昨日は名古屋で開催された中部快速オープンに参加してきました。すでに10回以上参加している1日制の大会で、毎年この大会のために名古屋遠征できることを楽しみにしています。昨年は1つドローがありましたが、今年はなんとか全勝での優勝を果たすことができました。入賞者の皆さん、おめでとうございます!
1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2278) 5/5
今大会一番の山場は、3連勝同士で迎えた4Rの東芝さんとの試合でした。序盤で優位になったにもかかわらず、適切なプランが分からずに苦戦します。今夜はこちらのゲームをご紹介させていただきます。
Caro-Kann は様々な研究に目を通していますが、こちらはJobavaの勧める手です。クイーンを早めに退いてe5を狙い、白のセットアップを早めに決めさせます。
本譜のb2を捨てるプランは難しいですが、白が手堅く指したければ避けるべきでしょう。14. Qd2! と先にクイーンを上げておき、d1にルークが移動する準備をすれば本譜の流れにはなりませんでした。
ここはf5を早めにカバーし、反撃するべきだと思ったのですが、c7のクイーンhが狙われることをなぜか失念していました。21... Na5!? からc4を目指すプランはやはり有力です。
22. f6! Nf5 23. Rfc1 Qd8 24. Bf2 はポーンの代償がある難しい局面です。私はRf1-Rc1,Qc7-Qd8抜きでこの局面を考えており、ポーンの代償を軽視していました。
お互いにキングサイドを見ていましたが、より重要なのはクイーンサイドです。aファイルからの反撃は当然考えていたものの、なぜかa2を落とす前にbポーンを極力伸ばすアイディアを考えていませんでした。27... b5! が強力な1手です。
c4へのナイトの侵入は様々なタイミングで考えていましたが、e6、b7を落とす前にできる限りの準備をしておくべきです。ここが最後のb6-b5のチャンスでした。
ここはe6を取りにいく判断をしますが、逆に黒キングを積極的に使わせてしまうため良くなかったようです。ルークは7段目で黒キングの動きを制限したまま、34. Kg1!? のようにじっと待つ手をコンピュータは推奨しますが、積極的に反撃を作りにいきたい気持ちも理解できます。
ここは42. Rxb6= でドローでしたが、おそらく黒キングの動きを見誤ったのでしょう。黒はd5を守りつつ、d4を取りにいく余裕があります。
互いのポーンを取り合い、黒のdポーンだけが残るルークエンディングになりました。白キングはすでにポーンをブロックする位置にいるため、理論的にはドローですが、実戦ではこうした局面でも間違えて決着がつくことも少なくはないため、当然黒は最後まで指します。
白キングを追い出し、黒キングが逆に潜り込めばルセナポジションになります。
1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2278) 5/5
2nd Place Noda Ryo (JPN, 1796) 4/5
3rd Place Higashishiba Teruomi (JPN, 1907) 4/5
Chubu Rapid Open 2025 Final Standings
今大会一番の山場は、3連勝同士で迎えた4Rの東芝さんとの試合でした。序盤で優位になったにもかかわらず、適切なプランが分からずに苦戦します。今夜はこちらのゲームをご紹介させていただきます。
Higashishiba, T (JPN, 1907) - Kojima, S (IM, JPN, 2278)
Chubu Rapid Open 2025 (4)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nd2 e6 5. Nb3 c5 6. dxc5 Bxc5 7. Nxc5 Qa5+ 8. c3 Qxc5 9. Nf3 Qc7!?
Caro-Kann は様々な研究に目を通していますが、こちらはJobavaの勧める手です。クイーンを早めに退いてe5を狙い、白のセットアップを早めに決めさせます。 Chubu Rapid Open 2025 (4)
10. Bf4 Nc6 11. Be2 Nge7 12. Nd4 Nxd4 13. cxd4 Nc6 14. O-O?!
本譜のb2を捨てるプランは難しいですが、白が手堅く指したければ避けるべきでしょう。14. Qd2! と先にクイーンを上げておき、d1にルークが移動する準備をすれば本譜の流れにはなりませんでした。
14... Qb6 15. Be3 Qxb2 16. Bd3 Bxd3 17. Qxd3 Qb6 18. Rab1 Qc7 19. Qb5 Rb8
思わずポーンアップした黒ですが、ここはb7を返すことも考えました。19... O-O!? 20. Qxb7 Qxb7 21. Rxb7 Na5! こうしてc4のマスにナイトを置けば、働きの良いナイトと働きの悪いビショップの構図を作ることができます。しかし、せっかくのポーンを返してでもこうすべきか判断ができませんでした。20. f4! O-O 21. f5 Ne7?!
