昨日は町田チェスクラブ主催の、町田サマー快速オープン2026に参加してきました。前週に開催されたサマーオープン同様、オープンクラストップリストは私たち3人のIMで、そのまま入賞となっています。入賞者の皆さん、おめでとうございます!
1st Place Tran, Thanh Tu (IM, JPN, 2359)
2nd Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2283)
3rd Place Nanjo, Ryosuke (IM, JPN, 2353)
Machida Summer Rapid Open 2026 Final Standings
Machida Summer Rapid Open 2026 Live Games
2nd Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2283)
3rd Place Nanjo, Ryosuke (IM, JPN, 2353)
Machida Summer Rapid Open 2026 Final Standings
Machida Summer Rapid Open 2026 Live Games
今回、少し面白かったのはタイブレークにアルマゲドンを採用したことです。2-3位の結果はChess Resultsの表記と同じですが、実は4/5だった私、南條くん、長瀧くんの3人でアルマゲドンを行い、2人に勝った私が2位、1勝1敗だった南條くんが3位に決まりました。アルマゲドンについては棋譜解説の後で詳しく書こうと思います。
私は安田くん、大井くん、桑田くんに3連勝後、同じ全勝の南條くんと対戦になりました。全日本選手権と同じ白番で、勝ちを目指します。
Kojima, S (IM, JPN, 2283) - Nanjo, R (IM, JPN, 2353)
Machida Summer Rapid Open 2026 (4)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 Nbd7 6. cxd5 exd5 7. Qc2 h6 8. Bh4 c5 9. e3 O-O 10. Bd3 c4 11. Bh7+
ここはチェックをすべきか少し悩みました。h8にキングを寄せておくと、f7の守りが減る、エンドゲームでキングがセンターに出てくるのが遅れるといった弱点があります。 Machida Summer Rapid Open 2026 (4)
11... Kh8 12. Bf5 Qa5 13. O-O Re8 14. Nd2 Bxc3 15. bxc3 b5 16. e4 g6 17. e5!
eポーンを早めに押せたため、その勢いのままe5まで刺しておきます。ナイトをf6の好位置から追い出すだけでなく、続いてf2-f4-f5を狙い、e-hファイルにポーンのマジョリティがあることを利用します。
17... Nh7 18. Bh3 Ndf8 19. Bxc8 Raxc8 20. f4!?
ここは20. a3!としてb5-b4を止めておく手も有効です。黒としてはどこかで反撃を作りたいため、d4を弱め、cポーンをパスポーンにするb5-b4は必須です。しかし、あえてそれを許すことでbファイルを取れるチャンスが白にはあり、試合ではb5-b4のブレイクを止めずにキングサイドでの攻めを優先しました。20... b4 21. cxb4 Qxb4 22. Rab1 Qa5 23. f5 g5 24. Bg3 c3 25. Nb3 Qa4 26. Rf3 Rc4 27. Rxc3 Rxc3
素直なルーク交換は意外でしたが、27... Rec8 28. Rxc4 dxc4 29. Na1! があるため、白はポーンを安全に取れたことになります。
28. Qxc3 Qxa2 29. Ra1 Qe2 30. e6! f6
eポーンの押し込みは狙っていた1手で、e5にマスができれば黒マスビショップが躍動します。30... fxe6 31. Be5+ Kg8 32. Qc7+- 本譜ではこれを避けるためにfポーンをかわしますが、代わりにe6に厄介なパスポーンが刺さり、ナイトがどこにも動けない状況になります。31. Rxa7
本譜でも白の勝勢ですが、31. Qc6 Re7 32. Re1 Qc4 33. Qxc4 dxc4 34. Nc5+- は黒に反撃の無い形です。
31... Nxe6! 32. fxe6 Rxe6 33. Nd2! Qe3+ 34. Qxe3 Rxe3 35. Bf2
黒は動けないナイトを捨て、クイーンを交換してピースダウンのエンドゲームを粘りにきます。客観的には白の勝勢は変わりないですが、不安定な黒キングを攻めるチャンスが無くなったため、残り時間の少ない中で正確に指して勝つのは大変そうだと感じました。ビショップを退く本譜の代わりに35. Kf2!は積極的で良かったと思います。慎重を期すあまり、消極的になったのはこの辺りの反省点です。35... Rd3 36. Nf1 f5 37. h3 f4 38. Ra2 Nf6 39. Nd2 Ne4 40. Nf3 h5 41. Be1 g4 42. hxg4 hxg4 43. Ne5 g3?? 44. Ng6+??
試合後に南條くんに指摘されるまで、逃げなかったルークを44. Nxd3とただで取れることに気づいていませんでした...
44... Kh7 45. Nxf4 Rxd4 46. Ra5 Rd1 47. Kf1 d4 48. Rd5 Nf6 49. Rd6 Ng4 50. Ke2 Ne3 51. Bxg3 Ra1 52. Kf3 Ra3 53. Ke4 Nxg2 54. Bh2?
