2026/09/23

Samarkand Chess Olympiad Rest Day

昨日は試合のないレストデーでした。オリンピアードでは前半6試合後、後半5試合を迎える前に1日休みを挟むのが通例です。今回のオリンピアードでは、日本チームは一部がツアーで午後の観光にいくことになり、午前は遅い朝食の後にルークエンディングの研究を少しだけ。私も5,6Rが難しいルークエンディングだったので、もっと知識と実戦経験を増やしたいと思います。
午後2時に迎えのバスが来て、サマルカンド到着日以来となる市内中心に戻ります。お出かけスタイルのTuさんを見るのは、2年前のブダペストオリンピアード以来です。
最初にバスで降りたのは、シャーヒ・ズィンダ廟群です。サマルカンドでも有名な青い廟が並ぶ場所ですね。各ホテルからオリンピアード選手がバスで何台分も到着したうえ、もともと人気の観光地ですのですごい人出でした。
廟内部の天井はこのようになっています。中央アジアでは建造物からパンまで、精巧な文様を入れますね。
シャーヒ・ズィンダ廟群では、チェコのトップGM David Navaraと会って一緒に写真を撮らせてもらいました。逆にNavaraは、チェス柄の大塚くんの服を気に入って写真を撮っていました。一緒のバスには元世界チャンピオンのDing Lirenも乗っており、著名なマスターたちもこの日は一緒にサマルカンドを観光をしています。
続いて市内中心をかなり離れてバスは北へ。イマーム・アル=ブハーリー廟はイスラム教の学者であったイマーム・アル=ブハーリーの生誕、終焉の場所とのこと。巨大な建造物が水面に映えています。
入り口をくぐると中庭のようになっており、大量の柱の回廊が続いています。ここを出たエリアのカフェで少し休憩をし、早くも時刻は17時。巡る場所はまだ多くなくとも、移動の時間が長いツアーです。
日が暮れる頃、市内中心のグーリ・アミール廟にやってきました。ちょうどライトアップされ始めだったので、良い時間帯かと思いましたが、なんと数分で辺り一帯の電気が消え、かなり驚きました。建物内部の電気も消えたので、ここを見るのは断念して徒歩圏内のレギスタン広場まで歩いていくことにします。ホテルから連れてきてくれたバスとはここでお別れです。
レギスタン広場は夜が見ものの世界遺産で、到着した19時半前には多くの人が座り込んでいました。広場の手前にはゲートが設けられ、オリンピアード関係者の証明バッヂがあれば、ゲートを超えて中に入っても良いとのこと。オリンピアード期間中は警備が強化されていたり、選手、関係者が優遇されていたり、なんだか申し訳ないです。中でお土産のショップを見て、この日はタクシーでホテルに戻ることにしました。

さぁ今日からいよいよ後半戦です。ベルギーはGM Gurevichを休ませたので、16年ぶりの対戦は実現せず残念ではありますが、2400台のIMが相手なので頑張ってこようと思います。また今夜から応援をよろしくお願いいたします。

チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信


2026/09/22

Samarkand Chess Olympiad R6 Japan - Saudi Arabia

運営からのプレゼントを開封。キャップ、マグカップ、シャツ、ノート、水筒でした。

サマルカンドオリンピアードは早くも折り返しのR6を迎えました。オープンは初対戦となるサウジアラビアです。最近までサウジアラビアのチェスにさほど強い印象はありませんでしたが、eスポーツワールドカップが近年はサウジアラビアで開催され、Carlsenらが足を運び、Chess.comでの熱い戦いを繰り広げていました。私の相手は前日に続き20代ですが、サウジアラビア代表は皆立派なひげを蓄え、年齢は少し分かりにくかったです。(彼らからすれば、むしろ私たちのほうが分かりにくい?)

