2024/10/22

新刊『チェスが強くなる人の本』発売のお知らせ

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10/22に私の新刊『チェスが強くなる人の本』 が、つちや書店から発売となりました。以前、同じつちや書店(旧土屋書店) から出版された『マンガで覚える図解チェスの基本』 や『チェスを初めてやる人の本』 は、監修という立場で関わらせていただきましたが、今度の新刊は私が著者です。すでに書店で手に入れた、またはオンラインで注文して手元に届いたという声も聞こえていますので、多くのかたに手にとっていただき、感想をいただけることを楽しみにしております。

本書は毎ページ一問一答形式になっており、クイズのように楽しみながらチェスの様々な理論を学べるようになっています。問題は次の手を当てるものから、どのように局面を捉えるかを考えるものまで様々です。冒頭は簡単な内容だと思われる問題も多そうですが、すでに分かっているつもりの知識も、知らない局面や視点から理解を深められる可能性があります。ルールを覚えた先のステップアップとして、本書をお役立ていただけると嬉しいです。

2024/10/21

2nd Matsumoto Open Day2

週末の土日で開催された松本オープンは無事に2日間の日程を終えました。優勝は米満くんで、初日こそ0.5Pを落としたものの、2日目に私を含めて3人に勝ち、単独1位を決めました。私は直接対決の黒星が響き、残り4戦は勝ちましたが2位でのフィニッシュです。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Yonemitsu Kohei 4.5/5
2nd Place Kojima Shinya 4/5
3rd Place Moriyasu Yuichiro 3/5

2nd Matsumoto Open Final Standings


米満くんとの試合はかなり有利になったはずでしたが、上手く活かす作戦が分からずに無駄にポーンを捨ててしまい、その後も落ち着けばドローのエンドゲームだったはずですが、自分から崩れてしまいました。今夜は4Rの木村くんとの試合をご紹介します。

Kimura, R - Kojima, S
2nd Matsumoto Open (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Bd6!?

この12... Bd612... Be7と並んで得意とする手ですが、ここ数年はあまり指していませんでした。

13. Kb1 Bxg3!?


13... Qc7からクイーンサイドにキャスリングするのが古いラインですが、ナイトとビショップを交換してゲームを難しくするのは、ジョージアのGM Levan Pantsulaiaが成功しているアイディアです。

14. fxg3 O-O 15. Rh4!? c5

Caro-Kann Classicalにおいてポピュラーなポーンブレイクですが、Pantsulaia自身も指していますが、ここは違う工夫もありました。15... Re8! 16. g4 e5!ならば、黒はeファイルを開くのとe5-e4のポーンフォーク狙いで十分な反撃を作れます。g3のナイトを消したことで、Ng3-Nf5の跳びこみを気にしなくても良いのは盲点でした。

16. g4 Nh7 17. g5!


g4-g5の押し込みを警戒してナイトをパッシブなh7に退きましたが、お構いなしにポーンを突くのが良い判断です。g4にポーンが残るようであれば、h4のルークの位置があまり良くありません。

17... hxg5


2013年のGrischukのゲーム解説でナイトでポーンを取る手を見つけましたが、17... Nxg5? 18. Nxg5 hxg5 19. Rhh1!+-が解説にない白の好手で、次のh5-h6押し込みが強烈です。

18. Rg4 f6 19. h6 Rf7 20. Rh1?!

この手は直接的すぎてあまり怖くないと感じたことを、試合後に木村くんにも伝えました。白はポーンを捨てている分、黒キングへのダイレクトなアタックを求めてしまいそうですが、ナイトがh7に退いていることでセンターへの利きが薄くなっていること、f7-f6を突かせたことでe6のポーンが弱いことなどを利用するアイディアを探すべきです。ここは20. hxg7! Rxg7 21. Qc4!がe6とc5を攻める良い手です。hファイルからの攻撃のみでは単調になってしまうため、センターでの攻撃も絡めたほうが黒への揺さぶりとして効果的でした。

20... Ndf8! 21. Bxg5?


