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2026/08/03

2nd Bangkok Summer International Chess Open Final Day

今大会スタンダードの入賞者たち。大会公式facebook写真フォルダより

バンコクでの1週間の滞在を終え、本日帰国しました。スタンダードでは9連続ジュニアと対戦し、大苦戦の末にレイティングを大きく落とす結果でしたが、学んだものも多かったと思います。スタンダードの優勝はフィリピンのGM Quizon Danielで、7年前に中国で試合をしたときから格段に強くなっていると感じました。フィリンピン勢全体、そして試合をしたジュニアたちは、数字以上の力を持っているのは間違いありません。彼らにどう対抗するか、もっと真剣に考えていこうと思います。

さて私の最終戦は、中国のLvが相手でした。スタンダード、ラピッド、ブリッツの全てでレイティングを稼いでいるジュニアで、当たりたくないプレーヤーでした。序盤、少し予想とは外れましたが、それでもある程度準備した変化に跳びこみます。

Kojima, S (IM, JPN, 2309) - Lv, R (CHN, 1971)
2nd Bangkok Summer International Chess Open (9)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 Bf5 5. f3!?

去年の香港では5. cxd5 cxd5 6. Qb3 Nc6!と黒がポーンを捨てるGlassgow Kissの変化を指しましたが、黒番でも研究していたラインで黒はポーンを捨てる代償が十分あると思っています。そこで今回は、f2-f3からf5のビショップを狙う新しい変化を準備してきました。

5... e6 6. g4 Bg6 7. h4 h6 8. Nge2 Bd6 9. Nf4 Bxf4 10. exf4 dxc4 11. Bxc4 h5!


Lvはかなり考えてこの手を指してきました。もし黒がこうしてこなければ、白はf4-f5、h4-h5、g4-g5と3つのポーンを組み合わせて突くつもりでした。

12. f5! exf5 13. g5 Nfd7 14. Bf4?!

黒のhポーンに対して、白が1ポーンを捨ててf5のマスを埋めさせ、g6のビショップを一時的に働かせなくするところまでは研究手順でした。しかし、すぐにf4をブロックするようにビショップを展開したのはやや不正確です。14. Qe2+! Qe7 15. Qxe7+ Kxe7 16. Bf4 であれば、白はクイーンサイドキャスリングから全てのピースを使い、d4-d5のブレイクも組み合わせて優位に試合を進められていました。

14... O-O! 15. Kf2 Nb6 16. Bb3 Na6!


このナイトを位置は見落としており、b4、c7からがっちりとd5を抑えられた際、白はどう戦うのかが分からなくなってしまいました。そこで自身は無くとも、d4-d5のブレイクを敢行して弱点となる孤立ポーンを消すことにします。

17. Qd2 Qd7 18. Rad1 Rad8 19. d5! cxd5 20. Nxd5 Nxd5 21. Bxd5?

この手はすぐに負けないなるわけではないものの、白が難しい手を見つける必要があり、なおかつ面白みのない局面になってしまう手です。21. Qxd5 Qc8 22. Qc4 くらいで満足すべきでした。

21... Qb5!


クイーンが動く手は多少なり考えていたものの、b2を当てられるこの手を過小評価していました。白クイーンがb2も守り続け、なおかつd5のピン状態のビショップを解決する方法が見つけられませんでした。

22. Qd3?


22. Kg3!! まずはd2でクイーンが取られた際にチェックにならないようにします。 22... Nb4 (22... Rd7 23. Bc6! Rxd2 24. Bxb5 Rxb2 25. Bxa6 bxa6 26. Rb1 Rfb8!? 27. Rxb2 Rxb2 28. Rc1 Rxa2 29. Rc8+ Kh7 30. Rc7= これはg6のビショップを復活させる方法がなく、ドローです。) 23. Bc4!
Anasysis Diagram