Kojima, S (IM, JPN, 2273) - Alshnaiber, Y (KSA, 1866)
Samarkand Chess Olympiad (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 Bb4+ 4. Bd2 a5 5. a3 Bxd2+ 6. Qxd2 d6 7. Nc3 Qe7 8. e4

このセットアップも問題無いのですが、クイーンを上がってe6-e5を突くアイディアにはg2-g3を準備していたはずで、クイーンサイドキャスリングが有効なのはNb8-Nd7に対してでした。

8... e5 9. O-O-O Bg4 10. dxe5 dxe5 11. Nd5 Nxd5 12. exd5


d4のアウトポストを使われるとやっかいなので、d5でナイト交換をしてc6のマスを抑えておきます。e5への攻撃チャンスや、Bf1-Bd3からのキングサイドへのアタックチャンスにも期待しています。

12... O-O 13. Re1 Bxf3 14. gxf3 Qf6 15. Rg1 Nd7 16. Bd3 c6

d5ポーンを崩すアイディアもありそうですが、白にとってもd5のマスやdファイルが使える可能性があり、判断の難しい手です。早めの16... g6からg7,h7両方を受ける手もありました。

17. dxc6 Qxc6 18. Kb1 Nc5?


これは単純な見落としだと思います。ビショップナイトの交換を受け入れても、ポーンをいただいておきます。

19. Rxe5 Nxd3 20. Qxd3 b6 21. Qd4 g6 22. Rd5 Rac8 23. Rc1 Rfe8 24. h4 h5 25. f4?!

ダイレクトアタックのチャンスを考えるか、ピースを交換してエンドゲームを迎えるか悩みました。f3-f4-f5は成功すれば大きいですが、クイーンを交換されてしまいます。25. Ka2! と先にキングを避けて置き、黒クイーンがe4でチェックにならないようにすべきでした。

25... Qe6 26. Re5 Qc6 27. Rd5 Qe6 28. f5 $1 Qe4+ 29. Qxe4?!


キングが避ける手も当然考えましたが、f5を取られてどうするか分かりませんでした。29. Ka2! Qxd4 30. Rxd4 gxf5 31. Kb3!+/- このキングが上がる手でc4を落ち着いて守り、ルークを自由にするアイディアは分かりませんでした。

29... Rxe4 30. fxg6 fxg6 31. Rd6

お互いにルークでフォークしあい、パスポーンを作ることを目指します。

31... Kh7 32. b3 Rxh4 33. Rxb6 a4!? 34. c5 axb3 35. Rxb3 Rf4 36. f3 Kg7 37. c6 Kf6 38. c7 Ke7 39. Re3+ Kf7 40. Rd3 Ke7


この少し前でTuさんの勝ちが決まり、南條くん、山田くんのドローもあって、私もドローでマッチに勝つことは分かっていました。しかし、1ポーンアップをキープしたままc7までポーンを進めることができ、負ける危険はほとんどないため、試合を続けることにします。

41. Re1+ Kf6 42. Rd6+ Kf5??

42... Kg7 43. Re7+ Rf7 44. Rdd7 Rxe7 45. Rxe7+ Kf6 46. Rh7 Ke6= ならば、白が勝つことは難しいと思っていたので、黒がキングの位置を間違えたのはありがたいと感じました。しかし、簡単なタクティクスをここで見落とします。

43. Rc1?


43. Rd8! Rxc7 44. Rf8+ Kg5 45. Rg1++- これで黒のルークを落として簡単に勝ちでした。13年前のノームトーナメントでも同じ見落としをしており、成長していません。

43... Ra4 44. Kb2?

チェックのタイミングは遅れてでも良いと思いましたが、すぐが良かったようです。44. Rc5+! Kf4 45. Rf6+ Ke3 46. Rc3+ Kd4 47. Kc2+- なるべく早く中央に寄り、白はまだ先は長いものの勝つチャンスがありそうです。

44... Ra7 45. Rc5+ Kf4 46. Rf6+ Ke3 47. Rf7 h4 48. Rc3+ Kf2?


