昨日、ブダペストに来て最初の大会が終わりました。最終日となる3日目、私は1勝1ドローでトータル4勝2ドローとなり、タイブレークの結果優勝となりました。これまでIMトーナメントでの優勝はありましたが、ブダペストのオープントーナメントでの優勝は初めてなので、とても嬉しいです。入賞者の皆さん、おめでとうございます!
1st Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2294) 5/6
今大会はリスト1でのスタートなので、優勝は妥当な結果かもしれませんが、リストトップスタートでの優勝が意外と難しいことは日本国内での大会でも常々実感しています。最終戦は今年12歳になる少年が相手でしたが、FM Urhegyiの生徒のようで、5Rまで負けなしの油断できない相手です。彼との最終戦をミスなく指しきれたのは大きな収穫でした。
彼は2RでもCaro-Kannにメインラインを指していたので、ある程度準備をしてきました。Rh1-Re1とc2-c4の組み合わせは少し珍しく、すぐにNg3-Nf5と跳びこむほうが一般的です。15. Nf5 exf5 16. Rxe7 Qd8 17. Re2 Ne4を指してみようと思っていました。
私のこれまでCaro-Kannを指してきた感覚では、ClassicalのメインラインでBd2-Bc3と組むセットアップは、g2-g4-g5のチャンスが薄くなるためあまり黒にとって脅威ではありません。さらにここではb6にクイーンを出していることを利用し、すぐにビショップ交換を持ちかけられます。これによりNg3-Nf5からe7のビショップが狙われることもなくなり、黒は安全にゲームを進められると考えました。
4段目が綺麗に開いたことを利用し、クイーンの横利きで4段目を抑えてしまいます。黒クイーンはg4,f4,e4の好位置を睨み、h5のポーンを落とす具体的な算段も立ちそうです。
d6に跳びこむチャンスの無くなった白のナイトは、d6にポーンを刺して足場を作り、e7に入る以外ありません。そこで早めにルークを6段目に上げておくことでe8で抑え込まれるのを防ぐと同時に、d6のポーンを狙えるようにします。
クイーンを交換するタイミングとマスは少し悩みましたが、c2の位置からであればd1での交換を狙いつつ、次にNf2-Nd1からメイトを狙うこともできます。
36. g3 Nf5がポーン2つを同時に狙うナイトの好位置で、d1でクイーンを交換したポイントとなります。また36. Ne1 h5 37. Nb5 h4 38. Nc3 Nxg2!も狙っていた手です。いずれにせよ白はgポーンを残すことができず、黒はgポーンを落として3コネクテッドパスポーンを作ることができます。
8/26 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Sinoros-Szabo, D (HUN, 2012) 1-0
8/26 R2 Laszlo, C (AFM, HUN, 2063) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 0-1
8/27 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Benedek, I (ROU, 2168) 1-0
8/27 R4 Gaspar, D (HUN, 2041) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 1/2-1/2
8/28 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Szabo, B (FM, HUN, 2230) 1/2-1/2
8/28 R6 Hangay, O (HUN, 2025) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 0-1
小さな大会でしたが、入賞者全員にメダルと優勝者にカップの贈呈がありました。壊さぬよう気を付けて日本に持って帰ります。
1st Place Kojima, Shinya (IM, JPN, 2294) 5/6
2nd Place Benedek, Istvan (ROU, 2168) 5/6
3rd Place Urhegyi, Marton (FM, HUN, 2223) 4.5/6
Welcome Olympiad! U2400 Final Standings
今大会はリスト1でのスタートなので、優勝は妥当な結果かもしれませんが、リストトップスタートでの優勝が意外と難しいことは日本国内での大会でも常々実感しています。最終戦は今年12歳になる少年が相手でしたが、FM Urhegyiの生徒のようで、5Rまで負けなしの油断できない相手です。彼との最終戦をミスなく指しきれたのは大きな収穫でした。
Hangay, O (HUN, 2025) - Kojima, S (IM, JPN, 2294)
Welcome Olympiad! U2400 (6)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6 14. Rhe1 O-O 15. c4!?
彼は2RでもCaro-Kannにメインラインを指していたので、ある程度準備をしてきました。Rh1-Re1とc2-c4の組み合わせは少し珍しく、すぐにNg3-Nf5と跳びこむほうが一般的です。15. Nf5 exf5 16. Rxe7 Qd8 17. Re2 Ne4を指してみようと思っていました。 Welcome Olympiad! U2400 (6)
15... Rad8 16. Bc3 Bb4!