23... Rxd2 (23... Qxc4 24. Qxd8 Rxd8 25. Rxd8+ Kh7 26. Rc1 Nc2 27. Rd2= 2ルークとの交換で黒のバックランクに跳びこむ変化は考えましたが、c4でビショップを捨てても成立するのは見落としました。) 24. Bxb5 Rxb2 25. Be5 Rxa2 26. Bd6 Rd8 27. Bxb4 Rxd1 28. Rxd1 f4+ 29. Kxf4 Rb2 30. Rd4 a5 31. Bxa5 Rxb5 32. Bc7= この異色ビショップはドローにできるというのがコンピュータの評価です。

22... Qxd3 23. Rxd3 Nb4 24. Rd4 Nxd5 25. Rhd1

2ピースvs. ルークになりますが、g6のビショップはまだプレーに参加できていないため、その間にa,bポーンを狙うことでチャンスを作れないかと、この変化を選びました。

25... Nxf4 26. Rxd8 Ne6 27. Rxf8+ Kxf8 28. Rd7 Nc5 29. Rc7 b6 30. Rxa7 Nd3+?!


すぐにb2を狙うよりも、g6のビショップをなるべく早くプレーに戻すほうが強力です。30... f4 $1 31. Ke2 Ke8-/+

31. Ke2 Nxb2 32. f4!

これでf5ポーンを固定すれば、白マスビショップの戻し方はf7-f6しかなくなります。これだと黒のキングサイドのポーンマジョリティは活きないため、ドローチャンスがでてきたと感じました。

32... f6 33. gxf6?


しかし、このポーンを安易に取ったのがミスだと全く気付きませんでした。33. Ra6! Be8 (33... Nc4 34. Kd3 Bf7 35. Ra8+!= なんとこの時にまだ黒ポーンがg7に残っているため、黒キングはg7に逃げられません。これがf6で白がポーンを交換しないほうが良い理由でした。) 34. Rxb6 Na4 35. Rb8 fxg5 36. fxg5= これならば白はクイーンサイドにポーンを残しているため、ドローにできそうです。

33... gxf6 34. a4


34. Ra6 Nc4 35. Kd3 Bf7-/+ となった場合、今度はルークでチェックをかけても黒キングはg7まで逃げることができます。b6を取れないことに気づいた私は、2ピースを組み合わせて一方的に自分のポーンが取られる前に、クイーンサイドを全て捌いてドローを狙うことにしました。

34... Be8 35. a5 bxa5 36. Rxa5 Bd7-+

これはf4、h4をなんとか守り切ってドローにできるかと思いましたが、コンピュータ評価は無情な黒勝勢...

37. Kf2 Nc4 38. Ra6 Ke7 39. Kg3 Nd6 40. Kf2 Ke6 41. Ke3 Kd5 42. Ra8 Bb5 43. Rf8 Nc4+ 4. Kf3 Kd4 45. Rd8+ Kc3 46. Rf8 Kd4


この手を指す直前、相手はドローオファーをしてきました。自分で指してからドローオファーしてくれと伝え、試合は続きますが、相手がドローにする意思があることに胸をなでおろしました。46... Ba4! 47. Ke2 Nb2 48. Rxf6 Bd1+ 49. Kf2 Bg4 50. Rd6 Nd3+ 51. Ke3 Nb4 52. Rd8 Nc2+ 53. Kf2 Nd4 54. Rd7 Nf3 55. Kg3 Kc4 56. Rd8 Nd4 57. Kf2 Kd3 58. Kg3 Bf3 59. Re8 Bc6 60. Rd8 Ke3-+
Analysis Diagram

実際には手数はかかりますが、黒はキング、ナイト、ビショップの位置を少しずつ改善し、f4を落として勝てるようです。ここまでできずとも、f6を落とすこと自体にリスクはないため、黒はひとまず続ければ良いのではないかと試合後に思いました。ここは相手の経験不足に助けられた形になります。

47. Rd8+ 1/2-1/2


ありがたいことにこちらからのドロオファーを受けてもらい、ゲームは終わりました。ずっと下に当たり続け、ポイントを取るのに苦しんだトーナメントでしたが、最後は負けずにすんで良かったと思います。ジャパンチェスクラシックでは、なんとか立て直したチェスを指したいですね。

