2014/01/25

Saturday Lecture on February 8th 2014


Aronian - Karjakin, 76th Tata Steel Masters (9)
White to Play

今日は5か月ぶりに池上でレクチャーを行ってきました。5か月ぶりにお会いする方も、初めて参加してくださった方も、皆さん、ご参加ありがとうございました。次回のレクチャーはもう2週間後に迫っていますので、早速次のレクチャーの内容をお伝えします。

【日時】 2014年2月8日(土) 10:00~12:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 An Active Play
【テーマ詳細】

夏からのポーンシリーズ3回が終わったので、2月はもう少し違ったテーマでお話ししようと思います。私はチェスで勝つためには、アクティブに指すことが一つの重要なポイントだと考えています。では、アクティブな指し方とパッシブな指し方は何が違うのか、どうすればアクティブ指すことができるのか、なぜ、それが重要なのかといったことをお話ししようと思います。序盤を乗り切っても、中盤でどういった指し方をして良いか分からず、あまり試合に勝てないという方には、特に受けていただきたいテーマのレクチャーです。

【参加費】 午後のサタデートーナメント参加者は午前、午後合わせて1500円、レクチャーのみは1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

それでは皆さん、2月のレクチャーも、また池上でよろしくお願い致します。レクチャーだけでなく、午後の試合をされる方も頑張ってください!

2014/01/24

Who Is the Successor of the Indian Emperor?


GM Harikrishna, Pentala, Photo by Fred Lucas, from Tata Steel 2012

インドのGM として最も知名度があるのは、現在もAnand で間違いはないでしょう。昨年、世界チャンピオンの座をCarlsen に奪われはしたものの、インド皇帝の座は揺るぎないものだと思います。先日、Carlsen への挑戦者を決めるCandidate に名乗りを上げたので、世界チャンピオンに返り咲く気も満々なのでしょうね。もう一度、このマッチを見たいと思うチェスファンも多いのではないかと思います。

ところで、そんなインドの皇帝、Anand の後を継ぐであろう、インドのNo.2 と言えば誰でしょうか。私が国際大会に頻繁に参加するようになった2006年以降、Anand はあまりインド代表として姿を現しませんでした。その代わりにインド代表を背負い、中国と熾烈な争いを繰り広げてきたのが、GM Sasikiran とGM Harikrishna の2人です。2007年頃にはSasikiran が2700に到達してSofia に呼ばれ、Topalov と優勝を争うようなこともありましたが、現在は相方のHarikrishna のほうが、少し上だという認識が強いように思います。

私がHarikrishna を初めて意識したのは、2006年ドーハアジア大会のことです。Sasikiran, Koneru と組んだ彼が、中国との直接対決を制し、チーム戦でインドを金メダルに導いたのは非常に印象的でした。その後もマカオ、北京などで彼の姿を見かけないことはなく、世界チャンピオンであるためにインド代表に入らないAnand の穴を埋め、よくプレーをしています。ここ数年での彼の活躍の場はアジアに留まらず、私が参加した2011年のCappelle la Grande で優勝、翌年のTata Steel ではB グループで優勝し、上位グループ入りの権利を獲得しています。


イスタンブールオリンピアードのインド男子代表。左から、Sasikiran とHarikrishna

2年目となるTata Steel Masters グループ(かつては、Aグループという名前でした) の今年、Harikrishna は参加者12人中、下から3番目のリストにも関わらず、昨夜までで5/9 と健闘しています。初参加の昨年も1つ勝ち越しでのフィニッシュでしたので、彼にとってオランダのTata Steel は、相性の良い大会だと自信を持って言えるよう、今夜から残り2戦もしっかりと乗り切ってほしいですね。トロムソでも、交流の機会を持ちたいところです。

Naiditsch, A (GM, GER, 2718) - Harikrishna, P (GM, IND, 2706)
76th Tata Steel Masters (9)

1. d4 Nf6 2. Nc3 d5 3. Bf4 Bf5 4. f3 e6 5. Qd2 Be7 6. O-O-O Nc6 7. Qe1 Bg6 8. Nh3 O-O 9. Nf2 Nh5 10. Be3 Nb4 11. Rd2 c5 12. g4 Nf6 13. h4 Nd7 14. f4 Bf6!



