2022/11/05

Japan Open 2022 Day3 Tournament Report

ジャパンオープン3日目です。5R は長瀧くんに少し工夫したItalian 対策を使って勝利。6R で互いに5連勝中だった弘平くんとの直接対決を迎えます。明日も大事な最終戦があるため、試合の解説は最終盤だけをお届けします。
Kojima, S (IM, JPN, 2330) - Yamada, K (FM, JPN, 2172)
Japan Open 2022 (6)
Position after 31... Rcb6


32. fxe6 fxe6 33. Qf6!


クイーンサイドに弱点を作られている白は、勝負を続けるにはリスクが高く、ドローで満足するべきです。時間ぎりぎりまで考え、ルークを見捨ててパペチュアルチェックの道を選びました。

33... Qxe3 34. Qxe6+ Kg7 35. Qe7+ Kh6??

しかし、ここで黒はキングの逃げ場を間違えます。35... Kg8 36. Qe8+= ならば何事もなくドローで終わりです。

36. Qh4+? Kg7 37. Qe7+ Kh6?? 38. Qf8+!


ルークを捨てた時点では頭にありませんでしたが、黒キングを5段目に押し上げれば、意外と危険であることに気づきました。時間がほとんどなくメイト形は完全に見えていませんでしたが、ある程度進めてもパペチュアルチェックは残っているので、思い切って手を変えてみることにします。

38... Kh5 39. Rd5+ g5 40. g4+?

しかし、詰めを誤りました。g3-g4 が決め手になるのはあっていましたが、クイーンの位置を改善してからであればメイトでした。40. Qf7+! Kh6 41. Qf6+ Kh5 42. g4+ (こうしてクイーンをf6 に移動させておけば、黒キングは6段目に戻ることができず、差し出されたポーンを取るしかありません。) 42... Kxg4 43. Qf5+ Kh5 44. Qxh7+ Kg4 45. h3+ Qxh3+ 46. Qxh3+ Kf4 47. Rf5# ぴったりメイトです。

40... Kg6=


時間切迫で焦ってしまったと言えばそれまでですが、悔しいのはこうしてキングを6段目に戻されるまで、この手の選択肢に気づいていませんでした。上記のメイト形を見つけてg3-g4 に踏み切ったつもりだっただけに、焦ってクイーンの位置を変える手を省いてしまったのは残念です。

41. Qg8+ Kh6 42. Qf8+ Kg6 43. Qe8+ Kg7 44. Qe7+ Kg6 45. Qe6+ Kg7 46. Qd7+ Kg6 47. Qe6+ 1/2-1/2

ワンチャンスを逃した後はドローにしかなりません。トーナメントの優勝を決める決定的なチャンスを逃し、決着は最終戦に持ち越しです。私と弘平くんが5.5/6 で半歩リード、5/6 でTuさん、東野さん、大塚さんが追ってきています。

Japan Open 2022 R7 Pairings
Japan Open 2022 R7 Youtube 実況解説

最終戦でTuさんを引く流れは、今年の全日本選手権と同じです。その際とは色も違って白を引けましたので、最終戦頑張ってきます!

2022/11/04

Japan Open 2022 Day2 Tournament Report

この日は対局の様子もカメラに映され、より臨場感のある実況解説がお届けされたと思います。

ジャパンオープン2日目です。去年はこの日にドローがあって1歩後退しましたが、今年はなんとか連勝を4まで伸ばし、トップグループに残っています。私以外では、弘平くんと長瀧くんも4つまで連勝を伸ばし、三つ巴の様相を呈しています。今夜のブログでは、4R の大塚さんとの試合をご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2330) - Otsuka, S (JPN, 2118)
Japan Open 2022 (4)

1. e4 d6 2. d4 Nf6 3. Nc3 e5 4. Nf3 Nbd7 5. Bc4 Be7 6. a4 O-O 7. O-O c6 8. Re1 exd4 9. Nxd4 Ne5 10. Ba2 Re8 11. h3

