2014/12/23

Chess in Kecskemet 2014 December GM 8th round


最新のチェス書籍を、オーガナイザーのTamas が仕入れて販売しているため、それを会場でチェックできるのが、ケチケメートのトーナメントの魅力の1つです。Grandmaster Repertoire シリーズの、Negi が書いたPirc Caro-Kann などの白番での対策はチェックしておこうと思います。

この日はVarga に黒番という、一番負ける可能性の高そうなゲームです。ここを乗り切れば、負けなしでの優勝も見えてくる、今大会の大一番に臨みます。

Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (8)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Nc5 e5 6. Nxb7 Qb6 7. Nc5 exd4 8. Nb3 Bb4+ 9. Bd2 Nf6 10. Bxb4!?



この変化は、一昨年のGM トーナメント、GM Sax と指されて以来、ちょうど2年ぶりに実戦で登場しました。白からクイーンを交換する変化は、黒が一時的に1ポーンダウンになりながら、代償が十分あることは覚えていました。

10... Qxb4+ 11. Qd2 Qxd2+ 12. Kxd2 Ne4+ 13. Ke1 c5 14. f3 Nd6 15. Nxc5 O-O!


c2 をすぐ取り返そうとすると、Ra1-Rc1 から白がアドバンテージを得るので、黒は先にキャスリングをして、ルークを使えるようにしておきます。

16. Bd3 Rc8 17. Ne4 Nxe4 18. fxe4 Bxe4 19. Bxe4 Re8



慎重に読みながら、これ以外は黒がはっきり悪くなると思い、ポーンを取り返しておきます。この変化でd4 がどれぐらい負担になるかは、この時点ではお互いに正確に評価できていませんでした。

20. Kd2 Rxe4 21. Nf3 Nc6 22. Rhe1 f5!


単純にルークを交換してしまっては、d4 に弱点を抱え、キングもセンターから遠い黒に分が悪いのは明らかです。そこで、ポーンでe4 のマスを抑え、ルークをe4 でキープすることにします。d4 のポーンが孤立でなくなる以上、白からこのルークは取りづらいでしょう。

23. Re2



私は検討戦で、この手が明らかに悪かったのではないかと指摘しました。実際には別の手でも、さほど白に大きなチャンスは無いのですが、本譜よりも黒の対応が難しくなるので、実戦的にはそちらをチョイスしておくべきだったかもしれません。23. a3 h6 24. b4 a6 25. Rab1 Rb8 26. Kd3 Rbe8! 27. Kd2 Rb8= これは私とVarga, そしてFang の3人で検討をしながら見つけた変化です。

23... Rae8 24. Rae1 h6! 25. a3=


ここでVarga からドローオファーをされたので、それを受けて試合を終わらせました。g5 のマスをカバーし、キングを上げられるようになれば、d4 は黒にとって負担にならないでしょう。長かった今大会も、残りはいよいよ、GM との2試合のみです。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+1 Fominyh, Santarius
0 Varga,
-1 Ilincic
-5 Betaneli

この日、Santarius は白番でIlincic 相手に果敢に勝負を挑みましたが、ベテランGM がこれを退け、お互いに初黒星、初白星となりました。Fominyh も何事もなくBetaneli を破り、勝ち越し状態に戻ってきています。今日の9R の結果次第で、私のGM トーナメント初優勝が決まります。


トルティーヤ屋さんでは、大きなハンバーガーも販売されています。酒井くんは、トルティーヤよりも、こちらが気に入ったようですね。去年は、写真で見るとあまり美味しそうではないと意見を貰いましたが、本当に美味しいんですよ!

2014/12/22

Chess in Kecskemet 2014 December GM 7th round


前夜の雷雨が嘘のように朝は晴れ、21日は良い天気で1日を迎えることができました。日差しは強いですが、それでも空気は冬の冷たさを感じます。ここケチケメートのGM トーナメントも、そろそろ開始から1週間が過ぎ、終盤に差し掛かっています。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Nbd7 5. Bf4 c6 6. e3 Nh5!?



