうが良かったと後悔しました。黒は当然ナイトをc5 に運び、b3 のマスへの跳び込みを見せておきます。

19... Nc5 20. Nh2 Nfd7 21. Rf1!?



最近見たHou Yifan のゲームで、f2-f4 からキングサイドで上手くアタックが決まる好例がありました。aファイルでいかないとなれば、白はキングサイドからのアタックを準備します。

21... Nb6 22. f4!? Ncxa4?


私は思い切ってa4 を捨て、キングサイドアタックのスピードに期待します。22. axb5 axb5 23. Rxa8 Rxa8 24. f4 も安全策としてありそうですが、黒のaファイルからの反撃は早そうですし、いざというときに2つ目のルークが無ければ、キングサイドアタックのパワーが落ちると考えました。

それに対する黒の手が失敗で、22... exf4 23. Bxf4 Nbxa4 24. Ng4 としてビショップをf6,h6 のマスのカバーに残しておくか、22... Nbxa4 23. fxe5 Bxe5 24. Ng4!? Bxg3 25. Bd4 Be5 26. Qg5 として、a4 のポーンを違うナイトで取るほうが良かったでしょう。

23. fxe5! Bxe5 24. Ng4!



私はある程度読んで、g3 のナイトを捨ててもOKだと判断しました。黒キング前の黒マスの弱さをついて白はアタックを仕掛けます。

23... Bxg3 25. Nh6+ Kh8


25... Kg7 26. Rxf7+ Qxf7 27. Nxf7 Kxf7 28. Bxb6 Nxb6 29. Qe3!+- この局面でb6 のナイトとg3 のビショップがダブルアタックになるのがポイントです。22手目でもう1つのナイトでa4 を取るべきだったのは、白のこのタクティクスを防ぐためでした。

26. Rxf7! Qxf7


クイーンを逃す手には多少迷いますが、白は黒キングへの攻撃が豊富にあり、その中から分かりやすいものを選ぶだけです。26... Qc8 27. Bd4+ Be5 28. Bxe5+ dxe5 29. Qg5 Nd7 30. Nf5!+- (30. Qe7? Qc5+!)

27. Nxf7+ Kg8 28. Ng5+-



クイーンを取り、黒キングもまだ危険な状態にあるため、これで白の勝勢です。ここから数手でブランダーがあり、黒のピースがさらに落ちて白勝ちとなりました。


2日目も朝食後、昼まで3時間ほどレクチャーです。前日に続いて、Botvinnik やSpielmann のゲームを紹介し、白が築く序盤の優位や、それに黒がどう対抗するかなどを解説しました。昼過ぎののゲームの途中で私は宿を後にし、後輩たちよりも早く東京に戻ります。2日間で学んだことを活かせたかは気になるところですが、今後の大会でそれは見せてもらおうと思います。今年も麻布のチェス部での合宿は非常に楽しく、私にとっても勉強になる場でした。


バスで西武秩父駅前に戻り、帰りの電車の時間まで少し近場を散策してみることにします。羊山公園は西武秩父駅からすぐの小高い丘にあり、ここに向かうのはちょっとした運動にぴったりです。秩父の桜は少し遅れ気味でしたが、それでもなんとか咲いているのを発見。今週末には見ごろなのではないかと思います。


西武秩父線は羊山公園を横切るように通っています。時間が合えば、貴重な特急列車、レッドアローと遭遇することもあるでしょう。

2018/03/19

第4回七盤初心者のためのチェスレッスン

カペルから戻り、一週間のんびりしていると、次のいっぷくのレッスンまで2週間を切っていました。いっぷくでのチェスレッスンは3月はお休みで、次は4月の1日開催です。皆さんのお越しをお待ちしております。

【日時】 2018年4月1日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 タクティクス
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

4月のレッスンでは、相手の駒を取ったりキングを攻撃したりする手筋、いわゆるタクティクスをテーマとします。基礎的なタクティクスの説明から、面白い組み合わせまで、皆さんに楽しんでいただける話をできればと思います。4月のレッスンも、よろしくお願い致します。

そしてこの日はいっぷくで14時からスタートの、Tokyo Chess Meetup が主催するブリッツ大会にも参加する予定です。このチェスクラブには私も先日、下北沢の例会に参加してきました。いつもと違う顔ぶれでのチェスが楽しめることを期待しています。それではどちらのイベントの参加者も、4/1 にいっぷくでお会いしましょう。

