2019/06/11

Asian Continental Chess Championships 2019 R5


海外のチェストーナメントに来ると、食事が美味しくない、食べられるものがないといった話も時々聞きますが、幸いなことに私は食事で困った経験はあまりなく、日本から携帯食を持ってくることもほぼありません。今大会は中華を中心に、ベジタリアンの選手も困らないように野菜のメニューや、ファーストフードなども揃えられています。

5R の相手は中国のIM Dai Changren です。名前に聞き覚えがあったのは、2年前のWorld Cup でKramnik と対戦していたからでした。2500弱のレイティングですが、中国のトップ選手はもちろんのこと、つい先日はGrischuk といった世界のトッププレーヤーとも対戦をしている経験豊富な相手です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Dai Changren (IM, CHN, 2480)
Asian Continental 2019 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 Bd7!?



彼のメインレパートリーであるKing's Indian は予想していましたが、この変化は意外でした。7... e5 8. dxe5 dxe5 9. Bg5 Be6 10. Nd2 をメインで用意していたため、それに近くなるようにします。

8. b3!? e5 9. dxe5 dxe5 10. Bg5 Qc8 11. Nd5


b2-b3 を挟んだことで、a1-h8 のダイアゴナルが少し危なく、Qd1-Qa4 のような手も指せませんが、その代わりに黒も白マスビショップがd7 であるため、d5 のマスを受けられていません。本譜ではそれを利用し、すぐにナイトをd5 に飛び込んで勝負します。

11... Nxd5 12. cxd5 Nd8 13. Rc1 f5 14. Nd2 Nf7 15. Be3+/=



白はスペースとc7 へのプレッシャーで少し有利です。知らないオープニングでもひとまず成功を収め、ここからが本番です。

15... e4 16. f3 exf3 17. exf3!


どれで取り返すか少し悩みましたが、d5 を孤立ポーンにしても、e2 のポーンが弱点として残らないほうが良いと考え、ポーンで取り返す手を選びました。

17... Re8 18. Bf2?!



しかし、この付近からやや不正確な手が出始めます。Re8-Rxe3, Bg7-Bd4 のような筋を気にしてビショップを下げておきましたが、eファイルを先に取られるほうが厄介でした。ここは18. Re1 で白はまだ優位を保てています。

18... Bb5 19. Re1 Rxe1+ 20. Bxe1 Qd7 21. f4


e4 のマスを弱めてしまい、Nf7-Nd6-Ne4 を狙われそうですが、g2 のビショップを閉じたままで、d5 を狙われては仕方ないため、このポーンを伸ばすことにします。

21... Bb2 22. Rc2 Bd4+ 23. Kh1!



ここはルークを守るためにビショップを挟む一手に見えますが、f2 に上がったキングが危ないと感じ、少し時間を使って読んでこちらを選びました。

22... Re8


23... Bd3 24. Nc4! Bxc2 25. Qxd4 c5! 26. Qxc5 Be4 27. Bc3 Bxg2+ 28. Kxg2 このポジションは黒キング周りの黒マスが弱いため、エクスチェンジの代償は十分ありそうです。

23. Nc4?


しかし、ナイトのマスがここで違いました。24. Nf3! Bf6 (24... Bb6?! 25. a4 Ba6 26. a5 Be3 27. Bc3+/-) Bf2=

23... Qe7?!



黒が有利になるのは、この瞬間しか無かったでしょう。24... c5! 25. Bf3 Bxc4 26. bxc4 Nd6-/+ こうなると先述の通り、e4 のマスの弱さが気になります。

25. Ba5! Bc5 26. Bf3 Bxc4 27. bxc4!


ここはcファイルのオープンにこだわると失敗です。27. Rxc4? b6 28. Bd2 Nd6-/+

27... b6 28. Bc3 Qe3 29. Kg2 Kf8 30. Bf6 Qe1 31. Re2!



ルーク交換だけでも楽になりますが、ここではクイーンも交換できるため、eファイルを抑えられていたやや苦しい状況は、完全に脱することができます。

31... Qxd1 32. Rxe8+ Kxe8 33. Bxd1=


こうなれば白は問題ないはずと思いつつ、c4 のポーンを守りだけが少し気になりました。

33... Nd6 34. Be2 Ne4 35. Be5 Bd6 36. Bd4 Kd7 37. Bd3 Bc5 38. Be5 Nd6 39. h3 Nf7 1/2-1/2



最後はドローで合意して試合を終わらせました。1つの緩手でアドバンテージを逃してしまったのはもったいなかったですが、いろいろとミスもありながらも面白いゲームだったと思います。そしてこのラウンド、女子セクションでは妻のなつみがバングラデシュのマスター相手に、今大会初勝利を挙げました!

