今年もGW の全日本選手権が開幕しました。今年は45名の参加者で11R を戦い、新しいチャンピオンが決められます。私は初戦、予想通り神田さんに当たって勝ち。2R は去年のこのラウンドで対戦となった小林くんとの再戦です。前回は私がピースをタダで落とすブランダーを指すものの、そこからなんとか粘ってドロー。そしてその0.5Pダウンが、野口さんとの優勝争いに大きく影響したのでした。
Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (2)
1. Nf3 d5 2. g3 c6 3. Bg2 Bg4 4. c4 e6 5. cxd5 Bxf3!?
Japan Chess Championship 2018 (2)
今回の全日本に向け、English Slav Formation (勝手にそう呼んでいます) に対しては、かなり時間を使ってラインを調べなおしてきました。早めのポーン交換に対しては、いくらか実戦経験のあるビショップナイト交換のアイディアを試してみます。Slav プレーヤーとしては、c6 にナイトを展開できるExchange Variation のセットアップは、かなり楽に指せるでしょう。5... exd5 6. O-O Nd7 7. d3 Ngf6 8. Nc3 Be7 こちらのラインも調べてはいましたが、いまいち戦い方を理解できていません。
6. Bxf3 cxd5 7. O-O Nf6 8. d3 Nc6 9. Nc3 Be7 10. Qa4!?
Maroczy Bind で黒がやるような、このピースの動きはなるほどと思いました。互いにオープンファイルをルークで抑え合いますが、どちらのルークが来るかが違います。
10... O-O 11. Bf4 Qd7 12. Rfc1 Rac8 13. Bg2 h6 14. Qd1 Rfd8 15. Na4?!
この手は少し変だと感じました。狙いはc5 への侵入を見せ、黒にb7-b6 を突かせて白マスを弱めることですが、果たしてa6 のマスや守りの薄くなったc6 のナイトを利用する方法が白にあるか疑問です。もし白がBd2, e3, d4, Bf1 という駒の配置であれば、Bf1-Ba6 のチャンスがあるため、b7-b6 を突かせるアイディアもあったかもしれません。
15... b6 16. Nc3 d4! 17. Nb1
もう少し前のポジションでも、dポーンを押し込むことは考えていました。白のナイトは本来であればe4 に跳びたいのですが、すでにc5 のマスは抑えられているため、17... Nd5 とかわされた後で、f7-f5 が困ります。そのため白は手数をかけて、ナイトを組み替えなければいけません。
17... Nd5 18. Bd2 Rc7 19. Be1 Rdc8 20. Qa4 Ne5
再びクイーンが出てくることは予想できていました。私のアイディアはb1 のナイトがルークの連携を断っている間に、ピース交換を進めてcファイルのコントロールを得ることです。
21. Qxd7 Rxc1?
ここはシンプルにクイーンを取りかえすほうが正確でした。21... Nxd7! 22. Rxc7 Rxc7 23. Nd2 Rc2 24. Nb3 Rxb2 25. Bxd5 exd5 26. Nxd4 Bf6! 27. Bc3 Bxd4 28. Bxd4 Rxe2-/+ 下記のラインに比べ、e5 にナイトがおらず、h8-a1 のダイアゴナルを邪魔していないことがポイントです。
22. Qxc8+!
恥ずかしながら、白がクイーンを返してくることを見落としていました。22. Qxa7? Rxe1+ 23. Bf1 Bf6!-+ ならば、e5 のナイトも落ちる心配なく、次に2つ目のルークがバックランクに跳び込んで黒勝ちです。
22... Rxc8 23. Nd2 Rc2 24. Rb1?
こうしたポジションでは、パッシブなディフェンスは一般的に良くないとされますが、ここも例外ではありませんでした。しかし、代わりの正解の手を見つけるのは難しいと思います。24. Nb3! Bb4 (24... Rxe2? 25. Nxd4 Rxb2 26. Bxd5 exd5 27. Bc3!+/- なんとこれはルークがトラップになり、白優勢です。) 25. Nxd4 Rxb2= こうしてe2 を守った状態でポーン交換ができれば、形勢互角と判断できそうです。
24... Bb4! 25. Nc4 Bxe1 26. Nxe5 Rxe2
白の25手目を見て少し悩みましたが、こうしてビショップ、ポーンの順に取れば、白には満足な反撃もディフェンスもありません。
27. Bxd5 Bxf2+ 28. Kf1 Rxe5 29. Bxe6 Bxg3 0-1
この駒数では、白は勝負を続けることはできません。初日を無事に連勝で乗り切ることができ、ほっと胸をなでおろします。
他のボードでは色々とドラマがありました。まずは初戦、リスト2 のTuさんが福田さんにほぼ負けポジションからドロー。リスト4 の松尾さんも青木さんに勝ちポジションからブランダーで負けと、波乱含みのスタートでした。2R も去年のチャンピオン、野口さんが青嶋くんに負け。さらには弘平くんが東野さんに負けと、IVL メンバー同士のペアリングで決着がついています。2R を終え、連勝はわずかに6人で、3R からその全勝同士の対戦です。
Kojima (2) - Shiomi (2)
Aoshima (2) - Asaka (2)
Hiebert (2) - Higashino (2)
Aoshima (2) - Asaka (2)
Hiebert (2) - Higashino (2)
塩見さんに白は、去年と同じ色と組み合わせです。ほとんど毎年のように全日本で対戦していますが、今年もどんなゲームになるか楽しみにしています。その他のペアリング、これまでの結果については、こちらからチェックしてみてください。
そして今回素晴らしいのは、Chess Results 上から2R までの全棋譜がpgn 形式でダウンロードできるようになったことです。これで例年のように、プリントした棋譜をいちいち並べずにすみます。対戦相手の研究ができるのはもちろん、参加していない人たちもすぐに棋譜が見られるのは嬉しいと思います。今年から改善された運営陣の働きぶりには、本当に助けられますね。それでは皆さん、2日目もよろしくお願い致します。
0 件のコメント:
コメントを投稿