15. Qd1 Nb6 16. dxc5 Bxc3 17. cxb6 axb6 18. bxc3 Nxa2+ 19. Kb2 Qd6 0-1


・Tata Steel 2014 Live Page

2014/01/22

FIDE Official Tournaments in August 2014 進捗状況

数日前の記事で扱った8月の大会情報に多少の進捗がありましたので、今日はそちらをご報告しようと思います。

Tromso Chess Olympiad at Tromso, Norway, 2014.8.01 - 8.14
40手90分+30分+1手30秒, 11R



まずオリンピアードの男子日本代表は、私と南條くんとAlex、そして三ツ矢さんがメンバーに確定しました。三ツ矢さんについてはつい先程、本人から参加すると連絡があり、他の2人についてはチェス協会に確認したことですので、間違いないでしょう。南條くんとAlex はイスタンブールに引き続き、三ツ矢さんは初の代表として、ノルウェーでもよろしくお願いします。

そして三ツ矢さんに権利が下りている以上、当然のことではありますが、渡辺暁さんも代表権を持っています。4名が確定した以上、後は暁さんが参加の意思を固めれば、男子代表の5名が全員決まりとなります。男子メンバーは今月中に確定する可能性も十分にありそうですね。

一方で女子代表で確定しているのは、橋本あづみさんただ一人です。彼女は早くからオリンピアード参加への意欲を見せていましたし、この1年間、日本の女子プレーヤーとして最も成長した1人で間違いないでしょう。初のオリンピアード代表ですが、全く文句のつけようがない人材ですので、ノルウェーでの活躍を楽しみにしています。

他の女子代表は男子に比べて情報が少ないのですが、昨年の女子チャンピオン、内田さんが権利を蹴ったことで、その分が6位の長谷川さんに繰り下がりました。長谷川さんが参加するかどうかは... まぁ例の人次第でしょう(笑) イスタンブールでも女子チームの中心だった彼女には、ノルウェーでもプレーしてほしいと個人的には考えています。

また、前回書いたスケジュールについてですが、オーガナイザーから返信があり、8月1日にオープニングセレモニー、2日に第1R、14日に最終戦とクロージングセレモニーだと判明しました。つまり7月31日に日本を出て、8月15日に現地を出るスケジュールになりそうです。その他の情報は確定次第、HP に反映されるそうです。オリンピアードについては以上です。

Japan League at Kamata Tokyo, Japan, 2014.8.09 - 8.12
40手90分+30分+1手30秒, 7R



ジャパンリーグの日程は、上記の通りで確定ではないそうで、いつも通りのお盆の時期に設定したら、オリンピアードと被ってしまったそうです。日程はまだずらせるそうなので、他のスケジュールのほうが良いか、リサーチしておいてね~と協会に頼まれました。これって私の仕事なんですかね(笑) できるならば、海外からもマスターを呼びたい国の最も重要なFIDE トーナメントを、オリンピアードと被せるのはあまり良くないと思いますが、翌週でもオリンピアード帰国直後、さらに翌週だと女子選手権と被ります。どうしたものか少し考えて、今月中に自分なりの答えを出したいところです。

World University Chess Championships at Katowice, Poland 2014.8.18 - 8.24



ポーランドの大学生世界選手権もつい先日、日本から参加するメンバーが確定しました。男子は小林くん、杉田くん、岸川くんの3名、女子は荒井さん、福谷さん、柴田さんの3名です。現1年生が3名というフレッシュなメンバーですが、リーダー(?)の小林くんを中心に半年間、トレーニングに励んでくれるでしょう。私も時間があればお手伝いしようと思います。

ちなみに選手に届いた通知には役員のことも書いてありましたが、実際にはこれはなしです。6名でポーランドに行ってらっしゃい!

2014/01/20

5th IV League Tournament Report


1か月ぶりのIVL は、常連メンバー7名によるラウンドロビンで、昨日開催されました。色々と検討し甲斐のあるポジションも出てきたので、私の試合だけでなく、そちらも今日はご紹介しようと思います。


Yoshimura, K - Noguchi, K
5th IVL (1)

エクスチェンジアップで黒勝ちかと思われたゲームでしたが、野口さんがセンターの2コネクテッドパスポーンを過小評価し、ここまで進むことを許してしまったせいで、白にチャンスが生まれています。

1. e6!?


昨日の検討戦では気づいていませんでしたが、白がドローを確保するためには、この手で十分です。1. Bg6!? Kd7 2. Kd5 Re3 3. e6+ Rxe6 4. Bf5 a3 5. Bxe6+ Kd8= でもドローになるでしょう。dポーンの最終マスは黒マスなので、黒キングはそこをブロックしていれば、白マスビショップに追い出される心配はありません。対する白も、ビショップとキングでそれぞれaポーン、gポーンに間に合うため、お互いに勝つ方法はないでしょう。

1... Rf6 2. Ke5??


