2018/08/20

国際親善チェス大会 in Niigata 2018 日中対抗戦 Event Report


昨日、8/19 は大会に1日遅れ、日中対抗戦が新潟日報メディアシップで開催されました。私はこちらのイベントへの参加を目的に新潟を訪れたため、日程変更のトラブルがありながらも、無事に開催されたことに胸をなでおろしています。今年は昨年のメンバーのうち、羽生さんが大多和くんに変更なり、他は私、南條くん、青嶋くんです。GM Liu Qingnun 率いる今年の中国メンバーはレイティング以上に強かったです。

私はXu Zhinhang とLiu Qingnun と男子メンバーと最初の2試合で当たって連敗。白を持ったLiu Qingnun 戦はかなり面白いポジションにしただけに、時間切迫で崩してしまったのはもったいなかったです。40分の指し切りは毎年厳しいですね。女子プレーヤーとの連戦になる後半戦は、なんとか持ち直しを図らなければいけません。

Hu, Y (CHN, 2070) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Niigata 2018 (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nh3 Nd7!?



Nh3-Nf4 ラインに最近研究しているのが、e7-e5e7-e6 かをすぐに決めない変化です。白の応手によって手を変えられる柔軟性があります。

7. Nf4 Qc7 8. c3 e6 9. h4 Bd6 10. Qf3 Ngf6 11. Bc4!?


11. h5 Bc2 12. h6 ならば、何度か指したことのある変化です。ここはどうするか迷うところですが、まずはイコアライズを目指して手堅く指すことにします。

11... O-O-O 12. Be3 e5!?



ここは少し思いつきにくいですが、12... Bxf4! 13. Bxf4 e5! 14. Be3 exd4 15. cxd4 (15. Bxd4 Rhe8+) 15... Qa5+ と進めるのが面白く、黒は黒マスビショップを諦める代わりにeファイルから素早く手を作ります。

13. Nxg6 fxg6 14. O-O-O exd4 15. Bxd4 Ne5


もちろん本譜も悪くありませんが、少し単調なポジションになってしまいます。黒でなんとしても勝ちを目指すのであれば、もう少しピースを残してチャンスを作るような変化を探すべきだったかもしれません。

16. Bxe5 Bxe5 17. Ne4 Nxe4 18. Qxe4 Rhe8



ナイトを交換するのも自然な流れで、こうした異色ビショップのミドルゲームとなりました。これはどうやってもドローに思えますが、相手のミスをつくテクニックさえあれば、ここからでも形勢は傾きます。

19. Kb1 Bf6 20. Qg4+ Kb8 21. h5?!


黒のキングサイドのポーンは弱みになりませんが、それでもダブルポーンを解消してくれるのはありがたいですし、何より遅く、黒に手を作るチャンスを与えてしまいます。

21... gxh5 22. Qxh5 Qf4 23. Bf7 Qe4+!



ここは単純な23... Rf8 を始めいくつかの手を考えましたが、白キングをa1 に押し込むことでバックランクの弱さをつく作戦を思いつきました。

24. Ka1 Rxd1+ 25. Rxd1 Re5!


相手にオープンファイルを明け渡すのは不安もありますが、d8 はきちんとビショップでカバーしているため、大きな危険はありません。黒のビショップはd8 をカバーしつつ、c3 でのサクリファイスをにらんでいるのに対し、白の白マスビショップは不安定で仕事も不十分です。異色ビショップのミドルゲームでも、ビショップの働きに差があればチャンスは作れます。

26. Qh3 Qc2 27. Qd7?



ルークを守りつつ、d6 でのチェックを狙うことで反撃を作ろうという作戦ですが、これは完全に失敗です。f2 を捨てて耐えるのがベストですが、それでも黒に勝ちのチャンスがあるのは明らかです。

27... Rd5!!