ナイトがe5のマスを一時的に得ますが、それだけでビショップを捨てる代償があるとは考えられません。ここは一度ポーン交換をしてhファイルを開く、クイーンをe2に退くなどの手でじっとチャンスを待つべきでした。

21... fxg5 22. Ne5 Rf5! 23. hxg7 Kxg7 24. Qh3 Qf6!-+

h6のマスを受けつつ、f1でのバックランクメイトの反撃を作れば、白は受けに1手使わざるをえないためアタックの勢いが削がれます。後は駒交換を進め、勝ちのエンドゲームを目指すのみです。

25. a3 Rd8 26. Nf3 cxd4 27. Rd1 Rf4 28. Rxf4 Qxf4 29. g4 e5 30. Rf1 d3 31. cxd3 Rxd3


最後に始動したa8のルークもアタックに参加でき、黒は気になる点をすべて解消できました。

32. Qg2 Nf6 33. Qe2 Qe4 34. Qxe4 Nxe4 35. Kc2 Re3 36. Nxe5 Nd6 37. Nd3 Ne6 38. Rf2 Ne4 39. Rg2 Nd4+ 0-1

最後はd3のナイトを落として勝ちです。米満くんに負けた直後で、この試合も途中は悪いと思っていたので、こうして勝つことができて一安心でした。今年3回目の松本遠征も楽しませてもらいました。また次回がいつになるか分かりませんが、次の機会も楽しみにしています。
中町通りにある田七屋は6月に見つけた八百屋さんで、自社で育てている野菜と果物、そしてそれらを使った食品を中心に販売しています。これまでジェラートばかりいただきてきましたが、今大会2日目は急激に寒くなったため、少し珍しいホットりんごジュースをいただきました。
今回の滞在では季節柄、ぶどうをたくさんいただきました。お土産に選んだのは世界で一番美味しい(!?)ナガノパープルと、シナノスマイルです。ぶどうの季節ももう少しで終わりですが、チャンスがあればいくつかの品種を集め、食べ比べもしてみたいですね。

2024/10/19

2nd Matsumoto Open Day1

この週末、松本では4か月ぶりに松本オープンが開催されています。私はこの大会に参加するため、少し早めに木曜日から松本を訪れています。紅葉のシーズンに入りつつある10月後半は宿泊先が埋まりやすく、参加を断念したプレーヤーもいたとのことですが、それでも12名のプレーヤーが集まり、この土日の試合に臨んでいます。

私は前大会と同様に初戦は森安くんに黒で勝ち。続く2Rでは神田さんに白を引きました。今夜はこちらのゲームをご紹介します。

Kojima, S - Kanda, D
2nd Matsumoto Open (2)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 O-O 7. O-O c5 8. e4 Nb6?!

Grunfeldのこちらの変化では8... Nf6 9. e5 Nd5 10. dxc5 Na6のように指し、d5にナイトを戻した後にもう1つのナイトでc5を取り返しにいくのがポピュラーです。本譜はc5を取り返すのにナイトで手数をかけすぎており、クイーンサイドの展開の遅れが気になります。

9. dxc5 N6d7 10. Nc3 Bxc3?!


アウトポストになるc5のナイトに期待しますが、黒マスビショップを手放すリスクのほうが大きいでしょう。10... Nxc5 11. Be3で白が有利だと思いますが、ピースの展開の早さをしっかり活かすプランを考えなければいけません。

11. bxc3 Nxc5 12. Bh6 Qxd1 13. Rfxd1 Re8 14. Nd4 Bd7 15. Rab1 Nba6 16. e5 Rab8 17. e6!?

すぐにポーン交換せずにゆっくり進めても良かったのですが、ポーンを取り合い早めにg2の白マスビショップが活きやすい展開を目指します。

17... Bxe6?!


白マスビショップを手放し、白にダブルビショップを与える理由がありません。17... Nxe6 18. Rxb7 Rxb7 19. Bxb7 Nac5 20. Bf3+/=で白が指しやすいと考えていましたが、もちろん勝負はまだこれからです。

18. Nxe6 Nxe6 19. Bxb7 Nac5 20. Bd5 Rb6 21. Be3 Reb8 22. Rxb6 axb6 23. Rb1 Na4 24. Rb3 Nec5 25. Ra3 b5 26. Bc6 b4? 27. cxb4

本譜のように単にポーンを捌いてもダブルビショップの強さが光りますが、2ピースを取っても良かったです。27. Rxa4! Nxa4 28. Bxa4 bxc3 29. Bb3 Rc8 30. Bc2 Rb8 31. Bc1!+- このb2を受ける手を見落としました。

27... Rxb4 28. Kg2 Rc4?! 29. Bh6!


