2022/12/17

有田ポーセリン・チェス大会 Tornament Report 有田町編

ようやく有田ポーセリン・チェス大会当日の様子をお届けします。佐賀県有田町は言わずと知れた有田焼の産地です。この旅始まって初の電車に乗り、JR佐世保線で佐世保駅から有田駅に20分ほどで到着しました。有田町は佐賀県西部に位置し、長崎と佐賀の県境を越えればすぐです。さらに有田駅からは歩いて10分ほどで、今大会の試合会場である佐賀県立九州陶磁文化館へとたどり着きました。参加者は16名で、福岡、佐賀、長崎、熊本の九州各県と、私たち夫婦が東京から参加しました。
会場にはすでに様々な柄の有田焼のチェスセットが配置されていました。青と赤をペアにするのは有田焼ではよくある色の組み合わせのようで、花を描いたこちらのチェスピースが私のお気に入りです。有田ポーセリン・チェス大会は基本的にスイス式ですが、同じクラブ所属のプレーヤーはなるべく当てないシステムです。ボードも数字は振ってありましたが、ペアリングが発表されてから対戦相手と相談し、どのチェスピースを使って試合をするかを決めます。これもなるべく同じ種類ではなく、違う有田焼のチェスセットを手にとってほしいという運営の気配りでした。
こちらも青と赤にチェスピースですが、分かりやすい絵柄があるわけではなく、1つ前のものとは随分雰囲気が違います。女性の参加者も今回は多く、素敵なピースに見とれていたら気づくといつの間にか時間が過ぎていた、というかたもいらっしゃいました。
試合は紅葉が見ごろの庭園を臨む、文化館の入り口すぐの場所で行われました。非公式戦でしたので棋譜を取る義務や厳しめのルールはなく、皆さんリラックスしてチェスを楽しんでいたように感じます。色も試合前にチョイスで決めたので、白連続で地元佐賀、そして福岡のかたに勝ち、3試合目で久留米の牛島さんとの対戦になりました。久留米のチェスクラブは7年前に初めて福岡を訪れた際に同時対局でお世話になり、牛島さんともその時以来の試合となります。7年前の記事はこちらから。

Ushijima, J - Kojima, S
Arita Porcelain Chess Tournament 2022 (3)

1. d4 d5 2. Bf4 Nf6 3. e3 c5 4. c3 Nc6 5. Bd3 Bg4 6. Nf3 e6 7. Nbd2 Be7 8. O-O O-O 9. Qc2 Rc8 10. Ng5?

London System で始まったゲームはReversed QGD のようになり、このポジションを迎えました。h7 を狙う単純なスレットにどう対応するのが一番良いのか、10分近く使って考えました。

10... cxd4!


いくつか有力な手はありますが、h7 を見捨てるのが有効なアイディアだと結論付けました。シンプルなh7-h6 はg6 のマスが弱くなり、白マスビショップを逃がすマスが無くなると判断しましたが、10... h6!? 11. Nh7 Nxh7 12. Bxh7+ Kh8 13. f3 Bh5 14. g4 f5! も面白い変化です。

11. Nxh7


ビショップでh7 を取る変化も考えられますが、こちらはg5 に残ったナイトがターゲットになります。11. Bxh7+ Kh8 12. f3 Bh5 13. g4 Nxg4! 14. fxg4 Bxg5 15. gxh5 dxe3-+

11... dxc3! 12. bxc3 Nb4!

h7 に切り込んできたナイトがルークに当たっているのを無視して、このナイト跳びを入れるのが好手です。ちょうど明日のOPENREC のチェス講座のテーマである、Intermediate Move です。

13. Nxf6+ Bxf6 14. Bh7+ Kh8 15. Qa4 Bxc3-+


白はナイトをf6 で交換するしかなく、h7 に突入した甲斐があまりなかったことが分かります。後は駒得を広げてそのまま黒勝ちとなりました。

16. Rab1 Bxd2 17. Rxb4 Bxb4 18. Qxb4 Kxh7 19. Qxb7 Be2 20. Rb1 Bd3 21. Ra1 Qf6 22. Re1 Qc3 23. Rd1 Qd2 24. Qb3 Rc1 0-1

続く最終戦は、牛島さん同様に7年ぶりの対戦となる福岡の岡村さんで、こちらも黒番で制して4戦全勝を決めました。勉強になるポジションも複数持つことができて良かったです。対戦してくださった皆さん、ありがとうございました。
最終戦にはこちらの特別なチェスセットを使わせていただきました。こちらは駒が有田焼で作られているのに加え、ボードも寄木で作られたものが机に埋め込まれ、一体化した特別製です。机には引き出したがついており、チェスピースを収納できるようになっています。
九州陶磁文化館では常設展、特別展で数多くの有田焼の作品を見たり、歴史を学ぶことができます。またこちらの有田焼で造られた巨大なからくり時計は、毎時人形たちが踊りだし、オルゴールの音色が奏でられる、こちらの施設の名物となっています。
試合後はお勧めされた上海飯店という中華料理のお店へと足を運びました。ボリュームが凄いと事前に聞いていなければ、頼みすぎて大変なことになっていたかもしれません。特製パリパリ麺(長崎で言う皿うどん)、焼きめし、唐揚げを2人で分けてもかなり多かったです。テイクアウトのお客さんもひっきり無しにくる人気店で、量だけでなく味も大満足でした。
帰宅してから確認させていただいた優勝賞品は、有田焼のペアカップでした。今回、急な参加申し込みを快く受け入れてくださり、素敵な大会を運営してくださった伊万里チェスクラブの皆さん、そしてNCS大会のスポンサーでもあり、今回使用された有田焼のチェスセットを作ってくださった陶楽の皆さん、本当にありがとうございました。また佐賀や東京チェスイベントで交流できる機会を楽しみにしています。

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