2019/01/24

International Chess Festival in Leányfalu 2019 R2


夜のうちには全く気付いていませんでしたが、昨日は目覚めると雪が降り積もっていました。飲料水などを買いにこの雪の中スーパーまで向かうのは少し骨が折れましたが、買いにいかないわけにもいきません。宿泊場所では朝食だけはつくので、昼と夜はそとのレストランを利用するか、何か買ってくる必要があります。

さて2試合目はハンガリーのGM Varga との6年ぶりの対戦です。前回はケチケメートのダブルランドロビンのGM トーナメントで当たり、白黒ともにドローでした。

Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
International Chess Festival in Leanyfalu 2019 (2)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. d4 Bf5 6. h3!? h6



6. h3 は珍しい手ですが、黒のe7-e6 を待ってNf3-Nh4 とする待ち手であると理解できます。ビショップナイト交換を避けるために黒もさらに1手待ち、白の出方を窺います。

7. Qb3 b5 8. cxd5 cxd5 9. a4 b4! 10. Ne2?!


Varga はb5-b4 のアイディアを知らなかったようで、ナイトをどうするか時間を多少かけて考えていました。10. Qxb4 Nc6 11. Qc5 (11. Qb3? Rb8! 12. Qd1 Nb4-/+) 11... Na5 12. Bxa6 Rxa6 13. Qb5+ Rc6 14. Ne5 Bd7= は、互いにhポーンをついていない状態で研究していた変化で、評価の難しいポジションになります。

10... Nc6 11. Ng3 Na5!



これでb3 とc4 に跳びこむ手を見せておき、黒はオープニングで十分な成功を収めたと言えます。b2-b3 と突けばc4 のマスを抑えられるものの、今度はb3 のポーン自体がターゲットになるため、白はb3, c4 の弱さをどうカバーするか悩むところです。

12. Qd1 Bh7 13. Ne5 e6 14. Bd3 Bxd3 15. Nxd3


b1-h7 のダイアゴナルを抑えられたままでは苦しいので、遅かれ早かれ白マスビショップは交換しますが、これでさらにc4 が弱くなるうえ、白は黒マスビショップをどう使うか、まだ課題が残ります。

15... Bd6 16. f4 O-O 17. Bd2 Qb6



私はb4 をしっかりと守り、Nf6-Ne4 はここぞという局面で使おうと考えていました。しかし、ここで17... Ne4 18. Nxe4 dxe4 19. Nf2 (19. Nxb4 Qh4+ 20. Kf1 Rfb8!-/+) 19... f5 とする選択肢もあったようです。

18. Rc1 Rfc8 19. O-O Rxc1


ルークを交換するのも悪くはありませんが、Varga からは試合後、ナイトを積極的に使ってはどうかと指摘されました。19... Ne4! 20. Nxe4 dxe4 21. Ne5 Qb7=/+ これで黒はd5 にクイーンを運ぶプランも生まれ、b3 のマスをさらに活用するチャンスが増えます。前日のHorvath戦でも、Nd4-Nf3 とどこで踏み込むか悩んだ挙句、入るタイミングを逸してしまいました。アウトポストにナイトを長く留めるのは理想ではありますが、e4 をポーンで埋めて別のアドバンテージで戦っても十分なので、2試合続けてナイトの踏み込みに慎重すぎたのは、反省の材料にしたいと思います。

20. Nxc1 Rc8 21. b3 Nb7 22. Nce2 Qc7?!



ここもf6 にナイトを残しているのであれば、h7-h5 から仕掛けるべきだとVarga に指摘されました。22... h5! 23. Nc1 h4 24. Nge2 Ne4 25. Be1 Be7-/+ と進めば、ナイトとビショップが両方とも配置が良く、黒の優位は明らかです。リスクはあってもNf6-Ne4、h7-h5 の2つの踏み込みがあったので、どちらもやらずにゆっくりやりすぎたため、黒のアドバンテージが消えてしまい、もったいないと教えられました。確かに本譜は安全策で大きなミスをしていないのですが、白の白マスの弱さを突くためには、何かしらのアクションが必要でした。

23. Qa1! Na5 24. Rc1 Qb7 25. Rxc8+ 1/2-1/2


ルークを2つとも交換してしまえば、白は弱点のサポートが容易になります。Varga からのオファーを受けて、ここでゲームを終わらせました。試合後に指摘されるまではどこの指し手が甘かったのが自分では分かりかねていたので、勉強になるゲームでした。

1/22 14:30 R1 Horvath, A (GM, HUN, 2508) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1-0
1/23 14:00 R2 Varga, Z (GM, HUN, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2393) 1/2-1/2
1/24 14:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Audi, A (FM, IND, 2322)
1/25 14:00 R4 Chan, K (MAS, 2228) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/26 14:00 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Xu, Y (IM, CHN, 2528)
1/27 Rest Day (Hungarian Team Championship のため)
1/28 14:00 R6 Krstulovic, A (FM, HUN, 2332) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/29 14:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Kantor, G (IM, HUN, 2514)
1/30 14:00 R8 Aczel, G (GM, HUN, 2551) - Kojima, S (IM, JPN, 2393)
1/31 09:00 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2393) - Mahalakshmi, M (WIM, IND, 2218)

+2 Horvath,
+1 Aczel, Krstulovic
+-0 Xu, Varga, Chan, Mahalakshmi
-1 Kantor, Kojima, Audi

International Chess Festival in Leányfalu GM Section



この日はHorvath が何もないと思えた1ポーンダウンのルークエンディングを逆転勝ち。私との試合もそうでしたが、時間切迫になってからの判断力と冷静さには舌を巻きます。何が危ないか、どういった形ならば負けないかが豊富な経験から分かるのでしょう。そしてすでにGMタイトルに手が届いていてもおかしくないKnator は、まさかのKrstulovic に負け。彼ほどのIM でも2試合を終えてGMノームのチャンスが相当厳しくなっています。


歩いて行ける範囲にイタリアンレストランを発見。近くのレストランは限られているため、会場の食堂で昼食、夕食を頼んでいないプレーヤーとは、今後この店でよく顔を合わせることになりそうです。

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