再びh6にビショップを戻す手が強く、黒はキングを使うことができません。1手早くKg8-Kg7と上がっておくべきでした。

29... e6 30. Be8 e5 31. h4 e4 32. Kf1

白はゆっくりやっても勝てそうですが、このタイミングと1手前にRa3-Rb3!がありました。黒がナイトでルークを取ると、ポーンで取り返してフォークとなります。

32... Rb4 33. Bc6 Rd4 34. Be3 Rc4 35. Bd5 Rb4 36. Bh6 Rd4 37. Bc6 Rc4 38. Kg2 Rb4 39. g4!


キングとビショップが右往左往しましたが、ようやく勝つための明確なアイディアを見つけました。h5までポーンを進め、Ra3-Rh3のように活用すれば、a3のルークが働けるようになって白勝勢です。

39... f6 40. Bd5+ Kh8 41. h5 e3 42. Rxe3 1-0

バックランクメイトがあるため、g4を取ることはできず、e4-e3は不発に終わります。初日連勝は私だけですが、油断せず2日目もしっかり指し続けたいですね。2日目もよろしくお願いいたします。

2nd Matsumoto Open R3 Pairings

試合前日の金曜日は上高地に連れていっていただきました。休憩も入れてゆっくり6時間近く、素晴らしい山と水辺の景観を楽しませていただきました。新宿から直通バスも出ていますので、紅葉が終わらぬうちにぜひいらしてください。

2024/10/11

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第35回予告

10月のチェス講座告知です。9月はオリンピアードのためにお休みさせていただいたため、2か月ぶりの講座となります。今月のYouTubeでの講座は今週末、10/13(日) 20時からスタートです。

10月のYouTubeの講座テーマは『ブダペストオリンピアード』です。ハンガリーの首都、ブダペストで開催されたオリンピアードが閉幕し、3週間ほど経ちました。チェス連盟の応援配信では日本チームのゲームをたくさんご覧いただき、多くの応援のメッセージもありがとうございました。今回の講座では日本チーム以外の各国のトップのゲームの中で面白かったものをピックアップし、タクティクスやエンドゲームまで幅広くご紹介できればと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第35回『ブダペストオリンピアード』|2024.10.13

2024/09/30

Japan Team Chess Champiosnhip 2024 Day2

1日遅れですが、チーム選手権2日目の記事です。2日目はR5でリストトップのL’espoirとの直接対決がありましたが、私と黒星により3-1でマッチに負けたため、私たち麻布OBチームは準優勝で終わりました。2年連続の優勝とはなりませんでしたが、ハンガリー遠征から続くハードなスケジュールの中で十分な内容のプレーはできたと思います。各クラス、入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place L’espoir 12/12
2nd Place Azabu Chess Club OB 10/12
3rd Place Todai Chess Circle A 10/12
4th Place Chiba Chess Club A 9/12
5th Place 8x8 Blunders 9/12

Japan Team Chess Championship 2024 Final Standings


今夜はR6のエンドゲームをご紹介します。Keio OBとは昨年も最終戦で対戦しました。昨年は1Bで古谷くんとの対戦でしたが、今年は2Bで松本くんとの対戦です。持ち時間の短いゲームでは正確に指すのが難しいポジションになりました。
Matsumoto,Y - Kojima,S
Japan Team Chess Champiosnhip 2024 (6)
Position after 36... Rxd6

黒はなんとかポーンアップしましたが、ポーンの形が悪く、d5のパスポーンも止めていなければいけないため、勝つのは簡単ではありません。

37. Kh2 Kf7 38. Kg3 Kf6 39. Kf4 h5! 40. g4?


g2-g4からのブレイクは最も警戒していましたが、黒にも2コネクテッドパスポーンができるため、実際にはさほど有効ではなかったようです。40. g3! b5 41. Rd2=と進んだ場合、互いに局面を進展させるのは難しそうです。黒はc5-c4から仕掛けたいところですが、ポーンを取り合った際にf6のキングにルークで揺さぶりをかけられ、f5を取られると危険です。

40... hxg4 41. hxg4 fxg4 42. Kxe4 Kg5?

