2019/04/30

Japan Chess Championship 2019 Day 2 Tournament Report


Photo by Yamada, A

全日本選手権2日目です。昨日は黒番でのゲームを扱ったので、今日は午前中にAlex と指した白番のゲームをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2395) - Averbukh, A (CM, JPN, 2128)
Japan Chess Championship 2019 (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 e6 4. Qc2 a6!? 5. g3 f5?!



Alex との以前の試合では、4... f5 5. Bf4! とする白が指しやすいラインだったため、それを避けるためにa7-a6 で1手待ったのだと思いました。しかし、そのままStonewall Dutch にした場合、aポーン突きが働くのか疑問です。個人的には、5... dxc4!? 6. Qxc4 b5 7. Qc2 Bb7 8. Bg2 Nd7 が面白いかと思います。黒はNg8-Nf6 をキープしている分、早くc6-c5 を目指すことができます。

6. Bg2 Nf6 7. O-O Bd6 8. b3 O-O 9. Ba3!


黒はQd8-Qe7 を挟んでくるかと思いましたが、それが無かったためにこの典型的な黒マスビショップ交換ができました。ここからは白はe5 のマスの弱さを利用し、とても指しやすい状況となります。

9... Bxa3 10. Nxa3 Bd7 11. Qb2!? Be8 12. Nc2!



a3 のナイトの組み直しとしては最も自然かつ効果的だと感じました。c5, e5, f4 のマスを目指せるd3 がナイトにとってベストです。

12... Bh5 13. Nce1 Ne4


典型的なバッドビショップを消そうとしても、13... Bxf3?! 14. exf3! となり、e6 のポーンが負担となります。

14. Nd3 Qf6 15. Nfe5



もう1つのナイトのサポートも受けたうえで、e5 のマスにナイトが理想的なタイミングで跳び込めました。黒は最後までb8 のナイトを動かせません。

15... Qh6 16. f3!


e3 のマスを弱めることを恐れず、ナイトを追い返します。これはAlex にとって意外だったようで、白はd4 を捨てても十分おつりがくるアタックを仕掛けられます。

16... Nd6 17. Qa3! Qe3+ 18. Kh1 Nf7 19. Qe7!



ポーンの取り合いは白にとって分が良いと判断し、d4 を見捨ててクイーンが跳び込みます。黒はまだ展開できていないb8 のナイトが痛手となります。

19... Qxd4 20. Qxe6 dxc4 21. bxc4 Qd6


次にg3-g4 からfファイルを開かれ、f7 のナイトがさらに負担になってはどうしようもないので、黒はこうしてf5 を見捨てるしかありません。

22. Qxf5 Nxe5 23. Qxe5 Qxe5 24. Nxe5 Re8 25. f4 Bxe2 26. Rfb1!



ポーンは取り戻せたものの、黒はb7 のポーンと未だ動けないナイトが負担になります。

26... Ra7 27. Rb2 Bh5 28. Rab1 Re7 29. Rd2 a5?


これは黒の駒損が確定する手です。ここは8段目を守るために、29... Re8 と戻るしかありませんでした。

30. Rd8+ Re8 31. Rxb8!



最初は31. Rbd1 と指すつもりでしたが、この手が成立することに気付きました。これで白は2ポーンアップとなります。

31... Rxb8 32. Nxc Bg6 33. Rb2 Re8?


バックランクへの反撃を試みますが、チェックでかわされてしまいます。33... bxc6 34. Rxb8+ Kf7 35. Bxc6 を受け入れるしかありませんが、このエンドゲームも黒は厳しいでしょう。

34. Bd5+ 1-0



続く午後の小林くんとのゲームも勝ち、2日目まで終わって4連勝となりました。青嶋くんも4連勝で、ここまで全勝は私たち2人に絞られています。そうなれば明日の午前中は当然、青嶋くんとの直接対決です!