この手は見たことがありませんでしたが、調べてみるとCarlsen やKramnik たちにも最近指されていました。黒は早めのピース交換から、ポジションの単純化を図ります。それでも私は、黒のc8 のビショップさえ抑えておけば、白のアドバンテージは十分だと考え、黒マスビショップの交換を受け入れることにします。

7. Bg5 Be7 8. Bxe7 Qxe7 9. Qc2 Nhf6 10. a3 O-O 11. Rd1


QGD Rubinstein Variation と同じアイディアで、白はQd1-Qc2, a2-a3, Ra1-Rd1 などで手を待ち、黒からポーンを交換をさせて、c4 を取り返す1テンポをロスしないようにします。

11... dxc4 12. Bxc4 c5 13. O-O Nb6 14. Be2?!



私の構想は、このビショップをBe2-Bf3 と組み直すことでしたが、これはイマイチでした。素直にBc4-Ba2 と退いておくべきだったでしょう。

14... cxd4 15. Nxd4 Bd7 16. Bf3 Rac8!


これは私にとって予想外で、Be2-Bf3 が失敗だったことを十分に予感させる手です。黒は素早くBd7-Ba4 のスレットを作ることで、通常はあまり良くないはずの、b6 のナイトとd7 のビショップの位置の組み合わせを、問題無いようにします。

17. Qb1 Nc4!



この手に対しても警戒が弱かったことは、この試合の反省ポイントです。黒は完全にb7 を無視し、主導権を握っています。

18. e4 Qc5 19. Rfe1 Nxa3!?


この手は私の予想よりも早く、このタイミングであれば、何とか持ちこたえられるのではないかと考えました。とは言え、先に駒を失った白は、慎重に正解を見つけていく必要があります。

20. bxa3 Qxc3 21. e5 Nd5 22. Bxd5 exd5 23. Qxb7 Ba4 24. Ne2



白はこの絶対手により、なんとか駒数イコールのままゲームを進めることができます。

24... Qxe5 25. Qxd5 Qxd5 26. Rxd5 Rfe8 27. Kf1


ビショップナイトの勝負であり、さらには先にピンを作った黒にチャンスがありそうにも見えますが、このキング寄りでぎりぎりディフェンスできるのではないかというのが、私の計算でした。もちろん、これでもダメならば諦めるしかないのですが...

27... Bc6


検討戦でのIlincic の指摘は、27... Bb3 でしたが、これには28. Rd4 と指してルークがビショップに張り付くことで、もう1つの黒のルークが、e2 のナイトをアタックする暇をえ与えないディフェンスのアイディアが有効なのではないかと思います。

28. Ra5 Rb8 29. f3 Bb5 30. Kf2 Bc4 31. Rc5 Ba6 32. Rc6



ここはうっかり、32. Ra5? と指そうものならば、32... Rb6! からの、Rb6-Rbe6 で負けとなります。白のポイントは、ルークでビショップを攻撃し続けることで、黒のルークの侵入を防ぎ、きちんとナイトを逃がしてやることにあります。

32... Bb5 33. Rc7 Rbd8 34. Rc2


一瞬、ルークをビショップから離したのはミスだったかと思いましたが、きちんとルークが退けば問題ありません。

34... Ba4 35. Rc4 Bb5 36. Rc2 Kf8 37. Nc3



長かったピンからようやく解き放たれたナイトは、黒のビショップに対抗すべく、前進を開始します。

37... Rc8 38. Rxe8+ Bxe8 39. Ke3


黒は再び、ナイトをピンにしましたが、今度はキングを自由に動かせる白に、大きな問題はありません。むしろ、黒がピースを動かしている間に、キングを前進させるチャンスを得ました。

38... Rb8 40. Nd5 Bd7 41. Rc7 Be6 42. Nf4!?



一時的に1ポーンダウンにはなりますが、ルークとキングの位置が最高の白は、ドローには十分でしょう。ここでビショップを消して、ポジションをシンプルにしてしまいます。

42... Rb3+ 43. Kd4 Rxa3 44. Nxe6+ fxe6 45. Ke5 Re3+ 46. Kd6


白はルークとキングでそれぞれ別のポーンをアタックし続け、どちらかを取れる状態にします。こうなれば、ドローはすでに目の前です。

46... Re2 47. Rxa7 Rxg2 48. Kxe6 Re2+ 49. Kf5 Rg2 50. h4 1/2-1/2



オープニングに失敗し、多少苦しい展開にはなりましたが、丁寧に指すことでポイントを確保しました。この日はGM クラスは全ドローで、順位に変動はありません。残りは明日からのGM3連戦で、最終日の24日夜にはブダペストに帰還し、アンダンテのクリスマスパーティーに参加する予定です。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+2 Santarius
0 Varga, Fominyh
-2 Ilincic
-4 Betaneli


