2018/07/09

Indian Wedding Vol.1


デリー空港にて

突然ですが、土曜から妻と2人でインドに来ています。今回の旅は珍しくトーナメント目的ではなく、インドの結婚式に出席するためです。妻が仲良くなったインド人の子から、家族の結婚式があるのでインドに来ないかと誘われたのが、今回の旅のきっかけでした。インドの結婚式に出席するチャンスなんて、人生で今後あるかどうか分かりません。夫婦でスケジュールを調整し、思い切ってインドに旅立ったのでした。


私のインド訪問は、2006年のAsia Junior に参加して以来2回目です。その時はあまり印象にありませんでしたが、首都デリーの空港のお土産屋さんには、どこでもチェスセットが置いてありました。手頃なサイズのマグネットチェスセットが、2700ルピー(4200円くらい)でした。サイズは3種類くらいを揃えているようです。


20時頃の便でデリーを発ち、初日の目的地であるアーメダバード空港へ。そこで別便で日本からインドに向かった友人を待ち、合流してからホテルへ向かいます。しかし、彼女のムンバイからの便が遅れ、合流は0時過ぎ、ホテルに着いたのも2時過ぎでした。へとへとになりながらも、翌日行われる結婚式前日祭に胸が高まります。


次の日は少しゆっくり起きて朝食を取り、その後でベントの主役である花嫁さんとその家族が受ける浄化の儀式を見せてもらいました。祭司の祝詞にあわせ、穀物や溶かしたバターなどを火にくべ、式に向けて体を清めるというものです。どんどん花嫁サイドの親族が集まる中で聞いた話によれば、新郎自身や新郎の親族はこの日は来ることなく、翌日別の場所で開催される式本番で初めて会えるとのこと。インドの結婚式はとても長く、数か所を移動しながら1週間ほどかけて開催されるのです。私たちはこの日の前日祭と、翌日翌々日の結婚式に出席を予定してインドに来たのでした。

昼食の席では、私はチェスに興味がある人たちにつかまり、何ゲームも指すことになりました。(もちろん指す気があるので、携帯用のチェスセットを持参しているのですが) それにしてもインドの人たちのチェス好きはすごい! 指したいと言ってくれた全員は相手にできないほどで、インドでのチェス人気を実感しました。


午後はヘナ(日本でも髪を染めるのに使う植物)のタトゥーを入れる時間が始まり、主役は完全に女性陣になります。ヘナタトゥーを入れる職人さん(と呼ぶのかな?)たちは手際良く、希望する女性たちの腕に様々な模様を入れていくのでした。ヘナタトゥーは1週間~2週間ほどで落ちるために手軽に試すことができるとのこと。妻も簡単な模様を入れてもらっていました。


ヘナタトゥーの凝ったものはこんな感じです。乾いたヘナを落とすと、描かれた模様が少し薄めに手に残ります。主役の新婦は複数の職人に囲まれ、手足にびっしりとこのヘナタトゥーを描かれることになります。私は撮影しませんでしたが、新婦の片手には新婦、別の手には新郎が描かれていました。


ヘナの時間が終わり、夕飯までは歌あり、踊りあり、楽器ありの時間となり、ホテルの広間は盛り上がってきます。私は体に響く音楽が苦手なため(オリンピアードのバミューダパーティーも逃げています)、少し部屋で休んでいましたが、うっかり踊りの時間に広間に戻ってしまい、さぁ大変。外から撮影していたはずがいつの間にか取り込まれ、チェスを指したお兄さんに「インドの! ダンスは! こう! 1,2,3!」 と指導され、短い時間でへとへとになりました。インド映画などで突然踊り出すというシーンがありますが、まさにあれを自分で体験するのです!


朝からそうでしたのでなんとなく察していましたが、今回のイベントは肉無しの完全ベジタリアンメニューです。ポテトのカレーも豆のカレーもとても美味しい! でも辛くて食べ進めるのが大変なのもあります。インド人の彼らが肉無し、酒無しでこのテンション、エネルギッシュさをキープできるのは、スパイスのおかげかもしれませんね。


夕飯後は、私が来ることを聞いて楽しみにしていたという、チェスプレーヤーのKiranbhai おじいちゃんとの対局です。ホテルのロビーで指すつもりが、空いていなかったために突如自宅に招かれました。年季の入ったチェスセットや資料を見せてもらい、かなりのチェス好きなのだと納得しました。夕方に指した小学生お孫さんも、学校とこの地区のチャンピオンだそうです。私にとってこの日の対局は全て楽しかったですが、相手をしてくださった皆さんも同じように感じてくれていると嬉しいです。皆さん、ありがとうございました!


