2026/04/16

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第53回予告

2026年4月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、4/19(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『白と黒の差異』です。チェスは先手の白と後手の黒であれば、少し白が指しやすいものです。白は上手く指せば、広さ、早さ、ピースの使い勝手の良さ等の黒との差を作り、優位に試合を進めることができるでしょう。今月の講座では、白と黒の違いに着目して解説をしていこうと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第53回『白と黒の差異』|2026.4.19

2026/04/14

シモキタ Street Chess 2026 Event Preview


今月末の4月26日(日)午後に下北沢で、シモキタ名人戦が開催されます。シモキタ名人戦は毎年、下北沢で開催されるボードゲームの屋外イベントで、10種類以上のボードゲームを楽しむことができます。昨日、日本チェス連盟のHPでもシモキタ名人戦内でのチェスイベントに関して告知がされ、イベント内容やスケジュールが確認できるようになっています。

シモキタ Street Chess 2026


今年のチェスブースのゲストは私、IM 小島慎也と、FM 大塚翔生、WCM 小島なつみの3人です。私たちは一度に6人と指す同時対局、相談チェス、ミニトークショーに登場します。ゲストとの交流以外にも、自由に対局できるスペースやチェスパズルなども楽しめる予定ですので、ぜひ下北沢に足をお運びください。いつもの大会とは違ったチェスイベントで、皆さんとお会いできるのことを楽しみにしています!

2026/04/09

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.11


ブログでの未公開棋譜を振り返るシリーズです。2024年末の香港、ハノイ遠征の試合はほぼ解説を出していますので、2025年に入ろうと思います。この年は年始の国内大会、東海オープンで奥野くんと最終戦で優勝を争いましたが、2か月後に東京で再戦の機会を迎えます。銀座で開催された東京&西東京選手権では、私は戦績が振るいませんでしたが、この試合は面白かったと思います。

Kojima, S - Okuno, R
Tokyo & Western Tokyo Chess Championships 2025 (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5

1月の東海オープンでは、指し続けていた5. cxd5 exd5 6. Bg5 を指しましたが、ここでは以前指していた変化に戻しました。こちらの変化では、黒からdxc4のチャンスがあるため、黒からのh7-h6の催促にはビショップナイトの交換を仕掛けます。

5... h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1 Rd8!?


f6のナイトが消えた分、d5のポーンの守りが黒の課題となりますが、ここでは8... dxc4 と取ってからc7-c5とセンターに反撃するプランが一般的です。この変化は思い出深く、2018年のバツミでは、オリンピアードで3回目の対戦となるライバル、IM Wiedenkeller との試合でこの変化を指しました。本譜は初めての変化で戸惑いましたが、自然に思えるd5へプレーヤーをかけるプランを選択します。

9. Qb3 c5 10. dxc5 Nc6 11. cxd5 exd5 12. Bb5 Bxc5 13. Nxd5 Qd6 14. e4?!

d5のポーンを落としたは良いものの、次のポーン突きはd4とa7-g1ダイアゴナルを弱める緩手でした。ここは単にc3にナイトを下げるくらいでも良かったと思います。

14... a6 15. Be2 Be6 16. O-O Nb4


この手でピンのナイトを攻められる手を軽視していました。ポーンを返すか、必死で守るか悩んだ挙句、後者を選ぶことにします。

17. Rcd1 Nxd5 18. Bc4 Ne3??

この手が成立するのかかなり丁寧に読みましたが、結論として白は安全なエンドゲームまで一直線で向かうことができます。代わりの黒の手は難しいですが、18... Qb6! 19. exd5 Bg4! が良い手で、白はポーンアップでもd5のパスポーンを活かすアイディアが難しく、黒はダブルビショップで十分に代償を得ています。

19. Rxd6 Bxc4 20. Rxd8+ Rxd8 21. Qc3! Nxf1 22. Qxc4 Rd1 23. Qxf1!


メイトを防ぐためにクイーンを返すのが唯一ですが、白の好手で、白はポーンアップのエンドゲームとなります。しかし、これでも勝ちを確実にするには油断禁物でした。

23... Rxf1+ 24. Kxf1 Kf8 25. Ke2 Ke7 26. Ne1 Bd4 27. Nd3 Kd6 28. b3 Ke6 29. f4 Kd6 30. Kf3 Ke6 31. g4 b5 32. e5 f5 33. gxf5+

この手でも勝てそうですが、e4のマスに白キングが上がるほうが明確なので、33. exf6 Kxf6 34. Ke4 のほうが良かったでしょう。本譜は黒キングがf5にくるのを許したことで、少し怪しくしてしまいます。

33... Kxf5 34. Nb4 g5 35. fxg5?