このキングの潜り込みが致命的な1手だったようです。48... Kd4! 49. Rf4+ Kd5 50. Rxh4 Rcxc7= ならばポーンを取り合い、白は勝てないでしょう。

49. f4! h3 50. Rh7 Kg2 51. Rhxh3!?

g6まで取れるので、本譜のようにポーンを取り合っても勝てます。もう1つの勝ちのアイディアは黒キングを下段に追い詰めてダブルルークでメイトを狙うアイディアで、51. Rd7 Rb7+ 52. Kc1! h2 53. Rd2+ Kg1 54. Rcc2! がありました。

51... Rb7+ 52. Ka2 Rcxc7 53. Rhg3+!


このチェックのテンポでg6を落とし、a,fポーンになるので白が勝てそうです。

53... Kf2 54. Rxc7 Rxc7 55. Rxg6 Ke3

55... Rf7 56. Kb3 Rxf4 57. a4 Ke3 58. a5 Rf8 59. Kc4+- fポーンを取られても、aポーンで十分に勝つことができます。

56. Rf6 Rb7 57. a4 Rb4 58. Ka3 Rb1 59. a5 Kd4 60. a6 Kc5 61. f5 Rb5 62. Re6 Ra5+ 63. Kb3 Rb5+ 64. Kc3 Kd5 65. a7 Ra5 66. Re7 Kd6 67. f6 Ra1 68. Kb4


後はキングがaポーンのサポートをするためにゆっくり上がるだけです。

68... Rb1+ 69. Ka5 Ra1+ 70. Kb6 Rb1+ 71. Ka6 Ra1+ 72. Kb7 Rb1+ 73. Kc8 Ra1 74. Kb8 Rb1+ 75. Rb7 1-0

ルークで蓋をしてチェックを振り切り、白の勝ちとなりました。2日連続のルークエンディング、そして今大会最長ゲームで疲れましたが、前半戦を個人、マッチともに勝ちで締めくくり、良い流れで後半戦に入れそうで良かったです。

Open R6 Japan - Saudi Arabia 3-1

Women R6 Japan - Guyana 2.5-1.5


チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信


女子もガイアナに勝って、今大会初のオープン、女子揃っての勝利でした。今日のレストデーで英気を養い、また後半戦に臨もうと思います。R7はオープンがベルギー、女子が北マケドニアとの対戦です。また明日からの応援をよろしくお願いいたします!
R6後のバミューダパーティーは参加せず、初日以来となる水辺の散策。あの光の辺りから騒がしい気配がします。

2026/09/21

Samarkand Chess Olympiad R5 Monaco - Japan

サマルカンドオリンピアード5R、日本オープンチームはモナコとの対戦です。モナコは14年前のイスタンブールオリンピアード最終戦で対戦し、敗れた因縁の相手です。その際の借りを返すため、お昼に豪華なラムチョップをいただいてから試合に臨みます。モナコは60代3人と20代、10代が1人ずつの構成で、私の相手は20代のFMでした。

Cahen, A (FM, MNC, 2078) - Kojima, S (IM, JPN, 2273)
Samarkand Chess Olympiad (5)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 cxd5 4. cxd5 Nf6 5. Nc3 Nxd5 6. Nf3 Nc6 7. Bb5 g6

対戦相手がこの変化を指すことは事前にわかっていたので、Samとどのように戦うかを事前に話しました。選んだ変化は黒十分ながら、絶対に勝ちを狙うものではありませんが、Samの「黒はまずイコアライズでOK」という言葉を信じ、プレーをします。

8. Qa4 Nb6 9. Bxc6+ bxc6 10. Qxc6+ Bd7 11. Qe4 Bg7 12. O-O Rc8 13. d4 Bc6 14. Qe2 Bxf3 15. Qxf3 Qxd4 16. Be3 Qf6!?


一昨年のWelcome Olympiad! では、16... Qb4 17. Qb7 0-0 18. Qxa7 Qxb2と進み、短手数でドローに合意しました。f6でクイーンをぶつける手はその後の解析で見つけた手で、こちらも黒が十分に指すことができます。

