2026/09/18

Samarkand Chess Olympiad R2 Japan - Italy

選手、キャプテンは会場前のこちらで電子機器を預けます。

サマルカンドオリンピアードの2R、日本オープンチームはイタリアと相対します。イタリアはGM4人、IM1人という構成ですが、この日はGM3人、IM1人で試合に臨んできました。隣の南條くんはGM Brunello 相手に早々にドローになり、私も気合が入ります。

Di Benedetto, E (ITA, 2473) - Kojima, S (IM, JPN, 2273)
Samarkand Chess Olympiad (2)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O a5 7. Nc3 c6 8. b3 b6 9. Ne5!?

Catalan Closed でいくつかNf3-Ne5のタイミングを見てきましたが、このタイミングは詳しく覚えていませんでした。基本はf6のナイトを退いて対応します。

9... Nfd7 10. Nxd7 Nxd7 11. e4 Bb4!?


Bc8-Ba6 とどちらを先に指すか悩みましたが、本譜よりこちらが自然だったかもしれません。11... Ba6 12. Qe2 Bb4! 13. Bb2 dxc4 14. bxc4 b5= これならばc4を崩し、黒は満足に戦えます。

12. Ne2!

ビショップで守ってきて、上記の変化に手順前後するとばかり思っていたので、ナイトを単純に逃げられてハッとしました。この手はd5へのプレッシャーを緩めますが、代わりにBc8-Ba6 の際にf1のルークにビショップが直射することを防いでいます。さらにb4のビショップが取り残されると、どこかでc4-c5、a2-a3がビショップのトラップになりえます。少し悩んでセンターを諦めることにしました。

12... dxc4 13. bxc4 Ba6


13... e5 14. a3 Bd6 もありえますが、c4を先に攻撃しておきます。

14. Qc2 e5! 15. Bb2 exd4

15... Qe7 16. f4 f6 もありますが、積極的にセンターを開き、c5,e5のマスを使えるようにして勝負します。

16. Nxd4 Ne5 17. Rfd1 Qc7 18. Bf1 Bc5


18... Rfe8 19. f4 Ng4 20. Qe2 Nh6! このh6にナイトを退くのが重要なアイディアで、Nd4-Nf5を受けることで白の攻めをストップします。また様子を見てf7-f6,Nh6-Nf7と組み直すことも意図しています。

19. Nb3 Be7 20. f4 Nd7?

ここまで細かくベストではないものの、戦える手を選んできましたが、ここからは少し厳しい状況でした。ここも上記のh6にナイトの構想があれば、20... Ng4! 21. Qe2 Nh6! と指して戦えていました。

21. Nd4! Rad8 22. Nf5 Bc5+ 23. Kh1 f6 24. Qe2 Kh8?


この時点ではg7を守る手はRf8-Rf7か、Rf8-Rg8か悩んでいましたが、どちらもe4-e5の突破で上手くいかず、g7-g6しかありません。ならばこのキングのh8に避ける手は、むしろb2ビショップの餌食になるとあらかじめ読んでいなければいけません。24... Bc8! 25. Qg4 g6 26. Rac1 Kh8 27. Nh6 Be3 28. Rb1 c5 は白が良いものの、最後のチャンスでした。

25. Qg4 g6 26. Nh6 Bc8 27. Qh4 Be7 28. e5 Kg7 29. Ng4 h5 30. Rxd7!

f6を突破する綺麗なフィニッシュです。

30... Rxd7 31. exf6+ Kg8 32. fxe7 Rxe7 33. Nf6+ Kf7 34. Nh7 Rg8 35. c5 b5 36. Qf6+ Ke8 37. Ng5 Bf5 38. Bg2 Bd7 39. Be5 1-0


途中戦えると思った局面もありましたが、一気に流れを持っていかれました。Tuさんも計算ミスでピースが落ちて負け。大塚くんはかなり良い勝負で一時はチャンスがあると思われましたが、最後に相手のメイトの狙いを見落として負け。南條くんのドローのみとなりました。