ここでキングを上げてしまうと、黒のgポーンをキングで止めることができず、白の負けになってしまいます。代わりに2. Bg8! g4 3. Bf7!! この手は検討戦で私たちが見落としていたオンリームーブで、上記の変化同様に、e8 のマスをビショップで抑えるのがポイントです。(代わりに 3. Ke5?? Rxe6+! 4. Bxe6 g3-+ は、やはり白キングが間に合わず、黒勝ちです。) 3... Rxe6 4. Bxe6 g3 5. Ke3= これならば、白キングはgポーンを止めるのに間に合っています。

2... Rxe6+! 3. Kxe6 a3 0-1



白はキングが上がりすぎてしまったことで、a,g ポーンの両方を止めることができません。続けるとしても、4. Bb1 g4 でゲームオーバーです。私もチェコで体験しましたが、ルーク vs. ビショップ+パスポーンのエンドゲームは、正確に読むのが大変難しいものですね。このゲームは、今回のIVL 参加者全員にとって良い勉強になったでしょう。


昼食の席では、全員でこのポジションについてアイディアを出し合っています。

続いて私の試合へ。午前中の2試合目で、絶好調の唐堂くんに敗れた私は、優勝を目指すためには午後の3試合を1つも落とすわけにはいきません。

Kojima, S - Shiomi, R
5th IVL (3)

1. c4 e6 2. e4 d5 3. exd5 exd5 4. d4 Nf6 5. Nc3 Be7 6. Nf3 O-O 7. Be2 dxc4 8. Bxc4 Nbd7 9. h3 a6 10. a4 Nb6 11. Bb3 Nbd5 12. O-O h6 13. Re1 Be6 14. Ne5 c5?!



イタリアで私が敗れた、ラトビアのGM Miezis の得意ラインを使ってみます。French Exchange, もしくはQGA に分類されるであろうオープニングですが、塩見さんにここで緩手が出て、白に小さなチャンスが生まれます。

15. Ng6! Re8 16. Nxd5 Bxd5 17. Bxd5 Nxd5 18. Nxe7+ Rxe7 19. dxc5


これで白は1ポーンアップ。黒がどうやってポーンを取り戻すべきか、正しい手が見つけづらいポジションです。

19... Rxe1+ 20. Qxe1 Rc8 21. Be3 Nxe3?!



21... Qf6! 22. Rb1 Re8! という手順を、試合後に塩見さんに指摘しました。こうしてe3 をポーンで取り返させれば、黒は失ったポーンを取り返すチャンスを、十分に得られるでしょう。

22. Qxe3 Qa5 23. Qe4! Rb8


23... Rxc5? 24. b4! Re5 25. Qxb7 Qd5 26. Qxa6+- ならば、2ポーンアップとなった白が順当に勝つでしょう。23... Qxc5!? 24. Qxb7+/- も、やはりポーンアップで白優勢ですが、本譜よりこちらのほうが良いのかもしれません。

24. b4 Qc7 25. Rd1 a5 26. Qf5 Rd8?



ここは26... g6 のほうがまだ粘れます。少し難しいですが、ルークを交換したクイーンエンディングは白勝ちです。

27. Rxd8+ Qxd8 28. b5! Qd1+ 29. Kh2 Qxa4 30. b6!


ちなみにここは、30. c6 bxc6 31. b6 Qb4 32. Qc8+ Kh7 33. Qc7!+- でも白勝ちです。本譜同様に、b8-h2 のダイアゴナルを抑えたうえで、早いパスポーンを作るのがポイントです。

30... Qc6 31. Qe5!



クイーンエンディングにおいて重要なことは、有利な側はパペチュアルチェックを防ぎつつ、決定打となるパスポーンを作ることです。次にQe5-Qc7 を止めることのできない黒に、粘る手段はもはや残されていません。

31... a4 32. Qc7 Qf6 33. c6 1-0


私はこの後、4R で3連勝中だった野口さんに勝ち、最終戦でも井上さんに勝って、4勝1敗となりました。一方で私に勝った唐堂くんは4連勝までいったものの、最終戦で苦手にしている野口さんに負け。3人が4勝1敗で並び、タイブレークで決着をつける三つ巴の展開となりました。


井上さんがタイブレークを取り仕切り、まずはタイブレークブリッツの対戦表を決めます。チェストーナメントで圧倒的なくじ運の悪さを誇る私が、あみだくじでシードを引いたことには少し驚きました(笑) 他の2人にはかなり文句を言われましたが、こう決まった以上は仕方ありません。ドローならば色を変えて再試合を行うというルールで、タイブレークがスタートです。


直前の5R で、野口さんに黒を持って敗れている唐堂くんは、待望の白を引いての大事な勝負です。中盤、対称なポーンストラクチャーからポジションを開きにいきましたが、野口さんはこれをうまく受け、最後はセンターのパスポーンを押し進めて勝ち。唐堂くんに対して相性の良さを再び見せつけました。