Japan Chess Championship 2019 R5 Pairings

リスト上の私が色が直前のラウンドから変更となり、白を引くことができました。Tokyo Chess Championship では、黒番で満足なポジションを作りながら良い手を見つけることができず敗れてしまったので、明日はその反省を生かしてプレーできるよう頑張ります。それでは参加者の皆さん、3日目もよろしくお願い致します。


皆さん、平成最後の夕食は何でしたか? 私は妻や他の全日本参加者とともに大井町のレストランでハンバーグでした。平成最後の昼食、夕食、少し意識して特別なものを食べに行った人もちらほらいたようですね。

そして昨日の記事では書きそびれてしまいましたが、私のブログはこの4月末で開設から8周年を迎えました。多くの人に応援していただき、こうして長く記事を書き続けられること、とても嬉しく思います。あと少しで元号も変わりますが、こちらのブログも9年目ということで、新しい気持ちで書いていこうと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

2019/04/29

Japan Chess Championship 2019 Day 1 Tournament Report


Photo by Yamada, A

今年も全日本選手権が始まりました。昨日の記事通り54名の参加で、初日は申告bye 無しの全員が揃っています。10時からスタートした初戦、リスト2の南條くんがドロー、リスト4の松尾さんが負けと、波乱含みのスタートとなりましたが、それでも概ね上位勢は強さを見せています。私は初戦で藤井くんに勝ち、午後は生徒の逢阪くんとの試合となりました。

Osaka, T (CM, JPN, 1995) - Kojima, S (IM, JPN, 2395)
Japan Chess Championship 2019 (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 a6 5. c5 g6 6. Bf4 Bg7 7. h3 Bf5 8. e3 Nbd7 9. Be2 Be4!?



c4-c5 と突かれる変化に対しては、e7-e5 で対抗したいところ。そのための準備として、e5 を抑えるナイトをビショップで取りにいくアイディアは、私のお気に入りです。

10. O-O Bxf3 11. Bxf3 O-O 12. b4 Re8 13. Qc2 e5 14. dxe5 Nxe5 15. Be2 Qe7


まだ白にはダブルビショップを持たれたままですが、黒は2つのナイトがアクティブで、すでに満足なポジションと言えそうです。

16. Rfd1 Nfd7 17. Rab1 Nf8 18. Bh2 Rad8 19. Bf1 Ne6 20. Ne2 Nc4



白がd5-d4 を嫌ってナイトを退いたことを見逃さず、ナイトをc4 の嫌なマスに侵入させます。

21. Rb3 a5! 22. Nd4 Nxd4 23. exd4 axb4 24. Rxb4 b6!


24... b5?! 25. a4! ならば、c4 のナイトが不安定になって白優勢でしょう。少し自信はありませんでしたが、異色ビショップの勝負に持ち込みます。

25. Bd6 Nxd6 26. cxd6 Rxd6



26... Qb7!? 27. Rdb1 Rxd6 28. Rxb6 こうしてb6 を取らせるのに一度クイーンを寄せておく手もあったようです。白はルークがd4 の守りから外れるので、再びその守りを考えなくてはいけません。

27. Rxb6 Qc7 28. Qc5 Rde6


自分としては、最も自然な手を指したつもりでした。c6 を6段目で守りつつ、eファイルにルークを重ねて反撃を試みます。白のポーンはばらばらで弱いと考えるか、aファイルのパスポーンは将来的に強みとなるか、判断の難しいところでしょう。しかし、ここは28... Ra8! とaポーンを攻撃するのがベターだったようです。

29. g3? Bf8! 30. Qa5 Bd6!



d4 を当てておくだけでも強力ですが、不用意なg2-g3 を見てアイディアを切り替えることにします。ビショップを捨ててg3 のポーンを取るアイディアは、eファイルに重なったルークと相まって白にとっては嫌な狙いです。直前のビショップ退きで、白クイーンがやや使いづらいマスにいってしまったのもポイントです。

31. Rd3 Re1! 32. Kg2 Qe7?!


ここはやや自信に欠けたものの、決めにいくタイミングだと思いました。Qe7-Qe4 はかなり受けづらい狙いかとも思いましたが、白にはなんとか粘れる手があります。クイーンはb6 のルークをピンにしたままで、32... Rc1! などからバックランクに2つ目のルークを入れるアイディアのほうが白は困っています。

33. Rxc6?



この手では黒のアタックを受け切れません。33. Qc3! Qe4+ 34. Rf3 ならば白は耐えています。

33... Qe4+ 34. Rf3


34. f3 Qe2+ 35. Bxe2 R8xe2# こちらは簡単にメイトです。

34... Rxf1 35. Rxd6 Rxf2+!