17. Qxf6 Bxf6 18. Bxb6 Bxc3 19. bxc3

19. Bxa7 Bxb2 20. Rab1 Ba3もありえる変化で、白のaポーンは脅威にならず、黒は満足です。ただし本譜のように白にバラバラポーンがあるわけではなく、黒がどう勝つチャンスを作るか難しいところです。

19... axb6 20. Rfb1 Rc6 21. a4 O-O 22. Ra3 Rd8 23. Kf1 Rd2


2段目にルークを潜り込ませることができ、bポーン1つとa,cポーン2つの交換が見えてきました。

24. Rab3 Ra2 25. Rxb6 Rxc3 26. R1b2 Rxa4 27. Rb7 e6 28. g3 g5!

gポーンを早めについておくのは、4vs.3 のルークエンディングにおいて勝ちを目指す側の重要なアイディアです。白からのh2-h4を防いでおき、黒から将来的にh7-h5-h4を仕掛けるチャンスを作ります。

29. Kg2 Kg7 30. h3 Rc5 31. R2b5 Rxb5 32. Rxb5 Kg6 33. Rb7 h5 34. Re7 Re4 35. Kf3 f5 36. Kg2 Kf6 37. Rh7 h4 38. Rh8 hxg3 39. Kxg3 Re1


この後も登場しますが、39... Rf4 40. f3! が劣勢の白にとって重要なディフェンスのアイディアだと学びました。

40. Rf8+ Kg7 41. Ra8 Rb1 42. Ra3 Kf6 43. Kf3 Re1 44. Rb3 e5 45. Rb6+ Kf7 46. Kg3 Rd1 47. f3!

直感的にこのポーン突きは2段目を開いて弱めてしまうので、変なのではないかと思いました。しかし、この手無しで黒からe5-e4とされてf2でポーンが固定されると、パスポーンを作られる&キングに回り込まれて負けのようです。4vs.3 のルークエンディングを調べていて、Capablanca - Yates 1930 の実戦を見つけましたが、この試合ではまさに劣勢側がfポーンを突かなかったゆえに負けたようです。

47... Rd3 48. Kg2 f4 49. h4!?


この手でもコンピュータはドローを示しますが、人間的には難しくしています。49. Rh6! Rd7 50. h4= ならば確実にポーンを交換し、ドローになりそうです。

49... g4! 50. fxg4 Rg3+ 51. Kf2 Rxg4

51... e4 52. g5 e3+ 53. Ke2 Rg2+ 54. Ke1= では黒は勝つことができません。

52. Kf3 Rxh4 53. Ke4


黒は2つポーンリードに変わりましたが、白キングが綺麗に黒のコネクテッドパスポーンをブロックしており、勝つためのはっきりしたプランは見えません。ひとまずe5を守り、ルークを退いて6段目のカットオフを外しにいきます。

53... Rh5 54. Ra6 Rg5 55. Ra8 Rg8 56. Ra6 Rg6 57. Ra5 Re6 58. Ra8?

ここが決定的なミスでようやく黒の勝ちになりました。58. Kf5! f3 59. Ra7+ Re7 60. Ra1 e4 61. Kf4= fポーンを突ければチャンスはあるとゲーム中は考えていましたが、キングがサポートに行けなければドローのようです。

58... Kf6 59. Rf8+ Kg5 60. Rh8 Rh6 61. Rg8+ Rg6 62. Re8 Kg4!


gファイルにまわしたルークでチェックを防ぎ、黒キングがどんどん前進すれば、eポーンを見捨ててもfポーンを押し進めて黒は勝ちです。

63. Rxe5 f3 64. Ke3 Kg3 65. Kd2 f2 66. Ke2 Kg2 67. Rf5 Re6+ 0-1

直前までルークがgファイルにいたおかげで、ルセナポジションの橋を架けるアイディアを使うこともなく勝ちを決めました。隣の大塚くんが早めに負けた際は少し焦りましたが、Tuさん、山田くんの勝利でマッチ全体でも勝ちを収めています。

