昨日は3人とも格上との対戦。森内さんのみが、GM Neil McDonald相手にドローを取る結果となりました!久々の海外大会で、マスター相手にポイントを取るのは流石です。
3rd round Results
このClassical Dutch のラインは長く研究していながらも、実戦で試す機会に恵まれてきませんでした。最初の相手がこのラインでも世界的なエキスパートであることは、私にとって大きな幸運です。
白はf1 のナイトをどう使い直すかが今後の課題なので、16. Nd2 Rb8 17. Ne4 も考えましたが、この後、Nc6-Nb4-Nd5 のある黒が不満な展開だとはどうしても思えず、本譜にチャレンジしました。
ルークが1段目を離れたことで、Nc6-Nxe5 をスレットにします。
相手のタクティクスを見落とすブランダー。これで負けまで一直線となりました。局後の3人の検討で現れたのは、20. Nd2!? Ba4 21. Nxc4 Bxc2 22. Nxa3 Bf5 23. Qc3 とエクスチェンジを切る変化。試合中少し考えましたが、a5 のナイトは本譜で何とかできるものだと信じていました...
十分に警戒しているつもりでしたが、20手目でd4 の守りが消えることを忘れていました!
マテリアルは怪しいですが、黒には7段目に突入したルークと強力なパスポーンがあり、勝利は目前です。
日本で試合を見守ってくれていたチェスファンには、申し訳ないような内容でした。続いて、さらっと森内さんのゲームを。
この辺りの白の構想はややおかしく、クイーンを交換したエンドゲームは、間違いなく黒にとって十分なものです。
森内さんはビショップ交換後のNd2-Nb3-Nc5 を嫌いましたが、23... f6 24. Be3 Nd3 25. Re2 Rhd8 26. Bxa7 Rxa7 27. Nb3 b6 ぐらいで十分そうです。黒はd3 のナイトと、dファイルの支配でアドバンテージをキープできます。
ここは森内さんが悔やんだ手。単純にピースを取っておけば、黒は大きな勝ちのチャンスを得ていました。27... Nxb4! 28. Raf1 gxh4 29. Rxf6+ Kd7 30. Rh6 Rf8 31. Rb1 Be3! (これは私たち3人が検討でも見落とした好手!) 32. Rxh7+ Kc6 33. Rxb4 Bxd2 34. Rbxb7 Bf4+ 35. Kh1 Kc5-+
黒がまだ少し良さそうなエンドゲームですが、この付近はMcDonald の指し方にもミスがなく、黒が決定的なチャンスを掴むのは簡単ではありません。
森内さんは残り時間も少なく、最後はパペチュアルチェックを受け入れました。27手目がオンリーチャンス(少なくともはっきりと優勢を得る)だったようです。なかなかワンチャンスをものにできないと、このレベルのマスター相手に勝つのは厳しいですね。それでも素晴らしい試合内容だったと断言できます!
今日の4日目は、16時半試合スタートのゆったりしたスケジュールです。森内さんと礼二さんはベイカーストリートへ、私はその先のリバプールへ試合前に出かけてきます。(私の体調は完全復活と呼んで差し支えありません!)3人にとって、試合前の良いリラックスとなれば良いですね。それでは4R のペアリングです。
4th round Pairings
12番ボードだと森内さんは再びライブゲームに入りますかね。ポーランドのIM 相手にどのような指し回しを見せてくれるか、とても楽しみにしています。それでは、今日こそ再び良い報告ができるよう、頑張ってきます!
3rd round Results
6 FM Kojima, Shinya 2.0 JPN 2340 - GM Williams, Simon K 2.0 ENG 2515 0-1
9 GM McDonald, Neil 2.0 ENG 2454 - Moriuchi, Toshiyuki 2.0 JPN 2316 1/2-1/2
42 Takahashi, Reiji 1.0 JPN 2079 - FM Britton, Richard L 1.0 ENG 2233 0-1
Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Williams, S (GM, ENG, 2515)
London Chess Classic 2012 (4)
1. Nf3 f5 2. d4 e6 3. g3 Nf6 4. Bg2 Be7 5. O-O O-O 6. c4 d6 7. Nc3 Ne4 8. Nxe4 fxe4 9. Nd2 d5 10. f3 Nc6 11. fxe4 Rxf1+ 12. Nxf1 dxc4 13. Be3 Bd7 14. e5 Be8N
London Chess Classic 2012 (4)
このClassical Dutch のラインは長く研究していながらも、実戦で試す機会に恵まれてきませんでした。最初の相手がこのラインでも世界的なエキスパートであることは、私にとって大きな幸運です。
15. Rc1 b5 16. b3!?
白はf1 のナイトをどう使い直すかが今後の課題なので、16. Nd2 Rb8 17. Ne4 も考えましたが、この後、Nc6-Nb4-Nd5 のある黒が不満な展開だとはどうしても思えず、本譜にチャレンジしました。
16... Ba3 17. Rc2 Rb8!
ルークが1段目を離れたことで、Nc6-Nxe5 をスレットにします。
18. bxc4 bxc4 19. Qa1!? Na5 20. Bd2?
相手のタクティクスを見落とすブランダー。これで負けまで一直線となりました。局後の3人の検討で現れたのは、20. Nd2!? Ba4 21. Nxc4 Bxc2 22. Nxa3 Bf5 23. Qc3 とエクスチェンジを切る変化。試合中少し考えましたが、a5 のナイトは本譜で何とかできるものだと信じていました...
20... Bb2!-/+
十分に警戒しているつもりでしたが、20手目でd4 の守りが消えることを忘れていました!