Open R2 Japan - Italy 0.5-3.5

Women R2 Moldives - Japan 1-3


女子はモルディブを2勝2ドローで下し、今大会初勝利です。今日のR3は、オープンがアフガニスタン、女子がシンガポールとの対戦です。アフガニスタンのキャプテンは、かつて日本に滞在し、日本の大会にも参加していたZaheeruddeen Asefiさんで、私も今大会すでに話をしました。私が参加した10回の中で3回対戦していている(2008、2018)アフガニスタンですが、今回は初の私が抜け番なので、チームメイトの戦いを見守ろうと思います。
試合終了後、プレーエリアから一歩出ると様々なブースが出展するエリアが広がります。今日は試合が無いので、こちらのエリアもゆっくり見てこようかと思います。

2026/09/17

Samarkand Chess Olympiad R1 Japan - Comoro Islands

新たなチェスオリンピアード初戦の朝、サモサを食べながらTuさんと話をし、初戦はTuさんが休み、私が3Bで出場することになりました。10回連続のオリンピアード参加で、光栄なことに10回連続初戦でプレーさせてもらっています。オープンの対戦相手はアフリカのコモロ諸島で、日本出発前からリストを見て予想していました。近年、シーラカンスがこの近海で発見されたことで有名になったとのことです。

15時からの試合に14時ホテルのロビー集合で出かけますが、初日は念のためにiPhoneを置いていき、この辺りの写真は無しです。ホテルから会場までの送迎はバスでスマートで、入場にも問題はありません。会場はクロワッサンやドライフルーツといった軽食が用意されていましたが、水のボトルが不足しており、プレーヤー同士で取り合いになることだけが難点でした。
会場で自分たちのテーブルを探し当て、席に着くと、コモロ諸島の1Bのプレーヤーはビザの関係で来られなくなったことを聞きました。これで大塚くんの不戦勝が決まり、日本に1Pが入ります。そして私は対戦相手から、コモロ諸島国旗のピンバッジをいただきました。チェスオリンピアードでは対戦相手にお土産を渡すことが時々ありますが、国旗のピンバッジは定番です。

Kojima, S (IM, JPN, 2273) - Abdou, M (COM, 1806)
Samarkand Chess Olympiad (1)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 a6 4. Bg5 Be7 5. Bxe7 Nxe7

a6 QGD はここ10年で非常にポピュラーになりました。Ng8-Nf6を挟んでいない変化では、g5にビショップを出て交換をするのがメインラインですが、ナイトで取る変化をあまり覚えていませんでした。この後、e2-e3からオーソドックスQGD の形にするか、g2-g3としてCatalan の形にするか悩み、前者を選びます。

6. e3 O-O 7. Nc3 Nd7 8. Rc1 Re8


ここは8... Nf6 と指すほうがセンターをコントロール、キングの守りになって良さそうです。この後も指せますが、本譜ではf8に潜るのが少し消極的でしょう。

9. Qc2 Nf8?! 10. a3 Neg6 11. h3!?

QGD Rubinstein Variation のアイディアで、白はBf1-Bd3のようにすぐビショップを展開せず、端ポーンを突くなどの手で黒のdxc4を待ちます。本譜の手も将来的にh2にキングの逃げるマスを作るポピュラーな手ですが、h2-h4からg6のナイトを追いに行く手とどちらか悩みました。11. h4 h5 12. g3+/- ならば、h4は弱みにならないというコンピュータの評価ですが、どこかでe6-e5から開かれた際、g4,h3のマスの弱さを気にしました。

11... Rb8 12. Be2 dxc4 13. Bxc4 b5 14. Be2 Bb7 15. O-O Rc8 16. Rfd1 Nh4 17. Ne4!


