サマルカンドオリンピアードのR8は、日本チームオープンチームはブラジルとの対戦です。私と同じ誕生日で、ブラジル国内ランキング3位のGM Mekhitarianは今回代表にいないものの、経験豊富なGM3人を擁する強豪国です。私は3Bで、GM Diamantとの試合に臨みました。マッチ3連勝で勢いに乗る日本ではありますが、このレベルの国とは厳しい戦いとなりました。
Kojima, S (IM, JPN, 2273) - Diamant, A (GM, BRA, 2504)
Samarkand Chess Olympiad (8)
1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. Nc3 d6 6. Nf3 Nc6 7. O-O e5 8. dxe5 dxe5 9. Bg5 Be6 10. Qc1 Qe8!?
試合前の準備でc8ではなくe8にクイーンが避ける手もあると知っていました。あまりこの先は詳しくありませんでしたが、ここから満足な形を築けたと思います。 Samarkand Chess Olympiad (8)
11. Rd1 Rd8 12. Rxd8 Qxd8 13. b3 Qc8 14. Bh6 Re8 15. Bxg7 Kxg7 16. Qb2!
クイーンをフィアンケットし、a1-h8ダイアゴナルでe5ポーンと黒キングを狙います。
16... Nd7 17. Ng5 Nd8 18. Rd1 Bf5 19. Nd5 f6 20. Ne4
f5のビショップは行き場に困っていると考えれば、f3にナイトを退く手もありました。本譜は白マスビショップを得ますが、それが活きる展開を目指すのが少し大変でした。20... Bxe4 21. Bxe4 c6 22. Ne3 Nc5 23. Bg2 a5 24. a3 Nf7 25. b4 axb4 26. axb4 Ne6 27. c5
b7,c6をビショップで将来的に狙いやすい白マスに固定しておくと同時に、c4のマスを空けてNe3-Nc4-Nd6を見据えます。
28... Rd8 28. Rxd8 Qxd8 29. Qa2 Qd7 30. h4 Nd4 31. Nc4 Qg4!
黒はf7のナイトがd6のマスを受けるのに必死で少し悪いかと思っていましたが、もう1つのナイトがd4で踏ん張り、バランスを取っています。実況中継でも言われていましたが、32. e3? Qd1+ 33. Kh2 Ne2 と進めばg1でのチェックからf2ポーンが危ないので、e2ポーンはキングで守る1手でしょう。32. Kf1 Nb5 33. Qc2 Qd4 34. Kg1 Qa1+ 35. Bf1 Nd4 36. Qd2 g5 37. hxg5 Nxg5 38. Kg2 Qb1 39. f3
時間が増える直前、e4をポーンで受けることにしましたが、白マスビショップと白マスに多く置いたポーンは当然相性の良いものではありません。試合後にSamから39. Nd6 Ne4 40. Nxe4 Qxe4+ 41. Kh2= で問題無いと指摘されましたが、e2-e3からナイトを追い返せないのは心理的に嫌だと思い、避けてしまいました。
39... Qf5 40. g4 Qe6
40手に到達して時間が増えたものの、両者にとって難しい局面が続きます。白はキングをカバーしつつ、白マスビショップの復活を急ぎたいところです。41. Ne3! h5 42. Qd3! hxg4 43. fxg4 Qa2 44. Nf5+ Nxf5 45. gxf5
ようやく厄介なd4のナイトを消すことができました。dファイルと7段目も空いているので、クイーンの跳びこみからパペチュアルチェックを見せれば、黒もクイーンとナイトで好き勝手はできないだろうと考えます。
45... Qf7 46. Qd8 Kh7 47. Kf2 Ne4+ 48. Ke3!?
ここは白マスビショップをg2に置いた際に邪魔にならないよう、黒マスにキングを逃がすのが自然だと考え、ナイトがg3に跳ぶ手を完全に失念していました。48. Kf3 Nc3 49. Kf2= で何もないというのがコンピュータの指摘ですが、本譜のようにf5を捨てて白マスビショップを活用するのも面白いアイディアです。48... Ng3 49. Kf2 Nxf5 50. Qd3! Qh5 51. Qh3!
