2026/04/16

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第53回予告

2026年4月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、4/19(日) 20時からスタートです。

今月のYouTubeの講座テーマは『白と黒の差異』です。チェスは先手の白と後手の黒であれば、少し白が指しやすいものです。白は上手く指せば、広さ、早さ、ピースの使い勝手の良さ等の黒との差を作り、優位に試合を進めることができるでしょう。今月の講座では、白と黒の違いに着目して解説をしていこうと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第53回『白と黒の差異』|2026.4.19

2026/04/14

シモキタ Street Chess 2026 Event Preview


今月末の4月26日(日)午後に下北沢で、シモキタ名人戦が開催されます。シモキタ名人戦は毎年、下北沢で開催されるボードゲームの屋外イベントで、10種類以上のボードゲームを楽しむことができます。昨日、日本チェス連盟のHPでもシモキタ名人戦内でのチェスイベントに関して告知がされ、イベント内容やスケジュールが確認できるようになっています。

シモキタ Street Chess 2026


今年のチェスブースのゲストは私、IM 小島慎也と、FM 大塚翔生、WCM 小島なつみの3人です。私たちは一度に6人と指す同時対局、相談チェス、ミニトークショーに登場します。ゲストとの交流以外にも、自由に対局できるスペースやチェスパズルなども楽しめる予定ですので、ぜひ下北沢に足をお運びください。いつもの大会とは違ったチェスイベントで、皆さんとお会いできるのことを楽しみにしています!

2026/04/09

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.11


ブログでの未公開棋譜を振り返るシリーズです。2024年末の香港、ハノイ遠征の試合はほぼ解説を出していますので、2025年に入ろうと思います。この年は年始の国内大会、東海オープンで奥野くんと最終戦で優勝を争いましたが、2か月後に東京で再戦の機会を迎えます。銀座で開催された東京&西東京選手権では、私は戦績が振るいませんでしたが、この試合は面白かったと思います。

Kojima, S - Okuno, R
Tokyo & Western Tokyo Chess Championships 2025 (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5

1月の東海オープンでは、指し続けていた5. cxd5 exd5 6. Bg5 を指しましたが、ここでは以前指していた変化に戻しました。こちらの変化では、黒からdxc4のチャンスがあるため、黒からのh7-h6の催促にはビショップナイトの交換を仕掛けます。

5... h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1 Rd8!?


f6のナイトが消えた分、d5のポーンの守りが黒の課題となりますが、ここでは8... dxc4 と取ってからc7-c5とセンターに反撃するプランが一般的です。この変化は思い出深く、2018年のバツミでは、オリンピアードで3回目の対戦となるライバル、IM Wiedenkeller との試合でこの変化を指しました。本譜は初めての変化で戸惑いましたが、自然に思えるd5へプレーヤーをかけるプランを選択します。

9. Qb3 c5 10. dxc5 Nc6 11. cxd5 exd5 12. Bb5 Bxc5 13. Nxd5 Qd6 14. e4?!

d5のポーンを落としたは良いものの、次のポーン突きはd4とa7-g1ダイアゴナルを弱める緩手でした。ここは単にc3にナイトを下げるくらいでも良かったと思います。

14... a6 15. Be2 Be6 16. O-O Nb4


この手でピンのナイトを攻められる手を軽視していました。ポーンを返すか、必死で守るか悩んだ挙句、後者を選ぶことにします。

17. Rcd1 Nxd5 18. Bc4 Ne3??

この手が成立するのかかなり丁寧に読みましたが、結論として白は安全なエンドゲームまで一直線で向かうことができます。代わりの黒の手は難しいですが、18... Qb6! 19. exd5 Bg4! が良い手で、白はポーンアップでもd5のパスポーンを活かすアイディアが難しく、黒はダブルビショップで十分に代償を得ています。

19. Rxd6 Bxc4 20. Rxd8+ Rxd8 21. Qc3! Nxf1 22. Qxc4 Rd1 23. Qxf1!


メイトを防ぐためにクイーンを返すのが唯一ですが、白の好手で、白はポーンアップのエンドゲームとなります。しかし、これでも勝ちを確実にするには油断禁物でした。

23... Rxf1+ 24. Kxf1 Kf8 25. Ke2 Ke7 26. Ne1 Bd4 27. Nd3 Kd6 28. b3 Ke6 29. f4 Kd6 30. Kf3 Ke6 31. g4 b5 32. e5 f5 33. gxf5+

この手でも勝てそうですが、e4のマスに白キングが上がるほうが明確なので、33. exf6 Kxf6 34. Ke4 のほうが良かったでしょう。本譜は黒キングがf5にくるのを許したことで、少し怪しくしてしまいます。

33... Kxf5 34. Nb4 g5 35. fxg5?


