12月のCAISSA 2戦目は、ハンガリーのベテランGM Sax Gyula とのゲームです。私が生まれる10年以上前からGM としてプレーしており、60歳を過ぎても現役を続けるというのは、大変なことだと思います。
Sax, G (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa December GM (2)
1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. d4 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Nc5!?
Caissa December GM (2)
Caro-Kann Defence を指し始めて約3年。この変化には一回も遭遇したことがなかったため、もはや文献の中にしか存在しない手なのではないかと疑い始めていました。検討で聞いたところ、彼も指すのは初めてだそうです。
5... e5 6. Nxb7 Qb6 7. Nc5 exd4 8. Nb3 Bb4+ 9. Bd2 Nf6 10. Bd3!? Bxd3 11. cxd3 O-O 12. Ne2 c5
5. Nc5 に対して、まともに研究したことがあるのは、Schandorff の勧めるこのラインだけです。黒はピースの展開は満足ですが、c5 のポーンがターゲットになる可能性と、c4 のアウトポストには十分に気を付ける必要があります。
13. O-O Bxd2 14. Qxd2 a5!
ナイトがc4 まで到達した際に、このポーンが次なるターゲットになるため、このa7-a5 突きが黒にとって本当に良いのか半信半疑でしたが、Sax には良い手だと指摘されました。黒はa5-a4 を見せてbファイルから反撃することで、パッシブすぎる展開を避けます。
15. Qc2 Nbd7 16. Rfc1?! Rfe8!
白の直前の手をとがめる好手です。この手によりc5 のポーン取りがスレットにならず、黒の負担は少ないままで済みます。
17. Ng3 Rab8! 18. Qc4 1/2-1/2
このポジションでSax からドローオファー。いくつかプランを考えましたが、黒がアドバンテージを保って指す変化が思い付かなかったために、これを受けることにしました。彼にとって計算外だったのは、黒がc5 のポーンを無視してbファイルからの反撃に出られたことでしょう。18. Nxc5?? Nxc5 19. Qxc5 Re1+! は典型的なタクティクスで黒の勝ちです。
ところで、最後のポジションをコンピュータにかけると、私も彼も検討で思いつかなかった手で黒は優位に試合を進めることができました。18. Qc4 Ng4! (これは私がすっかり見落としていたアイディアで、直前までd5 にナイトを置くつもりだったので、Nf6-Ng4-Nge5 というマヌーバリングを見落としていました。)19. Qa4 Nge5 20. Rd1 Qb4! 21. Qxb4 Rxb4 22. Rd2 a4 23. Nc1 g6=/+ これならば、黒はc5 へのプレッシャーっをほぼ消したうえで、じっくりとd3、b2 を苛めることができます。うーむ、全く思いつきませんでした。
内容はともかく、とりあえず今年の公式戦でGM から初ドローです。IM トーナメントに参加し続けていたために、GM との試合はオリンピアードと、ロンドンの1試合だけと、今年は例年より少なめ。今日はGM Gorszpeter に黒で、おそらく再びCaro-Kann になりそうです。
3 件のコメント:
如何に負けないで、丁寧に指す。とてもいいことだと思います。
私としては、クリスマスムードバッチリの中で経験豊富なプレーヤー相手にチェスができる、ということだけで羨ましいです。
ぜひ、丁寧かつ、勝負に出られるような試合を楽しんできてください‼
5...Nd7 6.Nxb7 Qc7(将来的にc5のポーンをビショップで取り返す狙い)の変化が推奨の本も(Schandorffだった気もする)。本譜とは狙いが違うけど、面白いよ。
Houska は最もオーソドックスな、5...b6 を推奨していましたね。ほとんど指されないラインですが、調べてみると色々面白い変化がありそうです。
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