2018/01/28

27th IVL Tournament Report


昨日、都内で今年初となるIVL が開催されました。参加者は10名で、今回も平均が2200を超えるようなレベルの高いトーナメントになりました。私は嬉しいことに、昨年1回も達成できなかった午前午後フルでの参加となり、全5試合を指してきました。この日はどの試合も、上手くプランを立てることができましたので、その中から1試合ご紹介しようと思います。

Kojima, S - Shiomi, R
27th IVL (3)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 c5 4. e3 Nf6 5. Nc3 a6 6. cxd5 exd5 7. g3!?



Semi-Tarrasch に対して、g2-g3 を突くアイディアは、何年か前からチェックしていました。この数年でGM が白で勝つゲームをちらほら出てきたため、実戦投入してみます。

7... Nc6 8. Bg2 c4 9. Ne5 Be7 10. O-O O-O 11. b3!


c5-c4 の押し込みに対しては、このbポーンを使ったブレイクが有効です。この時点で私はすでに、c5 をアウトポストにし、ポジショナルプレーで勝負する構想を決めています。

11... cxb3 12. Nxc6 bxc6 13. axb3 Rb8



クイーンサイドのポーンストラクチャーが決まり、白はひとまず満足です。白のb3 のポーンは弱そうですが、黒はa6 とc6 の2つのポーンが弱く、c5 のマスも気を付けなければいけません。コンピュータはQd1-Qc2 を許さない13... Bf5 が正解だと示しますが、白は同じ構想でc5 のマスを狙い、優位に試合を進めることができそうです。

14. Ba3!


Bc1-Be3-Bc5 といったマヌーバリングで黒マスビショップを交換し、c5 のアウトポストを活用するゲームは時々ありますが、これに比べると白はテンポアップでビショップを交換しています。そのうえ、d4 にポーンを残しているストラクチャーであるため、c5 のコントロールも強くなっています。

14... Re8 15. Qc2 Qb6



試合後、このクイーンの位置はNc3-Na4 から当てられてしまうため、良くないのではないという話を塩見さんとしました。しかし、そうでなくとも白のNc3-Na4-Nc5 のアイディアを完全にストップすることは難しく、黒が何を指すかはかなり悩みます。

16. Bxe7 Rxe7 17. Rfb1


ここは一度b3 を守りましたが、私が見落としたのは、17. Rfc1! Qxb3 18. Qxb3 Rxb3 19. Nxd5!+/- という手です。b3 の弱い孤立ポーンと、d5 のセンターポーンの交換であれば、白は満足してエンドゲームに突入できるでしょう。

17... g6 18. Na4! Qc7 19. Rc1!+/-



上記の変化に後れを取りながらも、白はヘビーピースをcファイルに重ね、理想的な形を作れました。g7-g6Bc8-Bf5 を狙う自然な手に見えますが、f6 のナイトを浮かせてしまうという落とし穴があります。Na4-Nc5 が待ち構えているため、黒はビショップでc6 を守ることも難しく、すでに苦しい状況と言えるでしょう。

19... Qb7 20. Qxc6 Ne4 21. Qxb7 Bxb7 22. Bxe4!?


ここはビショップを残すアイディアもあったと思いますが、ナイトさえ消してしまえばc5 のアウトポストを白は完全にコントロールでき、黒からの反撃をほぼ抑え込むことができます。クイーンを交換したことで、弱くなったキング前の白マスを利用される心配もなく、白はほぼリスクのないエンドゲームを、余裕をもって指すことができます。

22... dxe4 23. Nc5 Rc7 24. Ra5 Bc8 25. Rca1 Rb5 26. Rxb5 axb5 27. Kf1 Bh3+ 28. Ke1 Bg2 29. Kd2 Rc6 30. Ra8+ Kg7 31. Rb8 Bf1 32. Nxe4 Ra6 33. Nc3 Ra3 34. Kc2 Kf6 35. Kb2 Ra5 36. Rb6+ Ke7 37. b4 Ra8 38. Nxb5



ゆっくりと白のポーンをかすめ取り、反撃を許さなければ白の勝ちは揺るぎません。最後まで油断せず、指し切れたと思います。

38... Bc4 39. Na3 Bd5 40. b5 Kd7 41. Ra6 Rb8 42. Kc3 Bb7 43. Rf6 Bd5 44. Kb4 Rc8 45. Ra6 Bb7 46. Ra7 Rb8 47. Nc4 Kc7 48. Na5 1-0



続く4,5R も青嶋くん、汐口くんに勝ってパーフェクトスコアでの優勝を決めました! 結果を振り返ってみるとフル出場こそ2年ぶりですが、去年の一部参加を含めれば、4月に南條くんに敗れて以来、IVL ではドローも無しの10連勝となっています。ラピッドはクラシカルの公式戦とは違うものですが、こうして結果を数字で残せるのはやはり嬉しいものです。次回のIVL 開催は未定ですが、連続優勝を目指してまた頑張りたいと思います。


いっぷくでの対局の様子, Photo by Fujita

そしてIVL 終了後は、清澄白河のいっぷくに移動し、七盤初心者のためのチェスレッスンを開催してきました。こちらの講座には、前回12月を超える15名もの受講者に集まっていただき、いっぷくの店内は大盛況でした! 2時間のレッスン後、1時間近くも残って対局をするお客さんがほとんどで、多くのかたにチェスを楽しんでいただけたこと、とても嬉しく思っています。普段チェスのプレーヤーとして競技に参加されているかたはあまりおらず、将棋や囲碁をメインでやっているというかたが多いのも、ここでのレッスンの特色であり、面白い点だと思っています。引き続き、いっぷくさんにはお世話になり、こちらのイベントも続けていく予定です。次回は2/16(金) 19時からの開催予定です。

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