これが決め手になります。

36. Kxf2 Qe2+ 37. Kg1 Qxf3 38. Rd8


このルークは落ちてしまうのでダメですが、38. Rxd5 Re2-+ でも当然黒勝ちです。

38... Qxg3+ 39. Kf1 Qxh3+ 40. Kg1 Qg4+ 41. Kf1 Qf4+ 42. Kg2 Qg5+ 43. Kh1 Rxd8 0-1



初日の連勝は9人に絞られ、少しずつ上位同士の対戦を迎えます。しかし、まだまだ始まったばかり。ここからどうなるかは予想できません。参加者の皆さん、2日目もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2019 R3 Parings

2019/04/28

Japan Chess Championship 2019 R1 Pairings


10連休に入り、皆さんどうお過ごしでしょうか。私たち日本のチェス勢は、明日からいよいよチェスの全日本選手権を迎えます。参加人数は以前の記事では57名と伝えましたが、今日の段階で54名まで減りました。明日の朝、集合してみて初めて最終的な参加人数確定となるでしょうが、ここまできたらエントリーしている全員が揃うと良いですね。

さて今年の全日本選手権は、画期的なことに初戦のペアリングが前日にすでに発表されています。ペアリングは暫定となっていますが、明日の朝までによっぽどの事情でエントリーの取り消し、初戦不参加などの連絡が無ければ、発表通りに試合は組まれるでしょう。全日本選手権のペアリングは以下のリンクから確認できます。

Japan Chess Championship 2019 R1 Pairings

スイス式ですので54人を半分で切り、上と下を合わせてリスト1とリスト28、リスト2とリスト29と組み合わせます。FIDEレイティングが実力より低くついていると思われるプレーヤーもいますので、初戦から上位がポイントを落とす可能性も十分にあるでしょう。明日から10ラウンド、どんな試合が繰り広げられるか楽しみにしています。

2019/04/25

第13回七盤初心者のためのチェスレッスン


White to move

【日時】 2019年5月19日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 メイティングネット
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

GW中は全日本選手権の記事更新に忙しくなりそうなので、5月のいっぷくレッスンの情報は早めに公開します。5月は19日の日曜夜開催となります。テーマはメイトのアタックと、その下準備です。前日18日にもチェスを含め、二人零和有限確定完全情報ゲーム大会がいっぷくで開催されるそうですので、この週末はぜひいっぷくでチェスやその他のゲームをお楽しみください。

2019/04/22

Weekly Chess Puzzle Vol.45


Wang Meng Kong (GM, SIN, 2445) - Kojima, S (JPN, 2217)
Macau Asian Indoor Games 2007 (2)
Black to move


Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Nihal, S (IM, IND, 2483)
Isle of Man International 2017 (7)
White to move

1つ目は私が初めてGMに勝ったゲームです。昨年末、香港で優勝した青嶋くんも、GM戦初勝利の相手はこのWong Meng Kong だったそうですね。すでに局面は黒が良く、いくつか変化がありそうですが、e6 を崩しにくる反撃を封じつつ、白キングを攻撃するにはどうしたら良いでしょうか。

2つ目は最近、Gukesh, Praggnanandhaa と並び、若きインドのGM として紹介されることも多い、Nihal Sarin とのゲームです。私はこの局面で間違えましたが、試合後にこう指していれば白の勝ちだったと指摘されました。こうして問題として出されれば分かる気がしますが、実戦で見つけられないといけませんね。いつも通り答えのわかったかたは、お気軽にコメント欄へどうぞ。

2019/04/17

Japan Chess Championship 2019 Tournament Information


昨年の全日本の一コマ

4月も半分が過ぎ、いよいよ月末からスタートする全日本選手権が近づいてきました。今年のGWは途中で元号が変わり、10連休となりますが、そのうちの5日間を使って全日本は開催されます。4/29-5/2, 5/4 と1日飛びのスケジュールは、昨年と同じですね。今年は休憩日に麻布の文化祭もないので、何をするか悩むところです。

日本のチェス組織がNational Chess Society of Japan に変わってから初となる全日本は、すでに各地で参加権利を取得したプレーヤーが多くエントリーしており、Chess Results では現在までに、57名の名前が確認できます。この数字は過去の全日本選手権を見ても、最多に近いのではないでしょうか。

Japan Chess Championship 2019 Entry List

今年はTuさんが不参加である代わりに、南條くんが参加します。私、南條くん、青嶋くんという2300代がトップで、松尾さん、Schweizerさん、Samuelくん、大多和くんという2100代のメンバーが並びます。1試合減った10R の戦いを誰が勝ちぬくか、今年もGWはアツい戦いが期待されます。私も9年ぶりの優勝を目指して頑張りますので、皆さん2週間後からよろしくお願い致します。

ちなみに試合会場は初めてとなる、大井町のきゅりあんですので、参加のかたも見学のかたもお間違えないようお気を付けください。同時並行で5/2-4 に開催されるゴールデンウィークオープンは、参加資格の要らないFIDE公式戦で、全日本に参加されないかたはこちらへの参加をご検討下さい。どちらの参加者も、GWは思い切りチェスを楽しみましょう!