最後はおまけのコウモリくん。対局の用意をしていたら外から飛び込んできました。ぐったりしているように見えますが、ちゃんと外に放ったら元気に飛んでいきました。それにしても、野生のコウモリを(ついでに素手で捕獲するのも)、こんな間近で見るのは初めてです。インドに来てから貴重な体験ばかりで、飽きることはありません。

2018/07/01

国内レイティング S119


今年の全日本選手権

今月最終日の今日、新しい国内レイティングを確認することができました。主に結果が反映された大会は、全日本選手権とゴールデンオープン、そして快速選手権です。上位のリストと変動は以下のようになっています。

Tran Thanh Tu 2528 +13
小島慎也 2497 +20
青嶋未来 2423 +27
馬場雅裕 2399 -17
Alexander Averbukh 2321 +10
山田弘平 2297 -2


全日本で上位入賞を果たしたTuさん、私、青嶋くんはその結果を受けてレイティングを大きく上げています。青嶋くんは今月の快速でも優勝し、2400台に復帰ですね。私もこっそりベストレイティングを更新したようで嬉しいです。

全てのレイティングリストは、いつも通り松戸チェスサークルのHPでチェックすることができます。7月8月は大会が続きますので、皆さんレイティングを伸ばせるように頑張りたいですね。これから本格的な夏のシーズンもよろしくお願い致します。

2018/06/24

第7回七盤初心者のためのチェスレッスン


6月のチェスレッスンが終わったばかりですが、7月の日程が決まったのでお知らせします。すでに2週間を切り、告知が遅くなってしまいましたが、7月もよろしくお願い致します。

【日時】 2018年7月6日(金) 19:00~21:00
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 チェスパズル
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

7月は少し趣向を変え、実戦とは違うチェスのパズルをご紹介、一緒に考えていきたいと思います。チェスのまた違った面白さの一面が見えるでしょう。実際のゲームでは現れないようなポジションも扱いますが、実戦に活かせるアイディアもお伝えできると思います。

2018/06/19

国際親善チェス大会 in 新潟 2018 Tournament Information


昨年の新潟、日中対抗戦の様子

今年は8/18(土) に開催される新潟のチェス大会についてです。今朝、最新の大会情報が届きました。例年通り一般参加者がプレーするA~Dクラス以外に、日本対中国の対抗戦が今年も予定されています。運営からの情報では、日本と中国の代表メンバーはそれぞれ以下の通りです。

Japan

Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
Nanjo, Ryosuke (IM, JPN, 2323)
Aoshima, Mirai (JPN, 2295)
Otawa, Yuto (JPN, 2140)

China

Liu, Qingnan (GM, CHN, 2546)
Xu, Zhihang (FM, CHN, 2340)
Xu, Tong (WIM, CHN, 2129)
Hu, Yi (CHN, 2069)


日本チームには、2015年から3年連続でプレーしていた羽生さんの名前がありません。今年の忙しさを考えれば、羽生さんの新潟行きは厳しいと予想していましたが、その通りでしたね。オリンピアード代表入りも決めている伸び盛りの大多和くんに、その分期待がかかります。

そして今回初めて、日本チームのほうが平均レイティングが高くなりました。GMタイトルを持つLiu, Qingnan は強敵ですが、他のメンバーは敵わない相手ではありません。女子プレーヤーの2人も、これから期待される若手ということもなく、私と同じ世代のようです。例年は男子のGMコンビ、そして若手の強豪(もしくは女子の強豪) に太刀打ちできず、かなり厳しいスコアを残してきた日本チームですが、今年はイーブン以上、初の勝ち越しを狙いたいと思います!

2か月後の開催に向け、A~Dクラスの参加者も募集中です。興味のある方は、ぜひ大会のサイトをチェックしてみてください。8月はジャパンリーグと新潟チェス大会でお会いしましょう!

