2022/01/30

Italian quick d7- d5 line


久々にlichess で指したゲームから、オープニング分析を含めて解説を書こうと思います。

mASLOVSKIy (2350) - imsk (2593)
lichess blitz

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. d3 Bc5 5. c3 O-O 6. O-O d5!?

黒から早くd7-d5 と仕掛ける変化は面白いと思います。しかし、6. Nbd2 のように待たれた場合、早いNd2-Ne4 からの反撃が厄介であるため、d7-d5 のセットアップはリスクがあり、d7-d6 も黒は勉強しておくべきです。白側でもこのd7-d5 を許すか、6. Nbd2 のような手で待って避けるかは、プレーヤーの好みが分かれそうです。

7. exd5 Nxd5 8. Re1 Bg4 9. a4!?


9. h3 Bh5 10. Nbd2 Nb6 11. Bb3!? Qxd3 12. Nxe5! が2018年に発見された変化で、今夜が最終戦のTata Steel 2022 でも、8R のEsipenko - Giri のゲームで登場しています。この試合は3ポーンvs. ビショップの勝負に持ち込み、3ポーンを持つ黒側が勝利を収めました。本譜のa2-a4 が入ると何が違うかよく分かっていませんでしたが、ひとまずビショップトラップを防ぐために黒もaポーンを伸ばしておきます。

9... a5 10. Nbd2 Bb6!?

b6 に退くのは上記のようにナイトであるべきか、それともビショップか、判断の難しいところです。d5 のナイトはアクティブな位置なので、わざわざb6 に退きたくないという考えもあるでしょうし、ターゲットになるならば早めに逃げてビショップに反撃という考えもあります。私は個人的に多少のリスクを承知で、ナイトをd5 に残しておくのが好みです。

11. Ne4 f5?


e4 のナイトは取られても、白がdxe4 と取り返すことでd5 のピンのナイトを落とすことができるので、f7-f5 はすぐスレットになっていません。それでもポーンを突いておくべきだと考えたのですが、11... Kh8!? 12. h3 Bf5 13. Ng3 Be6 14. Qb3 (14. Nxe5? Nxe5 15. Rxe5 Bxf2+!-+) 14... f6 15. d4?! Bg8! 16. dxe5 Nxe5 17. Nxe5 fxe5 18. Ne4 c6-/+ このように進めたほうが良かったようです。e5 のポーンは孤立して弱いですが、その代わりにfファイルからの反撃に期待でき、黒は十分なポジションです。では本譜は何がいけないでしょうか。

12. Ng3?


この手は黒の望む流れになることはゲーム中に気づいていましたが、他に厳しい手があることは分かりませんでした。12. Bg5! Qd7 13. Ned2!+- このビショップを展開してからナイトを退く手が絶妙で、f3 のナイトをサポートしてビショップナイト交換の際にナイトを入れ替える準備をするとともに、Qd1-Qb3 からピンのナイトを狙います。d5 のナイト、e5 のポーンを両方満足に受ける方法が黒には無く、予想していたよりも白の優勢が大きい局面でした。ちなみに上記の変化のようなQd1-Qb3 の際、黒からのNc6-Na5 を気にしなくて良いのが、互いにaポーンを付き合った白のメリットとして考えられそうです。

12... Kh8! 13. h3 Bxf3! 14. Qxf3 e4!

こうしてeポーンでの仕掛けができるならば、黒はビショップを諦めても十分にお釣りが来ます。黒はe4 でポーンを取られても、f2 を落とすことができて勝勢です。

15. Qe2 e3! 16. fxe3?


本譜のように素直にポーンを取る手は黒の手が分かりやすいですが、16. d4 f4! 17. Nh1 f3! 18. gxf3 Bxd4! と積極的に仕掛けても黒は優位に立てそうです。

16... f4!

一時的にポーンを捨てた黒ですが、ピンを利用してポーンを押し進め、白の陣形を崩します。

17. Nf1 Ne5


17... f3! 18. gxf3 Nf4! 19. Qh2 Ne5-+ も綺麗にナイトが2つ白に襲い掛かり、黒の勝勢です。

18. Bxd5 Qxd5 19. Nh2 Nxd3 0-1

最後は少し迷いましたが、Ra8-Rd8 もあるのでd3 ポーンを取り返すくらいで十分だと考えました。ここで白の時間が落ちてゲームは終わりましたが、続けていても白は形が悪く、厳しい状況です。Italian におけるd7-d5 の仕掛けはリスクもありますが、成功すれば展開の早さで白にプレッシャーをかけることができます。新しいアイディアもまだまだトップクラスの試合で出てきそうなので、今後も注目したい変化です。

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