全日本選手権は折り返しの3日目を迎えました。4連勝のTuさんとの差を詰めたい私は、午前中の試合で麻布の後輩、長瀧くんとの対戦です。昨年の全日本選手権では黒で勝っていますが、別の大会では2敗しており、海外大会の経験も積んできて油断のできない相手です。Grunfeldは予想通りでしたが、早い段階で知らない変化に突入しました。
8... Nb6を中心に多くの変化をチェックしてきたつもりでしたが、これは記憶にありませんでした。いきなりピース交換が進みそうですが、その中で白が良くなりそうな変化を探します。
f2を取る変化はナイトの行き場が難しく、おかしな手ではないかと読んでいましたが、進めてみると難しかったです。11... Rxd8 12. Rxd1 Rxd4とポーンを取り返す手順もありえるでしょう。
これは長瀧くんにとって意外だったようですが、私はeポーンを無理に守るよりも返してしまい、ナイトは早くゲームに戻すほうが良いと考えました。
ここでビショップを逃がさないのは小さなミスで、単にc7を返して良かったと思います。私はRa1-Rc1から様子を見てポーンを取り返し、クイーンサイドのポーンマジョリティに期待するつもりでしたが、それで勝ちに繋げられるようなアドバンテージがあるかは疑問です。
ビショップを持つエンドゲームでは、ポーンはビショップの色を逆に置き、白マス黒マス両方を抑えるのが基本です。
39... f3 40. Ke3ならばポーンを取って勝ちです。
互いにクイーンを作り合いましたが、白の残ったパスポーンとキングの位置が良すぎるため、これは問題なく白勝ちです。
続く午後のラウンドは初戦以来の中継ボードに戻りました。松尾さんを破って上がってきた前嶋くんをここは退け、5連勝でトップグループに追いついています。この日はTuさんが2ドローで連勝が止まったため、5/6が7人並ぶという大混戦です。明日誰かが抜け出すか、目の離せない4日目をこれから迎えます。 中継ボードに戻れたため、スポンサーから配布されている水をようやく受け取れました。明日は1Bで頑張ります!
Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Nagataki, K (JPN, 2024)
Japan Chess Championship 2024 (5)
1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d5 6. cxd5 Nxd5 7. O-O Nc6 8. Nc3 e5!?
8... Nb6を中心に多くの変化をチェックしてきたつもりでしたが、これは記憶にありませんでした。いきなりピース交換が進みそうですが、その中で白が良くなりそうな変化を探します。 Japan Chess Championship 2024 (5)
9. Nxe5 Nxc3 10. Nxc6 Nxd1 11. Nxd8 Nxf2
f2を取る変化はナイトの行き場が難しく、おかしな手ではないかと読んでいましたが、進めてみると難しかったです。11... Rxd8 12. Rxd1 Rxd4とポーンを取り返す手順もありえるでしょう。
12. Nxb7 Nh3+ 13. Kh1 Bxd4 14. Na5 Bg4
次のNa5-Nc6を食らわないためには、a8のルークを諦めざるをえませんが、これで黒は十分に戦えます。白マスビショップが抜けた後、白はキング周りの弱さを気を付けなければいけません。15. Bxa8 Rxa8 16. Nb3!?
これは長瀧くんにとって意外だったようですが、私はeポーンを無理に守るよりも返してしまい、ナイトは早くゲームに戻すほうが良いと考えました。
16... Bxe2 17. Nxd4 Bxf1 18. Bh6 Nf2+ 19. Kg1 Ng4
しかし、私もこのナイトの動きがぴったりビショップに当たるため、f1のビショップを無視できることを見落としていました。黒がビショップを逃がすことを優先し、h6にビショップが残るようであれば、バックランクの弱さとナイトの逃げ場のなさでポーンが無くとも有利に戦えると考えていました。20. Bf4 c5?!
ここでビショップを逃がさないのは小さなミスで、単にc7を返して良かったと思います。私はRa1-Rc1から様子を見てポーンを取り返し、クイーンサイドのポーンマジョリティに期待するつもりでしたが、それで勝ちに繋げられるようなアドバンテージがあるかは疑問です。
21. Rxf1 cxd4 22. Rd1 Rd8 23. h3 Nf6 24. Be5 Ne4 25. Rxd4 Rxd4 26. Bxd4 Nxg3?
d4でポーンを取り返し、ルークも交換してビショップvs.ナイトのエンドゲームになったところで、黒から再び大きなミスが出ました。ここでg3とa7の取り合いにすると、白がクイーンサイドに2コネクテッドパスポーンを持つ、とても勝ちやすいエンドゲームに入ります。ここは26... a6とポーンをかわすべきだと思いますが、それでもクイーンサイドにポーンマジョリティを持ち、キングサイド、クイーンサイド両方に広く利くビショップを持つ白が指しやすいでしょう。27. Bxa7 Kf8 28. a4 Ke8 29. Kf2 Nf5 30. b4 Kd7 31. b5
ビショップを持つエンドゲームでは、ポーンはビショップの色を逆に置き、白マス黒マス両方を抑えるのが基本です。
31... Kc7 32. Bc5 Nd6 33. Ke3 Nb7 34. Bd4 Nd6 35. Be5! Kd7 36. Bxd6!
このポーンエンディングが1手差で白勝ちだと分かると、このエンドゲームはとても楽に指せるでしょう。36... Kxd6 37. Kd4 f5 38. a5 f4 39. a6 Kc7
39... f3 40. Ke3ならばポーンを取って勝ちです。
40. Kc5 f3 41. b6+ Kd7
41... Kb8 42. Kc6 f2 43. a7+ Ka8 44. Kc7 f1=Q 45. b7+ Kxa7 46. b8=Q+ Ka6 47. Qb6# があり、黒に先にプロモーションを許しても白が勝つ教科書的なエンドゲームです。42. a7 f2 43. a8=Q f1=Q
互いにクイーンを作り合いましたが、白の残ったパスポーンとキングの位置が良すぎるため、これは問題なく白勝ちです。
44. Qd5+ Ke7 45. Qe5+ Kd7 46. Qd6+ Ke8 47. b7 Qf2+ 48. Kc6 Qc2+ 49. Qc5 Qe4+ 50. Kb6 Qe6+ 51. Qc6+ 1-0
何度も辛酸をなめたクイーンエンディングでしたが、今回はスタートの局面が良かったため特に事件も起こらず助かりました。クイーンのチェックするマス、正しいキングの逃げかた等、大会後に確認しておこうと思います。Japan Chess Championship 2024 R7 Pairings
続く午後のラウンドは初戦以来の中継ボードに戻りました。松尾さんを破って上がってきた前嶋くんをここは退け、5連勝でトップグループに追いついています。この日はTuさんが2ドローで連勝が止まったため、5/6が7人並ぶという大混戦です。明日誰かが抜け出すか、目の離せない4日目をこれから迎えます。 中継ボードに戻れたため、スポンサーから配布されている水をようやく受け取れました。明日は1Bで頑張ります!
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