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2025/06/14

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.2


2つ目はトレーニングのゲームです。都内で開催されているトレーニングでは、毎回オープニングを決めて白黒1試合ずつを目安に指しています。メンバーのレベルは回によって異なり、フランスのIM Song Julienを招いたりと、ゲストで強豪が登場することもあります。昨年1月に集まったこの日はSicilian Moscowがテーマで、米満くんに黒を持ちました。

Yonemitsu, K - Kojima, S
Training

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Bd7

GMレベルではピースを残すか、ビショップナイトの交換から局面の複雑化を図りやすい3... Nd7が多いと思います。実際、私も白番ではその対策に苦労してきました。しかし、ビショップ交換をするシンプルな3... Bd7変化も、黒から様々な可能性があって面白いと考えています。

4. c4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bxd7+ Nbxd7!?


d4のマス争いをするのであればd7はクイーンで取り返し、Nb8-Nc6と展開するほうが自然で、将来的なキングサイドのフィアンケットビショップとも相性が良いでしょう。一方で本譜のナイトでd7を取り返す変化は、クイーンをa5に出したり、cファイルからの反撃を作りやすいのがポイントです。

7. d4 cxd4 8. Nxd4 g6

自然な手はありますが、ここは8... Rc8! を先に挟むほうがより正確でした。 c3のナイトが浮くとb7-b5からポーンを崩されてしまうため、白は9. Qe2とするしかありません。e2がクイーンの位置として悪いわけではないですが、白のセットアップを限定しておくことができます。

9. O-O Bg7 10. Bg5?!


Dragon Pawn Structureにおいては、Nc3-Nd5の跳びこみからe7ポーンにプレッシャーをかけるのがよく見られるプランで、その際にBc1-Bg5も登場することはあります。しかし、ここでは黒のナイトは連携されており、Bxf6はあまり脅威になりません。白の理想的なビショップの使い方は、c4を守ることも踏まえてb2-b3,Bc1-Bb2だったのではないと思います。

10... O-O 11. Qd2 Qa5! 12. Rfe1 Rfc8 13. Nb3 Qb4 14. Bxf6?

黒は理想的なピースのセットアップでcファイルからの反撃を作っています。本譜の白の構想はそれに十分対抗できるものではなく、黒に黒マスの支配を与えて苦しい展開になります。14. Nd5 Nxd5 15. exd5 Rxc4 16. Rxe7 Ne5=/+ 先述のe7を狙う構想ならばこう進めるでしょうが、これでも黒はやや有利だと考えられます。

14... Nxf6 15. c5 dxc5 16. e5 Rd8!


f6のナイトをどかしてNc3-Nd5を狙いたかった白ですが、このIntermediate Moveがありました。クイーンに反撃を作りつつ、d5のマスをカバーしてナイトの侵入を防ぎます。

17. Qg5 Qg4!?

本譜でも良いですが、17... Nd5 18. Nxd5 Rxd5 19. Qxe7 Bf8! 20. Qf6 Re8!-+ 一時的にポーンを返しても、e5をターゲットにすれば黒の勝勢でした。

18. Qxg4 Nxg4 19. e6?


ここは19. f4 で我慢し、g7のビショップを止めつつ、g4のナイトを追い返して耐えるしかありませんでした。ゲームの手順では、黒のナイト、ビショップがいずれも強く、白は抵抗が難しいでしょう。

19... c4! 20. Na5 Rac8 21. Re4 Ne5 22. exf7+ Kxf7 23. Rae1 b6 24. f4 Nd3!-+

e7のポーンを取られても継続の攻めはなく、黒は駒得が確定しています。

25. Rxe7+ Kf8 26. R1e2 bxa5 27. g3 Re8 28. R7e6 Rxe6 29. Rxe6 Nxb2 30. Nd5 c3 0-1


しばらくこちらのトレーニングも参加できていないため、また機会を見て参加したいですね。

2023/03/06

Tokyo Chess Championship 2023 Day2 Tournament Report

1日遅れましたが、東京チェス選手権2日目のレポートです。大会2日目の昨日は私は中継ボードに残りながらも1勝2敗と崩れ、トータルで4勝2敗の入賞圏外でした。4R と6R で私が敗れた長瀧くんとTonyくんはそれぞれ1位、3位の入賞でした。オープン2位の野口さんと各セクションを含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます。