2018/03/11

Cappelle la Grande 2018 R9


優勝スピーチをするGM Bauer

今年の長かったカペルもようやく最終戦を迎え、大会は全日程を終了しました。私は最終戦、イタリアのFM Santagati との対戦です。彼は私が5年前に参加したイタリア、シチリア島はアグリジェントのトーナメントでも一緒にプレーしており、私のことを覚えてくれていました。今大会はニカラグアのFM と行動を共にしており、期間中に何度か顔を合わせて話をしています。

Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Santagati, A (FM, ITA, 2247)
Cappelle la Grande 2018 (9)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1 dxc4 9. Bxc4 c5 10. O-O!?



最終戦は3Rと同じRagozin になりましたが、私から前回の手を変えます。3R後に調べなおしたところ、こちらのラインも面白いと感じました。どうしても勝って大会を終えたかったため、早い段階のライン選びから工夫を凝らします。

10... cxd4 11. Ne4 Qe7 12. a3 Ba5 13. Qxd4 Rd8 14. Qe5 Nc6?!


試合後にSantagati とは、この手がすでに不正確なのではないかと話をしています。一見自然な展開の手にも見える14... Nc6 ですが、クイーンをキングサイドに振られた後で、キング前のディフェンスに気を配らなくてはならなくなります。14... Bb6! と早めにビショップを退いておけば、c5 のマスをカバーしつつ、Nb8-Nd7-Nf6 のチャンスを残すことができました。

15. Qh5 Bd7 16. g4!



白は黒駒がクイーンサイドに集まりすぎていることに着目し、薄いキングサイドを攻撃しにいきます。単純な狙いですが、次のg4-g5 を防がなければ、黒はキング前を崩されてしまいます。

16... f6 17. Qc5?!


しかし、私もこの手は緩手でした。黒のf7-f6 でe6 のポーンが弱くなり、クイーン交換からe6 を狙うアイディアが良いように感じました。ただし、これは少しタイミングが早く、17. Rfd1 Bb6 18. Nd6 Be8 19. Nxe8 Rxd1+ 20. Rxd1 Rxe8 と指したほうが良かったと思います。

17... Kf8?


この手は最初はなるほどと思いましたが、大きな落とし穴があります。17... Bb6! 18. Qxe7 Nxe7 19. Rfd1 Kh7! であれば、黒はe6 の守りも大丈夫で、満足にゲームを続けることができそうです。

18. Nh4!+-



g6 のマスが弱くなっているため、ここでのナイトフォークのアイディアは単純ながら強烈です。

18... Qxc5 19. Nxc5 g5 20. Bxe6 Ke7 21. Bxd7 gxh4


ひとまず駒得を確定させた私は、ここで少し時間を使ってこの先のプランを考えます。2ポーンアップのダブルルークエンディングになる未来は見えますが、そこから確実に勝つ方法があるか、この時点から読みを進めます。私は白のポイントとなる手をいくつか見つけ、そのラインに跳び込む決意を固めました。

22. Bxc6 bxc6 23. Nb7 Rd5 24. Nxa5 Rxa5 25. Rxc6 Rb8 26. Rb1!



これが大事な手で、白はa3 でポーンを1つ返してしまっても、ルークを1つ交換したうえでキングをg2 に上げることができれば、確実に勝てるルークエンディングを迎えることになります。そのため、黒は26... Rxa3 とは指せないことが分かります。ならばパッシブにも見えるこの手で、一時的でもb2 を守っておき、その間にキングの前進を目指します。

26... h3 27. f3!


まだ油断は禁物ですが、これでキングを上げる準備を整え、少し余裕が出てきました。22手目の時点からここまでの形をイメージできたのは、この試合に冷静に取り組めていた証拠だと思います。

27... h5 28. Kf2 hxg4 29. fxg4 Ra4 30. Kf3 Rg8 31. Rg1 Rg5 32. Rg3 Kf7 33. Rxh3 Raxg4 34. Rh6 1-0



前日の希望通りに有終の美を飾り、6.5/9 でのフィニッシュです。当たりの厳しさが違うので単純に比較はできませんが、カペルでの4つ勝ち越しは自身の最高戦績です!

