後半戦2日目の昨日は、アフリカのアルジェリアとの対戦です。1番のみ2400台のIMですが、2番以降のレイティングが低いため、リストは日本よりも下です。私がポイントを削れば勝利は堅いと思っていましたが、意外なほど接戦になりました。
Algeria - Japan 1½:2½
40.1 IM Haddouche, Mohamed 2429 - FM Kojima, Shinya 2282 ½ - ½
40.2 CM Oussedik, Mahfoud 2242 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 ½ - ½
40.3 IM Dekar, Lies 2155 - FM Watanabe, Akira 2278 ½ - ½
40.4 Medjkouh, Said 2081 - CM Iwasaki, Yudai 2137 0 - 1
ライブでゲームを見ていた人は私の勝利を信じていたと思いますが、あれがドローになるとは私も驚きです。申し訳ない...好調の南條くんも連勝は3でストップ、相手が強かったですね。チームの勝ちを決めたのは満を持して登場した岩崎さんで、不戦勝を除けば個人として初勝利です。この勝利のおかげでアルジェリアとの接戦を制し、チームは1つ勝ち越しになりました。
Iraq - Japan 1 : 3
53.1 WIM Al-Rufaye, Iman 2171 - Ishizuka, Mirai 1839 1 - 0
53.2 Al-Fayyadh, Zainab Asif Abdulah 1635 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 0 - 1
53.3 Al-Khalidi, Aisha Ali Ahmed 1597 - Hasegawa, Emi 0 0 - 1
53.4 WFM Abdulzahra, Sali 1638 - Hoshino, Karen 1640 0 - 1
女子もイランを撃破。3番ボードの長谷川さんのゲームは、私たちがチェスを学ぶうちに忘れてしまった何かを思い出させるような、熱いロマンにあふれる一戦でした。この3試合でポイントを重ねている長谷川さんには、次も期待しようと思います。
Haddouche, M (IM, ALG, 2429) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (7)
1. e4 e6 2. d3 d5 3. Nd2 Nf6 4. Ngf3 b6 5. g3 dxe4 6. dxe4 Bb7 7. Qe2 Ba6!?
40th Chess Olympiad (7)
7月のCAISSA では、7...Nc6 を試しましたが、ここではもう一つのラインで勝負です。試合前日に発見し、みっちりアイディアを学びました。
8. c4 Nc6 9. e5
白は黒のe6-e5 (d4 のアウトポスト抑える重要なアイディア) を防ぐためにポーンを伸ばしますが、代わりにナイトのマヌーバリングを許してしまいます。
9... Nd7 10. Bg2 Nc5 11. O-O Bb7 12. Rd1 Qd3!
d3、d4 は黒の支配下にあるマスです。これを活用することで黒は敵陣にピースを送り込み、展開の遅さをカバーします。
13. Qxd3 Nxd3 14. Nb3?
14. Ne4 Rd8 15. Nd6+!? がオリジナルのゲームである、Zhang Zhong の指したラインです。
14... O-O-O-/+
これで単純に白はe5 が負担となり、黒良しの流れです。
15. Ng5 Ncxe5 16. Bxb7+ Kxb7 17. f4 h6 18. fxe5 hxg5 19. Bxg5
白は一時的にポーンを取り返しましたが、e5 が再び弱点となっています!
19... Rd7 20. Bf4 a5!
白にa2-a4 を突かせることで、b3 のナイトとb4 のマスを弱めさせます。
21. a4 Be7 22. Rd2 Bb4 23. Rdd1 Rhd8 24. Bg5 Rg8!?
ここはリードしていた時間を大量消費して、すぐに勝負を仕掛けるか悩みましたが、結局安全策を選択しました。
25. Kg2 Nxe5 26. Rxd7 Nxd7 27. Rd1 Kc8 28. h4 Nc5!?
局面を単純化しようとナイトの交換を計りましたが、Misha は自分であればb3 のナイトを働けないよう工夫すると、試合後にコメントをくれました。確かにb3 にいるナイトはさほど位置が良くないため、交換するのはもったいなかったかもしれません。
29. Nxc5 Bxc5 30. h5 f6 31. Bc1 Rd8 32. Rf1 Rd4!
白からのh5-h6 が見えていながらも、果敢にポーンの取り合いに挑みます。
33. h6 gxh6 34. Rxf6 Rxc4 35. Bxh6 Rc2+ 36. Kh3 Rxb2 37. g4 Rb3+ 38. Kg2 Rb4 39. g5
黒は白のクイーンサイドのポーンをパキパキと取って、駒得を広げますが、白はその間に唯一のパスポーンを進めました。あと2手で時間が増えるというこの局面で、黒の方針が狂い始めます。
39... Be7?!
39... Rxa4! 40. g6 Be7! 41. Rxe6 Kd7-+ 黒はa4 のポーンを取ってから、ビショップを退く余裕が十分ありました。
40. Rg6 Bxg5?
40... Rxa4! (再びこの手で勝利です。クイーンを作らせても、このマテリアルならば黒は余裕があります。) 41. Rg8+ Kd7! 42. g6 Rh4 43. g7 Rxh6 44. Rd8+ Kxd8 45. g8=Q+ Kd7-+
41. Bxg5 Rxa4
マテリアルは4ポーン+ルーク対ビショップ+ルークになりました。e6 のポーンはすぐに落ちるので、黒の武器は3コネクテッドパスポーンです。40手目前にこのポジションを考えた際は、黒はもう少し余裕を持ってポーンを伸ばせると楽観視していましたが、私はビショップの機動力を侮っていたようです。
42. Kf3 Rd4 43. Rxe6 Kb7 44. Ke3 Rd1
44... c5!? でも、白が最善を尽くせばドローだと思いますが、実戦的にはこちらのほうが白にとって難しそうです。
45. Ke2 Rd5 46. Bf4 b5 47. Re7!
良いディフェンスだと思います。c7 をアタックすることで、黒の負担を増やします。
47... Rc5 48. Kd3 a4 49. Bd2 Rc4 50. Ba5 Rc6 51. Rf7 Rc4 52. Re7 Rc6
この時点で勝利が露と消えたのを悟りました。黒のパスポーンは進めてもブロックされるだけで、落ちる危険性すらあります。
その代わり、この形でポーンを止めておけば、白からも局面を進展させるようなプランはありません。
53. Rg7 Rc4 54. Rf7 Rc6 55. Rg7 Rc4 56. Rf7 Rc6 1/2-1/2
これでチームが勝てなければ責任重大だなと思いつつ、2番ボード3番ボードもドローで、なんとか一安心です。しかし、課題の残るチェスでした。
さて、今日の8R はエジプト戦ですが、私が抜けることになりました。Behind では好き勝手に言われているようですが、相手のチームのレベルの関わらず、8R で私が抜けて残りの3戦に集中することは、レストデイ前から提案されていたことです。結局はチームとして決めたことなので、特に私たちの間では問題として扱っていません。私に期待して下さるのはありがたいことですが、イスタンブールにいないメンバーと議論しても仕方がないので、この件についてはこれぐらいにしておきます。
今日は試合前に会場で、オリンピアード後すぐに来日するMaxime Vacher-Lagrave に挨拶に行きました。彼とは初めて話をしましたが、印象通りの好青年でした。日本でのイベントも成功するよう願っています。
2 件のコメント:
小島さんまじかっこいいですb
どうもありがとうございます。戦績が伴えば良いのですが...
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