昨日までの記事でお気づきの方も多いと思いますが、今大会では私は帽子をかぶってプレーしています。私としては、チェス歴12年で初めての試みです。この帽子はブダペストを離れる1週間ほど前に友人から貰ったもので、とても気に入っているんです。帽子をプレゼントしてくれた竜也くん、見てるー?
かつて2009年に参加したカペルでは、キルギスタンのFM Tologon Tegin Semetei くんが、とても特徴的な帽子を被ってプレーしていたことが印象的でした。彼の真似をしているわけではないですが、会場で帽子をかぶっていれば目立つだろうと思い、今回試してみています。そして、帽子をかぶってプレーした試合は全て勝ち!(Jovanic 戦は帽子を脱いだ途端に悪手が(笑))昨日もこのジンクスに再びあやかろうと、帽子と共にポーランド少女との試合に臨みました。
Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Leks, M (POL, 2083)
Cappelle la Grande 2013 (5)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nfd7?!
Cappelle la Grande 2013 (5)
2度目の6. Ne5 のゲームは、すぐに不思議な手でのカウンターパンチ!見たことのないこの手に対して、白がアドバンテージを取る方法を考えます。
7. e4!?
白は従来のアイディア通り、c4 をポーンで取っても優位に試合を勧められるでしょう。7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 N8d7 9. e4! Nxe5 10. exf5 Ned7 11. a5+/-
7... Nxe5 8. exf5 Nd3+ 9. Bxd3 cxd3 10. Qxd3+/=
これが私のイメージしたポジションで、白には明らかな展開の優位があります。さらにはf5 のポーンの存在により、黒はe7-e6 が突けず、黒マスビショップの組み方が限定されることになります。
10... Na6 11. O-O Nb4 12. Qe4 Qd7 13. Bf4 g6
黒は遅かれ早かれ、この手を指すしかありません。13... 0-0-0?! 14. Nb5! は白の攻めが決まりそうです。
14. fxg6?!
ところが、ここがやや緩手でした。hファイルを開くことは、黒にルークでのカウンタープレーのチャンスを与えてしまいます。14. f6! e6 15. Be5 とダブルポーンを交換せず、f6 にポーンを残しておくほうが、黒の負担が大きいままでした。f6 まで進んだポーンが将来的なターゲットなることを気にしましたが、e5 にビショップを置けば確かに問題ありません。このような形は今月のCAISSA での、Zhou, G 戦で現れており、私の判断が苦手な分野だと言えそうです。
14... hxg6 15. Be5 Rh5 16. Rfe1 e6 17. Rac1 Bd6 18. Qf3!?
この手は時間をかけた末に、面白いアイディアだと思って試してみました。d3 でナイトフォークにも見えますが...?
18... Nd3 19. Ne4!
ここがクリティカルポジションです。実を言えば、私はNc3-Ne4 からf6 のカウンターナイトフォークを狙えば、白が優勢になると思いこんでいました。彼女にとっても、この手は予想外の一手だったのでしょう。しかし、冷静になれば黒はこのポジションを形勢互角で乗り切ることができます。
19... Bxe5?
ビショップを交換し、dファイルを開くことは、白の攻めを助ける結果になってしまいます。19... Nxe1! 20. Nf6+ Ke7 (20... Kd8!? 21. Rxe1 Rf5! 22. Qb3 Qc7 23. g4 Bxe5 24. dxe5 Rxf6 25. exf6 Qf4 26. Qa3 Qxg4+ 27. Kh1 Kc7 28. Qe7+ Kb6 29. Qxf7 Qf3+ 30. Kg1 Qg4+ この長い変化を読み切るのは難しいですが、黒が20... Ke7 とどちらを選ぶべきかは、簡単には言えません。) 21. Qb3! (21. Rxe1 Rf5! 22. Qxf5 exf5 23. Nxd7 Kxd7 24. Bxd6 Kxd6 25. g3=) 21... Qc7 22. Bxd6+ Qxd6 23. Nxh5 Nd3!
シンプルですが、チェスの奥深さを垣間見る一手だと思います。黒はナイトをd3 で取らせることにより、白クイーンの利きをb7 から外します。 (23... Rb8? 24. Ng3!+-) 24. Qxd3 (24. Qxb7+ Qd7 25. Qxd7+ Kxd7 26. Nf6+ Kc7 27. Rc2 Rd8=) 24... gxh5= このように変化は多いですが、全て黒満足な形勢に落ち着きます。昨日のJovanic とのゲームもそうですが、チェスのタクティクスというのは複雑なものですね。
20. dxe5 Nxe1
20... Nxe5? Nf6+ Ke7 22. Rxe5!+- は黒が大きな駒損です。白は先に黒にナイトフォークを許し、ルークを取らせましたが、ここからカウンターナイトフォークを決め、逆に駒得での優位を得ます。
21. Nf6+ Kd8 22. Rxe1 Qe7 23. Rd1+ Kc7?
そして最後の決定的なミス。試合中、なぜc8 に避けないのか理解できませんでした。23... Kc8 24. Nxh5 (検討で教えてもらったところ、彼女は24. Rd7? Qb4 25. Qd1 からの攻めが決まると読んでいたそうです。しかし、黒キングはメイトになりません!)24... gxh5 25. Qxh5 Kc7 26. h4+/- 白は1ポーンアップで、あとは丁寧にhポーンを突いていけば勝てるでしょう。
24. Rd7+ Qxd7 25. Nxd7 Rf5 26. Qb3!
白はナイトが生還するため、クイーン+ナイト VS. 2ルークの駒割となり、勝負を決めるマテリアルアドバンテージを得ます。
26... b6 27. Qd3 1-0
ポーランドジュニアとの勝負には4連勝!途中怪しいポジションもありましたが、下相手でも何事もなく順当に勝つゲームはさほど多くないものです。今日は2000台前半の地元のプレーヤーが相手ですので、ここまさっくり勝っておきたいですね。
折り返しの5Rは、2300弱に挑んだ石塚さんと三村くんが負け。他の3人が下に勝ちでした。今大会、ここまでなかなか格上からのポイントは多くないですね。7R 以降、そろそろ私も仕事をしなければいけません。
Kojima, S (FM, 2368) 3/5
Ishizuka, M (1790) 3/5
Mimura, K (1770) 3/5
Kobayashi, A (1997) 2.5/5
Hashimoto, A (UR) 2/5
Ishizuka, M (1790) 3/5
Mimura, K (1770) 3/5
Kobayashi, A (1997) 2.5/5
Hashimoto, A (UR) 2/5
2 件のコメント:
今日は山ですね。頑張れ~‼
はい、ありがとうございます。先程最新の記事も更新しましたので、そちらもご覧下さいね~。
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