全日本選手権 2019 大会情報
ゴールデンウィークオープン 2019 大会情報


2019/04/16

Weekly Chess Puzzle Vol.44


Nakamura, N (JPN, 2098) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan League 2017 (3) Analysis
White to move


Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Baba, M (JPN, 2240)
Japan Chess Championship 2016 (11)
White to move

1つ目はこうなったらどうかという実戦からの分岐です。ルークを捨てた白はどう続けるべきでしょうか。2つ目は2016年の自分のベストゲームの1つで、まだ出題していなかったことが意外でした。ビショップとルークを取らせた白は、ここからが反撃タイムです。いつも通り答えのわかったかたは、お気軽にコメント欄へどうぞ。

Tachikawa Chess Festival Event Report


こちらのブログでも再三告知していた立川チェスフェスティバルは、昨日無事に開催されました。ぎりぎりまで各プログラムとも参加者数が読めませんでしたが、直前、そして当日の申し込みもあり、どのプログラムも盛況と言って良い状況だったと思います。私が担当した午前のレクチャーは13名参加で、いっぷくで定番の大盤解説+2人1組1ボードスタイルで行わせていただきました。初めてのかたも複数いましたが、いつものように難しくとも楽しめるレクチャーを目指して、2時間精一杯やらせていただきました。参加者の皆さんに楽しんでいただけたのであれば何よりです。


レクチャーと同時並行で行われたもう1つの午前のプログラムは、Tuさんによる目隠し同時対局です。Tuさんはアイマスクをして盤面を見えないようにし、対局者が指した手を聞いて、それに指し手を口頭で返します。こちらもレクチャーと同じ13名の参加者となり、長いゲームで3時間近く続きました。結果はTuさんの7勝4敗3ドローだったそうで、これまでの彼の目隠しイベントに比べれば勝率は落ちたものの、それでも素晴らしいパフォーマンスであったことには間違いありません。


Tuさんの目隠し同時対局が終わり次第、入れ替わり同じ部屋13時過ぎからスタートしたのは、青嶋くんにとって初めての同時対局です。こちらも直前に参加申し込みがどっと増え、参加者14人での開催となりました。こちらは持ち時間なしで、1週するごとに互いに1手ずつ指していきます。参加者の中でレイティングトップだった東野さんこそ白星をあげたものの、青嶋くんは残りの対局を全て勝ち切り、しかも早く終わった参加者には2局目も行ったとのことです! 2局目も全部勝ったとのことなので、いったい全部でいくつ勝ったんでしょうか...

ちなみに今回のゲスト3人と運営スタッフは、トップの写真にある1. e4! と描かれた立川チェスクラブオリジナルシャルを着てイベントに臨みました。同時対局前にこれを初めて見た青嶋くんは、初手e4 限定かと思ったようです(笑) 確かにこれで他の初手は指しづらいですね。


そして午後のもう1つのイベントは、25分+1手10秒、4R の早指し大会です。こちらは定員の30名に事前に達していましたが、当日1人キャンセルで29人での開催となりました。約30人で4R だと全勝が複数人出ることもありえましたが、2,3R から上位がポイントを落とすボードがちらほらあり、最終的にはドイツのFrankさんが4P で単独優勝。次いでベトナムのLuuさんが3.5P、インドのAkhilさんが同じ3.5Pで、2位3位という結果になりました。実力よりもレイティングが低くついていたり、レイティングの無い実力者が交じっていたため、早いラウンドから面白い勝負があったのも、大会としては見ごたえがありました。3名の入賞者の皆さん、おめでとうございます! 結果は以下のサイトでも確認できます。

Tachikawa Chess Festival Rapid Tournament Final Standings

今回、すべてのプログラムをあわせて50名を超えるかたに参加していただき、盛況なイベントになったこと、とても嬉しく思っています。大会、同時対局、レクチャーなどが複数同時に行われるチェスイベントは運営も大変で、まだ日本でも珍しいと思いますが、今後はこうした形式も増えていくと良いですね。今回のイベント、私は少しのお手伝いだけで、主催者の立川チェスクラブ代表のシンランさん、そして妻のなつみが主にイベントの企画、実施までの運びを数か月に渡り行ってきました。そしてこれだけの参加者が集まった経緯として、千葉、白金、麻布学園、TICC など、複数のチェスクラブのご協力がありました。私としてもこのイベントでとても楽しませていただきましたので、成功の支えとなった皆さんに再度感謝致します。