新潟チェス倶楽部

2018/06/14

Tournament Schedule in 2018


懐かしのブダペストにももうすぐ戻ります。

今年から来年にかけて、参加できそうな大会の目星が大体ついてきました。まだ確定ではなく、試合の結果次第では変更もあり得ますが、今のところ私が興味を示している大会をご紹介します。

2018/7/15-16 Summer Open in Tokyo

ビッグトーナメントではありませんが、今のところは参加しようかと思っています。昨年は初戦で海外のかたに負けたのでした... 今年は気を引き締めなおしてプレーします。

2018/7/29 中部快速オープン in Nagoya

名古屋で開催される名古屋オープンや中部快速オープンは、ここ数年ほとんど参加していますね。例年通り、25分+10秒を6局ですが、今年は東海地区にチェスクラブが誕生して50周年ということで、賞金がアップするとのことです。11月の名古屋オープンは、海外にいる時期のため参加できずに残念ですね。

2018/8/12-15 Japan League in Tokyo

日本ではまだ貴重なFIDE公式戦の機会であるジャパンリーグも、例年通り参加予定です。今年も中国から誰が来るか楽しみですね。翌月のオリンピアードに向けて、弾みをつけられるような結果を残せればと思います。

2018/8/18 国際親善チェス大会 in Niigata

今年も声がかかりましたので、新潟のチェス大会にも参加してこようと思います。先日、ちらっと中国から誰が来るのか情報が流れましたが、公式の発表はまだのようでので、私からも控えておきます。持ち時間の短い非公式戦ですが、GMたちとの対戦に刺激を受けてきたいと思います。

2018/9/23-10/6 Batumi Chess Olympiad in Batumi

ここから海外大会です。オリンピアードの情報はちょこちょこ出していますが、チームメンバーも決まり、航空券も確保し、Misha とのトレーニングも始まって、いよいよオリンピアードが近づいてきたという感じがします。特筆することは現時点ではないのですが、今年最大のビッグイベントですので、しっかりと準備をして臨みたいと思います。

2018/10/7-16 First Saturday GM in Budapest

懐かしのブダペストにこの秋から戻ります。先日、正式にエントリーを済ませ、10月のFS に参加することが決まりました。オーガナイザーには11月、12月も参加する意思があることを伝えています。ここでのGMトーナメントの結果次第で予定変更はありえますが、ひとまず年内の3か月は、ハンガリーとモンテネグロを往復しようかと考えています。試合会場は以前と変わって遠くなってしまいましたが、バスのルートを発見できたので、ブダペストではまたアンダンテ滞在になる可能性大です。

2018/10/20-28 Third Saturday GM in Denovic

初参加となるモンテネグロのGMトーナメントも、オーガナイザーと話を進めて年内3か月はエントリーをしています。ドブロヴニク経由でブダペストと往復するのは大変そうですが、まずは10月に参加してみて感触をつかみたいですね。

2018/11/3-13 First Saturday GM at Budapest
2018/11/17-25 Third Saturday GM at Denovic
2018/12/1-11 First Saturday GM at Budapest
2018/12/15-23 Third Saturday GM at Denovic

2018/12/27-1/5 Rilton Cup in Stockholm

そして今年最後を締めくくる大会として考えているのは、スウェーデンのRilton Cup です。以前は違ったと思いますが、今年は上位セクションは2200以上だけが参加できるそうです。オープン大会であるRilton Cup は、GMトーナメントよりも圧倒的に参加費が安い(IM は無料です)にもかかわらず、ある程度のレベルが保証されているので、GMノームのチャンスも十分にありそうです。厳しい戦いになるとは思いますが、年末までに今以上に力をつけて、2018年最後の大会を迎えたいですね。

年明け以降の手頃な大会もすでに見つけていますが、また近くなってからの発表にしようと思います。今年後半は久々にFIDE公式戦が続くハードな日常になりそうですが、それを楽しみに今年の夏を日本で過ごそうと思います。もう3か月と少し、日本の大会でもよろしくお願い致します。


2018/06/04

第6回七盤初心者のためのチェスレッスン

6月のいっぷくでのチェスレッスンは、17日の夜開催予定です。先月はいっぷくの受付フォームで設定されていた予約枠を超える、15名の参加者に集まっていただきました。レクチャー後に残って対局をされるかたも多く、毎月私も楽しませていただいています。

【日時】 2018年6月17日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 ピースのマヌーバリング
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