黒のキングに上がられ、e5-f4のポーンを崩されると白が勝てるのか怪しくなってきます。f4のポーンを取られても、f3のマスを明け渡さない限り危険はないと割り切り、クイーンサイドのポーンを早くとるほうが良かったでしょう。35. Nxa6! gxf4 36. Nc7 b4 37. Nd5 Bc3 38. a4!+-

35... hxg5 36. Nxa6 g4+!

e5を取られる前にこちらのポーンが伸びてくるのを軽視していました。h2が固定されるか、h2-h3から交換になってしまうと、クイーンサイドだけで勝てるのかが疑問になってきます。

37. Kg2 Bxe5 38. Nc5 Bd6 39. Nd3 Ke4 40. Nf2+ Kd4 41. Nxg4 b4??


bポーン1つで黒のa,bポーンを抑えるのは好形に見えますが、ここではキングが早く侵入すべきでした。41... Kc3! 42. Ne3 Kb2 43. a4 Kxb3 44. axb5 Kb4 ならば黒はキングでbポーンを追いかけて回収し、簡単なドローです。

42. h4 Kc3 43. Ne3 Bf8

b5-b4のせいでc4にマスを与えているため、黒はナイトフォークに警戒しなければならず、キングの侵入が遅れます。

44. Nc4 Kc2 45. h5 Kb1 46. Kf3 Kxa2 47. Na5+-


a2は取らせても、b3を安全な形で守れることになり、白の勝ちを確信しました。

47... Kb2 48. Ke4 Kc3 49. Kf5 Kd4 50. Kg6 Ke4 51. h6 Bc5 52. h7 Bd4 53. Kf7 1-0

h8でプロモーションし、ビショップを取った後で、b4のポーンを落としにキングが戻れば白勝ちです。途中まずくした自覚はあったので、次はこうしたエンドゲームを問題なく勝ち切れるようしたいですね。

2026/04/02

麻布学園チェス部春合宿2026

3月31日から4月1日にかけ、毎年恒例となっている母校麻布学園のチェス部春合宿にお邪魔してきました。今回の合宿地は山梨県の山中湖です。同じ富士五湖の河口湖は合宿や観光で足を運んでいますが、お隣の山中湖は初めて訪れました。しかし、あいにくの連日雨模様で、湖を直接見て写真を撮ることや、湖畔らしいアクティビティは何もできず残念です。それでも2日間、後輩たちの指導は充実したものでした。

今年の春合宿は「白のd4ポーンに黒がc5ポーンをぶつけるのは、どんな時でどんな狙いがあるか」といったテーマで、いくつの局面を想定するところから始めました。普段何気なく指している手でも、どんな意味があるかを深堀してみると新たな発見があるものです。部員たちが慣れてくる頃には、逆に部員からテーマを出してもらいました。
White to move

こちらは過去にYoutube講座でも扱った局面で、白番で駒を動かさずに何手メイトかを読み切るという問題です。必ず駒を動かさずに頭の中で考えるのがポイントで、かなり読める人でも間違えてしまいがちです。初見のかたはぜひチャレンジしてみてください。
Korchnoi, V - Korpov, A
World Championship 1981 (9)
Black to move

Karpov とKorchnoi の試合は2試合紹介し、部員たちを2人組にして、途中局面から白黒交代で指してもらいました。問題を解いてもらうだけでなく、想定した局面を実際に指してもらうと、部員たちの大まかなレベル(盤面全体が見えているか、丁寧に指し手の候補を挙げられるか、局面のポイントを整理できるか等)が分かります。この局面はKarpovが実際に指した手以外にも良いアイディアがいくつかあるので、それを見つけた部員たちも複数いました。
初日の夜は部員全員との同時対局です。昨年の夏合宿は19面指しで倒れるかと思いましたが、今回は10面指しで少し楽でした。幸いにも10面全て勝つことができましたが、試合後に指摘されて少し面白かったのが以下の局面です。
Kojima - Kumasawa
Azabu Spring 2026 Simul
Position after 21.Rd2

2ポーンアップでしたが、b2を取られて1ポーン差に詰め寄られ、Rd1-Rd2と指した局面です。これでb2のナイトを追い返し、e7へプレッシャーをかけて白十分だと考えていました。

21... Nc4?