7R 終了時点での星取表です。トップシードのVarga は本調子ではありませんが、最も警戒すべき相手でしょう。アメリカのSantarius も、このままの調子であれば、2つ勝ち越しが条件のIM ノームが取れそうですね。


この日はケチケメートに留学している友人と1年ぶりに会い、酒井くんと3人で食事をしてきました。私が頼んだXLのピザは、直径が45cm あり、左にある酒井くんのピザと比較しても、その巨大さが分かります(笑) 久しぶりに本気を出しましたが、3/4 でギブアップし、残りはお持ち帰りとなりました。1人で食べるサイズじゃないですしね...


もう1つ、ちょっとしたお守りのエピソードを紹介しておきます。上の写真は仙台の大崎八幡宮の勝守です。実はこちら、昨年のヨーロッパ遠征中、友人たちが私の必勝祈願のため、仙台からブダペストに送ってくれたのですが、不幸なことに荷物はロストしてしまい、私の手元に届かずじまいでした。それを残念に思った私は、スペインからの帰国直後、仙台の大崎八幡宮に足を運んで、これを手に入れたのです。それからずっと、この勝守は私の財布に入っていました。

昨晩、少し気になって調べてみたところ、仙台を訪れたのは2013年の12/21 だったので、ぴったり1年前のことでした。そして一般的に、お守りの有効期間は1年間と言われていますので、IM タイトルを確定させた一昨日の12/20 は、ちょうどこの勝守の効果が切れる日だったのです。ただの偶然と言えばそれまでですが、私には、仙台でこれを手に入れたことに、大きな意味があったように思えます。

2014/12/21

Chess in Kecskemet 2014 December GM 5th and 6th rounds


私にとって昨日の日付、12月20日は、今後も決して忘れられない日になるでしょう。この日はGM クラスは唯一の1日2試合で、しかも私が2試合とも黒番の厳しい戦いとなります。朝、チェス盤とにらめっこばかりしていても仕方がないと、寝ぼけ眼をこすりながら、酒井くんと2人でケチケメートのマーケットへ顔を出してきました。この時期はクリスマスのツリーやリース、オーナメントの販売が多かったですね。

この日の試合、午前はロシアのGM Fominyh に黒を持ちます。先週のFirst Saturday のゲームでは、中盤から終盤にかけて苦しい展開をなんとか粘り、最終的にはドローとなりました。彼は1日2試合でも俄然試合をやる気だったので、こちらも長期戦覚悟のソリッドな変化で勝負です。

Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 g6



Santarius 戦では4... e6 を使いましたが、この日はなんとなく去年までのパートナー、g6 Slav を採用します。同じ大会内で、オープニングを使い分けるのは私としては珍しいことです。

5. Nf3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. Qb3 e6 9. Rd1 Nbd7 10. a4 a5 11. Qc2 Re8!


ここまではかつて研究した手順です。黒は白マスビショップを使う方法として、e6-e5 とb7-b6 があり、その両方のチャンスを柔軟に作っておきます。

12. b3



12. e4 Nxe4 13. Nxe4 dxe4 14. Qxe4 e5 15. dxe5 Qc7 16. Bf4 Nxe5 17. Nxe5 Bf5= と進んで簡単にイコアライズすることを期待していましたが、Fominyh は時間を使ってじっくりセットアップを決めてきました。e3-e4 を突かないのであれば、局面は閉じたままでゲームは進んでいくことになります。

12... b6 13. Ba3 Bb7 14. Rac1 Rc8 15. Qb1 c5


b5 のマスを弱めることは気がかりですが、b7 のビショップのダイアゴナルは開かなければ話にならないですし、他に手を作るところもありません。すぐに、d5,c5 が負担にならないことを確認して、ポーンを進めます。

16. Nb5 Bf8 17. Bb2 Ne4! 18. Ba1 Bg7 19. Ne1 Qe7



この辺りは膠着状態のまま、互いに細かなピースの改善が続きます。Qd8-Qh4 と大胆に跳びこむ手も考えましたが、g2-g3 を突かせることが黒のプラスになるのかは分からなかったので、ひとまずd6 のマスを安全に守っておくことにします。