全日本選手権での大塚さんとの試合では少し自信がなく、Phildor のメインラインを外しておかしな形勢にしてしまいましたが、今回はある程度調べ直して勝負に臨みました。試合途中でこの形は、全日本選手権の東野さんと試合や、オリンピアードのUAE戦の白黒を入れ替えたようなものだと気づきます。他のオープニングの知識と繋げられたことで、気持ちの面で余裕を持って局面を見ることができました。

11... Bf8 12. Be3 Ng6 13. Qf3 c5


d5 のマスを弱めるので難しい判断ですが、局後に大塚さんはどう指してよいか分からなかったと教えてくれました。13... Bd7 のような待つ手もありそうですが、白は単純にルークをセンターにまわしてd6 にプレッシャーをかけられれば満足でしょう。13... Ne5 14. Qg3 Ng6 15. Rad1! もe4 取りを無視できる白が良い流れです。

14. Nde2 Nh4 15. Qf4! Ng6 16. Qg3! Rxe4?

このエクスチェンジサクリファイスはやりすぎで、白は駒得を十分な勝ちのチャンスに繋げられるでしょう。13... Nxe4?! 14. Nxe4 Rxe4 15. Bxf7+! は典型的な切り返しで、次にQg3-Qf3+ があるため、黒はこのビショップを取ることができません。16... Be6 17. Bg5! がおそらく黒のベストですが、白はd5 の弱いマスを上手く活用して優位に立てると思います。

17. Nxe4 Nxe4 18. Qf3 d5 19. Rad1 Be6 20. Nf4!


黒はd5 のポーンでセンターを抑え続けられれば、エクスチェンジの代償を伴ってプレーできそうですが、ここではc2-c4 のアイディアもあるため、d5 は単に負担になってしまいそうです。

20... Ng5 21. Qh5 d4 22. Nxg6 hxg6 23. Bxg5 gxh5 24. Bxd8 Bxa2 25. Be7 Be6 26. Bxf8 Kxf8 27. Re5!

この5段目のルークがフォークになっていることを読み、22手目以降ピース交換を進めることを決断しました。h5 のポーンを取ったルークの次なる行き場を少し迷いましたが、本譜のように指して問題無かったようです。

27... b6 28. Rxh5 Ke7 29. f4 f6 30. Kf2 Bd7 31. b3 Bc6 32. a5!


試合後、31... a5 と白からのa4-a5 を止めていたら、白はどう勝つのかと大塚さんに尋ねられました。私は試合中はそこまで自信があったわけではないですが、32. Re1+ Kd6 (32... Kf7 33. Rd5! だとb6 を弱めた黒は厳しいでしょう) 33. Rh7 Rg8 34. g4 と進めて、白は勝てるのではないかと思います。黒には反撃らしい反撃がありません。

32... Kf7 33. b4!

白からa4-a5 を押し込んだのは黒のaポーンを止めておく意味もありましたが、このブレイクがもう1つの狙いでした。c5-d4 の連携が崩れ、5段目のルークがクイーンサイドに影響し始めれば、白は勝ちが具体的に見えてきます。

33... Be4 34. bxc5 Rd8 35. cxb6 axb6 36. axb6 f5


36... Bxc2 37. Rd2 d3 38. Rc5+- 黒はc2 を取ってもパスポーンを進めるすべがなく、反撃はここまでです。

37. Rd2 Ke6 38. c3 d3 39. Ke3 Rb8 40. Rg5 Rxb6 41. Rg6+ 1-0

最後にルークが落ちたのは、見落としではなくリザインの代わりだと思います。今年4回目の白での対戦で、ここ2回はポイントを落としている大塚さんにきっちり勝ち、全勝一番乗りを決めました。

Japan Open 2022 R5 Pairings
Japan Open 2022 R5 Youtube 実況解説

全勝者が消える明日、トップで最終日を迎えられるよう頑張ってきます! 皆さん、3日目もよろしくお願いいたします。

2022/11/03

Japan Open 2022 Day1 Tournament Report

今日から4日間、蒲田でジャパンオープンが開催されています。54名の定員は募集からすぐ埋まり、申し込み損ねたという声も事前に聞こえていました。去年はTuさんとの熱戦を制してこの大会で優勝し、チェンナイオリンピアードの代表をいち早く決めた私としては、今年も連覇を目指してしっかりプレーしてきたいと思います。初戦の後はとんかつ激戦区の蒲田でNo.1 の呼び声も高い、檍(あおき)でロースかつを食べてから午後の2戦目に向かいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2330) - Sakai, E (JPN, 1895)
Japan Open 2022 (2)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. O-O Bg7 5. Re1!?

