2016/09/22

Club Championship 2016 Day2 Tournament Report


大盛況だったクラブ選手権 Photo by Hasegawa

21日に行われた、クラブ選手権2日目のレポートです。初日を1勝1敗1ドローだった私たち、東京バイリンガルチェスクラブB は、4R で大学生を中心としたSophia A と2勝2敗のドロー、5R で中学生を中心とした麻布学園チェスクラブB を3勝1ドローで下し、最終戦で上位テーブルに戻ってきました。最後は東京大学OB とのマッチで、私は久々に石原くんとの対戦になります。

Kojima, S - Ishihara, T
Club Championship 2016 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 e6 4. Bg2 Bb7 5. O-O Be7 6. d4 d5?!



オーソドックスなQueen's Indian になるかと思いましたが、石原くんはここでd7-d5 を突いてきました。かつて小林くんとも指したことがありますが、このタイミングでポーンを進めるのは良くないと私は考えています。6... 0-0 7. Re1 d5!? であれば、黒はe4 をがっちりと抑えることで、Rf1-Re1 を無効化できるため、悪くないタイミングでしょう。しかし本譜であれば、白は理想的なRf1-Rd1 をテンポロスすることなく指すことができます。

7. cxd5 exd5 8. Nc3 O-O 9. Bf4 c6 10. Qc2 Na6 11. Rac1 Rc8?!


これも白にとってはラッキーです。Bg2-Bh3 はどこかで指しておきたい1手です。

12. Bh3! Ra8 13. Rfd1 Re8 14. Ne5 Bd6 15. a3 Nh5 16. Qf5



ここは私はチャンスだと思い、f5 にクイーンを進め、f7 を狙いました。別のアイディアでは、16. e3!? Nxf4 17. exf4+/= と指して、e5 のナイトをしっかりとサポートするのも面白いでしょう。

17... Bxe5!


私はこのアイディアを軽視していました。黒はここで黒マスビショップを諦めても、いずれf7-f6 から取りかえすことができます。

17. Bxe5 g6 18. Qd7 Bc8?!



これは予想していましたが、黒にとってベストではありません。18... Re7! 19. Qxd8 Rxd8 20. g4 f6! 21. gxh5 fxe5=

19. Qxd8 Rxd8 20. g4!?


ここは悩みながらも、20. Bxc8 Raxc8 21. g4 f6 (21... Ng7 22. e4!) 22. gxh5 fxe5 23. hxg6 exd4 24. gxh7+ Kxh7 25. Rxd4+/= ではなく、本譜をチョイスしました。異色ビショップでも、a1-h8 のダイアゴナルを抑えられるのであれば、十分に勝つアドバンテージがあると考えたのです。

20... f6 21. gxh5 Bxh3 22. Bxf6 Rf8 23. Be5 gxh5 24. e4 Kf7!?



この手は私にとって予想外で、少し困ってしまいました。黒からはRf8-Rg8+ というわかりやすいスレットがあり、h5 のポーンも絶妙に働けるようになってしまいます。ここでのピースサクリファイスを正確に読めず、白はここからアドバンテージを手放すことになります。

25. exd5 Rg8+ 26. Bg3 cxd5 27. Nxd5!?


27. Rd3! h4 28. Rf3+ Ke8 29. Nxd5 hxg3 30. Nf6+ Ke7 31. Nxg8+ Rxg8 32. Rxg3+/= サマーオープンでの山田くんとの試合でもそうでしたが、私は2ピース vs. ルークの形勢判断が少し苦手です。2ポーンを取り、a6 のナイトがプレーに戻ってくるのを遅らせば、ルークを持つ白が有利であると判断できませんでした。ただし、もちろん本譜も悪くありません。

27... h4 28. Nc7 hxg3 29. Nxa6?!



ここも恐れず、2ピースvs. ルークにするべきでした。29. Nxa8 gxf2+ 30. Kxf2 Rxa8 31. b4!+/= このポジションの形勢判断もまだまだ難しいですが、本譜は少し黒にチャンスを与えすぎです。

29... gxf2+ 30. Kxf2 Rg2+ 31. Kf3 Rxb2


マテリアルはイコールですが、黒の一番困っていたa6 のナイトを捌かせてしまい、ビショップvs. ナイトの構図にしてしまいました。この時点でチームの負けはほぼ決まっていましたが、個人賞のためにはこれを勝ちにいかなければいけません。

32. Rc7+ Kf6 33. Rdc1 Rb3+ 34. Kf4 Bg2 35. R1c3 Rxc3 36. Rxc3 Rd8 37. Ke3 Rd7 38. Rc7



ルークを残してプレーするのはリスクが高いと判断し、ビショップvs. ナイトのエンドゲームにします。キングサイドのポーンマジョリティーは抑えられるので、問題はdファイルのパスポーンが働くかどうかです。