Hamid, R (WIM, BAN, 1929) - Kojima, N (WCM, JPN, 1711)
Asian Continental 2019 (5)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 d6 8. c3 O-O 9. h3 Nb8 10. d4 Nbd7 11. Nbd2 Bb7 12. Bc2 Re8 13. Nf1 Bf8 14. Ng3 g6 15. Nh2 c5 16. d5 c4 17. Be3 Nc5 18. Qd2 Qc7 19. Bg5 Be7 20. Nf3 Nfd7 21. Bxe7 Rxe7 22. Qg5 f6 23. Qg4 Rg7 24. Rad1 Bc8 25. Qh4 Rf7 26. Qh6 Nb6 27. Rd2 a5 28. Nh2 b4 29. Re3 b3!



30. axb3 cxb3 31. Bd3 Nxd3 32. Rexd3 a4 33. Rd1 Nc4 34. Qc1 a3 35. bxa3 Rxa3 36. Ngf1 Bd7 37. Ng4 b2 38. Qc2 Ba4 39. Qe2 Bxd1 40. Rxd1 Rf8 41.
Nd2 Nxd2 42. Qxd2 Qxc3 43. Qe2 Ra1 44. Ne3 Rxd1+ 45. Nxd1 b1=Q 0-1


キングサイドをきっちり守ったうえで、クイーンサイドからしっかり反撃を作れていると思います!

私は3人目の中国とのマスターとの試合で中国勢への連敗を止め、次のラウンドでは、インドのIM Vignesh との対戦します。またもや若く力のあるプレーヤーとの試合になりましたので、力負けしないように指してきたいと思います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R6 Pairigs


レストランには検討用のボード3つと、中国らしく卓球台が置かれています。この1台の卓球台が中国勢だけでなく、インド勢にも大人気で、気づくと毎日誰かがプレーしています。GM Aryan が大真面目に検討する奥で、GM Vidit たちが卓球に興じるというのは、なかなか面白い構図ですね。


私もモンゴルの女子選手、Munkhzul と昨日卓球をしてきました。彼女は将棋も熱心で、先月は、リコー杯女流王座戦に参加するために来日しました。そこで青嶋くんと指している写真を見た人も多いかと思います。チェスだけでなく将棋もきっかけとなって、もっと海外選手との交流が進むと良いですね。

2019/06/10

Asian Continental Chess Championships 2019 R4


空き時間に選手村(?) を散策すると、宿泊棟の合間には様々な空間があることがわかります。中国式の庭園もあれば、こうした人口の池もあります。意外と深いので、決して飛び込まないようにという立て看板も、漢字ですので意味はすぐ理解できました。

4R の相手はフィリンピン代表のGM Gomez John Paul です。フィリピンのGM とはこの10年で、かなり多く対戦をしてきましたが、彼とは初対戦になります。初手が4種類ほど、なんでもあるGomez ですので準備は大変で、しかも簡単に裏切られした。

Gomez, J P (GM, PHI, 2467) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (4)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c3 g6 7. O-O Bg7 8. Nbd2 O-O 9. Re1 Re8 10. h3



ここまで手順は違えど、今年の全日本の弘平くんと同じRuy Lopez のラインになりました。以前の記事で書いた通り、 Nd2-Nf1 を遅らせるため、h2-h3 で待たれると、Nd2-Nb3 のアイディアが残るため、b7-b5 にa5 を弱めるリスクが生まれます。はっきりと決めていたわけではなかったのですが、弘平くんとの試合とはここで手を変えることにします。

10... h6!? 11. a3!?


またもや白は手を待ちます。この手はa2 にマスを作りつつ、b2-b4 の準備になります。一方で、a2-a4 とくる可能性が下がったため、クイーンサイドで動くことにします。

11... b5 12. Bc2 Bb7 13. b4 a5!



a2-a4 の前にbポーンが伸びてくるのであれば、黒からクイーンサイドの反撃を仕掛けます。のんびりしてきて、a2-a4, Nd2-Nb3 を食らうのは好ましくないと考えました。

14. Bb2 Nd7!?


すでに白のナイトがd2 からf1 に移動していれば、Nc6-Nb8-Nd7-Nb6 のマヌーバリングもありえましたが、ここではNd2-Nb3-Na5 を先にされて、b7 のビショップを狙われてしまいます。そこで別のナイトをb6 に向かわせ、a4 のマスへの飛び込みチャンスを作っておきます。

15. Bb3 Nb6 16. h4



全く予想していなかった手で、指された直後はf6 からナイトがいなくなったことを上手く利用し、クイーンサイド、キングサイドどちらからも手を作るのとても巧みなGM の指し回しだと感心しました。h5 まで指されたポーンを安易にg6-g5 でかわそうとすると、Nf3-Nh2, g2-g4, Nh2-Nf1-Ng3, Nd2-Nf1-Ne3 から完全にf5 のマスを抑え込まれ、苦しい流れになると感じました。

16... Bc8!?