3/3 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Dumas, V (FRA, 2070) 1-0
3/4 14:00 R2 Cieza, A (FM, PER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1/2-1/2
3/5 09:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Nadhini, S(IND, 1833) 1-0
3/5 16:00 R4 Real, T (BEL, 2218) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 0-1
3/6 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Shyam, S (GM, IND, 2525) 1/2-1/2
3/7 14:00 R6 Rabineau, C (FM, FRA, 2248) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1-0
3/8 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Kollar, R (FRA, 2135) 1-0
3/9 14:00 R8 Holtel, J (FM, GER, 2194) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1/2-1/2
3/10 10:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Santagati, A (FM, ITA, 2247) 1-0

Cappelle la Grande 2018 Final Standings

最終順位は22位で、スタートよりもほんの少しだけ上がっています。しかし、レイティングは-2 と微減で、なかなかベスト更新はかないません。また5月の全日本選手権で、レイティングを稼げるように頑張りたいと思います。

今回の試合で良かったことは白番での戦績で、下がほとんどながらGM 戦も含めて負けはなく、4勝1ドローの高パフォーマンスを残しています。黒でも同じパフォーマンスを出すことができれば、大幅なレイティングアップ、そしてそれに伴うノーム獲得もかなうかもしれません。自分の試合をこれまで以上に振り返りながら、さらなるレベルアップを図りたいですね。


最終戦、7P でGM Bauer、GM Nikolov、Gukesh が並び、見事に白でBauer とNikolov が勝利を収めました。トップの写真にもある通り、優勝のカップはタイブレークでBauer がゲットしています。一方でGukesh とStany のインドコンビも最後まで上位勢に迫りましたが、あと一歩及ばず残念。2006年生まれのGukesh はインドジュニアでも注目株で、これからも成長が楽しみです。


最終戦の後、会場を綺麗に片づけ、それから表彰式です。カペルではレイティング100ごとにセクション分けし、全セクションでトッププレーヤーが表彰されます。日本から参加したTさんも、最終戦に勝利したことで見事、1500-1600セクションでの優勝です!


最終日の夜はフランスのIM Payen とホテル近くの日本料理屋、Sakuraへ。Payen は4年前にケチケメートのトーナメントで知り合い、このトーナメントで久々の再会となりました。篠田くんも以前のカペルで親しくなっており、彼を交えた夕食の席になったのです。話も大いに盛り上がり、ダンケルクの夜はあっという間に更けていくのでした。

最後になりますが、8日間のトーナメント、応援ありがとうございました。関東勢は今日、リールでフランス最後の時間を過ごし、夜の便で日本へと帰国します。また日本の大会でも、よろしくお願い致します。

2018/03/10

Cappelle la Grande 2018 R8


カペルも残りは2試合で、会場にはトロフィーが姿を現しています。これらを誰が手にするかも、残り2試合の結果で全てが決まります。

Hostel, J (FM, GER, 2194) - Kojima, S (IM, JPN, 2402)
Cappelle la Grande 2018 (8)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. c4 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Nf3 Be6 7. c5 g6 8. Bb5 Bg7 9. Ne5 Qc8!?



今大会、Shyam - Villgas のゲームがこのラインで、その試合では9... Bd7 が指されました。私も先週調べていた際に9... Bd7 を見直していたのですが、相手がよく知っている雰囲気を出しながら手を進めてくるので、あえて準備から手を外して勝負することにします。

10. Qa4 Bd7


結局黒はビショップを退きますが、白のクイーンもa4 が良い位置なのか将来的に疑問になるため、9... Qc8 は成立すると考えられます。

11. O-O O-O 12. Re1 Re8 13. Bxc6 bxc6?!



相手が30分の長考の末、ビショップナイトの交換を決断したのに対して、私ももう少し考えるべきだったと反省しています。ただ時間を使ったとしても、この局面の評価が正しくできる自信はありません。黒のポイントはビショップで取り返すかナイトで取り返すかです。6年前のゲームではビショップで取り返し、c6 でさらにナイトビショップの交換も進めることで、黒はNf6-Nd7,e7-e5 を成功させ、アドバンテージを得ました。しかしここでは、白にクイーンをd1 に退かれ、将来的なb2-b4-b5 にどう対処すべきかが分かりません。実際には13... Bxc6! 14. Qd1 Ne4 15. f3 Nxc3 16. bxc3 b6= くらいで満足なのですが、これが本譜の流れより黒にとってずっと良いと判断するには、自分の力が足りていませんでした。

14. h3 h6 15. Bf4 g5 16. Bh2 Nh7!?


