2022/02/27

Russia to India?

インドは2018年にプライベートで訪れたのが最後です。

2月の終わり、チェス界に大きなニュースが流れました。今年の7月から8月にかけ、ロシアのモスクワで開催を予定されていたチェスオリンピアードは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて中止すると、FIDEが決定しました。新型コロナの影響で2年延期されたチェスオリンピアードであり、日本を含めて各国の代表も決まりつつある時期であっただけに、とても残念なことです。しかし、状況を鑑みれば仕方がありません。

それでも今年のチェスオリンピアード開催の希望は、完全に消えたわけではありません。ロシアの代替地としてインドが名乗りを上げたと、THE TIMES OF INDIA が昨日報じました。もしこれが実現すれば、インドでのチェスオリンピアードは初開催となります。

India bidding to host Chess Olympiad 2022

同じ日程で開催するとなれば、準備期間は5か月を切っており、かなり慌ただしくなることは間違いありません。それでもチェスの起源であるインドで初のチェスオリンピアード開催は大変興味深く、私も実現を願っています。これから日本は4月のレイティングや全日本選手権の結果でオリンピアードメンバーが決まる大事な時期ですので、プレーヤーのモチベーションに大きく関わるオリンピアード開催の行方については、今後も続報をチェックしていこうと思います。

最後になりますが、これまで交流のあったウクライナのチェス関係者の無事を祈るとともに、一刻も早く事態が収束することを願っています。

2022/02/19

アジア大会日本代表選考会2022

2010年広州アジア大会でのチェス競技の様子

今年の9月に中国の杭州で開催されるアジア大会で、チェスが12年ぶりに種目として復活することが決まりました。日本からも9/11-14の日程で行われる男子個人のラピッドに選手2名を派遣することになり、その選考大会が急遽、3月末に開催されることとなりました。昨日、NCS から発表された選考大会の情報は以下の通りです。

【日時】 2022年3月26日(土) - 27日(日)
【会場】 池上会館
【形式】 7R スイス、持ち時間25分+10秒/手 ラピッドNCS公式戦
【参加費】 7000円
【大会要項】 アジア大会日本代表選考会2022
【申込期限】 2022年2月28日(月) 20:00

この選考大会は日本国籍を有することや、2月発表のNCSスタンダードレーティングが2000以上あることなど、参加の条件が厳しくなっています。参加を希望されるかたは、上記のリンクにあるNCSページ内の大会要項を、普段の大会以上に熟読したうえでエントリーすることをお勧めします。

また代表に内定した場合の費用や、試合期間に隔離期間も加えた日程の確保が可能かどうかも、多少悩む問題です。これを今月末までに判断してエントリーするのはなかなか大変そうですが、私は今のところ参加の希望を出すつもりです。ラピッド個人戦だけとはいえ、2006年のドーハ、2010年の広州に続いて、三度目のアジア大会出場が叶えば非常に嬉しいです。どういったメンバーが選考大会にエントリーするのか、楽しみにしています。

2022/02/16

Sicilian Taimanov Bastrikov Variation


最近、lichess のゲームは1. e4, 1. d4 のどちらも指しています。先日の立川の大会では2試合とも1. d4 にしましたが、いずれ1. e4 も公式戦で指してみようと思います。今夜はそんな1. e4 から始め、面白かったオンラインのゲームをご紹介します。

imsk (2572) - komiosh (2617)
lichess blitz

1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nc6 5. Nc3 Qc7 6. g3!?

Taimanov に対して何を指すかは悩みますが、キングサイドフィアンケットを組むBastrikov Variation は、古くはFischer がTaimanov 相手にも使った面白い変化です。1. e4 プレーヤーの中には、初手で白マスビショップの利き筋を開いているにもかかわらず、わざわざ手数をかけてフィアンケット?と思われるかたもいるでしょう。展開の早さを考えれば、e2 やd3 にビショップを出すべきではあるのですが、b8-h2 ダイアゴナルを守りつつ、黒の反撃の拠点であるe4 のポーンもしっかり守ってみると、意外と黒はどう手を作るか迷うものです。

6... a6 7. Bg2 h5!?


