大会3日目は1日2試合のスケジュール、朝8時半に迎えのバスが来て、カペルへと向かいます。午前中、3R の私の相手は、ポーランドの12歳の少年でした。これまで試合をしたRadslaw やAnna 以外にも、ポーランドからは多くのジュニアプレーヤーが、このカペルに乗り込んできています。
Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Winiarski, M (POL, 2097)
Cappelle la Grande 2013 (3)
1. Nf3 Nc6 2. d4 d5 3. Bf4 Nf6 4. c4 e6!?
Cappelle la Grande 2013 (3)
Chigorin Defence のサイドライン。メインで研究していたのは4... Bg4 ですが、こういった手もありえるでしょう。この後、黒がビショップをe7 に出すようであれば、先月のMeszaros 戦のようになるかと思っていましたが...
5. e3 Bb4+ 6. Nbd2 Ne4 7. a3
ここはうっかり、7. Bd3? g5! 8. Bg3 g4!-/+ と指すところでした(汗)
7... Bd6 8. Bg3 O-O 9. Bd3 Nxd2 10. Qxd2 dxc4 11. Bxc4 b6 12. O-O-O!?
私の最近の白のレパートリーで、ロングキャスリングするオープニングはほぼ皆無です。前回、白でロングキャスリングをしたのがいつだったか思い出せません(笑)12. Qc2! Bb7 13. Bd3 h6 14. Bh7+ Kh8 15. Be4 Na5 16. Bxb7 Nxb7 17. O-O+/=
12... Bd7 13. Qc2! Na5 14. Bd3 h6 15. b4 Qe8?
相手はこの時点で相当時間切迫でしたが、ピースを捨てなければいけないという判断は間違いでしょう。15... Nb7 16. Bh7+ Kh8 17. Be4 Rb8= ぐらいで問題はなさそうです。
16. bxa5 Bxa3+ 17. Kd2 Bb4+ 18. Ke2+/-
白はキングをe2 の安全圏まで逃せば、何も不安はありません。2ピースルークの駒割でも、白には強力なキングサイドアタックのチャンスがあります。
18... Ba4 19. Qc4 Bxd1+ 20. Rxd1 Bxa5 21. Bb1!?
ここからの白のプランを決める重要な一手です。白マスビショップを失った黒は、当然白マスをサポートしづらく、白はそこをついてキングへのダイレクトアタックを狙います。
21... Rc8 22. Qd3 f5 23. Ba2!
e6 のポーンやg6 のマスを弱めた後は、ビショップのダイアゴナルを切り替えて、キングへのプレッシャーを保ちます。
23... c5 24. Bd6 Rf6 25. dxc5 bxc5 26. Ne5 Qh5+ 27. Nf3 Bb6 28. Be7!
ルークをアタックしつつ、クイーンの道を空けることで勝負を決めます。黒はe6 のポーンを守りきることができません。
28... Rg6 29. Qd7 Rb8 30. Bxe6+ Kh7 31. Bxf5 Kh8 32. g4 Qh3 33. Bxg6 Ba5 34. Bf6 1-0
直前に2300台からポイントを取っているということで、多少警戒してゲームに臨みましたが、終わってみれば問題のない相手でした。これで貯金生活に入り、午後のラウンドを迎えます。
この3R では、小林くん、三村くん、石塚さんが2300台との対戦となりましたが、全員揃って負け。小林くんは1ポーンアップで、順当に行けば勝てるであろうというゲームを逆転メイト負けだったので、相当悔しいでしょう。私もカペルでは2ポーンアップを負けたりと、悔しい思い出がいくつもあります。そういった苦い思いをするのも、全て勉強です。続いて午後のゲームへ。
Jovanic, O (GM, CRO, 2547) - Kojima,S (FM, JPN, 2368)
Cappelle la Grande 2013 (4)
1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6!?
Cappelle la Grande 2013 (4)
これまでは7...Nbd7 ばかりを指してきましたが、Kamsky の得意とする最も人気のある手を、この強豪相手に初めて実戦投入します。
8. Bd2!? dxc4 9. Bxc4 Nbd7 10. b4!?
早めのBc1-Bd2 を生かすならば、こうなのかぁと思いつつ、黒で満足できる形を探します。個人的には、ここから15手目までは完全に予想通りの展開で、今まで研究してきたラインをうまく組み合わせて考えられたと思います。
10... Nb6 11. Bb3 Bg4 12. Rc1
自然に見える12. h3 Bxf3 13. Qxf3 e5! 14. dxe5 Qxd2 15. exf6 Qxc3 16. fxg7 Kxg7= は黒に全く問題ない展開でしょう。それを気にしての、12. Rc1 です。
12... e5!