この手で勝ちになることを読み切りました。白はバックランクの弱さが苦しく、上手い受けがありません。

28. Qe8+ Kc7 29. Rb1 Rd1 0-1



ようやく中国チームに一矢報いるのことができました。ここまでの3R は、4-0負け、2.5-1.5負け、2-2引き分けで、少しずつですが僅差になっています。最後こそチームとして勝ちたい最終戦、私はWFM のXu Tong との対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Xu, T (WFM, CHN, 2131)
Niigata 2018 (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 d6 3. d4 g6 4. g3 Bg7 5. Bg2 O-O 6. O-O Nbd7 7. Nc3 e5 8. e4 exd4 9. Nxd4 Re8 10. h3 Nc5 11. Re1 a5 12. Ndb5 Bd7 13. Bf4 Bxb5 14. cxb5 Nfd7 15. Qc2 Ne6 16. Be3 Ne5 17. Rad1 h5 18. Nd5 Nd7 19. f4 Rc8 20. Qf2 b6 21. Nc3 Qe7



最終戦はここから簡単な解説にします。King's Indian で理想的な押し方をしてきた白は、ここで決め手を探します。

22. e5! dxe5 23. Bc6


ポーンを一時的に捨てても、白マスビショップとdファイルを開いて活路を見出します。23. f5, 23. Nd5 もありそうですが、どの順番からがベストかわからずに分かりやすいスレットを先に作ります。

23... exf4 24. Nd5 Qf8 25. Bxd7



ここも単純な駒得に走るか、もう少しプレッシャーを残すか迷いましたが、残り時間も少ないために前者を選びました。25. gxf4 からf4-f5 の押し込みを狙っても白は面白いポジションです。

25... fxe3 26. Rxe3 Qc5?


この手はどこかであるかなと考えていましたが、このタイミングはタクティクスが決まるためにダメです。

27. Bxc8 Rxc8 28. Rxe6! 1-0



クイーンを交換すれば、e7 でのフォークが決まって白は駒得を広げられます。1つ前の試合同様、パズルのようなタクティクスを決めて無事に連勝し、星をタイに戻したところで新潟での全試合を終えました。

最後も2.5-1.5負けで、日本はチームとして勝ち無し。全体では4勝10敗2ドローという戦績でした。今年はもう少しポイントを取れても良いメンバーだったと思いますが、40分指し切りで最後に時計の叩き合いになると、こちらが落ちるという展開がいくつかあり、それが響いたように思えます。来年は日本代表のチームtでプレーするか分かりませんが、持ち時間を25/10 にするよう進言してみるつもりです。いずれにせよ、日程変更のトラブルもあった中、きちんとイベント実現を成した運営の皆さんには感謝致します。


新潟のイベントは、参加者がこれから各々のブログでレポートを出すこともあると思います。それをチェックするのを楽しみにしつつ、私からのレポートも終わりにしようと思います。また来年もイベントが成功することを願っています。

2018/08/18

国際親善チェス大会 in 新潟2018 Tournament Report


1年ぶりに国際親善チェス大会に参加するため、新潟へと舞い戻ってきました。ブログでは初めて触れますが、ジャパンリーグ同様に中国からのゲストにトラブルがあり、彼らの来日が予定より1日遅れることが、大会直前に私たちに伝えられました。そこで私が参加する予定だった日中対抗戦は、18日から19日の開催へと変更になっています。


今年の大会会場はこれまで使ってきた天寿園から、新潟国際情報大学の中央キャンパスになりました。駅の南口からさらに南に下って向かう天寿園とは完全に逆方向、駅の万代口を出て北上します。途中で通った万代橋は、新潟市の観光名所の一つ。日本一の長さを誇る信濃川に100年以上かかる橋です。


万代橋を渡ってすぐに見えるのが新潟日報のビルです。こちらの20階展望台で、明日は日中対抗戦が朝8時から行われます。


会場に到着すると、一般参加者のトップであるAクラスのエントリーリストに、私たち日中対抗戦のメンバーの名前もありました。私は大多和くんと個別にトレーニングや話をするために大会は辞退、遅れて到着の青嶋くんも不参加で、南條くんのみがAクラスでプレーすることになりました。目下のライバルと思われた中国代表の女子プレーヤーも初戦で土がついたとなれば、南條くんを止められるプレーヤーはAクラスであろうと誰もいません。上位クラスは南條くんの4連勝となりました。


私が会場全体のゲームを見ていて目を引いたのが、Bクラス最終戦の1B、岩原くんのゲームです。3連勝同士で迎えた決勝戦、岩原くんは中国からの参加者相手に一歩も引かず、以下のポーンエンディングを迎えました。一見すると黒に勝ちのチャンスがあるように思えます。


Iwahara, S - N.N
Niigata 2018 (4)
Black to move

1... b5 2. b3!