私のアイディアは白マスビショップ同士をぶつけ、a2-g8 のダイアゴナルをカバーすることで、g6 をf7 のポーンで取り返せるようにすることでした。しかし、ここでの判断はお互いに不正確でした。

17. h5 Be6?! 18. Bc2?!



白マスビショップをぶつけてから初めて、あれ? と思い、相手がビショップ交換を避けたことで私の確信は強まりました。白はビショップ交換とポーン交換に応じ、黒キングの前を弱めたことで満足すべきでした。

18... gxh5!


Gomez はこのポーン取りを過小評価していたのでしょう。f5 がアウトポストになり、h5 のポーンがダブルで弱ければ、ポーンを捨てた代償は十分あると考えたのだと予想できます。しかし、私はKing' Indian Fianchetto で黒からh7-h5-h4 とされた経験から、意外にこのポーンを取っても大丈夫だと知っていました、ただし、正確には17手目で取るべきだったので、その点は反省です。

19. Nf1 Qf6 20. g3


f3 のナイトが弱まるので、まさかこのポーンはついてこないだろうと思いましたが、Gomez はf4,h4 のマスのコントロールを重視してきました。20... Bg4 21. N1h2 ならば問題ないということでしょう。ならば私は計画通り、ナイトを回してf5 のマスをカバーします。

20... Ne7 21. Nh4 1/2-1/2



今から振り返れば本当に良くないと思うのですが、相手のオファーを受けてドローにしてしまいました。意外なタイミングのオファーに、1ポーンの代償なく黒が十分良いという自分の形成評価に、だんだんと自信がなくなってしまい、余計なことを考えた挙句に受けることにしてしまいました。実際には21... Bg4 22. f3 Be6 23. Ne3 axb4 くらいで、黒は十分なアドバンテージがある状況です。評価のしづらいポジションであっても、悪いということがないのであれば、もう少し強気にゲームを続けるべきでした。

次の相手は中国のIM Dai Changren です。またもや力のあるジュニアプレーヤーと当たることになりますが、そろそろ中国勢への負けをストップさせないといけません。折り返しとなる明日のゲームも頑張ります!

Asian Continental Chess Championships 2019 R5 Pairigs



トップ写真の続きで、こうした中国風庭園もあります。涼しい時間帯なら、こうした場所でのんびりチェスをするのも悪くありませんね。




2019/06/09

Asian Continental Chess Championships 2019 R3


会場ではトップポードが中継され、スクリーンに映し出されます。トップの試合が終わってしばらくすると、別の試合の局面に切り替わるので、下のボードでも長い試合は、スクリーンに映されるかもしれませんね。下位ボードでも油断できません。ちなみに試合中は会場に携帯の持ち込みが禁止されているため、全試合終了後にこの写真は撮らせてもらいました。

さて3Rの相手は台湾の少年です。まだ幼いながら、昨年からはOlympiad、Asian Continental、First Saturday と試合経験を積んでおり、ゲームを見ていてもしっかり勉強している様子が伺えます。今大会初めてのレイティング下位の相手ですが、私も初ポイントが欲しいので気合を入れて臨みます

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Bai, A (CM, TPE, 2074)
Asian Continental 2019 (3)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 e6 6. e4 Bb4 7. Qc2!?



今現在、指すのをやめているとはいえ、このSlav のラインは私が黒番で得意とするところです。昨晩からこの変化に何を指すか悩んだ結果、最終的にc4 でポーンを捨てる変化を選びました。

7... b5 8. Be2 O-O 9. O-O Bxc3?!


b5 を守るためとはいえ、黒マスビショップを消して黒マス全体を弱めるのは危険に見えます。

10. bxc3 h6 11. Ne5



黒はNf3-Ng5 を警戒して10... h6 を指してきましたが、e4 にナイトを向かわせたければ、d2 経由も考えられます。11. e5 Nd5 12. Ba3 Re8 13. Nd2! Nd7 14. Ne4 くらいでも良かったでしょう。

11... Bb7 12. Ba3 Re8 13. Rfd1?!