続くファイナルは、野口さんと私の対戦です。シードのために黒を再び持った私ですが、野口さんにはかなり相性が良いので、さほど問題ないと思っていました。しかし、ゲームが始まるとKIA ですぐに黒がボコボコとなり、15手程ですでに手の施しようがなくなります(笑) それでもなんとか粘っていると、野口さんのポーンが落ち、ピースが落ち、数手で大逆転となりました。お互いにどうしてこうなったのか首をかしげますが、ブリッツとはそういうものかもしれません。かくして5回目のIVL、タイブレークを制した私が優勝と確定しました。

1st-3rd Place 小島慎也, 野口恒治, 唐堂 4/5
4th Place 中村龍二 2/5
5th Place 塩見亮 1/5
6th Place 吉村謙治&井上祥ペア 0/5


大会後の打ち上げには、馬場さんと南條くん、そしてこれからロンドンに発つ佐野さんが合流しました。佐野さんとは最後に会う機会になりそうなので、写真を撮っておけば良かったと少し後悔... 12月には2年ぶりのLondon Chess Classic Open Class への参加も検討しますので、オリンピアード後に募集をかけるかもしれません。

高いレベルのトレーニングを目的としたIVL も、昨年の7月から始まってすぐに5回開催となりました。井上さんと相談して、今後は少し違った形式での開催も考えています。はっきりとしたことは決まっていませんが、こちらもお楽しみに。それではIVL メンバーの皆さん、次回もよろしくお願い致します。

2014/01/18

FIDE Official Tournaments in August 2014

今年の8月は、私たちにとって楽しみなFIDE トーナメントが満載です。おそらく、まだあまり知られていないトーナメントもありますので、今日は夏に開催される3大会をご紹介しようと思います。

Tromso Chess Olympiad at Tromso, Norway, 2014.8.01 - 8.14
40手90分+30分+1手30秒, 11R



今年の夏、チェス界で最大のイベントと言えば、2年に一度開催されるチェスオリンピアードで間違いありません。ノルウェーの首都、オスロから国内便で2時間ほど、北極圏に位置する町、トロムソが戦いの舞台です。昨年はこの地でワールドカップが開催され、ロシアのクラムニクが優勝したことも、まだ記憶に新しいでしょう。アナンドを破り、世界チャンピオンとなったカールセンも、ノルウェー代表として参加予定と聞いています。オリンピアードは今回も、大いに盛り上がりそうですね。

そして日本代表としては、私と南條くんが参加するのはほぼ間違いありませんが、他はまだはっきりとした情報が伝わってきていません。女子は数日前に参加の意思が問われ、こちらも調整中のことです。ちなみに...

アナンドが来るなら行く!


という選手がいたので、私がインドのGM に連絡を取ったところ、インドの代表メンバーはまだ確定しておらず、アナンドも参加するかどうか、まだわからないそうです。連絡をくれたGM Harikrishna には感謝致します。(オランダで試合中のところ、すみませんでした...) 2006年のトリノ以降、3大会連続でオリンピアードには出場していないアナンドですが、世界チャンピオンから陥落したこともあり、今年はノルウェーに来る可能性もあるでしょう。

また、今年のオリンピアードは、8月1日から14日までの開催だということはわかっていますが、その他の詳しいスケジュールが公開されていません。これについて、私はノルウェーのオーガナイザーやミーシャにメールを送りましたが、まだ返答はない状態です。31日に日本を出るフライトであることは間違いないと思いますが、早めにこの辺りもはっきりさせたいですね。私もドレスデン以降、オリンピアードでは目立った活躍をしていないので、今年こそはと気合を入れて臨みたいと思います。

Japan League at Kamata Tokyo, Japan, 2014.8.09 - 8.12
40手90分+30分+1手30秒, 7R



写真は昨年のJapan League から、Kojima - Ikeda の対戦です。

こちらは昨日スケジュールを確認していて、驚きました。日本国内で最大のFIDE トーナメント、ジャパンリーグの開催時期がオリンピアードと被っています。これについては、今日JCA に確認を取ろうとしましたが、1日中電話は通じず。スケジュールを確認し忘れてうっかり被せてしまったのか、ここしか会場が取れないので致し方ないと考えているのか。いずれにせよ、私たちオリンピアードメンバーにはなんらかの説明が欲しいところです。国内最強のメンバーがジャパンリーグに不在というのは、なんとも寂しいですからね。

World University Chess Championships at Katowice, Poland 2014.8.18 - 8.24



ポーランドで8月中旬から開催されるのは、大学生の世界選手権です。この数年で日本からは、2008年のロシア大会に私と内田さん、2012年のポルトガル大会に篠田くんと尚広くんが参加しています。学生選手権を終えたばかりの日本の大学生たちには、学生チェス連盟からこの大会への誘いが出され、現在メンバーを調整中です。すでに参加を決意しているメンバーもいるようですので、声をかけられているメンバーはお互いに連絡を取り合い、参加するかどうかを検討してみてください。過去の参加者である、私や篠田くんにも気軽に相談してくれてOK です。