ナイトが逃げてルークに当て返す手は自然に見えますが、21... Bh6! が勝りました。e2-e3でダイアゴナルをふさぐと、Nb2-Nd3とナイトが逃げつつ、ナイトフォークをかける手があります。翌日の講評では、22. Rxb2 Bxc1 とエクスチェンジを切ってe7を取る勝負の変化を示しましたが、それでも白有利とはならないようです。

22. Rdc2 Bh6 23. e3!+-


Bg7-Bh6 のタイミングが1手遅れると上記の変化のような効果を発揮できません。以下、駒得を守りつつe7を攻め続けて落とし、白の勝ちとなりました。

2日目は10面の棋譜の振り返りと講評をし、部員たちのレベルに合わせたアドバイスをしました。この合宿直後の週末にユース選手権に参加する部員は大変なスケジュールだと思いますが、合宿で学んだことが少しでも生きれば嬉しいです。オリンピアード前の夏合宿でも指導ができることを楽しみにしています。
宿を離れてから少し湖周辺を見られるかと思っていましたが、霧交じりの雨となり、視界が全く利かないので断念しました。山中湖は水陸両用バスや冬季のワカサギ釣りなどの湖での楽しみがあるそうなので、次回はそれを楽しみに訪れたいと思います。
東京へ帰るバス待ちの間、バス停すぐのパティスリーでケーキをいただきました。可愛いラテアート、ありがとうございます。

2026/03/21

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第52回予告

2026年3月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、3/22(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『セオリー当てクイズ』です。チェスの序盤は先人たちの実践と研究の積み重ねにより、様々なセオリーが確立されています。今月はそんな序盤のセオリーで、どのような手が有力だと考えられているか、クイズ形式で出題をしていきます。序盤に詳しい人もそうでない人も、序盤のセオリーの裏側にあるアイディアを考えながら、楽しんでいただければと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第52回『セオリー当てクイズ』|2026.3.22

2026/03/02

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.10


2024年のブダペストオリンピアードから帰国し、最初の国内大会がチーム選手権でした。ここ最近は参加するチームをころころ変えている私ですが、この年は20年前の優勝チームである麻布同期たちと組み、大会に臨みました。大阪チームとのペアリングでのこちらの対局は、お蔵入りにするには勿体ない内容なので、この機会にご紹介させていただきます。

Kojima, S - Scott, T
Japan Team Chess Championship 2024 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 Bb4+ 4. Bd2!?

このシリーズの前半で紹介した山本くんとの試合では、Bogo-Indianに対してビショップ交換を避ける4... Nbd2 を指しましたが、その後の研究でこちらでも良いと考えました。ただし、調べてきたのは少しマイナーなアイディアです。

4... Qe7 5. e3!? O-O 6. Bd3 Bxd2+ 7. Qxd2 d6 8. Nc3 c6 9. O-O-O e5 10. Bc2!


Qd8-Qe7に対してはキングサイドにフィアンケットを組むことが多いですが、クイーンサイドにキャスリングするダイナミックなアイディアを見つけていました。e6-e5-e4に対しては、ビショップをc2に早めに退くことで対処します。

11... Re8 11. dxe5 dxe5 12. Qd6 Qxd6 13. Rxd6 Na6 14. h3!

クイーン交換前であれば、g2-g4と突いていきそうですが、ここではg4のマスを抑えて黒の白マスビショップを制限する狙いです。dファイルとd6のマスを長期的に抑えることで、白はアドバンテージを得ています。

14... Bd7 15. Rhd1 Re7 16. Ng5! h6 17. Nge4?!


ここはe4のマスへの切り替えで戦うものと考えたのですが、ナイトは敵陣に跳びこみ、駒交換を進めるほうが良いというのがコンピュータの指摘です。17. Nh7! Nxh7 18. Rxd7 Rae8 19. Rxe7 Rxe7 20. Rd8+ Nf8 21. Ra8!+- 7段目へのルークの跳びこみでは不十分かと考えていましたが、こうして8段目も活用すれば白が大きく有利であることは明らかです。

17... Nxe4 18. Nxe4 Be6 19. b3 Kf8 20. Kb2 Ree8 21. Kc3 f5 22. Ng3 g6 23. h4!