うっかり全てのポーンを捌いてしまいましたが、まだ白に勝つチャンスはあります。ルーク+ナイトvs. ルークは勝てないことが分かっているので、ビショップを残すことにしましたが、よくよく考えればナイトも残っているほうが勝ちやすいはずです。54. Rd7+ Kh6 55. Nd3!+- ならば、ナイトもビショップも残せて白勝勢です。54... Nxf4 55. Bxf4 d3 56. Kf5 Kg7 57. Rd7+ Kg8 58. Kg6 Ra6+??
もっと明確な勝勢だったのになぜこうなってしまったのかと思いつつ、残り時間のほぼない中でビショップ+ルークvs. ルークのエンドゲームで勝ちを目指します。黒のこのチェックは失敗で、58... Kf8! 59. Bg5 Ra6+ 60. Bf6 Re6! (60... Ra8? 61. Rh7!+-) 61. Rxd3 Re1= としてキングの脱出をさきに図るべきでした。
59. Bd6! Ra8 60. Be5?
Bg3-Bd6を指した瞬間はf8のマスをビショップで抑え、Kg8-Kf8を許さないことがポイントだと理解していました。しかし、ここでそのアイディアがふっと頭から抜け、ビショップをf6に切り替えるのに間違ったルートを選んでしまいました。正しくは60. Be7! d2 61. Rxd2 Rc8 62. Rd7 Ra8 63. Bf6 Kf8 64. Rh7+- とすべきです。本譜と最終形は同じですが、Bd6-Be7-Bf6のルートを使うことで、黒キングがf8に行くタイミングを消しています。このアイディアは覚えておかなければいけないと強く思いました。60... Ra6+??
2回目のルーク6段目チェックが致命的なミスで、黒は自身のキング位置を改善することなく、白のビショップにだけ位置を改善させてしまいます。60... Kf8! 61. Bf6 d2 62. Rxd2 Ke8= ならば黒はドローチャンスがあります。しかし棋譜を取っていないラピッド戦では、アービタ―に50手のカウントを頼んだうえ、短い残り時間で正確にディフェンスしなければいけないため、黒が間違えることで白に勝つチャンスも十分にあり得ます。
61. Bf6! Ra8 62. Rh7! 1-0
この最終形はスムーズに見えましたが、ビショップの位置の切り替えルートを間違えていることには、コンピュータ評価を見るまで気づきませんでした。もっと早く確実に勝つべきであったという反省点はあれど、このエンドゲームのアイディアを知れただけでもこのゲームを指した甲斐があると思えます。この勢いで最終戦も勝って優勝といきたかったのですが、Tuさんにサマーオープンのリベンジとばかりに敗れて目前の優勝が逃げていきました。南條くん、長瀧くんは最終戦でともに勝ったため、大会規約にあった通り、タイブレークはアルマゲドンにて決定されます。日本の公式戦でタイブレークにアルマゲドン採用は、これまでほぼ無かったと思います。(先月のWRくらいですが、あれはノックアウト形式なので当然と言えば当然です。) アルマゲドンとは何か。簡単に言えば、白が有利なチェスでも、1回の勝負で決着をつけられるシステムです。白は持ち時間4分で確定、黒はそこからいくばくか持ち時間を引きます。プレーヤーは試合前に、何分なら黒を持ちたいかを互いに書いて提出し、より少ない持ち時間を示したプレーヤーが黒を持つことになります。不利な黒が時間を減らしたら、ますます不利じゃないかと思われそうですが、黒はドローでも勝ち扱いとなります。つまり4分の持ち時間で勝たなければいけない白を持ちたいか、少ない持ち時間でもドローで十分な黒を持ちたいか、その駆け引きからアルマゲドンは始まるのです。
ちなみに私はアルマゲドン初戦で3分20秒で提出し、3分35秒を出してきた長瀧くんから黒を奪って、結果はドロー。南條くんは長瀧くんに驚きの2分を提出し、半分の持ち時間で黒を持って勝っていました。私と南條くんの最終戦では、私が白を絶対持つの4分で提出し、(相手に読まれて3分59秒と出されたら大変だったかも...) 2分20秒の南條くんをなんとか下して、タイブレーク2位を決めました。今回は慣れていないので大変でしたが、アルマゲドンはなかなか面白いシステムなのでもっと練習の機会を設けたいですね。日本からもワールドカップのようなアルマゲドン採用の大会に選手を派遣するようになっているわけですしね。
話が長くなりましたが、今大会の記事はこれくらいにします。参加者、運営の皆さん、お疲れ様でした。町田チェスクラブの次回の大会も盛況であることを願っています。














