ここからピースの組み方が迷走しました。11手目からの構想では、どちらかのルークをb1 に回したうえで、Ne5-Nxc4 を狙うつもりでしたが、c6-c5 からビショップの利きを開かれ、e4 を狙われるとぴったりクイーンとルークが当てられてしまいます。その際にb5 とe4 を取り合うようでは、c4 のポーンを取り返しても白に大したアドバンテージはないと考えました。

試合後の解析でも様々な手を見ましたが、13. Qb1! がおそらくベストの手で、先述のルークをb1 に回す構想同様に、b5 とc4 のポーンを同時に狙います。しかもこれであれば、ルークはターゲットになりません。他のいくつかのラインで、Qd1-Qb1 が、b5,c4 の同時攻撃になるアイディアは知っていましたが、すでにクイーンをc2 に動かしていたため、そのアイディアが頭に浮かびませんでした。

13... Qc7 14. f4 a6 15. Bf3



黒はゆっくりとピースを展開し、c6-c5 の準備を整えつつあります。これに対してすでに白は面白みのあるアイディアを失い、嫌な流れが続きます。

15... Nbd7 16. Nxd7 Nxd7 17. e5 c5!


黒がBa3-Bd6 を指す前にこのポーンを伸ばし、駒を捌きにいくのは良い判断です。この先、私はドローを目指す苦しいエンドゲームを覚悟しました。

18. Bxb7 Qxb7 19. dxc5 Qc7?!



しかし、このクイーンを戻す手が不正確で、白にチャンスが舞い戻ってきました。ここはRe8-Rc8-Rc7, Ra8-Rc8 と組んでいれば、確実にc5 を落とすことができ、黒がポーンアップのエンドゲームになっていたでしょう。

20. Qf2! Rec8?


彼はおそらく、c6-c5 の段階から、c5 にはこのようにヘビーピースを当てれば必ず取り返せると思っていたのでしょう。しかし、実際にはどちらのルークを当てるかで全く話は違います。20... Rac8 21. Rd6 Nxc5 22. Bxc5 Qxc5 23. Qxc5 Rxc5 24. Rxa6 ならば、ドローのエンドゲームです。

21. Rd6!



私も少し前まで、黒が実はc5 を簡単に取り返せないことに気づいていませんでした。それに気づいたことで余裕が生まれ、ルークを侵入ささて勝負にいく手を指すことができました。

21... Nxc5??


彼は時間を使ったにもかかわらず、白のタクティクスに気づかずポーンを取ってしまいました。正しくは21... Kh8!? 22. c6 Nb6 23. a5 Nd5 24. Bc5 と指すべきで、白が少し優勢ながら、まだまだ勝負は分かりません。

22. Bxc5+-



私がこのナイトを取って初めて、彼はピースを取り返せないことに気づいたのでしょう。22... Qxc5 23. Rd8+ のディフレクションがあり、黒はルークかクイーンが落ちてしまいます。

22... bxa4 23. Rxa4 Rab8 24. Bb6 Qb7 25. h3


ピースアップになった後は、万が一の逆転が起こらぬように注意深く指すのみです。

25... Rc6 26. Rxc6 Qxc6 27. Rb4 Qe4 28. Kh2 Rd8 29. Bxd8 1-0



最後のルークただ捨てはうっかりではなく、勝負を投げたということでしょう。一発相手のタクティクス見落としによる申し訳ない白星ですが、連敗が止まって胸をなでおろしています。


試合前にお土産をいただきまひた。I love Taiwan!

次はフィリピンのNo.4 GM John Paul Gomez との対戦です。フィリピンはGM も多いですが、その多くが全盛期から少し力を落とし、2400台になっています。しかし、私からすればまだまだ格上の相手たちですので、気を引き締めなおして試合をしてきたいと思います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R4 Pairings

余談ですが、自分のパソコンの充電ケーブルが反応しなくなり、パソコンが使えなくなるトラブルに見舞われました。ブログを始めて9年目にして、初めて記事をほぼiphone から書き、最後だけ妻のパソコンを借りました。今日はなんとかしましたが、明日以降、記事の更新に支障が出るかもしれません。

2019/06/08

Asian Continental Chess Championships 2019 R2


今回のAsian Continental では、選手は何棟も並ぶコテージ風の建物(部屋はほぼホテル) に割り振られて宿泊しています。宿泊棟から坂を上がっていった頂上に試合会場があり、全体が選手村のようになっています。チェス以外の競技でも使えそうですね。

2R は初戦負けにもかかわらず、ほとんどレイティングの変わらないGM との対戦になりました。彼は初戦、インドの2300台に負けており、初戦負けたプレーヤーの中でリストトップでした。もちろん、こういうあたりになることも覚悟の上で参加しています。

Zheg, Chongsheng (GM, CHN, 2561) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Asian Continental 2019 (2)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. Ng5 d5 5. exd5 Na5 6. d3!?