この大会は年によって運営も参加メンバーも違うので、あまり参考にはならないかもしれませんが、少しだけ2008年の話をします。ロシアのノヴォクズネツクで開催された2008年の大会では、男子セクションは人数が少ないものの、非常にレベルが高かったです。Lysyj, Igor, Smirnov, Pavel, Bocharov, Dmitry といった、お前ら大学生だったのかよ! とつっこみたくなるほど、名のあるGM がロシアの男子代表でした。レイティング2200程度だった私ですらbye を食らい、ギリギリで最下位を逃れる苦しい戦いでした。(ポルトガルでは、もう少しレベルは下がったようです。)


豪華なオープニングセレモニー


Brazilian Pair


試合前の一コマ。中央は中国のGM Zhou Jianchao


レストデイには必ず開催地の観光ツアーがあるでしょう。

それでも、同年代の世界のプレーヤーたちとの交流は楽しかったですし、今でも付き合いのあるメンバーも複数います。(その時に友達になったブラジルのMekhitarian は、そろそろブラジル代表に入るでしょう。) 他の大会は来年以降も参加のチャンスがありますが、World University Chess Championships は今年しか参加できないかもしれませんので、大学生たちには思い切ってチャレンジしてもらいたいですね。エントリーの締め切りはすぐですが、トレーニングの期間は、まだ7か月もありますよ!

2014/01/17

5th IV League Tournament Information


写真は1st IVL のときのものです。

今週末の日曜日、19日に開催される第5回のIVL も、だいたいの詳細が決まりました。帰国直後の前回は、私が4勝1ドローで優勝したにもかかわらず、良いゲームがあまりなかったために棋譜の公開はなしでした。今回は事前に棋譜を公開してほしいというリクエストも届いていますので、きっちりと良いプレーをしたうえで、3回目の優勝を狙っていこうと思います。1月のメンバーは以下の通りで、今回は五十音順でリストを決めるという変則式です。

1. 井上祥 & 吉村謙治 (それぞれ予定があるため、交代で計5試合を指します)
2. 小島慎也
3. 塩見亮
4. 唐堂
5. 中村龍二
6. 野口恒治

今回はこのメンバーでの、5R ラウンドロビン、持ち時間は25分+1手10秒加算です。私の注目は第2回、第3回優勝の野口さんと、最近成長著しい唐堂くんが、どういったプレーを見せるかです。もちろん、日本チャンピオン経験者の2人も侮れない相手でしょう。私以外のメンバーは、今年の指し初めとなる大会ですので、2014年のスタートとして、皆さん良いプレーができるよう期待しています。

2014/01/16

マンガで覚える図解チェスの基本 New Design Version


2011年の秋に土屋書店から出版された、私監修のチェス書籍が、昨年末にカバーデザインが変更となったことをお知らせ致します。私の元にも本日、土屋書店から献本が届きました。個人的には、以前の黄色中心のカバーよりも、こちらのほうがお気に入りです。書店で見かけた際は、是非手にとってご覧ください。中身は以前のものと変更はなく、漫画を交えて子供にも分かりやすく解説した入門書です。

久々にこれをご紹介することになったのは、昨年末の学生選手権で、この書籍に私のサインを入れて参加者への賞品にしたいと、学生チェス連盟の小林くんから声をかけられたことがきっかけです。そこで初版のものから、デザインが変更されたことを知りました。タイミングとしてちょうど良かったのはたまたまだと思いますが、私の本を学生への賞品にしようと考えてくれた小林くんには、大変感謝しています。

また、学生選手権の会場、ないしは別の場所でこの本を見かけ、カバーの駒の名前にミスがあることに気づいた方もいると思います。先日、こちらのミスについても土屋書店に確認を取ったところ、すでに修正をして正しいものを流通させているそうです。ミスのあるカバーを手にしてしまった人は、どうかご容赦下さい。中身については、初版出版前に私が目を皿のようにして、ミスがないようチェックを済ませています。

マンガで覚える図解チェスの基本 Amazon 購入ページ


(申し訳ないですが、Amazon で購入した場合、旧カバーと新カバーのどちらが届くか、確認が取れていません。)

2014/01/15

Caro-Kann Classical Move by Move Vol.2

Introduction 2


大学時代に1. e4 から1. Nf3 に切り替え、English 型や1. d4 メインラインの勉強を数年した私が、再び1. e4 に戻ってきたのは、2010年の頭のことです。そんな私が対Sicilian を中心に、新しいレパートリーを構築しようとしていて行き当ったのは、Caro-Kann に対してどの変化を指すか、ということです。高校時代には、Main Line, Exchange, Advanced Variation など、いくつかの変化を使ってきましたが、2010年に試そうと思ったのが、Panov Botvinnik です。

Kojima, S (FM, JPN, 2312) - Shen, S (CHN, 2386)
Thailand Open Chess Championship 2010 (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. c4 Nf6 5. Nc3 g6!?



c7-c6, d7-d5 から、白マスビショップを早めに展開する準備をするCaro-Kann は、意外とキングサイドフィアンケットとの相性が良いものです。Panov Botvinnik の5手目は、5... e6, 5... Nc6 が他にポピュラーな変化で、どれも特徴があって面白いでしょう。

6. cxd5!?


