2018/04/21

Kitasenju Meeting on 21st April 2018


今日は久々に北千住の例会に参加してきました。20名以上の参加者がいて、いつもは余裕のあるスペースも多少譲り合うような状況でした。チェスクラブが盛況なのは良いことですね。私は仕事の都合で14時からの1試合しか指せませんでしたが、面白いゲームができたので今夜はこちらをご紹介します。

Higashino, T - Kojima, S
Kitasenju (1)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. Qc2 e6!?



English Opening にはSlav Formation でしばらくいこうかと思っていますが、その中でもd2-d4 が遅い場合、キングサイドにフィアンケットを組んだり、Bc8-Bg4 と指したり、色々と試している最中です。今回はQd1-Qc2 を見て、Semi-Slav Accelerated Meran をイメージし、c6-c5 を突きなおすセットアップを考えました。

6. b3 c5 7. Bb2 Nc6 8. a3 Be7 9. Be2 O-O 10. O-O b6


ここは早めにd5-d4 と押し込んでBenoni Structure にするか、それとも様子をもう少し見るか悩みました。黒の一番の気になるポイントは、白マスビショップをどこに展開するかですので、フィアンケットの準備をしつつdポーンを押し込むタイミングを図ります。

11. Rfd1?!



白もd5-d4 を覚悟で準備をし、黒の仕掛けが遅ければd2-d4 を指そうと試みますが、この待ち手は変だと思いました。先述のようにBenoni の形になった場合、d1 のルークは特に働かないためです。代わりに11. d4 cxd4 12. exd4 Bb7 ならば、全く違う形でお互いに指すことができそうです。

11... d4! 12. exd4 cxd4 13. Ne4 Bb7 14. d3!? a5!?


14... Nxe4 15. dxe4 e5 16. Ne1 も考えましたが、dファイルにルークが回られたのに、dファイルを開かせるのは少し嫌でした。d4 のパスポーンは確かに強そうではありますが、d3 をブロックされて長い戦いになることは目に見えているので、d3 のポーンを弱点として残すほうが良いと私は考えました。

15. Nxf6+ Bxf6 16. Qd2?!



東野さんはBenoni の基本通りにbポーンを伸ばそうとしますが、ここでは上手いプランではないように思えます。16. Nd2 からe4 のマスを活用するほうが良く、本譜のクイーンの動きはd2 のマスでナイトを使うチャンスを消してしまうことになります。

16... e5! 17. b4 Re8 18. b5


通常のBenoni と違ってbポーンを伸ばすプランが強くない理由は、白はeファイルからの攻撃を準備していないため、c6 のナイトがいなくなってもターゲットがないこと、またキングサイドフィアンケットを組んでいないため、黒のbポーンにビショップのプレッシャーがないことが挙げられます。むしろ黒としてはbポーンを伸ばしてもらい、c5 をナイトの絶好のアウトポストにしてもらうほうが都合が良いでしょう。

18... Nb8! 19. Ne1 Nd7 20. Bf3 Bxf3 21. Nxf3 Nc5



ピースは多少捌けていますが、黒のナイトが好位置に来たことで、b3 への侵入やd3 のポーンの負担を白は常に気にしなければいけなくなります。加えて、黒はすでにe5-e4 のブレイクが十分できる形です。

22. Qc2 e4! 23. Ne1


23. dxe4? d3! 24. Qb1 Bxb2 25. Qxb2 Rxe4-/+ こうなれば黒が完全に局面を支配しています。c4 のポーンは負担になり、逆にd3 のパスポーンは非常に強力です。

23... a4!? 24. Rab1


ここは白も黒も互いにセンターポーンをどう捌くか悩むところです。私は24. dxe4 Rxe4 25. Nd3 Nb3 26. Rab1 Qd6 と進む流れは、黒が優勢だと判断しました。d4 のポーンは孤立ポーン、ターゲットとしての弱さよりも、パスポーンとしての強さが十分にあると思います。そのため、23手目ではe4 を取らても良いと思ってaポーンの押し込みをしましたが、ずっと待つのもどうかと思ったので、eポーンの押し込みにプランを変更します。

24... e3 25. Nf3 Ra7 26. Re1 Rae7 27. Rbd1 h6



小さい手ですが、自分からはアクションを起こさずにバックランクを外しておきます。e3 でのポーンのぶつかり合いは、どう捌いてもd3 のポーンが負担として残ります。

28. fxe3 Rxe3 29. Rxe3 Rxe3 30. Bc1 Re6 31. Qf2 Qe7 32. Kf1


残り時間はほとんどありませんでしたが、この辺りは上手く指して白にプレッシャーをかけ続けられたと思います。32. Nxd4 Bxd4 33. Qxd4 Re1+ は当然黒の勝ちですので、白はd4 を取ることはできず、e2 のマスを守らなければいけません。

32... Nb3! 33. Bb2 Re3! 34. Re1 Qd6!



白の頼みの綱のルーク交換も上手くいかず、これで黒の勝ちになったと思いました。e3 でピースを交換しても、b2 のビショップが浮いているため、白はポーンを取ることができません。

35. Qg3 Nd2+ 36. Kf2 Qxg3+


クイーンを交換しても黒勝ちのエンドゲームですが、36... Qe7! 37. Qf4 Nxf3 38. Rxe3 dxe3+ 39. Kxf3 Bxb2 としてビショップを取ってしまう流れもありました。

37. hxg3 Nxf3 38. gxf3 Rxd3 39. Re8+ Kh7 40. Ke2 Rb3 41. Bc1 Rc3 42. Kd1 Rxf3 43. Rb8 Rf1+ 44. Kc2 d3+ 45. Kxd3 Rxc1 46. Rxb6 Rc3+ 0-1



東野さんとのゲームは、あまり良くないポジションから誤魔化してしまうことがこれまで多かったですが、今日は全体を通して大きなミスなく、丁寧に指すことができたと思います。全日本直前の調整として、良いゲームが指せたので、北千住に足を運んだ甲斐もあるというものです。参加者の皆さん、お疲れ様でした。

ところで、今日はまだ更新前のレイティングをカルテには書いていますが、国内レイティングの締め切りは偶数月の20日ですので、今日の試合の計算は新しいレイティングになってから、6月の更新に回されるはずです。4月20日締めのレイティングも来週半ばには公開されると思いますので、そちらもお楽しみに。

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