2022/02/05

Instructive Endgames in Blitz Games Vol.6


このシリーズもずいぶん久しぶりの更新ですね。昨晩指したゲームの中に面白いエンドゲームが登場したので、そちらを見ていこうと思います。

helmaks (2458) - imsk (2565)
lichess

1. c4 c6 2. g3 d5 3. b3 Nf6 4. Nf3 g6 5. Bg2 Bg7 6. O-O O-O 7. Bb2 Bg4 8. d3 Bxf3 9. Bxf3 e6 10. Nd2 Nbd7 11. Rc1 a5 12. a3 Ne8 13. Bxg7 Nxg7 14. cxd5 exd5 15. e4 dxe4 16. dxe4 Ne5 17. Nc4 Qxd1 18. Bxd1 Nxc4 19. Rxc4 Rfd8 20. Bc2 Ne6 21. Rd1 Rxd1+ 22. Bxd1 Rd8 23. Bc2 Rd2 24. Rc3 c5 25. Bd3 Ra2 26. a4 b6 27. Bc4 Nd4 28. Rd3 Kf8 29. h4 Ke7 30. Kg2 f6 31. g4 Rb2 32. g5 Rc2 33. Re3 Nc6 34. Kg3 Ne5 35. Bd5 Rd2 36. f4 Rd3 37. Rxd3 Nxd3 38. gxf6+ Kxf6

このゲームはここから始めます。途中は悪くなかったはずでしたが、ルークを捌いて純粋なビショップvs. ナイトの構図になり、白にパスポーンを作られてしまうといつの間にか苦しかったです。このまま何事もなく白に押し切られたのであれば、今夜紹介するようなゲームにはなりませんでしたが、ここから色々と事件が起こります。

39. h5? g5!


端ポーンを捌きたい気持ちは分かりますが、f4 からポーンをどかしてe5 のマスを確保すれば黒も粘れます。代わりに一度、39. Bc4! からナイトをどかしにいけば白勝勢でした。

40. e5+ Kf5 41. fxg5 Kxg5 42. e6 Kf6 43. h6 Ne5 44. Kf4 Ng6+?

しかし、ここは欲張りすぎです。44... Nd3+! 45. Ke3 Ne5= からドローで満足すべきでしたが、進みすぎたeポーンを落とせると考え、本譜を選んでしまいました。

45. Ke4 Nf8 46. Kd3?


46. Bc4! これがキングの侵入するルートを作る好手で、e6 を先に落としても黒はキングのポジションの差で苦しくなります。46... Nxe6 47. Kd5 Nd4 48. Kd6 Nf5+ 49. Kc7 Nxh6 50. Kxb6+- ここで白が勝ち手順を逃し、黒が生き延びることになりました。

46... Nxe6 47. Be4

ここは少し長い分岐を入れます。本譜でも白は問題ありませんが、すぐにビショップナイトを交換してポーンエンディングに持ち込む手もありました。47. Bxe6!? Kxe6 48. Kc4 Kd6! (48... Kf6? 49. Kb5 Kg6 50. Kxb6 Kxh6 51. Kxc5 Kg5 52. b4 axb4 53. Kxb4 h5 54. a5 h4 55. a6 h3 56. a7 h2 57. a8=Q+- これは1手差でh1 を抑えられ、白の勝ちです。) 49. Kb5 Kc7 50. Kc4 Kc6 51. Kc3 b5 52. axb5+ Kxb5 53. Kb2 Kb4 54. Kc2! (ここもキングの移動するマスが大切です。54. Ka2? a4! 55. bxa4 Kxa4 56. Kb2 Kb4 57. Kc2 Kc4 58. Kd2 Kb3 59. Kc1 Kc3 60. Kd1 Kb2-+) 54... a4 55. bxa4 Kxa4 56. Kc3 Kb5 57. Kb3 Kc6 58. Kc4=
Analysis Diagram

これは私もEndgame Manual で昔学んだポジションで、黒がチャンスを作るためにはcポーンを諦めてhポーンを取りに行くしかありません。もし互いのhポーンがh4、h5 でぶつかっていればぎりぎり黒勝ち、それより一歩でも白ポーンが進んでいれば、以下のようにドローになります。58... Kd6 59. Kc3 Ke5 60. Kc4 Kf5 61. Kxc5 Kg5 62. Kd4 Kxh6 63. Ke3 Kg5 64. Kf2=

47... Ng5 48. Bd5


コンピュータが出した面白いアイディアは、ビショップを捨ててドローに持ち込むものです。48. Bxh7! Nxh7 49. Kc4 Nf8 50. Kb5 Nd7 51. Kc6 c4 52. bxc4 Ne5+ 53. Kxb6 Nxc4+ 54. Kb5=

48... Ke5 49. Bg8 Kd6 50. Kc4 Kc6 51. Bd5+ Kc7 52. Bg2 Nf7 53. Be4?

このブランダーによって、この試合初めて黒に勝ちの目が出現しました。代わりに53. Ba8!? Nxh6 54. Be4= として、テンポをずらしてh7 を取りにいけば、クイーンサイドのポーンが3vs. 2 でも白はドローに持ち込めそうです。

53... Nd6+! 54. Kd5 Nxe4! 55. Kxe4 Kd6 56. Kf5


上記の変化と比べ、黒キングの位置が良いために黒勝ちポーンエンディングになっています。56. Kd3 Kd5 57. Kc3 c4!
Analysis Diagram

それでも、この一時的なポーン捨てを発見できなければ黒は勝てません。58. bxc4+ Kc5 59. Kd3 Kb4-+

56... b5!-+


このブレイクスルーで勝負は決まりです。相手のミスに何度も助けられながら、一瞬のチャンスをものにしての逆転でした。

57. Kf6 c4 58. Kg7 cxb3 59. Kxh7 b2 60. Kg7 b1=Q 61. h7 Qxh7+ 62. Kxh7 bxa4 0-1

途中、あまりにも形勢や指し方が分からなかったので解析してみたところ、面白い発見が多かったです。今後も、こうした学びの多いゲームを増やしていければと思います。

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