2. cxb5 axb5 3. b3 b4 4. a4 c4! 5. a5 cxb3 6. a6 b2 7. a7 b1=Q 8. a8=Q Qg1# お互いにクイーンを作りあう展開は黒が1手早く、さらにはメイトにされてしまうために白失敗です。

2... b4 3. axb4 cxb4 4. Kf2! a5?



私は中国の選手がこの手を指したのを見て、白の大逆転勝利の目が生まれたと確信しました。ただし、この手が悪手なのは間違いないのですが、黒が最善を指しても白がきちんと応えればドローになるというのは、ゲーム中に読めていませんでした。4... Kf6! 5. Ke3 Ke7 6. Kd3 Kd7 7. Kd2 Kc7 8. Kc2 Kb6 9. Kd2 Kc5 10. Ke3! (言われてみれば当たり前ですが、黒のKc5--Kd4 を阻止できるのはこのマスもありました。代わりに10. Kd3?? a5!-+ ならばツークツワンクとなり、d4 に黒キングの侵入を許して白の負けです。) 10... a5 11. Kd3= 今度は上記と同じ局面でも手番を黒に渡しているためドローです。

5. Ke2 Kf6 6. Kd3 Ke7 7. Kc2?


白は唯一の勝機を逃がしました。7. c5!! dxc5 (7... a4 8. cxd6+ Kxd6 9. bxa4+-) 8. Kc4 Kd6 9. Kb5!+- こうして力強く白キングを上げる手が見つけづらく、白はポーンを一時的に捨てて勝負にいく変化を避けてしまいました。これでa5 を取ってからbファイルに戻れば、黒はc5 も守り切ることができず、白の勝ちです。

7... Kd7 8. Kd2 Kc7 9. Kc2 Kb6 10. Kd2 Kc5 11. Kd3 Kb6 12. Kc2= 1/2-1/2



白はc2,d2 のマスでキングを待機させ、黒キングがc5 にきたタイミングでd3 にキングを上げればドローです。勝ちを逃したとは言え、小学生で大人にも難しいこのポーンエンディングを指すというのは驚きでした。

日中対抗戦が翌日に移ったことを抜けば、特に大きなトラブルもなく今年も各クラス新潟の大会は無事に終わりました。今年も4クラスで70名を超える参加者がいたそうで、いつも通り盛況です。各クラスの入賞者の皆さん、おめでとうございます。そして参加者の皆さん、お疲れ様でした。今夜新潟市内に泊まり、明日の日中対抗戦も見学にくると言ってくれる人たちは多かったので、私は明日の本番に向けて気合を入れていこうと思います。


大会に参加しなかったのに後夜祭に出るのも妙だと思い、私と妻は大多和親子とともに閉会式後に会場を抜けてピア bandai へ。この施設にある寿司屋さんが目的地でしたが、あまりの人気ぶりに1時間待ちだったため、施設内のお土産屋さんをぶらぶらすることに。2万円で鮭をまるまる買う人は現れるのでしょうか...


米どころである新潟では、お土産屋さんにお米や関連の商品がずらっと並んでいます。一般家庭ではなかなか使われない羽釜、そしてなにより、かまどが売っていることにびっくり!


後夜祭後に交流した南條夫妻、青嶋くんも含めて、お寿司屋さんには日本代表全員が揃いました。私たちからすれば、これが前夜祭ですね。美味しいお寿司も頂きましたので、明日の日中交流戦はポイントを重ねられるように頑張ってきます。

2018/08/16

Japan League 2018 Day4 Tournament Report


ジャパンリーグ最終戦、私はTuさんから公式戦初勝利を挙げ、優勝を決めました。2B のAlex-Simon はドローとなり、6/7 での単独優勝でした。振り返ってみれば、2015年のジャパンリーグ以来、東京でのメジャートーナメントの優勝はこれが丸3年ぶりのことで、本当に嬉しいです! 応援してくださった皆さん、ありがとうございます。

1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2408) 6/7
2nd Place Averbukh Aleander (CM, JPN, 2101) 5.5/7
3rd Place Simon Bibby (FM, JPN, 2171) 5.5/7

Japan League 2018 Final Standings



最終戦のTuさんとのゲームは、序盤での彼の構想がおかしく、早い段階で優勢になりましたが、彼の負けまいという粘りのプレーに、なかなか最後まで気の抜けない展開が続きました。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Tran, T T (CM, VIE, 2352)
Japan League 2018 (7)

1. Nf3 d6 2. d4 Nc6 3. g3 g6 4. Bg2 Bg7 5. c4 Nf6 6. O-O O-O 7. Nc3 Nd7!? 8. h3!?



こうした手順からKing's Indian になることは、ある程度予想はしていました。ナイトを退かれる手は意外でしたが、これにはe7-e5 をじっと待ち、面白いアイディアを仕掛けようと画策します。

8... e5 9. Bg5! f6 10. Be3 h6?