2nd Bangkok Summer International Chess Open Final Standings

最終日、スタンダード表彰式の後はDuo Blitzでした。私はなつみとペアを組み、タイ、マレーシア、フィリンピンらの計9ペアとヘロヘロになりながら指しました。8Rではタイのチェス連盟会長、Nakvanich Sahapolさんとも試合をしています。個人でもペアでも、日本でももう少し気楽なブリッツのイベントが開催されると良いですね。

2026/07/14

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.12


久々にブログでの未公開棋譜を振り返るシリーズです。大会での遠征で日本各地に毎年足を運びますが、昨年は例会に参加する目的で大阪を訪れました。その際に蛭川さんと指した試合をご紹介します。これまで扱ってきたゲームに比べると、どこが見どころかの判断は難しいですが、大きく動かず様子を見るプレーをご覧いただければと思います。

Hirukawa, Y - Kojima, S
Osaka

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. d4 Bf5!?

a7-a6とBc8-Bf5のミックスは以前から時々指していました。e7-e6を遅らせているため、ビショップナイトの交換を狙う典型的なアイディアであるNf3-Nh4が使えないので、白は優位を得るのに工夫が必要です。

6. Be2!?


私は白番では6. Qb3としてb7をすぐ攻撃する手を使っていましたが、最近は6. Ne5 Nbd7 7. Qb3 Qc7 8. cxd5 Nxe5 9. dxe5 Nxd5 10. e4!? という変化が面白いのではないかと思っています。

6... h6! 7. O-O e6 8. Qb3

白のセットアップはおとなしくも自然に見えますが、ここは8. Bd3!? と1手損でもビショップを交換するアイディアが面白いでしょう。白マスビショップを交換するなら、最初から6. Bd3 で良いように思えますが、黒には6... Bg6!? とビショップを退いて交換を待つ手があります。本譜ではNf3-Nh4を警戒するh7-h6が入っているため、黒はBf5-Bg6が使えず、白マスビショップの交換にはd3で応じるしかありません。

8... Qc7 9. Bd2 Nbd7 10. Rac1 Bd6 11. h3 O-O 12. Rfd1 Rfe8


黒はa7-a6、h7-h6と端ポーンに2手かけているため、全体のピースの展開では遅れています。しかし、局面は閉じていて白がピースの展開の早さを活かすプランがありません。黒はゆっくりとピースの展開の遅れを取り戻せば、満足な局面を迎えることになります。

13. a4 Rad8 14. Be1 Qb8 15. Nd2 Bh7 16. Qa2 Bb4!?

黒もどこで動くか悩むところですが、c3のナイトを当ててe4のマスのコントロールを奪い、白のe3-e4を警戒しておきます。

17. Bf3 a5 18. Nf1 dxc4! 19. Qxc4 e5!


ここでセンターで大きく動きます。d4のポーンは孤立ポーンとして残してくれれば弱点になるので黒としては不満がなく、e5ポーンと素直に交換してくれれば、e5のマスを奪えてこちらも満足です。

20. Be2 Nb6 21. Qa2 exd4 22. exd4 Re7!?

開いたeファイルでルークを重ねるのも、d4をターゲットにdファイルでルークを重ねるのも、どちらも黒にとって良く、その準備となるルークを上げる手は柔軟なアイディアです。