20. Bb2 Bh6!


クイーンがdファイルから外れたことで、ポジションをそろそろ黒から開いても良いのですが、先にこの手を入れ、白からcxd4 と取り返せないようにしておきます。

21. Nf3 Red8 22. Nc3 cxd4 23. Nxd4?


これは3試合連続のGM戦で、三度チャンスが巡ってきたことを確信しました。23. Rxd4 Bg7 24. Rdd1 Ndc5-/+ と進んだ場合、黒はb3 を攻めて優勢でしょう。互いのポーンストラクチャーは同じですが、弱いマス(b4,b5)を抑えるよりも、弱いポーン(b3,b6)を攻撃することのほうがプラスは大きく、その点で黒にチャンスが出てきたことを理解していました。

23... Nxf2!



ナイトが動いてh4 のマスの守りが外れたことで、この典型的なタクティクスが成功します! Fominyh ほどのベテランが、この手を見落としたことは意外でした。

24. Kxf2 Qh4+ 25. Kg1 Bxe3+ 26. Kh1 Bxd4 27. Rxd4 Qxd4


黒には次に、Bd4-Be5 からのメイトスレットがあるため、白は2ポーンに加え、さらにエクスチェンジを捨てざるをえません。完全に勝勢のマテリアルとなり、後は黒マスの弱さにだけ気を配って丁寧に指すのみです。

28. Bf3 Qh4 29. Nb5 Nc5 30. Be5 dxc4 31. Rxc4 Qf2 32. Rc2 Qe3 0-1



こうしてソリッドなゲーム展開から、ワンチャンスをものにして、自身初となるGM戦連勝です! これでライブレイティングを2392 まで上げ、いよいよIM タイトルのかかった午後の試合に向かいます。


お昼ご飯はクリスマスマーケットの屋台で。セルフサービスで、100g 520フォリントだよと言われた肉料理を、200g ぐらいかなーと思って盛ったところ、500g を超えてしまいました(笑) タフな試合スケジュールをこなすためには、これぐらいはペロッと食べられないといけないかもしれませんね!


午後の6R からは、1R からの対戦相手と色を逆にして試合をするのが、ダブルラウンドロビンのシステムです。相手は初戦で怪しいエンドゲームを勝ち切った、アメリカのFM Betaneli、彼に勝つとレイティングはプラス7.6なので、ライブレイティングがちょうど2400 に乗る計算になります。自身初となる、IM タイトルをかけた重要な一戦のスタートです。

Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (6)

1. Nf3 d5 2. g3 Nf6 3. Bg2 c6 4. O-O Bg4 5. d3 Nbd7 6. h3 Bh5 7. Qe1 e5 8. e4 dxe4 9. dxe4 Be7 10. Nbd2 O-O 11. Nc4 Qc7!?



オープニングは、Caro-Kann かEnglish を用意していましたが、まさかのKing's Indian Attack でした。このセットアップはFirst Saturday のBenkovic 戦の準備で見直していたばかりだったので、ラッキーと言えばラッキーです。オリンピアードで敗れた、スウェーデンのGM Tiger 戦の11... Bxf3 とは手を変え、ピースを盤上にキープしておくことにします。

12. a4 Rfe8 13. Nh4 Bf8 14. Bd2?!


試合後の検討では、ここは14. Bg5 と指すべきだったと、Betaneli 自身が指摘しています。確かに、f6 のナイトをアタックしておけば、黒は理想的なNd7-Nc5-Ne6-Nd4 というマヌーバリングがやりづらくなるでしょう。

14... Nc5! 15. b3 Ne6 16. Ba5 b6 17. Bc3 Nd7 18. Nf5 f6 19. Kh1 Rad8



私はこの時点で、すでに何も黒に不満がないことを確信しています。このナイトをd4 に運ぶ準備をしつつ、2つのビショップをg8-a2, f8-a3 のダイアゴナルに置くセットアップは、かつてKramnik のゲームから学びました。

20. f3 Bf7 21. Qc1?


この手はどう見ても不自然ですし、何かアイディアがあるとしても捻りすぎです。21. Rd1 と指すのが自然で、それならば黒は満足ながらも、優位に試合を進めるには、もう一工夫必要になるでしょう。

21... Ndc5 22. Qe3 Nd4!