Two Knights のメインラインになることは事前の準備で分かっていましたが、まさかこんなマイナーラインを指されるとは... かすかな記憶を頼りに手を探します。

6... h6 7. Nf3 e4 8. Qe2 Nxc4 9. dxc4 Bc5 10. Nfd2 O-O 11. Nb3 Bb4+?!


しっかり考えたつもりでチェックを挟みましたが、ビショップがe3 のマスを抑えている状況で、先にBc8-Bg4 を入れておくほうが良かったでしょう。11... Bg4 12. Qf1 Bb4+ 13. c3 Bd6 と進めば、白はf1 に下がったクイーンをどうするか、まだ課題が残ります。

12. Bd2 Bg4 13. Qe3 Bxd2+ 14. N1xd2 b5



これが私のアイディアで、e3 にクイーンを上げさせたうえでd5 を取りかえせるようにすれば、ポーンダウンでも面白いポジションなのではないかと考えました。

15. h3?!


本譜では黒がポーンを取りかえして楽になるため、15. cxb5 Nxd5 とするほうが良かったでしょう。

15... bxc4 16. Nxc4 Nxd5 17. Qg3 Be6



ここは17... Bh5 と迷いましたが、白キングがどちらにキャスリングするにせよ、e6 のほうがバランスよく白キングにプレッシャーをかけられると思いました。c4 の浮いたナイトを白がどうするかも気になります。

18. O-O-O Qe8!? 19. Rd4 f5 20. Nc5 Nb4 21. Ne5 Nc6


Qd8-Qe8-Qa4 や、Nd5-Nb4 からa2 を狙う構想でしたが、上手くいかなかったためにナイトを捌いて耐えることにします。

22. Nxc6 Qxc6 23. Qc3 Rad8 24. Rhd1 Rxd4 25. Qxd4 Bf7 26. g3 Re8



dファイルを抑えられてはいますが、ビショップをキープしたままルークもゲームに参加させることができるようになり、黒はさほど悪くないのではないかと思える状況になりました。しかし、初戦同様に持ち時間がすでに2分近くとピンチです。

27. Qe3 Qb5 28. b3 a5!? 29. Rd7 a4 30. Kb2 axb3 31. cxb3 Ra8?


孤立したaポーンを捌き、白キング前を弱体化させる作戦はOK でした。しかし、ここでの緩手で黒はチャンスを逃します。aファイルが開いたのでルークをaファイルにというのは安直で、a2-a4 を突かせても、b3 のポーンはさほど問題にはなりません。ルークをaファイルではなく、5段目に上げるアイディアは頭にあったのですが、本譜を指してからそちらのほうが良かったのではないかと後悔しました。31... Re5! 32. Rxc7 (試合後、32. Rd8+ Kh7 33. Nd7 この手筋を相手に示されましたが、33... Rd5! 34. Nf8+ Kg8 35. Nd7+ Kh7= これでパペチュアル以上は無く、黒は問題ありません。) 32... Rd5! 33. Na4 Rd3 34. Qa7 Rd2+ 35. Rc2 Qe5+ 36. Nc3 Rd3 本譜のようにパッシブに待つだけでは黒はジリ貧ですので、c7 を捨ててでもルークをアクティブにして反撃すべきでした。

32. a4! Qc6 33. Qd4! Re8 34. a5 Ra8 35. a6 Qb6 36. Qc3 Rb8 37. g4 f4 38. Qd4 Re8 39. Rxf7!?



相手も段々時間切迫になり、互いに待望の40手目を迎える直前で、相手が予期せぬ手を指してきました。もちろん黒はこのサクリファイスに応じるほかありません。

39... Kxf7 40. Qd5+ Ke7 41. Qxe4+ Kd8?