私のプランは、なんとかしてf7-f6 からナイトを消し、e7-e5 を成功させることです。ただそれにかかるスピードと、白のクイーンサイドのポーンが伸びてくるスピードを上手く計算できていませんでした。

17. b4 a6 18. Qb3 f6



白マスビショップを残すアイディアも考えましたが、白のシンプルなプランに対し、黒はあまりに悠長です。18... Bf5 19. Na4 Qb7 20. Nb6 Ra7 21. a4+/-

19. Nxd7 Qxd7 20. Na4 Rad8 21. Nb6 Qb7 22. a4 e5 23. b5


センターブレイクを成功させたものの、g7 のビショップの利きは止まっており、なおかつナイトもまだ端にいます。これでは白のクイーンサイドのアクションに対抗しきれていないと分かり、残り時間が10分ほどになっても冷静に考えることを心がけて手を探します。ここで間違えれば一気に負けもあると思っていました。

23... axb5 24. axb5 Nf8 25. dxe5 fxe5 26. bxc6



私の読みでは、このポーン交換を先に入れてくれたのはありがたかったです。しかし、26. Rad1 Re6 27. bxc6 Rxc6 28. Bxe5 Bxe5 29. Rxe5 Rxc5 30. Rexd5 Rdxd5 31. Rxd5 Rxd5 32. Qxd5+ Qxd5 33. Nxd5 と進めて白がポーンアップのナイトエンディングになったとして、残りポーンがキングサイドで3対2まで減らせているのであれば、ドローのチャンスは十分にあると思います。

26... Qxc6 27. Rad1 Qxc5 28. Rxd5 Rxd5 29. Qxd5+?!


黒のキングの守りが薄いことを考えれば、クイーンを残しておいてほうが、黒の課題は残ったでしょう。29. Nxd5 Kh8 30. Ne3+/-

29... Qxd5 30. Nxd5 Ne6 31. Ne3 1/2-1/2



ここまでくればどちらかが勝つということもないと思います。彼からのオファーを快く受け入れドロー。最後は緩手がありましたが、彼の力強いプレーに終始押されていたため、私としては助かりました。

3/3 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Dumas, V (FRA, 2070) 1-0
3/4 14:00 R2 Cieza, A (FM, PER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1/2-1/2
3/5 09:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Nadhini, S(IND, 1833) 1-0
3/5 16:00 R4 Real, T (BEL, 2218) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 0-1
3/6 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Shyam, S (GM, IND, 2525) 1/2-1/2
3/7 14:00 R6 Rabineau, C (FM, FRA, 2248) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1-0
3/8 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Kollar, R (FRA, 2135) 1-0
3/9 14:00 R8 Holtel, J (FM, GER, 2194) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1/2-1/2
3/10 10:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Santagati, A (FM, ITA, 2247)

Cappelle la Grande R9
Live Games

最終戦はイタリアのFM に白です。今度こそ勝って有終の美を飾りたいですね。最終戦はいつもより早く、日本時間の18時スタートです。


先日、インドのNo.2 Harikrishna が結婚しました。その盛大な式の写真を見て食欲をそそられた私が、この日は夕飯にインド料理を提案しました。幸い宿の近くに一軒あったので、初めてそこに足を運んでみます。値段、ボリューム、味、全てに満足できました!

2018/03/09

Cappelle la Grande 2018 R7


昨日、3/8 は国際婦人デーでした。試合開始前、参加している全女性選手が一人ずつ名前を呼ばれて紹介され、壇上で記念にバラの花を貰います。私もカペルにはかなりの回数参加していますが、こうした粋なイベントは初めてだと記憶しています。

さて試合ですが、私はフランスの15-16歳の男の子との対戦でした。6R までで4人下に勝ち、2人上に負けなので戦績は普通ですが、2連続下にポイントを落とすわけにはいかないため、気を引き締めて試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Kollars, R (FRA, 2135)
Cappelle la Grande 2018 (8)

1. Nf3 c5 2. c4 g6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Nc2 Bg7 7. g3 O-O 8. Bg2 b6!?



試合前、このラインになるのを予想して調べ直していました。8... b6 は初めて見ましたが、基本的には8... d6 と同じだと考え、d5 のマスのコントロールを軸に戦うプランで進めます。

9. O-O Bb7 10. b3 Rc8 11. Bb2 Qc7 12. Qd2


ここは指した直後、白マスビショップをキープする12. Re1 もありだったかと思いました。ただ白としてはビショップを交換しても、大きくアドバンテージを失うわけではありません。

12... Na5 13. Ne3 Bxg2 14. Kxg2 e6?