時間を使い、この手を思い切って指せたのは、私の成長の証だと思います。d4 とc6 でポーンを一時的に取らせても、白のg3 のポーンを掠め取ったうえで黒マスを支配すれば、1ポーンの代償は十分すぎるでしょう。

23. Qf2 Nce6!?


試合中悩んだのは、23... Bxc4 24. bxc4 Nxf5 25. exf5 e4-/+ とピースを捌いて仕掛ける変化で、これでも黒の優位は確実でした。本譜では、白がf3-f4 と仕掛けてくることを見越し、白マスビショップは別のダイアゴナルで使い直そうと考えましたが、白のクイーンサイドのポーンストラクチャーを乱せるのであれば、ビショップナイトの交換は躊躇わなくても良かったでしょう。

24. Nfe3 a5!



すでにd4 に強力なナイトを指している黒は、次にビショップを使い直すことを考えます。黒マスビショップのベストの位置は、明らかにc5 ですので、白からb3-b4 を突かれぬよう、まずはb4 のマスをポーンで抑えておきます。

25. f4 exf4 26. gxf4 Bc5 27. Rae1 Bh5!


続いて白マスビショップも、ダイアゴナルを切り替えてアクティブに使えるようにします。f3, e2 辺りは、白としては抑えられると嫌なマスでしょう。Nd4-Ne2 と黒のナイトが跳びこんでくる筋は、常に頭に置いておかなければいけません。

28. Nb2 b5! 29. Nd3 Bb6!



ポジションの改善が難しくなってきた白に対して、黒はゆっくりと盤全体でプラスを広げていきます。黒マスビショップをキープし、a7-g1 のダイアゴナルを抑えている限り、c6 のポーンが消えても、Ne3-Nd5 は怖くありません。

30. f5?! Ng5


最初、f4-f5 を見た際は、次のNd3-Nf4 を警戒しましたが、それが全く問題ないことに気づき、冷静さを取り戻してこの手を指します。

31. Qh4? Ngf3!



彼の見落とした、決定的なタクティクスです。黒のナイトは、クイーンとルークを狙うだけでなく、h2 でのメイティングスレットを作る、トリプルフォークになっています! これで完全に黒の勝勢ですが、もちろん相手がリザインするまでは気を緩めることはできません。

32. Qf4 Nxe1 33. Bxe1 Nxc2 34. Nxc2!


エクスチェンジに留まらず、さらにマテリアルを確保して勝ちを引き寄せます。

34... Rxd3 35. Qh4 Bf7 36. b4 Ba7 37. e5 Qxe5 0-1



彼がリザインした瞬間、これまでハンガリーで過ごしてきた日々のことを思い返しました。2264というレイティングでハンガリーを訪れたのは、今から2年半以上前の、2012年5月のことでした。それから何度となく、ブダペストとケチケメートのIM トーナメント、GM トーナメントで戦いを続けてきて、ようやくこの日、3つのノームとレイティング2400を達成しました。リガの最終戦で見事な勝利をおさめ、IM タイトルの条件を揃えた南條くんから遅れること4か月、私もこれでIM となります! 長い間、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございます!

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+2 Santarius
0 Varga, Fominyh
-2 Ilincic
-4 Betaneli

一夜明けて、多くの方からお祝いのメッセージを頂き、あらためて喜びがふつふつと湧き上がってきました。しかし、こうして書くと、すでにトーナメントが終わったようにも思えてしまいますが、実際には全くそんなことはありません(笑) まだ後半戦は始まったばかりで、今日から24日まで、残り4試合を戦います。アメリカのSantarius は、Varga を見事に黒で下し、2つ勝ち越し状態で私を追っています。私もここまで来た以上、初のGM トーナメント優勝と、GM ノーム、そして羽生さんの持つ日本籍プレーヤーのベストレイティング、2415 を超えることを目標に、残り試合をしっかりプレーしてこようと思います! 6つ勝ち越しの8P ならば、初のGM ノーム獲得、5つ勝ち越しの7.5P ならば、私のレイティングは2416になる計算です。

2014/12/20

Chess in Kecskemet 2014 December GM 4th round


この日のケチケメートは、これまでとうってかわり、晴天が広がり暖かな陽気となりました。昼過ぎに見かけた町中の気温計は、この時期では珍しい17度を記録しています。

さて、ケチケメートのGM トーナメントも4戦目を迎え、2人目のGM との対戦となります。相手はケチケメートで頻繁にプレーしている、セルビアのGM Ilincic で、2年前のGM トーナメントでは、1勝1ドローと勝ち越しています。3回目の対戦となる今回、もちろん勝ちを狙ってプレーします。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (4)