この試合の中で最も気に入っているプランです。黒のe5、g6の2つのポーンを固定し、弱点として優位を拡大します。

23... h5 24. e4! f4 25. Nf1! Bg4 26. Rf6+?


2月のYoutube講座では、こちらの局面を扱いました。本譜の6段目でのルークチェックは結果的にg6を落とせたので良かったですが、実は焦りすぎなアイディアで、正しく黒に対処されると困ってしまいます。ここはじっと耐えるように26. R1d2! とルークをかわしておき、次にNf1-Nh2-Nf3-Ng5とナイトをゲームに戻せば白勝勢でした。

26... Ke7 27. Rdd6 Rad8?

g6のディフェンスはできないように見えますが、直接守るのではなく、6段目を分断するアイディアで対処することができました。27... Nc7! 28. Rxg6 Ne6!-+ こうしてナイトをe6まで運べば、g6を取ったルークは生還できず、駒得の黒が勝勢になります。

28. Rxd8 Rxd8 29. Rxg6 Kf7 30. Rg5+-


本譜ではg6を取ったルークは無事に生還し、白がポーンアップのエンドゲームに入りました。白マスビショップの働きにやや不満はありますが、黒のe5、h5を弱点として固定しているので、白の優位は十分なものでしょう。

30... Be2 31. Nd2 Ke6 32. Nf3 Bxf3 33. gxf3 c5 34. Rxh5 Nb4 35. a3 Nc6 36. Rh6+ Kd7 37. h5 Rg8 38. Rh7+ Kc8 39. h6 Rg2 40. Rf7 Rh2 41. h7 Nd8 42. Rg7 Rh3 43. Kd2 Rh2 44. Ke2 Rh1 45. b4 cxb4 46. axb4 a6 47. Ba4 Rh6 48. Bd7+ Kb8 49. Bf5 1-0

最後はhポーンを活用して勝利を決めました。試合後は完璧なゲーム運びだと思っていたので、Na6-Nc5-Ne6があったことを後で見つけて愕然としました。この見落としは反省するとしても、h2-h4からの構想を作れたのは良かったと思っています。

2026/02/28

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.9

ハンガリーの建築や像をモチーフにしたチェスセット。気づくと売り切れてました...

このシリーズもすっかりご無沙汰になってしまいました。時間を見て残していた棋譜解説を書いていこうと思います。第9弾はオリンピアード直前の大会で、ハンガリーのIM Nomin-Erdene とのゲームです。彼女はモンゴルの女子プレーヤーとして有望視されていましたが、私がIMを取る直前の2014年頃にはハンガリーに移住&移籍し、ノームトーナメントを転戦していた記憶があります。近年は調子を落としていますが、GMノームも獲得している女子の強豪選手です。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Nomin-Erdene, D (IM, HUN, 2319)
XIII. Premium Nemzetkozi Sakkverseny (6)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 Nbd7 5. cxd5 exd5 6. Bf4 Nb6!?

この手は指されるまで全く知りませんでした。多くのQGDの変化において、b6はナイトが早めにいくマスではありませんが、白がBc1-Bf4を早く決めた際には、Bf8-Bd6でビショップ交換を狙えること、将来的にNb6-Nc8-Nd6のようなマヌーバリングを見込めることから、このタイミングでは悪くなさそうに思えます。

7. e3 Bf5 8. Nh4 Be6 9. Bd3 Bb4 10. Nf3 Ne4 11. O-O!? Bxc3 12. bxc3 Bg4 13. c4?


ここはe4のナイトが不安定になるので早めに仕掛けてみようと考えましたが、もう少し辛抱強く指すほうが良かったでしょう。13. Qc2! Bxf3 14. gxf3 Nd6 15. a4 Qf6 16. Rfb1 という進行であれば、白は開いたキング前もさほど気にせず、クイーンサイドでプレッシャーをかけて戦えそうです。

13... Nxc4 14. Bxe4 dxe4 15. Qa4+ c6 16. Qxc4 exf3 17. Rfb1 Qd7 18. Qb4 b6 19. d5!

ポーンをさらに捨てるリスクを取りましたが、黒キングがキャスリングする前に局面を開いてチャンスを求めます。

19... cxd5 20. e4 d4 21. Rc1 a5 22. Qa3 Ra7 23. gxf3


f3でぶつかっているポーンに手を出すべきかどうかずっと悩んでいましたが、ポーンはポーンだということでこのタイミングで回収しました。2つポーンを捨てている状況では、早めに1つは取り返しておきたいという心理もあったと思います。ここは早さ重視で、23. Rc2 b5 24. Qc5 f6 25. h3 Be6 26. Rd1 d3 27. Rc3 Bc4 28. a4+/= という進め方もあったでしょう。

23... Be6 24. Rc2 b5 25. Qc5 d3 26. Rd2 f6 27. Rc1 Bc4 28. Rxc4?!

