2021/01/23

Instructive Endgames in Blitz Games Vol.1


新型コロナの影響で、昨年からオンラインチェスの機会が増えている人は多いと思いでしょう。かくいう私も例外ではありません。オンラインだと早指しゆえ、中盤のタクティクスで決着がつくことも頻繁にありますが、私は持ち時間が短くとも、丁寧にエンドゲームに持ち込んで勝負することを心がけています。Chess.com、Lichess の2つのサイトでブリッツをする中で、自分が気になったエンドゲームを振り返ろうと思います。

Nivid-19 (2436) - imsk (2469)
Lichess 2021.1.23

中盤でひどいミスをして苦しみましたが、なんとか粘ってこのエンドゲームに持ち込みました。b7 が落ちてマテリアルが互角になることは明らかですが、形勢はどう判断し、ゲームはどのように進んでいくものでしょうか。

40. f4??


白が負けを許すブランダーで、私もこの手ならば大丈夫だと思っていました。白は単にb7 を見捨て、クイーンサイドからキングを侵入させるべきですが、互いのキング、そしてポーンのスピード計算は簡単ではありません。40. Kd3 Kxb7 41. Kc4 Kc6 42. Kb4 Kd7 (リスクはありますが、黒が勝ちを目指すならば、キングをキングサイドに向けるしかありません。) 43. Kc5 Ke7 44. Kc6 Kf6 45. Kd6 h6 46. h4 h5 47. f3 g5 48. hxg5+ Kxg5 49. Kxe5 h4 50. f4+ Kg4 51. f5 exf5 52. exf5 h3 53. f6 h2 54. f7 h1=Q 55. f8=Q= こうして同時にクイーンを作り、ドローとなります。

40... Kxb7 41. fxe5 Kc6 42. Kf4 h6

当たり前ですが、この手を入れなければKf4-Kg5 と侵入を許して負けます。問題は白キングがセンターに戻った後です。

43. Ke3 Kc5 44. Kd3 g5 45. h3 h5 46. Kc3 g4?!


ポーンエンディングの典型的なアドバンテージとなる、アウトサイドパスポーンを作るのは当然の1手に思えました。もちろんこれでも勝ちですが、46... h4! 47. Kd3 g4! 48. Ke3 g3-+ ならばプロテクテッドパスポーンができるので、こちらのほうがシンプルです。

47. hxg4 hxg4 48. Kd3 Kb4?!

残り時間は相手に比べて多少多かったですが、正確な判断が瞬時にできませんでした。本譜でも後でこうなりますが、48... Kb5 49. Kd4 Kb4 50. Kd3 Kc5 51. Ke3 Kc4-+ ですぐに黒の勝ちです。とは言え、このポーンエンディングは黒がgポーンを間違ったタイミングで突き捨てたりしなければやり直しがきくため、多少余裕があると感じていました。

49. Kd4 Kb3 50. Kd3 Kb2 51. Kd2 Kb1 52. Kd1 Kb2 53. Kd2 Kb3 54. Kd3 Kb4 55. Kd4 Kb5!


ようやくこれで勝てることに気づきました。黒キングは白のeポーンを2つ回収した後、c3,d3,e3 のいずれかに侵入できれば勝ちとなります。

56. Kd3 Kc5 57. Ke3 Kc4 58. Kf4 Kd4 59. Kxg4 Kxe4-+

ポーンを2つ回収するためには、こちらのポーンから取る必要があります。これで4段目のオポジションを取って白キングをfファイルに戻させなければ、1手差で黒の勝ちです。

60. Kg3 Kxe5 61. Kf3 Kd4 62. Kf4 e5+ 63. Kf3 Kd3 0-1


エンドゲームを正確に読んで指すには持ち時間が多めに欲しいですが、こうした短い持ち時間のゲームでこそ、基礎的なエンドゲームの理解が試されるのではないかとも私は考えています。このブリッツでのエンドゲーム紹介はシリーズとして、今後も継続していければと思います。放置している他のシリーズも忘れているわけではないので、タイミングを見て続きを書いていくつもりです。