23. Ng3 Red7 24. Nh5 Nfd5 25. Bg4 Re7 26. Nxd5 Nxd5 27. Bxb4 Nxb4 28. Qc4 Rde8 29. Ng3 Qf4 30. Rc3?


すでに白は盤全体で揺さぶりをかけられ、その全てに対応するのが難しい状況ですが、バックランクを弱めてしまうとあっという間に決着になってしまいます。

30... Re1+ 31. Rxe1 Rxe1+ 32. Kh2 Qxf2 33. Ne2 Be4 34. Rg3 Qf1 0-1

昨年の主だった試合はほとんど紹介済みなので、このシリーズも残りは2試合の予定です。

2026/01/13

Tokai Open 2026 Day2

2024年から国内大会の皮切りとなっている東海オープンが、今年も無事に終了しました。私は2日目も連勝で、昨年の中部快速オープン以来の名古屋大会全勝優勝となりました。東海オープンは4年連続、計8回目の優勝ですが、最近の3回はいずれも1ドローを落としていたので、今年はポイントを落とさずに乗り切れたことを嬉しく思います。各クラス入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2303) 5/5
2nd Place Yamaguchi, Tosei (JPN, 1920) 4/5
3rd Place Sharma, Sameer (JPN, 1871) 4/5

Tokai Open 2026 Final Standings


私は4Rで田中さんに勝ち、最終戦は山口くんに白を持つことになりました。ここまで互いに4連勝ですが、ドローでタイブレーク勝負にするのも気が進みませんし、レイティングをプラスで終えるためには勝つしかありません。序盤、自分の詳しい変化になったのはラッキーでした。

Kojima, S (IM, JPN, 2303) - Yamaguchi, T (JPN, 1920)
Tokai Open 2026 (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6 5. Nf3 Bf5 6. Qb3 b5 7. cxd5 cxd5 8. a4!

最終戦はSlavのa7-a6, Bc8-Bf5 ミックスの変化になりました。過去に自分でも指しており、黒で嫌だった変化を白で試します。黒のb7-b5を働かせないためには、a2-a4からすぐに崩すのが良いアイディアとなります。

8... b4! 9. Qxb4 Nc6 10. Qc5 Bd7!?


オンラインで一度だけ経験のある手です。過去に調べていたのは、10... Na5 11. Bxa6! Rxa6 12. Qb5+ Rc6 13. Ne5 Bd7 14. Nxd7 Nxd7 15. Bd2 Qa8 16. Nxd5 e6 17. Nf4 Ra6 18. O-O+/= という3ポーンvs. ピースにする変化で、数年前は黒で指そうと思っていましたが、現在は白が指しやすいと考えています。

11. Ne5! e6 12. Nxc6 Qc7 13. Ne7!

初めて見ると驚きそうな手です。貰ったナイトは早々に返し、1ポーンアップを保って白は戦います。

13... Qb7?!


ここはポーンダウンでもクイーンを交換すべきです。13... Qxc5 14. dxc5 Bxe7 15. b4 a5 16. bxa5! Bxc5 17. Bd2+/= これは白が勝てるかどうかという勝負ですが、黒としてもベストだったでしょう。

14. a5! Bxe7 15. Qb6 Qc8 16. Be2 Bd8 17. Qc5 Bc6 18. O-O Be7 19. Qb6 O-O 20. Bd2 Qd7 21. Qb3

白はa4-a5を突くことで、一時的にb6のマスをクイーンの避難場所としておき、最終的にクイーンは自陣に退きます。中盤以降ではa5にポーンを刺したことでa6を固定し、ターゲットにすることで白は1ポーンアップ以上のアドバンテージを得ます。ここまでは作戦として完璧でしたが、この数手後にミスが出てしまいました。

21... Rfc8 22. Rfc1 Rab8 23. Qc2?!


黒のbファイルからの反撃に対して、クイーンをどこに逃がすかは迷うところです。a2と端を選ぶのに抵抗があり、e4にも利くc2を選びましたが、cファイルのピンが予想外の形で利用されてしまいました。代わりに23. Qd1! Qb7 (23... Rxb2 24. Bxa6+-) 24. Qf1! Qxb2 25. Ra2+- と進めば白勝勢でした。b2とa6の交換であれば、白はパスポーンになったaポーンを進める単純な作戦で勝てそうです。

23... Bb5! 24. Bxb5 Rxb5 25. Qd3?!