クイーンを交換すれば、h3-c8ダイアゴナルからビショップが潜り込み、b7を当てれば黒のナイトはディフェンスに縛られ、ドローになると読みました。黒は勝つためにナイトを挟んでクイーン交換を拒否しますが、そうなると今度はナイトの位置がよくありません。
51... Nh4 52. Qd7+ Kg6 53. Bh3!?
b7を取っても良いようですが、ビショップをアクティブにし、f5のマスを先に抑えておくとビショップナイトの差が浮き彫りになると考えました。53... Qh6 54. Qe8+
54. Qg4+ Kh7 55. Qd7+ Kg6 56. Qg4+= はクイーンのチェックが止まらず、簡単にドローでした。クイーンを挟んで交換する手には、Bh3-Bc8 があって黒のクイーンサイドが崩れます。この直前までクイーンを交換してビショップでb7を狙う手を考えていたのに、ここでそのアイディアが頭から抜けたのは悔やまれます。
54... Kg5 55. Qe6 Qh5 56. Qg8+?
互いに時間がなく、どちらが間違えて負けてもおかしくない中で、私が間違えました。直前のh5にクイーンがくる手が読みぬけており、かなり動揺してしまいました。しかし、h5のクイーンはここから位置を改善できず、h4のナイトも動くとf5でのクイーンチェックがあります。黒のキング、クイーン、ナイトのいずれも動けないことに冷静になって気づければ、白はクイーン、ビショップの位置をこのままにして、適当に待てばよいことが分かります。56. Ke3=
56... Ng6-+
クイーンが理想的なh3-c8ダイアゴナルから離れてしまったことで、ナイトに戻られてしまいました。これではf5を失った代償がないだけでなく、次に黒クイーンの攻撃を許してしまいます。57. Be6 Qh4+ 58. Kg2 Qxb4 59. Bf7 Qe4+ 60. Kf2 Kh6! 61. Bxg6 Qxg6 62. Qc8 Qe4?
しかし、まだチャンスは訪れました。この位置は黒クイーンがセンターで働くように見えますが、白から余計なチェックを許してしまいます。62... Qf7!-+ ならば何もありませんでした。
63. Qh8+ Kg6 64. Qg8+ Kh5 65. Qh8+ Kg4 66. Qg7+ Kh5 67. Qh8+ Kg5 68. Qg7+ Qg6 69. Qxb7 f5 70. Qe7+ Qf6 71. Qe8?
上手くパペチュアルチェックの狙いを入れてクイーンを退かせてからb7を落とし、1ポーンダウンに駒損を戻した直後に、またクイーンの位置を間違えました。細かな違いですが、71. Qd7!= がc6に当てているだけでなく、広くdファイルを使える好位置でした。こうなると黒はc6を守りながら局面を進展させることができません。71... Kf4 72. Qh5 Ke4 73. Qf3+ Kd4 74. Qe3+ Kd5 75. Kf1 e4 76. Kg2 f4 77. Qa3 f3+ 0-1
クイーンを交換すれば負けのポーンエンディングだと分かったうえで、このポーンを取ろうとしたところ、時間が落ちました。かなり良いゲームを長く指していただけに、ちょっとしたミスから崩れてしまったのは残念です。この日は日本オープンチームは全員敗れ、崩壊です。
Open R8 Japan - Brazil 0-4
Women R8 Chinese Taipei - Japan 3-1
チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信
女子も台湾に敗れ、揃って悔しい結果になってしまいました。今日は前回ブダペストオリンピアード以来となる、アイスランド戦をオープンチームは迎えます。2年前、全員GMのアイスランドに勝ったことは忘れられない出来事ですが、こんなに早く再戦の機会が訪れるとは思いませんでした。一方、女子は同じアジアのラオスとの対戦です。残り3試合、さらに上に食い込むために頑張ってきたいと思います! 帰りが遅くなりすぎたベルギー戦の夜はパスしましたが、この日はSamとのミーティングを兼ねた夜のウォーキングへ。こちらはよく見るとチェスモチーフでした。





















