Open R5 Monaco - Japan 1-3

Women R5 El Saldavor - Japan 2.5-1.5


チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信


女子チームは格上のエルサルバドル相手に、接戦でしたが敗れています。今日が前半戦最後のラウンドですので、オープン、女子互いに勝ってレストデーを迎えたいですね。オープンは初対戦となるサウジアラビア、女子はガイアナとの対戦です。
Expoにはこのオリンピアード中に行われる、FIDE会長選挙のためのブースも設けられています。こちらはカザフスタンのTimur Turlovのブースで、先日来日したドイツのWadim Rosensteinの対抗馬です。

2026/09/20

Samarkand Chess Olympiad R4 Japan - Kazakhstan

この日はオープンがカザフスタンとの対戦でした。カザフスタンと言えば、先日GM Darmen Sadvakasovが来日し、カザフスタンのチェス教育についてレクチャーをしてくれたばかりです。カザフスタンはウズベキスタンほどではないものの、アジアではレベルの高い国です。今は世代交代の時期に来ており、かつてカザフスタンを背負って代表として出場していたGMたちは軒並みナショナルチームから退き、若いプレーヤー中心のチームになっています。私たちはプレーする選手は朝食後、Samの部屋に集まって対策を行い、試合に向かっていきます。

Agmanov, Z (GM, KAZ, 2490) - Kojima, S (IM, JPN, 2273)
Samarkand Chess Olympiad (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4 a6 5. h5 c5 6. dxc5 Nc6 7. Bd3 Qd7 8. Be3

ここで知識が途切れ、どうしようか悩みます。Samとの事前研究で、どこかのタイミングでBc1-Be3ならば、c4,e4のマスを明け渡しても、d5-d4と押し込むのもありだと考えていました。しかし、いざやられてみると、このタイミングでも良いのか、将来的にナイトがどう跳んでくるかを読む必要があります。f7-f6のようにポーンを取り返すよりもギャンビットで勝負するアイディアもありますが、30分以上悩み、d5-d4の作戦にすることにしました。

8... d4 9. Bf4 e6 10. Nd2 Bxc5


ポーンは取り返しましたが、d4にポーンを進めたため、a7-g1のダイアゴナルで黒マスビショップが使いづらい状況です。しかし、d3のブロッケードもいつまであるか分からないため、ビショップの働きは今後の白の動き次第でしょう。

11. a3 Nge7 12. Ngf3 Nd5 13. Bg3 O-O?!

私はひとまずキャスリングまでできて一安心だったのですが、13... Bxd3 14. cxd3 f5! がコンピュータの指摘する変化です。本譜でもfファイルを開くために後々fポーンは突きますが、このタイミングはd3にポーンを移動させてd4が狙われづらくした後、e4のマスを抑えてNd2-Ne4を止めるということですね。d3のブロッケードは外してもらったほうがありがたいので、白マスビショップはひたすら取れるのを待つばかりで考えていました。

14. Qe2 b5 15. Nb3 Bb6 16. Rd1 Rae8


f5を取られた際にeファイルを開き、e5に反撃できるようにしたのですが、16... Bxd3 17. Rxd3 h6 18. Nbxd4 Nxd4 19. Nxd4 b4! もポーンの代償ありで戦えたようです。d4をあえて取らせることで、a7-g1のダイアゴナルを開き、ビショップを使えるようにする作戦です。

17. h6 g6 18. O-O Bg4!?

