解説の前に、試合会場のエレベーター内に生息する、可愛い生物たちの写真をお楽しみください。
6R は序盤で良い形を築いたはずでしたが、それを生かせずドロー。これは勝てるだろうと試合中思っていただけに、結構悔しいです。勝負所のポジションでどう指すか、皆さんも考えてみてください。
Kojima, S (FM, JPN, 2264) - Kantor, G (FM, HUN, 2336)
ハンガリーで四回目、白では二回目のNimzo-Indian です。Three Knights Variation に対する黒の4手目は色々ありますが、メインとされる4... c5, Queen's Indian に変化する5... b6, QGD Ragozin に変化する4...d5 と比べると、本譜の4... 0-0 はやや劣ると個人的には考えています。
この手を挟んでおかなければ、7... Qa5! で困ってしまいます。
さて、ビショップがe7 に退き、Nimzo-Indian らしくない局面になりました。黒の主な問題は、d6 の弱いポーンと、白マスビショップの展開にあります。白は自然に、d6 へプレッシャーをかけるよう、駒を組みます。
白マスビショップのダイアゴナルを開きますが、その代わりにd5 がアウトポストになるので、一長一短です。
白の黒マスビショップはd6 をアタックできないのに対し、黒の黒マスビショップはd6 を守る重要なピースです。そのため、これらを交換することは白に取って良いはずです。
次の16.c5 を防ぐためにはこの一手しかありません。そしてここが問題のポジションです。d5 のアウトポストに加え、d6 のバックワードポーンの負担は大きく、白が優勢であることはまちがありません。しかし、意外とここからどう進めていくべきなのか、悩むところです。
16. Nc5 Qc7 17. Nxe6 fxe6 18. Bg4 Nf5+/- として、白が大きく優勢というのがコンピュータの評価です。私ももちろんピンを利用して、c5 のマスにナイトを置く手は考えましたが、f5 のナイトが意外と安定していて強いこと、開いたf ファイルがカウンタープレーの起点となりそうなこと、さらにはd5 がアウトポストでなくなることを気にし、別のプランを選択しました。
これは読んでいない手でした。一度ビショップを下げ、作戦を練り直します。
17.Bg4 がうまくいかない以上、d6 のポーンを取りにいくならばこの一手です。19. Nbc5 Qc7 20. Nxe6 fxe6 21. Bg4+/- と上記と同じ局面にしろというのが、やはりコンピュータの提案です。こう指さなかった理由は前述の通りですが、私はd6 のポーンにこだわりすぎなのでしょうか・・・(しかし、昨晩考え直してみたところ、ナイトビショップを交換した局面でも、d6 が弱いことは変わらず、さらには黒からのカウンタープレーがあまりないことから、やはり白が大きく優勢だと結論付けました。)
19.g4 と指した後で気づいたのですが、20... Bxg4! 21. Bxg4 Qg5 22. Qe2 Nxd6! 23. Rxd6 f5 24. Kh1 fxg4=/+ と黒は指すことができ、これならば黒がやや指しやすそうです。やはりd6 ばかり見てたのは失敗でした。しかし、本譜ではラッキーなことに、違う変化に飛び込みます。
21. h3! h5 22. f4 exf4 23. exf4 Qg6 24. Qe1! +/- このクイーンを退いてh4 のナイトをアタックできるのが、21.h3 を挟んでいる効果です。 これも見落としていました。
g4 を守るうまい手段がどうしても見当たらず、ポーンを返してクイーンを交換する決断します。
24. Qxd6?? Qe4-+ は、いきなりゲームオーバーです。
またよく分からないポジションになりました。白はb7 にプレッシャーをかけており、c ファイルにパスポーンができればチャンスがありそうです。一方、黒はナイトの位置が良く、白のやや危ういキングにプレッシャーをかけています。私は残り時間10分になるまで考え、次のプランを実行しました。
27. c5 Rxd6 28. cxd6 Rd8 29. Rd1 b6 では、白に面白意味がないと判断したうえでの本譜です!
dファイルは黒に明け渡しますが、b7 にポーンを固定してcファイルのパスポーンの可能性を強めます。dファイルからの反撃を抑えられれば、白にチャンスがあると考えました。
なかなか思いつくのは難しいですが、コンピュータの評価も書いておきます。28... Rd7! 29. Rc3 (29. Na5?! Rd2! (ナイトが跳んだところで7段目に入るのがポイント!) 30. b4 Nh3+ 31. Kh1 Rxa2 32. Bxb7 Rb2-/+) 29... Kf8 30. a3 Ke7 31. Na5 Rd2 32. b3=
ルークを交換し、クイーンサイドにパスポーンを作れるかも、と期待したところで向こうからドローオファー。ここは蹴ってゲームを続けます。
しかし、cポーンはブロックされ、キングサイドのポーンを取るのも簡単ではありません。ここで再びドローオファーをされ、残り20秒まで考えて受けました。実際、これは続けてもドローになるでしょう。
これで2勝4ドローの4ポイントです。IM ノームのためには、残り3戦を全て勝つ他ありません。次はセルビアのベテランIM が相手です。
6R は序盤で良い形を築いたはずでしたが、それを生かせずドロー。これは勝てるだろうと試合中思っていただけに、結構悔しいです。勝負所のポジションでどう指すか、皆さんも考えてみてください。
Kojima, S (FM, JPN, 2264) - Kantor, G (FM, HUN, 2336)
CAISSA 2012 May IM (6)
1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. d4 O-O
ハンガリーで四回目、白では二回目のNimzo-Indian です。Three Knights Variation に対する黒の4手目は色々ありますが、メインとされる4... c5, Queen's Indian に変化する5... b6, QGD Ragozin に変化する4...d5 と比べると、本譜の4... 0-0 はやや劣ると個人的には考えています。
