ジャパンリーグ最終戦、私はTuさんから公式戦初勝利を挙げ、優勝を決めました。2B のAlex-Simon はドローとなり、6/7 での単独優勝でした。振り返ってみれば、2015年のジャパンリーグ以来、東京でのメジャートーナメントの優勝はこれが丸3年ぶりのことで、本当に嬉しいです! 応援してくださった皆さん、ありがとうございます。
1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2408) 6/7
2nd Place Averbukh Aleander (CM, JPN, 2101) 5.5/7
3rd Place Simon Bibby (FM, JPN, 2171) 5.5/7
Japan League 2018 Final Standings
2nd Place Averbukh Aleander (CM, JPN, 2101) 5.5/7
3rd Place Simon Bibby (FM, JPN, 2171) 5.5/7
Japan League 2018 Final Standings
最終戦のTuさんとのゲームは、序盤での彼の構想がおかしく、早い段階で優勢になりましたが、彼の負けまいという粘りのプレーに、なかなか最後まで気の抜けない展開が続きました。
Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Tran, T T (CM, VIE, 2352)
Japan League 2018 (7)
1. Nf3 d6 2. d4 Nc6 3. g3 g6 4. Bg2 Bg7 5. c4 Nf6 6. O-O O-O 7. Nc3 Nd7!? 8. h3!?
Japan League 2018 (7)
こうした手順からKing's Indian になることは、ある程度予想はしていました。ナイトを退かれる手は意外でしたが、これにはe7-e5 をじっと待ち、面白いアイディアを仕掛けようと画策します。
8... e5 9. Bg5! f6 10. Be3 h6?
前日のScott戦でもそうでしたが、g5 のマスを抑えたいのは理解できますが、fポーンとhポーンを両方動かしてしまえば、gポーンが極端に弱くなってしまいます。それを十分に補うアイディアなく、軽率にポーンを進めてはいけません。
11. dxe5!
展開の早い白は局面を開きます。白マスビショップも通っており、d5 のマスを綺麗に抑えている白は、すでに大きなポジショナルアドバンテージがあります。
11... fxe5?
ここは11... Ndxe5 12. Nxe5 Nxe5 13. c5 と進むだろうと予想していました。これでも白は展開の早さを活かして優勢です。
12. Nh4! Rf6 13. Nd5 g5!?
g6 を守り切るのが難しい黒は、思い切ってエクスチェンジを捨ててきました。13... Re6 14. Qc2 Nf8 15. Rfd1+/- であればg6 のポーンはすぐには落ちませんが、代わりにルークのがひどいポジションです。
14. Nxf6+ Qxf6 15. Nf3 Nd4 16. Bxd4!?
ここは悩むところですが、ビショップのペアを諦めてナイトを取り除きます。駒得し、展開の依然早い白はピース交換を進めながら、ルークが活きる展開を目指します。
16... exd4 17. Qd2 Nb6 18. b3 c5 19. Rad1 Bd7 20. Nh2!?
最初はe2-e3 とセンターを開きにいくつもりでしたが、g5-g4 があることに気付き、作戦変更です。ナイトを組み替えてNh2-Ng4 を狙いつつ、もう1つの大きな方針に踏み込むか検討します。
20... Bc6 21. Bxc6 bxc6 22. f4!
e2,e3 を弱めますが、ルークを持つ白はその力を最大限に発揮できるよう、オープンファイルを作りにいきます。キングの守りは気になりますが、g4 のマスでナイトが安定することも踏まえれば、十分に仕掛ける価値はあると判断しました。
22... Re8 23. Ng4 Qe7 24. fxg5 hxg5 25. Rf2
少し迷いましたが、一度e2 を守っておき、fファイルのダブルルークで攻撃チャンスを作りにいきます。
25... d5 26. Rdf1 dxc4 27. Rf7 Qxf7
Tuさんはすぐにクイーンを諦めましたが、もう1つの変化はどうなのかと試合中は悩んでいました。27... Qd6 28. Rxg7+!! Kxg7 29. Qxg5+ Qg6 30. Qxc5!+- この手が絶妙で、黒はd4 を取られてチェックからの攻撃に上手く対処する方法がありません。ルークを捨てる変化は頭にありながら、読み切るのにもう一歩というところで、試合中に指せたかは自信がありません。
28. Rxf7 Kxf7 29. bxc4 Nxc4 30. Qxg5 Rxe2
駒がずいぶん捌け、あまり経験のない駒割のエンドゲームになりました。キングサイドに2コネクテッドパスポーンはありますが、まずは黒のポーンを取りにいき、リスクを抑えるのが正しい作戦でしょう。
31. Qxc5 Ne5 32. Nxe5+ Rxe5 33. Qxc6 Re3 34. Kf2!
g3 を守るだけでなく、dポーンのブロックにキングを使います。メイトの危険さえなければ、白キングは積極的にセンターで使うべきです。
34... Bf6 35. a4 Ke7 36. a5
最初はhポーンを伸ばすつもりでしたが、ビショップが抑えているh8 でのプロモーションよりも、aポーンをつかうほうが賢いことに気が付きました。a7 はいつでも取れるため、先にポーンを伸ばして黒にプレッシャーをかけます。
36... Be5 37. Qc5+ Ke6 38. Qxa7 Ra3 39. a6
黒のルークは後ろに回りましたが、ビショップがa7 を抑える方法がないため、白のパスポーンは止められません。パペチュアルチェックもメイトの危険もないことはきちんと読み、ようやくしっかりと勝ちを意識しました。
39... Ra2+ 40. Kf3 Ra3+ 41. Ke2 Ra2+ 42. Kd1 d3 43. Qb6+ Kf5 44. a7 1-0
今大会、中村くんに初負けを喫してレイティング大幅マイナスかと思われましたが、Tuさんからの初勝利でレイティングを取り戻し、6勝1敗で変動は+-0です。オリンピアード前に少し上げておきたいところでしたが、下がらなかっただけでもOKとしましょう。2408 のままオリンピアードではプレーすることになりそうです。
そしてオリンピアードから帰国せずにハンガリーに向かう私にとって、おそらく今回が年内最後の国内公式戦になると思います。そんな大会を久々の優勝で飾れたので、喜びもひとしおです。公式戦ではなくとも、残り1か月のなんらかのチェスイベント、もしくは年明け以降の大会で皆さんまたお会いしましょう!
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