オリンピアードではSo Wesley の勧めである5. c3 のラインを指しましたが、もともと調べていたのはこちらの手でした。2017年にMamedov がDubov を相手に指し、注目されたラインです。

5... Nf6 6. e5 Nd5 7. Nc3 Nc7 8. Bxc6 dxc6 9. Ne4 Ne6


9... b6 10. Nf6+ Kf8 11. Ne4Mamedov のゲームで登場した分岐です。本譜でも、Ne4-Nf6 の跳びこみはポイントになります。

10. d3 h6 11. a4 a5 12. Be3 b6 13. Qd2 Nd4 14. Nxd4 cxd4 15. Bf4 g5?!

この手はキングサイドを弱める割りにメリットがないので、あまり考えていませんでした。Ne4-Nf6 の跳びこみを警戒し、15... Be6 と指しておく手はあったと思います。

16. Bg3 c5 17. f4!


17. Nf6+ Kf8 18. Nh5 Bg4 19. Nxg7 Kxg7 はさほど白が良いとは思えず、ナイトの跳びこみの前にキングサイドを崩してチャンスを拡大しておきます。

17... g4 18. Bh4!


fファイルが開かなかった代わりにe5 のポーンの守りが安定したため、ビショップのダイアゴナルを切り替え、e7 とf6 に利きを作ると同時にNe4-Nd6 を狙いにしておきます。

18... Qd5 19. Nf6+! Bxf6 20. exf6 e6 21. Re5 Qc6 22. f5 Kf8

待望のNe4-Nf6 からセンターを開きます。22... Bd7 23. fxe6 Bxe6 24. Rxe6+! fxe6 25. f7+ Kf8 26. Qf4+- はエクスチェンジの代償が十分にあり、白勝勢だと考えていました。

23. b3!? exf5 24. Re7!


1ポーンを捨てますが、黒はキングとh8 ルークの位置に不満があり、白マスビショップも同じ色のポーンにブロックされていて働きが悪いです。Bc8-Be6 の前にルークを7段目に侵入させ、さらに黒陣にプレッシャーをかけます。

24... Be6 25. Qf4! Re8 26. Re1!?

Qd2-Qf4 を指した時点では、ルークをeファイルでぶつけられた際の対応は3択で完全には決めていませんでした。26. Rc7!? として7段目のルークを残す選択はもちろんありです。すぐ駒得になるのは、26. Rxe8+ Qxe8 27. Qd6+ Kg8 28. Qxb6 Kh7 29. Qxa5 の変化ですが、2ポーンを捨ててもa8 の白マスをBe6-Bd5 で抑えれば、黒には反撃のチャンスがあると考えました。本譜はe7 でルークを交換しても、パスポーンが7段目に刺されば満足という判断です。

26... Bd7


26... Rxe7 27. fxe7+ Kg7 28. Bf6+! (恥ずかしながら、この手はゲーム中に見落としていました。) 28... Kxf6 29. Qe5+ Kxe7 30. Qxh8+-

27. Rxe8+ Bxe8 28. Qb8 b5 29. Bg3 1-0

Bg3-Bd6 から黒キングを引き離せば、ピンにしたe8 のビショップを落として勝負ありです。

上位勢に大きな崩れはなく、10名が連勝で2日目を迎えます。私は同級生の汐口くんとの試合ですが、さらに同級生の南條くんが解説に明日は入ると聞いています。また面白いゲームをお届けできるよう、2日目も頑張ってきます。