白のキングサイドフィアンケットを見て、黒がh7-h5 と端から攻めるのは近年のゲームでよく見るアイディアです。これに対して白はh2-h3 からアタックをかわしても良かったのですが、このゲームではピースの展開を優先し、hファイルを開かれることは気にしませんでした。

8. O-O h4 9. Re1 Nf6?

自然なナイトの展開に見えますが、形勢を損ねる大きなミスです。多くのSicilian において、白からのe4-e5 押し込みは、黒が最も警戒すべきアタックです。9... hxg3 10. hxg3 d6 と指し、e4-e5 の押し込みに備えておくべきでした。

10. Nxc6! dxc6 11. e5 hxg3 12. hxg3 Nd5 13. Ne4!


白からc6 のナイトを取ったことでd5 のマスのコントロールは黒に明け渡しましたが、代わりにe5 を黒が抑える力が減り、e4-e5 の押し込みとe4 のマスへナイトを運ぶことに成功しました。e5 のポーンを捨てても、白は展開の早さとセンターに残った黒キングへの攻撃チャンスで、大きなアドバンテージを得ます。

13... Qxe5 14. c4 Nf6 15. Bf4 Qf5 16. Nd6+ Bxd6 17. Qxd6

e5 を取らせている間に黒マスビショップも展開し、d6 でのナイトチェックからピースを捌いて、クイーンが黒キングへと迫っています。黒はh7-h5-h4 からhファイルを開いたことで、一見端からの攻撃チャンスを作っていますが、その一方で早めのキングサイドキャスリングを放棄したことでキングの不安定さが目につきます。加えてg2 のビショップはhファイルからの攻撃を多少緩和するディフェンスのピースでありつつ、e4-e5 からh1-a8 のダイアゴナルを開き、アタックのピースとしても活用できそうです。

17... Nd7 18. Rad1


最も自然にプレッシャーをかける手を選んだつもりでしたが、コンピュータが指摘する18. b4! もなるほどと思わせる手です。さらにb4-b5 とポーンを伸ばせば、黒はクイーンサイドも崩壊して決着がつきそうです。

18... Qc5 19. Rxe6+!

e5 を捨てた効果は、こうしたタクティクスのチャンスにも表れています。ルークを取った後のいずれの対応にも、白がアタックを続けるチャンスがぴったりあるのが面白いところです。

19... fxe6 20. Qxe6+ Kf8 21. Bd6+


本譜は分かりやすく、すぐにクイーンを落とせる変化で楽でした。20... Qe7 21. Qg6+ Qf7 22. Re1+ Kf8 23. Bd6+ Kg8 24. Re8+ でもクイーンが落とせます。黒キングがd8 に逃げる変化が少し迷いましたが、20... Kd8 21. Bh3! Rxh3 Qf8+! とh3 でのマテリアル回収を無視し、バックランクに跳び込む手が決め手で、この変化も白が勝てそうです。

21... Qxd6 22. Rxd6 Rh6 23. Qf5+ Rf6 24. Rxf6+ Nxf6 25. Qc5+ Kf7 26. Qb6 Ne8 27. Qd8 a5 28. Bh3 1-0

黒のクイーンを落とした後は、さほど難しくない流れでした。試合を振り返ってみて、一見するとおとなしく思えるg2 の白マスビショップですが、e2 やd3 の位置だとルーク、クイーンの利きを妨害する可能性もあり、その点でキングサイドフィアンケットだからこそ、素早く攻撃的な流れになることもあるのだと感じました。普段の生徒へのレッスンで、フィアンケットを教える際のヒントを掴んだような気もします。

2022/02/10

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第4回予告

月に一回担当しているOPENREC での講座を、来週末に開催します。今月のテーマは『盲点のタクティクス』としました。読みの能力が高い人でも、タクティクスを見落としてしまうことはしばしばあります。今回はそんな心理的に見落としやすいタクティクスに焦点を当て、様々な局面をご紹介していこうと思います。

2月の放送は2月20日(日)20時スタートです。無料で視聴できる冒頭部分で興味を持っていただけましたら、サブスク登録をして続きもご視聴をお願い致します。視聴者からのコメントも拾いながら、皆さんと楽しく進めていきたいと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第4回『盲点のタクティクス』 | 2022.02.20

