Gupta 少年は、5月に私がハンガリーに渡ってきた際に、最初のFS で対戦したプレーヤーです。昨年から、母親と共にたびたびハンガリーを訪れ、ブダペストとケチケメートを往復してIM,GM トーナメントに参加しているようで、約2年でレイティングは1800台から2200台まで伸びています。(ちなみに名前をも顔立ちも間違いなくインド人ですが、チェス国籍はアメリカだったようです。)実際、私も7か月前の対戦では、彼がまだ2000台だったことを記憶しています。そんな彼との7か月ぶりの対戦は、私が得意とするCaro-Kann Classical のメインラインになりました。
Gupta, B (USA, 2227) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa GM December (5)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6!?
Caissa GM December (5)
去年から私のブログをチェックしている人には、懐かしの一手でしょう。私はこのすばやくb2を攻撃しつつ、d8 をルークのために空ける、クイーンのマヌーバリングが大のお気に入りです。
14. Ne4 Rd8!
14... Nxe4 15. Qxe4 Nf6 16. Qe2 Qb5!? と指すのも一興ですが、ここは早めにd4 にプレッシャーをかけ、白のクイーンをdファイルから外させます。
15. Nxf6+ Nxf6 16. c4 O-O 17. Bc3 c5!?
17... Bb4!? とビショップをぶつけ、ピースを交換してしまうのも黒としては安全なチョイスです。(このビショップ交換が可能になるのも、Qd8-Qb6 のポイント)
18. Ne5!?
黒がすでにdファイルにルークを回している以上、白は早めにクイーンをe2に退きたがるものだと思っていましたが、Gupta は非常にアグレッシヴに指してきます。ここでどう指そうか悩んだ挙句、少し怪しいながらもdファイルにルークを重ねるプランを決断します。
18... Rd6 19. dxc5 Qxc5 20. Bd4!?
彼はどこまでもd3 のクイーンにこだわるようです!20. Qe2 Rfd8 21. Rxd6 Bxd6 ぐらいでイコールだろうと、検討では話をしました。
20... Qc7 21. f3?
ここは彼が試合後に悔やんだ一手。g2-g4 をサポートし、黒のナイトがNf6-Ne4 と入ってこないようにするための一手ですが、黒は別のルートでナイトを使い直すことで、満足なポジションを築くことができます。21. f4 Rfd8 22. Qe3 Nd7 23. Rd2= ならば、白は大きな問題がありませんでした。
21... Rfd8 22. Qc3 Nd7! 23. Nd3 Bf6 24. Bxf6 Nxf6 25. g4 b5!?=/+
dファイルを支配した黒は、さらにアドバンテージを獲得するために、クイーンサイドでアクションを起こします。私はパスポーンの評価が苦手ですが、ここでは白のcファイルのパスポーンは脅威ではなく(むしろ、黒に取ってターゲットになります)、d5 のマスを活用できるようになることのほうが、黒のメリットは大きいと判断できます。
26. c5 Rd4 27. Qb3 Qc6!
b5 のポーンを守ると同時に、f3 をアタックすることでテンポを稼ぎます。白はどこかでNd3-Nf2 と指してルークを交換したいところですが、そのためにはc5 のポーンを諦めなくてはならないため、それも苦しい展開です。
28. Rhf1 a5 29. a3 R8d5!
d5 はナイトにとってベストのマスに見えますが、ここではルークの利きを分断してしまうことになるので、dファイルの支配を強めるほうが有力です。狙いは次にクイーンをd7に置き、dファイルにメジャーピースを3つ重ねることです!
30. Qc3 Qd7 31. c6 Qc7
一時的にポーンを進めさせ、クイーンをcファイルに戻しますが、これでいよいよcポーンは助からなくなりました。
32. b3 Rd6 33. Kb2 b4!-+
白にポーンを突かせてからルークを下げたことで、再びd5 のマスが空きました。そこでいよいよNf6-Nd5-Nc3 の出番です!白はポーンが落ちるうえに、このナイトのマヌーバリングを防ぐことができず、勝負ありました。
34. axb4 axb4 35. Qc2 Nd5! 36. Rfe1 Nc3 37. Rd2 Rxc6 38. Rc1 Rcd6 39. Ra1 Qd8 0-1
最後は再びメジャーピースを全てdファイルに戻し、白のナイトが落ちることが確定した時点で、Gupta はリザインしました。c6-c5 からdファイルを開き、そこを支配することで白に何もさせない、Caro-Kann Classical のお手本のようなゲームができました!10月から対1.e4 のメインウエポンに戻しているCaro-Kann ですが、メインのClassical は、ハンガリーとロンドンで5勝3ドローと絶好調です。オリンピアードまで使っていたFrench は、一体なんだったのか...
今回こそハンガリーで、初の勝ちなしもありえるとビクビクしていたので(以前も似たようなことを書いた記憶がありますが...)、なんとか5試合目で勝利を掴み、一安心です。今日は前半戦で敗れたGM Groszpeter との再戦で、白を持つからには負けるわけにはいきません。IM ノームに必要な残りの2勝をどこで掴めるか、初のGM トーナメントの後半戦も頑張ります!
2 件のコメント:
おめでとうございます‼ これだけ気持ちのいい試合ができると気分もいいでしょうね! 私には何年かけても味わうことの出来なさそうなものですが…
クリスマスのハート、あげる相手は見つかりましたか⁇
ドローでスタートの後半、まだまだ大丈夫ですね‼ 頑張ってください‼
ちなみに歌合戦、キングの帽子でもかぶってでて、チェスの宣伝も兼ねられますね(^^) AKBでも踊ってみますか⁇⁈
ありがとうございます。
Gupta は油断ならない相手ですので、白番でも気を引き締めて勝負にいこうと思います。
クリスマスクッキーをあげる相手は、残念ながらハンガリーにはいないので、来年以降に持ち越しですね~。
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