Japan Open 2022 R3 Pairings
Japan Open 2022 R3 Youtube 実況解説

2022/10/23

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第12回予告

10月のOPENRECでの講座案内です。今月は最終日曜日、10/30 20時からスタートです。

10月のOPENREC の講座テーマは『ポーンストラクチャーと戦略』 です。チェスの局面を構成する要素は様々ですが、ポーンがどこにいてどのような形をしているか、つまりポーンストラクチャーはかなり重要なポイントです。今回はそんなポーンストラクチャーと、それに伴う戦略について一緒に見ていこうと思います。

先月に引き続きYoutube のサブ配信は無く、メインのOPENREC のみとなります。冒頭30分の無料視聴は可能ですので、サブスク登録がまたのかたはこの機会にぜひよろしくお願いいたします。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第12回『ポーンストラクチャーと戦略』 | 2022.10.30 (OPENREC)
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2022/10/13

Nagoya Open 2022 Tournament Preview

去年の名古屋オープン入賞者たち

名古屋チェスクラブが主催する名古屋オープンの情報が、先日NCS のHP でも公開されました。昨年は最終戦で悔しい負けを喫し、優勝を逃しているため、今年こそと意気込んで試合に臨んできたいと思います。

【日時】 2022年11月13日(日)
【会場】 ういんくあいち (9階907)
【形式】 スイス4R、持ち時間30分 + 30秒/手
【参加費】 8000円
【賞金総額】 100000円

その他、細かいスケジュールや申し込みについては、名古屋チェスクラブの大会ページをご参照ください。エントリーリストを見ると定員まであと10名を切っていますので、参加を希望されるかたはお早めにお申し込みを。皆さんに名古屋でお会いできることを楽しみにしております。

2022/09/30

Chennai Olympiad 総括 ~2024年に向けて~

チェンナイオリンピアードの総括は別に書くと最終戦の記事で触れておきながら、9月も後半まできてしまいました。チェンナイではチームから陽性者も出て十分なパフォーマンスが出せなかった選手も複数おり、以前のバツミオリンピアードのような総括は書きづらいので、どうしたものかと思っていたのが、ここまで遅れた要因です。また私自身、試合解説以外の記事について書くことのモチベーションが少し下がっていることもあります。それでも、クラウドファンディングの報告会が終わり、返礼品の準備なども順当と聞いているこのタイミングが、チェンナイを振り返る遅すぎない最後のタイミングかと思い、記事にしてみることにします。

今年のオリンピアードは4年ぶりの開催であり、コロナ禍で初、そして日本のチェス団体がJCA からNCS になって初のオリンピアードでした。過去のオリンピアードで選手と団体がどのようなやりとりをし、どのような準備でオリンピアードに臨んでいたかはJCA からあまり伝えられておらず、今年の頭に理事になった真鍋さんを始め、NCS スタッフもオリンピアードに関して知らないことが多かったと思います。その中で選手の負担軽減のため、クラウドファンディングという新しい試みに踏み切ってくれたこと、そしてそれに多くのチェスファンが賛同してくださったことは、とても嬉しく思います。

5月に全日本選手権が終わり、オープン、女子チームともに日本代表のメンバーが確定しました。そしてコーチを交えた最初のミーティングで、オープンチームは私、女子チームは妻のなつみがリーダーを務めることが決まり、私は内心驚きました。これまで私が参加していたオリンピアードでは、現地で会議に出席したり、オーダー提出の責を負うキャプテン(オープンチームは長くミーシャ)とは別に、選手の中からチームを取りまとめるリーダーを選出することはありませんでした。もちろん、年長者や経験、あるいはリーダーシップのある人が必要に応じてリーダー的な役割を負い、実質的にリーダーを務めていたということはあります。しかし、メンバーが決まった段階でリーダーを決めること自体は、私が知るこれまでのオリンピアードで初めてのことです。

リーダーの業務がNCS との相談や報告、オリンピアード初参加メンバーのサポート、チームの取りまとめ程度(もちろん、とりまとめの大変さはメンバーにもよるでしょうが)ならば良かったですが、ビザの取得やPCR検査についての調査、ユニフォームの製作と発注、クラウドファンディングの準備、コーチとのやり取りなど多岐に渡りました。これらの一部は選手個人ではなく、NCS がやるべきことにも見えますが、NCS も人手が足りない中でかなりの作業量をこなしてくれていたことは承知しているので、選手として協力できる点をすることは吝かではありません。しかし、これらは選手のごく一部(リーダー)だけが担うものではないはずで、その点は少し気がかりでした。もちろん他のメンバーが手伝ってくれたことも多数ありますが、女子チームは特に未成年選手のサポートや、コーチの体調不良による一部期間離脱などもあり、リーダーの現地での負担も予想よりずっと大きいものでした。