5. Bg5 h6 6. Bh4 c5 7. Rc1!
この手を挟んでおかなければ、7... Qa5! で困ってしまいます。
7... cxd4 8. Nxd4 Nc6 9. e3 a6 10. Be2 Be7 11. O-O d6
さて、ビショップがe7 に退き、Nimzo-Indian らしくない局面になりました。黒の主な問題は、d6 の弱いポーンと、白マスビショップの展開にあります。白は自然に、d6 へプレッシャーをかけるよう、駒を組みます。
12. Qd2 e5!?
白マスビショップのダイアゴナルを開きますが、その代わりにd5 がアウトポストになるので、一長一短です。
13. Nb3 Ne8 14. Bxe7 Nxe7
白の黒マスビショップはd6 をアタックできないのに対し、黒の黒マスビショップはd6 を守る重要なピースです。そのため、これらを交換することは白に取って良いはずです。
15. Rfd1 Be6
次の16.c5 を防ぐためにはこの一手しかありません。そしてここが問題のポジションです。d5 のアウトポストに加え、d6 のバックワードポーンの負担は大きく、白が優勢であることはまちがありません。しかし、意外とここからどう進めていくべきなのか、悩むところです。
16. Ne4
16. Nc5 Qc7 17. Nxe6 fxe6 18. Bg4 Nf5+/- として、白が大きく優勢というのがコンピュータの評価です。私ももちろんピンを利用して、c5 のマスにナイトを置く手は考えましたが、f5 のナイトが意外と安定していて強いこと、開いたf ファイルがカウンタープレーの起点となりそうなこと、さらにはd5 がアウトポストでなくなることを気にし、別のプランを選択しました。
16... Nf5 17. Bg4 Nh4!?
これは読んでいない手でした。一度ビショップを下げ、作戦を練り直します。
18. Be2 Nf5 19. g4?!
17.Bg4 がうまくいかない以上、d6 のポーンを取りにいくならばこの一手です。19. Nbc5 Qc7 20. Nxe6 fxe6 21. Bg4+/- と上記と同じ局面にしろというのが、やはりコンピュータの提案です。こう指さなかった理由は前述の通りですが、私はd6 のポーンにこだわりすぎなのでしょうか・・・(しかし、昨晩考え直してみたところ、ナイトビショップを交換した局面でも、d6 が弱いことは変わらず、さらには黒からのカウンタープレーがあまりないことから、やはり白が大きく優勢だと結論付けました。)
19... Nh4 20. Nxd6 Qg5?!
19.g4 と指した後で気づいたのですが、20... Bxg4! 21. Bxg4 Qg5 22. Qe2 Nxd6! 23. Rxd6 f5 24. Kh1 fxg4=/+ と黒は指すことができ、これならば黒がやや指しやすそうです。やはりd6 ばかり見てたのは失敗でした。しかし、本譜ではラッキーなことに、違う変化に飛び込みます。
21. f4?!
21. h3! h5 22. f4 exf4 23. exf4 Qg6 24. Qe1! +/- このクイーンを退いてh4 のナイトをアタックできるのが、21.h3 を挟んでいる効果です。 これも見落としていました。
21... exf4 22. exf4 Qg6 23. Qd3
g4 を守るうまい手段がどうしても見当たらず、ポーンを返してクイーンを交換する決断します。
23... Nxd6 24. Qxg6
24. Qxd6?? Qe4-+ は、いきなりゲームオーバーです。
24... Nxg6 25. Rxd6 Nxf4 26. Bf3 Rad8
またよく分からないポジションになりました。白はb7 にプレッシャーをかけており、c ファイルにパスポーンができればチャンスがありそうです。一方、黒はナイトの位置が良く、白のやや危ういキングにプレッシャーをかけています。私は残り時間10分になるまで考え、次のプランを実行しました。
27. Rxd8
27. c5 Rxd6 28. cxd6 Rd8 29. Rd1 b6 では、白に面白意味がないと判断したうえでの本譜です!
27... Rxd8 28. c5!?
dファイルは黒に明け渡しますが、b7 にポーンを固定してcファイルのパスポーンの可能性を強めます。dファイルからの反撃を抑えられれば、白にチャンスがあると考えました。
28... Rd3
なかなか思いつくのは難しいですが、コンピュータの評価も書いておきます。28... Rd7! 29. Rc3 (29. Na5?! Rd2! (ナイトが跳んだところで7段目に入るのがポイント!) 30. b4 Nh3+ 31. Kh1 Rxa2 32. Bxb7 Rb2-/+) 29... Kf8 30. a3 Ke7 31. Na5 Rd2 32. b3=
29. Rc3 Rxc3 30. bxc3 Bd5(=)
ルークを交換し、クイーンサイドにパスポーンを作れるかも、と期待したところで向こうからドローオファー。ここは蹴ってゲームを続けます。
31. Bxd5 Nxd5 32. Na5 Nxc3 33. Nxb7 Nd5 34. Kf2 Kf8 35. Kf3 Ke7 36. Nd6 g6= 1/2-1/2
しかし、cポーンはブロックされ、キングサイドのポーンを取るのも簡単ではありません。ここで再びドローオファーをされ、残り20秒まで考えて受けました。実際、これは続けてもドローになるでしょう。
これで2勝4ドローの4ポイントです。IM ノームのためには、残り3戦を全て勝つ他ありません。次はセルビアのベテランIM が相手です。
後半戦、7Rのペアリングです。
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