時間が増えた直後、余裕もできた状況でこのミスはひどかったです。キングをf,d のどちらに寄せるか迷い、不正解を選びました。直感的にはセンターにとどまり、e8 のルークの利きも遮る本譜はおかしいのですが、一度ルークがクイーンに当たるならば良いだろうと楽観視していました。41... Kf7! 42. Qd5+ (42. Qxf4+ Qf6+ 43. Qxf6+ Kxf6 44. Kc3+/- これでも白が良いですが、黒はもうひと踏ん張りすべきです。) 42... Ke7 43. a7 Qd6 44. Qe4+ Kf6 45. Qxe8 Qd4+ 46. Kc2! (46. Ka2? Qxf2+ 47. Ka1 Qd4+ 48. Kb1 Qd1+ 49. Kb2 Qd4+=) 46... Qxc5+ 47. Kd3 Qxa7 48. Qf8+ Ke6 49. Qxf4+/- これで1ポーンアップの白良しというコンピュータ評価ですが、途中は互いに難解です。これであれば、分岐の2ポーンエクスチェンジの勝負を白が選ぶこともありえそうです。

42. a7! Qxa7 43. Qd5+ Ke7 44. Qe6+ Kf8 45. Nd7# 1-0



ポーンを伸ばされた瞬間、メイト筋は見えていましたが、最後までやることにしました。初戦同様、2500後半のGM 相手にゲームは作っているつもりですが、肝心のところで間違えて負けという展開が続きます。トーナメント連敗は久々なのでへこみますが、気を取り直して明日ポイントを取れるようにプレーしてきたいと思います。


中国の山の中に来た感が強い光景です。


下の宿泊棟から会場まで徒歩で坂を上がるのは大変なので、こうしたゴルフカートのような車に選手は乗ることができます。

そしてこの日は、妻のなつみが女子セクションでフィリピンの2100台からドローを挙げ、連敗の私に代わって日本勢初ポイントを取りました! 準備が当たったこともありましたが、中盤も危なげなく指して勝っていてもおかしくない試合内容でした。白を再び引く3日目も期待したいですね。

私が連敗で迎える3日目は、台湾のジュニアとの対戦が組まれています。どこかで見たことあるなと思っていましたが、昨年のバツミオリンピアードで、台湾の1B を務めていた子です。台湾で実力がNo.1 ではありませんが、トップボードに据えられるということは、将来を期待されているのでしょう。レイティングは下ですが、油断せずに試合をしてこようと思います。

Asian Continental Chess Championships 2019 R3 Pairings

2019/06/07

Asian Continental Chess Championships 2019 R1


今日から中国河北省のXingtai で、Asian Continental Chess Championships が始まりました。私は初戦、中国注目のジュニアGM Xu, Xiangyu との対戦になります。試合前夜(というより当日) 午前2時過ぎに会場に着いたので、休息や準備が万全とは言えませんが、楽しみにしていた相手との試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Xu, Xiangyu (GM, CHN, 2583)
Asian Continental 2019 (3)

1. Nf3 g6 2. d4 Bg7 3. c4 c5 4. e4 d6 5. Be2 cxd4 6. Nxd4 Nc6 7. Be3 Nf6 8. Nc3 Bd7 9. O-O O-O 10. h3 Nxd4 11. Bxd4 Bc6 12. Qc2 a5 13. Rad1 Nd7 14. Bxg7 Kxg7 15. Rd4!? a4 16. Rfd1 Qa5 17. Qc1 Nc5 18. e5!? Ne6! 19. Rd5!



一瞬、e5 がタダ落ちで勝負にならないのではと焦りましたが、白はエクスチェンジを捨てて勝負することができます。

19... Bxd5 20. Rxd5 Qd8 21. Ne4 Nc7


白の狙いはd6 へのプレッシャーと、チャンスがあればQc1-Qc3 からf6 のマスにナイトを跳びこむことです。

22. Rd4 Rc8?!



ここは22... Ne6 23. Rd5= でドローというのがコンピュータの評価ですが、Xu Xiangyu はルークを回してcファイルからの反撃を作りにきます。これに対しては、ここまでおとなしかったビショップの出番となり、白のチャンスです。

23. Bg4! Ne6 24. Bxe6 fxe6 25. Ng5!?


25. exd6 exd6 26. Rxd6 Qe7 27. c5+/- この局面の評価ができず、d6 よりもe6 やh7 を狙うことにします。

25... Qb6



25... Qd7 26. Nxh7! Rf5 27. Rh4 Rh5 28. Rxh5 gxh5 29. Ng5! (29. Nf8 Rxf8 30. Qg5+= これならばパペチュアルでドローです) 29... dxe5 30. Qc2 Rh8 31. Qe4 Rh6 32. Qxe5+ Kg8 33. Ne4+/= これで白良しの評価も難しいので、途中分岐のドローにしていた可能性は大いにあります。

