2025/05/07

Japan Chess Championship 2025 Day5

今年の全日本チェス選手権入賞者たち

昨日、今年の全日本チェス選手権も最終日を迎え、9試合を戦い抜いたプレーヤーたちの最終順位が決まりました。私はトップボードでTuさんとトップボードでドローになり、6.5/9でのフィニッシュになりました。Tuさんの単独優勝は4日目終了の段階で決まっていましたが、6.5Pグループはなんと7人が並び、タイブレークで私は5位に決まりました。6R終了時点で18位だったため、前半の停滞を考えれば十分な戦績です。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu (IM, JPN, 2420) 8/9
2nd Place Chen Muxi (CHN, 2188) 6.5/9
3rd Place Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2349) 6.5/9
4th Place Otsuka Shou (FM, JPN, 2339) 6.5/9
5th Place Kojima Shinya (IM, JPM, 2315) 6.5/9
6th Place Yamamoto Soichiro (JPN, 1963) 6.5/9
7th Place Okuno Rion (JPN, 2125) 6.5/9
8th Place Matsuyama Koya (JPN, 2001) 6.5/9
9th Place Yamada Kohei (FM, JPN, 2182) 6/9
10th Place Kobayashi Atsuhiko (CM, JPN, 2106) 6/9

Japan Chess Championship 2025 Final Standings


最終戦でTuさんと対戦することはこれまでの大会でほぼありませんでしたので、多少の緊張はありました。しかし、2023年神戸のジャパンチェスクラシックスで勝って以来、色に関係なくドローが続いています。ゲーム内容を見れば強さは感じますが、かつて持っていた苦手意識はだいぶ払拭されてきていると言えます。

Tran, T T (IM, JPN, 2420) - Kojima, S (IM, JPN, 2315)
Japan Chess Championship 2025 (9)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. d3 Bg4!?

以前の対戦でもこの変化でしたが、すっかり忘れて準備不足でした。3... dxe4 4. dxe4 Qxd1+ 5. Kxd1 Nf6の変化を指しても良いのですが、この変化を試すということは白がこのクイーン交換をしていたがっているとも取れます。そこでしっかり準備したわけではないですが、Two Knights メインラインのアイディアを使える、3... Bg4をやってみることにしました。

4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. g3 Nd7 7. Bg2 g6!?


f3のナイトを消している分、白はe5,d4の利きが弱くなっています。7... Bc5も自然なピースの展開ですが、私は先述のセンター2マスを抑えることを優先しました。

8. O-O Bg7 9. exd5!? cxd5 10. c4

d5でのポーン交換はかなり意外で、9. Qe2のように退いてから、f2-f4を目指すのが普通だと感じました。本譜はd5にプレッシャーを素早くかけ、g2のビショップの存在を主張する作戦ですが、黒は黒マスのコントロールでこれを上手く捌くことができます。

10... Ne7 11. Nc3 O-O! 12. Rd1


12. cxd5 Ne5! 13. Qe4 Nxd5 14. Nxd5 exd5 15. Qxd5 Qxd5 16. Bxd5 Nxd3ならば黒はポーンを取り返し、異色ビショップで安全にドローを目指せる局面です。

12... Ne5 13. Qe2 N5c6

ナイトを組み替え、Nc6-Nd4の跳びこみを準備しておきます。これこそf3でナイトを消し、フィアンケットで黒マスビショップをe5、d4に利かせてきた狙いです。白は白マスで勝負、黒は黒マスで勝負しているような様子です。

14. Bg5 Qd7 15. Rac1 Rac8 16. Qd2 Rfe8 17. cxd5 Nxd5 18. Ne4!?


d3を孤立にしてでもナイト交換を避けて勝負してくるのは、Tuさんならありえる(私ならばやらない)と思いました。とは言え、d5のアウトポストナイトは消される心配なく、f6の重要なマスを守っているので、e4のナイトが何か黒キングに大きなプレッシャーをかけてはいません。18. Nxd5 exd5 19. Rc5 Nd4!が私の読みで、こちらのほうがポーンストラクチャーは対称で安全ですが、d5を捨ててe2、c2のマスを狙う反撃でバランスが取れていると考えていました。

18... b6 19. h4 h5 20. Kh1 1/2-1/2

最後は20... Nd4から勝負にもいけますが、Tuさんからドローオファーがあり、ここで試合を終わらせることにしました。とにかくファイティングが多い私とTuさんの試合にしては、珍しい短手数ゲームでした。

今年も無事に全日本チェス選手権が終わり、まずは一安心です。私自身、優勝はかなり遠ざかっていますが、全日本は2012年から13回連続5位以内入賞(2021年はコロナ禍により中止)と、安定した戦績を残していることは、ある程度満足しています。今年は10位以内も怪しいかと、3日目終了時点では思っていました... 毎年、しっかりした運営をしてくださっている日本チェス連盟のスタッフたち、そして後援してくださっているアルゼンチン大使館に深く感謝いたします。また次の大会でお会いしましょう。
今年はアルゼンチンワインではなく、ラテンアメリカの伝統菓子、ドゥルセ・デ・レチェをいただきました。キャラメルのようなものだとイメージしていますが、どんな味かこれから食べてみることを楽しみにしています。

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