21. Qe1 Qxd4+ 22. e3 Qd3 23. Rxb2 Rxb2 24. Bxa5 Rc2-+
マテリアルは怪しいですが、黒には7段目に突入したルークと強力なパスポーンがあり、勝利は目前です。
25. Bf3 c3 26. Qd1 Qxd1 27. Bxd1 Rc1 28. Bb3 Bb5 29. Bxe6+ Kh8 30. Bxc3 Rxc3 31. Bf7 Rc1 0-1
日本で試合を見守ってくれていたチェスファンには、申し訳ないような内容でした。続いて、さらっと森内さんのゲームを。
McDonald, N (GM, ENG, 2456) - Moriuchi, T (JPN, 2316)
London Chess Classic 2012 (4)
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Nc6 4. O-O Bd7 5. c3 Nf6 6. Re1 a6 7. Ba4 c4 8. d4 cxd3 9. Bg5 Ng4 10. Qxd3 Nce5 11. Bxd7+ Qxd7 12. Qd1 Nxf3+ 13. Qxf3 Ne5 14. Qe3 g6 15. f4?!
London Chess Classic 2012 (4)
この辺りの白の構想はややおかしく、クイーンを交換したエンドゲームは、間違いなく黒にとって十分なものです。
15... Ng4 16. Qd4 e5 17. fxe5 dxe5 18. Qxd7+ Kxd7 19. h3 Bc5+ 20. Kh1 Nf2+ 21. Kh2 Ke6 22. b4 Ba7 23. Nd2 Rhc8
森内さんはビショップ交換後のNd2-Nb3-Nc5 を嫌いましたが、23... f6 24. Be3 Nd3 25. Re2 Rhd8 26. Bxa7 Rxa7 27. Nb3 b6 ぐらいで十分そうです。黒はd3 のナイトと、dファイルの支配でアドバンテージをキープできます。
24. c4 f6 25. Bh4 Nd3 26. Rf1 g5 27. Rf3 gxh4
ここは森内さんが悔やんだ手。単純にピースを取っておけば、黒は大きな勝ちのチャンスを得ていました。27... Nxb4! 28. Raf1 gxh4 29. Rxf6+ Kd7 30. Rh6 Rf8 31. Rb1 Be3! (これは私たち3人が検討でも見落とした好手!) 32. Rxh7+ Kc6 33. Rxb4 Bxd2 34. Rbxb7 Bf4+ 35. Kh1 Kc5-+
28. Rxd3 Bf2 29. Rd1 a5 30. b5 Bd4 31. Nf3 Rxc4 32. Nxh4 Rc2 33. R1d2 Rac8 34. Nf5 Rxd2 35. Rxd2 Rc4
黒がまだ少し良さそうなエンドゲームですが、この付近はMcDonald の指し方にもミスがなく、黒が決定的なチャンスを掴むのは簡単ではありません。
36. g4 a4 37. Kg3 a3 38. Rd3 Bc5 39. Ng7+ Ke7 40. Nf5+ Ke6 41. Ng7+ Ke7 42. Nf5+ 1/2-1/2
森内さんは残り時間も少なく、最後はパペチュアルチェックを受け入れました。27手目がオンリーチャンス(少なくともはっきりと優勢を得る)だったようです。なかなかワンチャンスをものにできないと、このレベルのマスター相手に勝つのは厳しいですね。それでも素晴らしい試合内容だったと断言できます!
今日の4日目は、16時半試合スタートのゆったりしたスケジュールです。森内さんと礼二さんはベイカーストリートへ、私はその先のリバプールへ試合前に出かけてきます。(私の体調は完全復活と呼んで差し支えありません!)3人にとって、試合前の良いリラックスとなれば良いですね。それでは4R のペアリングです。
4th round Pairings
12 Moriuchi, Toshiyuki 2.5 JPN 2316 - IM Sadzikowski, Daniel 2.5 POL 2449
30 Tozer, Philip A A 2.0 ENG 2176 - FM Kojima, Shinya 2.0 JPN 2340
77 Stokes, Paul C 1.0 ENG UR - Takahashi, Reiji 1.0 JPN 2079
12番ボードだと森内さんは再びライブゲームに入りますかね。ポーランドのIM 相手にどのような指し回しを見せてくれるか、とても楽しみにしています。それでは、今日こそ再び良い報告ができるよう、頑張ってきます!
7 件のコメント:
一つものミスは許されない、というのが対GMとの対戦、と言ったところでしょうか?
日本の今までのチェス界をよく知らない私なのですが、森内さんはIM目指したりしないのですか? 確か将棋出身の方ですよね。チェスでも上に向かっていけるような雰囲気を漂わせてそうですね(^^)
4R、リバプールでリフレッシュして、Thumb upの結果を出してきてください‼
森内名人は将棋のトッププロとしてかなり忙しいはずなので、今IMを目指すのは難しいでしょうね。でも趣味の一つとしてのチェスでこれだけ強いのは本当にすごいと思います。
4R、おめでとうございます‼
トップ勢の試合も面白かったようですね‼
次はWIMとの対戦ですね‼ 頑張ってください。
楽しみながら、良い成績を収めていってください!
>差し回し
正しくは「指し回し」です。
twitter見ました。ポーランドの17歳WIMと対戦だそうで。対局開始と終了で2回も握手できるんかしら。検索したら動画出てきました。http://www.youtube.com/watch?v=5mMmpDy_SOk オレンジの服の人みたいですね。これを機会に外国語勉強しましょう・・?汗 またセンサーボードつけてもらえるようにがんばってください
途中から服黒くなってた 汗
いつの間にかたくさんコメントが(笑)皆さんありがとうございます。
森内さんのプレーや考え方には、多くのことを学ばせてもらっており、今回ご一緒できて本当に良かったと思っています!
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