選手とNCS が準備期間と現地での負担をどのように分担するかについては、2024年への課題として、NCS に対してフィードバックを出しています。そのうえでこの記事を書いていて思ったのは、そもそもオリンピアード代表にリーダーが必要なのかということです。グループ内でリーダーを明確にしていたほうが連絡や相談、意思決定などがやりやすいのは承知しています。しかし、リーダーを決めることで一部の選手の負担が大きくなったり、さらには日本代表としての自覚に多少のばらつきが出てしまったのは、今回のチーム作りの反省点だったと思っています。次回のオリンピアードでリーダーを廃止するというのは極端かもしれませんが、リーダーという役職があろうとなかろうと、全員が日本の代表の一員として自発的にできることを考え、動けるメンバーを選出することや、そうした意識の共有がチーム作りに必要なのではないかというのが、今回のオリンピアードを通した私の結論です。

それは具体的にどうするの?と言われるとまた難しいですが、自分の中でまとまってきたらNCS に提言していければと思います。2024年は私にとって馴染みのあるブダペストでのオリンピアード開催ですので、終わった際に1つの悔いなくというのは無理でも、チーム全員が行って良かったと心から思えるオリンピアードにしたいですね。そのために早めに動いて準備できることは、今からしていきたいと思います。

2022/09/24

こどもチェス大会のご案内

来月、吉祥寺にある将棋の森で、小中学生を対象としたこどもチェス大会を開催いたします。詳細は下記の大会要項にあるリンクをご参照ください。申し込み方法なども、リンク先からご確認いただけます。

【日時】 2022年10月23日(日) 14-17時
【会場】 将棋の森@吉祥寺 (吉祥寺駅より徒歩4分)
【対象】 小中学生
【形式】 手の空いた同士で指す将棋大会形式、持ち時間15分+10秒/手
【参加費】 4000円
【大会要項】 こどもチェス大会イベント詳細

自分がチェス大会の運営に携わるのはコロナ前の2019年以来で、こどもを対象とした大会はさらに久々となり、とても楽しみにしています。公式戦の大会とは違い、棋譜の記録義務なし、途中抜けあり、スイス式ではない将棋大会形式ですので、始めたばかりの子でも気軽に参加していただけると思います。参加するこどもたちには、目いっぱい楽しんでもらえるよう工夫するつもりですので、奮ってご参加ください。10月23日に吉祥寺でお会いできることを楽しみにしております。

2022/09/23

Weekly Chess Puzzle Vol.69

Ogasa, S (JPN, 1654) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Japan Chess Classic 2022(1)
Black to move

Kojima, S - Sakai, E
Japan Team Chess Championship 2022(1)
White to move

久々のチェスパズル出題です。今年指したゲームもかなり溜まっており、その中から面白いものがピックアップできるようになったので、今夜はそれらをご紹介します。どちらもテーマとしては共通していますので、それもぜひ考えたうえで、それぞれの最善手を当ててみてください。いつも通り答えのわかったかたは、お気軽にコメント欄へどうぞ。

2022/09/21

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第11回予告

9月のOPENRECでの講座案内です。今月はこの週末の日曜日、9/25 20時からスタートです。

9月のOPENREC の講座はテーマを『ビショップとナイトの連携』 にさせていただきました。ビショップとナイトは一般的に、ともに3点の価値があると言われる駒ですが、状況次第ではそれ以上の強さになることも、逆にそれ以下の強さになることもあります。そしてなによりも、それぞれの特徴が大きく違う駒です。そんなビショップとナイトの特徴の理解を深め、それらの連携が生み出すチャンスを見ていきましょう。