黒もBf1-Bd3を待ってからc4を取ってきましたが、cファイルが開き、c5のマスを抑えにいけるようになれば、c7-c5を防いで将来的にc7のポーンが負担になります。

17... Nd7 18. Nxh4! Qxh4 19. Nc5!?

試合後にSamと話をして、18. Ne1のようにナイトを残す手もあったか聞きましたが、h4のナイトは黒にとってタクティカルなチャンスを作りうるものなので、捌く本譜で良いとのことです。c5でもさらにナイトを捌き、a6,c7が負担になる形を作ります。

19... Nxc5 20. Qxc5 Red8?


20... Bd5 21. Qa7 c6 22. Qxa6+/- でも白はポーンアップですが、cポーンよりも価値の低いaポーンを取らせたほうが良かったでしょう。

21. Qa7 Bd5 22. Rxc7 Qg5 23. Bf1 Ra8 24. Qc5+-

これでポーンアップなだけでなく、cファイルを拠点としたプレーができ、黒には満足な反撃がないため、白の勝勢です。

24... Qg6 25. Rc1 h5 26. Qe7 Re8 27. Qh4 Rad8 28. Kh2 Qf5 29. f3 Qg6 30. R1c3


ここは30. R1c5として5段目を抑え、h5のポーンを狙いにいく手も考えましたが、Bf1-Bd3からビショップを早く使えるようにすることを目指しました。

30... Qb1? 31. Bd3 1-0

狙い通りになり、次にh5を取ってメイトのアタックが決まります。オリンピアードの大事な初戦はいつも緊張するものですが、チームも4-0で良いスタートを切ることができ、胸をなでおろしました。

Open R1 Japan - Comoro Islands 4-0

Women R1 Japan - Hungary 0-4


女子は前回開催国のハンガリーに敗れました。2RはオープンがGM4人のイタリア、女子がモルディブとの対戦です。前大会の経験でGMばかりの国にも臆することなく戦えるようになっていると思いますので、2日目も頑張ってきます!
試合後にホテルに戻って夕食を終えると、日本チームの新たな習慣がスタートします。アルメニアの新コーチ、Samが提唱するアルメニアチーム方式は、夜に散歩をしながら気になるポジションはブラインドで考えるというものです。それは優勝を争うようなレベルのアルメニアだからできるのでは?と思いつつも、いくつか気になった自分のポジションを聞くことができました。
もちろん夜の散歩はチェスの話をするだけでなく、リラックスする狙いもあります。ホテル近くのEternal City はアトラクションやお土産屋さん、レストランなどが並ぶアミューズメントパークです。実は前日の開会式もここで行われました。夜の9時を過ぎても、バイキングなどのアトラクションが稼働しており、大人たちの叫び声が聞こえています。こうしてサマルカンドの夜は騒がしく更けていくようです。

2026/09/16

Samarkand Chess Olympiad Opening Ceremony

昨日、9/15にサマルカンドオリンピアードの開会式が行われました。開会式の会場はホテルから徒歩10分もしない場所で、過去のオリンピアードでの離れた場所へのバス移動、そして待ち時間の長さを考えると、今回は圧倒的に楽でした。そして私にとって10回目のオリンピアード参加にして、初の屋外開会式です! 雨が降らないと確信できる、乾季のサマルカンドだからこそですね。
開会式が始まり印象的だったのは、これまでの第1回からのチェスオリンピアード開催地の紹介です。1978年ブエノスアイレスに喜ぶのは、アルゼンチン代表とハンガリーチェスオタクだけでしょうか(笑)
2018年のバツミは、私自身、そして日本オープンチームの過去最高戦績だったオリンピアードです。
今回はオリンピアード史上最多の208の国と地域が、オープンセクションにチームを出場させます。出場チームの紹介はオリンピアード開会式の定番ですが、1か国ずつゆっくり紹介ではなく、各国の名所を映しながら複数をまとめてスピーディーに紹介していきます。日本はスカイツリーが映され、同じ頭文字がJの、ジャマイカ、ヨルダン、ジャージーとともに紹介されています。
そして屋外イベントらしく、ドローンショーもありました。ナイトやチェスボード、FIDEの旗などに、どんどんと変化していきます。
開会式の催しとして珍しいと思ったのは、パンとお菓子を持った女性が観客席を回ってきたことです。お客さんはドライフルーツやナッツなどのお菓子をおそるおそるつまんでいましたが、後半になって慣れてくるとパンをちぎっていました。このパンとお菓子は、中央アジアでの歓迎を意味するのではないかと思います。
最後は驚くほどの量の花火が打ち上げられました。途中、写真で紹介しきれないダンスや伝統衣装でのショーもたくさんあります。全体を映像で確認したいかたは、FIDEがYoutubeで公開しているこちらの動画をご覧ください。

