私にとって今年最後のトーナメントが、ハンガリーのケチケメートで始まりました。すでに以前の記事で書いたとおり、今月は初のGMクラスにエントリーしており、GM と6戦をこなすダブルラウンドロビンのトーナメントです。初戦は10月のCAISSA で対戦したハンガリーのユースプレーヤー、FM Csonka に白です。苦手のGrunfeld に、新しい対策を準備したうえでの勝負となりました。
Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Csonka, B (FM, HUN, 2320)
Caissa December GM (1)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. Qb3!?
Caissa December GM (1)
Battey、Massoni とGrunfeld への連敗が続いていたため、別のサイドラインを使います。このラインは2009年ごろに研究したことがあり、実戦でも馬場さん相手に勝ちを収めています。
5... Nb6 6. d4 Bg7 7. Bf4 Be6 8. Qa3 Nc6 9. e3 O-O 10. Rd1!?
ここは10. Be2 と指すのが普通のようで、私が気にしていた 10... Nc4 11. Qc5+/= は、問題なく白やや優勢のようです。
10... Nd5 11. Nxd5 Bxd5 12. Be2 a5 13. Rc1!?
13. O-O Nb4 14. Rc1 c6= では黒に何の不満もないと考え、キャスリングを遅らせてでもNc6-Nb4 を止めておきます。
13... Bxf3!?
相手は30分以上の長考の末、この手を指してきましたが、私はこれは白にとってありがたいと考えました。13... e5! 14. dxe5 Bxf3 15. Bxf3 Nxe5 16. Be2 c6= がおそらく黒にとって最も安全で、ダブルビショップを放棄する代わりにスペースの問題を解消できます。
14. Bxf3 e5 15. Bxc6 exf4 16. Bxb7 Rb8 17. Bc6 fxe3 18. fxe3 f5!?
驚くべきことにCsonka はここでも30分以上を消費し、残り時間は2分を切っていました。18... Qh4+ 19. g3 Qh3 20. Rc2 Rb6 21. Qc3 Qe6! が私のメインの読み筋で、これでも黒は1ポーンの代償ありで戦えそうです。本譜の狙いはf5-f4 からe3 のポーンを崩し、d4 を取りにいくことであり、白は優勢を保つためには、正しいディフェンスが必要になります
19. Qxa5
19. g3 f4! 20. gxf4 Qh4+! 21. Ke2 g5 でも怪しい形です。私は駒得よりもキングの安全性を重視するので、この変化は避けたいところでした。私の本譜のアイディアは、d5 のチェックからクイーンを交換することで、黒の余計なカウンタープレーを封じることです。
19... f4 20. Qd5+ Qxd5 21. Bxd5+ Kh8 22. Rf1!
唯一の使えていないピースを交換して、白にチャンスのありそうなエンドゲームを模索します。
22... fxe3 23. Rxf8+ Rxf8 24. Rxc7 Bxd4 25. Bf3
ここは1ポーンを返しても、黒のルークが7段目に侵入することを防ぐことにしました。25. a4 Rf2! 26. a5 Rxb2 27. a6 Rb1+! 28. Ke2 Rb2+ 29. Kf3 Rf2+ 30. Kg4 e2 31. Re7 h5+ 32. Kh3 g5 33. Bc4 g4+ 34. Kh4 Bf6+ 35. Kg3 Rf5 36. Rxe2 Be5+ 37. Kh4 Bf6+ 38. Kg3 Be5+= でドローという変化はコンピュータで見つけたものですが、相手の残り時間が少ないことを考えれば、こういった難しいラインをチョイスしておくべきだったかもしれません。しかし、黒のパスポーンも6段目に突き刺さっている以上、白も一歩間違えれば負ける可能性があり、私としてはリスクのあるプレーは、極力避けたいところでした。
25... Bxb2 26. a4 Rb8 27. a5
パスポーンが少しでも進んでいるほうが黒にとってプレッシャーが大きいかと思いましたが、残り時間のほとんどない中、Csonka の指し方は実に正確でした。27. Bb7 Bd4 28. a5 Be5 29. Rc5 Rxb7 30. Rxe5 Rb2 31. Rxe3 Ra2= でも、おそらくドローでしょう。
27... Be5 28. Rc5 Bxh2 29. a6 Rb1+ 30. Ke2 Rb2+ 31. Kd3 Rd2+ 32. Kxe3 Bg1+ 33. Kxd2 Bxc5 1/2-1/2
最後はビショップでaポーンを切る間に、黒はキングサイドのポーンを解消すればドローです。手数はさほど長くありませんが、難解なゲームでした。2300台は2200台と違い、なかなか簡単に勝たせてくれませんね。
そして2日目の今日は、いよいよGM の登場します。2R はハンガリーのベテランGM Sax.G との対戦です。60を過ぎながら、今年も2700台との試合をこなすパワフルなプレーヤーで、これまでの試合経験は私と比較になりません。今日はしっかりと勉強させてもらおうと思います!
6 件のコメント:
お疲れさまです。 25...Bxb2 26 a4 Rb8 27.a5 の4手が抜けてるみたいです。なんか序盤のルークで1手損が気になります
ご指摘ありがとうございます。棋譜を修正しておきました。
どうも局面図を貼る際に、余計なものを消した気がしてたんですよね...
おっしゃる通り、Ra1-Rd1-Rc1 は結局うまくいかなかった気がしますが、問題はその後です。もう少しタイムプレッシャーと合わせ、相手が嫌がるラインを思い付けなかったですかね。
GMからもドローを取るとは、良いスタート⁈ もちろん勝ちが一番望むところだとは思うのですが、それでも良いスタートを切っているように思います! このまま順調に進むことを祈ってます(^-^)/
クリスマス前にこの大会は終わるのでしょうか?
日本でクリスマスムードを味わうのは本当に難しいのですが、そちらでは雰囲気もバッチリでしょうね‼ 楽しみつつ頑張ってください‼
点数下の人に4勝してあとはゴニョゴニョと2敗4ドローで6pという方程式?が早くも崩れてしまったのでGM相手にがんばってほしいと思いますm(_ _)m
Yumiさん
確かにここまではまずまずです。GM戦は残り5試合もあるので、そちらもしっかり粘ってポイントを取れるように頑張ります。
このトーナメントは22日までの予定で、クリスマスから新年にかけてはブダペストで過ごすつもりです。初めてヨーロッパで過ごすクリスマスと年末を、ゆっくり楽しもうと思います。
匿名さん
そういう方程式は、あまり頭にありませんでしたが(笑)
今回のトーナメントで大切なことは、如何に負けないかだと考えていますので、丁寧に指す中で、貴重な勝ちのチャンスを掴んでいきたいと思います。
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