1st Place Nagataki Kota 6/6
2nd Place Noguchi Koji 5.5/6
3rd Place Wijaya Tony 5/6

Tokyo Chess Championship 2023 Final Standings


今大会は誰もストップをかけることができず、長瀧くんの全勝優勝となりました。レイティングも初の2000台に乗るでしょうし、実力はすでに十分すぎるほどあったと思います。5月の全日本選手権に出場するのであれば、そちらでの活躍も楽しみです。私は長瀧くん、Tonyくんには上手く指したと思った局面もありましたが、肝心なところで間違えて白番ながら2つの黒星を喫してしまいました。最終戦のゲームをご紹介します。

Kojima, S - Wijaya, T
Tokyo Chess Championship 2023 (6)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Nd7 4. a4

Sicilian Moscow Variation 3... Nd7 に対しては、この1年でいくつかの手を試していますが、昨年の東京チェス選手権で優勝を決めた青嶋くんとの試合もこの4. a4 でした。この試合は黒がDragon のセットアップを採用します。

4... a6 5. Be2 Ngf6 6. Nc3 g6 7. O-O Bg7 8. Re1!?


いくつか候補はありますが、私はClassical Dragon のRf1-Re1, Be2-Bf1 のラインと同じアイディアにすることを決めました。Bf1-Bb5-Be2-Bf1 の組み直しに時間がかかっていますが、黒もa7-a6 が必要なのかと、ナイトの位置がベストなのかが疑問です。

8... O-O 9. d4 cxd4 10. Nxd4 Ne5 11. Bf1 Bd7 12. Nb3 Rc8 13. a5 Nc4 14. Ra2!?

不思議な手ですが、a5 まで伸びたポーンは守りを続けたまま、b2 を守ることでNc3-Nd5 の跳びこみのタイミングを計ります。

14... Re8 15. f3 Nh5 16. Nd5 Be6?!


試合後にTonyくんはe7-e6 ができないのが見落としで、Nf6-Nh5 と跳んだ手がミスになってしまったと話してくれましたが、ここは実はポーンを突く手がありえました。16... e6! 17. Bxc4 exd5! 18. Bxd5 Qh4! と進んだ場合、黒はBg7-Be5 も組み合わせた黒マスの反撃でポーンの代償を伴ってプレーできます。

17. c3 Nf6 18. Ra4

この手でナイトをc4 からどかし、白が有利になったと感じました。しかし、ここでの黒の進め方が上手く、私が期待したような優位が築けませんでした。Ra2-Ra4 のルーク上りは上手く手だと思いましたが、他の候補として18. Bxc4 Rxc4 19. Nb6 Rc6 20. Be3+/= もありえます。

18... Bxd5 19. exd5 b5! 20. axb6 Nxb6!


ルークが4段目に上がる前はb7-b5 の際、クイーンで取る手ばかりを読んで白は問題ないと考えていました。実際にこうしてナイトで取られてみると、d5 のポーンへの反撃が厄介です。

21. Rd4 Nfd7 22. Bxa6!

ここでルークを避けてもNd7-Nf6 と戻られてd5 を狙われ、ドローになる可能性がでてきます。勝負にいくにはエクスチェンジを捨ててa6 を落とし、d5 のセンタポーンはなるべくキープするようにします。

22... Bxd4+ 23. Qxd4 Rb8 24. Bh6?!


d4 にせっかくクイーンが上がれましたが、黒キングへの直接攻撃がさほど有効ではないことは計算外でした。ビショップがh6 にいくことで、b2 のポーンが弱くなって反撃されてしまうことも問題です。代わりにプランはクイーンサイドの白マスを利用するものですが、24. Bb5 Nf6!? 25. Bxe8 Qxe8 26. Na5 Nbxd5 27. b4+/= と進んも白の優位はわずかです。白はクイーンサイドにパスポーンがありますが、黒もセンタポーンの厚みがあり、実際には難しい形勢だと思います。

24... Nf6 25. Na5 Nbxd5 26. Nc6 Qb6

ナイトフォークでエクスチェンジは取り返せますが、なるべく残したかったd5 のポーンを消され、クイーン交換の際にポーンがバラバラになるため、ダブルビショップでも白の優位は期待できません。

27. Nxb8 Qxd4+ 28. cxd4 Rxb8 29. Re2?


ここはバックランクの弱さを利用し、29. Rc1! が正しい手です。e7 に長く当てているほうが得かと思いましたが、d5 のナイトを消すことはできず、e7 へのプレッシャーはあまり意味がありません。

29... Ne8?


