2つ目はトレーニングのゲームです。都内で開催されているトレーニングでは、毎回オープニングを決めて白黒1試合ずつを目安に指しています。メンバーのレベルは回によって異なり、フランスのIM Song Julienを招いたりと、ゲストで強豪が登場することもあります。昨年1月に集まったこの日はSicilian Moscowがテーマで、米満くんに黒を持ちました。
Yonemitsu, K - Kojima, S
Training
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Bd7
GMレベルではピースを残すか、ビショップナイトの交換から局面の複雑化を図りやすい3... Nd7が多いと思います。実際、私も白番ではその対策に苦労してきました。しかし、ビショップ交換をするシンプルな3... Bd7変化も、黒から様々な可能性があって面白いと考えています。 Training
4. c4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bxd7+ Nbxd7!?
d4のマス争いをするのであればd7はクイーンで取り返し、Nb8-Nc6と展開するほうが自然で、将来的なキングサイドのフィアンケットビショップとも相性が良いでしょう。一方で本譜のナイトでd7を取り返す変化は、クイーンをa5に出したり、cファイルからの反撃を作りやすいのがポイントです。
7. d4 cxd4 8. Nxd4 g6
自然な手はありますが、ここは8... Rc8! を先に挟むほうがより正確でした。 c3のナイトが浮くとb7-b5からポーンを崩されてしまうため、白は9. Qe2とするしかありません。e2がクイーンの位置として悪いわけではないですが、白のセットアップを限定しておくことができます。9. O-O Bg7 10. Bg5?!
Dragon Pawn Structureにおいては、Nc3-Nd5の跳びこみからe7ポーンにプレッシャーをかけるのがよく見られるプランで、その際にBc1-Bg5も登場することはあります。しかし、ここでは黒のナイトは連携されており、Bxf6はあまり脅威になりません。白の理想的なビショップの使い方は、c4を守ることも踏まえてb2-b3,Bc1-Bb2だったのではないと思います。
10... O-O 11. Qd2 Qa5! 12. Rfe1 Rfc8 13. Nb3 Qb4 14. Bxf6?
黒は理想的なピースのセットアップでcファイルからの反撃を作っています。本譜の白の構想はそれに十分対抗できるものではなく、黒に黒マスの支配を与えて苦しい展開になります。14. Nd5 Nxd5 15. exd5 Rxc4 16. Rxe7 Ne5=/+ 先述のe7を狙う構想ならばこう進めるでしょうが、これでも黒はやや有利だと考えられます。14... Nxf6 15. c5 dxc5 16. e5 Rd8!
f6のナイトをどかしてNc3-Nd5を狙いたかった白ですが、このIntermediate Moveがありました。クイーンに反撃を作りつつ、d5のマスをカバーしてナイトの侵入を防ぎます。
17. Qg5 Qg4!?
本譜でも良いですが、17... Nd5 18. Nxd5 Rxd5 19. Qxe7 Bf8! 20. Qf6 Re8!-+ 一時的にポーンを返しても、e5をターゲットにすれば黒の勝勢でした。18. Qxg4 Nxg4 19. e6?
ここは19. f4 で我慢し、g7のビショップを止めつつ、g4のナイトを追い返して耐えるしかありませんでした。ゲームの手順では、黒のナイト、ビショップがいずれも強く、白は抵抗が難しいでしょう。
19... c4! 20. Na5 Rac8 21. Re4 Ne5 22. exf7+ Kxf7 23. Rae1 b6 24. f4 Nd3!-+
e7のポーンを取られても継続の攻めはなく、黒は駒得が確定しています。25. Rxe7+ Kf8 26. R1e2 bxa5 27. g3 Re8 28. R7e6 Rxe6 29. Rxe6 Nxb2 30. Nd5 c3 0-1
しばらくこちらのトレーニングも参加できていないため、また機会を見て参加したいですね。
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