こちらがブダペスト西駅。他に東駅と南駅があります。
昨日は試合前にブダペストの西駅までぶらぶらと歩き、写真をいくつか撮ってきました。まずはそちらから。
最終戦勝ったら、これが実物でも出てくるか確認してきます。
ブダペストのおもちゃ屋さんには、チェスセットの種類もたくさん!
西駅の切符売り場。天井高過ぎです。
こちらはプラットフォーム。改札がないので、おそらく車内で切符をチェックするんですね。
西駅脇には、感じのの良い広場がありました。奥には噴水もあるようです。
それでは、試合の解説に移ります。最終直前の10R はハンガリーのレジェンド、Lengyel Bela氏との対戦です。私の生まれる10年以上前から公式戦をこなしており、ハンガリーの現トップGM、Leko, Almasi らとの対戦記録もあります。最近は年のせいか、レイティングをかなり落としていますが、だからと言って手を抜けるはずはありません!
Lengyel, B (IM, HUN, 2260) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
いきなりやってくれます。Lengyel のメインレパートリーは1.e4 で、1.d4 の記録はほとんどありません。ここまでの不調を受けて、思い切った決断をしたのでしょう。
勝ちにいくためには、Slav よりもNimzo-Indian をチョイスします。FIDE 公式戦で指すのは、かなり久しぶりです。
個人的にはあまり良くない手だと思います。d4 に残ったポーンは黒に取って単純にターゲットになり、4.Qc2 とクイーンの位置をd ファイルからずらした手が逆効果になります。ここは7.dxc5 と取る一手でしょう。
Nf3 で守る形は...Bg4 が厄介なので、Bb5-Nge2 と形を取るしかありません。
ここまでは2008年の名古屋オープン、南條君との試合と同じ流れです。白はc2 のクイーンやe2 のナイトがベストの位置ではないので、すでに黒としては満足でしょう。
狙いはb4をナイトのために空けるとともに、13...Bxh2+ 14.Kxh2 Ng4+ をスレットにすることです。
面倒なピンが外れたので、クイーンサイドでアクションを起こします。
試合中、それはないと思いました。不用意なこの一手は、e3 のマスとg1-a7 のダイアゴナルを弱めてしまいます。
早速弱くなったダイアゴナルにクイーンを移動させます。d4 のポーンにどうプレッシャーをかけるかは、ここからの鍵になります。
20.a3? Nc2! 21.Rxc2 Bxc2 22.Qxc2 Qxb5-+
ナチュラルな21... Rfe8 とどちらが良いか迷いましたが、あえてクイーンサイドにこだわります。
21...Na5 と跳んだ段階ではルークで取り返すつもりでしたが、ここにきてd8 にルークを置いてd4 にプレッシャーをかけるほうが、白にとって嫌そうだと気が付きました。d5 のマスにピースを置けるようになることもポイントです。
白がパッシヴに指す間に、黒は理想的な展開に持ち込めました。飛び込んだルークは、bファイルに振ってb2 を取りにいっても、後ろにさらにルークを重ねても強力です。
ここまで満点に近い指し回しの黒でしたが、それを台無しにしてしまう悪手が出ます。d3 にナイトが飛び込み、dファイルをブロックする手は良いアイディアだと思ったのですが、もう少し正確に読まなければいけませんでした。29... Nxc3 30. bxc3 Qa5!-/+ (a3 を取る手ばかりを考えて、ナイトの交換を避けてしまいました。) ならば黒は安全にポーンアップし、cファイル強力なパスポーンができます。
白はこの試合で初めての、大きな挽回のチャンスを逃しました。
30. g3! Nd3 31. Nxd3 Bxd3 32. Nd5 Qe6 (32... Qd6?! 33. Qxb3! cxb3 34. Rxc8+ Kh7 35. Rxd3 Qxd5 36. Rc1+/=) 33. Nf4 Qf5 34. Nxd3 Rxd3 35. Rxd3 cxd3 36. Rxc8+ Qxc8 37. Qxd3 Qc1+ 38. Kg2 Qxb2+ 39. Kh3+/= こう進めば、dファイルにパスポーンのある白にわずかなチャンスがあり、少なくとも負けはありえません。
30... Rxb2 31. Na4 Qg6 32. g3 Rxd2-+ b2取れました・・・
時間切迫による最後のミス。34. Qxc7 Rxc7=/+ ならば、まだ勝負は分かりません。
ここでc4 が取れないことは、31...Qc7 の時点で読んでいました。37.Nxc4 Rc5-+
この勝利で4勝3敗2ドローとなり、負け越しの危険は消えました。レイティングも+11 とまずまずの上がりです。今日の最終戦、中国の少女、Wang,X に白で勝って、すっきり大会を締めたいと思います。
Lengyel, B (IM, HUN, 2260) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
First Saturday 2012 May IM (10)
1. d4!?