白のナイトがいつd5 に入ってくるのかを常に気にしながら指し続けるのは、黒にとって大変であると理解できます。しかし、この単純なポーン突きでは、d5 を守る代わりにd6 のマスを致命的に弱くしてしまうのが痛手となります。

15. Nb5! Ne4 16. Qc2 Qb7 17. Bxg7 Kxg7


白のNc3-Nb5 は強力で、クイーンのb7,c6 の2か所の避け場所に対して、それぞれチェックを防いだ後、d6, a7 がナイトフォークのスレットになります。そこで黒は先にナイトをe4 に飛び込ませますが、これも逆に白クイーンのターゲットになってしまいます。17... Nd2+ 18. Nd5 Nxf1 (18... exd5 19. Bxf8+-) 19. Bxf8 Rxf8 20. Nbc3 exd5 21. Nxd5+/- も白に上手く捌かれて駒損のため、黒はディスカバードチェックを活用することはできません。

18. f3! a6 19. Qxe4 Qxe4 20. fxe4 axb5 21. cxb5 Rc5



1ポーンアップした白は、すでに駒得以上の大きなアドバンテージを得ています。白のポーンストラクチャーは悪く見えますが、cファイルでは入られる危ないマスは無いですし、b6,d7,f7 のポーンはターゲットになりうるでしょう。21... Rc3 22. Rf3! の流れは逆にNe3-Nf5+ がディスカバードチェックになるため、黒としては指しづらいと思います。そこで黒の選んだ21... Rc5 は少しトリッキーですが、私は先まで読んで白勝ちのエンドゲームになることを確信し、一気にゲームを進めます。

22. b4! Nc4 23. bxc5 Nxe3+ 24. Kf2 Nxf1 25. Kxf1 bxc5 26. a4+-


1ポーンは返してしまいましたが、白の2コネクテッドパスポーンは決定的です。

26... Rb8 27. Rb1 c4 28. Ke1 1-0



この日はさっくり勝って2時間でゲーム終了でした。R7 では落ち着いて手も探せましたので、次の試合でもこの調子でポイントを取れるよう頑張ります。

3/3 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Dumas, V (FRA, 2070) 1-0
3/4 14:00 R2 Cieza, A (FM, PER, 2181) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1/2-1/2
3/5 09:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Nadhini, S(IND, 1833) 1-0
3/5 16:00 R4 Real, T (BEL, 2218) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 0-1
3/6 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Shyam, S (GM, IND, 2525) 1/2-1/2
3/7 14:00 R6 Rabineau, C (FM, FRA, 2248) - Kojima, S (IM, JPN, 2402) 1-0
3/8 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2402) - Kollar, R (FRA, 2135) 1-0
3/9 14:00 R8 Holtel, J (FM, GER, 2194) - Kojima, S (IM, JPN, 2402)
3/10 10:00 R9

Cappelle la Grande R8
Live Games

カペルもいよいよ大詰めです。私はドイツのFM Holtel に黒をもっての対戦が組まれました。Holtel は途中のラウンド、隣のボードで2400近くのWGM を撃破しており、レイティング以上の実力を持つ嫌な相手です。R6 の二の舞にならぬよう、ここをしっかり勝って白での最終戦に弾みをつけたいところです。


今日のダンケルクは久々の綺麗な晴模様でした。港町ダンケルクでは、大小様々な船が停留している様子が見られます。


上位ボードは、前日ドローだったポーランドのIM Kryzanowski(右奥) と、GM Bauer(右手前) が今日は2人とも勝ち。6.5/7 で並ぶデッドヒートが続いています。Kryzanowski は今大会、GM ノーム獲得者の筆頭候補です。ノーム獲得のためには、これくらい勝たないといけないんですね。


日本のチェスファンの皆さんはライブ中継をご覧になっているかもしれませんが、会場にいる私たちも同じ中継を見ています。トップ12B の様子は、壇上の幕にプロジェクターでかわるがわる映し出され、遠くからでも状況をチェックすることができるようになっています。

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