2021/01/21

Tata Steel 2021 R3 Grandelius - Harikrishna


久々に海外大会から試合解説を書こうと思います。1月16日に始まったオランダのTata Steel トーナメントは、最初の4試合と1回目の休憩日を終え、今夜が5試合目です。新型コロナウイルスの影響で今年はマスタークラスのみの開催のうえ、そのマスタークラスの参加メンバーも、キャンセルと交代が相次ぎました。そんな中で初参加となるスウェーデンのGM Grandelius は、最初の2戦で連勝と最高のスタート。3試合目ではインドのHarikrishna との対戦です。

Grandelius, N (GM, SWE, 2663) - Harikrishna, P (GM, IND, 2732)
Tata Steel Masters 2021

1. e4 e6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. c3 Qb6 5. Nf3 Bd7

French Defence ではポピュラーなアイディアです。序盤で手数をかけても、使いづらい白マスビショップを白のグッドビショップと交換しにいきます。

6. Be2 cxd4 7. cxd4 Bb5 8. O-O Bxe2 9. Qxe2 Nc6 10. Nc3 Nge7 11. Qd3


昔、馬場さんにこの変化を見せてもらった際は、白はe2 でのクイーン交換になるとd4 の守りからクイーンが外されてしまうため、白が最初にビショップを展開するマスはd3 が良いのではないかという意見を貰いました。しかし、d3 でビショップ交換になった際は、b2 の守りのためにc1 のビショップは動けず、黒はNb8-Nc6, Ra8-Rc8, cxd4, Nc6-Nb4 のような仕掛けでd3 のクイーンをターゲットにすることもでき、e2 とd3 のどちらのマスでの交換のほうが良いかは簡単には判断できなさそうです。本譜のようにQe2-Qd3 と手数をかけるのは勿体ない気もしますが、黒から早めにcポーンを交換させたことで、Nb1-Nc3 が早くできていることがポイントになりそうです。

11... Rc8 12. Rd1 h6 13. Bd2 Ng6 14. h4 Bb4!?

ライブで見ていて面白いなと思った手です。白マスビショップを消した黒は基本的には満足で、次は遅れている展開の解決が求められます。黒マスビショップはe7 に置き、Ng6-Nf8-Nd7 と組み替えるのもありそうですが、Harikrishna は黒マスビショップの交換も見据え、b4 を選びました。Nc3-Na4 の際に黒マスビショップは交換され、c5 のマスへの白のナイトの侵入を許す可能性がありますが、白マスビショップを捌き済みであれば、そのナイトの侵入はさほど危険がないという判断なのでしょう。

15. Na4 Qc7 16. h5 Nge7 17. Bf4?!


Grandelius はここでビショップ交換を避けましたが、これがミスだったと考えられます。白マスビショップを消されてしまった白としては、キングサイドへのアタックチャンスを残すために黒マスビショップの交換を避けたいという気持ちも理解はできます。しかし、センターポーンの色を考えれば、黒マスビショップの働きが良いのは黒、悪いのは白です。ここでは割り切って黒マスビショップも交換し、クイーンサイドを見据えたナイトのマヌーバリングで勝負すべきだったと思います。

17... Qa5! 18. b3 b5 19. Nb2 Ba3!

行き場を見失ったa4 のナイトと、そのナイトを守るためにb2-b3 と突かざるを得なくなり、弱くなった黒マスをHarikrishna は見逃しません。こうしてすぐに黒マスの弱さを利用され、h6 への攻撃のチャンスも具体的でないのであれば、直前の黒マスビショップの交換を避ける判断は、白にとってリスクの高いものだったと考えられます。

20. Qe2 O-O 21. Rab1 Rc7 22. Nd3 Qb6 23. b4 a5 24. bxa5 Nxa5 25. Bc1?


今から黒マスビショップの交換に戻るのは黒にとって楽な展開になってしまうでしょう。25. Nde1 などでcファイルからの侵入に備え、g2-g4-g5 からキングサイドのアタックチャンスを残すほうが良かったと思います。

