更新が遅くなってしまいましたが、今月頭に山梨県の河口湖で行われた麻布チェス部の春合宿に、1年ぶりに1泊2日で指導に行ってきました。昨年は福島の会津若松での春合宿であったため、今年は少し近場になっています。河口湖は桜まつりがちょうど始まった頃でしたが、前日に降った雪が残っていました。自分が現役であった20数年前から、初合宿で雪を見るのは初めてのことです。
1日目は昼前に合宿所に到着。現役生たちと一緒にお弁当を食べてから、初日のプラグラムに入ります。最初の取り組んだのは、チェスのセオリーについての知識の確認と共有です。部員と輪になって最初の人がセオリーを言い、次の人がその解説をし、さらに次の人がセオリーの当てはまらない局面の例を出します。例えば「ポーンはセンターに向かって取る」というセオリーが挙がれば、次の人はそれがなぜかを解説し、次の人はそれが当てはまらない例を理由とともに挙げます。現役生の参加者は8名で、学年やレベルもバラバラなので、これをやりながら全員のレベルや考えを掴んでいきました。
単純ですが、Ruy Lopez Exchangeのこちらの局面では、bポーンでピースを取り返してポーンをセンターに寄せるよりも、dポーンでピースを取り返してc8ビショップのダイアゴナルと、dファイルを開いたほうが早いピースの展開に繋がるため良いでしょう。セオリーを挙げることとその解説することよりも、当てはまらない例を出すことのほうが難易度が高いように思えます。チェスへの理解と発想力が求められますね。私にも無い発想を挙げる現役生もいたので、とても面白かったです。他には「自分の手番のほうが基本的に良い」というセオリーに対しては、私から以下の局面を出しました。
こちらは2人1組になってもらい、実際に指して結果がどうなるかを確認してもらいます。もちろん最初から正確には指せないため、白が勝った、黒が勝ったを繰り返しながら、最終的にこの局面は手番側が負けであるという結論にたどり着きます。ツークツワンクの概念を知らない現役生もいるので、こうした体験型でチェスについて理解を深めてもらうほうが楽しめると考えました。
セオリーを言い合うプログラムが終わった後は、Fischer - Reshevsky、Tal - Forbis、Fischer - Petrosian といった名局を並べ、先に確認しておいたセオリーがどのように登場するかや、その重要性を確認しました。これだけでも5時間くらいかかり、夕食の後は現役生全員との同時対局です。
このように進んで無理やりポーンを取り返しましたが、あまり良くない局面からなんとかエンドゲームでひっくり返して勝ちました。もう1つ印象的だったゲームは以下のものです。
12... fxe6 13. Nxe6 Qb6 14. Nxg7+ Kf8 15. Nf5+- ならば、3ポーンvs.ビショップですが、白のナイトの強さと黒キングの不安定さで白の勝勢です。
1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Nxe4 6. d4 b5 7. Bb3 exd4 8. Re1 d5
Ruy Lopezで始めてたどり着いたこの局面で、ベストムーブが9. Nc3! であることは知りませんでした。Max Langeでも登場するような手ですが、d5が落ちた際にc6のナイト、a8のルークまでターゲットになるのがポイントで、黒はこのナイトを取ることができません。実際の試合は...9. Nxd4 Nxd4 10. Qxd4 Be6 11. Bxd5!? Bxd5 12. Nc3
このように進んで無理やりポーンを取り返しましたが、あまり良くない局面からなんとかエンドゲームでひっくり返して勝ちました。もう1つ印象的だったゲームは以下のものです。
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bc4 e6 7. Bb3 Be7 8. Bg5 Qc7 9. Qf3 Nbd7 10. O-O-O b5 11. Rhe1 Bb7?
自然な手に見えますが、Sozinで典型的なタクティクスが決まります。代わりに11... 0-0 ならば黒は手堅く指せるでしょう。12. Bxe6! O-O
12... fxe6 13. Nxe6 Qb6 14. Nxg7+ Kf8 15. Nf5+- ならば、3ポーンvs.ビショップですが、白のナイトの強さと黒キングの不安定さで白の勝勢です。
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