昨夜更新できなかった分の記事です。百傑2日目は14人の連勝同士が上位でぶつかり合い、上位5ボードで決着がつきました。3連勝となった私は、1B で馬場さんと当たる大一番を迎えました。
たまたま先週見つけたラインで、調べてみると黒の感触が良いことが分かり、思い切って指してみることにしました。c6-c5 と早めに突き、ポジションを単純化するのは黒にとって好ましいと私は考えていますが、このポーンブレイクのタイミングは難しいものです。6... c5 に比べると、黒はg6 に下げたビショップがターゲットになりにくいこと、さらには一手待ったことで、白にナイトの位置を決めさせていることがポイントとなります。
ここはビショップのペアをあきらめてでも、まだ展開できないない黒マスビショップでポーンを取りかえすのが正解だと思いましたが、やはり黒マスを弱めるのは好ましくなかったようです。11... Nxc5 12. Nbd4 Nxd4 13. Nxd4 Be7 とするか、いったん11... Be7 と上がっておき、タイミングを見てc5 を取りかえすのが良かったでしょう。
12. Nxc5 Nxc5 13. Be3+/= このポジションは、私と馬場さんが考えている以上に白が指しやすいものでした。
この時点で黒はかなり満足だと感じていました。d7 でピースを交換すれば、黒は単純にダブルビショップをもって有利でしょう。
キャスリングも済み、この辺りからは黒は仕掛けます。まずは白に、ダブルビショップをあきらめるか、ナイトに良い場所への侵入を許すかを迫ります。
19. Rfd1 Qxd4 20. Bxd4 Nf4! 21. Bf1 Rfd8=/+ こう進んでも、黒としては流れをつかめるでしょう。本譜も当然白マスビショップをもらい、黒は満足です。
指した直後に、20... Qxd4 21. Nxd4 Rfc8!=/+ これで黒が良くなるころに気付きました。ポイントはf8 のマスを空けたため、Nd4-Nc6 に対してビショップを退けるようにしていることです。
私は試合後に、ここですぐにクイーンが入るほうが良いと指摘しました。24. Qh5 Bxg5 25. Qxg5 Qxg5 26. Bxg5 h6! (私の見落としていたアイディアで、バックランクメイトを消すことで、ルークをcファイルでぶつける強制交換を防ぎます。) 27. Be3 Rc2=/+ これでも黒はわずかに良さそうですが、クイーンでのアタックに頼るよりも、異色ビショップで耐えるべきだと私は思います。
27. b3 は全く予想していませんでしたが、e5 をターゲットにできるよう、c3 でルークを交換すれば問題ないでしょう。
29... Qxe5? 30. Qxf7!+/= これは逆転で白優勢になるため、黒はこの一手です。c1 のルークを取ってチェックするアイディアを残し、Qxf7 を防ぐと同時に、a2 のポーンを狙っておきます。
この手も大事なアイディアで、こうしてf7 を守っておけば、a2 とe5 のダブルアタックに白は対処できなくなります。この試合で初めて、黒ははっきりと駒得となり、勝ちがぼんやりと見えてきました。しかし、まだまだ先は長いです!