ここは上記の変化同様、28. a4! が正確な手でしたが、エクスチェンジを捨て、さらにd3をルークで取った際の黒の対応は難しいのではないかと考えました。

28... bxc4 29. Qxc4 g5?

黒キングの逃げるマスはf7に確保できているので、この手はポーンストラクチャーを弱めてしまううえ、白に主導権を与えてしまいます。29... Rb7! 30. Rxd3 Qb5! 31. Qe6+ Re7=/+ ならば、黒はキングを守り切れています。8段目を弱める手はh8のルークがターゲットになった危ないと考えていましたが、d3のルークに反撃しているのがポイントです。

30. Rxd3 Qb7 31. Rb3 Qa6 32. Rb8+ Ke7 33. Qc5+ Kf7 34. Rxh8+-

h7取りがあるため、白はビショップを取られる心配がありません。マテリアルを挽回し、不安定な黒キングを攻め続けることができるので白勝勢です。

34... Kg7 35. Qf8+ Kg6 36. Rg8+ Kh5 37. Bd6 Qb5 38. Qxf6 Rd7 39. e5 Qb1+ 40. Kg2 h6 41. Qe6 1-0


この試合で勝ったことが、こちらのプレミアム大会で優勝できた大きな要因なので、どこかで紹介する機会を持ちたいと思っていました。今のところ予定はないですが、また次のハンガリーでの試合も楽しみにしています。

2026/02/21

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第51回予告

2026年2月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、2/22(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『Patient Move』です。この用語は聞きなれないかもしれませんが、忍耐強い手、我慢の手といった意味で用いられます。具体的には、攻撃の準備となる手、上手く守って相手に攻めさせないようにする手、取れる駒をあえて取らないで指す別の手など、幅広い手を指します。勢いで指すだけでなく、ぐっとこらえて指す手がどのようなものか、実戦の中から見つけていきましょう。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第51回『Patient Move』|2026.2.22

2026/01/24

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第50回予告

2026年最初、1月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、1/25(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『最後の一手』です。チェスの試合は、目を見張るようなタクティクスで終わるゲームもあれば、一見なぜ終わるのか分からないものまで、結末は様々です。今月はどのようにしてゲームが終わったか、その最後の1手に着目してゲームを見ていこうと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第50回『最後の一手』|2026.1.25

2026/01/13

Tokai Open 2026 Day2

2024年から国内大会の皮切りとなっている東海オープンが、今年も無事に終了しました。私は2日目も連勝で、昨年の中部快速オープン以来の名古屋大会全勝優勝となりました。東海オープンは4年連続、計8回目の優勝ですが、最近の3回はいずれも1ドローを落としていたので、今年はポイントを落とさずに乗り切れたことを嬉しく思います。各クラス入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2303) 5/5
2nd Place Yamaguchi, Tosei (JPN, 1920) 4/5
3rd Place Sharma, Sameer (JPN, 1871) 4/5

Tokai Open 2026 Final Standings


私は4Rで田中さんに勝ち、最終戦は山口くんに白を持つことになりました。ここまで互いに4連勝ですが、ドローでタイブレーク勝負にするのも気が進みませんし、レイティングをプラスで終えるためには勝つしかありません。序盤、自分の詳しい変化になったのはラッキーでした。

Kojima, S (IM, JPN, 2303) - Yamaguchi, T (JPN, 1920)
Tokai Open 2026 (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6 5. Nf3 Bf5 6. Qb3 b5 7. cxd5 cxd5 8. a4!

最終戦はSlavのa7-a6, Bc8-Bf5 ミックスの変化になりました。過去に自分でも指しており、黒で嫌だった変化を白で試します。黒のb7-b5を働かせないためには、a2-a4からすぐに崩すのが良いアイディアとなります。

8... b4! 9. Qxb4 Nc6 10. Qc5 Bd7!?