2019/04/10

Weekly Chess Puzzle Vol.43


Vamos, V (HUN, 2187) - Kojima, S (FM, JPN, 2357)
CAISSA 2013 September IM (8)
Black to move


Ragger, M (GM, AUT, 2686) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Batumi Olympiad 2018(4)
Black to move

1つ目は一瞬黒まずいかなと思いましたが、全く問題ありませんでした。2つ目はなぜ間違えたんでしょうかね... 今でも悔いが残りますが、また大物相手にチャンスを得られる機会を楽しみにしようと思います。いつもの通り、答えが分かったかたはコメント欄へお気軽にどうぞ。

2019/04/07

Tachikawa Chess Festival Event Information


立川チェスフェスティバルまで1週間となりました。午前中、Tuさんの目隠し同時対局は10名の枠までもう少しだそうですが、他の3つ、私のレクチャー、青嶋くんの同時対局、ラピッド大会はまだ枠に余裕があります。今からでもエントリーは遅くありませんので、来週末の14日(日) 午前、午後のどちらかだけでも、都合のつくかたは立川まで足をお運びください。もちろん見学だけでも大歓迎です。

また遅くなりましたが、午前中に行う私のレクチャーもテーマを発表させていただきます。


White to move

【日時】 2019年4月14日(日) 10:00~12:00
【会場】 立川女性総合センターアイム5F(最寄駅:立川駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Fantasy on the Board
【参加費】 2000円
【申し込み】 Tachikawa Chess Festival Registration Form

立川でのレクチャーテーマは、盤上のファンタジーにします。例として出している局面はあまり実戦的ではないパズルですが、もちろん実戦からも面白いポジションをご紹介しようと思います。事実は小説より奇なり、はチェスにも通じると言えるでしょう。

上のTachikawa Chess Festival Registration Form のリンク先からは、レクチャーだけでなく他の目隠し、同時対局、大会の申し込みも可能です。他にも、以下のイベントページにあるメールアドレスに連絡していただいても、イベントへの登録が可能です。また大会については、Chess Results にすでにアップされています。こちらでもエントリーリストをご確認ください。1週間後、立川で皆さんとお会いできること、楽しみにしています。

Tachikawa Chess Festival

Azabu Home Coming Day 2019


昨日は母校麻布学園のホームカミングデイでした。このイベントは、毎年この時期に麻布で開催されるOB向けのもので、ちょっとした催し物や食事会を楽しみつつ、世代を超えてOB同士で交流するのが主な内容です。春の暖かな陽気の中でお酒を酌み交わしながら、在学時代の思い出話に花を咲かせる人もいれば、自分の息子に母校を知ってもらおうと連れてくる人もいます。頻繁に出席する人にとっては、ちょっとした同窓会といったところでしょうか。


今年のホームカミングデイでは、バックギャモンの元世界チャンピオンで、現在もプロバックギャモンプレーヤーとして活躍される望月正行さんと、こちらのブログではお馴染み、将棋のプロ棋士である青嶋未来くん、そして私を交えた対談が行われました。写真は少し見えづらいですが、望月さんが用意してくださった、強くなるには何が大事かという質問に対して、私が才能、努力、環境、情熱の4択から環境を選び、その理由を話している場面です。青嶋くんは才能、望月さんは情熱を選ばれ、見事に3人で答えが分かれたのは面白かったですね。それぞれどうしてそれを選んだかの説明には、自分を取り巻くそれぞれの競技についての状況、想い、経験が入っていたように感じます。対談の詳しい内容については、これからどこかで記事になるとのことですので、そちらを楽しみにしていただくとしましょう。平校長を交えて話をした1時間はとても刺激的で、あっという間でした。


対談後は中庭での懇親会で、多くのOBとお話しさせていただきました。チェス部のOBも20代近く上から、自分の少し下まで数名いらしており、久々にお話しできて嬉しかったです。もちろんチェス部以外のOBのかたも多く出席され、私たちの対談を面白かったよと直接声をかけてくれました。今回の企画が持ち上がってから、実現に向けて協力をしてくださったOBの皆さん、そして対談にお越し下さったOBの皆さんに、心より感謝致します。