2022/02/07

Western Tokyo Chess Championship 2022 Tournament Report


昨日はお伝えしていた通り、西東京選手権に参加してきました。この大会は私もこれまで頻繁にお世話になってきた、立川チェスクラブによる初めての全日本選手権予選です。コロナ禍と直前のキャンセルもありながら28名の参加者が集まり、盛況であったことを一参加者として嬉しく思います。私は3連勝後、Tuさんとの直接対決でドロー。タイブレークにより僅差の準優勝でした。Aクラスを含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu 3.5/4
2nd Place Kojima Shinya 3.5/4
3rd Place Sakai Enju 3/4

Western Tokyo Chess Championship 2022 Final Standings


またこの大会の結果によって、GWに開催される全日本選手権の参加資格を獲得された6名にもお祝いの言葉を送りたいと思います。今大会を皮切りに、各地方チェスクラブ主催の地方予選が始まりますので、そちらの結果も楽しみにしています。Chess Results では北海道、大阪、広島などのエントリー状況が確認できますので、これらに参加される予定の皆さんは、これらもチェックしてみることをお勧めします。

試合解説はTuさんとの最終戦でも良かったのですが、複雑な場面が多く、自分でももう少し見直したいため、今夜は3R のゲームをお届けします。試合後にインドネシア出身だと伺ったTonyさんとは、今回が初対戦です。

Tony, W - Kojima, S
Western Tokyo Chess Championship 2022 (3)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. d3 Bc5 5. c3 O-O 6. O-O d5!?

先日のブログでも取り上げた、Italian に対して早めにd7-d5 を仕掛けるラインです。センターに運んだナイトでアグレッシブなリンク先でもアイディアを紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。

7. exd5 Nxd5 8. Re1 Bg4 9. Nbd2 Bb6 10. h3 Bh5 11. Ne4 f6 12. a4


1700台に勝って上がってきたこともですが、こういった手をしっかり指してくることからも強さを感じることができました。白はクイーンサイドでスペースを確保し、黒のセンターに対抗します。ただa4-a5 がビショップトラップのスレットにならないうちは、黒も割と自由に手を選ぶことができます。

12... Kh8 13. Ng3 Bf7 14. Nh4

この辺りで何を指すかは人によって好みが分かれそうですが、Tonyさんは強気にキングサイドのアタックを見せてきます。14. Bd2 は私が1つ考えていたアイディアで、黒マスビショップ自身の働きはおとなしいですが、Ra1-Rd1 とルークを活用して弱点のd3 をカバーしたり、c3 を守ることでb2-b4 とさらなるクイーンサイドのアクションに繋げたりできる柔軟性のある手です。

14... Qd7 15. Nhf5 Rad8 16. Qf3 Be6!?


f5 にナイトが侵入してきても黒キングにさほど恐れるスレットはありませんが、念のためにf5 のマスをカバーしておくのは安全だと考えました。ナイトを退いてf5 に利かせる手もありますが、本譜ではビショップを選び、クイーンの横利きも開いてg7 をカバーしておきます。

17. b4?

これは思い切りましたが、ポーンを捨てる代償が十分であるようには見えません。bポーンを伸ばすのであれば、先述の通りBc1-Bd2 が必要だったと思います。もちろんこのビショップはパッシブなので指すのに抵抗があるのも理解できますが、これ以外に満足なビショップの位置が無いため、まずはここで我慢だと受け入れるべきです。

17... Nxc3! 18. Bxe6 Qxe6 19. a5 Bd4!


19... Nd4?! 20. Qg4! g6 ならば、ピースの取り合いから黒の優勢はさほどはっきりしないと感じました。本譜のようにビショップを諦めてしまっても、d4 のマスの支配を主張するほうが黒は指しやすいでしょう。c3 のポーンを捨てることは駒損になる以上に、d4 のマスを黒に使われてしまうことが痛手となります。

20. Bd2 Nb5 21. Rac1 a6-/+

ここまできて、白がポーンを捨てたのはやりすぎだったと確信しました。白のa5-a6 を防いでおき、a7 をビショップが下がるマスとして確保してしまえば、d4 の支配も相まって黒のアドバンテージはゆるぎないものとなります。ただし、キングへの一発攻撃にだけは気を緩めずに対処します。