38... Ke7 39. Kf4 Bf1 40. Rxd7+ Kxd7 41. Nb4 Kd6 42. Ke4


ナイトを安定した状態で、相手キングを制限するためには、e3 まで持ってくることのがベストだと判断しました。しかし、すぐにNb4-Nc2-Ne3 とすれば、キングがf4 から動けず、クイーンサイドのポーンマジョリティーを止めに行けません。そこで私はキングをd3 まで運べるようにしたうえで、ナイトをe3 に切り替えることにします。

42... a5 43. Nc2 Bg2+ 44. Kd3 b5 45. Ne3



これでクイーンサイドのポーンは抑えつつ、黒キングが近づくことを防げているので、負けはなくなったと思いました。ここから勝つチャンスを作り出すアイディアをひねり出そうとします。

45... Bh3 46. Ke4 Bc8


このポジションで勝ちにいくならば、d4-d5 を突くしかないと思いました。しかしこのタイミングでd4-d5 を実行した場合、Kd6-Kc5 の後でクイーンサイドのポーンとdポーンの勝負がどうなるか、残り少ない持ち時間で読み切ることができませんでした。そこでもう少しキングを動かしながら、機を伺うことにします。

47. Kd3 Be6 48. Kc3 Bh3 49. Kd3 Be6 50. Kc3 Bh3 51. Kd2 Bd7 52. Kc2 Be6 53. Kd3 Bc8 54. Ke4 Bb7+ 55. d5!?



私はここで負けも覚悟しながら、d4-d5 を実行します。先ほどと違うのは、黒がビショップをc8 から動かしているため、d7 を抑えるためにはもう一度、Bb7-Bc8 と手を使わなければいけない点です。これならば白にチャンスはあると考えました。

54... Bc8!?


結論から言えば、この手でもドローですが、私は54... Kc5 を警戒していました。55... Kc5 56. Ke5 b4 57. axb4+ axb4 58. d6 Bc8 59. Nd1 b3 60. Nb2 Bd7 61. Nd1 Kc6 62. Nb2 こうなればお互いにパスポーンをブロックしあい、進展がなくドローになるでしょう。

56. Kd4 Bh3 57. Nd1 Bd7



黒にとって最もシンプルなのは、57... Bg2 58. Ne3 Bh3= と指すことでしょう。後ろからd5 のポーンを狙えば、白はc3 にナイトを回す暇をえられず、すぐにドローです。

58. Nc3 b4 59. axb4 axb4 60. Ne4+ Ke7 61. Kc4 Bf5 62. Ng3 Bb1!


この手以外、黒はドローに持ち込むことはできません。d5 までポーンを進め、d4 にキングを置き、チェックで黒キングを遠ざけるという理想的な条件まで作っておきながら、ドローになってしまうことに気付いて少し落ち込みましたが、それでもここまでやってみて良かったと思います。とても勉強になりました。

63. Kxb4 Kd6 64. Kc4 Ba2+ 65. Kd4 Bxd5 66. Nf5+ Ke6 67. Ng7+ Kf7 68. Kxd5 Kxg7 1/2-1/2



私と2B がドローで、東京大学OB には3-1 での負けです。私自身、個人賞を逃したのは残念ですが、チームメイトの子供たちは、全員が2P 以上を獲得してレイティングを稼いでいます。みんな、頑張りましたね!


今回のチームメイトたちです。中学生、大学生、そして社会人チームを相手によく健闘しました。これまで麻布や慶應のメンバーでチームを組むことが多かった私にとって、今回のクラブ選手権は新鮮で、とても楽しいものになりました。


上位入賞はトップシードに近いチームが埋めました。桑田くんが率いる慶應OB-C が今年こそ優勝かと思いましたが、最終戦でそのチームを破った大阪が5P。そして4勝2ドローと安定した強さを見せた麻布OB-A、慶應OB-C に負けた以外、全勝の麻布OB-B が5P で並びました。タイブレークの順は、麻布OB-B、大阪、麻布OB-A となっています。みなさん、おめでとうございます!

今年のクラブ選手権は、31チームがエントリーし、130名を超えるプレーヤーが会場に集うこととなりました。日本最大のトーナメントとなったクラブ選手権は、来年も今年以上に盛り上がることが期待されます。私もチーム編成はどうなるかわかりませんが、また来年もどこかのチームで参加したいと思います。それではまた、次のトーナメントでお会いしましょう!

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