26. Nxe6+ Kg8 27. Qh6?


残り2分まで考え、自身が無いながらもこの攻めにいったのが失敗でした。時間がもう少しあれば、正しい手も見えたと思います。27. exd6 exd6 28. c5! (28. Qd2?! Rf5!) 28... dxc5 (28... Rxc5 29. Nxc5 Qxc5 30. Qxc5 dxc5 31. Rxa4+/-) 29. Nxf8 Rxf8 30. Rxa4+/- cポーン突きから一時的にd4 のルークへのアタックを止めれば、白はエクスチェンジを取りかえし、逆転で有利なエンドゲームでした。

27... Rf7 28. exd6 exd6 29. Rf4?



ここは29. Qd2 と指して耐える一手でしたが、そうするならばそもそもh6 に跳び込んではいません。

29... Qxb2 30. Rxf7 Kxf7 31. Ng5+ Ke8 32. Nxh7 Kd7 33. Qxg6 Qc1+ 34. Kh2 Qf4+ 35. Kg1 Rxc4


こうしてクイーンにサポートをされたうえでc4 を取られてしまうと、ルーク取りのチェックもなく、万事休すです。

36. Nf6+ Kc6 37. Qe8+ Kc5 38. Nd7+ Kb4 39. Qe1+ Ka3 0-1



最後はチェックが切れるところまで逃げられて終わりです。エクスチェンジ捨てから面白い状況にできただけに、肝心のポジションで上手く指せなかったことが悔やまれます。

この日は妻のなつみも負けで、日本勢は揃って敗戦です。そして私は敗れても、さほど今日の相手とレイティングの変わらない中国GM が、次の相手と発表されています。黒番ですがなるべく早めにポイントを取って立て直しを図りたいですね。2日目も頑張ります!

Asian Continental Chess Championships 2019 R2 Parings



このドームが試合会場で、奥にもう1つ同じ建物があり、そちらはレストランとなっています。


オープニングセレモニーでは、中国武術の演武が披露されました。ベトナム軍団の後ろから観戦します。

今回、レンタルしてきたwifi の容量の関係で十分に情報をお届けできないかもしれませんが、残り8日間、なるべくレポートできればと思います。

2019/06/02

Tokai Open 2019 Tournament Report



この週末は東海オープンに参加するため、名古屋にきています。土曜日の昼過ぎまで東京で仕事をし、夕方の新幹線で試合前日に現地入りしました。土曜日の楽しみは夕飯だけですが、せっかくならと初めての名古屋グルメに挑戦します。伏見駅前にある鯱壱は、味噌煮込みうどんならぬ、カレー煮込みうどんの専門店。和風だしとあわせながらも、しっかりスパイシーで、蕎麦屋のいわゆるカレー南蛮とは一風違った美味しさです。味噌煮込みうどんどうように、麺をかなり堅めにゆでてあるのも特徴的ですね。

明けた日曜日は、朝からハードな1日4試合のスケジュールです。30分+1手30秒の早指しで、私は浜根さん、高田くん、田中くんに3連勝。そして3年連続、東海オープンでトリを務めるのはScott です。しかも今年も黒でした(笑) 序中盤を飛ばして終盤を解説します。


Scott, T - Kojima, S
Tokai Open 2019 (4)
Position after 56. b6

56... Rh1+?


時間が無かったとはいえ、ルークを交換すれば駒得している黒が有利だと思ったのは浅はかでした。ここは代わりに56... Bb7! 57. Rb4 Rd2 58. Rxd4 Ke7-/+ と指していれば、まだ黒にチャンスがあったでしょう。b7 でのブロッケードは当然考えましたが、d4 を取られた局面の評価が正確にできませんでした。

57. Kf2 Rxb1 58. Bxb1 Bb7 59. Ke2 Ke7 60. Kd3 f6!



ルークを交換した後、単純にb6 を取りにいくと負けのポーンエンディングになることに気付いて愕然とします。60... Kd6? 61. Kxd4 Kc6 62. Be4+ Kxb6 63. Bxb7 Kxb7 64. Ke5+- と進めば、黒のポーンは根こそぎ取られて万事休すです。しかし本譜のように、白もd4 を取りにいくために一時的にキングでb1-h7 のダイアゴナルをブロックしなければいけないため、f7-f6, g7-g5 を指すことができるとぎりぎりで気付きました。

61. Kxd4 g5 62. Bf5!?


私は試合中、62. Be4 ならば白の勝ちなのではないかと考えており、Scott がそれを見落としたのはラッキーだと思いました。しかし、この変化は我々が考えていたよりも複雑で、検討で出した結論も間違いでした。62. Be4 Bxe4 63. Kxe4 Kd6 64. Kf5?! (64. fxg5 fxg5 65. Kf5 h4 66. gxh4 gxh4 67. Kg4= これはドローが明白なため、肝心なのはもう1つの変化です。) 67... g4!