29... Nb4! 30. Bc4 d5 31. Bb3 Nc6-/+ とされるとバラバラにされたb,dポーンを同時に狙われ、ポーンが落ちてしまいます。

30. Rc2 Nec7 31. Bc4 f6 32. Ba2 e6 33. Rc6 Kf7 34. Bxd5?

試合中、Ra2-Ra4 の切り替えから優位になったと思ったので、その後の進行でさほど良くないと気づいた時はショックでした。それでもこのエンドゲームなった以上、ビショップを使って上手くポーンの弱さをカバーして戦えば、まだ何が起こるか分かりません。ここで白マスビショップを放棄したのは時間切迫にしてもひどいミスで、ビショップが一色にしか利かないという弱点が出てしまいます。a2 に残した白マスビショップはすぐにターゲットになってしまうだけだと思っていましたが、34. Rxd6 Ke7 (34... g5 35. Rd7+ Kg6 36. Bg7 Rxb2 37. Bc4! という白マスビショップを残すアイディアは驚きです。g6 に逃げた黒キングに多少なりプレッシャーをかけられるようにします) 35. Rc6 Rxb2 36. Bxd5 Nxd5 37. h4 Rd2 38. Rc8 Rxd4 39. g3= くらいで互角の展開で、ビショップナイトの交換をするとしても、もう少し後のタイミングであるべきでした。

34... Nxd5 35. Rxd6 g5!


これは見落としていた手で、一時的にh6 の黒マスビショップを閉じ込めると同時に、白が白マスビショップを手放してコントロールできなくなったg6 にキングを逃げられるようにするアイディアです。ここまで進んで初めて、私は白がかなり悪い局面になっていることを感じました。しかも、かなり挽回が難しい悪さです。

36. h4 gxh4 37. Rd7+ Kg6 38. Bc1 Rc8 39. Bd2 Rc2 40. Be1 Nf4 41. Bxh4 Rxg2+ 42. Kf1 Rxb2

ポーンダウンであるだけでなく、キングを完全に1段目で抑え込まれていることが大きな痛手です。なんとか黒に決定打を与えないようルークで抵抗します。

43. Re7 h5 44. Bg3 Ne2 45. Bf2 Kf5 46. Rh7 Nf4 47. Bg3 Rd2!


ナイトビショップの交換を許し、hポーンを失っても、黒は他のポーンを落としつつ、アクティブなキングで十分勝勢です。

48. Bxf4 Kxf4 49. Rxh5 Kxf3 50. Rh3+ Ke4 51. Rh6 Kf5 52. Rh4 Kg5 53. Re4 Kf5 54. Rh4 Kg6 55. Re4 Kf7 56. Rh4 Ke7 57. Rh7+ Kd6 58. Rh6 f5 0-1

ポーンを交換できればフィリドールポジションを目指せましたが、d4 のポーンも落ちることが確定したのでここで負けを認めました。悔しくはありますが、途中の形勢判断は勉強になるものでした。この反省は次の大会に活かしたいと思います。

大会運営と参加者の皆さん、お疲れ様でした。そして今大会の結果で全日本選手権の参加資格を得た皆さん、おめでとうございます。次は別の予選か、全日本選手権の会場でお会いできることを楽しみにしています。

2023/02/06

Sicilian Moscow 3... Bd7 4. c4 Line


1月の最後の自分のブリッツの試合を取り上げてから、少し自分の試合の解説を書く気力が戻ってきました。2月最初の記事はSicilian Moscow のゲームをご紹介します。

imsk (2531) - Larrua500 (2398)
Lichess Blitz

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Bd7 4. c4!?

私が高校時代にSicilian Moscow を勉強し始めた時代は、3... Bd7 に対して白は4. Bxd7+ Qxd7 5. c4 とビショップ交換してからcポーンを突くか、5. 0-0 からc2-c3, d2-d4 の形を目指すか、この二択がほとんどでした。先にc2-c4 と突く新しい変化は、早めにMaroczy Bind のポーンストラクチャーを決めたうえで、互いにどのようなピース交換を仕掛けるか様子を見ます。

4... a6 5. Bxd7+ Qxd7?!


