今年のカペルもいよいよ大詰め。後半の7R目を迎えます。石塚さんがなぜか1300を引いた以外は、全員が上との対戦ペアリングとなり、厳しい結果も予想されましたが、終わってみれば意外なほどに日本勢の快勝でした!
Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Kiselev, V (GM, RUS, 2517)
Cappelle la Grande 2013 (7)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Nbd7 5. Bf4 dxc4 6. e3 Nd5 7. Bxc4 Nxf4 8. exf4 Bd6 9. g3 O-O 10. O-O Nf6
Cappelle la Grande 2013 (7)
このオープニングは、私のQGD 5. Bf4 の研究の中でも、あまり手つかずのラインでした。(試合直前に、Akobian の一試合を並べたぐらい)しかし、e5 のマスを握りながら、黒の白マスビショップを抑えて指すという基本方針は、割と分かりやすいと思います。
11. Ne5 c6 12. Re1 Nd5 13. Ne4 f6!?
このようなポジションで、f7-f6 を黒が突くべきかどうかというのは、難しい問題です。黒にはe6 のポーンを弱めるという分かりやすい欠点がありますが、e5 にナイトを残しておけば、それはそれで厄介です。
14. Nf3 b6 15. a3 Be7 16. Rc1 Bd7 17. Ba2 g6 18. Nc3 Kg7
黒からここでドローオファー。ここは握手を返したいところでしたが、今大会では20手未満の合意ドローは禁止されています。相手にその旨を伝え、もう少し続けることにします。
19. Kg2!?
ここは迷ったのですが、相手に検討で指摘された通り、h2-h4 からキングサイドを開き、黒キングを攻撃にしにいくべきでした。Kg1-Kg2 はhファイルが開いた際に、ルークを回せるようにするつもりだったのですが、よく考えればhファイルが開くか分からない現段階では、やや勇み足だったように思えます。
19... Be8!?!
またJovanic 戦のような、GM の理解不能なアイディアが跳び出します。こちらが20手目を指してドローオファーするつもりが、また面倒なことを(笑)かなり考えた末に、白が悪くはならないだろうと思って以下の変化を試してみます。
20. Qe2!?
ポーンを単純に取る変化も考えましたが、誘われているような気がして、別の手を試してみます。20. Rxe6 Bf7! (20... Nxc3 21. Rxc3 Bf7 22. Rcxc6! Bxe6 23. Bxe6 が白良しというのは、私とKiselev の共通見解です。) 21. Bxd5 cxd5 22. Re2 コンピュータの評価は白良しですが、黒はダブルビショップを持ち、弱点を解消しています。そしてなにより、白の多いポーンはダブルポーンです!Kiselev は、これで白がどうポジションを改善するかはよくわからないので、黒OK なのではないかと指摘しています。ロシアのチェスは難しい!
20... Bf7 21. Bxd5! cxd5 22. Nb5!+/=
18手目辺りでも白良しだろうと思っていましたが、ここでそれがはっきり形になったと思いました。白は完全にダブルビショップを放棄しますが、早く支配したcファイルのコントロールと、弱点であるe6 へのアタックでチャンスを掴みます。
22... Bd6 23. Rc6 Bb8 24. Rec1
本譜はごく自然な手に見えますが、勝負に行くならばここでエクスチェンジを捨てるのもありでした!24. Rxe6!? Bxe6 25. Qxe6 a6 26. Nc3+/=
24... Re8 25. Nc7 Bxc7 26. Rxc7 Re7 27. Qc2 Rb8 28. Rxe7 1/2-1/2
まだ続けても良いポジションですが、白のアドバンテージはごくわずかになっており、間違わずに指せばドローに落ち着くでしょう。ここでドローにして検討戦に入り、その後、他の日本人プレーヤーのゲームをチェックしにいきます。
私の試合が終わった時点で、石塚さんは1300に当然勝ち、そして橋本さんがトルコの1700女子に勝っていました!女子勢はこれで4/7 を決め、最後の2試合でカテゴリープライズを目指すことになります。そしてあとの男子2人は...?
三村くんは私が見に行った時点で、2200台のプレーヤーに勝勢のポジションを築いていましたが、40手目前の時間切迫で勝ちのアイディアを見つけることができませんでした。最後はイコールのルークエンディングがドローになり、2200台から初ポイントです。本人は勝てなかったことを悔しがっており、実際勝てるポジションでしたが、1700台が2200台からポイントを取るのは、大変素晴らしいことです!
一方、小林くんは2300ジャストのおじさんFM と対戦。相手のぬるい中盤でエクスチェンジを叩き切り、キングへのアタックを押し切って白星をもぎ取りました。前日の1600台からドローの鬱憤を晴らす、本人としても嬉しい勝利でしょう。
そんなわけで、負け越しもありえると思っていたこの日、日本勢は3勝2ドローと大きく勝ち越しました。全員がカテゴリー入賞のチャンスを残し、さらに厳しい当たりのい8R を迎えます。ここを乗り切れば、栄光のゴールですよ!
Kojima, S (FM, 2368) 4.5/7 RP 2381
Kobayashi, A (1997) 4/7 Rp 2112
Ishizuka, M (1790) 4/7 Rp 1847
Hashimoto, A (UR) 4/7 Rp 1881
Mimura, K (1770) 3.5/7 RP 1954
私は今日、2年前のカペルで敗れたフランスのGM Cornette, M との再戦です。強敵相手ですが、これまでのカペルで最高戦績を叩き出し、レイティングを伸ばすためには負けられないラウンドです。ここも帽子パワーでポイントを取り、最終戦へとつなげたいと思います。
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