白キングがe5に侵入することを許してでも、逆にf4のマスを抑えてg,hファイルの2コネクテッドパスポーンで勝負すべきだと読み、時間の無い中ほとんどノータイムでこの手を指しました。しかしこれが誤った判断で、実際にはルークでポーンのサポート、キングで相手ポーンのブロックに切り替えることで黒勝勢でした。42... h5! 43. Kf4 Ke7! 44. e4 Rg6! 45. e5 g3-+

43. Ke5! Rd8 44. d6 h5 45. Ke6?


42手目を指した段階では、私も白はこうしてキングで黒ルークを追いかけてくると読んでいましたが、実際にこの局面まで進んでみると後々白キングがeポーン前進の邪魔をしてしまい、ポーンを進め合うレースで白が不利になることが分かりました。白の正しい作戦はキングをd5に寄せ、eポーンの進路を開けることです。45. Kd5! h4 46. e4 g3 47. e5 g2 48. e6 Kf6! 49. e7 Rh8 50. Re1 Rh5+! 51. Kc4 Re5!!
Analysis Diagram

52. Rxe5 g1=Q 53. Re6+! Kxe6 54. e8=Q+ Kxd6 55. Qf8+ Kc6 56. Qf6+ こうしてクイーンを作り合えば、白はポーンが足りずともパペチュアルチェックでドローでした。この変化はどちらにも指さなければ負けというオンリームーブが多く、どちらかが間違えて決着がついてもおかしくなかったでしょう。

45... g3 46. Ke7 Rh8 47. Rd5+ Kg4 48. d7 g2


ここまでくれば黒のプロモーションのほうが早く、黒勝ちであることが分かりやすかったです。白はeポーンを使おうとしなかったのが裏目に出ましたね。

49. Rd6 Rh7+ 50. Ke8 Rh8+ 51. Ke7 h4 52. Rg6+ Kf3 53. Rf6+ Kxe3 54. Rf8 Rh7+ 55. Rf7 Rh8 56. Rf8 Rxf8 57. Kxf8 g1=Q 58. d8=Q Qf2+ 59. Kg7 Ke2 60. Qe7+ Kf1 0-1

最後は先にクイーンを作り、キングを安全な位置まで潜り込ませれば黒勝ちです。マッチは3-1で勝ちましたが、優勝には1歩届かずに残念です。来年のチーム構成は未定ですが、参加するのであれば優勝を目指したいですね。参加者の皆さんもですが、250名近い参加者の対応をされた運営の皆さん、いつもありがとうございます。また次の大会でもよろしくお願いいたします。

2024/09/28

Japan Team Chess Champiosnhip 2024 Day1

今日から2日間は全日本チームチェス選手権に参加します。昨年は大阪チームのトップボードで参加し、チームを優勝に導きましたが、今年は麻布の同期4人と組んで麻布OBチームでの出場です。南條、小島、汐口、桑田という4人は、20年前のチーム選手権の優勝チームメンバーで、ボードの並びも同じです。

過去最多の54チーム、240名以上が参加する今大会では上位勢同士の対戦は2日目からです。初日は早稲田、Captureチームを下し、3Rでは中野チェスクラブのチームとの対戦です。クラブリーダーの中川くんとは、実に10年ぶりの対戦となります。

Nakagawa, S - Kojima, S
Japan Team Chess Champiosnhip 2024 (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nc3!?

4. Nf3に比べれば指されることは減ったものの、こちらの変化もアグレッシブで面白いものです。黒は1ポーンを一時的に捨て、クイーンサイドから早く仕掛けるのがメインラインです。

4... e6 5. g4 Bg6 6. Nge2 c5 7. h4 h5 8. Nf4 Bh7 9. Nxh5 Nc6 10. Bb5 cxd4 11. Qxd4 Nge7 12. Bg5 a6! 13. Bxc6+ Nxc6 14. Qd2 Qa5


ここは白のクイーンの退き場所によって、黒はクイーンをいくつかのマスで使い分けるようです。ここはb2をすぐに狙う14... Qb6も良い手でした。

15. O-O d4! 16. Rad1! Nxe5 17. Qe2?

f3のフォークに何で対応するか難しいところですが、本譜ではピースの代償が不十分です。17. Qf4! dxc3 18. b4 Qb5 19. Qf6!! gxf6 20. Nxf6+ Ke7 21. Ng8+= はパペチュアルチェックでドローでした。

