百傑戦3日目のレポートです。土日祝日の3日間で行われた百傑戦は、いくつかの最終ラウンドの波乱とともに幕を閉じました。1,2B で勝ちを収めた、山田くんと小林くんが5.5/6 でトップで並び、タイブレークで山田くんの優勝が決まりました。入賞した皆さん、おめでとうございます!
1st Place Yamada Kohei 5.5/6
2nd Place Kobayashi Atsuhiko 5.5/6
3rd Place Aoshima Mirai 5/6
4th Place Kanyamarala Tarun 5/6
5th Place Sakai Enju 5/6
2nd Place Kobayashi Atsuhiko 5.5/6
3rd Place Aoshima Mirai 5/6
4th Place Kanyamarala Tarun 5/6
5th Place Sakai Enju 5/6
私は最終日、青嶋くんにドロー、小林くんに痛恨の負けで6位タイに終わりました。2日目まで単独4連勝だっただけに、入賞すら逃すとは少しショックです。この日の2試合は途中のポジションから簡単に振り返ろうと思います。
マテリアルはイコールですが、白のポーンは完全にバラバラです。ドローに持ち込むべく、必死にディフェンスを考えます。
32. Bxe2
ビショップ交換を避けてもじり貧だと考えた私は、ルークエンディングにドローのチャンスを託します。cファイルにできているパスポーンをいかに使うかがカギとなりそうです。
32... Rxe2 33. c4 Kg6
青嶋くんはe4 のポーンを回収する前にキングのポジションを改善しておきます。単純にe4 を取る手は、白キングに早く上がるチャンスを与えてしまうでしょう。33... Rxe4 34. Kf2 f5 35. Rc8 Kf6 36. c5 Rc4 37. c6 Ke5 38. Ke3 Rc3+ 39. Kf2 Kd5 40. c7 Ke5 41. Kg2 Kd6 42. Rd8+ Kxc7 43. Rh8 Kd6 44. Rxh7 e5 45. Rh5 Ke6 46. Rh8 e4 47. Kf2 Rf3+ 48. Kg2 Ke5 49. Ra8 これでも簡単ではないですが、白は広い側からの横のチェックを使って反撃をし、黒キングのプレーを妨害してドローのチャンスがありそうです。
34. Rc7 h5 35. c5 Rxe4 36. Kf2 h4 37. gxh4 Rxh4
ここまでは黒の作戦通りで、白のgポーンと黒のhポーンを交換しておくことで、黒は2コネクテッドパスポーンを作ることに成功しました。試合中、これは負けそうだと思っていましたが、なんとか粘ります。
38. Ke3 Kf6 39. Kd3
まずはキングがクイーンサイドに走ります。これで黒のルークがパスポーンの後ろに回りづらくなると同時に、キングがポーンの前進をサポートできます。
39... e5 40. Rd7!
試合中は必死でしたが、振り返ればとても重要な一手です。パスポーンをブロックしているルークを別ファイルに切り替えると同時に、黒キングをポーンに寄れないようにします。
40... Ke6 41. Rd6+ Ke7 42. Rd5 f6 43. c6 Rh3+?!
青嶋くんは基本通りに、ルークをパスポーンの後ろに回そうとしますが、ここでは白キングが前進するのを手助けしてしまいます。おそらく白にとって最も難しいのは、43... Rh8 44. Rd7+ Ke6 45. Kc4 f5 46. Kc5 e4 47. Kd4 Rh1 48. Rg7 Rd1+ 49. Ke3 Rd3+ 50. Ke2 Rc3 51. c7 f4 52. Kd2 Rc5 53. Rg4 Kf5 54. Rg7 と進むような変化だっとた思います。これならばなんとかドローにできそうですが、途中で間違えず指せるかは自信がありません。
44. Kc4 Rh1 45. Kb5 Rc1 46. Kb6 e4 47. c7 e3 48. Rd3
こうして黒のパスポーンを攻撃できたことで、黒に完全に勝ちがなくなったことを理解しました。
48... e2 49. Re3+ Kd7 50. Rd3+ Ke7 51. Re3+ Kd7 1/2-1/2
このドローで4.5/5 が3人並び、優勝をかけて上位ボードでぶつかります。私は小林くんに黒を引きました。
隣のボードのAlex - 山田の試合は形勢判断が難しかったですが、おとなしくドローにはなりそうもなかったため、優勝のために勝負を仕掛けます。
28... Rxa3!? 29. Rxa3 c4 30. Rda1 c3
黒はエクスチェンジを捨て、cファイルに作ったパスポーンで戦います。これをb4 のナイトとそれを守るビショップは安定しており、パスポーンを止めるために白のピースは自由には動けません。代償は十分あると思いましたが、プロモーションを確定させるのは一苦労です。
31. Ra7 Qb8?!
クイーンを逃がす位置をどこにするか迷った末、a7 のルークにアタックの続くb8 を選びました。しかし、冷静に見ればcファイルをキープし、e3 のポーンにもプレッシャーのあるc5 がベターかもしれません。
32. Bh3 c2 33. Qd2 h6 34. Qc3
このクイーンの動きは私が予想していないものでした。白はしっかりとクイーンでパスポーンを止め、ルークを動きやすくしておきます。
34... Bc5 35. Kf1 Qd6!
動き出した白のキングを、黒はクイーンで追いかけることにします。h3 の浮いているビショップでも、e3 のポーンでも、黒は狙えれば手が作れそうです。
36. Ke2 Qf6 37. Rf1 Qg5 38. Rfxf7 Qh5+ 39. g4 Qxh3??
クイーンをキングサイドへ振る構想は正しかったものの、時間切迫でメイトを見落としてゲームはあっけない幕切れを迎えました。ビショップではなくルークを取る変化は読み切れず、自信がなかったのですが、そちらが正解です。39... Qxf7! 40. Rxf7 Kxf7 41. g5 hxg5! (検討ではe5 を取られるとメイトになりそうなので、このポーンは取れないという判断でしたが、それは大きな間違いでした!) 42. Be6+ (42. Qxe5?? c1=Q! 43. Be6+ Ke8-+ これで続く攻撃はありません。) 42... Kf6-/+ これでe5 のポーンを守れば黒が有利だというのがコンピュータの評価です。検討ではg5 が取れることを完全に見落としていました。
40. Rxg7+ Kf8 41. Raf7+ 1-0
e5 をクイーンで取られた際にチェックがかかることが見えておらず、メイトに気付きませんでした。勝負に出たエクスチェンジサクリファイスから、面白いポジションを築けただけに、こうして読み抜けでのあっけない終わり方は残念です。それでも大会全体を通して収穫はありましたので、また5月の全日本選手権でそれを活かせればと思います。
百傑に参加された皆さん、3日間お疲れ様でした。また次のトーナメントでお会いしましょう。
2 件のコメント:
参加者が77人で6ラウンドだと 2の6乗は64なので
ラウンド数が足りてない気がしますが良いのかしら
▽o・~・o▽
そうですね。入賞者同士では青嶋 - 山田戦以外の直接対決はありませんでした。全日本選手権はラウンド数が倍近いので、そうした問題もないでしょう。
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