6. Qb3 がメインラインかつ、白が唯一アドバンテージを取れる変化だという意見もありますが、私は当時、d4 のポーンを多少弱めても分かりやすい変化を選ぶことにしていました。

6... Nxd5 7. Bc4 Nb6 8. Bb3 Bg7 9. Nf3 Nc6



私がPanov を選んでいたことには、IQP ポジションの理解を深めるためという理由があります。他のオープニングのレパートリーは、Sicilian Alapin, French Tarrasch であり、どれもがIQP ポジションになりやすい変化です。ちなみにこのポジションは、Sicilian Alapin からでも派生しうるでしょう。1. e4 c5 2. c3 g6 3. Nf3 Bg7 4. d4 cxd4 5. cxd4 d5 6. exd5 Nf6 7. Nc3 Nxd5 8. Bc4 Nb6 9. Bb3 Nc6

10. d5 Na5 11. Be3 O-O 12. O-O Bg4 13. h3 Bxf3 14. Qxf3 Nbc4 15. Rfe1!?


黒はナイトをうまく使ってb2 を攻めますが、白はe7 のポーンをアタックすることでバランスを取ります。(狙いは次に、Be3-Bg5) このような開いたeファイルを使うのは、IQP での一つの有効な手の作り方です。

15... Nxe3!? 16. Qxe3 Nxb3 17. axb3 Bxc3 18. bxc3 Qxd5 1/2-1/2



黒はすべてのマイナーピースを交換し、ドローをチョイスしてきました。c3-c4 からb3 を守り、次にe7 を取れば形勢はイコールでしょう。私はここでドローを受け、試合を終わらせました。

私はこのゲーム後、Panov を諦めたわけでも、1. e4 を諦めたわけでもありません。ただ純粋にCaro-Kann に対して、どのように指すべきかという疑問を膨らませたのです。そんな疑問を解決するために、黒番でのCaro-Kann の研究を始めたわけですが、まさかそれがCaro-Kann の世界にどっぷりとはまるきっかけになるとは、思ってもいませんでした(笑) Vol.2 は導入の後半ということで、タイトルのClassical とは違う変化の試合をご紹介しましたが、Vol.3 からは、メインのClassical の解説を本格的に始めようと思います。

Vol.3 に続く。

2014/01/14

North American Open 2013 Tournament Report

今夜はラスベガスで素晴らしいパフォーマンスを残した唐堂くんから、North American Open 2013 のレポートが届いたので、そちらを公開致します。このレポートを見て興味を持たれた方は、11か月半後のアメリカ行きを検討してみてください!


Report by Tang Tang

早くも昨年のことになりますが、12月26日から29日にかけてラスベガスのBally’s Hotel で行われたNorth American Open 2013 に吉村さんと二人で参加してきました。二人とも二年前に続き、二回目のラスベガス遠征でした。その様子について、簡単ではありますが、レポートしたいと思います。

North American Open ではOpen、U2300、U2100、U1900、U1700、U1500、U1250 と、7つのセクションに分けられていて、その中でもOpen セクションとU2300 セクションだけFIDE レートがつきます。私のUSCF のレートは2053 ですが、せっかく海外まで来たので、FIDE レートがつくU2300 セクションに吉村さんとともに参戦しました。

今回もそれぞれのセクションの参加者が100人をゆうに超えていました。二年前と変わらず、アメリカの大会のスケールの大きさは、やはり凄いものでした。会場では幅広い年齢層、人種の人が集まっていて、日本の大会では味わえない雰囲気があり、いつか日本の大会でもこれくらい人を集められたらなと思いました。


