Japan Open 4日目は待望の連勝でした。午前中は初対戦となる松永くんに準備が当たり、Caro-Kann Exchangeを受けて黒で勝ち。続く午後の試合は、同じく初対戦となるカナダのSong Samuelさんを引くことになりました。こうした大会ですので、初対戦のプレーヤーを多く迎えられると嬉しいです。
Kojima, S (IM, JPN, 2318) - Song, S (CAN, 2175)
Japan Open 2025 (8)
1. d4 Nf6 2. c4 c6 3. Nc3 d5 4. e3 e6 5. Nf3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 a6 10. Rd1 b5 11. Bd3 Qc7 12. Bd2 c5 13. Ne4
2010年代に流行したこの変化は、調べていたものの指す機会はついぞありませんでした。それがこの大舞台の大事なラウンドで巡ってくるとは分からないものです。白は2ビショップを得ますが、代わりにe4,d5のコントロールを失い、黒にクイーンサイドのポーンマジョリティを作らせます。 Japan Open 2025 (8)
13... c4 14. Nxd6 Qxd6 15. Be2 Bb7 16. b3 Bd5
ここで相手からドローオファーがありました。ここまでノータイムで、事前研究がしっかりしていることは窺えましたが、自信があるならドローオファーはしないでしょう。自信の無さの裏返しと受け取り、当然試合は続行です。
17. Qb2 Ne4 18. Ba5 f5 19. Rdc1 Rfc8 20. Ne1 Rc6?!
このルークはNe1-Nc2-Nb4とマヌーバリングした際にターゲットになるため、はっきり良くない手だと感じました。代わりに20... Rab8くらいが、白からポーンを取りづらくする堅い手だったと思います。21. f3 Nef6 22. Nc2! cxb3 23. axb3 Re8 24. Be1!?
b4にナイトを運ぶと同時に、このビショップの切り替えも白の重要な構想でした。24. Nb4 Rxc1+ 25. Rxc1 e5が反撃になるならば、先にBe1-Bg3を準備してe6-e5を指しづらくしておきます。
24... Rcc8 25. Nb4 Bb7 26. Nd3 Rxc1 27. Rxc1 Rc8 28. Bg3
ここ早めにビショップを切り替えましたが、28. Rxc8+ Bxc8 29. b4+/-とする手もありました。b3-b4はクイーンサイドを止める手として常に頭にありながら、b4自体がターゲットになりうること、c4のマスを明け渡すことでかなり躊躇いました。28... Rxc1+ 29. Qxc1 Qc6 30. Qd2 Nd5 31. Be1 h6 32. h3 N5f6 33. Bd1! Qc7 34. Nf4 Bd5!? 35. Nxd5
ここはビショップを差し出してくるのが意外で、ありがたくダブルビショップvs.ダブルナイトの構図にさせてもらいます。
35... exd5?
e6のポーンはさほど弱点になっていないため、ナイトで取るほうが明らかに良かったでしょう。f5が新たな弱点になり、白は目標を持ってプレーできます。36. Be2 Kf7 37. Bd3 g6 38. g4! Ke6
キングで守ってくるとは思いませんでした。38... fxg4 39. hxg4ならば新たにg6をターゲットにして白が大きく優勢です。
39. gxf5+ gxf5 40. Kf1!!
この試合の中でもかなり気に入っている手です。g3,h2へのクイーンの侵入は警戒しつつ、c1に入られてもe1のビショップが取られないよう、事前に守っておきます。40... Qc8 41. Qh2! Qc1 42. Qf4! Ke7 43. Bxf5 a5
f5を落とし、黒キングも危険な状態にしたので勝勢だとは感じていましたが、黒のクイーンサイドのパスポーン進撃は軽視していました。
44. Qxh6 a4 45. bxa4
コンピュータは45. Kf2 Qb2+ 46. Kg3 Qxb3 47. Ba5+- としてb3を捨てる代わりに黒マスビショップを使うことを提案しますが、人間的な判断ではありません。45... bxa4 46. Qg7+ Kd8 47. Bxd7 Nxd7 48. Qg8+ Kc7 49. Qxd5
時間切迫の中、悩んだ末に白マスビショップを消し、d5を取りました。aポーンはクイーンとピンの黒マスビショップでも、十分に止めるのが間に合います。
49... a3 50. Qa5+ Kb7 51. Qc3 Qb2 52. d5
このクイーンがぶつかりあった状態で膠着になるため、その間に白はパスポーンを進めます。52... Nb6 53. e4 Ka6 54. d6 Kb5 55. e5 Nd5 56. Qd3+ Kc6 57. Qc4+ Kb6 58. Qxd5 1-0
ナイトを取って白の勝ちを決めました。黒のプロモーションに対して、白もdポーンのプロモーションがあるため、白クイーンはc3から離れても大丈夫でした。大会最終盤でようやくエンジンがかかってきたような、上出来のゲームでした。
Japan Open 2025 R9 Pairings
Japan Open 2025 R9 Youtube解説
最終戦はトップ2ボードで、日本の大塚くんと青嶋くんが海外のマスターに挑むことになります。私も最後までしっかり指しきって大会を締めくくりたいですね。皆さん、最後までよろしくお願いいたします。
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