オンラインで一度だけ経験のある手です。過去に調べていたのは、10... Na5 11. Bxa6! Rxa6 12. Qb5+ Rc6 13. Ne5 Bd7 14. Nxd7 Nxd7 15. Bd2 Qa8 16. Nxd5 e6 17. Nf4 Ra6 18. O-O+/= という3ポーンvs. ピースにする変化で、数年前は黒で指そうと思っていましたが、現在は白が指しやすいと考えています。

11. Ne5! e6 12. Nxc6 Qc7 13. Ne7!

初めて見ると驚きそうな手です。貰ったナイトは早々に返し、1ポーンアップを保って白は戦います。

13... Qb7?!


ここはポーンダウンでもクイーンを交換すべきです。13... Qxc5 14. dxc5 Bxe7 15. b4 a5 16. bxa5! Bxc5 17. Bd2+/= これは白が勝てるかどうかという勝負ですが、黒としてもベストだったでしょう。

14. a5! Bxe7 15. Qb6 Qc8 16. Be2 Bd8 17. Qc5 Bc6 18. O-O Be7 19. Qb6 O-O 20. Bd2 Qd7 21. Qb3

白はa4-a5を突くことで、一時的にb6のマスをクイーンの避難場所としておき、最終的にクイーンは自陣に退きます。中盤以降ではa5にポーンを刺したことでa6を固定し、ターゲットにすることで白は1ポーンアップ以上のアドバンテージを得ます。ここまでは作戦として完璧でしたが、この数手後にミスが出てしまいました。

21... Rfc8 22. Rfc1 Rab8 23. Qc2?!


黒のbファイルからの反撃に対して、クイーンをどこに逃がすかは迷うところです。a2と端を選ぶのに抵抗があり、e4にも利くc2を選びましたが、cファイルのピンが予想外の形で利用されてしまいました。代わりに23. Qd1! Qb7 (23... Rxb2 24. Bxa6+-) 24. Qf1! Qxb2 25. Ra2+- と進めば白勝勢でした。b2とa6の交換であれば、白はパスポーンになったaポーンを進める単純な作戦で勝てそうです。

23... Bb5! 24. Bxb5 Rxb5 25. Qd3?!

c3のナイトがピンであることを利用され、黒にとって課題であった白マスビショップを捌くと同時に、上手くa6へのプレッシャーを緩和されてしまいました。1ポーンアップをキープしても、a6を攻めるか、b2-b4-b5と仕掛ける作戦が無ければ局面を進展させられないと焦ってしまいましたが、ここはさらに我慢が必要でした。25. Qb1! Rbb8 26. Na4! Rxc1+ 27. Qxc1 Rb5 28. Nc5! こうしてナイトを活用して攻め込めば、白はまだまだチャンスを残せます。

25... Rxb2! 26. Rcb1 Rcb8??


b2を返してもbファイルを取り返し、a6を再度攻めてチャンスを作ろうとする白に対し、黒はディフェンスを間違えました。26... Rxb1+! 27. Rxb1 Rc4! (こうして白マスでブロックをしてa6をカバーできるのも、白マスビショップを捌いた効果です。) 28. h3= こうしてみると、白はb2を無駄に返しただけで勿体なかったと思えそうです。

27. Qxa6+-

白からb2のルークを交換しなければd2のビショップは取られないので、白は遠慮なくa6をいただいてしまいます。これでaポーンを進める作戦が生まれれば、白として残りはさほど難しくありません。

27... Qc7 28. Rxb2! Rxb2 29. Qd3 Ne4 30. Nxe4 dxe4 31. Qc3 Qb8


31... Qxc3 32. Bxc3 Rb7 33. a6 Ra7 34. d5! exd5 35. Bd4+- クイーンを交換した場合は、1ポーンを返してビショップをアクティブにし、a7を抑えて勝つつもりでした。

32. a6 Rb6 33. a7 Qa8 34. Qc7 Bd8 35. Qd7 Bf6 36. Rc1 1-0

相手のミスに助けられつつも、最後はプロモーションとバックランクメイトを見せて勝ちました。去年からFIDE公式戦は10連勝となり、2026年幸先の良いスタートを切れて嬉しく思います。次の大会は未定ですが、良い内容でプレーを続けていければと思います。また次回もよろしくお願いいたします。
今年も3冊、チェスの書籍を賞品としていただいてきました。Ivanchuk、Mishraの本に、Positional Sacrificeの本です。これから内容を見ていこうと思います。
名古屋最後の食事は味噌煮込みうどんにしました。今回はいわゆる名古屋グルメは少なめだったので、また次回の楽しみにしておきます。
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