今大会のスケジュールは以下のようになっていました。

12/26 18:15 R1
12/27 12:00 R2 18:15 R3
12/28 12:00 R4 18:15 R5
12/29 10:00 R6 16:00 R7

このように4日で7ラウンドをこなす日程でしたので、1日目は夕方から始まる1試合のみでしたが、2日目から4日目までは、午前に1試合、夕方に1試合でした。タイムコントロールは40手120分+30分(Delay10秒)とあまり慣れないものでしたので、タイムパニックに陥る試合もありました。夕方の試合が18:15と遅くから始まることもあり、終わるのは深夜12時近くになるケースがほとんどでした。また、午前の試合が長引くと、休憩時間が5~10分だけで次の試合に臨むこともありました。さらにその次の試合も長引いてしまうと、約12時間連続で試合することもあり得ました。今回のような持ち時間が長い大会は久しぶりでしたので、1試合するだけでかなりの疲労を感じていました。そのため夕方の試合はほとんどへとへとの状態で臨むことになっていました。世界では持ち時間が長い大会の方が多いので、これから体力もつけないといけないなと思いました。

それでは今回の戦績について振り返ります。

R1 Tang Tang(2053) 0.5-0.5 Daniel Ming He(2206) Benko’s Opening
R2 Udit Iyengar(2232) 0.5-0.5 Tang Tang(2053) Queen’s gambit declined
R3 Tang Tang(2053) 1-0 Ron Perez(2202) Neo-Gruenfeld
R4 Renard Anderson(FM,2256) 0-1 Tang Tang(2053) Caro-Kann,Advanced variation
R5 Tang Tang(2053) 0.5-0.5 Roland Feng(2274) Trompowsky attack
R6 Joshua Sheng(2260) 0-1 Tang Tang(2053) Caro-Kann,Anti-anti-Caro-Kann defense
R7 Tang Tang(2053) 0-1 Nicholas Rosenthal(2230) Benko’s Opening

3勝3分1敗の4.5/7ポイントで89人中17位でした。大会と通して調子がよく、盤全体をよく見えていましたので、良かったです。しかし最後のラウンドでは勝てば2位タイ、ドローでも4位タイになれるチャンスであっただけに、敗戦は悔しすぎました。おそらくここまで悔しがったのは初めてです。そのうえ、ひそかに狙っていた無敗記録も途絶え、賞金も…(泣)それでも、負けた試合も含め、どの試合も面白かったので、今回の収穫は相当大きかったです。

それでは自分の試合の中から一つだけ紹介したいと思います。海外でFM と初めて当たりました。

Renard A(FM, USA, 2256(FIDE2209)) - Tang, T (JPN, 2053(FIDE1974))
North American Open 2013(4)

1. e4 c6


Caro-Kannでいきます。

2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4 h6 5. g4 Bh7?!



実戦でCaro-Kann,Advanced Variation になるのは初めてです。ここはいったん5... Be4 にしてf3 を突かせて、g3 のマスを弱めるべきでした。

6. e6 fxe6 7. Bd3 Nf6 8. Bxh7 Rxh7 9. h5?


試合後、Anderson さんはこの手がダメだと言っていました。このポーン突きは特に意味がなく、一手損したことになります。普通に9.Qd3 などの方が良さそうです。

9…c5 10. c3 cxd4 11. cxd4 Nc6 12. Nf3 Qd6 13. Qd3 e5 14. Qg6+ Kd8 15. g5 hxg5 16. Nxg5 Qb4+ 17. Bd2?



トイレから戻ってきてこの手が指されていたので、びっくりしました。そして冷静に時間をかけて読むと、黒が優勢になることを確信しました。17. Kf1! Rxh5 18. Rxh5 Qc4+ 19. Kg2 Nxh5 20. Qxh5 Qxc1 とすれば、ピースのアクティブさで、やや白が良いと思います。

17…Qxb2 18. Nxh7 Nxh7 19. Qxh7 Qxa1 20. O-O Qxd4 21. Qf5 Ke8 22. Qg6+ Kd7 23. Re1 Qc5



もうすでに黒が大きく優勢であると試合中に感じました。ここでクイーンでdポーンを守らせつつ、dポーンの周りをくるっと回して交換を狙います。

24. Qf7 Qd6 25. Bc3 Qe6 26. Qf3 g6!


g6 を突くことで働きの悪い黒マスビショップを活用させ、さらにキングサイドにルークを回します。

27. Qg3 gxh5 28. Bxe5 Qg4



ここでクイーン交換に成功し、黒は圧倒的にポーンが多く、そしてキングの位置も良いので、あとは一本道です。

29. Nd2 Qxg3+ 30. fxg3 e6 31. Nf3 Bd6 32. Bxd6 Kxd6 33. Ng5 Rg8 0-1


最後はe6取れないうえ、ナイト逃げればg3落ちるので、白はここでリザインしました。

これで、海外FMと初顔合わせで初勝利を挙げることができました!この勝利は大きな自信となりました。そして全7ラウンドの対戦相手が皆レート2200台でしたので、U2300セクションに出て良かったと思います。