22. Rc4 Rf7!? 23. Qg4 Rfd7 24. Ne4 Ba7! 25. Be3 g6!


どこかでgポーンを伸ばす手は、f5 にナイトを入られた時点から考えていましたが、h6 のマスやa1-h8 ダイアゴナルを弱めるというリスクもあるので、なるべく慎重に機会を見定めようと思っていました。ここまで準備すれば白のアタックもさほど怖くなく、駒を捌いてさらなる駒得を目指せます。

26.Bxa7 gxf5 27. Nc5 fxg4 28. Nxe6 Nbxa7 29. Nc5

Tonyさんは試合後に29. Nxd8 Rxd8-+ のほうが2ピースvs. ルークでマシだったと言っていましたが、いずれにせよ黒の駒得は大きく、白から警戒すべき反撃もないので黒勝勢です。あとはじっくり取れるポーンを取り、白の最後の反撃に対処するのみです。

29... Rd4 30. Nxb7 Rxc4 31. Nxd8 Rxb4 32. Nxc6 Nxc6 33. Rc1 Nd4 34. Rxc7 gxh3 35. Ra7 Ne2+ 36. Kh2 hxg2


ここはもう少しうまくポーンの捌きが無いか考えていましたが、本譜のように指してOKでした。

37. Kxg2 Nf4+ 38. Kf3 Nxd3 39. Rxa6 Kg7 40. Ke3 Nc5 41. Rc6 Rb3+ 42. Ke2 Ne4 43. Rc4 Nc3+ 44. Kd3 Nb5+ 45. Kd2 Ra3 0-1

aポーンも反撃に使えないことがはっきりした時点でリザインしてきました。最終戦を勝って私以外から3勝を挙げたTonyさんは、2回目だという日本の公式戦で全日本の参加権利を獲得しました。もし全日本にも参加することになれば、他のプレーヤー相手にどんなプレーをするのか楽しみにしています。

今のところ予定はないですが、3月の東京チェス選手権以外にもどこかの予選に足を運ぶことがあれば、きちんとご報告しようと思います。その際は昨年の神戸のように、地方のチェスプレーヤーと交流ができることを楽しみにしています。
朝食は立川駅の改札内で食べられるワンタン麺でした。この一杯が思ったより量が多く、昼食は近くのカフェで簡単なモーニングメニューにしました。完全に朝食と昼食が逆転しています(笑) 今回はほとんど掲載できるような会場の写真が無くてすみません!

2022/02/05

Instructive Endgames in Blitz Games Vol.6


このシリーズもずいぶん久しぶりの更新ですね。昨晩指したゲームの中に面白いエンドゲームが登場したので、そちらを見ていこうと思います。

helmaks (2458) - imsk (2565)
lichess

1. c4 c6 2. g3 d5 3. b3 Nf6 4. Nf3 g6 5. Bg2 Bg7 6. O-O O-O 7. Bb2 Bg4 8. d3 Bxf3 9. Bxf3 e6 10. Nd2 Nbd7 11. Rc1 a5 12. a3 Ne8 13. Bxg7 Nxg7 14. cxd5 exd5 15. e4 dxe4 16. dxe4 Ne5 17. Nc4 Qxd1 18. Bxd1 Nxc4 19. Rxc4 Rfd8 20. Bc2 Ne6 21. Rd1 Rxd1+ 22. Bxd1 Rd8 23. Bc2 Rd2 24. Rc3 c5 25. Bd3 Ra2 26. a4 b6 27. Bc4 Nd4 28. Rd3 Kf8 29. h4 Ke7 30. Kg2 f6 31. g4 Rb2 32. g5 Rc2 33. Re3 Nc6 34. Kg3 Ne5 35. Bd5 Rd2 36. f4 Rd3 37. Rxd3 Nxd3 38. gxf6+ Kxf6

このゲームはここから始めます。途中は悪くなかったはずでしたが、ルークを捌いて純粋なビショップvs. ナイトの構図になり、白にパスポーンを作られてしまうといつの間にか苦しかったです。このまま何事もなく白に押し切られたのであれば、今夜紹介するようなゲームにはなりませんでしたが、ここから色々と事件が起こります。

39. h5? g5!