前日のScott戦でもそうでしたが、g5 のマスを抑えたいのは理解できますが、fポーンとhポーンを両方動かしてしまえば、gポーンが極端に弱くなってしまいます。それを十分に補うアイディアなく、軽率にポーンを進めてはいけません。

11. dxe5!



展開の早い白は局面を開きます。白マスビショップも通っており、d5 のマスを綺麗に抑えている白は、すでに大きなポジショナルアドバンテージがあります。

11... fxe5?


ここは11... Ndxe5 12. Nxe5 Nxe5 13. c5 と進むだろうと予想していました。これでも白は展開の早さを活かして優勢です。

12. Nh4! Rf6 13. Nd5 g5!?



g6 を守り切るのが難しい黒は、思い切ってエクスチェンジを捨ててきました。13... Re6 14. Qc2 Nf8 15. Rfd1+/- であればg6 のポーンはすぐには落ちませんが、代わりにルークのがひどいポジションです。

14. Nxf6+ Qxf6 15. Nf3 Nd4 16. Bxd4!?


ここは悩むところですが、ビショップのペアを諦めてナイトを取り除きます。駒得し、展開の依然早い白はピース交換を進めながら、ルークが活きる展開を目指します。

16... exd4 17. Qd2 Nb6 18. b3 c5 19. Rad1 Bd7 20. Nh2!?



最初はe2-e3 とセンターを開きにいくつもりでしたが、g5-g4 があることに気付き、作戦変更です。ナイトを組み替えてNh2-Ng4 を狙いつつ、もう1つの大きな方針に踏み込むか検討します。

20... Bc6 21. Bxc6 bxc6 22. f4!


e2,e3 を弱めますが、ルークを持つ白はその力を最大限に発揮できるよう、オープンファイルを作りにいきます。キングの守りは気になりますが、g4 のマスでナイトが安定することも踏まえれば、十分に仕掛ける価値はあると判断しました。

22... Re8 23. Ng4 Qe7 24. fxg5 hxg5 25. Rf2



少し迷いましたが、一度e2 を守っておき、fファイルのダブルルークで攻撃チャンスを作りにいきます。

25... d5 26. Rdf1 dxc4 27. Rf7 Qxf7


Tuさんはすぐにクイーンを諦めましたが、もう1つの変化はどうなのかと試合中は悩んでいました。27... Qd6 28. Rxg7+!! Kxg7 29. Qxg5+ Qg6 30. Qxc5!+- この手が絶妙で、黒はd4 を取られてチェックからの攻撃に上手く対処する方法がありません。ルークを捨てる変化は頭にありながら、読み切るのにもう一歩というところで、試合中に指せたかは自信がありません。

28. Rxf7 Kxf7 29. bxc4 Nxc4 30. Qxg5 Rxe2



駒がずいぶん捌け、あまり経験のない駒割のエンドゲームになりました。キングサイドに2コネクテッドパスポーンはありますが、まずは黒のポーンを取りにいき、リスクを抑えるのが正しい作戦でしょう。

31. Qxc5 Ne5 32. Nxe5+ Rxe5 33. Qxc6 Re3 34. Kf2!


g3 を守るだけでなく、dポーンのブロックにキングを使います。メイトの危険さえなければ、白キングは積極的にセンターで使うべきです。

34... Bf6 35. a4 Ke7 36. a5



最初はhポーンを伸ばすつもりでしたが、ビショップが抑えているh8 でのプロモーションよりも、aポーンをつかうほうが賢いことに気が付きました。a7 はいつでも取れるため、先にポーンを伸ばして黒にプレッシャーをかけます。

36... Be5 37. Qc5+ Ke6 38. Qxa7 Ra3 39. a6


黒のルークは後ろに回りましたが、ビショップがa7 を抑える方法がないため、白のパスポーンは止められません。パペチュアルチェックもメイトの危険もないことはきちんと読み、ようやくしっかりと勝ちを意識しました。