6月はナイトを中心とした、ピースのマヌーバリングについて解説をしようと思います。また6月もよろしくお願い致します。

2018/05/31

FIDE Rating of June 2018

数時間早いですが、6月のFIDEレイティングが先程公開され、日本のプレーヤーは全日本選手権の結果が反映されました。Chessresults では試合の結果だけでなく、レイティングの増減も発表されていましたが、実際に合っているか確認したかったですし、全日本以外の大会で試合をし、増減のあったプレーヤーも一部います。それらは全て、以下のリストから確認ができます。

FIDE Rating List of Japan

そして、日本のランキングトップ10以内の増減は以下のようになっています。

Shinya Kojima 2408 (+8)
Aoshima Mirai 2295 (+15)
Matsuo Tomohiko 2216 (-26)
Yamada Kohei 2153 (-11)
Otawa Yuto 2140 (+113)


こうして見ると、先日の記事で公開したバツミオリンピアードの日本代表とほぼ同じですね(笑) 今回変動の無かった南條くんも、当然日本のトップ10に入っていますので、代表メンバーは全員トップ10以内ということになります。

私は事前の情報通り、+8でベストを更新できて一安心です。2015年最初に初めて2400を超えて以来、2403がずっとベストでしたが、それを3年と4か月ぶりにようやく更新しました。8月からはFIDE公式戦が続きますので、またここから伸ばしていけるように頑張ります。

青嶋くんと大多和くんもベスト更新です。青嶋くんは最後の全日本最後の5連勝で、2300までもう一歩ですね。FMタイトル獲得に必要な条件は、ライブレイティングが2300を超えることですので、夏のジャパンリーグで2連勝、3連勝でもすればFMになれると思います。そして係数40の大多和くんは、2100台に乗ってもまだまだレイティングを伸ばすチャンスです。久々のジュニアでの日本代表ですので、今後も成長を楽しみにしたいですね。

他にも全日本後、最初の更新で気になることは、新規のFIDEレイティング取得者です。近年は試合数が少なくとも、新規FIDEレイティングがつきやすいようで、日本籍では9人のプレーヤーが新しくレイティングを獲得しています。9人ともおめでとうございます!

ジャパンリーグ前にFIDE公式戦の予定がある人もそうでない人も、このレイティングで夏のシーズンを迎えましょう。また次の大会でもよろしくお願い致します。

2018/05/27

28th IVL Tournament Report


昨日はIVLが開催され、13名のプレーヤーが集まりました。Tuさんは直前に参加できなくなってしまい残念でしたが、こうして久々の開催にも参加者が集まってくれることを嬉しく思います。大会の進行は、リスト1の私と青嶋くんが直接対決でドローとなり、ともに3.5/4で最終戦を迎えました。私は馬場さんに白を持ちます。

Kojima, S - Baba, M
28th IVL(5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6



馬場さんとのこれまでの対局ではGrunfeld になることが多かったので、King's Indian のチョイスには少し驚きました。この日、私は白3試合で全てKing's Indian でした。

6. O-O Nc6 7. Nc3 Bf5


Panno Variation の中でも少し珍しい変化を指されました。これまで7... Bg4, 7... a6, 7... Bd7, 7... e5 は経験がありますが、この手は初めてです。少し考えて、最近好んで指しているポーンストラクチャーにできることに気付き、その変化を選ぶことにします。

8. d5 Na5 9. Nd4 Bd7 10. b3 c5 11. dxc6 Nxc6 12. Bb2 Rc8



私は白のdポーンと黒のcポーンを交換し、Symmetrical English からセンターポーンを交換するポーンストラクチャーにしました。昨年のNihal Sarin戦以降、互いにキングサイドフィアンケットを組んだうえで、このポーンストラクチャーで戦うことを好んでいます。本譜では、馬場さんは白にナイトを残す選択肢を与えましたが、それが嫌であれば12... Nxd4 13. Qxd4 Bc6 という流れもありえたでしょう。

13. Nc2 a6 14. Ne3 Qa5 15. Qd2 Qh5 16. Ncd5


d5のマスをナイトでコントロールすることは、このポーンストラクチャーにおいてとても大切です。いくつかマイナーピースを交換しても、白はd5のコントロールを持ち続ることで指しやすさがあると考えています。

16... Ng4 17. Nxg4 Bxg4 18. Bxg7 Kxg7 19. Rfe1 Qe5 20. Rac1 Rfe8 21. Rc3!?