4. Bxd7 Qxd7 とクイーンでビショップを取り返す変化でもa7-a6 と指すことはありえますが、b6 のマスを弱める弱点があるため、あまり優先度は高くありません。5... Nxd7 6. 0-0 Ngf6 7. Nc3 としてQd8-Qa5 と出る形のほうが、b6 のマスもカバーしており、a7-a6 と突くアイディアとマッチしているように思えます。

6. Nc3 Nc6 7. d4 cxd4 8. Nxd4 Nf6 9. f3 e6

g7-g6 にするか、e7-e6 にするかは黒の悩みの種ですが、g7-g6 ならば白は長くd5 のマスを抑え、Nc3-Nd5 と跳びこんでe7 を攻撃するチャンスを白は持ちます。一方でe7-e6 のポーンストラクチャーはd5 のマスこそ黒がカバーしていますが、d6 のポーンが長期的なターゲットになるという問題を抱えます。

10. Be3 Be7 11. O-O Nxd4 12. Bxd4 O-O 13. a4


以前はb4 のマスや将来的にb3 に置くポーンを弱めるため、このa2-a4 突きはためらいがちでした。今はそれらを弱めても、黒からのb7-b5 を防ぐことが重要であると考えています。この反撃をきっちり止めておくことで、黒のa7-a6 をあまり意味のない手にする狙いもあります。

13... Rfc8 14. b3 Rc6 15. Qd2 Qc7 16. Rfd1 Nd7 17. Kh1 Nc5 18. Rab1 a5?

c5 のナイトとa5 の伸ばしたポーンは一般的に相性が良く、白からのb3-b4 を止めてナイトを追い返されないようにします。しかしこの局面では、b5 のマスを弱めることで白ナイトの侵入を許し、d6 を攻められてしまうことになります。c5 のナイトはb3-b4 から追い返されても仕方ないと割り切り、実際にそうなった場合はc4 への反撃で対抗すべきです。

19. Nb5! Qb6 20. Qe3 Rac8 21. Rd2 h6 22. Rbd1 Bg5 23. f4


Be7-Bg5 はこのfポーンの突き直しがあるため、さほど白は困りません。e4 のポーンは少し弱まりますが、黒は十分に反撃するピースの配置を見つけられない状況です。

23... Be7 24. Qg3 f6 25. Qe3 Kf7 26. f5!

fポーンを突かされたことを逆に利用して仕掛けます。ポーンストラクチャーを考えれば、ここでピースを捌けば白のアドバンテージは決定的なものとなります。

26... e5 27. Bxc5! Qxc5 28. Qxc5 dxc5 29. Rd7!?+-


d6 のポーンを落とさないためにはc5 をポーンで取るしかありませんが、それによりルークの7段目への侵入を許してしまいます。ポーンを黒マスで固めすぎた黒はビショップの働きが悪すぎて厳しい形勢です。また試合中は29. Na7 のナイトフォークがあったことに気づいていませんでしたが、オープンファイルを得られない黒ルークの価値はさほど高くなく、ナイトフォークでの分かりやすい駒得よりも、本譜の7段目への侵入のほうが強いという考え方もありそうです。

29... b6 30. Nd6+

もう1つのナイトフォークで駒得と勝負を決めました。29... Rb8 が唯一ポーン取りとナイトフォークを受ける手ですが、ピースの働きの差が大きすぎるのでいずれにせよ白勝勢に変わりはありません。

30... Rxd6 31. R1xd6 Ke8 32. Rd5 Rc6 33. Rb7 Bd6 34. Rxg7 Bf8 35. Rb7 Bd6 36. g4 Bc7 37. Kg2 Ke7 38. Kf3 Ke8 39. h4 Ke7 40. Rd2 Ke8 41. Rg2 Ke7 42. g5 fxg5 43. hxg5 hxg5 44. Rxg5 1-0


Sicilian Moscow はRossolimo と並んで長く人気のあるAnti-Sicilain で、近年も新しいアイディアが登場し続けています。公式戦でも面白いゲームが指せることを楽しみにしています。

2022/11/05

Japan Open 2022 Day3 Tournament Report

ジャパンオープン3日目です。5R は長瀧くんに少し工夫したItalian 対策を使って勝利。6R で互いに5連勝中だった弘平くんとの直接対決を迎えます。明日も大事な最終戦があるため、試合の解説は最終盤だけをお届けします。
Kojima, S (IM, JPN, 2330) - Yamada, K (FM, JPN, 2172)
Japan Open 2022 (6)
Position after 31... Rcb6


32. fxe6 fxe6 33. Qf6!