39... Ra2+ 40. Kf3 Ra3+ 41. Ke2 Ra2+ 42. Kd1 d3 43. Qb6+ Kf5 44. a7 1-0



今大会、中村くんに初負けを喫してレイティング大幅マイナスかと思われましたが、Tuさんからの初勝利でレイティングを取り戻し、6勝1敗で変動は+-0です。オリンピアード前に少し上げておきたいところでしたが、下がらなかっただけでもOKとしましょう。2408 のままオリンピアードではプレーすることになりそうです。

そしてオリンピアードから帰国せずにハンガリーに向かう私にとって、おそらく今回が年内最後の国内公式戦になると思います。そんな大会を久々の優勝で飾れたので、喜びもひとしおです。公式戦ではなくとも、残り1か月のなんらかのチェスイベント、もしくは年明け以降の大会で皆さんまたお会いしましょう!


3年ぶりにメジャー大会の優勝盾が増えました。

2018/08/14

Japan League 2018 Day3 Tournament Report


3日目のジャパンリーグ Photo by Yamada, A

2日目に痛すぎる白での負けを喫した私ですが、しっかり休んで取り組んだ3日目は完全復活です。自分でも満足の指しまわしができたと思います。午前のラウンドはScottさんに白と、全日本選手権最終戦と同じペアリングと色になりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Scott, T (JPN, 2065)
Japan League 2018 (5)

1. d4 f5 2. Nf3 Nf6 3. g3 g6 4. Bg2 Bg7 5. O-O O-O 6. b3 d6 7. Bb2 Na6 8. c4 c5 9. d5 Bd7 10. Nbd2!?



全日本選手権ではサイドラインにしましたが、この日はメインに近いラインで勝負です。9手目までのポジションを先程調べ直したところ、データベースで1試合見つかり、それは私が5年前にハンガリーで指したゲームでした(笑) そのときは10. Nc3 と指して勝ちましたが、今回はナイトを低く組むことにします。狙いは将来的にe2-e4 を突き、e7 をアタックすることです。

10... Rb8 11. Re1 b5 12. Bc3!?


黒からのbファイルオープンのアイディアにはビショップをかわして対抗します。

12... bxc4?!


ゲームの流れを見ると、ここで早めにbファイルを開いたことは、黒よりも白にとってプラスになっているように思えます。d5 のポーンを弱めたくない白はb5 を自分から取ることはしないので、ポーンのぶつかりは保ったままなんらかのアクションを考えたほうが良かったでしょう。

13. bxc4 Qe8 14. Rb1! Nb4 15. Rb2!



開いたbファイルで早速ルークをぶつけ、オープンファイルを取りかえしにいきます。黒は自分からルーク交換をして完全にbファイルを明け渡すのも、相手にとられたクイーンなりナイトなりがb8 に戻るのも少し嫌でしょう。

15... h6 16. a3 Na6 17. Rxb8 Qxb8 18. Qc2!


Leningrad Dutch は試合経験が乏しく、苦手意識もありましたが、この日はKarpov のプレーをイメージして丁寧に指せたと思います。g5 へのナイトの侵入を嫌ったh7-h6 でしたが、それによって弱くなったg6 を狙うとともに、ルークをbファイルに回すアイディアも見せておきます。

18... Qc7? 19. Nh4!+-



このタイミングでg6 を狙う絶好の手が入り、白が勝勢になったことを確信しました。e2-e4 の切り札もある以上、黒がe7, e6, g6 のすべての弱点を支え切ることは不可能です。

19... Be8 20. e4 f4 21. e5 Ng4 22. Nxg6 fxg3 23. fxg3 Nxe5 24. Nxf8 Bxf8


これではっきりと駒得になり、後は無理なく決め手を探すだけです。

25. Bh3 Bg7 26. Be6+ Kh8 27. Rf1 Nb8 28. Nf3 Nbd7 29. Nxe5 Nxe5 30. Bxe5 dxe5 31. Qf5 Qa5 32. Qg4!



g8 でのメイトがあるため、次にRf1-Rf8 と跳び込むことができます。このメイティングアタックを避けるにはほぼ一本道ですが、ピースの交換が進めば白の勝ちのエンドゲームとなります。