クイーンを交換するのが安全策かと思っていましたが、すでにキングサイドから退いた白クイーンは、黒にとって脅威ではありません。クイーン交換は、異色ビショップでもh4,e5,b4 をしっかり狙えると思った末の判断でしたが、単に33... Rc2 と入るか、33... a5 ぐらいでもっと楽に勝てたでしょう。
ここでルーク交換をしても、異色ビショップのエンドゲームは勝てません。黒が勝つためにはルークを残し、白の伸びすぎたポーンを狙ってチャンスを作るしかありません。
Bd5-Bc4-Bf1 を狙えば勝ちだと思っていた私は、この手に少し戸惑いました。f7 が狙われている黒は、意外と対処に困ります。
これで私ははっきり勝つチャンスがきたと思いました。嫌だったのはキングで取る手で、50. Kxg4 Rg2+ 51. Kh3 Rg1 と進んだ際、黒がまだ有利なのは確かでも、勝てるかどうかは分かりませんでした。馬場さんはポーンの形を重視しましたが、キングをアクティブにするのが正しい判断です。
こうして白キングを2段目に下げさせておき、その後で伸びたポーンを狙います。これを崩し、黒キングが上がれば、いよいよ具体的な勝利が見えてきます。
白キングを2段目に留めた黒は、自分のキングを上げてポーンを取り、パスポーンもgファイルに残しています。あとはこれをビショップ、ルーク、キングでフォローしながら進め、プロモーションを目指します。
少し迷いましたが、確実にb5 を守っておき、余計な反撃を与えないことにします。
あとはポーンで黒マス、ビショップで白マスを抑えれば、白はプロモーションを止めることができません。
このタフなゲームを勝ち、単独4連勝までは良かったのですが、最終日の2戦で崩れてしまいました... 今日の試合についての記事は、また明日更新しようと思います。
Baba, M - Kojima, S
Hyakketsu 2017 (4)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Ne7 6. O-O Bg6!? 7. Nbd2 c5!?
Hyakketsu 2017 (4)
たまたま先週見つけたラインで、調べてみると黒の感触が良いことが分かり、思い切って指してみることにしました。c6-c5 と早めに突き、ポジションを単純化するのは黒にとって好ましいと私は考えていますが、このポーンブレイクのタイミングは難しいものです。6... c5 に比べると、黒はg6 に下げたビショップがターゲットになりにくいこと、さらには一手待ったことで、白にナイトの位置を決めさせていることがポイントとなります。
8. dxc5 Nec6 9. Nb3 Nd7 10. c4 dxc4 11. Bxc4 Bxc5?!
ここはビショップのペアをあきらめてでも、まだ展開できないない黒マスビショップでポーンを取りかえすのが正解だと思いましたが、やはり黒マスを弱めるのは好ましくなかったようです。11... Nxc5 12. Nbd4 Nxd4 13. Nxd4 Be7 とするか、いったん11... Be7 と上がっておき、タイミングを見てc5 を取りかえすのが良かったでしょう。
12. Bb5?!
12. Nxc5 Nxc5 13. Be3+/= このポジションは、私と馬場さんが考えている以上に白が指しやすいものでした。
12... Be7! 13. Nbd4 Nxd4 14. Qxd4 a6
この時点で黒はかなり満足だと感じていました。d7 でピースを交換すれば、黒は単純にダブルビショップをもって有利でしょう。
15. Ba4 b5 16. Bd1 Nc5 17. Be3 O-O 18. Be2 Nd3!
キャスリングも済み、この辺りからは黒は仕掛けます。まずは白に、ダブルビショップをあきらめるか、ナイトに良い場所への侵入を許すかを迫ります。
19. Bxd3
19. Rfd1 Qxd4 20. Bxd4 Nf4! 21. Bf1 Rfd8=/+ こう進んでも、黒としては流れをつかめるでしょう。本譜も当然白マスビショップをもらい、黒は満足です。
19... Bxd3 20. Rfc1 Bc4
指した直後に、20... Qxd4 21. Nxd4 Rfc8!=/+ これで黒が良くなるころに気付きました。ポイントはf8 のマスを空けたため、Nd4-Nc6 に対してビショップを退けるようにしていることです。
21. Qg4 Kh8 22. Rd1 Bd5 23. Ng5 Rc8 24. Rd3
私は試合後に、ここですぐにクイーンが入るほうが良いと指摘しました。24. Qh5 Bxg5 25. Qxg5 Qxg5 26. Bxg5 h6! (私の見落としていたアイディアで、バックランクメイトを消すことで、ルークをcファイルでぶつける強制交換を防ぎます。) 27. Be3 Rc2=/+ これでも黒はわずかに良さそうですが、クイーンでのアタックに頼るよりも、異色ビショップで耐えるべきだと私は思います。