17... dxc3 18. b4


18. Nf6+ gxf6 19. Bxf6 Rg8!も gファイルからの反撃がきつく、白キングはキャスリングしていない黒キングより危険な状況です。

18... Qb5 19. Qe3 Bxc2 20. Qxc3 Bxd1 21. Rxd1 Rxh5!? 22. gxh5 Qxb4 23. Qg3 Qg4 0-1

最後は相手の駒捨てに対してこちらも捨て返し、クイーン強制交換で白の攻撃を消して勝ちを決めました。個人もチームも3連勝で、勝負の2日目を迎えます。R4ではようやくオリンピアード代表同士の試合もあり、面白いマッチが組まれそうです。

Japan Team Chess Champiosnhips 2024 R4 Pairings

今夜はみなとみらいに来ています。

2024/09/23

Budapest Chess Olympiad R11 Colombia - Japan

夜の王宮

ブダペストオリンピアードは昨日最終戦を迎え、全ての試合が終了しました。日本のオープンチームはコロンビアとの対戦です。コロンビアは10年以上前にGM Zapataと試合をしましたが、彼以降どのようなGMが育っているかはほとんど知りませんでした。前日にアイスランドを破った勢いで、格上との最終戦に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Valderrama Quiceno, E (IM, COL, 2418)
Budapest Chess Olympiad (11)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c5 7. dxc5 Bxc5 8. a3 Nc6 9. Qc2 Qa5 10. Rd1 Be7 11. Be2 Ne4!?

今年の全日本選手権でもTuさんがこの変化を採用してきました。そこではしっかりとチャンスをつかめなかったので、こちらから少し手を変えることにします。

12. cxd5 Nxc3 13. Qxc3!?


13. bxc3 exd5 14. O-Oとするのが最近は多いですが、クイーン交換を入れる変化も選べます。昔調べた知識を堀りだして指し進めます。

13... Qxc3+ 14. bxc3 exd5 15. Rxd5 Bxa3 16. Nd4 Nxd4 17. exd4 b6 18. Rb5!?

18. Kd2 a6という流れが多いようですが、知りませんでした。ルークはなるべくa,bファイルに集め、黒のポーンを抑えつつ狙えるようにします。

18... Re8 19. Kd2 Ba6 20. Re5 Bxe2 21. Rxe2 Rxe2+ 22. Kxe2 b5?!


ポーンを伸ばすよりもキングを早くセンターに運ぶことを優先すべきです。

23. Rb1 a6 24. Kd3 f6 25. c4 bxc4+ 26. Kxc4 Rc8+ 27. Kd3 a5?

このポーンの伸ばしはうかつで、単にターゲットになってしまいます。このポーンをありがたくいただき、1ポーンアップのルークエンディングに突入します。

28. Bd2! Bb4 29. Bxb4 Rb8 30. Rb2 axb4 31. Kc4 Rc8+ 32. Kxb4 Kf7 33. Re2!


eファイルでカットオフし、黒キングがこれ以上ポーンに寄れないようにします。

33... Rd8 34. Kc5 Rc8+ 35. Kb6 Rd8 36. Kc5 Rc8+ 37. Kb4 Rd8 38. Kc4 Rc8+ 39. Kd3 Rd8 40. g4!

一度キングを上げていきましたが、d4のポーンへの反撃に戻られた際に局面を進展させる方法がありません。白ルークはRe2-Re4でd4ポーンを横から守りたいですが、f6-f5が厄介なアイディアです。そこで先にgポーンを突いておき、f5のマスを確保してf6-f5をできないようにします。

40... g6 41. f4 f5 42. gxf5 gxf5 43. Re5


白からg4-g5を突いてe4,e5のマスを確保するつもりでしたが、黒からfポーンを突いてくれたため、e5のマスを確保できました。これでd4-d5とポーンを押し込むことができます。