イベント終了後、打ち上げはパスして妻と青嶋くんの3人で六本木方面へ。そこでばったりCHESS HEROZ でお世話になったHEROZ の林社長と会い、そのまま4人でかき氷専門店へ。ここでもチェスや将棋談議に花が咲き、とても楽しい時間を過ごすことができました。

2019/04/04

Weekly Chess Puzzle Vol.42


Hu, Y (CHN, 2070) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Niigata 2018
Black to move


Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Xu, T (CHN, 2131)
Niigata 2018
White to move

今週は麻布の合宿があり、出題が少し遅くなりました。昨年の新潟での日中交流戦から2局です。それぞれ1問目は黒、2問目は白で決め手を探してみてください。答えがわかったかたは、いつも通りコメント欄へどうぞ。

2019/04/03

麻布学園チェス部春合宿2019


今週は月曜、火曜の2日間、1泊2日で麻布学園チェス部の合宿にコーチとして参加してきました。今回の初合宿の場所は、千葉県の白子町です。東京駅から高速バスで2時間弱、終点の白子中里から合宿地の宿はすぐでした。前回の河口湖もそうでしたが、新宿や東京からバス一本で行ける場所はありがたいですね。

合宿の参加人数は、中1から高1までの4学年で15人でした。(私が去る火曜の午後に2人合流して増えました。) 13時から途中15分の休憩を挟み、19時まではレクチャーです。最近の短手数のゲームから、タクティクス、ポジショナルプレーをテーマにしたゲーム、エンドゲームのスタディまで、幅広くポジションやゲームを紹介しました。これもいつも合宿の記事では書いていることですが、私のレクチャーが初体験の子にとっては、長時間の集中的なチェスへの取り込みは新鮮で、また大変でもあると思います。様々なポジションや考え方を見る中で、今の自分必要なものを吸収していってもらえればと思います。


夕飯後の午後20時半からは、90分+1手30秒の持ち時間あり15面指しがスタートします。前回の夏合宿では同時対局を2日目に持ってきましたが、今回はうっかり初日のレクチャー後、そして持ち時間ありでOKを出してしまいました。これがけっこう条件が厳しく、結果は11勝4敗(2つ時間落ち)という過去の同時対局でも最もポイントを落とすことになりました。その中でも、先日の東京チェス選手権で好成績を残した仲佐くんは、一瞬のスキを突いて良いプレーをしました。


Kojima, S - Nakasa, Y
Black to move

直前で指した22. Qd2? がひどい手で、黒はエクスチェンジダウンながら一気にアタックを決めます。

22... Ng4! 23. g3 d4!?


ここは23... Qh5! 24. h4 Rxe3!!-+ という手も美しい決め手になります。

24. exd4 Bxd4 25. Rce1


夜布団に入ってから、エクスチェンジを返すつもりでもう1つのルークを回し、f1 のマスを空けておくべきだったかと思いましたが、それにも黒には妙手があって勝ちとなります。25. Rfe1 Nxh2!!


Analysis Diagram

26. Rxe5 Nf3+ 27. Kg2 Nxd2+-+ Qe5-Qh5 がメイトになるため、26手目でナイトを取ることはできません。黒のダブルビショップは警戒しているつもりでしたが、d5-d4 からどちらのラインも開かれ、それを活用された形となります。

25... Bxf2+ 0-1



エクスチェンジを返すしかなく、h2 も取られて厳しくなるため、ここでリザインしました。予想外だったのは、25. Qxf2 Nxf2 26. Rxe5 Nh3# がぴったりメイトになることです。ちなみに同じメイトのアイディアをいかし、25... Nxf2! 26. Qxf2 Bxf2+ 27. Rxf2 (27. Kxf2 Qc5+ 28. Re3 Qxe3#) 27... Qxe1+-+ がさらに正確でしたが、いずれにしろ白は苦しい駒損です。夕飯前にMacShane のゲームで、黒のNf6-Ng4 が上手くアタックにいきる例を紹介しましたが、それをしっかり覚えていましたね。同時対局でも負けは悔しいですが、その反面後輩の成長は嬉しいものです。

翌日も午前中3時間ほどレクチャーをして、この合宿での指導を全て終えました。子供たちの指摘する手の中には私が気付いていなかったものもあり、毎回自分自身が勉強させてもらうことが多々あります。また夏の合宿にもお邪魔させてもらい、この麻布チェス部でのコーチングは続けていきたいですね。私は火曜の午後で白子を後にしましたが、現役部員たちは明日まで合宿を続ける予定です。最後まで気を抜かず、頑張ってください。


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