このルークはcファイルに重ねることも、eファイルに振ることも状況を見てありえます。

21... Be6 22. Re3 Qd4 23. Rd3 Qc5 24. Rc1


d5のナイトは居座られたままでは嫌ですが、黒としてはビショップと交換するのも大きな決断です。白はナイトを取られた際、ルーク、ポーン、ビショップのどれで取るのもありえるでしょう。この状況であれば、ルークで取るつもりでした。

24... Ne5 25. Rdc3 Bxd5?!



最初はc8のルークが落ちるため、変な手だと思っていましたが、少し考えて黒のアイディアを理解することができました。しかしそれを踏まえても、この交換は白にとって良いものです。黒はd5のナイトが厄介で、b3-b4 などの手を警戒し続けないとしても、もう少しピース交換は我慢しなければいけなかったでしょう。

26. cxd5 Qb4??


これは正真正銘のブランダーでした。正しいクイーンの避け場所はもう一つのマスですが、それでも26... Qa5 27. f4! Rxc3 28. Qxc3 Qxc3 29. Rxc3 Ng4 30. Bf3 f5 31. Rc7+/- と進み、ルークが7段目に侵入して白が優勢です。

27. a3 1-0



a5-e1 のピンはキープし続けることができませんし、27... Qg4 28. f4! Rxc3 29. Qxc3 でもe5のナイトがピンで落ちてしまいます。馬場さんとの試合では珍しく、あっさりとした決着でした。

青嶋くんも最終戦で勝って、ともに4.5/5 で同時優勝です。以前は会場を借りる時間にも余裕があり、タイブレークのブリッツもきちんとして順位を決めていましたが、現在は時間の都合上それができません。タイブレークのブリッツはそれ自体がやっても見てても楽しいイベントですので、また時間に余裕のある際はやってみたいですね。それではIVL メンバーの皆さん、また次回の開催でもよろしくお願い致します。

2018/05/22

Batumi Chess Olympiad Schedule and Team Japan


今年のオリンピアードのロゴ from wikipedia

9月末から開催される今年のオリンピアードについて、いくつか情報が揃ってきたので、今夜はそれらをお届けします。まずは公式HP ではいくら探しても出てこなかった大会の細かなスケジュールですが、昨日こちらのサイトで見つけることができました。

9/23 Arrival 21:00 Opening Ceremony
9/24 15:00 R1
9/25 15:00 R2
9/26 15:00 R3
9/27 15:00 R4
9/28 15:00 R5 22:00 Bermuda Party
9/29 Rest Day
9/30 15:00 R6
10/1 15:00 R7
10/2 15:00 R8
10/3 15:00 R9
10/4 15:00 R10
10/5 11:00 R11 20:00 Closing Ceremony
10/6 Departure

チェス協会から提案された飛行機のスケジュールは、帰りが10/7になっていました。これは10/6の手頃な便がなかったためと確認が取れていますが、10/6の朝にバツミを出て、イスタンブールで半日過ごすスケジュールもありだと思っていますので、他のメンバーと相談して決めることになると思います。ちなみに私はオリンピアード後、日本に戻らずにブダペストに飛び、10月のFirst Saturday に参加する予定です。私は10/6のみ移動日で試合無し、10/7からまた試合をスタートします。

次は日本チームの編成です。昨日、協会からのメールでメンバーが決まったことを知りました。並びはボード順ではなく、FIDE のレイティング順です。ただし全日本の更新で大幅に変動があり、現時点の数字は参考にならなそうですので、6月のレイティングを表示してあります。

Open

Kojima Shinya (IM, JPN, 2408)
Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2323)
Matsuo Tomohiko (CM, JPN, 2216)
Yamada Kohei (FM, JPN, 2153)
Otawa Yuto (JPN, 2140)

Women

Hoshino Karen (WFM, JPN, 1931)
Sakai Azumi (JPN, 1693)
Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1652)
Shibata Misaki (JPN, 1576)
Hoshino Meilin (JPN, 1557)