ここで白マスビショップはかわし、次にfファイルを開いてf3のナイトにプレッシャーをかけにいきます。

19. Be4 f5 20. exf6 Rxf6?!


20... Nxf6!? 21. Bxc6 Qxc6 22. Nbxd4 Bxd4 23. Rxd4 e5 24. Bxe5 Bxf3 25. gxf3 Nd7 26. f4+/= は白がやや良いですが、こちらのほうが良いというのがコンピュータの指摘でした。c6のナイトの交換を許し、d4を差し出す発想は考えたものの怖かったです。本譜はなるべくポーンを守り続けます。

21. Qd2?


私もf3のナイトを白マスビショップでサポートしたので、ピンを外すこの手は自然だと思っていました。しかし、実際にはeファイルからのプレッシャーが薄まり、f3の守りも薄くなるため良くなかったようです。21. Rfe1 Ref8 22. Rd3+-

21... Ref8 22. Rde1 Bxf3! 23. Bxf3 Nf4

ここは典型的なエクスチェンジサクリファイスの機会でした。23... Rxf3! 24. gxf3 Rxf3 25. Qd1 Rf5 黒が優勢かの判断は難しいですが、代償はありそうです。ただ私としては黒マスビショップの働きがまだ定かでない状況で、駒を捨てるのは不安でした。

24. Re4 g5!


f4のナイトを支えると同時に、6段目を開いてh6を落としにいきます。

25. Bg4?! Qd5! 26. Rfe1 e5?!

e6のターゲットになるポーンをかわしつつ、f4のナイトをさらに補強して黒の問題は概ね消えたと思いました。しかし、ここはe4のルークがピンであることを利用し、26... Ne5! 27. Bxf4 Nxg4 28. Re5 Nxe5 29. Rxe5 Qc6 30. Rxg5+ Rg6-/+ と進めていれば黒がはっきり優勢でした。

27. Nc1 Rxh6 28. Nd3 Bc7 29. Bf3 Qf7 30. Nxe5!


ここでエクスチェンジを相手が切るのは気を付けていたつもりでしたが、やはり実行してきました。ルークを1つ諦めても、eファイルを突破しなければ白のルークは使えないままでじりじりと白が押されていくでしょう。例えこの結果負けるとしても、こうするしかないという実戦的な判断です。

30... Nxe5 31. Rxe5 Bxe5 32. Rxe5 Qg7 33. Qxd4 Rhf6

33... Re6 34. Bd5! Ne2+ 35. Rxe2 Qxd4 36. Bxe6+ Rf7 37. Re3 これは白がクイーンを捨てても粘れそうです。

34. Bxf4 Rxf4 35. Qd6 Qf6?


これはg5を返すつもりではなく、時間切迫による見落としでした。a6を気にして指した手ですが、代わりに35... Kh8! ならば、次のg5-g4が厳しく黒に勝ちのチャンスが残ります。

36. Qxf6 R8xf6 37. Rxg5+ Rg6 38. Bd5+ Kf8= 1/2-1/2

マッチの結果が負けになることは分かっていましたが、2ポーンを失えばルークvs.ビショップでも勝てないため、ここで私からドローオファーをしてゲームを終わらせました。私以外の3ボードは負けで、あらためてカザフスタンの層の厚さを感じることになりました。チームは2勝2敗、またここから勝ち上がっていきたいと思います。

Open R4 Japan - Kazakhstan 0.5-3.5

Women R4 Japan - Mauritius 4-0


チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信


女子はインド洋の島国、モーリシャスをストレートで破り、こちらも2勝2敗となっています。今日はオープンがモナコ、女子がエルサルバドルとの対戦です。モナコは2012年のイスタンブールオリンピアード最終戦で敗れた相手ですので、そのリベンジを果たしてきたいと思います。
昨日はSamの誕生日ということで、ホテルにケーキを用意してもらい、チームのみんなでお祝いをしました。