43... Kf6 44. d5 Rd6 45. Kc4 Rd8 46. Kd4 Ra8 47. d6 Ra2 48. h4 Ra4+ 49. Kd5 Ra5+ 50. Kc6 Ra6+ 51. Kc7 Ra7+ 52. Kb6 Ra4 53. d7 Rd4 54. Kc6 1-0

c6までキングが到達すれば、Re5-Rd5があってプロモーションが受かりません。個人3連勝でこのオリンピアードを締めくくりました。チームは残念ながら1-3でコロンビアに敗れ、過去最高戦績には到達しませんでしたが、TuさんのGMノーム獲得、GMのみのアイスランドに勝つなど、チームの成長も感じられるオリンピアードでした。

Open R11 Colombia - Japan 3-1
Women R11 Indonesia - Japan 3.5-0.5


これで1か月に渡る私のハンガリー生活も終わり、これから日本に帰国します。オリンピアード本番前からたくさんの応援、ありがとうございました。また帰国後にお世話になった皆さんにご挨拶させていただきます。クラウドファンディングのリターンもお楽しみに! また日本でお会いしましょう。

2024/09/22

Budapest Chess Olympiad R10 Japan - Iceland

毎晩チームで集まってその日の試合の振り返りをします。

ブダペストオリンピアードR10はアイスランドとの対戦です。アイスランドは人口38万人ほどですが、10人以上のGMを擁する世界で最も人口におけるGMの割合が高い国です。1人だけいるIMを下げ、GM4人の最強体勢で相手は日本とのマッチに臨んできました。

Gretarsson, H (GM, ISL, 2450) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Budapest Chess Olympiad (10)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 e6 5. b3 Bd6 6. Bb2 O-O 7. Qc2 e5 8. cxd5 cxd5 9. Nb5 Nc6 10. Nxd6 Qxd6 11. d4 Ne4 12. a3 exd4 13. Nxd4 Nxd4 14. Bxd4 Bf5 15. Qb2 Rac8 16. Bd3 Qg6 17. O-O Nd6 18. Bxf5 Nxf5

この試合はベストゲーム解説にまわす可能性があるため、ここではさらりと扱います。この18手目までが私の準備で、次にNf5-Nh4とダイレクトに攻めるアイディアがあって黒は満足です。

19. Be5??


目を疑いました。タクティクスが決まって黒の駒得になります。この辺りで2Bの南條くんが勝ちを決め、流れが日本チームに向いてきました。

19... Nxe3! 20. fxe3 Rc2 21. Qxc2 Qxc2

g2のメイトスレットがあるため、白はクイーンを諦めなくてはいけません。黒の駒得ははっきりしていますが、d4を抑える力が白は強いのでこれを突破するアイディアを考えなければいけません。

22. b4 Rc8 23. Bd4 b6 24. h3 f6 25. Rf2 Qa4 26. Kh2 Kf7 27. Kg1 Rc4 28. Kh2 Qc6 29. Kg1 Ke6 30. Kh2 h5 31. Kg1 Rc1+ 32. Rf1 Rxf1+ 33. Rxf1 Qa4


ルークを1つ交換してからa3の守りにルークを縛り付けます。

34. Ra1 Kf5 35. Kh2 Ke4 36. Rc1 Qxa3 37. Ra1 Qxb4 38. Rxa7 Qf8!?

fポーンを伸ばしていくアイディアが決め手になることは分かっていましたが、少し慎重になりました。38... f5 39. Rxg7 f4-+ ならば早い仕掛けで黒勝ちです。

39. Rb7 f5 40. Rxb6 g5 41. Bf6 Qg8 42. Rb3 Qg6 43. Rb6 f4!


準備をしてからf4のブレイクを仕掛けます。これでdポーンがパスポーンになるうえ、g3でのチェックがチャンスとなります。

44. exf4 gxf4 45. Rb4+ Ke3 46. Bd4+ Ke2 47. Rb3 Qe4 48. Rb2+ Kf1 49. Bf6 f3 0-1

最後はf4でのチェックを見せ、勝負を決めました。なんとドレスデン以来、16年ぶりのオリンピアードでのGM戦勝利です! 青嶋くんはずっと苦しいゲームを隣で指していて敗れてしまいましたが、Tuさんは三度目となるGMからの白星で、3-1で全員GMのアイスランドを破っています。ちなみに日本代表が全員GMのチームを破るのは、オリンピアード史上初めてのことです!