c3のナイトがピンであることを利用され、黒にとって課題であった白マスビショップを捌くと同時に、上手くa6へのプレッシャーを緩和されてしまいました。1ポーンアップをキープしても、a6を攻めるか、b2-b4-b5と仕掛ける作戦が無ければ局面を進展させられないと焦ってしまいましたが、ここはさらに我慢が必要でした。25. Qb1! Rbb8 26. Na4! Rxc1+ 27. Qxc1 Rb5 28. Nc5! こうしてナイトを活用して攻め込めば、白はまだまだチャンスを残せます。

25... Rxb2! 26. Rcb1 Rcb8??


b2を返してもbファイルを取り返し、a6を再度攻めてチャンスを作ろうとする白に対し、黒はディフェンスを間違えました。26... Rxb1+! 27. Rxb1 Rc4! (こうして白マスでブロックをしてa6をカバーできるのも、白マスビショップを捌いた効果です。) 28. h3= こうしてみると、白はb2を無駄に返しただけで勿体なかったと思えそうです。

27. Qxa6+-

白からb2のルークを交換しなければd2のビショップは取られないので、白は遠慮なくa6をいただいてしまいます。これでaポーンを進める作戦が生まれれば、白として残りはさほど難しくありません。

27... Qc7 28. Rxb2! Rxb2 29. Qd3 Ne4 30. Nxe4 dxe4 31. Qc3 Qb8


31... Qxc3 32. Bxc3 Rb7 33. a6 Ra7 34. d5! exd5 35. Bd4+- クイーンを交換した場合は、1ポーンを返してビショップをアクティブにし、a7を抑えて勝つつもりでした。

32. a6 Rb6 33. a7 Qa8 34. Qc7 Bd8 35. Qd7 Bf6 36. Rc1 1-0

相手のミスに助けられつつも、最後はプロモーションとバックランクメイトを見せて勝ちました。去年からFIDE公式戦は10連勝となり、2026年幸先の良いスタートを切れて嬉しく思います。次の大会は未定ですが、良い内容でプレーを続けていければと思います。また次回もよろしくお願いいたします。
今年も3冊、チェスの書籍を賞品としていただいてきました。Ivanchuk、Mishraの本に、Positional Sacrificeの本です。これから内容を見ていこうと思います。
名古屋最後の食事は味噌煮込みうどんにしました。今回はいわゆる名古屋グルメは少なめだったので、また次回の楽しみにしておきます。

2025/07/19

Japan Chess Classic 2025 Day2

試合会場のかでる2.7は、北海道庁旧本庁の近くです。

ジャパンチェスクラシック2日目です。今日は午前の試合で、モンゴルのTsogt-Ochirさんと対戦になりました。先日のゴールデンオープンで優勝しているプレーヤーで、対戦してみたいと考えていました。

Tsogt-Ochir, B (MGL, 1932) - Kojima, S (IM, JPN, 2307)
Japan Chess Classic 2025 (3)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Qc2 dxc4 5. Qxc4 Bf5 6. g3 e6 7. Bg2 Be7 8. O-O Nbd7 9. e3 O-O 10. Nc3 b5!? 11. Qe2

c6のポーンを捨てるのが私の準備でした。クイーンを退く手にはクイーンサイドを伸ばして黒は満足になります。11. Qxc6 b4 12. Ne2 Bd3 13. Re1 Rc8 14. Qa4 Qb6 15. Nf4 Bc2 16. b3 Be4 17. Nd2 Bxg2 18. Nxg2 Rc2 19. a3 Qb7 を研究していました。