Analysis Diagram

検討でこの手を見つけ、私が試合中に考えていた白勝ち結論は誤りだと判明しました。それではこれで黒勝ちかと言えば、なんとこれでもドローです! 65. b7 Kc7 66. Ke4 Kxb7 67. f5! Kc6 68. Kd4 Kd6 69. Ke4 Kc5 70. Ke3 Kd5 71. Kf4= 黒がポーンをg4 まで進め、h5-h4 のブレイクスルーを作った時点で黒勝ちだと検討では話していましたが、なんと白はステールメイトのトリックを使うことでドローに持ち込むことができます。71... Ke4 だとステールメイトになるため、黒はf5 を取りにいくことができません。この3vs. 2 のポーンエンディングの形は、ぜひとも覚えておきたいところです。

62... Kd6 63. fxg5 fxg5 64. Be4



白は1手ロスしましたが、こうしてビショップをぶつけて交換すれば、上記の変化と同じでドローは明らかです。

64... Bxe4 65. Kxe4 Kc6 66. Kf5 1/2-1/2


途中でチャンスを逃したのは悔しかったですが、それにより面白いエンドゲームの勉強になりました。これだけでも名古屋に足を運んだ甲斐がありました。


Scott とのドローで3.5/4 で2人が並びましたが、タイブレークでなんとか優勝することができました。入賞者の皆さん、おめでとうございます! そして参加者の皆さん、運営の堀江さん、今日1日お疲れ様でした。全体の最終順位は、以下から確認できます。

Tokai Open 2019 Final Standings


入賞者の5名には賞品があり、私は本を2冊いただきました。どちらも嬉しいですが、Caruana move by move は早めに時間を見つけて読み進めたいですね。


そしてもう1つ、この日の楽しみは生徒と会って食事に行くことでした。海外に住んでいた時期から、日本に戻ってきてからもオンラインで数年レッスンを続けている生徒とは、実に6年ぶりの再会です! 海外にも日本の地方にも生徒がいると、遠征の魅力が増えますね。

2019/06/01

FIDE Rating June 2019


国内レイティング更新から一夜明け、今朝にはFIDE レイティングの6月版も確認することができました。昨夜の国内レイティングと違って試合をした、していないに関係なく、アクティブプレーヤーのトップ10を発表しておきます。

Kojima Shinya 2400
Aoshima Mirai 2359
Nanjo Ryosuke 2323
Baba Masahiro 2303
Matsuo Tomohiko 2179
Bibby Simon 2167
Schweizer Simon 2163
Yamada Kohei 2146
Higashino Tetsuo 2128
Otawa Yuto 2122

FIDE Rating List of Japan


リストに掲載されているアクティブプレーヤーは、私が知る限り過去最多の86名です。これまでも全日本選手権とジャパンリーグ直後の更新では、新規レイティングがつくか、アクティブに戻るかで日本のリストは賑わっていました。しかし、これほど多くのプレーヤーがいたことはありません。今年からアクティブプレーヤーが増えたのは、全日本選手権と同時開催のゴールデンウィークオープンも、FIDE 公式戦になったためです。今期レイティングの変動があった、もしくは新規レイティングがついたのは74名で、アクティブプレーヤーの大半が試合をしたことになります。

新規レイティング獲得者は74名中8名で、全日本、ゴールデンウィークオープン、海外の試合でもレイティングをつけています。中には2100近い数字がいきなりついたプレーヤーもいますね。新規レイティング獲得者の皆さん、おめでとうございます!

レイティング変動のあったプレーヤーの中で最注目は、言うまでもなく全日本選手権を9.5/10 で優勝した青嶋くんでしょう。大会終了時点でレイティング大幅プラスは分かりきっていましたが、あたらてめ2359 まで数字が伸びたのを見ると、全日本の戦績がとんでもなかったことが分かります。青嶋くんは南條くんを抜いて、初めて日本のアクティブプレーヤーでランキング2位となっています!

私はベストの2432 から2300台まで落とし、今回の全日本でようやく2400 ぴったりに戻しました。この数字で来週からのAsian Continental に挑みます。またここをスタートだと思って上を目指していこうと思います。

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