ちなみに今月はYoutube のサブ配信は無く、メインのOPENREC のみとなります。冒頭30分の無料視聴は可能ですので、サブスク登録がまたのかたはこの機会にぜひよろしくお願いいたします。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第11回『ビショップとナイトの連携』 | 2022.09.25 (OPENREC)
NCS サブスク登録 (OPENREC)

2022/09/20

Japan Team Chess Championship 2022 Tournament Report Day2

入賞した8x8 Blunders、Osaka Club Senior、Aichi Champions のメンバーたち

1日遅れましたが、チーム選手権2日目のレポートです。私たちTabiya Chess Club のチームは最終戦でトップボードまで上がり、5連勝中だった8x8 Blunders との直接対決に挑みましたが、2.5-1.5 の僅差で敗れ、最終順位は7位に終わりました。8x8 Blunders は24試合して1敗しかしない強さを誇り、チームマッチは6連勝で完全優勝を決めました。優勝チームには一歩及ばなかったものの、入賞を果たしたOsaka Club Senior と、Aichi Champions のメンバーの皆さんもおめでとうございます!

Japan Team Chess Championship 2022 Final Standings

私は4R でTuさんに敗れたものの、残り試合を全て勝って個人では5勝1敗でした。ゲームは僅差の勝ちも多かったですが、内容にはある程度満足しています。最終戦で久々の日本公式戦復帰を果たした南條くんと対戦できましたので、そちらを今夜はご紹介します。

Kojima, S - Nanjo, R
Japan Team Chess Championship 2022 (6)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. d3 Bc5 5. O-O O-O 6. h3 h6 7. Nbd2 d6 8. c3 a6 9. Bb3 Be6 10. Bc2 Ba7

オープニングは全日本選手権で東野さんと指したItalian Old Line (白がa2-a4 とせず、Bc4-Bb3 と退くライン) になりました。黒の10手目はビショップが退く手がポピュラーですがd6-d5, Rf8-Re8, Bc5-Bf8 と組み替えるアイディアも面白く、あえてビショップをc5 に残しておくてもありえるかもしれません。

11. Re1 Ne7?!


私の経験上、e6 に配置したビショップと、Nc6-Ne7-Ng6 のアイディアはマッチしません。Bc8-Be6 と組み合わせるのであれば、東野さんが指したようにd6-d5 のセンターブレイクを使うべきだと思います。ナイトの組み替えとビショップをe6 に上げるアイディアが良くない組み合わせるである理由はすぐに分かります。

12. Nf1 Ng6 13. Ng3 Qd7 14. d4 Rad8 15. Be3

白はd3-d4 とポーンを突きなおし、d4-d5 とさらに押し込んだ際にe6 のビショップを攻撃するスレットを作れるようにします。白のセンターポーンの突き直しが早く、e6 のビショップがターゲットになりやすいのが黒のセットアップの弱点です。しかし、白もh3 へのサクリファイスを見越して、d4-d5 のタイミングは慎重に見極めなければいけません。15. d5? Bxh3! 16. gxh3 Qxh3 と進んだ場合、a7 のビショップの利きを通してしまっているため、次のQxg3 がスレットになっているのが困ります。本譜ではe3 に先にビショップを置くことで、d4-d5 と今度こそスレットにしています。

15... Qc8 16. Qd2 d5?


黒はd4-d5 を受けるためにクイーンを少し妙な位置に下げるしかなく、そのうえで今度は白のBe3-Bxh6 のスレットに備えなければいけません。私はキングがh7 に上がるしかないと思っていましたが、これもc2 にいるビショップのダイアゴナルに入る位置であるため、指しづらいのも理解できます。16... Kh7 17. a4+/- それでも黒はこれで耐えるしかなく、本譜はすぐに駒損になってしまいます。

17. Nxe5


d6-d5 のポーンブレイクは、私も黒番で準備が万端なら仕掛けたいですが、ここではe5 のポーンの守りが薄くなるのが難点です。白はこれを利用してポーンアップしますが、もう1つキングに強襲を仕掛けるのも良いアイディアでした。17. Bxh6! dxe4 18. Bxe4! Nxe4 19. Rxe4 Bd5 20. Bxg7!+- g7 まで取り込むアイディアは、先日のトレーニングで平尾くんに負けたこともあり、実戦的なアイディアとして知っていました。しかし、その前の分岐が細かいため、チーム戦で難解なピースサクリファイスをするよりも、堅実なポーンアップを選ぶべきとこの時は判断しました。