黒のキングに上がられ、e5-f4のポーンを崩されると白が勝てるのか怪しくなってきます。f4のポーンを取られても、f3のマスを明け渡さない限り危険はないと割り切り、クイーンサイドのポーンを早くとるほうが良かったでしょう。35. Nxa6! gxf4 36. Nc7 b4 37. Nd5 Bc3 38. a4!+-

35... hxg5 36. Nxa6 g4+!

e5を取られる前にこちらのポーンが伸びてくるのを軽視していました。h2が固定されるか、h2-h3から交換になってしまうと、クイーンサイドだけで勝てるのかが疑問になってきます。

37. Kg2 Bxe5 38. Nc5 Bd6 39. Nd3 Ke4 40. Nf2+ Kd4 41. Nxg4 b4??


bポーン1つで黒のa,bポーンを抑えるのは好形に見えますが、ここではキングが早く侵入すべきでした。41... Kc3! 42. Ne3 Kb2 43. a4 Kxb3 44. axb5 Kb4 ならば黒はキングでbポーンを追いかけて回収し、簡単なドローです。

42. h4 Kc3 43. Ne3 Bf8

b5-b4のせいでc4にマスを与えているため、黒はナイトフォークに警戒しなければならず、キングの侵入が遅れます。

44. Nc4 Kc2 45. h5 Kb1 46. Kf3 Kxa2 47. Na5+-


a2は取らせても、b3を安全な形で守れることになり、白の勝ちを確信しました。

47... Kb2 48. Ke4 Kc3 49. Kf5 Kd4 50. Kg6 Ke4 51. h6 Bc5 52. h7 Bd4 53. Kf7 1-0

h8でプロモーションし、ビショップを取った後で、b4のポーンを落としにキングが戻れば白勝ちです。途中まずくした自覚はあったので、次はこうしたエンドゲームを問題なく勝ち切れるようしたいですね。

2026/04/02

麻布学園チェス部春合宿2026

3月31日から4月1日にかけ、毎年恒例となっている母校麻布学園のチェス部春合宿にお邪魔してきました。今回の合宿地は山梨県の山中湖です。同じ富士五湖の河口湖は合宿や観光で足を運んでいますが、お隣の山中湖は初めて訪れました。しかし、あいにくの連日雨模様で、湖を直接見て写真を撮ることや、湖畔らしいアクティビティは何もできず残念です。それでも2日間、後輩たちの指導は充実したものでした。

今年の春合宿は「白のd4ポーンに黒がc5ポーンをぶつけるのは、どんな時でどんな狙いがあるか」といったテーマで、いくつの局面を想定するところから始めました。普段何気なく指している手でも、どんな意味があるかを深堀してみると新たな発見があるものです。部員たちが慣れてくる頃には、逆に部員からテーマを出してもらいました。
White to move

こちらは過去にYoutube講座でも扱った局面で、白番で駒を動かさずに何手メイトかを読み切るという問題です。必ず駒を動かさずに頭の中で考えるのがポイントで、かなり読める人でも間違えてしまいがちです。初見のかたはぜひチャレンジしてみてください。
Korchnoi, V - Korpov, A
World Championship 1981 (9)
Black to move

Karpov とKorchnoi の試合は2試合紹介し、部員たちを2人組にして、途中局面から白黒交代で指してもらいました。問題を解いてもらうだけでなく、想定した局面を実際に指してもらうと、部員たちの大まかなレベル(盤面全体が見えているか、丁寧に指し手の候補を挙げられるか、局面のポイントを整理できるか等)が分かります。この局面はKarpovが実際に指した手以外にも良いアイディアがいくつかあるので、それを見つけた部員たちも複数いました。
初日の夜は部員全員との同時対局です。昨年の夏合宿は19面指しで倒れるかと思いましたが、今回は10面指しで少し楽でした。幸いにも10面全て勝つことができましたが、試合後に指摘されて少し面白かったのが以下の局面です。
Kojima - Kumasawa
Azabu Spring 2026 Simul
Position after 21.Rd2

2ポーンアップでしたが、b2を取られて1ポーン差に詰め寄られ、Rd1-Rd2と指した局面です。これでb2のナイトを追い返し、e7へプレッシャーをかけて白十分だと考えていました。

21... Nc4?


ナイトが逃げてルークに当て返す手は自然に見えますが、21... Bh6! が勝りました。e2-e3でダイアゴナルをふさぐと、Nb2-Nd3とナイトが逃げつつ、ナイトフォークをかける手があります。翌日の講評では、22. Rxb2 Bxc1 とエクスチェンジを切ってe7を取る勝負の変化を示しましたが、それでも白有利とはならないようです。

22. Rdc2 Bh6 23. e3!+-


Bg7-Bh6 のタイミングが1手遅れると上記の変化のような効果を発揮できません。以下、駒得を守りつつe7を攻め続けて落とし、白の勝ちとなりました。

2日目は10面の棋譜の振り返りと講評をし、部員たちのレベルに合わせたアドバイスをしました。この合宿直後の週末にユース選手権に参加する部員は大変なスケジュールだと思いますが、合宿で学んだことが少しでも生きれば嬉しいです。オリンピアード前の夏合宿でも指導ができることを楽しみにしています。
宿を離れてから少し湖周辺を見られるかと思っていましたが、霧交じりの雨となり、視界が全く利かないので断念しました。山中湖は水陸両用バスや冬季のワカサギ釣りなどの湖での楽しみがあるそうなので、次回はそれを楽しみに訪れたいと思います。
東京へ帰るバス待ちの間、バス停すぐのパティスリーでケーキをいただきました。可愛いラテアート、ありがとうございます。
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