FIDE Chess Olympiad 2026 | Opening ceremony


一夜明けた今日から、サマルカンドオリンピアードの試合が始まります。日本はオープンがアフリカのコモロ諸島、女子が前回の開催国、ハンガリーとの対戦です。あらためて応援をよろしくお願いいたします。

Samarkand Chess Olympiad Open R1

Samarkand Chess Olympiad Women R1

チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信

2026/09/14

The Road to Samarkand

週火曜日から1週間近くを過ごした首都タシュケントを離れ、オリンピアード開催の地、サマルカンドへとやってきました。タシュケント駅からは電車で4時間ほどの旅です。幸いなことに、泊まっていた宿の最寄り駅がタシュケント駅まで地下鉄直通で2駅と近く、9時前の電車に間に合うよう宿を出るのも楽でした。事前にタシュケント駅は下見もして場所を確認してあります。
タシュケント駅は建物こそ立派ですが、1日に発着する電車は最大で23本という小型の駅です。駅舎や電車の様子は旧ソ連と旧ユーゴスラビアで違いはあるものの、セルビアを思い起こさせるようなものでした。電車内は綺麗な席で、コーヒーやカットフルーツの車内販売もありました。
タシュケントを離れてしばらく走ると、車外は岩と砂の世界になります。サマルカンドが砂漠にオアシス都市で、交易で栄えたという話も納得できます。
サマルカンド駅には大きな遅れもなく無事に到着。すぐにボランティアのスタッフに連れられて駅を出ることになり、中はほとんど見られませんでしたが、電車を降りた瞬間からオリンピアード選手、関係者の歓迎ムードが漂っています。
サマルカンド駅前には数台のオリンピアード専用バスが待っていました。今回は各国ともに選手が何時の電車、飛行機でサマルカンドに到着するかを事前に通達してあり、その情報からボランティアスタッフがバス、そしてホテルまでの案内をしてくれます。送迎はあるだろうと思っていましたが、万一に備えて調べていたバスを乗り継ぐサマルカンド市内移動のプランは、お蔵入りとなって一安心です。
バスで移動中、今回のオリンピアード会場であるExpo Centerも見ることができました。明日の開会式が終われば、明後日からこの会場に各国代表が集まり、2週間に渡って試合を繰り広げることになります。皆さん、あらためて応援をよろしくお願いいたします! 日本チェス連盟でのオリンピアード応援配信も準備ができたようですので、リンクを貼っておきます。解説、聞き手、そして配信関係者の皆さん、誠にありがとうございます。

チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信

2026/09/11

Tashkent Days

ウズベキスタンの首都、タシュケントに到着して今日で4日目となります。前回のブダペストオリンピアードでは、オリンピアード直前に大会が連続であったため、調整としてそれに参加していましたが、タシュケントではそうした大会もありません。そこで早めに到着していますが、町の様子を見たり、研究と仕事をしながらのんびり過ごしています。バタバタで到着した翌朝は、宿でひよこ豆と鳥の煮込み、ソバの実などのウズベキスタンらしい朝食をいただきました。ソバの実(皿の右奥)がウズベキスタンではよく食べられること、事前に調べていなければ、口にしてもなんだったか思い出せなかったかもしれませんね。
朝食を済ませてからは、軽くタシュケント市内を散策してみることにします。タシュケントの名所の代表格であるアミール・ティムール広場には、14世紀に中央アジアを統治したアミール・ティムールの像があります。広場はこの像を中心に円を描くようになっており、市民の憩いの場として機能しているようです。近くには軽食やジュースを売る屋台も並んでいました。
アミール・ティムール広場のすぐそばに建つのは、ホテルウズベキスタンという老舗ホテルです。ソ連時代の建築で、不思議な格子状の外観が特徴的です。少し中に入ってみましたが、中は綺麗な高級ホテルでした。日本からの団体ツアーでも利用される、タシュケントでも人気ホテルのようです。
タシュケントで他に人気のスポットが、地下鉄の駅ホームです。こちらはアリッシャー・ナボイという駅のホーム天井で、幻想的な模様が描かれています。地下鉄はクレジットカードのタッチ決済で乗ることができ、一律1700スム(約22円)と格安です。地下鉄沿線にいきたい場所があれば、タシュケントの観光は地下鉄利用が最も便利でしょう。
アリッシャー・ナボイ駅を降りると目の前には、タシュケント最大級のショッピングモール、Tashkent City Mall があります。2日目の午後はこのモール内を見て回ることにしました。こちらは宝石のようなケーキたち。
おもちゃ屋さんではチェスセットも見かけましたが、本格的なものではありません。競技用のものはやはり専門店か、ウズベキスタンチェス連盟に行かないと手に入らないかもしれませんね。近年のウズベキスタンのチェス熱を考えれば、もっと販売されているチェスセットやチェスをする場を見かけても良いと思うのですが、いまだ発見できず。明日以降、もう少しお土産屋さんも見てみようと思います。
3日目はホテルから少し離れた場所にある、人気のウズベキスタンレストランに足を運んでみました。英語のメニューが無いので解読に時間がかかりましたが、ウズベキスタンの国民食と言えるプロフ(炊き込みご飯)とマンティ(蒸し餃子)をいただきました。プロフはお肉、にんにく、油がたくさん使われており、とてもボリューミーで美味しいです。対してヨーグルトソースでいただくマンティは、あっさりでいくらでも食べられそうでした。まだまだ知らぬウズベキスタン料理があるはずですので、残り数日のタシュケント滞在、そしてサマルカンド移動後も現地の食を楽しみたいと思います。

2026/09/09

The Road to Tashkent

昨日、9/8にウズベキスタンのタシュケントに到着しました。サマルカンドオリンピアードは9/15からですので、だいぶ余裕を持ったウズベキスタン入りとなります。ウズベキスタン航空を利用するのは初めてで、成田からタシュケントまで直通で8時間半ほど。ソウル、北京、アマルトイなどの上空を通りました。
タシュケントの空港には、すでにサマルカンドオリンピアードの案内がいくつもありました。ここは到着ゲートの付近で、写真で見切れた右側には多くの出迎えの人が溢れています。私は早い日程で到着したので、まだタシュケント空港のオリンピアードデスクは準備が整っていませんが、おそらくもう数日もするとこのデスクにスタッフが駐在し、到着した選手を迎えるのだと思います。

タシュケント空港からはタクシーで市内に向かうことにしたのですが、タクシーに乗り込んだ直後に「予約したホテルが閉鎖しました(意訳)」というメールが届き、慌てて別のホテルを予約&英語の話せない運転手に行先変更のお願いというトラブル! ハノイでも滞在中にホテルが営業を停止し、別のホテルに移らざるをえないということがありましたが、アジアは色々ホテルの問題がありますね。
急遽予約した別のホテルも、使えるクレジットカードの種類が限定されていて現金払いを頼まれたが、手持ちが足りず翌日以降の支払いを交渉することになり、色々大変でした。20時前にはなんとか解決し、ホテル近くのハンバーガーを食べてようやく一息つけました。一夜明けた今日からは、タシュケントの街を散策し、サマルカンドへの移動日まで過ごそうと思います。サマルカンドへの移動は9/14で、オープニングセレモニーが9/15です。日程が近くなってきたら、オリンピアードの試合スケジュールを出そうと思います。