いきなりやってくれます。Lengyel のメインレパートリーは1.e4 で、1.d4 の記録はほとんどありません。ここまでの不調を受けて、思い切った決断をしたのでしょう。
1...Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4
勝ちにいくためには、Slav よりもNimzo-Indian をチョイスします。FIDE 公式戦で指すのは、かなり久しぶりです。
4. Qc2 d5 5. cxd5 exd5 6. Bg5 c5 7. e3?!
個人的にはあまり良くない手だと思います。d4 に残ったポーンは黒に取って単純にターゲットになり、4.Qc2 とクイーンの位置をd ファイルからずらした手が逆効果になります。ここは7.dxc5 と取る一手でしょう。
7...cxd4 8. exd4 Nc6 9. Bb5
Nf3 で守る形は...Bg4 が厄介なので、Bb5-Nge2 と形を取るしかありません。
9...h6 10. Bh4 O-O 11. Nge2 Be6 12. O-O Rc8
ここまでは2008年の名古屋オープン、南條君との試合と同じ流れです。白はc2 のクイーンやe2 のナイトがベストの位置ではないので、すでに黒としては満足でしょう。
13. Qd3 Bd6!
狙いはb4をナイトのために空けるとともに、13...Bxh2+ 14.Kxh2 Ng4+ をスレットにすることです。
14. Bg3 Nb4
面倒なピンが外れたので、クイーンサイドでアクションを起こします。
15. Qd1 Bg4!? 16. f3?!
試合中、それはないと思いました。不用意なこの一手は、e3 のマスとg1-a7 のダイアゴナルを弱めてしまいます。
16...Bf5 17. Bxd6 Qxd6 18. Ng3 Bh7 19. Rf2 Qb6!
早速弱くなったダイアゴナルにクイーンを移動させます。d4 のポーンにどうプレッシャーをかけるかは、ここからの鍵になります。
20. Bf1
20.a3? Nc2! 21.Rxc2 Bxc2 22.Qxc2 Qxb5-+
20...Nc6 21. Rd2 Na5
ナチュラルな21... Rfe8 とどちらが良いか迷いましたが、あえてクイーンサイドにこだわります。
22. Nh1!? Nc4 23. Bxc4 dxc4!=/+
21...Na5 と跳んだ段階ではルークで取り返すつもりでしたが、ここにきてd8 にルークを置いてd4 にプレッシャーをかけるほうが、白にとって嫌そうだと気が付きました。d5 のマスにピースを置けるようになることもポイントです。
24. Nf2 Rfd8 25. Ne2 Nd5 26. a3 Re8 27. Kh1 Re3!
白がパッシヴに指す間に、黒は理想的な展開に持ち込めました。飛び込んだルークは、bファイルに振ってb2 を取りにいっても、後ろにさらにルークを重ねても強力です。
28. Rc1 Rb3 29. Nc3 Nf4?
ここまで満点に近い指し回しの黒でしたが、それを台無しにしてしまう悪手が出ます。d3 にナイトが飛び込み、dファイルをブロックする手は良いアイディアだと思ったのですが、もう少し正確に読まなければいけませんでした。29... Nxc3 30. bxc3 Qa5!-/+ (a3 を取る手ばかりを考えて、ナイトの交換を避けてしまいました。) ならば黒は安全にポーンアップし、cファイル強力なパスポーンができます。
30. Qe1?
白はこの試合で初めての、大きな挽回のチャンスを逃しました。
30. g3! Nd3 31. Nxd3 Bxd3 32. Nd5 Qe6 (32... Qd6?! 33. Qxb3! cxb3 34. Rxc8+ Kh7 35. Rxd3 Qxd5 36. Rc1+/=) 33. Nf4 Qf5 34. Nxd3 Rxd3 35. Rxd3 cxd3 36. Rxc8+ Qxc8 37. Qxd3 Qc1+ 38. Kg2 Qxb2+ 39. Kh3+/= こう進めば、dファイルにパスポーンのある白にわずかなチャンスがあり、少なくとも負けはありえません。
30... Kf8?!
30... Rxb2 31. Na4 Qg6 32. g3 Rxd2-+ b2取れました・・・
31. Qe5 Qc7 32. g3 Nd3 33. Nxd3 Bxd3 34. Nd5?
時間切迫による最後のミス。34. Qxc7 Rxc7=/+ ならば、まだ勝負は分かりません。
34... Qxe5 35. dxe5 Rc5 36. Ne3 Rxe5 0-1
ここでc4 が取れないことは、31...Qc7 の時点で読んでいました。37.Nxc4 Rc5-+
この勝利で4勝3敗2ドローとなり、負け越しの危険は消えました。レイティングも+11 とまずまずの上がりです。今日の最終戦、中国の少女、Wang,X に白で勝って、すっきり大会を締めたいと思います。
ちなみに晩御飯はつけ麺でした。
2 件のコメント:
なにげに毎回食事が美味しそうです。
めぞん一刻の響子さんのような、やさしい管理人さんの手作りです。
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