クイーンサイドに弱点を作られている白は、勝負を続けるにはリスクが高く、ドローで満足するべきです。時間ぎりぎりまで考え、ルークを見捨ててパペチュアルチェックの道を選びました。

33... Qxe3 34. Qxe6+ Kg7 35. Qe7+ Kh6??

しかし、ここで黒はキングの逃げ場を間違えます。35... Kg8 36. Qe8+= ならば何事もなくドローで終わりです。

36. Qh4+? Kg7 37. Qe7+ Kh6?? 38. Qf8+!


ルークを捨てた時点では頭にありませんでしたが、黒キングを5段目に押し上げれば、意外と危険であることに気づきました。時間がほとんどなくメイト形は完全に見えていませんでしたが、ある程度進めてもパペチュアルチェックは残っているので、思い切って手を変えてみることにします。

38... Kh5 39. Rd5+ g5 40. g4+?

しかし、詰めを誤りました。g3-g4 が決め手になるのはあっていましたが、クイーンの位置を改善してからであればメイトでした。40. Qf7+! Kh6 41. Qf6+ Kh5 42. g4+ (こうしてクイーンをf6 に移動させておけば、黒キングは6段目に戻ることができず、差し出されたポーンを取るしかありません。) 42... Kxg4 43. Qf5+ Kh5 44. Qxh7+ Kg4 45. h3+ Qxh3+ 46. Qxh3+ Kf4 47. Rf5# ぴったりメイトです。

40... Kg6=


時間切迫で焦ってしまったと言えばそれまでですが、悔しいのはこうしてキングを6段目に戻されるまで、この手の選択肢に気づいていませんでした。上記のメイト形を見つけてg3-g4 に踏み切ったつもりだっただけに、焦ってクイーンの位置を変える手を省いてしまったのは残念です。

41. Qg8+ Kh6 42. Qf8+ Kg6 43. Qe8+ Kg7 44. Qe7+ Kg6 45. Qe6+ Kg7 46. Qd7+ Kg6 47. Qe6+ 1/2-1/2

ワンチャンスを逃した後はドローにしかなりません。トーナメントの優勝を決める決定的なチャンスを逃し、決着は最終戦に持ち越しです。私と弘平くんが5.5/6 で半歩リード、5/6 でTuさん、東野さん、大塚さんが追ってきています。

Japan Open 2022 R7 Pairings
Japan Open 2022 R7 Youtube 実況解説

最終戦でTuさんを引く流れは、今年の全日本選手権と同じです。その際とは色も違って白を引けましたので、最終戦頑張ってきます!

2022/08/07

Chennai Olympiad R8 Mongolia - Japan

試合後にドイツのGM Keymer Vincent と(撮影時のみマスクを外しています。)

更新が遅くなりましたが、6日のレポートです。チェンナイオリンピアードR8 は、オープンがGM 3人を擁するモンゴルとの対戦になりました。私は15年以上の付き合いながら、初対戦となる同世代のGundavaa との試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Gundavaa, B (GM, MGL, 2503)
Chennai Olympiad (8)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Nd7 4. Ba4 Ngf6 5. O-O e6 6. d3 a6 7. c4

この日は初めてc2-c4, d2-d3 セットアップをやってみました。オンラインではかなり練習していたつもりでしたが、ここでは経験の浅さが出ました。

7... Be7 8. Nc3 O-O 9. h3 Qc7 10. Re1


試合後、Misha からは9. Qe2 Ne5 10. Nxe5 dxe5 12. f4! ならば白は指しやすく、黒はNd7-Ne5 を指しづらいのではないかと指摘されました。

10... Ne5 11. Be3 Nfd7 12. Rb1 Bf6 13. Nh2 Nc6 14. Ng4 Bd4 15. Bxc6 bxc6 16. Bxd4?

d4 のアウトポストはポーンで早く埋めさせるのが良いと考えたのですが、ポーンがd4 まで食い込むことで黒がスペースを得るメリットを過小評価していました。代わりに16. Ne2! f5 17. exf5 exf5 18. Nxd4 cxd4 19. Bxd4 fxg4 20. Re7 Rf7 21. Qe2 d5 22. Qe6 Qf4 23. Re1 Nf8 24. Qxc6 Rxe7 25. Rxe7 Qc1+ 26. Kh2 Qf4+ は1つドローで終わる変化として考えられます。

16... cxd4 17. Ne2 e5 18. Ng3 a5 19. Qf3 f6!


