イスタンブールでの5日目は、ふたたびヨーロッパの強豪、ポルトガルとの対戦です。隣国スペインには劣りますが、それでもGM が2人チームにおり、日本にとっては遥かに格上の相手です。それでは棋譜の前に結果から。
Portugal - Japan 2½:1½
37.1 GM Galego, Luis 2495 - FM Kojima, Shinya 2282 1 - 0
37.2 GM Fernandes, Antonio 2395 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 0 - 1
37.3 IM Pereira, Ruben 2417 - FM Watanabe, Akira 2278 ½ - ½
37.4 FM Padeiro, Jose 2354 - Averbukh, Alexander 2211 1 - 0
このラウンド、南條くんがGM に初勝利、暁さんもIM にドローで、1.5P を奪うことができました。それでも自分の負けによってチームが負けが決まると、かなり悔しいものです。
Japan - Zambia 2 : 2
54.1 Ishizuka, Mirai 1839 - WCM Tembo, Epah 1927 0 - 1
54.2 Hasegawa, Emi 0 - Mtine, Joy Jottie 2050 1 - 0
54.3 Kikuchi, Arisa 0 - Mwango, Makumba Lorita 1806 0 - 1
54.4 Hoshino, Karen 1640 - Hamoonga, Banti Linda 0 1 - 0
女子は長谷川さんが今大会初勝利!カレンちゃんも勝って、厳しいと思われたザンビア戦をドローで乗り切りました。あとは石塚さんの初勝利が待たれるのみです。
誰でも負けるのは悔しいものです!それでは惜しかった私のゲームをどうぞ。
Galego, L (GM, POR, 2495) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (5)
1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. b3 Bg4 5. Bb2 e6 6. h3 Bh5 7. Be2 Nbd7 8. O-O Bd6 9. d3 O-O 10. Nbd2 Qe7 11. a3 a5 12. Re1 Rfd8 13. Qc2 e5 14. e4 dxe4!
40th Chess Olympiad (5)
用意とは違いましたが、多少の経験があるオープニングになりました。通常のKIA 同様、黒はd4 のアウトポストを活用することで手を作ろうとします。
15. dxe4 Bg6?!
ここでしばらく時間を使ったのですが、本譜の手と15...Nc5、15...Nf8 のどれがベストなのかよく分かりませんでした。しかし改めて考え直してみると、まずはd4 のマスを抑える15... Bc5! ぐらいで良さそうです。
16. Nh4!
当然の一手ですが、ビショップを取る手ばかりを考え、f5 への侵入を軽視していました。
16... Nf8 17. Bf1 Bc5 18. Ndf3 N6d7 19. Nf5! Bxf5 20. exf5+/=
f5 のナイトはとても強く、取らざるをえないと感じました。しかしこの交換により、e6 のマスが抑えられてしまい、Nf8-Ne6-Nd4 の構想を諦めなくてはならなくなります。完全にプランの練り直しです。
20... f6 21. Re4 Nb6 22. h4?!
この辺りの手をGalego は試合後に悔やんでいました。確かに本譜の流れを見れば、このポーン突きはアタックになっておらず、弱点を増やしているだけです。
22... Nc8 23. Ree1 Nd6 24. Bc3 e4!
ようやくカウンタープレーの兆しが見えてきました。f5 の邪魔なポーンを取り除けば、もう一つのナイトも復帰できそうです。
25. Nd4 Bxd4 26. Bxd4 Nxf5 27. Bb6 Re8 28. f3 Ng3 29. Bf2 Qc7 30. Bxg3 Qxg3 31. Rxe4
白はポーンを回収しましたが、黒マスを弱めたことが痛手になることは間違いありません。h4 のポーンも単なるターゲットです。
31... Rxe4 32. Qxe4 Ng6
ここはルークをセンターに回す手と迷いましたが、f4 にナイトを置けば何かしらあるだろうと思い、本譜をチョイスしました。
33. Qe6+ Kh8 34. h5 Nf4 35. Qd7
白がh3 のマスを抑えなければ、黒は容易にパペチュアルチェックに持ち込めますし、それ以上を狙っても良さそうです。しかし、いかんせん私の持ち時間が少なく、ここからどう進めて良いか分かりませんでした。
35... Qg5
試合後にこの手がミスだと思いましたが、これ自体はOK でした。35... Nxh5!? 36. Qxb7 Rg8 37. Qxc6 Nf4 (37... Qe5 38. Rd1 Qe3+ 39. Kh2 Qf4+ 40. Kg1 Qe3+=) 38. Qd7 h5 39. Rd1 Rf8 40. Qf5 g6 41. Qd7 Rf7 42. Qc8+ Kg7= ぐらいでも黒は問題なく、f6-f5 を狙ってクイーンの利き筋を消せば、黒はドローに持ち込めそうです。
36. Rd1 h6 37. Rd4 Qe5?!
白のルークの動きに混乱し、無駄な手を指してしまいました。37... Nxh5=/+ と大人しくポーンを取れば、黒良しのポジションです。
38. Re4 Qc5+?
クイーン交換は白がかなり良いエンドゲームになります。38... Qg5! と戻るべきでした。
39. Qd4 Ne6 40. Qf2?! Qxf2+?
時間が増える40手目、致命的なミスを犯しました。クイーンを交換した後にh5 のポーンが取れるかどうかばかりに目が行き、クイーン交換を避けるという単純なアイディアに気づいていませんでした...40... Qd6!=
41. Kxf2 Nc5 42. Re7 Nxb3
ルークをパッシブに使っても仕方ないかと思いましたが、本譜ではどうしようもないので、少しでもポーンを交換しておくべきでしょう。42... Rb8 43. b4 axb4 44. axb4 Na6 45. b5 Nc5 46. bxc6 bxc6 47. Rc7 Rb6 48. Rc8+ Kh7 49. Kg3+/-
43. Rxb7 a4 44. Rc7 c5 45. Bd3 Kg8 46. Be4 1-0
キングとルークのポジションがどうしようもないので、ここでリザイン。久々にGM 相手にポイントを取れるポジションを築き、チームの勝ちもチャンスがあっただけに、この負けは少し堪えました。
レストデイの今日は気を取り直して、南條くんと2人でイスタンブールの旧市街を見て回りました。彼とも12年の長い付き合いで、海外大会も多く共にしていますが、2人だけで観光に行くのは大変珍しいことです。
1日休みを挟んだ今日は、男子がウェールズ、女子がモザンビークとの対戦です。特に男子はかなりリストが近い所に当たったので、(しかし私は100上のIM!)ここは勝って、後半戦を気分よく始めたいところです。
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