1. Nf3 f5 2. d3 d6 3. e4 e5 4. Nc3 Nc6 5. exf5 Bxf5 6. d4 Nb4!?



久々の2. d3 Anti-Dutch の登場です。この変化は試合前に軽くチェックしていましたが、6... exd4 だけを調べていて、本譜の手はあまり覚えていませんでした。とは言え、c2 を守る方法は限られていますので、それを選択するしかありません。

7. Bb5+ c6 8. Ba4 e4 9. Ng5 d5 10. a3!


ナイトは早々にa6 に下げさせておき、クイーンをc2 の守りからフリーにします。

10... Na6 11. f3! Nf6 12. fxe4 dxe4 13. O-O Qd7 14. Bb3 Nd5



オープニングは完全に成功です。これで白は1ポーンアップが確定し、優位に立ちました。(勝勢と呼んでも良いかもしれません。) しかし、もちろん前日のVarga 戦の反省がありますので、油断せずにしっかりとゲームを続けます。

15. Ncxe4 O-O-O 16. Qf3!


ここは時間をかなりかけて、自分なりに納得のいく駒組みを探りました。以前の私であれば、勢いだけで16. c4 などと突き、後々d4 の守りに苦労したことでしょう(笑)

16... g6 17. Ng3 h6 18. Nxf5 hxg5 19. Bxg5!?



これが16. Qf3 から私がイメージしていた局面で、白は2ピースルークになる代わりに、3ポーンを得る珍しいマテリアエルをチョイスします。通常、2ピースを持つ側は相手のポーンをアタックするチャンスを多く持ちますが、ここではしっかり守り切れると判断しました。

19... gxf5 20. Bxd8 Qxd8 21. Qxf5+ Kb8 22. Bxd5 cxd5


d5 のナイトも消してしまい、なるべくポジションをシンプルにします。

23. c3 Bd6 24. g3 Nc7 25. Rae1 Rh6 26. Kg2



あまり経験したことのないマテリアルですが、黒の反撃は不十分であり、白の勝勢であることは理屈で理解できます。ここでの白のプランは2つあり、1つはクイーン、さらには可能であればルークを1つ交換してしまい、相手の反撃を消したうえで、キングサイドの2コネクテッドパスポーンを作ること。クイーンを交換した時点で、白のポーンはほとんど落ちなくなるので、勝ちは確定するだろうと考えました。もう1つはややリスクがあっても、クイーンを盤上に残したままでポーンを突き進めることです。

26.... Qg8 27. Re3 a6 28. Rff3 Ka7 29. h3


ここは29. h4! と突けたのを見落としていました。29... Rxh4? 30. Qf6!+- ならば、クイーン交換からのビショップとルークの取りが、両方スレットになります。

29... Kb6 30. Qd7 Qg6 31. Rf2 Qg5 32. Rff3 Qg6 33. Qf5 Qg8 34. a4



私はキングサイドのポーンを進めるタイミングがつかめず、クイーンサイドでもアクションを起こすことにします。狙いは、b2-b3 からc3-c4 とポーンを伸ばすことです。しかしここでも、34. Qf7! Qg5 35. h4! のアイディアが使えました。

34... Kc6 35. b3 b5 36. axb5+ axb5 37. g4 Ne6 38. Re2 b4!?


私は時間があまりなく、この黒のアクティブな反撃にどう対応すべきかよく分かりませんでした。それでも、cファイルを開くことは黒にのキングにとっても危険であることは間違いないので、冷静に対処するよう努めます。

39. Rc2?


39. Ra2! Kb6 40. Qd3! Qc8 41. c4 Nf4+ 42. Rxf4 Bxf4 43. c5+ Kc7 44. Qf3+- という変化はコンピュータの指摘です。こうして並べてみれば、エクスチェンジを返して3ポーンピースのマテリアルにしても、十分に勝てることが理解できますが、実戦ではなかなかマテリアルを返すのは勇気のいる判断でしょう。

39... bxc3?