このアイディアは少し違う形ですが、Giri, A - Almasi, Z のゲームから学びました。黒は一時的に1ポーンを捨てても、すぐにこれを取り返すことができます。
13. dxe5 Nfd7 14. h3
14. e6 fxe6 15. h3 Bxf3 16. Bxe6+ Kh8 17. gxf3 Ne5 18. f4 Qxd2!(私は試合中、18... Nd3 でもポーンの代償があると思っていましたが、こちらのほうがシンプルです。) 19. fxe5 Qxd1 20. Rfxd1 Rae8= こう進むようであれば、もちろん黒OK です!
14... Bxf3 15. Qxf3 Nxe5 16. Qe2 Qd3!?
このような形では、クイーンをぶつけて素早くルークを後ろに回すのが一般的ですが、ここでは16... Nd3 とナイトが飛び込む手も指せそうです。しかし、b4 のポーンを取らせてラインを開くのは、ダブルビショップを持つ白が多少の代償を持つと考えました。ならば堅くクイーン交換です。
17. Qxd3 Nxd3 18. Rb1 Rad8 19. Ne4 Rfe8 20. Ng5 Rd7
カペルでは20手未満のドローは禁止されており、ここまでの上位ボードのゲームをチェックすると、20手に到達した時点でドローにする組み合わせもちらほら見られます。私もこのポジションは黒が悪いはずはなく、よっぽどドローオファーしようかと思いました。しかし、悪くないならばもう少し白の指し方を見ようと思ってオファーを見送った途端、予想をはるかに超える手が相手から跳び出します。
21. e4!
いったいこの手が何なのか、試合中はほとんど分かりませんでした。c1-h6 のダイアゴナルを開いているので、白の最大の問題であったパッシヴな黒マスビショップの問題は解決できそうです。しかし、g5 のナイトを追い返せば、e4 のポーンはタダ落ちです。Jovanic はポーンを捨ててでもビショップを気にしているのかな?と思い、とりあえずナイトを追い返すことを決めました。それがこの試合最大の失敗であり、完全に相手の思うつぼでした。
21... h6?
21... Nb2! 22. Bc1 N2c4=/+ ならば、ダブルビショップを抑え込むナイトとセンターに早く回したルークの力により、黒がわずかに優勢だと判断できます。
22. Nxf7! Rxf7 23. Be3!+-
このポジションになって愕然としました。上記の変化ならば盤上を支配している2つのナイトが、今は不安定でガタガタです。黒はナイトをどこに逃がそうとも、2ピースルークより悪いマテリアルになります。
23... Nc8 24. Rfd1 Ne5 25. f4 Kh7 26. fxe5 Rfe7 27. e6
どこかで白が間違えないかと期待しましたが、白は間違えようがなく一直線です。完全に負けたことを悟りました。
27... Rxe6 28. Bxe6 Rxe6 29. Rd7 Rxe4 30. Bf2 b5 31. Re1 1-0
21手目の予想外な手に対し、冷静に考えればf7 切りは見えたはずです。3R は全く成立しなかった相手のサクリファイスでしたが、残った駒のアクティビティーによっては、2ピースルークの交換も十分であると認識し、もっと警戒しなければいけません。2試合目で疲れているのは相手も同じですので、言い訳のできない力負けでした。
4R、他の日本人は三村くんと石塚さんが下に勝ち。橋本さんは1700に再び負け。そして小林くんは私の友人、Gajek Radslaw と対戦して敗れました。小林くんはゲームの内容は良いものの、大切なポジションで自分に有利なように形勢判断をしてしまっている節があります。今日は残念な連敗でしたが、また気を取り直して星を積み重ねてほしいですね。
今日は再びポーランドのジュニア、しかも少女との対戦です。ポーランドジュニアは3連勝中の相性の良さを発揮し、ここまで勝って後半へと繋げていきたいところです。
2 件のコメント:
若い子達も頑張っていますね‼ 私の息子も行って見たいところでしょう…(^^)
女の子との対戦結果も楽しみにしています‼
将棋ソフトに記者のかたが挑戦したそうですよ
http://www.asahi.com/culture/update/0226/TKY201302250763.html
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