ここはf5を早めにカバーし、反撃するべきだと思ったのですが、c7のクイーンhが狙われることをなぜか失念していました。21... Na5!? からc4を目指すプランはやはり有力です。
22. Rbc1?!
22. f6! Nf5 23. Rfc1 Qd8 24. Bf2 はポーンの代償がある難しい局面です。私はRf1-Rc1,Qc7-Qd8抜きでこの局面を考えており、ポーンの代償を軽視していました。
22... Qb6! 23. Qxb6 axb6 24. fxe6 fxe6 25. Rc7 Rxf1+ 26. Kxf1 Nc6
黒はポーンストラクチャーを乱しましたが、ポーンアップをキープしたままエンドゲームに入りました。b7の守りにルークは縛られているように見えますが、タイミングを見てaファイルからの反撃を仕掛けることができます。またここでは、26... Nf5! 27. Bf2 h5! としてf5のマスを確保し、ナイトを強く使うアイディアも有力です。27. h4?! h6?!
お互いにキングサイドを見ていましたが、より重要なのはクイーンサイドです。aファイルからの反撃は当然考えていたものの、なぜかa2を落とす前にbポーンを極力伸ばすアイディアを考えていませんでした。27... b5! が強力な1手です。
28. g4 Na5?!
c4へのナイトの侵入は様々なタイミングで考えていましたが、e6、b7を落とす前にできる限りの準備をしておくべきです。ここが最後のb6-b5のチャンスでした。
29. Re7 Nc4 30. Bc1 Ra8 31. g5?!
指されてみて、g5-g6が嫌なアイディアだと思ったのですが、ここはaポーンを受けておくほうが良かったようです。しかし、31. a3! Nxa3 32. Bxa3 Rxa3 33. Ke2 Rg3 34. g5! hxg5 35. hxg5 Rxg5 36. Rxe6= がドローに持ち込めるエンドゲームだと読むのは、なかなか大変でしょう。31... Kf8! 32. Rxb7 hxg5 33. Bxg5 Rxa2 34. Rb8+?!
ここはe6を取りにいく判断をしますが、逆に黒キングを積極的に使わせてしまうため良くなかったようです。ルークは7段目で黒キングの動きを制限したまま、34. Kg1!? のようにじっと待つ手をコンピュータは推奨しますが、積極的に反撃を作りにいきたい気持ちも理解できます。
34... Kf7 35. Rb7+ Kg6 36. Re7 Nd2+?
g7を捨てた際のhポーンの脅威がいかほどか判断できず、残り数秒で弱気な手を指してしまいました。36... Kf5! 37. Rxg7 Ke4! 38. h5 Rh2 39. h6 b5 40. h7 b4 41. Rb7 b3 42. Bf6 b2-+ 白がh8を抑える速度に、十分bポーンが対抗できるのは意外でした。d2でのフォークがあり、b1でのプロモーションは有効です。37. Ke2 Ne4+ 38. Kd3 Ra3+ 39. Ke2 Nxg5 40. hxg5 Kxg5 41. Rxe6 Kf5 42. Rd6??
ここは42. Rxb6= でドローでしたが、おそらく黒キングの動きを見誤ったのでしょう。黒はd5を守りつつ、d4を取りにいく余裕があります。
42... Ke4! 43. e6 Kxd4 44. Rxb6 Re3+?
私もここはひどいミスでした。44. e7?? Re3+ がeポーンを止めるアイディアだったのですが、それが頭にあったために本譜でもパスポーンをe3から止めに行ってしまいました。パスポーンに対応するのは当然ですが、g7を生かさなければフィリドールポジションになってしまいます。44... Ra7! ならばeポーンを止めつつ、自身のgポーンを守ることができて黒の勝勢です。45. Kd2 Re5 46. Rb4+ Kc5 47. Rg4 g5 48. e7 Kd6 49. e8=Q Rxe8 50. Rxg5 Kc5
互いのポーンを取り合い、黒のdポーンだけが残るルークエンディングになりました。白キングはすでにポーンをブロックする位置にいるため、理論的にはドローですが、実戦ではこうした局面でも間違えて決着がつくことも少なくはないため、当然黒は最後まで指します。
51. Rg7 Rh8 52. Kd3 Rh3+ 53. Kd2 Kc4 54. Rg4+ d4 55. Rg8 Rh2+ 56. Kd1 Kc3 57. Rc8+??
フィリドールポジションの必修局面が現れました。このオフェンス側キングが6段目、ポーンが5段目の状況ではディフェンス側がドローに持ち込める手は1つしかありません。57. Rd8! Kd3 58. Kc1 Rh1+ 59. Kb2 Ke3 60. Kc2!= ここでキングを寄り、d4-d3のポーンの前進を止めるのが必須です。それを実現するためには、白は早い段階でルークをポーンの後ろに回すしかないのです。57... Kd3 58. Ke1 Rh1+ 59. Kf2 Kd2
白キングを追い出し、黒キングが逆に潜り込めばルセナポジションになります。
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