32... Kh7 33. Bf7! Bxf7 34. Rxf7 Qe1+ 35. Kg2 Qd2+ 36. Kh3 Qg5 37. Qxg5 hxg5 38. Rxe7 1-0


続くSamuelくんとのゲームも上手く指して勝ち。この日は2連勝と調子を取り戻しました。トップを走っていたAlexはTuさんに負け。TuさんとSimon が連勝で、5/6 が4人並ぶデッドヒートになっています。明日の最終戦は私を含めたこの4人が当たり、優勝の行方が決まります。スペインのDavidさんと青嶋くんも4.5/6 で追ってきており、最大で5人同時優勝があり得ますね。

Kojima, S (5) - Tran, T T (5)
Averbukh, A (5) - Simon, B (5)
Aoshima, M (4.5) - Rivas Vila, D (4.5)

Japan League 2018 R7 Pairings


5勝1敗で4人が並ぶ珍しい展開がどういった結末を迎えるか。明日の最終戦も、皆さんよろしくお願い致します。


乗り換えで使う五反田駅に隣接したカフェの、日替わりカレーはいつも美味しいです。

2018/08/13

Japan League 2018 Day2 Tournament Report

ジャパンリーグ2日目のこの日は、思ったような試合運びができずに苦戦しました。午前のラウンドは中村くんとのゲームです。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Nakamura, N (JPN, 2078)
Japan League 2018 (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 g6 5. O-O Bg7 6. d4 O-O 7. Qc2!?



この変化はこれまで2回指され、どちらも負けています。ある程度は調べていましたが、はっきりどう指すとは決めていませんでした。

7... Ne4 8. Rd1 Qc8 9. Bf4 d6 10. d5 Nc5 11. e4 e5 12. Be3 a5


よくありそうなKing's Indian のポーンストラクチャーになりました。私は黒のf7-f5 は遅く、その間にクイーンサイドからブレイクできれば十分だろうと考えていました。

13. Nc3 Nba6 14. a3 f5!?



クイーンの位置がc8 であるため、この手は少し早いと感じていました。しかし、この手を正当化しようとする黒の試みを、正しく捌くのは私の予想より難しかったです。

15. Bh3! Qe8! 16. exf5 Bc8 17. Nh4 e4 18. Ne2?!


私は黒にポーンを返したうえで、f4 のアウトポストを抑えることで白優勢だと判断しました。ただその方法が間違いで、最初に18. Bf1! としておけば、早々にピンを外すことでgxf5 を強制し、同時にd3 のマスもカバーできます。

18... Nd3 19. Nd4 g5!



完全に意表を突かれる手でした。ポーンでf5 を取りかえすよりも、ゆっくりと白のピースを追い返すか捌くことで、安全に黒はポーンを回収できます。

20. Nhf3?


20. f6 から異色ビショップを残すのは白がつまらないと思いましたが、本譜の流れは厳しく、これしかありませんでした。f3 に刺さったポーンを過小評価し、そのうえで自分の黒マスビショップを過大評価してしまいました。

20... exf3 21. Qxd3 Qh5 22. Bf1 Nc5 23. Qc2 Bxd4 24. Rxd4 Bxf5 25. Qd1 a4!



これでb3 にナイトが刺さり、白は駒損を免れません。黒マスはコントロールしていても、黒キングに脅威となるアタックを仕掛ける方法がありません。

26. Rc1 Nb3 27. Rc3 Nxd4 28. Bxd4 Bh3?!


ここは中村くんも時間切迫でミスが出ます。f3 のポーンを差し出す理由はありません。これで息を吹き返したと思ったのもつかの間、この後の大切な判断を誤りました。

29. Bxh3 Qxh3 30. Rxf3 Qd7?! 31. Bc3?



ここは白にとってのラストチャンスで、抵抗をつづけるためにはルークを残さなければいけませんでした。黒マスビショップとクイーンだけのアタックには限界があるため、当然と言えば当然です。31. Re3! Qf5 (31... Rae8 32. Qh5! があるのがポイント) 32. Qe2! ならば、f2 を守りつつeファイルをコントロールし、黒に攻撃を与えずに堪えられそうです。

31... Rxf3 32. Qxf3 Rf8 33. Qe3 Qf5 34. h4 gxh4 35. Qd4 Kf7!