オープンチームは私、南條くん、山田くんの同級生トリオが、前回のBaku に続いての参戦です。さらに注目は、18年ぶりのオリンピアード代表となる松尾さんと、初参加となる大多和くんです。松尾さんには2000年のイスタンブールに並ぶ活躍を期待しています。2006年以来、12年ぶりに高校生での代表入りを果たした大多和くんにも、ここ最近の成長ぶりを見せてもらいたいですね。

一方で女子は上4人が前回と同じメンバー、美怜のみが初参加です。平均年齢が21歳という若いチームですが、皆海外での試合経験がありますので、しっかりとポイントを重ねてもらいたいですね。オープン、女子ともにコーチはいつも通りミーシャで、オリンピアードに向けて準備を進めていくつもりです。

今後もオリンピアードの情報が何か入れば、随時こちらのブログでお届けしていこうと思います。オリンピアードの開幕まであと4か月、チームメイトの皆さんも、応援して下さる日本の皆さんも、これからよろしくお願い致します。

2018/05/18

Opening Preparation for The Next Step


全日本選手権が始まる少し前、自分が使うオープニングを整理し、振り返りやすくするための専用データベースをChessbase で2つほど作りました。1つは白のオープニング、もう1つは黒のオープニングで、それぞれ20~30ほどのラインが入力されています。ひとまず1つのラインとして作り始めたものでも、細かくなりすぎて見にくくなれば、2つに分けるなどの工夫をしています。

他にも自分の指すラインをデータベースで管理しているプレーヤーもいると思いますが、私はここ数年、それをしていませんでした。ここにきてあらためてデータベースを作り始めたのは、その場の発想ではなかなか上手い手が見つけにくいゲームが増えたり、これまで実戦で試してきたアイディアをまとめてみたいと思ったためです。オープニングの研究はもとから好きでしたが、このデータベースの作り込みも最近楽しく、日毎ラインは増殖しています。今夜はまだ公開していなかった全日本のゲームから、自分の事前のオープニング研究がどのようなものだったかご紹介したいと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859)
Japan Chess Championship 2018 (1)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 dxc4 4. e3 Bg4



この4... Bg4 のQueen's Gambit Accepted は、今回のデータベース作りで真っ先に取り掛かったラインでした。2016年のラスベガスのZhu, J との試合では、なんとか勝ったもののオープニングでアドバンテージが取れるようなものでなく、その後のオンラインのゲームでもひどい試合展開になったものも多かったです。このデータベース作りでは一念発起し、この変化の対策をしっかりと考えてきました。

5. Bxc4 e6 6. h3 Bh5 7. Nc3 Nc6!?


こちらの手はもう1つに比べ、対策は少なめでした。別のナイトの手に対しては、7... Nbd7 8. O-O Bd6 9. g4! Bg6 10. e4 e5 11. dxe5 Nxe5 12. Nxe5 Bxe5 13. f4 Qd4+ 14. Qxd4 Bxd4+ 15. Kh2 Bxc3 16. bxc3 Bxe4 17. g5 Bd5 18. Re1+ Kf8 19. Bb5 a6 20. Ba4 b5 21. Bc2+/= という面白い変化を見つけています。白はポーンを捨てても、ビショップのペアと不安定な黒キングを攻めて、十分な代償があると考えられそうです。

8. Bb5 a6?!



この手をほぼノーチェックでしたので、ここから考え始めることになります。私が調べてきたのは、8... Bd6 9. e4 Nd7 といった流れで、白はタイミングを見てc6 を交換し、黒のポーンストラクチャーを乱して勝負します。ならば、黒は本譜のように1手かけて交換を促す必要はなく、ありがたくナイトビショップの交換をすることに決めます。

9. Bxc6+ bxc6 10. g4 Bg6 11. Qa4 Nd7


Nf3-Ne5 のアイディアもあるので、黒はc6 を守り切ることはできません。ポーンアップになった後のセットアップにはあまり自信はありませんでしたが、なんとか形にできたと思っています。

12. Qxc6 Bd6 13. b3!? O-O 14. Bb2 e5 15. O-O-O exd4 16. Rxd4 Qf6 17. Nd5! Qe6 18. Rhd1 Ne5 19. Nxe5 Bxe5 20. Qxe6 fxe6 21. Ne7+ Kh8 22. Nxg6+ hxg6 23. R4d2 1-0