また、今大会で一番感じたのは、様々なプレイヤーと対戦することは大きな力になることです。アグレッシブにどんどん駒をきって攻めてくる人もいれば、手堅く守りを固めてカウンターを狙う人もいました。そのうえ皆読みの精度が高くて手ごわかったです。どんなタイプのプレイヤーに対しても優位に試合を運べられるようにさらにトレーニングしないとな、と心から思いました。さらに、これからは毎年少なくとも一回は海外の大会に参加して、その大会での目標を決め、年々その目標に向けてチェスを精進していきます。国内でもビッグイベントで本気で賞を狙っていきたいと思います。

最後に、今年4月から大学生になります。皆さん引き続き大学生唐堂をよろしくお願いします。


最高の旅でした。吉村さんに感謝。


グランドキャニオン!素晴らしすぎました。


主な食事。だいたいこれでした。


新年カウントダウン


イグアナさん。相変わらず元気でした。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

2014/01/12

New Year Open 2014


新年チェス大会の入賞者たち, Photo by Amamiya

今日は2014年初めてのトーナメント、新年チェス大会に参加してきました。クリスマスオープンをサボった私にとっては、昨年8月に参加したJapan League 以来の蒲田での公式戦です。寂しかった昨年に比べて人数は倍増し、会場は十分な盛り上がりを見せていましたね。そんな中、私は無事に4戦すべてを勝つことができ、ひとまずほっとしています。

1R Kojima, S (FM, JPN, 2415) - Horie, T (JPN, 1769) 1-0
2R Sugimoto, K (JPN, 1883) - Kojima, S (FM, JPN, 2415) 0-1
3R Kojima, S (FM, JPN, 2415) - Philipp, O (AUS, 2010) 1-0
4R Kenmotsu, T (JPN, 1803) - Kojima, S (FM, JPN, 2415) 0-1


3R1B は、オーストリアのPhilipp さんと, Photo by Uesugi

Kojima, S (FM, JPN, 2415) - Philipp, O (AUS, 2010)
New Year Open (3)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5?! 6. Bb5+ Nbd7 7. Nf5 a6 8. Bxd7+ Qxd7 9. O-O Nxe4?! 10. Nxe4 Qxf5 11. Nxd6+ Bxd6 12. Qxd6 Qe6 13. Qa3 Bd7 14. Be3 O-O-O 15. Qc5+ Bc6 16. Rad1 Rd5 17. Qa7 Rxd1 18. Rxd1 Qg6?



オーストリアからきたPhilipp さんは、g2 とc2 を同時に攻撃するようにクイーンの位置を決めましたが、この手が負けを決める大きな判断ミスです。18... Qg4! 19. f3 Bxf3 20. Rd2 Bxg2 21. Rxg2 Qd1+ 22. Kf2 Qxc2+ 23. Kg3 Qg6+ 24. Kf2 Qc2+= g2 を捨てる変化も読んでいましたが、c2-g6 のダイアゴナルを使ってパペチュアルだとは気づいていませんでした。

19. f3 Qxc2 20. Rd2!


こうしてdファイルをキープしたままクイーンを追い払えば、次にQa7-Qa8+ からのルーク取りと、Be3-Bb6 のメイトスレットを同時に防ぐことができません。

20... Qb1+ 21. Kf2 Bb5 22. Qa8+ Kc7 23. Qxh8 Qf1+ 24. Kg3 Qe1+ 25. Kh3 Qxe3 26. Qd8+ 1-0



次の手でメイトです。ここまで読んだうえで20. Rd2 を指せたので、今日は調子が良かったと言えるでしょう。今日の大会、A クラスの順位は以下の通りです。

1st Place 小島慎也 4P
2nd-4th Place 三ツ矢直人、小林厚彦、剱持徹 3P


試合後のスピーチでは新年の挨拶だけでなく、アゼルバイジャン代表のGM Gashimov が、昨日27歳という若さで亡くなったという話をさせていただきました。2700台の国の代表GM が亡くなるというのは、ここ最近では他に聞いたことのない悲しいニュースです。私は大学時代、彼の力強い1.e4 メインラインのゲームにに惹かれ、多くのゲームを並べました。(特にRuy Lopez!)

この大会の白番、2試合とも1.e4 を指したのは、そんなGashimov に追悼の意を表すためです。世界中の多くのチェスプレーヤーに影響を与えた、彼のような偉大なGM がいたことを、日本にチェスファンの皆さんには知っていただきたいですし、また覚えておいていただきたいと思います。Chess News には、そんなGashimov の追悼記事が出ていますので、よろしければそちらもご覧ください。


少し暗い話をしてしまいましたが、今日は参加者の皆さん、お疲れ様でした! 今年も各々、目標をもって頑張っていきましょう。私は前日の北千住の例会で、すでに国内公式戦無敗という目標が消え去ってしまったので、新たな目標を探す旅に出ようと思います(笑)

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.