11... b4 12. e4 Bg6 13. e5 Nd5


13... bxc3 14. exf6 cxb2 15. Bxb2 Bxf6 とナイトを取り合う展開も考えられますが、d5のアウトポストのナイトで勝負します。

14. Ne4 h6 15. Rd1 Qb6 16. Nfd2 Rfd8 17. Nc4 Qa6 18. Bf1 N7b6 19. Ncd6 Qxe2 20. Bxe2 Nc8

クイーンを交換し、少しおとなしい局面になりました。d6に侵入したナイトも丁寧に捌いてリスクを減らします。

21. Nxc8 Bxe4!?


21... Raxc8 22. Nc5 の局面が自信がなく、あえてビショップナイトを交換して不均衡を作ります。

22. Nxe7+ Nxe7 23. f3 Bc2! 24. Rd2 Ba4 25. Bd3 Rd7 26. b3 Bb5

白マスビショップを交換し、白のダブルビショップを消すのは黒が望む展開です。白の黒マスビショップはd5のアウトポストをカバーできず、ナイトの働きが勝る局面になります。

27. Bxb5 cxb5 28. a3 Rc8! 29. Bb2 Rdc7 30. axb4 Rc2 31. Rad1 Nd5


b4を取り返すのは急がず、cファイルを占拠してアドバンテージを得ます。白のビショップは黒マスの味方ポーンで遮られており、黒はよっぽどのミスがでない限り負けない形になっています。

32. Kf2 Kf8 33. Ke2 Ke8 34. Rxc2 Rxc2+ 35. Rd2 Rxd2+?!

ここは35... Rc6 と退いてルークをキープするほうが良いとコンピュータは指摘しますが、ナイトvs.ビショップでも負けようがないため、黒は気楽にルークを交換したエンドゲームを指すことができます。

36. Kxd2 Nxb4 37. Ba3?


試合中は気づいていませんでしたが、これが負けを決定する手でした。37. Bc3! Nd5 38. Ba5! とa5のマスを抑える手が有効らしく、黒がクイーンサイドでパスポーンを作ることを遅らせて抵抗します。

37... Nd5 38. Bc5 a5 39. Kd3 h5 40. g4 g6 41. Ke4 a4 42. bxa4 bxa4-+

aファイルにパスポーンを作れば、後はキングかナイトでa3のマスを抑えにいければ黒勝ちです。ナイトはd5の白マスから黒マスを抑え、ポーンは白マスを抑えているため、安全策はキングでa3を抑えることでしょう。

43. h3 Kd7 44. f4 Kc6 45. f5 Kb5 46. gxh5 gxh5 47. f6 Kc4


白キングが黒のhポーン、fポーンを狙うのは時間がかかるため、黒キングはa3でビショップをいただき、戻ってくる時間が十分にあります。

48. Kf3 Kb3 49. Kg3 a3 50. Bxa3 Kxa3 51. Kh4 Kb4 52. Kxh5 Kc4 53. Kg5 Kxd4 54. h4 Kxe5 0-1

f6も落ちてhポーンを止められるため、ここで白はリザインしました。無理せず手堅く、自分らしいゲームが指せたと思います。午後の試合では、中国のXu Nuoさんと対戦して勝ち、Tuさんととも4連勝となりました。Xuさんは名前をどこかで見たことがあると思っていましたが、昨年少し覗きにいった国際将棋フォーラムの国際将棋トーナメント優勝者で、藤井竜王・名人と対局したかただと、試合前に本人から教えてもらいました。チェス、将棋、どちらも興味がある人が海外から参加してくれるのは嬉しいですね。トップ対決となる明日も頑張ります。

Japan Chess Classic 2025 R5 Pairing

今夜は十勝名物の豚丼をいただきました。

2025/05/05

Japan Chess Championship 2025 Day4

全日本選手権は4日目まで終了しました。今日の7Rは、黒番を持って野口さんに勝ち。3試合ぶりの白星ですが、前回の勝ちは内容的にはドローだったため、気持ち的には初戦以来の勝利です。続く午後の8Rは配信のある4Bに上がり、藤井さんに白を持ちます。日本チェス連盟で配信が始まって以降、配信のある上位ボードまで到達するのに、ここまで苦労した大会は他にありません。

Kojima, S (IM, JPN, 2315) - Fujii, C (JPN, 2016)
Japan Chess Championship 2025 (8)

1. d4 Nf6 2. c4 c6 3. Nc3 d5 4. e3 g6 5. Nf3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. a4 Nbd7?!