17... Nxe5 18. dxe5 Nxe4 19. Nxe4 dxe4 20. Qe2 Bxe3 21. Qxe3 Bf5 22. Bxe4 Bxe4 23. Qxe4+/-

ここまでほぼ一本道で、白はe4 を回収してポーンアップになります。しかし、このエンドゲームを勝ち切るのは一苦労です。

23... Rd2 24. Re2 Rfd8 25. Rae1 c6 26. Rxd2


すぐにヘビーピースを捌くのではなく、26. f4 として様子を見るのもありえました。

26... Rxd2 27. Re2 Qd7 28. Kh2 Qd3 29. Qxd3 Rxd3

クイーンを交換し、ルークエンディングになりました。黒キングが上がるのはかなり早く、ここからどう局面を進展させるのか、あまり自信が持てませんでした。

30. f4?!


f2 のポーンをターゲットにされることなくe5 を支え、g7-g5 も防げればよいかと思いましたが、f4 のマスにキングを運べなくなることを失念していました。30. f3! Kf8 31. h4 Ke7 32. h5 Ke6 33. Kg3+/= こうしてゆっくりキングのポジションを改善していくというのが、コンピュータの示すアイディアです。

30... Kf8 31. Re4


本譜はルークの侵入を許すことは分かっていましたが、31. Kg1 Ke7 32. Kf2 Ke6 でも局面を進展させられないため、思い切ってbポーンを狙うプランに切り替えます。

31... Rd2 32. Rb4 b5 33. a4 Ke7 34. axb5 axb5 35. Kg3 g6 36. Kf3 h5 37. c4 bxc4 38. Rxc4 Rxb2 39. Rxc6 Ra2

クイーンサイドのポーンを全て捌き、キングサイドに4vs.3 のポーンが残るルークエンディングになりました。残っているピースがナイトであれば白は実戦的に勝負にいけることを最近学んでいましたが、ルークの場合、多くはドローになります。それでも白は負ける危険が無いのであれば、ドローで早々に終わらせる理由もなく、とことん続けることにします。またこの辺りで他のボードでの決着がつき、チームの負けが決まってしまったことも関係します。自分が勝ってもチームの負けは覆らないため、ドローにしても良さそうです。しかし逆に考えれば、ここから私がリスクをとって万が一負けたとしても、チームの結果に影響がないということでもあります。

40. Rf6 Ra3+ 41. Kf2 Ra2+ 42. Kg1 Ra5 43. h4 Ra4 44. Kh2 Ra5 45. Kh3 Ra3+ 46. Kh2 Ra4 47. Kg3 Ra3+ 48. Kf2 Ra2+ 49. Kf3 Ra3+ 50. Ke2 Ra2+ 51. Kf1 Ra1+ 52. Kf2 Ra2+ 53. Kg1 Ra5 54. Rd6 Ra4 55. g3


かなり遠回りしましたが、このポーンストラクチャーにするしかないという結論に落ち着きました。ここから白が勝負をするのであれば、f4-f5 のブレイクしかありません。

55... Ra1+ 56. Kg2 Ra2+ 57. Kf3 Ra3+ 58. Kf2 Ra2+ 59. Ke3 Ra3+ 60. Rd3 Ra4 61. Kf3 Rb4 62. f5

先述の作戦を実行できました。一時的にポーンを捨てますが、ルークでf5 かh5 は回収できます。たとえマテリアルをイコールにしても、パスポーンを作って勝ちのチャンスがわずかにでもできるのであれば、試合を続けるべきです。

62... gxf5 63. Rd6 f4!?