25... Bxc1 26. Rdxc1 Rxc1+ 27. Nxc1 Nc4-/+

黒はc4 のアウトポストに理想的なナイトを配置し、開いたaファイルから簡単にa2 を攻撃できます。実際にゲームは、bポーンをパスポーンにした黒があっという間に勝負を決めました。

28. Nb3 Ra8 29. Rc1 Nc6 30. g3 Ra3 31. Kg2 Qa7 32. Rc2 Nb4 33. Rc3 Nxa2 34. Rd3 Rxb3 35. Rxb3 Nc1 36. Qc2 Nxb3 37. Qxb3 Qa4 38. Qb1 b4 0-1


連勝で白を迎えたGrandelius にとっては残念なラウンドになってしまいましたが、まだ2.5/4 でCarlsen を含むトップグループに食いついています。今夜からの5R も楽しみに中継を見ようと思います。

2021/01/17

第28回七盤初心者のためのチェスレッスン

Albin, A - Shipley, W
New York 1894
White to move

【日時】 2021年1月31日(日) 18:30~20:30
【会場】 オンライン
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 センターポーンの活用
【参加費】 2500円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

2021年もいっぷくでのチェスレッスンは継続させていただきます。ただし今月は緊急事態宣言の影響を受け、いっぷく店舗での集まりは無しで、完全オンラインでの開催とさせていただきます。参加者にはZoom での案内が送られますので、上記のリンクからお申し込みください。

2021/01/11

Chessinside Tournament Information

ご挨拶が遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。2021年最初のブログ記事更新です。今年も様々なチェス情報をお届けしていきたいと思いますので、Shinya Kojima のブログをよろしくお願い致します。

昨年末に韓国から誘いがあって参加したChess Inside の企画が、バージョンアップして今月から再開されます。Chess Inside は韓国のチェスファン向けに、韓国語でチェス配信を行うYoutube チャンネルです。12月には韓国のプレーヤー3名、私の計4人でノックアウト形式のトーナメントが行われ、私はCM Kwon Sehyun に敗れて、韓国若手プレーヤーの強さを思い知りました。

新しい企画では韓国のプレーヤー4名に、海外のプレーヤー4名を加えた計8名が集まりました。今週から毎週土曜日の夜、1か月半かけてノックアウト形式トーナメントが開催されます。昨日行われた参加プレーヤーのミーティングでペアリングも決まりましたので、試合日程とペアリングをお知らせします。

<大会日程>

準々決勝1 1/16 (Sat) 21:00 IM Lee Junhyeok (KOR) vs. IM Nanjo Ryosuke (JPN)
準々決勝2 1/23 (Sat) 21:00 CM Kwon Sehyun (KOR) vs. GM Dmitiry Khegay (RUS)
準々決勝3 1/30 (Sat) 21:00 Joel Pierce Fruit (KOR) vs. IM Christopher Woojin Yoo (USA)
準々決勝4 2/6 (Sat) 21:00 IM Ahn Hongjin (KOR) vs. IM Kojima Shinya (JPN)

準決勝1 2/13 (Sat) 21:00 準々決勝1勝者 vs. 準々決勝2勝者
準決勝2 2/20 (Sat) 21:00 準々決勝3勝者 vs. 準々決勝4勝者

決勝 2/27 (Sat) 21:00 準決勝1勝者 vs. 準決勝2勝者

<大会形式>

chess.com でのノックアウトトーナメント

1) 10min+3sec Rapid 6局
2) Tie-Break1: 3min+2sec Blitz 2局
3) Tie-Break2: 5min vs 4min Armageddon 1局

今週末、1/16 はいきなり韓国の若手トッププレーヤーであるIM Lee と、IM 南條くんが対戦する注目のカードです。この対戦はNCS チャンネルでも放送が予定され、実況が篠田くん、解説は私が入ります。NCS チャンネルのリンクも先ほど公開されましたので、土曜日夜は実況動画をご覧になりながら、一緒に南條くんを応援しましょう。NCS チャンネルのチャンネル登録がまだのかたは、ぜひこの機会にどうぞ。