このg6 Slavは私がIMタイトルを獲得した頃に黒番で愛用していた変化で、アイディアは今も覚えているつもりです。黒のナイトを展開する手は手堅く見えますが、c6にナイトを出せなくなったタイミングでd5でのポーンを交換するのが戦略的に正しいと言えます。代わりに8... a5と指し、b4のアウトポストを抑えておくのが黒で使っていたアイディアです。

9. cxd5 Nxd5 10. Nxd5


10. e4 Nxc3 11. bxc3 c5は少し変わった手順のGrunfeldになります。本譜ではシンプルにcファイルを早く抑える作戦で戦おうと考えました。

10... cxd5 11. Qb3 Nf6 12. Bd2 Ne4 13. Rfc1 Bg4 14. Be1 Rb8

試合後に藤井さんには、この手でcファイルを抑えるのが遅れたのが痛かったのではないかと指摘しました。しかし、私の考えていたクイーンの上がる手に対しても、14... Qd7 15. Ne5! Bxe5 16. Bxg4 Qxg4 17. dxe5+/-と進んで白が良さそうです。

15. h3! Bxf3 16. Bxf3 Nf6 17. Rc5 e6 18. Rac1 Re8 19. Rc7!


黒はRe8-Re7、Bg7-Bf8で粘ろうとするため、これをどう破るか時間をかけて考えました。結果としてシンプルな7段目へのルーク跳びこみと、Be1-Ba5の組み合わせが良いと判断します。

19... Re7 20. Ba5! b6 21. Rxe7 Qxe7 22. Rc6!

22. Bxb6? Qb7 23. a5 Nd7= であれば、黒はポーンを取り返して互角です。本譜はb8のルークが浮いていることを利用し、さらなるルークの侵入でb6を攻めます。

22... Nd7 23. Bxb6?!


ほぼ完ぺきに進めてきたと思っていましたが、この手がやや不正確でした。ビショップを退きなおす手も考えはしましたが、こちらが楽だと勘違いしました。23. Bb4! Qe8 24. Bd6 Rc8 25. Qc3 Rxc6 26. Qxc6 Bf8 27. Bxf8 Kxf8 28. Be2!+- こうして白マスビショップを戻せば白の勝勢です。

23... Nxb6?


今度はこちらのビショップがピンのため、この交換は急ぐ理由がありません。試合後にa6-a5と先にポーンを突く手を提案しましたが、私の予想よりこの手が強力でした。23... a5 24. Bc5 (24. Qb5 Bf8! 25. Qxa5 Nxb6 26. Rxb6 Qc7! 27. Rb5 Qc1+ 28. Kh2 Rc8! この反撃が強烈だと試合中は気づいていませんでした。) 24... Qd8 25. Qc3 Nxc5 26. Qxc5+/= こうなれば白はポーンアップでも、そう簡単に勝てないでしょう。

24. Rxb6 Rxb6 25. Qxb6 Bf8 26. Be2!

a6を急いで取る必要はないため、白マスビショップをプレーに戻し、Be2-Bf1からキングを守る準備も整えておきます。

26... Qd7


26... Qb4 27. Qxb4 Bxb4 28. Bxa6+- クイーンを交換しても、2コネクテッドパスポーンを持つ白は勝てそうです。

27. Qxa6 Bd6 28. a5 Bb4 29. Qb6 Qa4 30. a6 Qa1+ 31. Bf1 Qxb2 32. a7 1-0

今大会初の連勝で、6/8までポイントを戻してきました。Tuさんが8Rの勝利で7.5/8となり、すでに単独優勝は決まっています。それでも、せっかくの最終戦1Bを楽しんできたいですね。皆さん、最終日もよろしくお願いいたします。

Japan Chess Championship 2025 R9 Pairings

2025/01/06

Hanoi GM1 chess tournament 2025 Day4


ハノイのGMトーナメント4日目の今日は連敗でした。簡単に午後の試合を振り返ります。Nguyen Anh Dung は1990年代にブダペストでGMタイトルを獲得した、ベトナムでは第一世代と呼べるGMの1人です。2006年に私が初めて見たベトナム代表も彼らでした。

Nguyen, A D (GM, VIE, 2429) - Kojima, S (IM, JPN, 2316)
Hanoi GM1 chess tournament 2025 (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. Bf4 Nc6 6. e3 a6 7. Rc1 Bf5 8. Nf3 e6 9. Qb3 Bb4 10. Be2 Ne4 11. Ne5!?