こうしてポーンを返す手は考えてなかったの驚きました。黒は最善を尽くせばどれでもドローですが、実戦的に間違えにくく、ドローに持ち込みやすい形がどれかと言われると判断に悩むところです。63... Re4 64. Rh6 Rxe5 65. Rxh5 Kf6= として、hポーンをキングで抑える形もドローは分かりやすいかもしれません。

64. gxf4 Rb3+ 65. Ke4 Rh3 66. Rh6 Rxh4 67. Kf5 Rh1 68. Rh7 Re1 69. Rxh5

7段目のピンを利用することでe5-e6 を見せ、再度ポーンアップ状態に戻ることができました。しかし、ここまできても普通に最後のポーンを捌けばフィリドールポジションになるだけなので、白は黒キングをなんとかポーン近辺から追い出し、ルセナポジションに持ち込むアイディアを探さなければいけません。

69... Rg1 70. Rh8 Ra1 71. Rh6 Ra2 72. Rd6 Ra1 73. Rb6 Ra4 74. Kg5 Ra5 75. Kh6 Ra1 76. Rb7+ Ke8 77. f5


勝負するためにはどこかで突かなければいけないポーンですが、一度進むと戻れないというポーンの性質上、かなり慎重になりました。77. Kg7 Rg1+ 78. Kf6 Rg6+ 79. Kf5 Rg1= でも進展がないことを読み、fポーン突きを実行しました。

77... Rg1 78. Rb6 Rg2 79. Kh5 Re2??

膨大な実戦経験と知識を持つ南條くんらしからぬ1つのミスで、長かったイコールの形勢が大きく傾きました。f4-f5 の気がかりな点はe5 の守りが無くなることなのですが、黒ルークはこれをアタックすることよりも、キングをカットオフしてfポーンに近づかせないことに徹するべきでした。79... Rg1 ならば白は勝つプランがありません。

80. Kg5! Rxe5 81. Kf6+-


この形は少し前でイメージしていましたが、こうして実際に局面に現れると白はここまで粘った甲斐があったと感無量です。白はe5-e6 のようにポーンを単にぶつけて捌いた際と違い、理想的に白キングを寄せたうえで、黒キングを遠ざけてポーンを取ることができます。

81... Ra5 82. Rb8+ Kd7 83. Rf8 Ra1

本譜は黒キングをeファイルに寄せさせることなくポーンが回収できるため、白として勝ちが楽になったと感じました。実際にはf5 へのアタックを残していても、83... Rb5 84. Rxf7+ Ke8 85. Kg7 Rc5 86. Rf8+ Kd7 87. f6+- として勝勢であることに変わりありませんでした。

84. Kxf7 Ra5 85. f6 Rf5 86. Ra8 Rf1 87. Ra2


後はルークを退き、スタンダードなルセナポジションのアイディアを使うだけです。

87... Kd6 88. Rd2+ Kc7

こうして一度チェックをして黒キングを1ファイル離すのが最初のポイントです。88... Ke5 89. Ke7 Rxf6 90. Re2+ Kf5 91. Rf2++- ならばルークを取って白の勝ちです。

89. Ke7 Re1+ 90. Kf8 Rf1 91. f7 Kc6 92. Rd8 Kc7 93. Rd4!


こうして4段目にルークを配置するのが、ルセナポジションで勝つために重要なアイディアで、Building a Bridge(橋を架ける) と呼ばれます。このルークは5段目だと黒キングにすぐ狙われて追いやられ、3段目だと自分のキングから遠すぎるため、4段目である必要があります。

93... Rf2 94. Kg7 Rg2+ 95. Kf6 Rf2+ 96. Kg6 Rg2+ 97. Kf5 Rf2+ 98. Rf4 1-0

こうしてルークの後ろからのチェックをカットしてしまうのが、4段目のルークの役割です。こうして長いゲームを制したことで、マッチで敗れたものの、優勝した8x8 Blunders に一矢報いることができました。

今回、160名を超える参加者が集まった日本最大級の大会を運営してくださったスタッフの皆さんには、心からお礼を申し上げます。今回、初の大会参加となったプレーヤーたちも、また違う大会で会える機会を楽しみにしてます。
Tabiya Chess Club チームのメンバーとは、今後も交流を持ってさらにパワーアップしたいと思います!
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