Open R10 Japan - Iceland 3-1
Women R10 Paraguay - Japan 3.5-0.5


女子はトップボードのみドローで、3.5-0.5でパラグアイに敗れています。次が泣いても笑っても最終戦。オープンチームはコロンビア、女子チームはインドネシアとの対戦です。試合開始時間はいつもより早い日本時間18時(ハンガリー時間11時)からですので、ぜひ応援配信のご視聴をよろしくお願いいたします。

【日本代表応援配信】チェスオリンピアード2024 第11ラウンド|2024.09.22

2024/09/21

Budapest Chess Olympiad R9 Japan - Jordan

GMノームをかけた大一番に臨むTuさんです。

ブダペストオリンピアードR9はヨルダンとの対戦です。アジア大会ではヨルダンの代表と顔を合わせることはあれど、私自身ヨルダン代表と試合をした記憶があまりありません。私の相手は15歳で、9月の更新で大きく数字を伸ばして2000近くまできたジュニアです。このラウンドは私個人の試合だけでなく、トップボードでTuさんがGMノームをかけた試合をしていることもあり、不思議な緊張感がありました。

Rakan, D (JOR, 1976) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Budapest Chess Olympiad (9)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. Bc4!?

Caro-Kann Classicalではビショップをd3でぶつけて交換するアイディアが一般的ですが、c4に展開することもあります。しかし、hポーンの伸ばしをしないか、N1e2-Nf4との組み合わせで使うのが多いでしょう。このタイミングでのBf1-Bc4は初めて見ました。

8... e6 9. Bf4 Ngf6 10. c3 Be7 11. Ne5 Nxe5 12. Bxe5


12. dxe5 Nd5 13. Bxd5 Qxd5 14. Qxd5 exd5=/+ と進み、ダブルビショップを持つ黒がやや指しやすいでしょう。

12... O-O 13. h5 Bh7 14. Bxf6?!

ここでナイトとビショップを交換するメリットはあまりないでしょう。Ng3-Ne4と戻すつもりなのでしょうが、黒マスのコントロールが弱まれば、黒からのe6-e5、c6-c5のどちらも警戒しなければいけません。14. Bd3と単にぶつけて交換するほうが良かったと思います。

14... Bxf6 15. O-O Qb6!


クイーンをどこに置くか悩みましたが、b2を当てつつd8にルークを回す、c6-c5を突く準備を進めます。

16. Bd3 Bxd3 17. Qxd3 Rfd8! 18. Qe2 Rd5! 19. Ne4 Be7 20. Rad1 Rad8 21. b4 Qc7!

b2-b4と突かせたことでc6-c5はできなくなりましたが、代わりにc3ポーンが弱くなりました。黒クイーンはb6での仕事を終え、c7の位置からe6-e5を狙います。

22. g3 e5! 23. dxe5 Qxe5


d4のポーンが崩れてe5のマスを奪えば、c3、h5のポーン、e4のナイト、e2のクイーンどれもが負担となります。

24. Rde1 Qxh5 0-1

少し早い気もしますが、h5のポーンが落ちた時点で白はリザインしました。相手は試合中、机に伏せるようなシーンもあり、アービタ―に「大丈夫か?」と声をかけられていたので、もしかすると体調があまり良くなかったのかもしれません。なにはともあれ、苦しんでいるこのオリンピアード、ようやく3勝目です!

Open R9 Japan - Jordan 3.5-0.5
Women R9 Japan - Scotland 2.5-1.5


私のすぐ後に青嶋くんが勝ち、Tuさんも勝ってマッチの勝ちが決まりました。Tuさんは今日の結果を受け、日本のチェスプレーヤーとして2人目となるGMノームを獲得しています。(1人目は羽生さん) Tuさん、おめでとうございます! 女子チームもスコットランドに2.5-1.5で勝ち、2回目のオープン、女子揃っての勝利です。
帰りのバス待ちの時間にインドのトップボード、Gukeshと記念撮影。11月の世界選手権ではチェスの歴史を変えてほしいですね。
この日はアマチュアトーナメント会場で、ブリッツ大会も開催されました。私もあと20分試合が早く終われば跳びこみ参加ができましたが、焦って指してミスが出ては仕方がないですからね。ここではオリンピアード前の遠征で対戦したプレーヤーたちに挨拶することができました。