キングが中央に逃げだすのが良い判断で、白の反撃はこれまでとなります。

36. Qxh4 Ke8 37. Bd4 h5 38. Be3 Qg4 39. Qh2 Rf5 40. Qg2 Qxc4 0-1



途中黒にも甘い手はありましたが、全体を通して見れば完敗でした。このラウンド手痛い黒星で一歩後退ですが、隣のボードではTuさんも負けて、3R は大荒れの結果となりました。

4R はなんとか勝ちましたが、最後劣勢の局面で(試合中、少し優勢だと思っていました...) 相手の時間が落ちての勝利です。色々と今日は上手くいかない1日でした。明日は全日本の最終戦と同じ、Scott さんに白と発表されていますが、あまり深く考えずにゆっくり休むことにします。皆さん、3日目もよろしくお願い致します。



2018/08/12

Japan League 2018 Day1 Tournament Report

すでにお伝えしていた通り、今日から4日間、池上でジャパンリーグが開催されます。ブログで事前に書こうか迷っていたのですが、前回の記事から数日後、中国から来る予定だったマスター2人が、ビザの発行が間に合わないという理由で参加キャンセルとなってしまいました。2015年から3年連続で中国のGM が参加していただけに、今年初めてこうしたトラブルがあったのは残念です。しかし中国からのマスター参加がなくとも、他の海外からの参加者は例年よりも多く、58名の参加者でトーナメントはスタートしています。

私は初戦、後藤さん相手に白星スタートでしたが、他のボードではいくつも上位勢がポイントを削られました。58名中、勝ったのは23人で、下位者も3人アップセットしています。続く2R では、私は5年ぶりに韓国籍のプレーヤーとの対戦になりました。

Jo, U (KOR, 1885) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
Japan League 2018 (2)

1. c4 c6 2. g3 d5 3. Nf3 Bg4 4. Bg2 e6 5. O-O Nd7 6. b3 Ngf6 7. Bb2 Bd6 8. Qc2 O-O 9. d3 e5 10. Nbd2 Re8 11. e3 a5 12. a3 h6!



English Opening で始まったゲームは、得意のBc8-Bg4型になりました。ここは白からのh2-h3 が遅かったことを利用し、白マスビショップをc8 方向へ下げる準備をします。

13. Rfb1 Qe7 14. h3 Bf5!


ここでNf3-Nh4 をされてもh7 に逃げられるのが、12手目の狙いです。白の弱いd3 を攻撃することで、e3-e4 のポーン突き直しを誘い、e4 のポーン自体とd4 のマスを将来的に狙えるようにします。

15. e4 dxe4 16. dxe4 Bh7 17. Ne1 Nc5



コンピュータは17... Red8 を勧めますが、私はNd7-Nc5-Ne6-Nd4 からe4 のポーンを攻撃するプランを考えていたので、eファイルからのプレッシャーは残しておくべきだと思っていました。本譜はb3-b4 をどこかで許しても、ナイトを早めに切り替えることにします。

18. Rc1 Rad8 19. Bc3 Bc7 20. b4 axb4 21. axb4


21. Bxb4 Bd6 は黒問題ありません。次にナイトを退いた際に黒マスビショップを交換できれば、白はますますd4 のマスが弱くなります。

21... Ne6 22. Nef3 Nd4!



白は今更d4 をカバーしても遅いでしょう。黒はこれで強力なパスポーンとe4 へのアタックチャンスを得ます。

23. Bxd4 exd4 24. Nh4 Nxe4 25. Bxe4 Bxe4 26. Qxe4 Qxe4 27. Nxe4 Rxe4 28. Ra7 d3


少し考え、dポーンを捨てて安全に勝てるエンドゲームを見つけます。

29. Nf3 d2 30. Rd1 Rxc4 31. Rxd2 Rxd2 32. Nxd2 Rxb4



黒は2コネクテッドパスポーンを持ち、あとはこれを丁寧に進めるだけなのですが、その前にf2 への攻撃が決まったゲームは終わりました。

33. Ra8+ Kh7 34. Rf8 Kg6 35. Nf3 Rb2 36. Kg2 Bb6 37. Ne5+ Kf6 38. Ng4+ Ke7 39. Rb8 Bd4 40. Rh8 f5 0-1


初日連勝したのはリスト上位の私、Tuさん、南條くん、青嶋くんら9名でしたが、南條くんは初日のみの参加ということで、2日目からは姿を消します。2日目の連勝対決は以下の通りです。