【日韓IM対決】chessinside Tournament 準々決勝1 2021.01.16【南條さん応援配信】

私は準々決勝4からの参戦で、相手は韓国のIM Ahn Hongjin です。韓国の若手プレーヤーのオンラインでの早指し力は、先月いやというほど噛み締めましたので、4週間弱しっかり準備をして試合に臨みたいと思います。こちらもNCS チャンネルでの放送が決まりましたら、あらためてお知らせさせていただこうと思います。日本人プレーヤー2人の応援をよろしくお願いします!

2020/12/28

2020 公式戦戦績

今年のカペルもはるか遠い昔の出来事のようです。

今年はコロナ禍でほとんど試合がありませんでしたが、例年この時期には出している記事ですので今年も集計します。過去最少の公式戦参加ではありましたが、2月にフランスのカペル大会に参加したため、海外でのFIDE 公式戦が1つ、国内ではジャパンチェスクラシックと全国大会でFIDE 公式戦、およびNCS 公式戦が2つ、そして名古屋でNCS 公式戦が2つでした。

NCS 公式戦


ジャパンチェスクラシック 4勝1敗2ドロー (大多和くんに負け)
東海オープン 4勝
全日本選手権 5勝1敗1ドロー(Tuさんに負け)
中部快速オープン 4勝1ドロー

トータル 17勝2敗4ドロー、勝率 82%
NCS レイティング増減 2502→2496

FIDE 公式戦


Cappelle la Grande 2020 4勝2敗3ドロー (GM Martinez Alcantara, FM Meurs に負け)
ジャパンチェスクラシック 4勝1敗2ドロー (大多和くんに負け)
全日本選手権 5勝1敗1ドロー(Tuさんに負け)

トータル 13勝4敗6ドロー、勝率69%
FIDE レイティング増減 2397→2389

試合数が少なかったため、変動はどちらも少ないですね。レイティングがまだ計算されていない中部快速オープンは、初のNCS ラピッドレイティングがつく予定ですので、そちらもいくつになるのか、年明けの発表を楽しみにしています。私のレイティングだと90分以上の持ち時間でなければFIDE 公式戦にならないため、来年はもう少し自分が参加できるFIDE 公式戦が国内でも企画されることを願っています。

2020/12/27

オリンピアード日本代表権に関して

2018年バツミオリンピアードの開会式

長くブログの更新が滞っていて申し訳ありません。今月始めに、来年ロシアのモスクワで開催が予定されていたチェスオリンピアードは、新型コロナウイルスの影響を受け、中止にすると発表されました。元々は今年の夏開催を来年まで延期する形式でしたが、それでも開催できないとの決断です。代わりに2022年にモスクワ、2024年にブダペストでオリンピアードを開催する予定だと発表されています。

その発表の際に日本で話題になったのは、昨年の夏から今年の秋にかけて決められた、オリンピアードの日本代表がどうなるかということです。そのまま代表内定者がスライドして、2022年まで権利が持ち越しになるのか、新たに代表選考をやり直すのか、これは大きな違いです。今年の全日本選手権で代表権を獲得した私にとっても、関係のあるトピックでした。

本日、NCS から代表内定者に届いたメールによると、少し不明瞭な点はありましたが、代表選考はやり直すと認識できました。今年の全日本選手権で代表権を獲得した私、青嶋くん、Simon を含め、男女10名の代表は白紙に戻されます。オリンピアード代表はなるべく直近の戦績で決めるべきだと思っていますので、2019年の代表選考の結果が2022年まで持ち越されるのはさすがに期間が空きすぎです。代表選考をやり直すというNCS の決断は、私も自然なことだと思っています。こうした代表権については、先日、馬場さんもBehind the Scene で記事にしていますので、そちらもご参照ください。

元々2022年のオリンピアード代表選考からは、これまでと方式が大きく変わる予定でした。それを紹介するのは、また別の機会にしようと思います。ひとまず、現段階では誰にでもチャンスがあると言って良い状況ですので、来年の公式戦も頑張っていきましょう。

2020/12/08

文明開化 新十郎探偵帖(再掲)


7月に公開したドラマスタート記事の再掲です。いよいよ今週末です!