よくあるアイディアですが、このタイミングは調べていませんでした。11. O-O Bxc3 12. bxc3 b5 13. a4 O-O 14. axb5 Na5 15. Qb4 axb5 16. Bxb5 f6!ならば、黒はポーンの代償があります。

11... Bxc3+ 12. bxc3 Nxe5 13. Bxe5 O-O?


安易なキャスリングでゲームを台無しにしてしまいました。ここは先にf7-f6と突いておき、ビショップを退かせる1手です。13... f6! 14. Bf4 g5 15. f3 gxf4 16. fxe4 Bxe4 17. Bh5+ Kd7 18. O-O fxe3 19. Rxf6 Qxf6 20. Qxb7+ Kd6 21. Qb6+ Kd7 22. Qb7+= これはパペチュアルチェックで互いに満足するしかないでしょう。

14. f3 Nd6 15. Qb4!

この単純な手を見落とし、b7-b5、Nd6-Nc4が間に合わなくなってしまいました。こうなるとナイトをd6に退く構想自体が間違いとなります。

15... Nc4 16. Bxc4 dxc4 17. e4 Bg6 18. Qxb7 f6 19. Bg3 f5 20. O-O fxe4 21. fxe4 Qg5 22. Be5 Bh5 23. Rf4!


a8のルークが当たっていることを利用し、fファイルのルークが上がります。fファイルにダブルを目指す白ルークに対し、黒のルークはどこが良い位置か判断が難しいです。

23... Bf3 24. Rc2 Rad8 25. h4 Qg6 26. Rxf8+ Rxf8 27. Rf2 h5

27... Bxe4 28. Rxf8+ Kxf8 29. Bd6+ Kg8 30. Qc8+ Kf7 31. Qf8#があるため、e4を取ることはできません。仕方なく2ポーンダウンのルークエンディングを受け入れます。

28. Qxg7+ Qxg7 29. Bxg7 Kxg7 30. Rxf3 Rb8 31. Rg3+ Kf6 32. Rg5 Rb1+ 33. Kh2 Rc1 34. Rxh5 Rxc3 35. Rc5 1-0


パスポーンを作っても、ルークが後ろにつかれてはどうしようもありません。ここでリザインしました。

1/3 15:00 R1 Gomez, J P (GM, PHI, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2316) 1/2-1/2
1/4 09:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2316) - Tran, T M (GM, VIE, 2437) 0-1
1/4 16:00 R3 Setyaki, A J (IM, INA, 2417) - Kojima, S (IM, JPN, 2316) 1/2-1/2
1/5 09:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2316) - Lee, J (IM, KOR, 2438) 1/2-1/2
1/6 09:00 R5 Dang, H S (FM, VIE, 2338) - Kojima, S (IM, JPN, 2316) 0-1
1/6 16:00 R6 Nguyen, A D (GM, VIE, 2429) - Kojima, S (IM, JPN, 2316) 0-1
1/7 09:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2316) - Jani, K R (IND, 2319)
1/8 09:00 R8 Head, K D (IM, VIE, 2410) - Kojima, S (IM, JPN, 2316)
1/8 16:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2316) - Liyanage, R D (IM, SRI, 2397)

Hanoi GM1 chess tournament 2025 Pairings and Results

+2 Tran, Dang +1 Gomez, Nguyen, Head
+-0 Lee, Setyaki, Liyanage
-3 Kojima
-4 Jani
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