ナイト2枚とクイーンをキングサイドに寄せ、何か黒キングへの攻撃が作れないかと考えましたが、7段目を開いてディフェンスされ、白の攻撃が無効化されます。逆にg7-g6, f6-f5 とゆっくり黒がキングサイドを開く構想が見え、自分がかなりまずい状況にいることが分かりました。

20. h4 Nc5 21. Red1 Qd7 22. Nh2 g6 23. h5 Qg7 24. hxg6 hxg6 25. Qe2 f5 26. f3

耐える展開ですが、開くわけにはいかないので仕方がありません。

26... Qf6 27. Nhf1 Ra7 28. Nh1 Rh7 29. Nf2 Kg7 30. Qd2 Qd8 31. b3 Rfh8 32. a3 Ne6 33. g3 f4 34. g4 Rh4!?


黒はhファイルから最終的な突破をはかり、白は基本的にはそれを待ちながらクイーンサイドの反撃に期待するしかありません。

35. b4 Qg8 36. b5 Ng5 37. Kg2 Qh7 38. Qxa5 Rh1 39. Qc7+ Nf7 40. Nxh1 Qxh1+

ここで40手に到達し、時間の余裕はできました。しかし局面はすでに黒がエクスチェンジを捨てて決めにきた段階で、白にはディフェンスがありません。

41. Kf2 Rh3 42. Ke1 Rxf3 43. Kd2 Rf2+ 44. Kc1 Bxg4 45. b6 Bxd1 46. b7 Rc2+ 47. Kxd1 Rf2 0-1


今大会初めてドローチャンスもない完敗ゲームでした。

Open R8 Mongolia - Japan 4-0

Batsuren, Dambasuren (GM, MGL, 2518) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 1-0
Gundavaa Bayarsaikhan (GM, MGL, 2503) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 1-0
Bilguun Sumiya (GM, MGL, 2463) - Averbukh, Alex (CM, JPN, 2155) 1-0
Gan-Erdene Sugar (IM, MGL, 2428) - Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) 1-0

Women R8 Japan - Cyprus 2.5-1.5

Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) - Markidou Christianna (CYP, 1701) 0-1
Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) Ioannides Liu Alice (CYP, 1292) 1-0
Misawa, Yuki (JPN, 1587) - Bouzana Christina (CYP. 1435) 1/2-1/2
Mitsuyama, Rikka (JPN, 1157) - Sokolova Victoria (CYP, 1193) 1-0


オープンは今大会初のシャットアウト負けでしたが、代わりに女子は5R のパラオ戦以来の嬉しい勝利です!


更新が遅れたため、すでに試合はほぼ終わっていますが、R9 はオープンがアラブ首長国連邦、女子がパラグアイとの対戦です。残り3試合、しっかりと指してきたいと思います。

2022/07/11

Chubu Rapid Open 2022 Tournament Report

今年の中部快速オープン入賞者たち(撮影時のみマスクを外しています。)

先週末は中部快速オープンに参加するため、名古屋へと足を運んできました。3年連続での優勝を目指して戦いましたが、最終戦でScottさんに敗れて2位でのフィニッシュです。Tuさんに勝って4連勝までは良かったのですが、最後に力尽きました。各クラスで入賞された皆さん、おめでとうございます!

1st Place Scott Tyler (JPN, 1947) 5/5
2nd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2375) 4/5
3rd Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2375) 4/5
4th Place Okuno Rion (JPN, 1781) 4/5

Chubu Rapid Open 2022 Final Standings


Scottさんとの最終戦や、Tuさんとの複雑なエンドゲームも面白かったですが、細かく見るのにもう少し時間が欲しいので、今夜はユースチャンピオンである奥野くんとの試合をご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2375) - Okuno, R (JPN, 1781)
Chubu Rapid Open 2022 (2)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Nd7 4. Ba4!?