NHK の制作する時代劇で、福士蒼汰さんが主演を務める 『文明開化 新十郎探偵帖』 が、12月11日から放送スタートとなります。坂口安吾さんの小説をドラマ化した本作は、年明け少ししてから撮影が始まりましたが、新型コロナの影響でスケジュールが延期となり、放送開始が年末まで押してしまいました。なんとか年内にスタートできると先日連絡を貰い、私もほっとしているところです。

なぜこちらのドラマの告知をするかと言えば、毎回のようにチェスシーンが出てくるためです。カペルから帰国後、スタジオに何回か足を運び、チェスシーンの指導をしてきました。福士蒼汰さん演じる明治の名探偵、結城新十郎が仲間たちと織りなす物語を、この冬は是非お楽しみください。配役やストリーなどの詳細に関しては、以下のリンクで確認ができます。

福士蒼汰さん主演『明治開化 新十郎探偵帖』12月11日(金)スタート!

2020/12/06

Chessinside Invitational Tournament Preview

数日前、Chess.com のスタッフを務める韓国のプレーヤーから、オンライン企画の案内がありました。その内容は、韓国の若手トップクラス3名と私の4名で、ノックアウト方式のトーナメントをやらないかというものです。元々は別の韓国のプレーヤーが参加予定でしたが、それがキャンセルとなり、私に白羽の矢が立ちました。急な話ではありましたが、年末までのスケジュールを確認し、参加することを決めました。以下、トーナメント形式です。

<大会日程>

セミファイナル1: 12月12日(土) 21;00-23:30 Kwon Sehyun vs. Kojima Shinya
セミファイナル2: 12月19日(土) 21:00-23:30 Kim Jinsoo vs. Lee Junhyeok
ファイナル:12月26日(土) 21:00-23:00

<大会形式>

chess.com でのノックアウトトーナメント

1) 10min+3sec Rapid 6局
2) Tie-Break1: 3min+2sec Blitz 2局
3) Tie-Break2: 5min vs 4min Armageddon 1局

<選手情報>

Lee Junhyeok - 2020 Korea Masters優勝、 韓国ランキング1位
Kim Jinsoo - 2020 Korea Masters準優勝、韓国ランキング3位
Kwon Sehyun - 2020韓国選手権優勝

試合は3週間、週末の夜を使って行われます。同じ相手と連続でラピッド6局はあまり経験がありませんが、3.5P以上を取るのにどのようなプレーをすべきか、作戦が問われそうで面白いですね。ちなみに6局に満たずに決着がついても、6局目まで指し切るとのことです。オンライン対戦ですので、今年のOnline Olymapid で採用されたZoom とカメラ、Chess.com を利用した不正防止対策が取られます。Online Olympiad は運営もスムーズでしたので、今回もつつがなく進むことを願っています。

私は12日のセミファイナル1 から登場で、対戦相手は今年の韓国チャンピオン、オリンピアード韓国代表のKwon Sehyun と昨晩決まりました。もしここで勝てれば、19日の勝者と26日に決勝を行います。ラピッドだということもあり、何を指してくるかは予想しづらいですが、今週しっかり用意をして対局に臨みたいと思います。また自分の結果がどうあれ、現在の韓国若手No.1 IM Lee Junhyeok のプレーもとても気になるところです。今回のイベントは韓国のYoutube チャンネル、ChessInside で放送予定のほか、NCS のYoutube チャンネルでも放送が可能かどうか、現在打診中です。日本、韓国両方のチェスファンに、面白い対局をお届けできるよう頑張ってきます!