このゲームは、ようやくこのQGA のラインにアドバンテージを握って勝てたという感触があり、嬉しかったです。続けて黒番でのゲームも1つご紹介します。

Manabe, H (JPN, 2073) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (9)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 a6 5. c5 g6!?



a6 Slav を指すことは以前から構想にあり、すでにIVL では1試合試しています。メインの5. c5 に何を指すか(他の候補手は5... Nbd75... Bf5)迷いましたが、かなり時間をかけて調べて、自分には5... g6 が合っていると判断しました。

6. Bf4 Bg7 7. e3


正直に言えば、この手順から入られるのが一番嫌でした。真鍋さんはh2-h3 を突かず、Nf6-Nh5 を気にしないというスタンスですが、私は色々とゲームを見ても、ナイトビショップの交換を迫るのはしっくりきていませんでした。本譜の代わりに7. h3 Bf5 8. e3 Nbd7 9. Be2 Be4!? 10. 0-0 Bxf3 11. Bxf3 0-0 という手順を研究しており、Bc8-Bf5-Be4-Bxf3 と手数をかけてもビショップナイトの交換をして、e7-e5 のブレイクを準備しようと考えていました。

7... O-O 8. Bd3?!



この手は研究の中にありませんでしたが、これまで学んだアイディアから考えれば少し妙だと感じました。白がc4-c5 とポーンを押し込んだ場合、黒はe7-e5 のブレイクが強力となります。そのためにf3 のナイトを手数をかけても消しにいくわけですが、本譜では黒は1テンポアップでBc8-Bg4-Bxf3 ができてしまいます。さらに言えば、d3 のビショップは将来的にナイトのターゲットとなる良くない位置です。私が最も嫌だった手順が8. h3 Bf5 9. Be2 Nbd7 で、これだとBc8-Bg4 ができないうえ、10. 0-0 Be4 11. Nd2! が成立するため、上記のビショップナイト交換を避けられてしまいます。

8... Bg4! 9. h3 Bxf3 10. Qxf3 Nbd7 11. O-O Re8!


これで簡単にe7-e5 をつけるようになりました。f3 のクイーンとd3 のビショップは、e7-e5-e4 でポーンフォーク、Nd7-Ne5 でナイトフォークになる位置で、黒の格好の的となります。このことからも、d3 にビショップを配置するプランが白にとって良くなかったと考えられるでしょう。

12. Ne2 e5 13. Bxe5?



どちらで取っても同じだと思うのは間違いで、ここはポーンで取る一択です。それでも、13. dxe5 Nxe5 14. Bxe5 Rxe5 15. Nd4 Ne4 16. Rfc1 Qe7 17. b4 Re8 とeファイルに戦力を集め、黒が指しやすいのは間違いないでしょう。

13... Rxe5! 14. dxe5 Nxe5 15. Qf4 Nxd3!?


こうして黒はルークから取ることで駒得を確定させますが、ここは2ピースルークを取るか、2ポーンを取るか少し悩みました。2ピースルークのほうが一般的には得であるようにも思えますが、本譜のようにf2 やb2 が落ちれば、白にとってはかなり厳しいエンドゲームであるため、今回はそちらを採用することにします。15... Nh5!? 16. Qb4 Nxd3 17. Qxb7 Nxc5-+

16. Qd4 Nxf2! 17. Rxf2 Ne4 18. Qb4 Nxf2 19. Kxf2 Qf6+ 20. Kg1 Qxb2 21. Qxb2 Bxb2 22. Rb1 Ba3 23. Rxb7 Bxc5



15手目の段階でここまで読み、この先はよほどのことがない限り勝てるだろうと判断しました。最後まで油断せず、きちんと勝てるルークエンディングに持っていく流れも良かったと思います。

24. Nd4 Re8 25. Nxc6 Rxe3 26. Kf1 Re6 27. Rc7 Kg7 28. Nd8 Rf6+ 29. Ke2 Bb6 30. Rd7 h5 31. g4 hxg4 32. hxg4 Bxd8 33. Rxd8 Rf4 34. Rxd5 Rxg4 35. Ra5 Re4+ 0-1


結局、いつもの棋譜解説とあまり変わらないようにも思えますが、自分としては事前の研究がどうであったか、そこから実戦で何を考えたかを中心に書いたつもりです。オープニング用のデータベースは今後も更新を続けながら、さらなる大会でも使えるようにしていきたいと思います。

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