24... Rc4 25. Qh5 Bxg5 26. Bxg5 Qc7 27. b3 Rc3
27. b3 は全く予想していませんでしたが、e5 をターゲットにできるよう、c3 でルークを交換すれば問題ないでしょう。
28. Rxc3 Qxc3 29. Rc1 Qb2!
29... Qxe5? 30. Qxf7!+/= これは逆転で白優勢になるため、黒はこの一手です。c1 のルークを取ってチェックするアイディアを残し、Qxf7 を防ぐと同時に、a2 のポーンを狙っておきます。
30. h4 Kg8!
この手も大事なアイディアで、こうしてf7 を守っておけば、a2 とe5 のダブルアタックに白は対処できなくなります。この試合で初めて、黒ははっきりと駒得となり、勝ちがぼんやりと見えてきました。しかし、まだまだ先は長いです!
31. Re1 Qxa2 32. Re3 Rc8 33. Qd1 Qc2?!
クイーンを交換するのが安全策かと思っていましたが、すでにキングサイドから退いた白クイーンは、黒にとって脅威ではありません。クイーン交換は、異色ビショップでもh4,e5,b4 をしっかり狙えると思った末の判断でしたが、単に33... Rc2 と入るか、33... a5 ぐらいでもっと楽に勝てたでしょう。
34. Qxc2 Rxc2 35. b4 h6 36. Be7 Rc7 37. Bd6 Rc4 38. Ra3 Bb7 39. Be7 Re4 40. Re3 Rc4
ここでルーク交換をしても、異色ビショップのエンドゲームは勝てません。黒が勝つためにはルークを残し、白の伸びすぎたポーンを狙ってチャンスを作るしかありません。
41. f3 h5 42. Rd3 Kh7 43. Rd7 Bd5 44. Ra7 Rc1+ 45. Kh2 Rc2 46. Kh3 Ra2 47. Bd8 Kg6 48. Ba5 Bc4 49. g4
Bd5-Bc4-Bf1 を狙えば勝ちだと思っていた私は、この手に少し戸惑いました。f7 が狙われている黒は、意外と対処に困ります。
49... hxg4+ 50. fxg4?!
これで私ははっきり勝つチャンスがきたと思いました。嫌だったのはキングで取る手で、50. Kxg4 Rg2+ 51. Kh3 Rg1 と進んだ際、黒がまだ有利なのは確かでも、勝てるかどうかは分かりませんでした。馬場さんはポーンの形を重視しましたが、キングをアクティブにするのが正しい判断です。
50... Ra3+! 51. Kh2 Be2
こうして白キングを2段目に下げさせておき、その後で伸びたポーンを狙います。これを崩し、黒キングが上がれば、いよいよ具体的な勝利が見えてきます。
52. h5+ Kh7 53. Rxf7 Bxg4 54. Ra7 Kh6 55. Rxa6 Kxh5
白キングを2段目に留めた黒は、自分のキングを上げてポーンを取り、パスポーンもgファイルに残しています。あとはこれをビショップ、ルーク、キングでフォローしながら進め、プロモーションを目指します。
56. Ra7 g5 57. Rh7+ Kg6 58. Rb7 Be2-+
少し迷いましたが、確実にb5 を守っておき、余計な反撃を与えないことにします。
59. Bd8 g4 60. Bf6 Kf5 61. Rf7 Ke4 62. Bg7 Rh3+
あとはポーンで黒マス、ビショップで白マスを抑えれば、白はプロモーションを止めることができません。
63. Kg2 Bf3+ 64. Kf2 g3+ 65. Ke1 Rh1+ 66. Kd2 g2 0-1
このタフなゲームを勝ち、単独4連勝までは良かったのですが、最終日の2戦で崩れてしまいました... 今日の試合についての記事は、また明日更新しようと思います。
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