さてR10はアイスランドとの対戦です。アイスランドは世界で最もGM人口率の高い国! ハンガリーと並ぶ温泉大国でもあるため、いつか大会で行って温泉にも浸かってみたいですね。最終順位アップのため、あとひと踏ん張りしてこようと思います。

2024/09/20

Budapest Chess Olympiad R8 Slovakia - Japan

エキスポエリアでは大きなモニターで中継を見ることができます。

ブダペストオリンピアードR8の相手はハンガリーのお隣、スロバキアです。スロバキアのキャプテン、GM MovsesianとはR1の前にR2で当たるのではないかと話をしました。結局それは私がスロベニアとスロバキアを見間違えただけだったのですが、後半のここで当たるとはなんとも面白い偶然です。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Kostolansky, S (IM, SVK, 2405)
Budapest Chess Olympiad (8)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Nbd7 5. cxd5 exd5 6. Bf4 Bb4 7. Rc1 Ne4 8. Nd2 Nxd2 9. Qxd2 Nf6 10. f3

2回目のNf6-Ne4を防ぐためにこの手を入れますが、すぐに10. a3でも良かったようです。ナイトの跳びこみにはQd2-Qe3とかわす手があります。

10... O-O 11. a3 Be7 12. e3 c6 13. Bd3 Nh5


hファイルを開けるのはありがたいと思っていましたが、相手は構わずビショップを取りにきました。これをいれなければBf4-Bg3-Bf2のようにビショップを逃がし、白はe3-e4を狙って優位に試合を進められるでしょう。

14. Bg3 Nxg3 15. hxg3 h6 16. Kf2 Re8 17. Ne2

ナイトをキングサイドにまわすのは自然な流れかと思いましたが、本譜のように黒が白マスビショップを捌けるのであれば、17. g4!?を先に入れておく手もあったでしょう。f,gポーンをどう伸ばすか、柔軟性を保つことにこだわりすぎたのは少し失敗でした。

17... Bd6 18. Bb1 Qg5! 19. Nf4 g6 20. Rh4 Bf8 21. Nd3 Bf5 22. Ne5


22. f4 Qe7 23. Ne5 Bxb1 24. Rxb1 f6! 25. Nd3と進んでナイトが追い返されてしまうようでは、f3-f4を突く意味が無いと考え、f3-f4は保留でナイトを跳びこみます。

22... Bxb1 23. Rxb1 c5 24. Qd3?

f3-f4の際に黒クイーンにf5に逃げられることを嫌い、この手を指しました。しかしこれが決定的なミスで、黒からのタクティクスを許してしまいます。24. Rd1 cxd4 25. exd4 Rac8=/+として耐えるべきでした。

24... cxd4 25. exd4 Rxe5!


気を付けていたつもりでしたが、クイーンが3段目にずれたことでf2でのメイトスレットが発生することを見落としていました。

26. dxe5 Bc5+ 27. Kf1

27. Ke2 Qxe5+ 28. Kd1 Re8 29. Rh1 Qxg3-+ キングはどちらに逃げようと苦しい状況に変わりありません。

27... Qxg3 28. Rd4 Bxd4 29. Qxd4 Rc8


すぐに取らなくても良いd4のるーきを即取り、ルークをc8に回す手を相手は即決しました。e5も負担になってクイーンが動きづらい白は、2段目への黒ルーク跳びこみに対応できません。

30. e6 Rc2 31. exf7+ Kf8 32. Qh8+ Kxf7 33. Qh7+ Kf6 34. Qh8+ Kg5 35. Qd8+ Kh5 36. Qxd5+ g5 37. Qf7+ Kh4 0-1

チェックが途切れた時点でリザインしました。ここまで白を多く貰いながら結果を出せておらず、チームに貢献できていないのは悔しいです。このマッチはTuさんが勝ち、青嶋くんが良いところまでいきつつドローで、1.5-2.5で残念ながら敗れています。これまでの格上とのマッチでは一番ポイントを取れているので、沈み気味の私と南條くんがなんとか復調して、残り3試合で結果を出したいところです。

Open R8 Slovakia - Japan 2.5-1.5
Women R8 Japan - Fiji 0-4


今日はオープンがヨルダン、女子がスコットランドとの対戦です。勝ちがなかなか拾えない私も、気落ちせず最後まで戦っていこうと思います。
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