まさか! と目を疑いました。恐らくIlincic も、取ってから自分のミスに気づいたでしょう。39... Kb6! とcファイルからキングを避けておくのが正解で、そうすれば黒はd4 のポーンに対する反撃で、チャンスを作ることができたでしょう。

40. Rfxc3+! Kd7 41. Ra2!


ルークを最大限に働かせ、キングにプレッシャーをかけることによって、白は再びチャンスを引き寄せます。

41... Qb8? 42. Re3!+-



黒のディフェンスは、41... Qg6 以外にあり得ません。それでも白は、クイーンを交換して勝ちのチャンスが大いにあるでしょう。本譜では、ピンになったe6 のナイトを攻めたて、白は決定的なアドバンテージを得ます。ちなみに42. g5? Rh5! 43. Qf7+ Be7 44. Qxh5?? Nf4+-+ は大失敗なので、先にナイトをルークでアタックしておき、その後でg4-g5 を狙うのがポイントです。

42... Qg8 43. Ra7+ Kc6 44. Ra6+ Kd7 45. Ra7+ Kc6 46. Qc2+!?


オリンピアードのMovsesian 戦ではメイティングネットを完全に張っておきながら、最後の最後で詰めを誤りましたが、今度こそ間違えるわけにはいきません。46. Qf1! Qc8 47. Rc3+ も確実な勝ちです。

46... Kb6 47. Qa2



これで黒のキングはどうしようもなく、黒はメイトを防ぐためにルークを捨てざるをえません。47... Qxg4+ が見えたときは少し冷や汗が出ましたが、a2 のクイーンはきちんと守りの駒がいました(笑)

47... Qxg4+ 48. hxg4 Rh2+ 49. Kf1 Rh1+ 50. Kg2 Rh2+ 51. Kg1 Rxa2 52. Rxa2 Nxd4


これでダブルエクスチェンジアップになった白は、2つのパスポーンを丁寧に押し進めて、ゲームを終わらせるだけです。

53. Rd3 Be5 54. Rg2 Kc5 55. g5 Ne6 56. g6 Ng7 57. Rc2+ Kd6 58. b4 d4 59. b5 Ne6 60. b6 Nc5 61. Rxc5 Kxc5 62. b7 Kc6 63. g7 1-0


、
2年ぶりのGM戦勝利は、前回と同じ対戦相手、セルビアのIlincic からでした。これで前半戦で早くも2つ目の白星を得て、トーナメントをリードしています。さらに、もう結果をTwitter で知らせているので書いてしまいますが、今日の午前中に行われたFominyh 戦も無事に勝ち、貯金を3つに伸ばしています。これにより、ライブレイティングは自己最高の2392となり、これから午後に行われるBetaneli 戦で白星を収めれば、レイティングはちょうど2400に乗ります! これからノームではなく、初めてIM タイトルのかかった試合を行ってきます。かなり緊張しますが、なんとか無事に終わると良いですね。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+3 Kojima
+1 Varga, Santarius
0 Fominyh
-2 Ilincic
-3 Betaneli


Santarius - Fominyh は非常に手数の長い熱戦になりましたが、最終的にはドロー。Santarius は間違いなく、2300代後半の実力があるでしょう。そしてイケメンです。


この日は酒井くんも、午前午後ともに1800台に勝って、レイティングを大きく稼いでいます。昨年、Sean, Lyell たちと足を運んだケーキ屋に赴き、祝杯を挙げました。この調子で2人とも、日本にレイティングを持って帰りたいですね。

2014/12/19

Chess in Kecskemet 2014 December GM 3rd round


さて、昨日からは白を持ち、GM との連戦が始まります。Zoltan Varga は、普段ブダペストで試合をすることの多いGM ですが、今回はケチケメートまで出張してきました。長年ハンガリーのGM トーナメントで戦い続けるベテランに挑みます。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 dxc4 4. e3 Be6!?



Varga は、このSlav の珍しいラインのスペシャリストです。試合前に他のラインも含め、多少準備していたのは助かりました。

5. Nc3 b5 6. a4 b4 7. Ne4 Bd5!?


7... Nf6 と指すのがメインで、こちらは記憶にありませんでした。ここからしっかりと考え始めます。

8. Ned2 c3 9. bxc3 bxc3 10. Nb1 Qa5 11. Qc2 Nf6 12. Qxc3 Qxc3+ 13. Nxc3 e6 14. Nxd5 exd5?



Varga は試合後に、14... cxd5 が最初のアイディアだったが、なぜか心変わりしてしまったとコメントをくれました。黒の最大の弱点であるc6 のポーンを解消しない本譜は、確かに奇妙な手です。c6-c5 と黒はポーンを進めても、今度はd5 が弱点となります。

15. Bd3 Bd6 16. Ke2 Nbd7 17. Bd2 Ke7 18. Rhc1


かなり悩みましたが、私はこうしてシンプルにc6 にプレッシャーをかけることにしました。

18... c5 19. dxc5 Bxc5?!



