2018/07/15

Summer Open 2018 Da1 Tournament Report


会場は久々のPIO です。Photo by Yamada, A

今日から2日間、蒲田でサマーオープンが開催されています。私はTuさんに次いでリスト2での参加となりましたが、初戦でいきなりまいったペアリングとなりました。円造くんはフランスから一時帰国中の中学生で、7月に2回レッスンを行っています。事前に指した際も、FIDEレイティング以上の実力を感じました。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Motoyama, E (FRA, 1996)
Summer Open 2018 (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 Nb6 7. Nc3 O-O 8. O-O Nc6 9. e3 e5!?



現在の主流は9... Re8 ですが、こちらもまだ指せるでしょう。実はさほど深く研究していませんでした。

10. d5 Na5 11. e4 c6 12. Bg5 f6 13. Be3 cxd5 14. Bxb6 Qxb6 15. Nxd5 Qd8 16. Rc1 Nc6!


つい最近見たフランスのトップGM の1人、Fressinet のゲームでは、16... Rf7? 17. b4! Nc6 18. b5 Na5 19. Nc7! Qxd1 20. Rfxd1 Rb8 21. Rd8+ Rf8 22. Ne8!+- という試合を見ていました。しかしこのライン、調べてみると94年に指されたゲームの解説の分岐にも書かれていました。このゲームを見た際に16... Nc6 も少し考えていましたが、ベストの変化を見つけられませんでした。

17. Qb3



ここは少し悩むところですが、17. b4 Bg4 (17... Be6 18. b5 Bxd5 19. exd5! Ne7 (19... Nb4 20. d6) 20. d6! Nc8 21. Qb3+ Kh8 22. Rfd1+/-) 18. Qb3 こうした変化のほうが多少良かったかもしれません。しかし、私の感覚ではb7を当てつつ、素早くd1 にルークを回せる本譜が自然に感じました。

17... Rf7 18. Rfd1 Be6 19. Qe3?!


白がはっきりとしたアドバンテージを掴むのは簡単ではないですが、試合後に調べたところ、19. h4!? が面白いかもしれません。アイディアはKg1-Kh2, Bg2-Bh3 から白マスビショップを交換し、d5 のアウトポストのコントロールを強めることです。これをやらなかったため、本譜ではd5 のナイトを簡単に捌かれ、黒が満足になってしまいます。

19... Rd7 20. a3 Ne7 21. Nxe7+ Qxe7 22. Rxd7 Qxd7 23. Bf1 Bf8



お互いにポーンに遮られたビショップを組みなおします。黒にダブルビショップを持たせている白は、白マスビショップを交換したのちにナイトを再びd5に組み替えるのが理想ですが、手数がかかりすぎて実現は難しく、チャンスを掴みづらい局面です。

24. Bc4 Rc8 25. Qb3 Rxc4?!


ここは黒に不正確な手がありました。ビショップペアを残すべき黒は、25... Kh8! 26. Rc3 Bh3!=/+ という選択肢を見落としています。

26. Rxc4 b5 27. Rc7 Qxc7 28. Qxe6+ Kg7 29. g4!?



互いに時間切迫の中、私はなんとか勝ちのチャンスを作ろうと画策します。g3-g4-g5 というプランはシンプルですが、どう止めるべきか黒は悩むところでしょう。

29... Qc1+ 30. Kg2 Qf4 31. g5?!


クイーンをf4に振られる変化も考えており、それにもgポーンの押し込みだと思い込んでいました。しかし、コンピュータは全く予想していなかった手を示します。31. Qd7+! Kh8 32. h3! Qxe4 33. Qf7! Qa8 34. Qxf6+ Bg7 35. Qe6!+/- 確かにこうしてf6 を取ってe5 を弱めれば、白がまだ勝ちのチャンスを残しているように見えます。しかし、e4 を早々に取らせる変化は勇気がいりますし、実際私はほとんど思いつきませんでした。

31... f5


31... fxg5 32. Qxe5+ Qxe5 33. Nxe5 Bd6 34. Nc6 Bc5= これでも形勢互角という評価ですが、白にのみパスポーンができるために少し黒は躊躇しそうです。本譜を選ぶ気持ちも理解できます。

32. Qf6+



試合後の検討で、32. Qxe5+ Qxe5 33. Nxe5 fxe4 34. Kg3 Bc5 35. Kf4 Bd4! 36. b3 Bc5! 37. a4 bxa4 38. bxa4 Bxf2 39. Kxe4 ならば、黒はドローに十分ではないかと話し合いしました。ただ本譜の手順では白に一切のチャンスがなく、こちらの分岐ならば黒は間違えないように正確に指す必要があります。ならば白が勝つためにどちらを選ぶべきだったかは明らかです。

32... Kg8 33. Nxe5 Qxe4+ 34. Kg3 Qd5!


恥ずかしながら、この手を見落としており、34... Qb7 35. Qe6+ ならチャンスがあると思っていました。とほほ...

35. f4 Bg7 36. Qe7 Bxe5 37. Qe8+ Kg7 38. Qe7+ Kg8 39. Qe8+ 1/2-1/2



最後はどうしようもなく、私からパペチュアルチェックを入れました。ポイントは落としましたが、色々と勉強になるゲームで良かったです。

続くラウンドは大西さん、青木さんに勝って2.5/3 となっています。加速が外れた3R は上位にとって多少ゆるめの当たりとなり、明日の4Rからまた上位同士の対戦になります。私は中村くんに白を引いたので、ここを勝ってTuさん、馬場さんら全勝組を追いかけたいところですね。ペアリングはChess Results で確認することができます。

Summer Open R4 Pairings

それでは皆さん、明日も暑くなりそうですが、ばてずに後半戦も乗り切りましょう。2日目もよろしくお願い致します。



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