2025/06/13

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.1


大会参加時以外に棋譜の解説はおろか記事もあまり書かなくなっているため、リハビリがてらシリーズものを始めてみようと思います。このシリーズでは去年から今年にかけ、ブログで取り上げてこなかったゲームの中で、面白かったものをご紹介していきたいと思います。まずは昨年最初の大会、東海オープンの一試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2298) - Bhatia, P (JPN, 1724)
Tokai Open 2024 (2)

1. Nf3 Nf6 2. g3 g6 3. Bg2 c5 4. c4 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Nc3 Bg7 7. O-O O-O 8. Nxd5!?

この当時は新しい1. c4のレパートリーや、古くから慣れ親しんだ1. Nf3の少し違う可能性を模索していました。Symmetrical Englishのこちらの変化では、白からd5のナイト交換を行い、d5に出てきたクイーンをターゲットにするセットアップを試します。

8... Qxd5 9. d3 Nc6 10. Be3 Qd6


昔調べたKarpovの試合では、10... Bd7 11. Nd4 Qd6 12. Nxc6 Bxc6 13. Bxc6 Qxc6 14. Rc1 Qe6 15. Rxc5 Qxa2 16. Rb5 b6 17. Qa1 Qe6 18. Qa6+/= という進行で、a7をターゲットににした白がやや優勢となりました。本譜ではc5とb2の交換になるため、黒がセンターを抑える力を弱めたうえで、bファイルからの反撃に期待できます。

11. Rc1 Bxb2 12. Bxc5 Qd7 13. Rc2 Bf6 14. Ba3 Rd8 15. Qd2 e5 16. Rfc1 Qf5 17. Qh6?!

クイーンの位置を改善するベストのプランが分からず、直接的な手を選びました。ここではクイーンはd2に残しておき、e5を狙うプランが良かったようです。17. Bb2! Be6 18. Rc5! こうして5段目にルークを上げ、e5、b7を狙えば白が優勢です。

17... Be6 18. h4 Rab8?


この手は白の直接的な攻撃を軽視しています。18... Bg7 19. Qe3+/= こうして一度白クイーンを黒キングから遠ざけておくべきでした。

19. Ng5! Bxg5 20. hxg5 Nd4 21. Be7!

おそらく黒が見落としていた手がこれです。エクスチェンジ取りではなく、Be7-Bf6からのメイトが狙いで、黒はクイーンを遠ざけておかなかったこと、黒マスビショップを失ったことで黒マスが弱くなっていることが痛手となります。

21... Qg4 22. Be4! Qh5 23. Qxh5 gxh5 24. Bxd8 Nxc2 25. Bf6!


黒はクイーンを交換することでメイトの危機こそ脱しましたが、白のダブルビショップに対抗するのは苦しい状況です。

25... Nd4 26. Rc7 Bxa2 27. Bxe5 Nxe2+ 28. Kf1+-

e2のナイトはトラップされており、白の勝勢です。

28... Nxg3+ 29. fxg3 Re8 30. Bf6 a5 31. Rxb7 a4 32. Ra7 Bb3 33. Kf2 Bd1 34. Ke3 Bb3 35. Kf4 Be6 36. d4 Bb3 37. d5 a3 38. d6 a2 39. d7 Rb8 40. d8=Q+ Rxd8 41. Bxd8 1-0


この大会は結局4勝1ドローで優勝できたものの、Bhatiaさんにはこの2か月後の東京チェス選手権の最終戦で敗れ、ここまで1勝1敗となっています。三度目の対戦の機会も楽しみにしています。

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