私のこれまでCaro-Kannを指してきた感覚では、ClassicalのメインラインでBd2-Bc3と組むセットアップは、g2-g4-g5のチャンスが薄くなるためあまり黒にとって脅威ではありません。さらにここではb6にクイーンを出していることを利用し、すぐにビショップ交換を持ちかけられます。これによりNg3-Nf5からe7のビショップが狙われることもなくなり、黒は安全にゲームを進められると考えました。
17. Qd2 Bxc3 18. Qxc3 Rfe8 19. Qc2 c5!
2マイナーピースを交換して白のアタックチャンスを十分に削ったうえ、このブレイクからd4を崩せば黒は満足な局面です。ここで彼がd4-d5の押し込みを狙っていることは分かっていましたが、ここまでピースを捌けばf5にナイトが入っても具体的なアタックはなく、白のdポーンは長期的なターゲットになります。20. d5 exd5 21. Rxe8+ Rxe8 22. cxd5 Qb4!
4段目が綺麗に開いたことを利用し、クイーンの横利きで4段目を抑えてしまいます。黒クイーンはg4,f4,e4の好位置を睨み、h5のポーンを落とす具体的な算段も立ちそうです。
23. Nf5 Qf4!?
直接的な23... Qg4もありえますが、d6のマスを抑えることでナイトの跳びこみを防ぎ、f5のナイトを困らせようと考えました。ここで白がh5を守るにはナイトを戻すしかありませんが、たった今ナイトがf5に跳びこんだ以上、その手は心理的に指しづらいでしょう。24. d6 Re6!
d6に跳びこむチャンスの無くなった白のナイトは、d6にポーンを刺して足場を作り、e7に入る以外ありません。そこで早めにルークを6段目に上げておくことでe8で抑え込まれるのを防ぐと同時に、d6のポーンを狙えるようにします。
25. Re1 Rxe1+ 26. Nxe1 Nxh5 27. Nf3 Nhf6
h5ポーンを落としたうえでd6も狙いにいけば、黒は必勝のエンドゲームへと入れるでしょう。白には具体的なプランがないうえ、キングの守りが薄いためにクイーンの強制交換が避けづらい状況です。28. Ne7+ Kf8 29. Qd1 Ne4! 30. Nc8 Nxf2 31. Qf1 Qe4+ 32. Ka1 Qc2
クイーンを交換するタイミングとマスは少し悩みましたが、c2の位置からであればd1での交換を狙いつつ、次にNf2-Nd1からメイトを狙うこともできます。
33. a3 Qd1+!?
クイーンを残したまま白キングを攻めるアイディアが分からず、安全なクイーン交換に踏み切りました。33... Nd1! 34. Qb5 c4! 35. Ne1 Qc1+ 36. Ka2 c3! 37. Nd3 cxb2 38. Qxb2 Qxc8-+と進めて白のナイトを落としても黒勝ちです。34. Qxd1 Nxd1 35. Nxa7 Ne3 36. Ka2
36. g3 Nf5がポーン2つを同時に狙うナイトの好位置で、d1でクイーンを交換したポイントとなります。また36. Ne1 h5 37. Nb5 h4 38. Nc3 Nxg2!も狙っていた手です。いずれにせよ白はgポーンを残すことができず、黒はgポーンを落として3コネクテッドパスポーンを作ることができます。
36... Nxg2 37. b4 cxb4 38. axb4 g5 39. b5 g4 40. Nd4 h5 41. Nf5 h4 42. Nc6 h3 43. Ncd4 Nh4 44. Ng3 f5 45. Ne6+ Kf7 46. Nf4 Kf6 0-1
最後は黒キングの前進に対応できず、白はリザインとなりました。今大会は全体を通し、局面を大きく悪くすることが無かったのが良かったですね。また次のトーナメントもこの調子で頑張り、良い流れでオリンピアード本番に繋げられたらと思います。引き続き応援をよろしくお願いいたします。8/26 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Sinoros-Szabo, D (HUN, 2012) 1-0
8/26 R2 Laszlo, C (AFM, HUN, 2063) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 0-1
8/27 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Benedek, I (ROU, 2168) 1-0
8/27 R4 Gaspar, D (HUN, 2041) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 1/2-1/2
8/28 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2294) - Szabo, B (FM, HUN, 2230) 1/2-1/2
8/28 R6 Hangay, O (HUN, 2025) - Kojima, S (IM, JPN, 2294) 0-1
小さな大会でしたが、入賞者全員にメダルと優勝者にカップの贈呈がありました。壊さぬよう気を付けて日本に持って帰ります。
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