Chessinside Youtube チャンネル

2020/12/05

第27回七盤初心者のためのチェスレッスン

Kramnik, V - Luptian, S
EU-chT 1992
White to move

【日時】 2020年12月19日(土) 14:00~16:00
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 端ポーンの活用
【参加費】 2500円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

ポーンは一般的にはセンターにいるものが強く、逆に端にいるポーンは弱いと考えます。だからこそ、端ポーンを上手く活用することは、ゲームを優位に進めるうえで重要なポイントです。今回は端ポーンにスポットを当て、その働きや使い方を見ていきましょう。今月はいつもより早い14時スタートです。お間違えのないよう、よろしくお願い致します。

2020/11/30

Chubu Rapid Open 2020 Tournament Report

今年の中部快速オープン入賞者たち

昨日は中部快速オープンに参加するために名古屋へと足を運んできました。今年は新型コロナの影響で、例年の6R から1R 減らされ、5R での開催です。私は3R での大多和くんとのドロー以外、4試合を勝ち切って優勝を手にすることができました。オープン、A、B各クラスの入賞者の皆さん、おめでとうございます。

1st Place Kojima, S 4.5/5
2nd Place Ogawa, T 4/5
3rd Place Otawa, Y 3.5/5
4th Place Jiang, L 3.5/5

Chubu Rapid Open 2020 Final Standings


名古屋は東京の大会とは参加メンバーが一風異なり、毎回楽しませてもらっています。今回も2位の小川さん、4位のJiang さんとは初対戦で、どちらのゲームもとても相手の強さを感じるような内容でした。特に日本での公式戦初参加となる小川さんは、多賀くん、Scottさん、大多和くんとリスト上位を次々に破り、4連勝でトップに立ちました。逆転優勝をかけた小川さんとの最終戦をご紹介します。

Kojima, S - Ogawa, T
Chubu Rapid 2020 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 c5 4. Nc3 cxd4 5. Nxd4 Bg7 6. e4 d6 7. Be2 O-O 8. O-O a6 9. Be3 Nc6 10. f3 e5?!

d4 のナイトを追い返したい気持ちは分かりますが、g7 のビショップの利きを止めてしまうという点でこの手には疑問を感じます。d5 のマスとd6 のポーンを弱めてしまうことも気がかりでしょう。

11. Nc2 Be6 12. Qd2 Re8 13. Rfd1 Bf8 14. Rac1 Rc8 15. Bf1 Nh5


黒の作戦はKing's Indian のように、f7-f5 とキングサイドのポーンを伸ばして白キングに攻撃を仕掛けることだと予想できます。 d5 のマスが空いたままであることが、どのように影響するかがポイントです。

16. b4 f5 17. Kh1 f4 18. Bf2 Nf6 19. Nd5 Bxd5?!

このピース交換はd5 のマスを白ポーンで埋め、黒が通常のKing's Indian のように考えやすくはなりますが、c8-h3 のダイアゴナルを抑える重要な白マスビショップが消えることで、黒のキングサイドアタックの力が弱まるというデメリットがあります。d6 のバックワードポーンやd5 のアウトポストの弱点で苦しくはありますが、19... Nd7 と退いてb6 のマスをカバーし、耐える展開もありえたと思います。

20. cxd5 Ne7 21. a4 g5 22. Na3


白としてもd5 のピース交換からKing's Indian Taimanov Variation などと同じポーンストラクチャーになり、クイーンサイドからどのようなアクションを起こせばよいか分かりやすくなります。a7-a6 を突かせていることも白にとってプラスになり、Na3-Nc4-Nb6Bf2-Bb6 のようなb6 のマスを利用したアイディアも使いやすい状況です。試合後に思い付いたのは、本譜の代わりに22. h3 を突いておき、黒のg5-g4 を止めてキングサイドの攻撃を予防する手もありえたでしょう。これも黒の白マスビショップがすでにないために、h3 のポーンへのビショップサクリファイスが無いことを利用した手です。他にも22. a5 と突いて早めにb6 のマスを確保しておくアイディアや、22. b5 で早めにクイーンサイドを崩しにいくアイディアも強力です。

