Welcome Olympiad! U2400 (2)
Position after 43. Kxh3
先日の大会の試合で少し面白いポーンエンディングが登場したので、今夜はこちらをご紹介します。黒はポーンアップで最後のピースを交換しました。当然勝ちだと思ってこの局面にしたのですが、進めてみると予想よりも難しいことが分かりました。
43... Kh5!
白キングにg4に上がられるわけにはいかないため、最初はこの1手です。私は当初、これでdポーンをどんどん進めてそれを取らせている間に、h,fポーンを両方落として勝ちだと思っていました。
44. a4 d5 45. Kg3 f5!
しかし、ここでテンポを数えてみるともう少し工夫が必要であることが分かりました。白キングがdポーンを取ってからbポーンに向かった場合、クイーンができるのは同時でドローです。45... d4?? 46. Kf3 Kxh4 47. Ke4 Kg4 48. Kxd4 Kf3 49. Kc4 Kxf2 50. Kb5 f5 51. Kxb6 f4 52. Kxb7 f3 53. a5 Ke3 54. a6 f2 55. a7 f1=Q 56. a8=Q= そこで黒はfポーンも早めに前進させ、いくらかテンポを稼がなくてはいけません。白の最後に残るのがaポーンであることを考えれば、クイーンを先に作ってもa7まで進めらてしまえばドローなので、その点も注意が必要です。46. Kf3
白はすぐにhポーンを諦めますが、ここでの変化で、面白いポーンエンディングの形があります。46. Kh3 d4! 47. Kg3 d3 48. Kf3 f4!-+と進んだ場合、白キングは2列離れたd,fポーンにマスを抑えられ、身動きが取れなくなります。このポーンとキングの位置関係は以下のようなポーンエンディングを思い起こさせます。
この局面は黒の2ポーンアップですが、手番側がツークツワンクで負けになっています。白番であればキングが動いて黒にプロモーションを許すか、hポーンを動かしてg7のマスを明け渡してしまいます。黒番であればキングが動いて白にプロモーションを許すか、a,cポーンのいずれかを動かして取られてしまいます。面白いのはf7のポーンが邪魔で、黒のキングの動けるマスが制限されていることです。私の試合の変化でも、白のf2のポーンがこれを同じ邪魔な駒になっています。
46... Kxh4
後はテンポを数えてみれば、白にドローを許さないぎりぎりの黒勝ちであることが分かります。上記のクイーンを作り合う変化に比べ、黒は2手分のテンポを稼ぐことに成功しています。47. Ke3 Kg4 48. Kd4 Kf3 49. Kxd5 Kxf2 50. Kc4
50. Kd6からポーンを取りにくるルートを想定していたので、一瞬数え間違えたかと焦りましたが、テンポは同じです。
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