2026/09/19

Samarkand Chess Olympiad R3 Afghanistan - Japan

サマルカンドオリンピアードのR3で、オープンチームはアフガニスタンとの対戦です。私はこの日抜け番だったため、試合解説は無しで写真中心で様子をお届けします。試合前、オープンチームの5人はプレーエリア隣のExpoで記念撮影。その後、試合に向かう4人を見送りました。
オリンピアードでは毎回、プレー中の選手のみが入れるプレーエリアと別に、選手でなくとも入れるエリアが設置され、ゲームの解説が行われたり、チェスショップが出展しています。こちらは今回のメインの解説コーナーで、試合が始まると巨大モニターに注目のボードが映され、観客が集まってきます。この日の解説はSvidlerでした。
私にとっては10回目のオリンピアードですが、今回ほど自国の選手激推し!というオリンピアードは見たことがありません。ウズベキスタンの代表1人ずつが登場する映像が流れたり、ウズベキスタンチームの写真がプリントされたシャツが販売されたりしています。こちらは11月の世界選手権に挑む、Sindarovです。
R2直後に食べ損ねたチェスピースのケーキを食べながら、実際の試合開始より15分遅らせて始まる中継を見始めます。日本チームは全員用意が上手くいっているようで、10手前から有利になるボードが複数ありました。この日の試合は日本から観戦していたチェスファンの皆さんも、安心して見ていられたのではないかと思います。

ちなみにカフェの一角で観戦をしていると、3人から相席を頼まれました。1人はフィリピンの大会オーガナイザー、1人はジャパンオープンに参加予定だというフィリピンの女性プレーヤー、最後の1人は顔見知りで、バンコクでチェスカフェを経営する北マケドニアにFMでした。フィリピン、タイ、日本のチェスのこと、色々と情報交換ができたのは良かったです。プレーしない日でも、こうした交流が持てるのは、オリンピアードの良い点だと思います。
しばらくして3人と別れ、さらにExpo内を巡ることに。WRのエリアでは、先日来日した際に一緒に浅草観光をした、ルクセンブルクのFionaさんがコメンテーターをしていました。相変わらず、精力的に各所でチェス関係の仕事をしているようです。
Expoの奥まったエリアには、コカ・コーラの缶を積み上げて作られたチェスピースがありました。タシュケントではペプシの広告をよく見ましたが、オリンピアードのスポンサーはコカ・コーラのようです。この奥にはビリヤード、卓球、テレビゲームなどのコーナーがありました。パソコンコーナーもあったので、そこで観戦を続けることにします。

山田くんがクイーンサイドを突破し、ピースを落として勝ち。大塚くんも序盤からセンターを制圧し、相手に何もさせないといった具合の圧巻の勝利。不戦勝を除いて、彼にとってのオリンピアード初勝利ですね。南條くんもパスポーンを生かして勝ち。Tuさんのみ、有利な局面が続きながら、時間切迫から相手にイコアライズのチャンスを与えてドローにしてしまったのは勿体なかったです。それでも、3.5-0.5で日本はアフガニスタンを下しています。

Open R3 Afghanistan - Japan 0.5-3.5

Women R3 Singapore - Japan 4-0


女子は格上のシンガポールにストレートで敗れましたが、加藤さんは最後まで分からない熱戦を繰り広げました。まだまだ先は長いですので、オープン女子ともに頑張っていきたいと思います。今日はオープンがウズベキスタンのお隣、カザフスタンとの対戦。女子がアフリカのモーリシャスとの対戦です。引き続き応援をよろしくお願いいたします。

チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信

2026/09/18

Samarkand Chess Olympiad R2 Japan - Italy

選手、キャプテンは会場前のこちらで電子機器を預けます。

サマルカンドオリンピアードの2R、日本オープンチームはイタリアと相対します。イタリアはGM4人、IM1人という構成ですが、この日はGM3人、IM1人で試合に臨んできました。隣の南條くんはGM Brunello 相手に早々にドローになり、私も気合が入ります。

Di Benedetto, E (GM, ITA, 2473) - Kojima, S (IM, JPN, 2273)
Samarkand Chess Olympiad (2)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O a5 7. Nc3 c6 8. b3 b6 9. Ne5!?

Catalan Closed でいくつかNf3-Ne5のタイミングを見てきましたが、このタイミングは詳しく覚えていませんでした。基本はf6のナイトを退いて対応します。

9... Nfd7 10. Nxd7 Nxd7 11. e4 Bb4!?