2026/08/22

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第57回予告

2026年8月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、8/23(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『プロモーションを巡る戦い』です。チェスのゴールは相手のキングをチェックメイトすることと思われがちですが、プロモーションして自分だけがクイーンを作ることができれば、相手キングを仕留めるのは時間の問題です。つまりプロモーションのチャンスがある局面では、プロモーションを相手より早く確実にすることがゴールとも言えます。試合の中、どのようにプロモーションのチャンスが登場し、互いに成功と阻止を目指して戦うのかを今月は見ていきましょう。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第57回『プロモーションを巡る戦い』|2026.8.23

2026/08/20

麻布学園チェス部夏合宿2026

4月の春合宿に引き続き、母校、麻布学園チェス部の夏合宿の指導に行ってきました。ここ数年は山中湖、会津若松などが印象的な合宿地でしたが、今回は千葉の幕張です。いつものように合宿前後に観光という具合ではありませんでしたが、その分、近場で足を運ぶのは楽でした。私が指導をするスケジュールは例年通りで、1日目の昼に合流してレクチャーをし、夜は同時対局です。
Loyd, Samuel, The Musical World, 1859
White to move and Mate in Two

レクチャーは「隠された情報」をテーマに話をしました。こちらは有名なチェスプロブレム作家、サムロイドの作品です。簡単に見えて、ちょっとした見抜かなければいけない題意が存在します。ぜひ考えてみてください。一般の対局でも、盤上には様々な情報が潜んでいて、それを見抜くことが上手く指すうえで重要です。弱点はどこか、相手のアイディアは何か、適切なプランは何か、などです。マテリアルのような分かりやすい情報に引きずられすぎず、適切な情報を見抜いていくことを話しました。
Kojima, S - Onuma, K
Azabu Summer 2026 Simul
Position after 31... f6

夜の同時対局は14面指しで、部長の大沼くんとの試合が一番難しいものでした。白はパスポーンを作ってプレッシャーをかけたつもりでしたが、互いに細かなミスがあります。

32. Nd6 Rca8?


試合後、大沼くんには一度b5を抑えるべきでないかと指摘しました。32... Rb8! 33. Nb7 a4 34. b4 Rb6 35. a3 Ke7= ならば、黒はc7のナイトを残して守り切れています。

33. Nb5! Nxb5 34. Rxb5 Rc8 35. c7 Ke7 36. Rxd5

c7のブロッケードを外し、白がポーンアップしましたが、これで勝てるかはまだ分かりません。c7を取らせる間にaポーンを落として2コネクテッドパスポーンを作るのが勝ちに必要なプランだと思いましたが、そこに少し勘違いがあったようです。

36... a4 37. b4?


クイーンサイドのポーンは捌かず残しておくべきとの判断をしましたが、37. f4! がe5を崩してeファイルを活用できるようにする好手でした。

37... Ra7 38. g4


f5、h5のマスを抑え、キングの動けるマスを作るつもりで指しましたし、実際良い手なのですが、この後の展開で間違えたかと思いました。a2-a3を先に入れておくと本譜の流れになりませんが、それでも白は勝てないようです。38. a3? Rcxc7! 39. Rxc7+ Rxc7 40. Ra5 h5! 41. Rxa4 Rc1+ 42. Kh2 f5= この形は2コネクテッドパスポーンを作っても、白キングがプレーに戻ることが難しい状況です。黒はeファイルにパスポーンを作れば、それを止めさせる間に2コネクテッドパスポーンを崩せそうです。