3月の東京チェス選手権では青嶋くんを相手に4. a4 を指しましたが、その後見つけて試しているのがこちらの変化です。黒の応手によって変わりますが、Bb5-Ba4-Bc2 というマヌーバリングは、他のMoscow の変化やRuy Lopez で見られるものです。

4... Ngf6 5. O-O! g6


5... Nxe4 6. Re1 Nf6 7. d4 cxd4 8. Nxd4 とポーンを捨てるのがこの変化の1つの面白みで、黒はeファイルからのプレッシャーにさらされ、キングの安全性をどう確保するか課題を抱えます。

6. Re1 Bg7 7. c3 O-O 8. d4 cxd4 9. cxd4 e5 10. d5!?

ここは少し迷いましたが、センターを固めてKing's Indian やRuy Lopez の知識が活きる局面を目指しました。自然に見えるナイトの展開もありえますが、10. Nc3 exd4 11. Nxd4 Nc5 12. Bc2 d5! とされたときにあまり自信がありませんでした。

10... h6 11. Nc3 Nc5 12. Bc2 a5 13. Be3 b6?!


この手はc5 のナイトを支える役割を果たしそうに見えますが、黒マスビショップのダイアゴナルに入ってターゲットになりますし、Nf3-Nd2-Nc4 という典型的なマヌーバリングも気にしなければいけません。黒の理想はb7-b5 としてクイーンサイドでスペースを取って反撃することなので、その点からもb7-b6 は不要な1手だったように思えます。代わりにQd8-Qc7 を指しておき、Bc8-Bd7, Ra8-Rc8 を急ぐ作戦はありそうです。

14. h3 Bd7 15. a3 Qc7 16. Rc1 Na6?

試合後に伝えたのは16... b5! 17. b4 axb4 18. axb4 Na6 19. Bd3 Nxb4 20. Bxb5 と進む変化です。コンピュータの評価は白優勢ですが、クイーンサイドのポーンをさっぱりと捌いてしまうと、c6、d6 あたりの弱点だけで白が十分と言えるか疑問でもあります。かと言ってb2-b4 を急がずにa5-a4 と押し込まれても自信がありませんでした。

17. Ba4!? Qb8


白マスビショップの交換は、黒がc6 のマスを弱めることになるので白にとって良いことは明らかです。これに対しては17... Nc5 と戻る手が最善ですが、直前で下げたナイトをすぐ戻す手には抵抗があるでしょう。

18. Bc6! Bxc6 19. dxc6 Nc5 20. Qc2!?

ビショップの交換をc6 で行うことで、白は強力なパスポーンを得ました。後はこれをどう活かすかですが、本譜のように手堅くe4 を守るのではなく、これを見捨てて局面を開くほうが分かりやすかったかもしれません。20. Nb5! Ncxe4 21. c7 Qb7 22. Nd2! Rac8 23. Nxe4 Nxe4 24. Nxd6 Nxd6 25. Qxd6+-- ポーンを取り返すと、c7 の支えは万全で、黒はb6 も弱く厳しいことが分かります。

20... Qc7?


黒がc6 ポーンを抑え込むために重要なことは、c7 のマスを一時的に抑えることではなく、c5 ナイトのブロッケードを外されないようにすることです。20... a4! 21. Nd2 Kh7 22. Nd5 Rc8 23. Nb4+- これでも白が大きく優勢ですが、本譜のように分かりやすくすぐ決まるということはありませんでした。

21. b4! axb4 22. axb4 Na6 23. Qb1! Rab8 24. Nb5 Qe7 25. c7 Rbc8 26. Bxb6+-

b6 のポーンを落とせば白勝勢ですが、最後の抵抗にもどう返すかはある程度考えていました。

26... d5 27. Qa1! Nxb4 28. Bc5 Qd7 29. Bxb4 Qxb5 30. Bxf8 1-0


最後までcファイルのパスポーンが大きな武器になりました。内容の怪しかったゲームはきちんと振り返り、次はジャパンチェスクラシックで頑張ります!

今回の遠征では初めてのグルメを色々と探求しました。六番町にある人生餃子は平日昼でも店の外まで人が並ぶ人気店です。名古屋で台湾ラーメンが流行る前からこの店の看板メニューだった皿台湾は、汁なしの台湾ラーメンといった感じで、他ではなかなか味わえないものでした。多くの客がリピーターになるのも納得で、私もまた足を運びたいと思います。
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