Bc8-Ba6 とどちらを先に指すか悩みましたが、本譜よりこちらが自然だったかもしれません。11... Ba6 12. Qe2 Bb4! 13. Bb2 dxc4 14. bxc4 b5= これならばc4を崩し、黒は満足に戦えます。

12. Ne2!

ビショップで守ってきて、上記の変化に手順前後するとばかり思っていたので、ナイトを単純に逃げられてハッとしました。この手はd5へのプレッシャーを緩めますが、代わりにBc8-Ba6 の際にf1のルークにビショップが直射することを防いでいます。さらにb4のビショップが取り残されると、どこかでc4-c5、a2-a3がビショップのトラップになりえます。少し悩んでセンターを諦めることにしました。

12... dxc4 13. bxc4 Ba6


13... e5 14. a3 Bd6 もありえますが、c4を先に攻撃しておきます。

14. Qc2 e5! 15. Bb2 exd4

15... Qe7 16. f4 f6 もありますが、積極的にセンターを開き、c5,e5のマスを使えるようにして勝負します。

16. Nxd4 Ne5 17. Rfd1 Qc7 18. Bf1 Bc5


18... Rfe8 19. f4 Ng4 20. Qe2 Nh6! このh6にナイトを退くのが重要なアイディアで、Nd4-Nf5を受けることで白の攻めをストップします。また様子を見てf7-f6,Nh6-Nf7と組み直すことも意図しています。

19. Nb3 Be7 20. f4 Nd7?

ここまで細かくベストではないものの、戦える手を選んできましたが、ここからは少し厳しい状況でした。ここも上記のh6にナイトの構想があれば、20... Ng4! 21. Qe2 Nh6! と指して戦えていました。

21. Nd4! Rad8 22. Nf5 Bc5+ 23. Kh1 f6 24. Qe2 Kh8?


この時点ではg7を守る手はRf8-Rf7か、Rf8-Rg8か悩んでいましたが、どちらもe4-e5の突破で上手くいかず、g7-g6しかありません。ならばこのキングのh8に避ける手は、むしろb2ビショップの餌食になるとあらかじめ読んでいなければいけません。24... Bc8! 25. Qg4 g6 26. Rac1 Kh8 27. Nh6 Be3 28. Rb1 c5 は白が良いものの、最後のチャンスでした。

25. Qg4 g6 26. Nh6 Bc8 27. Qh4 Be7 28. e5 Kg7 29. Ng4 h5 30. Rxd7!

f6を突破する綺麗なフィニッシュです。

30... Rxd7 31. exf6+ Kg8 32. fxe7 Rxe7 33. Nf6+ Kf7 34. Nh7 Rg8 35. c5 b5 36. Qf6+ Ke8 37. Ng5 Bf5 38. Bg2 Bd7 39. Be5 1-0


途中戦えると思った局面もありましたが、一気に流れを持っていかれました。Tuさんも計算ミスでピースが落ちて負け。大塚くんはかなり良い勝負で一時はチャンスがあると思われましたが、最後に相手のメイトの狙いを見落として負け。南條くんのドローのみとなりました。

Open R2 Japan - Italy 0.5-3.5

Women R2 Moldives - Japan 1-3


女子はモルディブを2勝2ドローで下し、今大会初勝利です。今日のR3は、オープンがアフガニスタン、女子がシンガポールとの対戦です。アフガニスタンのキャプテンは、かつて日本に滞在し、日本の大会にも参加していたZaheeruddeen Asefiさんで、私も今大会すでに話をしました。私が参加した10回の中で3回対戦していている(2008、2018)アフガニスタンですが、今回は初の私が抜け番なので、チームメイトの戦いを見守ろうと思います。
試合終了後、プレーエリアから一歩出ると様々なブースが出展するエリアが広がります。今日は試合が無いので、こちらのエリアもゆっくり見てこようかと思います。
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