こちらのシリーズ最終回です。昨年のジャパンオープンは、GM,IMを複数招き、日本で初めてのノームチャンスのある大会として、画期的な企画だったと思っています。今年も幕張で開催予定のジャパンオープンが楽しみです。さて、その昨年のジャパンオープンから、未公開であった試合を1つご紹介します。前半かなり苦戦し、後半挽回する中で指した松永くんとのゲームです。
Matsunaga, T (JPN, 2001) - Kojima, S (IM, JPN, 2318)
Japan Open 2025 (8)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. Bd3 Nc6 5. c3 e6!?
Caro-Kann Exchange 対策としては、5... Qc7, 5... Nf6 を併用して使ってきましたが、JobavaのCreative Caro-Kannで勧められている、5... e6!? をこの試合では始めて試してみました。c8のビショップの展開を諦めますが、Bf8-Bd6, Ng8-Ne7, f7-f6 と組み、タイミングを見てe6-e5と突くのがメインのアイディアです。 Japan Open 2025 (8)
6. Nf3 Bd6 7. O-O Nge7 8. b3!? O-O 9. Bb2
白がBc1-Bf4をしてこなかったため、b8-h2ダイアゴナルは黒が抑えました。これに対抗するために、9. Ba3から黒マスビショップの交換を目指す手もあったと思います。本譜はピース交換を避け、互いにゆったりとピースの改善を行います。
9... Bd7 10. Nbd2 f6! 11. c4!
黒は白がc3-c4,Nb1-Nc3ができないよう、d2にナイトを展開したのを見てからf7-f6を突き、白はそれでもc4を突く自然な流れです。黒はd5へのプレッシャーで、e6-e5が簡単にできないため、再度ゆっくりとピースの位置改善を目指します。11... Be8! 12. Rc1 Rc8 13. Re1 Bf7!
QGD Exchangeでは、白の黒マスビショップがBc1-Bg5-Bh4-Bf2と組み替えられるので、逆に黒がBc8-Bd7-Be8-Bf7としても、なんらおかしくはありません。最初の5... e6!? によって閉じ込めたビショップの問題は、ひとまず解決できたと言えるでしょう。
14. a3 Bb8 15. b4!? dxc4 16. Bxc4 Nd5
白がクイーンサイドのポーンを伸ばしてきたところで、黒からポーンストラクチャーを決め、d4をIQPにしたうえ、d5のマスをナイトで抑えてしまいます。d4のポーンは簡単に動けないため、b2のビショップはしばらく脅威になりません。17. Ne4 b6 18. Nc3?
互いに駒かなピースの改善をさらに進める段階で、白にタクティクスの見落としが発生しました。d5のナイトに対抗したい気持ちは分かりますが、c4のビショップが浮くことを忘れています。
18... Ncxb4! 19. Bb3 Nxc3 20. Bxc3 Nd5 21. Bb4 Re8 22. Ba4 Rxc1 23. Qxc1 Nxb4!
これでd3のフォークを目指せれば、黒はポーンアップのまま、駒を捌いてエンドゲームを迎えることができます。24. Bxe8 Nd3 25. Bxf7+ Kxf7 26. Qc3 Nxe1 27. Qxe1 Qd5!
Centralization! 黒もようやくクイーンの出番です。d5の好位置を抑えたクイーンは、キングサイド、クイーンサイドの両方をにらみます。
28. Qb1 Bd6 29. Qb2 Qa5 30. g3 Qxa3 31. Qe2 a5 32. Qe4 Qb3 33. Kg2 Qd5 34. Qxh7 a4 35. Qb1 b5 36. h4 a3 37. g4 a2-+
h7ポーンを返しても、クイーンサイドに2コネクテッドパスポーンを作り、それを押していけば黒の勝ちです。38. Qh7 a1=Q 39. g5 Qd1 40. g6+ Ke8 41. Qg8+ Kd7 42. Qxg7+ Be7 0-1
ようやく2024-25の未公開シリーズが終わりました。2026年の試合はまだ半分ですので、オリンピアード以降にまた面白い試合をご紹介できるか考えてみようと思います。明日からはタイのトーナメントに遠征しますので、そちらからもゲームをお届けできればと思います。











