Kojima, S - Nakamura, N
Higashino, T - Tran, T T
Aoshima, M - Noguchi, K
Averbukh, A - Koyama, N

Japan League 2018 R3 Pairings


注目は3Bの青嶋くんです。もしこのラウンドで勝てば、ライブレイティングが2300を超え、FM タイトル獲得となります。ドロー以下なら、FM タイトル獲得は4R 以降に持ち越しとなります。もちろん他のボードも、誰が3連勝4連勝と星を伸ばすか、目が離せない戦いが続きます。


1-2R の合間には、妻のリクエストでところてん探しにでかけ、意外と会場近くで見つけました。池上には10年以上通っていますが、池上会館近くの池田屋には初めて入ります。名物は葛餅だけでなくあんみつやところてんも、この暑い時期には嬉しいメニューですね。

2018/08/07

Japan League 2018 Tournament Preview


昨年のJapan League 入賞者たち

今年も夏の最大のイベント、ジャパンリーグの開催が迫ってきました。今回は池上会館にて、8/12-15までの4日間、7Rの日程で試合が行われます。私はつい最近まで、11日の土曜日からスタートだと勘違いしていました。ぎりぎりで気付いて良かったです。

今年も中国からはマスターが参加すると伝えられ、そのメンバーはGM Zhou Jianchao、WGM Huan Qiang だと発表されています。Zhou Jianchao は2年ぶり、Huan Qiang は初めての来日となります。偶然かもしれませんが、2015年以降中国から来るGM は、2500台と2600台が交互になっています。2015年はGM Zao Xue に私が、2017年は馬場さんがGM Xu Yinglun に競り勝って優勝を阻止していますが、2600台のGM はまた一段上の実力を持っています。昨年の優勝者である馬場さんを欠く今年の日本勢が、Zhou Jianchao とどう戦い、誰がポイントを削れるかに注目したいと思います。


一昨年のジャパンリーグでプレー中のZhou Jianchao

Japan League 2018 Entry List

一般の参加費は20000円と高額ながら、国内外からすでに34名のプレーヤーがエントリーしています。11日のエントリー締め切りまでに、50名程まで増えると予想しています。私もオリンピアード前の大切な大会として、優勝、そしてレイティングアップを目指してプレーしてくるつもりです。参加者、運営の皆さん、日曜日から4日間よろしくお願い致します。

2018/08/06

第8回七盤初心者のためのチェスレッスン


8月のいっぷくでのチェスレッスンまで2週間を切りました。年内は残り2回の開催です。参加者の皆さん、よろしくお願い致します。

【日時】 2018年8月19日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 エンドゲーム
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

チェスのエンドゲームは独特で、オープニング、ミドルゲームとは違う勉強が必要になります。エンドゲームを知ることで、よりチェスの世界を広げましょう。

2018/08/03

Chessify


昨日、Twitter で目にしたアプリを落としてみました。Chessify というこちらのアプリ、以前もどこかで目にした記憶がありましたが、ios 版がこのたびリリースされたとのことです。基本的に無料で利用できます。


どのような機能があるかと言えば、本に載っているチェスの局面をこのような画面で撮影し、データとして取り込むことができるというアプリです。慣れるまで少しコツがいるかもしれませんが、画面に表示されたa1 とh8 のマスを目安に枠内に合わせるのがポイントです。これがずれると、間違った局面としてデータ化されてしまうのでご注意を。読み込んだポジションは、そのままStockfish9 で解析することが可能です。


正しく撮影、データ化できれば手番を入力して保存します。駒のずれや間違いがあれば、ここで修正するか、撮影しなおします。


取り込んだデータ一覧はこのように表示されます。撮影の正確性が上がり、局面にゲームの情報を入力でき、フォルダに分けてまとめられると理想ですが、本の局面を取り込んですぐ解析できるというだけでも、十分に面白い機能です。最近は名刺を撮影してデータ化するアプリもあるようですが、それのチェス版といったところですかね。これで本(特に問題集)の局面を取り込んでおけば、遠征先などに本を持っていく手間が省けます。もちろん、先に取り込んでおく手間とどちらが大きいかという問題はありますが(笑) 興味のある人はぜひインストールして、使い勝手や利用方法をチェックしてみてください。私ももう少しいじってみることにします。

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