38... a3

38... Raxc7 39. Rxc7+ Rxc7 40. Ra5 Rc1+ 41. Kh2 Rb1 42. Rxa4 g6+/- と進んだ場合、上記の変化と比べてg3-g4が入っている分、白キングのマスがあって白にチャンスが生まれます。

39. Rc4?


これはひどい勘違いでした。c7を取られた際に白は2コネクテッドパスポーンを作れず、互角のエンドゲームになります。39. Rd3! ならば横からa3を当て、c7を取られた際にすぐa3を落とすことができます。

39... Raxc7 40. Rxc7+ Rxc7 41. Ra5 Rc1+ 42. Kh2 Rb1!

黒はbポーンの裏にルークが回る好判断で、a3を落とされてもb4を取り返せるようにしました。白からa2-a3ができない効果がこうして現れることを見落としたのは反省です。

43. b5 Rb2 44. Ra7+ Kf8 45. Rxa3 Rxb5 46. Rb3 Ra5 47. a3 Ra4


aポーンを進める算段はないので、このエンドゲームが勝てないことは分かっていました。しかし、せっかくですので結果が分かりやすい局面まで続けることにします。

48. Kg3 Kf7 49. Kf2 Kg6 50. Ke3 Kg5 51. Kf2 g6 52. Re3 h5 53. gxh5 Kxh5 54. Ke2 Kg5 55. g3 Kf5 56. Kd2 g5 57. Kc2 g4 58. Kb3 Ra8 59. fxg4+??

このポーンは白から取っても、黒から取るのを待っても同じだと思いましたが、待つしかないというのは勉強になりました。59. a4 gxf3 60. Rxf3+ Ke6 61. g4= ならば進展がなくドローです。

59... Kxg4 60. a4 Re8?


互いに分かりやすいドローを目指していて、白が危険な状況であると気づいていません。60... Kh3! 61. Kb4 Kg2! このキングのルートでルークを狙いにくるのは見えませんでした。62. g4 Re8 63. Kc5 Kf2 64. Re4 Kf3 65. Re1 Kxg4-+ gポーンが落ちれば、2コネクテッドパスポーンを持つ黒の勝ちです。

61. a5= f5 62. Kb4 f4 63. gxf4 Kxf4 64. Re1 e4 65. a6 e3 66. Kb5 e2 67. a7 Kf3 68. Kb6 Kf2 69. Rxe2+ 1/2-1/2

最後は互いにルークを切って全ての駒が消えるのでドローです。同時対局はこの1局のみドローで、残り13局を勝ちました。去年の夏合宿は17面指しだったので、それよりは少なかったですが、それでも2時間半ほどかかる大変な同時対局でした。
勝った13局の多くは、黒からブレイクを焦りすぎて危険になり、白から早いタクティクスのチャンスが生まれるゲームでした。翌日2日目の朝は14局の同時対局のレビューをして、現役部員たちにアドバイスをしました。この夏合宿で代替わりで、今の高1がトップの代になるので、これからどういった活動をしていくのか、先輩として楽しみにしています。また次の合宿でもよろしくお願いいたします。

2026/08/14

Crowdfunding for the Japan Chess Team 2026

1か月後に迫るウズベキスタン、サマルカンドオリンピアードに向け、日本チェス連盟では代表選手を応援する特設ページのオープンや、クラウドファンディングの企画がスタートしています。オリンピアードでのクラウドファンディングは、これで3大会連続となり、毎回多くのご支援をいただいて感謝しております。こちらのブログでもあらためて告知させていただきますので、ご支援のほど、どうかよろしくお願いいたします。素敵なリターンを多数用意し、お待ちしております。

FIDE Chess Olympiad 2026 特設ページ
クラウドファンディング用ページ


特設ページでは、10人の代表選手の紹介や、PVなども公開されておりますので、ぜひこちらもご覧ください。9月16日の初戦まであと1か月と少し、良いゲームをお届けできるよう引き続き頑張ります!
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