端ポーンを捌きたい気持ちは分かりますが、f4 からポーンをどかしてe5 のマスを確保すれば黒も粘れます。代わりに一度、39. Bc4! からナイトをどかしにいけば白勝勢でした。

40. e5+ Kf5 41. fxg5 Kxg5 42. e6 Kf6 43. h6 Ne5 44. Kf4 Ng6+?

しかし、ここは欲張りすぎです。44... Nd3+! 45. Ke3 Ne5= からドローで満足すべきでしたが、進みすぎたeポーンを落とせると考え、本譜を選んでしまいました。

45. Ke4 Nf8 46. Kd3?


46. Bc4! これがキングの侵入するルートを作る好手で、e6 を先に落としても黒はキングのポジションの差で苦しくなります。46... Nxe6 47. Kd5 Nd4 48. Kd6 Nf5+ 49. Kc7 Nxh6 50. Kxb6+- ここで白が勝ち手順を逃し、黒が生き延びることになりました。

46... Nxe6 47. Be4

ここは少し長い分岐を入れます。本譜でも白は問題ありませんが、すぐにビショップナイトを交換してポーンエンディングに持ち込む手もありました。47. Bxe6!? Kxe6 48. Kc4 Kd6! (48... Kf6? 49. Kb5 Kg6 50. Kxb6 Kxh6 51. Kxc5 Kg5 52. b4 axb4 53. Kxb4 h5 54. a5 h4 55. a6 h3 56. a7 h2 57. a8=Q+- これは1手差でh1 を抑えられ、白の勝ちです。) 49. Kb5 Kc7 50. Kc4 Kc6 51. Kc3 b5 52. axb5+ Kxb5 53. Kb2 Kb4 54. Kc2! (ここもキングの移動するマスが大切です。54. Ka2? a4! 55. bxa4 Kxa4 56. Kb2 Kb4 57. Kc2 Kc4 58. Kd2 Kb3 59. Kc1 Kc3 60. Kd1 Kb2-+) 54... a4 55. bxa4 Kxa4 56. Kc3 Kb5 57. Kb3 Kc6 58. Kc4=
Analysis Diagram

これは私もEndgame Manual で昔学んだポジションで、黒がチャンスを作るためにはcポーンを諦めてhポーンを取りに行くしかありません。もし互いのhポーンがh4、h5 でぶつかっていればぎりぎり黒勝ち、それより一歩でも白ポーンが進んでいれば、以下のようにドローになります。58... Kd6 59. Kc3 Ke5 60. Kc4 Kf5 61. Kxc5 Kg5 62. Kd4 Kxh6 63. Ke3 Kg5 64. Kf2=

47... Ng5 48. Bd5


コンピュータが出した面白いアイディアは、ビショップを捨ててドローに持ち込むものです。48. Bxh7! Nxh7 49. Kc4 Nf8 50. Kb5 Nd7 51. Kc6 c4 52. bxc4 Ne5+ 53. Kxb6 Nxc4+ 54. Kb5=

48... Ke5 49. Bg8 Kd6 50. Kc4 Kc6 51. Bd5+ Kc7 52. Bg2 Nf7 53. Be4?

このブランダーによって、この試合初めて黒に勝ちの目が出現しました。代わりに53. Ba8!? Nxh6 54. Be4= として、テンポをずらしてh7 を取りにいけば、クイーンサイドのポーンが3vs. 2 でも白はドローに持ち込めそうです。

53... Nd6+! 54. Kd5 Nxe4! 55. Kxe4 Kd6 56. Kf5


上記の変化と比べ、黒キングの位置が良いために黒勝ちポーンエンディングになっています。56. Kd3 Kd5 57. Kc3 c4!
Analysis Diagram

それでも、この一時的なポーン捨てを発見できなければ黒は勝てません。58. bxc4+ Kc5 59. Kd3 Kb4-+

56... b5!-+


このブレイクスルーで勝負は決まりです。相手のミスに何度も助けられながら、一瞬のチャンスをものにしての逆転でした。

57. Kf6 c4 58. Kg7 cxb3 59. Kxh7 b2 60. Kg7 b1=Q 61. h7 Qxh7+ 62. Kxh7 bxa4 0-1

途中、あまりにも形勢や指し方が分からなかったので解析してみたところ、面白い発見が多かったです。今後も、こうした学びの多いゲームを増やしていければと思います。
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