19... Nxc5 20. Nd4 Nxd3 21. Kxd3 Kd7 と進んでも、まだd4 のアウトポストのコントロールで白が良いでしょう。しかし、せめて白マスビショップは取り返しておくべきだったかもしれません。

20. Bc3! Ne4 21. Bxg7! Rhg8 22. Be5!


この1手が見え、g7 を取れることを確信しました。黒はルークでポーンを取り返せば、そのルークが白陣でトラップされます。

22... Rxg2 23. Bg3! Bd6 24. Bxe4?



試合後に、24. Kf1! Bxg3 25. Kxg2 ならば、リザインするつもりだったと言われ、愕然とします。確かにこうしていれば、白は余計なポーンを失うことなく、純粋にエクスチェンジアップでした。このシンプルな手がなぜ見えなかったのかは、この試合で一番不可解な点です。

24... dxe4 25. Nh4 Bxg3 26. Nxg2


白としては、すぐにエクスチェンジを取るのではなく、26. hxg3 Rh2 27. Rc4 Nf6 28. Rb1 と指すのもありでしょう。h2 のルークはゲームに参加できず、黒は苦しい状況が続きます。もちろん、f2 への攻撃には気をつけなければいけませんが、そこまで他のピースを到達させるのには手数がかかります。

26... Bxh2 27. Rab1 Bd6



24. Kf1 を見落とし、1ポーンを取られてしまったとはいえ、それでも白はエクスチェンジアップで勝勢です。しかし、私の実力不足で、局面をおかしくしてしまいます。

28. Rb7 Ke8 29. a5?!


このポーンは、なるべく黒陣深くに刺して武器とすべきだと考えていましたが、逆に負担になってしまうものでした。29. Nh4! Nc5 30. Rb4!+- と指していれば、白はすぐにナイトを攻撃に参加させることができます。

29... Nc5 30. Rb5 Rc8



私はこのルークが回る1手を過小評価していました。黒は一時的に自らピンを作りますが、白にはそれを利用するうまい方法はありません。

31. Nh4 Kd7 32. Nf5 Bf8 33. Rb4 Re8!


ピンを外して、ルークをアクティブ使うアイディアです。このルークはここから、縦横に広い利きを持ち、黒のディファンスの要となります。

34. Nd4 Re5 35. a6?! Bd6!



こうしてビショップもプレーに戻ってきた黒は、だんだん苦しいポジションを改善しています。私は残り時間がほとんどなく、どうすれば勝てるのか、その方法をすっかり見失ってしまいました。

36. Rb5 h5! 37. Ra1 h4 38. Rh1 Rh5 39. Nb3 Kc6 40. Nd4+ Kd7


ナイトの往復によって40手目に到達し、30分の追加持ち時間を得ましたが、h4 までポーンを進め、それをルークでサポートできた黒は、すでに立ち直っています。

41. Rh3 Be7 42. Nb3 Kc6 43. Nd4+ Kd7 44. Nb3 Kc6 45. Nd4+ 1/2-1/2



完全に勝ちのポジションをドローにしてしまったのは残念ですが、Varga 相手にこうした内容で指せたということは、自信にもなりました。彼のディフェンスのテクニックも、勉強させてもらうことができましたしね。気持ちは次のIlincic 戦に切り替え、今度こそ白星を狙っていきたいと思います。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432)
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+1 Fominyh, Kojima, Santarius
0 Varga
-1 Ilincic
-2 Betaneli

この日はGM の一角、Ilincic がアメリカのSantarius に敗れました。また、Fominyh もBetaneli に勝って、3人が+1 となっています。誰がここから抜け出して1歩リードするか、注目の中盤戦がこれから始まります。


この日の夕飯は、会場近くのイタリアンレストランに酒井くんと向かいました。去年の2月、ブダペストから応援に来てくれた友人たちとも訪れた、懐かしの店です。

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.