22... Ng6 23. Rxc8 Qxc8 24. Rc1 Qd7 25. b5 g4

互いに逆サイドのポーンを突き合い、King's Indian らしい攻め合いになってきました。直接キング前を攻めている黒のアタックのほうが強そうにも見えますが、白もcファイルからルークが侵入し、b7 を取ってプロモーションを目指せる展開になれば、黒キングへのダイレクトアタックが無くても白には大いにチャンスがある状況です。

26. Nc4 axb5 27. Nb6 Qg7 28. Bxb5 Rd8?!


ルークの逃げ場は少し悩むところですが、28... Re7 として7段目を抑えておくほうが良かったと思います。8段目が薄くなるのは不安にも思えますが、29. Rc8 Rc7 ならば黒はcファイルを取り返して十分です。

29. a5 Qh6?!

h2 を攻めるために指したくなる手ではありますが、c7 にルークが簡単には入れれば白のプレーはとても楽になります。代わりに 29... g3 30. Be1! gxh2 31. Qc3+/- としても、白は1ポーンを取らせてhファイルに蓋をし、cファイルからの侵入で優勢です。試合中はビショップをg1 に退くつもりでしたが、Bf2-Bg1-Bf2 という手損がない分、30. Be1! と退くほうが正確であることを解析で見つけ、勉強になりました。

30. Rc7 g3 31. Bg1


本譜でもなんら問題無いですが、31. Bxg3! fxg3 32. Qxh6 Bxh6 33. Rxb7+- としてビショップを捨ててもクイーン交換をして黒のアタックを消し、b7 を取ってaポーンのプロモーションを狙えば白と勝勢というのがコンピュータの指摘です。白が早めにa4-a5 とポーンを進めておいたプラスと、黒がQg7-Qh6 としてc1-h6 ダイアゴナルにクイーンを置いてしまったマイナスが、上手く噛み合った変化です。

31... gxh2 32. Bf2 Nh4 33. Bf1 Nh5??

少しだけ指してくるかなと思っていました。先に跳んだナイトをただで落としてしまう痛すぎるミスですが、これがなくても黒は苦しい状況です。 33... Rb8 34. Nd7 Nxd7 35. Rxd7+- でも7段目をルークで強力に抑え、クイーンも使ってb7 を落とせば白の勝ちでしょう。

34. Bxh4 Re8 35. Rxb7 Be7 36. Bf2


当然ながら、g3 のマスをカバーし続けるために黒マスビショップは残しておきます。残りはプロモーションを目指すだけのシンプルな流れです。

36... Bg5 37. a6 Ng3+ 38. Bxg3 fxg3 39. Qe1 Bh4 40. a7 Qf8 41. Nd7 Qe7 42. Rb8 Qxd7 43. a8=Q Rxb8 44. Qxb8+ Kg7 45. Qc1 1-0

試合後、小川さんはナイトのただ落ちを悔しんでいましたが、私はかなり早い段階の、白マスビショップを消した時点から黒のキングサイドアタックは不十分になってしまうのではないかと指摘しています。それでも普段はKing's Indian にはFianchetto Variation で、こうした逆サイドからの攻め合いを避ける展開を選んでいるため、早指しで久々にこのようなゲーム展開は緊張しました。無事に逆転優勝を手にすることができ、一安心です。

今回の遠征で、私の今年の公式戦は全て終わりの予定です。来週の大阪浪速オープンや、クリスマスの大会に参加される皆さんは、あと少し年内の公式戦を楽しんできてください。またコロナ禍でイベント運営も大変な中、東海オープンに引き続き、名古屋チェスクラブには大変お世話になりました。年明け以降も、よろしくお願い致します。
今回はトップボードのみ、こうした電子ボードでの中継がありました。最終戦はボードのエラーで中継が止まってしまうトラブルがあり、こうした問題にどう対処するかは運営としても課題でしょう。海外大会でも中継にエラーが起きることは時々あります。
今回はお土産に少し変わったエビのお菓子を選びました。エビの姿焼き、初めて見ました。
Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.